JP2006339020A - 非水系電解液及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
良好な充放電サイクル特性を有する非水系電解液を提供することであり、またそれを用いたリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】
リチウム塩が非水系有機溶媒に溶解されてなる非水系電解液であって、該非水系有機溶媒が下記一般式(1)で表されるフッ素含有スルホネート化合物を含有することを特徴とする非水系電解液により課題を解決した。
【化18】
(式中、Lは炭素原子と水素原子から構成されたZ価の連結基を表し、R1及びR2はそれぞれ独立にフッ素原子、フッ素置換アルキル基又はアルキル基を表し、Xは水素原子、フッ素原子又はフッ素置換アルキル基を表すが、R1、R2及びXのうち少なくとも1つはフッ素を含有した基である。Zは2以上の整数である。)
【選択図】なし
Description
本発明の非水系電解液は、電解質であるリチウム塩と非水系有機溶媒とを含む非水系電解液であって、更に、特定構造のフッ素含有スルホネート化合物を含有する。
[1(1).フッ素含有スルホネート化合物の種類]
本発明における非水系電解液に含まれるフッ素含有スルホネート化合物(以下、「本発明のスルホネート化合物」と略記する)は、下記一般式で表されるものである。
本発明における非水系電解液は、本発明のスルホネート化合物を、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下含有する。この範囲の下限を下回ると、負極上に形成される被膜が不安定となり、本発明における非水系電解液がサイクル特性を向上させることができなくなる場合がある。また、上限を上回ると、負極上に厚い被膜が形成され、この被膜が高い抵抗を有するため非水系電解液と負極との間でLiイオンが移動しにくくなり、レート特性等の電池特性が低下する場合がある。
本発明のスルホネート化合物と共に使用され得るそれ以外の非水系有機溶媒(以下、これも単に「非水系有機溶媒」と略記する)については特に制限は無く、公知の非水系の有機溶媒を任意に用いることができる。
本発明の非水系電解液にはリチウム塩が必須成分として含有される。該リチウム塩について特に制限は無く、リチウム二次電池の電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に用いることができる。
本発明の非水系電解液は、負極上に被膜を形成させ、電池特性を改善させる目的で、更に被膜形成剤として不飽和カーボネート類を含有していることが好ましい。不飽和カーボネート類としては、炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネートであれば他に制限は無く、任意の不飽和カーボネート類を用いることができる。例えば、芳香環を有するカーボネート、炭素−炭素二重結合や炭素−炭素三重結合等の炭素−炭素不飽和結合を有するカーボネート等が挙げられる。
本発明における非水系電解液中には、本発明の効果を損ねない範囲で、非水系電解液の濡れ性、過充電特性等を改善する目的で他の助剤を含有させても良い。
非水系電解液は通常液体状態で存在するが、これを高分子によってゲル化して、半固体状電解質にしてもよい。ゲル化に用いる高分子は任意であるが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等が挙げられる。なお、ゲル化に用いる高分子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、非水系電解液を半固体状電解質として用いる場合、半固体状電解質に占める非水系電解液の比率は、半固体状電解質の総量に対して、通常30質量%以上、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、また通常99.95質量%以下、好ましくは99質量%以下、更に好ましくは98質量%以下である。非水系電解液の比率が大きすぎると、電解液の保持が困難となり液漏れが生じやすくなり、逆に少なすぎると充放電効率や容量の点で不十分となることがある。
本発明における非水系有機溶媒は、非水系有機溶媒に、本発明のスルホネート化合物(一般式(1)で表されるフッ素含有スルホネート化合物)と、必要に応じて不飽和カーボネート類や他の助剤とを溶解することにより調製することができる。そして、本発明の非水系電解液は、該非水系有機溶媒にリチウム塩を溶解させて調製することができる。
本発明のリチウム二次電池は、少なくとも上述した本発明における非水系電解液と、リチウムの吸蔵及び放出が可能な正極及び負極とを備えて構成される。また、本発明のリチウム二次電池はその他の構成を備えていても良い。例えば、リチウム二次電池は、通常、スペーサを備えている。
正極は、通常、集電体上に正極活物質層を設けて構成される。なお、正極は適宜その他の層を備えていてもよい。
正極活物質層は、正極活物質を含んで構成される。正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に制限はない。例としては、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、遷移金属とリチウムとの複合酸化物、遷移金属の硫化物等が挙げられる。
