JP2006335049A - 複合材シート加工装置、複合構造材の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 複合材料からなる部材を、3次元形状等、より高い自由度で形成することのできる複合材シート加工装置、複合構造材の形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 形成すべき構造材10の長手方向に複数並んだローラ20により、型40上の複合材シート30を成形するようにした。これによって、複雑な3次元形状を有する構造材10の製造の自動化を図り、その作業の大幅な効率化を図る。しかも、複数のローラ20を、予め決められたプログラムに基づいて適切な順序で動かすことで、複合材シート30にシワ等が生じないように変形させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、複合材シート加工装置、複合構造材の形成方法に関する。
近年、軽量かつ高強度を有した構造材の材料として、FRP(Fiber Reinforced Plastic)、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)等の複合材料が、航空機、船舶、建築分野の構造部材をはじめとする様々な分野で多用されている。FRP、CFRP(以下、単にFRPと総称する)では、ガラス繊維やカーボン繊維等の強化繊維からなるテープ状、あるいはマット状の強化繊維基材に樹脂を含浸させて所定形状に成形することで、構造材を得る。このとき、必要とされる強度等に応じて強化繊維機材を複数層に積層する。
形成する部材が小型のものである場合には、これらの作業を手作業で行ってもさほどの手間はかからず、また成形のための装置に真空吸引等の様々な工夫を凝らすことで、ある程度の自動化は容易である。
これに対し、航空機、船舶、建築分野の構造部材は大型であるために、人手で上記のような作業を行っていたのでは、多大な手間がかかり、また多くの人員が必要となる。また、自動化を図るにも、テープ状あるいはマット状の強化繊維基材をシワが出ないように張り込むのは非常に困難である。
このため、例えば複数のローラを、構造部材の長手方向に移動させることで、この問題を解決しようとする技術が既に提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
これに対し、航空機、船舶、建築分野の構造部材は大型であるために、人手で上記のような作業を行っていたのでは、多大な手間がかかり、また多くの人員が必要となる。また、自動化を図るにも、テープ状あるいはマット状の強化繊維基材をシワが出ないように張り込むのは非常に困難である。
このため、例えば複数のローラを、構造部材の長手方向に移動させることで、この問題を解決しようとする技術が既に提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1で提案された技術は、全体として直線状で、高さや幅等、断面寸法のみが変化するような部材を形成する場合に対しては有効であるものの、全体として屈曲したような形状や、大きく捩れたような形状等、3次元的に大きく変形する部材を形成するのは困難である。
また、特許文献1で提案された技術では、形成する部材の長さ方向にローラが移動するため、強化繊維基材は、部材の長さ方向の一端側から他端側に向けて順次曲げられることになるが、形成する部材の形状によっては、端部から強化繊維基材を曲げて行くのではなく、中央部等、他の部分から先に曲げていったほうが、シワが発生しにくい場合等もある。
さらに、特許文献1に提案された技術では、ローラの先端形状に応じて強化繊維基材を曲げるため、形成すべき構造材の角の部分等を折り曲げるのはともかく、大きな湾曲面や複雑な断面形状を構成するように強化繊維基材を曲げるのは困難である。しかも、折り曲げる形状に応じて先端形状が異なるローラに交換しなければならず、これには手間とコストがかかるという問題もある。
このように、従来の技術では適用対象が限られ、自由度が低いと言わざるを得ない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、複合材料からなる部材を、3次元形状等、より高い自由度で形成することのできる複合材シート加工装置、複合構造材の形成方法を提供することを目的とする。
また、特許文献1で提案された技術では、形成する部材の長さ方向にローラが移動するため、強化繊維基材は、部材の長さ方向の一端側から他端側に向けて順次曲げられることになるが、形成する部材の形状によっては、端部から強化繊維基材を曲げて行くのではなく、中央部等、他の部分から先に曲げていったほうが、シワが発生しにくい場合等もある。
