JP6409569B2 - 繊維強化プラスチックの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリプレグ積層体を三次元形状に賦形する賦形工程を有する繊維強化プラスチックの製造方法に関するものである。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化プラスチックは、比強度、比弾性率が高く、力学特性に優れること、耐候性、耐薬品性などの高機能特性を有することなどから産業用途においても注目され、航空機、宇宙機、自動車、鉄道、船舶、電化製品、スポーツ等の構造用途に展開され、その需要は年々高まりつつある。中でも連続した強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸した中間基材であるプリプレグを積層し、オートクレーブ等で加圧成形を行うことで高品質な繊維強化プラスチックが得られる。
オートクレーブ等による成形硬化工程の前に、プリプレグを三次元形状に追従させプリフォームとする賦形工程が、部材品質の成否を左右する重要な工程であることが知られている。主に航空機部材の積層・賦形において、三次元形状に賦形を行なうために、広幅のプリプレグを繊維方向に裁断して細幅に分割したスリットテーププリプレグを、自動機を用いて連続的に積層させるオートファイバープレースメントと呼ばれる方法が知られている(例えば、特許文献1)。スリットテーププリプレグを三次元形状に並べて賦形(テープレイアップ)することで、細幅のスリットテーププリプレグ自体は実質二次元形状に沿うだけでよく、複雑形状であっても形状追従可能としている。しかしながら、スリットテーププリプレグは細幅であるため、所望の形状に並べるために時間がかかり、生産性が低く、製造コストが高くなる上、広幅のプリプレグを裁断してスリットテーププリプレグとする工程が増えるため材料費自体も高くなるという問題があった。
そこで安価な広幅のプリプレグを用い、かつ生産性の高い賦形工程を実現するために、予め自動機を用いて高速に平板状に積層したプリプレグ積層体を、熱を加えながらブラッダーでマンドレルに押し付けて三次元形状に賦形していく、ホットフォーミングと呼ばれる賦形法が開発されている(例えば、特許文献2)。しかしながら、わずかなプロセス条件のズレや材料のばらつきに敏感で、しばしば賦形中にシワが発生する問題があった。そのシワは硬化後にも欠陥として引き継がれ、成形品としての構造強度が低下する可能性がある。
国際公開2009/052263号公報 国際公開96/06725号公報
本発明の課題は、かかる背景技術に鑑み、シワの発生しない最適な条件で再現性よくプリプレグ積層体を賦形可能な賦形工程を有する繊維強化プラスチックの製造方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を講ずるものである。すなわち、熱硬化性樹脂を含浸した強化繊維を含むプリプレグを積層して平板状のプリプレグ積層体を形成する積層体形成工程、プリプレグ積層体を雄型に押し付けて賦形する賦形工程、および熱硬化性樹脂を硬化する硬化工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法であって、賦形工程において、プリプレグ積層体を両面から挟んで把持する把持シートの、1つの辺およびその対辺を固定する辺固定部を、辺固定部を掴んで移動する第1稼動部に接続させ、第1稼動部を、プリプレグ積層体が実質的にたわみなく雄型に押しつけられる方向へ稼動させることでプリプレグ積層体を賦形するに際し、第1稼動部の稼動速度を稼動速度の平均速度の0.9から1.1倍の範囲に制御するとともに、固定されたガイドAと、雄型に向かって一方向に等速で稼動する第2稼動部に固定されたガイドBとの交点に、第1稼動部が誘導される繊維強化プラスチックの製造方法である。また、熱硬化性樹脂を含浸した強化繊維を含むプリプレグを積層して平板状のプリプレグ積層体を形成する積層体形成工程、プリプレグ積層体を雄型に押し付けて賦形する賦形工程、および熱硬化性樹脂を硬化する硬化工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法であって、賦形工程において、プリプレグ積層体を両面から挟んで把持する把持シートの、1つの辺およびその対辺を固定する略雄型稜線形状の辺固定部を、辺固定部を掴んで移動する略雄型稜線形状の第1稼動部に接続させ、第1稼動部を、プリプレグ積層体が実質的にたわみなく雄型に押しつけられる方向へ稼動させることでプリプレグ積層体を賦形するに際し、第1稼動部の稼動速度を稼動速度の平均速度の0.9倍から1.1倍の範囲に制御するとともに、プリプレグ積層体と雄型の接触部から第1稼動部に向かう方向に、把持シートに張力を付与し、第1稼動部と辺固定部との間に弾性体を有し、かつ、張力が弾性体の弾性率と弾性体の伸び量との積で計算される繊維強化プラスチックの製造方法である。