集電体の素材としては、公知のものを任意に使用することができるが、通常は金属や合金が用いられる。具体的には、正極の集電体としては、アルミニウムやニッケル、SUS(ステンレス)等が挙げられる。中でも、正極の集電体としてはアルミニウムが好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
負極は通常、正極の場合と同様に、集電体上に負極活物質層を設けて構成される。なお、正極と同様に、負極も適宜その他の層を備えていてもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な材料であれば他に制限は無く、公知の負極活物質を任意に用いることができる。例えば、コークス、アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、グラファイト等の炭素質材料;リチウム金属;リチウム−シリコン、リチウム−スズ等のリチウム合金等を使用することが好ましい。単位重量あたりの容量が高く、かつ安全性が良好な点からは、リチウム合金が特に好ましく、また、サイクル特性及び安全性が良好な点では、炭素質材料を使用するのが特に好ましい。なお負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ヘビーエンド)等の石油系重質油が挙げられる。また、これらの重質油を200〜400℃で蒸留して得られた固体状残渣物を、1〜100μmに粉砕したものも使用することができる。更に塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂等も使用することができる。
負極の集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、例えば、銅、ニッケル、SUS等の金属材料が用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はスペーサを介在させる。スペーサの材質や形状は特に制限されないが、上述の非水系電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。スペーサの材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン等を用いることができるが、好ましくはポリオレフィンである。また、スペーサの形状としては多孔性のものが好ましい。この場合、非水系電解液は、多孔性のスペーサに含浸させて用いる。
本発明のリチウム二次電池は、上述した本発明における非水系電解液と、正極と、負極と、必要に応じて用いられるスペーサとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。更に、本発
明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。例えば、コイン型電池、円筒型電池、角型電池等が上げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
コバルト酸リチウム(LiCoO2)92重量部とポリフッ化ビニリデン(以下、「PVdF」と略記する)4重量部とアセチレンブラック4重量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えてスラリー状にしたものを、アルミニウムからなる集電体の両面に塗布・乾燥して正極を得た。
グラファイト粉末90重量部とPVdF10重量部とを混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものを、銅からなる集電体の片面に塗布・乾燥して負極を得た。
図1にリチウム二次電池の概略断面図を示す。上記の正極、負極、及び、膜厚16μm、空孔率45%、平均孔径0.05μmのポリエチレン製2軸延伸多孔膜フィルム(セパレータ:スペーサ)に、それぞれ後述する電解液を塗布・含浸させた後、負極(2)、セパレータ(3)、正極(1)、セパレータ(3)、負極(2)の順に積層した。こうして得られた電池要素を、まずポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(4)で挟んだ。次いで、アルミニウム箔の両面に樹脂層を形成したラミネートフィルム(7)に、正極及び負極の端子を突設させて真空封止して、シート状のリチウム二次電池を作製した。また、正極及び負極の端子には封止材付きリード(8)を取り付けた。更に、電極間の密着性を高めるために、シリコンゴム(5)及びガラス板(6)でシート状電池を挟み、3.4×10−4Paの圧力で加圧した。
コバルト酸リチウムの1時間当たりの放電量を140mAh/gとし、これと評価用リチウム二次電池の正極の活物質量とから放電速度1Cを求めてレート設定をした上で、25℃の恒温槽中、0.2Cで4.2Vまで定電流−定電圧充電(以下、「CCCV充電」と略記する)した後、0.2Cで3Vまで放電し、初期のフォーメーションを行なった。次いで、0.7Cで4.2VまでCCCV充電した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期放電容量を求めた。なお充電時のカット電流は、何れも0.05Cとした。
容量評価試験の終了した電池を25℃の恒温槽中、0.7Cで4.2VまでCCCV充電(カット電流は0.05Cとした)し、1Cで3VまでCC放電する充放電サイクルを100回繰り返した。100サイクル後の容量維持率を下記の計算式により求め、その値でサイクル特性の評価をした。
100サイクル後の容量維持率(%)