さらに、特許文献1に提案された技術では、ローラの先端形状に応じて強化繊維基材を曲げるため、形成すべき構造材の角の部分等を折り曲げるのはともかく、大きな湾曲面や複雑な断面形状を構成するように強化繊維基材を曲げるのは困難である。しかも、折り曲げる形状に応じて先端形状が異なるローラに交換しなければならず、これには手間とコストがかかるという問題もある。
このように、従来の技術では適用対象が限られ、自由度が低いと言わざるを得ない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、複合材料からなる部材を、3次元形状等、より高い自由度で形成することのできる複合材シート加工装置、複合構造材の形成方法を提供することを目的とする。
かかる目的のもとになされた本発明は、複合材料から形成された複合材シートを成形して所定形状の構造材を形成する複合材シート加工装置であり、構造材に対応した形状を有する型と、この型に対向し、かつ構造材が連続する方向に複数が配列されたローラと、型上にセットされる複合材シートにローラを押し付けて複合材シートを変形させるための駆動機構と、駆動機構を制御し、複数のローラを独立して作動させるためのコントローラと、を備えることを特徴とする。
このような複合材シート加工装置では、コントローラが、複数のローラを複合材シートに押し付ける順序を制御する。このコントローラの制御により、複数のローラを適切なタイミングで複合材シートに押し付けることができる。これによって、3次元的に屈曲、湾曲、または捩れた構造材を形成する場合であっても、形成すべき構造材の形状に応じた最適な位置から、複合材シートにシワが生じないように複合材シートをローラで順次変形させることが可能となる。
また、駆動機構では、ローラを、構造材が連続する方向に直交する面内で、構造材の周方向に移動させるのが好ましい。これにより、複合材シートを、構造材の角部に限らず、型に沿わせて様々な形状に曲げることができる。もちろん、形状が異なったからといって、ローラを交換する必要は生じない。
なお、複合材シート加工装置で成形する複合材シートは、複合材料がテープ状またはシート状に形成された複合材料基材を複数層積層させたものとするのが好ましい。これにより、大型の構造材を速やかに製造することができる。
また、複合材シート加工装置には、複合材シートを加熱する加熱機構をさらに備えるのが好ましい。この加熱機構は、型上にセットされる複合材シートの少なくとも一部を加熱する。これにより、複合材シートを軟化させることで塑性加工を容易にすることができる。また、加熱機構を、型上にセットされる複合材シートを覆う加熱用シートとすれば、複合材シートを加熱しつつ、複合材シートをローラから保護することができ、キズやシワが生じるのを抑止できる。このため、複合材シートは、少なくともその表面をフッ素樹脂やシリコン樹脂等で形成するのが好ましい。
このような複合材シート加工装置では、コントローラが、複数のローラを複合材シートに押し付ける順序を制御する。このコントローラの制御により、複数のローラを適切なタイミングで複合材シートに押し付けることができる。これによって、3次元的に屈曲、湾曲、または捩れた構造材を形成する場合であっても、形成すべき構造材の形状に応じた最適な位置から、複合材シートにシワが生じないように複合材シートをローラで順次変形させることが可能となる。
また、駆動機構では、ローラを、構造材が連続する方向に直交する面内で、構造材の周方向に移動させるのが好ましい。これにより、複合材シートを、構造材の角部に限らず、型に沿わせて様々な形状に曲げることができる。もちろん、形状が異なったからといって、ローラを交換する必要は生じない。
なお、複合材シート加工装置で成形する複合材シートは、複合材料がテープ状またはシート状に形成された複合材料基材を複数層積層させたものとするのが好ましい。これにより、大型の構造材を速やかに製造することができる。
また、複合材シート加工装置には、複合材シートを加熱する加熱機構をさらに備えるのが好ましい。この加熱機構は、型上にセットされる複合材シートの少なくとも一部を加熱する。これにより、複合材シートを軟化させることで塑性加工を容易にすることができる。また、加熱機構を、型上にセットされる複合材シートを覆う加熱用シートとすれば、複合材シートを加熱しつつ、複合材シートをローラから保護することができ、キズやシワが生じるのを抑止できる。このため、複合材シートは、少なくともその表面をフッ素樹脂やシリコン樹脂等で形成するのが好ましい。
また、本発明は、複合材料から形成された複合材シートを成形して所定形状の構造材を形成する方法であって、複合材シートを型上にセットし、形成すべき構造材が連続する方向に複数配列したローラのそれぞれを、予め決められたプログラムに基づいて独立して作動させ、型上の複合材シートに順次押し付けて複合材シートを型に対応した形状に変形させる工程と、複合材シートを硬化させる工程と、を含むことを特徴とする複合構造材の形成方法とすることもできる。