本発明によれば、プリプレグ積層体を最適な賦形条件で再現性よく賦形を行うことができ、高品質な繊維強化プラスチックを製造することができる。
プリプレグ積層体を把持シートで挟み、把持シートを辺固定部により固定し、辺固定部を第1稼動部で掴んだ様子の概念図である。 図1のセットを用いた賦形装置の略中央の断面図である。 図1中の辺固定部および第1稼動部を略雄型稜線状とし、第1稼動部と辺固定部の間に弾性体が設けられている様子を示した概念図である。 凹形状の壁面を有する雄型の概念図である。 凸形状の壁面を有する雄型の概念図である。 凹形状と凸形状の組み合わさった壁面を有する雄型の概念図である。 図3のセットを用いた賦形装置の略中央の断面図である。 ガイドA,ガイドBを用いた賦形において、賦形前の様子を示した、賦形装置の略中央の断面図である。 図8で示した賦形装置で第2稼動部を動かした場合の概念図である。 雄型および第1稼動部の略中央部断面の概念図である。 実施例1に係るガイドB16−aの形状を示す概略図である。 実施例1に係る雄型の形状を示す概略図である。 実施例1で係る方法で賦形されたプリプレグ積層体を示す概略図である。 比較例1に係る賦形装置の断面図である。
本発明者らは、熱硬化性樹脂を含浸した強化繊維を含むプリプレグを複数枚積層したプリプレグ積層体を雄型に押し付けて形状追従させる賦形工程において、安定して高品質なプリフォームを製造するために、シワ発生のメカニズムの検証を行った。その結果、シワを抑制するためには、プリプレグ積層体の層間が滑らかに滑ること、各層のプリプレグが面内でせん断変形しやすいこと、各層のプリプレグの曲げ剛性が高いことが重要であることを見出した。加えて、温度を上げることでプリプレグは面内でせん断変形が起きやすくなるが、曲げ剛性は低下してしまう、等のトレードオフの関係があり、賦形する形状や材料特性によってシワ発生の可能性を最小限とする、上記プリプレグ特性をバランスよく満たした最適なプロセス条件が存在することがわかった。賦形中に最適なプロセス条件を持続するために、上記プリプレグ特性を賦形工程中に変化させないことが好ましい。プリプレグ特性に影響を与える因子には、プリプレグに与える温度があり、粘弾性体であるプリプレグの上記特性には速度依存性があるため賦形速度も重要である。したがって、最適な温度・速度を保ち賦形を行なうことが好ましい。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照し詳細に説明する。
プレプレグは、炭素繊維などの強化繊維に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸して得られる。強化繊維は、一方向に配列した状態であっても、織物などの形態であってもよい。熱硬化性樹脂は通常、モノマー成分以外に、硬化剤が加えられていて熱硬化性が発現するようになっている。斯かるプリプレグは、一般に市販されている。
積層体形成工程は、複数枚のプリプレグを積層して平板状のプリプレグ積層体を形成する工程である。プリプレグ積層体は、厚みが一定でもよいが、場所によって積層数が異なりプライドロップを含んでいてもよい。プリプレグを積層する際は、シート状のゴム等の弾性体で挟まれた空間にプリプレグ積層体を置き、その空間を真空引きすることでプリプレグ同士の密着を強めてもよい。プリプレグを1枚重ねる度に真空引きを行ってもよく、全てのプリプレグを積層した後に真空引きを行なってもよい。プリプレグ積層体は、平板状であるため、賦形工程を経て所望の形状のプリフォームに賦形され、硬化工程により繊維強化プラスチックが製造される。
