JPWO2019031478A1 - 繊維強化プラスチックおよび繊維強化プラスチックの製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチックおよび繊維強化プラスチックの製造方法 Download PDF

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Abstract

良好な表面品位と、高い力学特性を両立する屈曲部及び平面部を有する繊維強化プラスチックおよびその製造方法を提供することを課題とする。固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層を複数有し、屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、前記各層において、複数の不連続強化繊維束の長さは、実質的に同一長さLであり、前記屈曲部中には不連続強化繊維束の端部が含まれており、さらに、前記繊維束が屈曲部に沿って屈曲して配向された方向に沿った先に、隣接する別の不連続強化繊維束が存在し、前記別の繊維束は、その端部が前記屈曲部に含まれ、その屈曲部に含まれる部分は前記屈曲部に沿って屈曲して配向されている場合において、前記繊維束の屈曲部側の端部と、前記別の繊維束の屈曲部側の端部との間を、前記2つの繊維束の前記した屈曲部における配向方向に沿って測定した距離のうち、最大値をdXとすると、前記dXは前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である、繊維強化プラスチック。【選択図】図1

Description

本発明は、良好な表面品位と、高い力学特性を両立する屈曲部及び平面部を有する繊維強化プラスチックおよびその製造方法に関する。
強化繊維と樹脂とからなる繊維強化プラスチックは、比強度、比弾性率が高く、力学特性に優れること、耐候性、耐薬品性などの高機能特性を有することなどから産業用途においても注目され、航空機、宇宙機、自動車、鉄道、船舶、電化製品、スポーツ等の構造用途に展開され、その需要は年々高まりつつある。
特に航空機・自動車等の構造部材など、屈曲部および平面部を有する部材に用いられる繊維強化プラスチックは、複雑な3次元形状を有しつつも、表面品位に優れ、かつ高い力学特性が要求されるのが一般的である。しかし繊維強化プラスチックは3次元形状を形成するにあたり、屈曲部での周長差が原因となり、強化繊維が突っ張るため、繊維強化プラスチックの表面にしわが発生し、表面品位が低下する。
このような繊維強化プラスチックの問題点に鑑み、しわの少ない屈曲部と平面部を有する構造材料を製造する技術として、強化繊維と固化した樹脂を有する層を複数有し、かつ層ごとの強化繊維の向きを特定の方向とする方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
特開2007−168272号公報
しかしながら特許文献1の技術では、強化繊維プラスチック中に含まれる強化繊維の配向の方向が限定されるため、繊維強化プラスチックの利点である設計の自由度が失われ、その結果、所望の力学特性を達成するために重量が増加してしまい軽量性の利点が失われるという問題点があった。
本発明は、かかる背景技術に鑑み、良好な表面品位と、高い力学特性を両立する屈曲部及び平面部を有する繊維強化プラスチックおよびその製造方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、以下の通りである。
(1)固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層を複数有し、
屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、
前記各層において、複数の不連続強化繊維束の長さは、実質的に同一長さLであり、
前記屈曲部中には不連続強化繊維束の端部が含まれており、さらに、前記繊維束が屈曲部に沿って屈曲して配向された方向に沿った先に、隣接する別の不連続強化繊維束が存在し、
前記別の繊維束は、その端部が前記屈曲部に含まれ、その屈曲部に含まれる部分は前記屈曲部に沿って屈曲して配向されている場合において、
前記繊維束の屈曲部側の端部と、前記別の繊維束の屈曲部側の端部との間を、前記2つの繊維束の前記した屈曲部における配向方向に沿って測定した距離のうち、最大値をdXとすると、
前記dXは前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である、繊維強化プラスチック。
(2)固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層を複数有し、前記層は全て、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層であり、
屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、
前記各層において、複数の不連続強化繊維束の長さは、実質的に同一長さLであり、
前記屈曲部中には不連続強化繊維束の端部が含まれており、さらに、前記繊維束が屈曲部に沿って屈曲して配向された方向に沿った先に、隣接する別の不連続強化繊維束が存在し、
前記別の繊維束は、その端部が前記屈曲部に含まれ、その屈曲部に含まれる部分は前記屈曲部に沿って屈曲して配向されている場合において、
前記繊維束の屈曲部側の端部と、前記別の繊維束の屈曲部側の端部との間を、前記2つの繊維束の前記した屈曲部における配向方向に沿って測定した距離のうち、最大値をdXとすると、
前記dXは前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である、繊維強化プラスチック。
本発明によれば、良好な表面品位と、高い力学特性を両立する屈曲部及び平面部を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
本発明の繊維強化プラスチックの一例を示す斜視図である。 本発明の繊維強化プラスチックの屈曲部に存在する不連続強化繊維端部の形態の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の繊維強化プラスチックの一例を示す断面図である。 本発明の繊維強化プラスチックの、不連続強化繊維束の端部がなす直線形状を模式的に示す平面図である。 本発明の繊維強化プラスチックの、不連続強化繊維束の端部がなす直線形状を模式的に示す斜視図である。 本発明の繊維強化プラスチックの、面外強度及び面外疲労特性の測定方法を模式的に示す断面図である。 本発明の繊維強化プラスチックを成形する際に、型を用いて曲げ賦形する工程を模式的に説明する斜視図である。 本発明の繊維強化プラスチックを成形する際に、曲げ賦形する工程に用いられる型の一例を示す斜視図である。
本発明者らは、良好な表面品位と、高い力学特性を両立する屈曲部及び平面部を有する繊維強化プラスチックを得るために、鋭意検討し、本発明に係る屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックを得るに到った。
本発明の繊維強化プラスチックの第1の態様は、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層を複数有し、屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、前記各層において、複数の不連続強化繊維束の長さは実質的に同一長さLであり、前記屈曲部中には不連続強化繊維束の端部が含まれており、さらに、前記繊維束が屈曲部に沿って屈曲して配向された方向に沿った先に、隣接する別の不連続強化繊維束が存在し、前記別の繊維束は、その別の繊維束の端部も屈曲部に含まれ、その屈曲部に含まれる部分は前記屈曲部に沿って屈曲して配向されている。かかる場合において、前記繊維束の屈曲部側の端部と、前記別の繊維束の屈曲部側の端部との間を、前記2つの繊維束の前記した屈曲部における配向方向に沿って測定した距離のうち、最大値をdXとすると、前記dXは前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である繊維強化プラスチックである。