本発明によれば、形成すべき構造材の長手方向に複数並んだローラにより複合材シートを成形するようにしたので、複雑な3次元形状等を有する構造材の製造の自動化を図ることが可能となり、その作業の大幅な効率化を図ることができる。また、複数のローラを、予め決められたプログラムに基づいて適切な順序で動かすことで、複合材シートにシワ等が生じないようにこれを変形させることができる。
さらに、形成すべき構造材の形状に応じて、複数のローラの作動順序等を異ならせてプログラムを作成すれば、様々な形状の構造体の製造に対応することができ、これによってこの装置を汎用性の高いものとすることができ、構造体の製造コスト低減にも寄与できる。
さらに、形成すべき構造材の形状に応じて、複数のローラの作動順序等を異ならせてプログラムを作成すれば、様々な形状の構造体の製造に対応することができ、これによってこの装置を汎用性の高いものとすることができ、構造体の製造コスト低減にも寄与できる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1〜図12は、本実施の形態における複合構造材の形成方法を説明するための図である。
図1に示すように、本実施の形態では、例えば、断面C字型で、全体として「く」の字型に変形した構造材10を製造する。
図2および図3に示すように、本実施の形態においては、このような構造材10を製造するために、製造すべき構造材10の長手方向に複数のローラ20を二列に並べて配置し、これらローラ20により、構造材10を形成する複合材シート30を、型40に沿うよう変形させる。
図1〜図12は、本実施の形態における複合構造材の形成方法を説明するための図である。
図1に示すように、本実施の形態では、例えば、断面C字型で、全体として「く」の字型に変形した構造材10を製造する。
図2および図3に示すように、本実施の形態においては、このような構造材10を製造するために、製造すべき構造材10の長手方向に複数のローラ20を二列に並べて配置し、これらローラ20により、構造材10を形成する複合材シート30を、型40に沿うよう変形させる。
構造材10の材料となる複合材シート30は、ガラス繊維やカーボン繊維等の強化繊維からなるテープ状、あるいはマット状の強化繊維基材31にマトリックス樹脂を含浸させ、これを複数層積層させた、例えば厚さ5〜30mmの厚板状のものである。
ここで、マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等があり、熱可塑性樹脂には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン等があり、いずれも、レジン材料として用いられるものを好適に用いることができる。
この複合材シート30は、上記のように複数のローラ20によって所定形状に成形される工程においては、マトリックス樹脂が未硬化の状態、あるいは加熱により軟化した状態とされ、これによって複合材シート30が変形可能な状態とされている。
ここで、マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等があり、熱可塑性樹脂には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン等があり、いずれも、レジン材料として用いられるものを好適に用いることができる。
この複合材シート30は、上記のように複数のローラ20によって所定形状に成形される工程においては、マトリックス樹脂が未硬化の状態、あるいは加熱により軟化した状態とされ、これによって複合材シート30が変形可能な状態とされている。
図4は、ローラ20により上記のように複合材シート30を変形させて所定形状の構造材10を形成するための加工装置(複合材シート加工装置)50を示すものである。
加工装置50は、ベース51上に、型40が設置されている。この型40は、その表面に複合材シート30を沿わせるため、成形すべき構造材10に対応した断面形状を有し、構造材10の長手方向に連続して形成されている。
加工装置50は、ベース51上に、型40が設置されている。この型40は、その表面に複合材シート30を沿わせるため、成形すべき構造材10に対応した断面形状を有し、構造材10の長手方向に連続して形成されている。
型40の長手方向に複数が並んで設けられたローラ20は、型40を挟んでその両側に配置されている。