賦形工程は、プリプレグ積層体を雄型に押し付けて賦形して、プリフォームを得る工程である。図1、図2は積層体形成工程により得たプリプレグ積層体1を、例えば航空機構造部材の一つ、スパーのようなC型断面形状のプリフォームに賦形する賦形工程の一例を示している。プリプレグ積層体1は、プリプレグ積層体1を両面から挟む把持シート2によって把持されている。把持シート2は汎用のバグフィルムでもよく、把持シート2間を密閉空間とし、密閉空間を真空ポンプなどで脱気することで圧力を下げ、プリプレグ積層体1を大気圧との差圧で加圧しながら賦形を行なってもよい。また、プリプレグ積層体1と把持シート2とは接していてもよいが、プリプレグ積層体1と把持シート2の間に離型フィルムやシリコーンラバー等の副資材を挿入してもよい。
図1のように、把持シート2は把持シート2の1つの辺およびその対辺を固定する辺固定部3により固定されている。対辺とは、4辺形などにおいて向かい合った辺を意味する。辺固定部3は、プリプレグ積層体1を挟む2枚の把持シート2を把持するクリップ状でもよく、ボルト等を用いて固定する機構を有していてもよい。辺固定部3は、辺固定部3を掴んで移動する第1稼動部4に接続する。各辺に複数に分割された辺固定部を設け、複数の第1稼動部に接続させてもよい。
このように把持されたプリプレグ積層体1を、図2に示す断面図のように、第1稼動部4を稼動方向6へ稼動させ、賦形を行なう。稼動方向6は、プリプレグ積層体1が実質的にたわみなく雄型5に押しつけられる第1稼動部4の稼動方向である。ここで、実質的にたわみのない状態とは、プリプレグ積層体1、把持シート2の自重を除いた要因によるたわみがない状態を意味する。また、第1稼動部4は、辺固定部3を稼動方向6に動かすことのできる装置であり、ロボットのアームでもよい。第1稼動部4を稼動方向6へ略一定の速度、すなわち平均速度の0.9倍から1.1倍の範囲の速度に制御することで、最適なプロセス条件として選定された速度での賦形を実行できる。本発明において、第1稼動部4の速度は、第1稼動部4の略中央部の速度で定義する。
さらに、本発明の好ましい実施態様として、第1稼動部4を稼動させる際に、把持シート2を介してプリプレグ積層体1に引張荷重を付与するため、プリプレグ積層体1と雄型の接触部8から第1稼動部4に向かう方向9への引張荷重を把持シート2に付与するのがよい。接触部8は、賦形中のプリプレグ積層体1における雄型5との接触端部を示している(実際にはプリプレグ積層体1は把持シート2を介して雄型5と接触している)。シワ発生の原因はプリプレグ積層体内に発生する圧縮荷重であるため、張力を付与することはシワの抑制に効果がある。好ましくは、張力は、最適なプロセス条件を崩さないために、略一定、すなわち張力の平均値の0.9倍から1.1倍に保つのがよい。
さらに、本発明の好ましい実施態様として、把持シート2へ略一定の張力を付与するために、図3のように辺固定部10および第1稼動部11を、互いに並行な略雄型稜線形状のものとし、弾性体12を辺固定部10と第1稼動部11の間に設け、弾性体12が伸びることで把持シート2に張力が作用する機構を有するのがよい。辺固定部10および第1稼動部11は雄型壁面7の稜線に合わせて直線形状や湾曲させた形状でもよい。具体的には、図4で示す、雄型の内側に向かって湾曲した凹形状の雄型稜線13−aに対しては凹形状の辺固定部10および第1稼動部11とするのがよく、図5で示す、雄型の外側に向かって湾曲した凸形状の雄型稜線13−bに対しては、凸形状の辺固定部10および第1稼動部11とするのがよい。また、図6で示す、凸形状と凹形状の組み合わさった雄型稜線13−cに対しては、凹形状と凸形状の組み合わさった形状の辺固定部10および第1稼動部とするのがよい。雄型への押圧力を上げるために、雄型稜線の凹形状部に対しては雄型稜線よりもさらに雄型の内側へ湾曲させ、雄型稜線の凸形状部に対しては雄型稜線よりも直線に近い形状としてもよい。例えば、雄型の稜線が曲率で表される場合、その曲率よりも0.9〜1.1倍大きな曲率を辺固定部10および第1稼動部11に持たせてもよい。弾性体12を伸ばす際は、上記と同様、図7に示すようにプリプレグ積層体1と雄型5の接触部8から第1稼動部11に向かう方向への引張荷重を把持シート2に付与することが好ましい。また、弾性体とは、ゴムやバネなど、弾性を有し伸びやすい材質を意味している。弾性体12が平板状の場合で把持シート2自体の弾性率が十分高く伸び量を無視できるとすれば、基本的には張力は弾性体12の弾性率と弾性体12の伸び量との積で計算できるが、弾性体12の幅と把持シート2の幅が異なる場合、張力は式(1)で計算できる。