=100×[100回目の放電容量(mAh/g)]/[1回目の放電容量(mAh/g)]
環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と鎖状カーボネートであるエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(混合体積比1:2)に、電解質であるLiPF6を1mol/Lの割合で溶解したものをベース電解液(I)とし、このベース電解液(I)に、フッ素含有スルホネート化合物として、1,4−ブタンジオールビス(トリフルオロメタンスルホネート)を、非水系電解液全体に対する濃度が0.2質量%となるように加えて非水系電解液とした。
ベース電解液(I)に、フッ素含有スルホネート化合物として、1,4−ブタンジオールビス(トリフルオロメタンスルホネート)を、非水系電解液に対する濃度が0.5質量%となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、フッ素含有スルホネート化合物として1,4−ブタンジオールビス(トリフルオロメタンスルホネート)を、非水系電解液に対する濃度が1質量%となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、フッ素含有スルホネート化合物として1,4−ブタンジオールビス(トリフルオロメタンスルホネート)を、非水系電解液に対する濃度が3質量%となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(混合体積比1:2)に、電解質であるLiPF6を1.25mol/Lの割合で溶解したものをベース電解液(II)とし、このベース電解液(II)に、フッ素含有スルホネート化合物として、1,4−ブタンジオールビス(トリフルオロメタンスルホネート)を、非水系電解液に対する濃度が0.5質量%となるように加えて非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と、鎖状カーボネートであるエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(混合体積比1:1:1)に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの割合で溶解したものをベース電解液(III)とし、このベース電解液(III)に、フッ素含有スルホネート化合物として、1,4−ブタンジオールビス(トリフルオロメタンスルホネート)を、非水系電解液に対する濃度が0.5質量%となるように加えて非水系電解液とした。得られた非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、フッ素含有スルホネート化合物として、1,4−ブタンジオールビス(トリフルオロメタンスルホネート)、及び、不飽和カーボネート類としてビニレンカーボネートを、非水系電解液に対する濃度がそれぞれ0.5質量%及び1質量%となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行った。結果を表1示す。
ベース電解液(I)に、フッ素含有スルホネート化合物として、1,4−ブタンジオールビス(トリフルオロメタンスルホネート)、及び、不飽和カーボネート類としてビニルエチレンカーボネートを、非水系電解液に対する濃度がそれぞれ0.5質量%及び1質量%となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行った。結果を表1示す。
ベース電解液(I)そのものを用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートを、非水系電解液に対する濃度が0.5質量%となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
ベース電解液(I)に、フッ素含有スルホネート化合物として、1,4−ブタンジオールビス(2,2,2−トルフルオロエタンスルホネート)を、非水系電解液に対する濃度が0.5質量%となるように添加した非水系電解液を用いて、上述した方法に従ってリチウム二次電池を作製し、サイクル特性評価を行なった。結果を表1に示す。
2 負極
3 セパレータ(スペーサ)
4 ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)
5 シリコンゴム
6 ガラス板
7 ラミネートフィルム
8 封止材付きリード
Claims (5)
- 上記一般式(1)において、Zが2である請求項1記載の非水系電解液。
- 該非水系有機溶媒が、鎖状カーボネート類若しくは環状エステル類、環状カーボネート類及び一般式(1)で表されるフッ素含有スルホネート化合物から主としてなる請求項1又は請求項2記載の非水系電解液。
- 更に、不飽和カーボネート類を含有する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵、放出し得る負極及び正極と、非水系電解液とを備えるリチウム二次電池において、非水系電解液として請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の非水系電解液を用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
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