各ローラ20は、加工装置50のフレーム52に、駆動機構53を介して支持されている。駆動機構53は、一端54aが、フレーム52に対して型40が連続する方向に直交する面内(図4の紙面に沿った面内)で揺動自在となるように連結された駆動シリンダ54と、この駆動シリンダ54を前記面内で一端54aを中心として旋回駆動させる駆動モータ55と、を備えている。駆動シリンダ54は、空圧または油圧等を駆動源として一方向に沿って伸縮駆動され、その先端部54bに円筒状あるいは円柱状のローラ20を回転自在に支持している。
このような駆動機構53の駆動シリンダ54、駆動モータ55は、コントローラ60によってその動作が制御され、これによって駆動シリンダ54の先端部54bに設けられたそれぞれのローラ20を、型40が連続する方向に直交する面内で、任意の位置に移動できるようになっている。
また、駆動機構53によりローラ20を移動させるタイミング、移動量についても、予めプログラミングがなされることによって、コントローラ60で制御できるようになっている。
各ローラ20は、加工装置50のフレーム52に、駆動機構53を介して支持されている。駆動機構53は、一端54aが、フレーム52に対して型40が連続する方向に直交する面内(図4の紙面に沿った面内)で揺動自在となるように連結された駆動シリンダ54と、この駆動シリンダ54を前記面内で一端54aを中心として旋回駆動させる駆動モータ55と、を備えている。駆動シリンダ54は、空圧または油圧等を駆動源として一方向に沿って伸縮駆動され、その先端部54bに円筒状あるいは円柱状のローラ20を回転自在に支持している。
このような駆動機構53の駆動シリンダ54、駆動モータ55は、コントローラ60によってその動作が制御され、これによって駆動シリンダ54の先端部54bに設けられたそれぞれのローラ20を、型40が連続する方向に直交する面内で、任意の位置に移動できるようになっている。
また、駆動機構53によりローラ20を移動させるタイミング、移動量についても、予めプログラミングがなされることによって、コントローラ60で制御できるようになっている。
ここで、ローラ20は、型40上にセットされる複合材シート30に対し、駆動機構53によってその位置が移動されることで圧力を加え、これによって複合材シート30を型40の形状に沿うよう変形させる。このとき、ローラ20は、複合材シート30の表面に当たると、これに沿って転動するようになっている。このため、ローラ20の少なくとも表面を、フッ素樹脂やシリコン樹脂等の摩擦係数の小さな材料で形成し、複合材シート30に過大な摩擦力を与えるのを抑えるのが好ましい。摩擦力により、複合材シート30にシワが生じたり、傷が付いたりすることがあるからである。
加工装置50においては、複合材シート30をローラ20で成形する際、複合材シート30を加熱機構で加熱する。これは、硬化前の熱硬化性樹脂を軟化させ、複合材シート30を容易に変形できるようにするためである。
このため、複合材シート30を成形するに際しては、型40上にセットした複合材シート30の表面を、加熱機構としての加熱用シート57で覆うようにするのが好ましい。加熱用シート57は、加熱用の電熱線等が埋め込まれたシートであり、複合材シート30の成形に伴って容易に変形するものが好ましい。また、変形の際に複合材シート30との間で生じる摩擦によって、複合材シート30に傷等が付かないよう、加熱用シート57は、少なくとも表面を、フッ素樹脂やシリコン樹脂等の摩擦係数の小さな材料で形成するのが好ましい。
このような加熱用シート57は、複合材シート30の全体を覆うのではなく、その一部のみ、すなわちローラ20で変形させる箇所や、その周囲のみを加熱するようにしても良い。
このため、複合材シート30を成形するに際しては、型40上にセットした複合材シート30の表面を、加熱機構としての加熱用シート57で覆うようにするのが好ましい。加熱用シート57は、加熱用の電熱線等が埋め込まれたシートであり、複合材シート30の成形に伴って容易に変形するものが好ましい。また、変形の際に複合材シート30との間で生じる摩擦によって、複合材シート30に傷等が付かないよう、加熱用シート57は、少なくとも表面を、フッ素樹脂やシリコン樹脂等の摩擦係数の小さな材料で形成するのが好ましい。
このような加熱用シート57は、複合材シート30の全体を覆うのではなく、その一部のみ、すなわちローラ20で変形させる箇所や、その周囲のみを加熱するようにしても良い。
複合材シート30を加熱する加熱機構としては、他に、赤外線等の熱源を照射するヒータや、温風(熱風)を送り込む温風機を用いることも可能である。図5に示すように、この場合、ヒータ65や温風機66で、加工装置50の内部全域を加熱するようにしても良い。
また、図6に示すように、複合材シート30を局部的に加熱する温風機67等を設け、この温風機67を移動できる構造としておき、複合材シート30の変形に応じて移動させながら加熱を行うようにしても良い。