バネのように把持シート2に付与される荷重がバネの個数に依存する場合は、把持シート2に与えられる単位幅あたりの張力は式(2)で計算できる。このような張力の定量化は、賦形の再現性を高めることに寄与する。
さらに、本発明の好ましい実施態様として、固定されたガイドAと、プレス機など、雄型に向かって一方向に等速で稼働する第2稼動部にガイドBを固定し、ガイドAとガイドBの交点に第1稼動部を誘導させ、賦形を行なうのがよい。これにより、工作用ロボットなど大型投資を行なうことなく最適な賦形条件である速度を賦形工程中一定とすることができる。具体的には、図8、図9のように、第1稼動部10を誘導し固定されたガイドA14と、上下に稼動する第2稼動部15に取り付けるガイドB16(図8、図9において右側のガイドB16を便宜上16−a、左側を16−bと称する)を準備する。ガイドAは雄型に固定されていてもよい。図8、図9に示すように、第1稼動部11はガイドA14とガイドB16の重なる箇所に誘導されるよう設計する。第2稼動部15が下方向17に動いた際、図9に示すように、ガイドA14とガイドB16の重なる箇所はガイドA14に沿って移動し、それに伴い第1稼動部11も誘導される。第1稼動部は稼動部自身に稼動機構を有していなくてもよい。ガイドA14の形状は円形の円弧、または楕円形の円弧であることが好ましい。ガイドAおよびガイドBは第1稼動部の動きを安定させるために複数個所設けてもよく、全てのガイドAまたはガイドBの形状は同一である必要はない。
本実施形態は、プリプレグ積層体を雄型に押すつける際に、プリプレグ積層体に生じる角部での曲げ角速度や第2稼動部の速度に対応した治具を自由に設計できることも利点の一つである。図10は雄型5および第1稼動部11の略中央部の断面図の概念図であり、図10において雄型の壁面を表す直線と18と雄型の上面を含む直線19の交点と、点で示されている第1稼動部11を通る直線20と、直線19のなす角を、曲げ角21とする。また、曲げ角速度は曲げ角21における角速度とする。例えば、ガイドA14の形状が半径L(mm)の円形の円弧である場合、第2稼動部の速度V(mm/min),目標とする曲げ角速度C(°/min)を用いて、ガイドB16−aの形状をxy平面上で式(3)および式(4)により表される形状で決定することができる。ここで、tは時間(min)を表し、tは0から、90/Cの範囲である。雄型5や賦形されるプリプレグ積層体1が左右対称の場合は、ガイドB16−bとガイドB16−aの形状は左右対称であるのが好ましい。
さらに、本発明の好ましい実施態様として、賦形の再現性をさらに向上させるために、プリプレグ積層体全域の温度を均一に保つことがよい。ここでプリプレグ積層体全域の温度が均一とは、プリプレグ積層体内の最大温度と最低温度の差が20℃以内であることを意味する。例えば層間の滑りやすさは温度によって異なるため、局所的に温度が不適切な場所があれば、層間が滑らず、シワが発生する可能性がある。温調されたチャンバ内で一定時間加熱した後に賦形を実施してもよいし、賦形中もチャンバ内で保温してもよい。輻射ヒーターや接触型のヒーターなどで加熱しながら賦形してもよい。温度の測定は熱電対により把持シートの外側から間接的に測定してもよく、非接触温度計を用いてもよい。
賦形工程を経て得られたプリフォームについて、熱硬化性樹脂を硬化する硬化工程を経ることによって、繊維強化プラスチックが製造される。硬化工程は、プリフォームを熱硬化性樹脂が硬化する温度に晒すことで行われ、通常、プリフォームを加熱することで行われる。プリフォームが雄型に押し付けられた状態で加熱を行なってもよい。把持シートで囲まれた空間を真空ポンプと繋がった密閉空間とし、真空引きをしながら硬化させてもよい。熱源は輻射ヒーターや接触型のヒーターなどでもよく、雄型自身が加熱される機構を有していても良い。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に記載の発明に限定されるものではない。
(実施例1)