さらに、図7に示すように、加熱機構として、パネル状(ブロック状)の発熱体68を備え、この発熱体68を複合材シート30の一部に押し当てることで複合材シート30を加熱し、複合材シート30の変形に伴って発熱体68を移動させる構成としても良い。
また、図6に示すように、複合材シート30を局部的に加熱する温風機67等を設け、この温風機67を移動できる構造としておき、複合材シート30の変形に応じて移動させながら加熱を行うようにしても良い。
さらに、図7に示すように、加熱機構として、パネル状(ブロック状)の発熱体68を備え、この発熱体68を複合材シート30の一部に押し当てることで複合材シート30を加熱し、複合材シート30の変形に伴って発熱体68を移動させる構成としても良い。
また、複合材シート30を容易に変形させるため、型40についても図示しないヒータ等で加熱するのが好ましい。
さて、上記のような構成の加工装置50において、構造材10を形成するには、まず、予めマット状の強化繊維基材31を積層させることで形成した複合材シート30を、型40上にセットする。
そして、セットした複合材シート30上に、加熱用シート57を被せ、加熱用シート57および型40で複合材シート30を加熱する。
そして、セットした複合材シート30上に、加熱用シート57を被せ、加熱用シート57および型40で複合材シート30を加熱する。
この後、図8に示すように、コントローラ60の制御により、複数のローラ20のそれぞれの駆動機構53を作動させ、複数のローラ20を、加熱用シート57が被せられた複合材シート30に順次押し当て、加熱用シート57が被せられた複合材シート30に沿って移動させることで、複合材シート30を型40に沿うよう変形させる。
このとき、複数のローラ20を作動させて複合材シート30を押す順序やタイミング、その移動速度は、予め決められたプログラムに基づき、コントローラ60によって制御される。これにより、図1に示したような「く」の字状の3次元的な形状を有する構造材10を形成するに際しても、複合材シート30にシワ等が生じないような順序でローラ20を押し当てて移動させて、複合材シート30を変形させることができる。また、複合材シート30を変形させることで、図9に示すように、複数層に積層された強化繊維基材31間で層間すべり(ズレ)が生じ、これによって引張・圧縮・層間せん断応力が生じるが、これらの応力をなるべく低減できるように、複数のローラ20の作動をコントローラ60で制御するのが好ましい。
このとき、複数のローラ20を作動させて複合材シート30を押す順序やタイミング、その移動速度は、予め決められたプログラムに基づき、コントローラ60によって制御される。これにより、図1に示したような「く」の字状の3次元的な形状を有する構造材10を形成するに際しても、複合材シート30にシワ等が生じないような順序でローラ20を押し当てて移動させて、複合材シート30を変形させることができる。また、複合材シート30を変形させることで、図9に示すように、複数層に積層された強化繊維基材31間で層間すべり(ズレ)が生じ、これによって引張・圧縮・層間せん断応力が生じるが、これらの応力をなるべく低減できるように、複数のローラ20の作動をコントローラ60で制御するのが好ましい。
そして、複合材シート30の所定形状への変形が完了した後、加熱用シート57および型40による加熱を停止させ、複合材シート30に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させた後、これを型40から脱型することで、所定形状の構造材10を得ることができる。
このような加工装置50では、例えば図10に示すように、橋梁等、各種建築・土木構造物を構成する桁材70等を構成する構造材10Aや、図11に示すように、航空機の主翼80の骨格をなす構造材10B等を形成することができる。
上述したように、加工装置50においては、形成すべき構造材10の長手方向に複数並んだローラ20により、型40上の複合材シート30を成形するようにした。これによって、複雑な3次元形状を有する構造材10の製造の自動化を図ることが可能となり、その作業の大幅な効率化を図ることができる。
しかも、複数のローラ20を、予め決められたプログラムに基づいて適切な順序で動かすことで、3次元的な形状を有する構造材10を形成するに際しても、複合材シート30にシワ等が生じないようにこれを変形させることができる。
しかも、複数のローラ20を、予め決められたプログラムに基づいて適切な順序で動かすことで、3次元的な形状を有する構造材10を形成するに際しても、複合材シート30にシワ等が生じないようにこれを変形させることができる。