ガイドAおよびガイドBを用いる方法で賦形を行なった。まず、東レ(株)製プリプレグ(P2352W−19)を繊維方向に対して0度および45度方向に150mm×150mmのサイズでカットし、一枚ずつ擬似等方積層[+45/0/90/−45]2sに積層し、平板状のプリプレグ積層体を作成した。プリプレグ積層体を把持する把持シートは汎用のバグフィルムとし、副資材としてシリコーンラバーとFEP(4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体)フィルムを準備した。バグフィルムのサイズは200mm×200mm、シリコーンラバーとFEPフィルムはプリプレグ積層体と同サイズとし、バグフィルム/シリコーンラバー/FEPフィルム/プリプレグ積層体/FEPフィルム/シリコーンラバー/バグフィルムの順番になるようにバグフィルムでプリプレグ積層体を挟んだ。シーラントと呼ばれる粘着材を用いてバグフィルム間を接着させ、バグフィルムで挟まれた空間を密封空間とした。ただし、バグフィルムの1つの辺の中央の、シーラントとバグフィルムの間に1箇所直径3mmのホースを差し込み、真空ポンプとつなげ、賦形が完了するまで前記密封空間内の気圧を100Paまで低下させた状態を保持した。ガイドAの形状は半径100mmの円形の円弧とし、ガイドB16−aに相当するガイドBの形状は、L=100mm、V=20mm/min、C=10°/minとして式(3)および式(4)により計算された、図11に示す形状とした。このガイドBの形状を用いることで、第2稼動部の速度が20mm/minのときに、前記角速度が10°/minとなる。また、第2稼動部の速度Vを変更した場合の前記角速度Cは、C=2Vで計算することができる。ガイドAおよびガイドBは雄型壁面7とは別の面である雄型の1つの面23と、面23の対面である面24に、それぞれ図8に示した断面図と同様に雄型の両サイドに取り付けた。このガイドBを用いて、図12に示したステンレス製の雄型に押し付けてC=45°/minつまり、2分で賦形が完了するように、C字型へ賦形を行なった。図12の雄型の壁面は凹形状の緩やかな曲面となっている。辺固定部10および第1稼動部11も雄型稜線の形状にあわせ、図13に示した湾曲した棒状のものを用いた。辺固定部10と第1稼動部11の間にはバネ定数が0.49N/mmのバネ22を片側10個ずつとりつけると、バネ22が1.2mm伸びた状態で賦形を行なえる。このとき、バグフィルムには0.059N/mmの張力が付与されている。賦形前にプリプレグ積層体をシートヒーターにより60℃に加熱しておき、室温下で設置されている雄型にすばやく移動してセットし、上記速度で賦形を行なった。賦形後は、得られたC字型のプリフォームを雄型と共に180℃に加熱したチャンバ内に移動させ、バグフィルムで挟まれた密閉空間内の圧力を100Paで維持したまま、2時間保持し、C字型の繊維強化プラスチックを製造した。5枚のプリプレグ積層体を準備し賦形を行なったところ、シワのない高品位なC字型の繊維強化プラスチックが4枚得られた。シワの発生した1枚については、幅方向に対して中央の角部でプリプレグ積層体の雄型と接触する面に円弧状のシワが発生していた。他の4つに比べ、温調したプリプレグ積層体の雄型へのセットが遅れ、プリプレグ積層体温度が最適な範囲を外れてしまった可能性がある。
(実施例2)
賦形工程での加熱手段を除いては、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを製造した。すなわち、賦形前にプリプレグ積層体をシートヒーターにより60℃に加熱する加熱手段に代えて、予め60℃に加熱したチャンバ内で雄型を加熱しておき、プリプレグ積層体も全域が60℃となるようにチャンバ内に10分保持する加熱手段を採用した後で、実施例1と同じガイドA、ガイドBおよび雄型を用いてチャンバ内で賦形を行ない、賦形後は180℃まで昇温させ2時間保持し、繊維強化プラスチックを製造した。5枚のプリプレグ積層体を準備し賦形を行なったところ、5枚ともシワの発生はなく、高品位な繊維強化プラスチックが製造された。
(比較例1)
図14に示す装置で、実施例1で得たプリプレグ積層体の賦形および硬化を行なった。図12に示した雄型およびプリプレグを含む密閉空間26と非表示の真空ポンプを接続し、真空ポンプとの接続口27を介して密閉空間26の気圧を100Paまで下げることにより、気圧差により膨張バッグ25が雄型28に押し付けられ、プリプレグ積層体がC字型に賦形される。密閉空間26は図示していない加熱手段によって、温調が可能である。プリプレグ積層体1は、図示していない把持シートで密閉されており、内部を真空引きした状態で保持されている。真空ポンプを起動させ、実施例1と同様に雰囲気温度が60℃に加熱された密閉空間26内で2分でC字型へと賦形が完了するように賦形を行なった。その結果、真空ポンプを起動させると同時にプリプレグ積層体が雄型に押し付けられ賦形が始まったが、曲げ角速度は制御できなかった。賦形後は真空ポンプを起動させたまま密閉空間26内を180℃に加熱後、2時間保持し、プリフォームを硬化させた。C字型へ製造された繊維強化プラスチックの角部の内側にはひだ状のシワが5枚中5枚とも発生していた。
1:プリプレグ積層体
2:把持シート
3:辺固定部
4:第1稼動部
5:雄型
5−a:凹形状の壁面を有する雄型
5−b:凸形状の壁面を有する雄型
5−c:凹形状と凸形状の組み合わさった壁面を有する雄型
6:第1稼動部の稼動方向
7:雄型壁面
8:プリプレグ積層体と雄型の接触部
9:張力を付与する方向
10:略雄型稜線形状の辺固定部
11:略雄型稜線形状の第1稼動部
12:弾性体
13−a:凹形状の雄型稜線
13−b:凸形状の雄型稜線
13−c:凹形状と凸形状の組み合わさった雄型稜線
14:ガイドA
15:第2稼動部
16−a:ガイドB 右側
16−b:ガイドB 左側
17:第2稼動部の移動方向
18:雄型5の略中央断面における壁面を示す直線
19:雄型5の略中央断面における上面を含む直線
20:直線18と直線19の交点と、第1稼動部11を含む直線
21:曲げ角
22:バネ
23:雄型の1つの面
24:面23の対面
25:膨張バッグ
26:密閉空間
27:真空ポンプとの接続口
28:図12の雄型の断面図

Claims (5)

  1. 熱硬化性樹脂を含浸した強化繊維を含むプリプレグを積層して平板状のプリプレグ積層体を形成する積層体形成工程、プリプレグ積層体を雄型に押し付けて賦形する賦形工程、および熱硬化性樹脂を硬化する硬化工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法であって、賦形工程において、プリプレグ積層体を両面から挟んで把持する把持シートの、1つの辺およびその対辺を固定する辺固定部を、辺固定部を掴んで移動する第1稼動部に接続させ、第1稼動部を、プリプレグ積層体が実質的にたわみなく雄型に押しつけられる方向へ稼動させることでプリプレグ積層体を賦形するに際し、第1稼動部の稼動速度を稼動速度の平均速度の0.9倍から1.1倍の範囲に制御するとともに、固定されたガイドAと、雄型に向かって一方向に等速で稼動する第2稼動部に固定されたガイドBとの交点に、第1稼動部が誘導される繊維強化プラスチックの製造方法。
  2. 熱硬化性樹脂を含浸した強化繊維を含むプリプレグを積層して平板状のプリプレグ積層体を形成する積層体形成工程、プリプレグ積層体を雄型に押し付けて賦形する賦形工程、および熱硬化性樹脂を硬化する硬化工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法であって、賦形工程において、プリプレグ積層体を両面から挟んで把持する把持シートの、1つの辺およびその対辺を固定する略雄型稜線形状の辺固定部を、辺固定部を掴んで移動する略雄型稜線形状の第1稼動部に接続させ、第1稼動部を、プリプレグ積層体が実質的にたわみなく雄型に押しつけられる方向へ稼動させることでプリプレグ積層体を賦形するに際し、第1稼動部の稼動速度を稼動速度の平均速度の0.9倍から1.1倍の範囲に制御するとともに、プリプレグ積層体と雄型の接触部から第1稼動部に向かう方向に、把持シートに張力を付与し、第1稼動部と辺固定部との間に弾性体を有し、かつ、張力が弾性体の弾性率と弾性体の伸び量との積で計算される繊維強化プラスチックの製造方法。
  3. 把持シートへ付与される張力を、張力の0.9倍から1.1倍の範囲で維持する請求項2に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  4. 固定されたガイドAと、雄型に向かって一方向に等速で稼動する第2稼動部に固定されたガイドBとの交点に、第1稼動部が誘導される請求項2または3に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  5. プリプレグ積層体全域の温度が一定となるように温調する請求項1〜のいずれかに記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
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