また、形成すべき構造材10の形状が異なる場合であっても、複数のローラ20の作動順序等を異ならせてプログラムを作成すれば、加工装置50自体としては型40のみを変更すればよく、様々な形状の構造材10を形成することができる。したがって、加工装置50を汎用性の高いものとすることができ、構造材10の製造コストをも低減することが可能となる。
なお、上記実施の形態では、「く」の字状に屈曲した構造材10を例に挙げたが、上記のような加工装置50によれば、例えば図12に示すように、捩れを有した構造材10C等をはじめとして、全体として直線状で単に断面形状が変化するものに限らず、全体として湾曲・屈曲したり、捩れたりした3次元的な形状の構造体を形成することが可能である。
ところで、上記実施の形態においては、ローラ20を、駆動機構53によって、型40が連続する方向に直交する面内で移動させる構成としたが、これに加え、型40が連続する方向にも移動できるようにしても良い。これにより、形成すべき構造材10の形状に応じてローラ20の位置を調整することができ、形成する構造材10の自由度がさらに高まる。
また、上記実施の形態では、型40が上方に凸となる形状をなした、いわゆるオス型となっているが、下方に凸となる凹面形状を有した、いわゆるメス型を用いる形状の構造体を製造する場合であっても、本発明を同様に適用できる。この場合も、複数のローラ20の作動順序を適切にコントロールすることで、構造体を良好に自動的に製造できる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
また、上記実施の形態では、型40が上方に凸となる形状をなした、いわゆるオス型となっているが、下方に凸となる凹面形状を有した、いわゆるメス型を用いる形状の構造体を製造する場合であっても、本発明を同様に適用できる。この場合も、複数のローラ20の作動順序を適切にコントロールすることで、構造体を良好に自動的に製造できる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
10、10A、10B、10C…構造材、20…ローラ、30…複合材シート、31…強化繊維基材、40…型、50…加工装置(複合材シート加工装置)、53…駆動機構、54…駆動シリンダ、57…加熱用シート(加熱機構)、60…コントローラ、65…ヒータ(加熱機構)、66、67…温風機(加熱機構)、68…発熱体(加熱機構)、70…桁材、80…主翼
Claims (7)
- 複合材料から形成された複合材シートを成形して所定形状の構造材を形成する複合材シート加工装置であって、
前記構造材に対応した形状を有する型と、
前記型に対向し、かつ前記構造材が連続する方向に複数が配列されたローラと、
前記型上にセットされる前記複合材シートに前記ローラを押し付けて前記複合材シートを変形させるための駆動機構と、
前記駆動機構を制御し、複数の前記ローラを独立して作動させるためのコントローラと、
を備えることを特徴とする複合材シート加工装置。 - 前記複合材シートは、前記複合材料がテープ状またはシート状に形成された複合材料基材を複数層積層させたものであることを特徴とする請求項1に記載の複合材シート加工装置。
- 前記コントローラは、複数の前記ローラを前記複合材シートに押し付ける順序を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の複合材シート加工装置。
- 前記駆動機構は、前記ローラを、前記構造材が連続する方向に直交する、前記構造材の周方向に移動させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複合材シート加工装置。
- 前記型上にセットされる前記複合材シートを加熱する加熱機構をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の複合材シート加工装置。
- 3次元的に屈曲、湾曲、または捩れた前記構造材を形成するためのものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の複合材シート加工装置。
- 複合材料から形成された複合材シートを成形して所定形状の構造材を形成する方法であって、
前記複合材シートを型上にセットし、形成すべき前記構造材が連続する方向に複数配列したローラのそれぞれを、予め決められたプログラムに基づいて独立して作動させ、前記型上の前記複合材シートに順次押し付けて前記複合材シートを前記型に対応した形状に変形させる工程と、
前記複合材シートを硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする複合構造材の形成方法。
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