本発明の繊維強化プラスチックにおいて、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層を複数有するとは、繊維強化プラスチックを構成する複数の層の内に、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層が複数含まれていることを示すものである。すなわち、繊維強化プラスチックを構成する全ての層が、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層であることを示すものではない。例えば、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層以外に、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の連続強化繊維束を含む層や、固化したマトリックス樹脂中にランダムに配向した強化繊維束を含む層を有することも可能である。かかる態様を採る場合、それぞれの層を適切に配置することで、良好な表面品位を保ったまま、力学特性の設計の自由度を広く採ることができる。また、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層や固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の連続強化繊維束を含む層などの強化繊維束を含む層のほかに、これら強化繊維束を含む層の層間に、固化した樹脂の層を含んでいてもよい。この層間に含まれる固化した樹脂の層は、強化繊維束を含む層中の固化した樹脂とは異なる固化した樹脂であってもよいし、固化した樹脂の中に固化した樹脂とは異なる種類の樹脂や材質の粒子を含んでいてもよい。
また、本発明の繊維強化プラスチックの好ましい第2の態様は、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層を複数有し、前記層は全て固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層であり、屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、前記各層において、複数の不連続強化繊維束の長さは、実質的に同一長さLであり、前記屈曲部中には不連続強化繊維束の端部が含まれており、さらに、前記繊維束が屈曲部に沿って屈曲して配向された方向に沿った先に、隣接する別の不連続強化繊維束が存在し、前記別の繊維束は、その端部が前記屈曲部に含まれ、その屈曲部に含まれる部分は前記屈曲部に沿って屈曲して配向されている場合において、前記繊維束の屈曲部側の端部と、前記別の繊維束の屈曲部側の端部との間を、前記2つの繊維束の前記した屈曲部における配向方向に沿って測定した距離のうち、最大値をdXとすると、前記dXは前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である、繊維強化プラスチックである。
ここで、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層を複数有し、前記層は全て固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層であるとは、繊維強化プラスチックを構成する複数の層の内に、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層が複数含まれ、かつ、それらの層は全て、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層であることを示す。固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層の全てが固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層であることにより、本発明の屈曲部は、さらにしわの少ない繊維強化プラスチックが得られ易くなる。なお、このとき、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層の全てが固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層であることが重要であり、繊維強化プラスチックを構成する全ての層が、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層であることを示すものではない。例えば、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層以外に、固化したマトリックス樹脂中にランダムに配向した強化繊維束を含む層を有することも可能である。かかる態様を採る場合、それぞれの層を適切に配置することで、良好な表面品位を保ったまま、力学特性の設計の自由度を広く採ることができる。また、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層などの強化繊維束を含む層のほかに、これら強化繊維束を含む層の層間に、固化した樹脂の層を含んでいてもよい。この層間に含まれる固化した樹脂の層は、強化繊維束を含む層中の固化した樹脂とは異なる固化した樹脂であってもよいし、固化した樹脂の中に固化した樹脂とは異なる種類の樹脂や材質の粒子を含んでいてもよい。
また、前記第1の態様、および第2の態様における、前記各層とは、繊維強化プラスチックを構成する複数の層の内に含まれる、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層の各層について特定するものであり、繊維強化プラスチックを構成する複数の層の内に含まれる、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層ではない層は対象としていない。
図1に示すように、本発明の繊維強化プラスチック1は、固化したマトリックス樹脂5中に配向方向が一方向である不連続強化繊維束4を含む層6を複数有する。
ここで“固化したマトリックス樹脂”とは、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂の場合、加熱・加圧などにより熱硬化性樹脂の架橋反応が進み、樹脂の流動がほとんどない状態を指し、樹脂が熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂を加熱・加圧後に冷却した状態を指す。
“不連続強化繊維束”とは、層中に含まれる強化繊維束を構成する強化繊維のうち、長さが10〜100mmの範囲内である強化繊維が、層中に含まれる強化繊維束を構成する強化繊維全体の95%以上であることを指す。なお、不連続強化繊維束4の長さは実質的に同一長さLである。ここで“不連続強化繊維束が実質的に同一長さL”とは、繊維強化プラスチックの端部と交わる不連続強化繊維束を除き、不連続強化繊維束に含まれる不連続強化繊維の平均長さより5mm以上短いまたは長い不連続強化繊維の割合が、5%以下であることを示す。
“配向方向が一方向である”とは、各層中において不連続強化繊維束に含まれる不連続強化繊維の配向方向の平均値から5度以上離れた不連続強化繊維の割合が、5%以下であることを示す。
また繊維強化プラスチックの各層の間で、不連続繊維強化束の配向方向が異なっていてもよい。ここで“不連続強化繊維束の配向方向が異なる”とは、隣接する層間においてそれぞれの層中に含まれる不連続繊維強化束同士がなす角度が、5度以上であることを指す。
本発明の繊維強化プラスチックが含む不連続強化繊維束中の不連続強化繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維などの有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミックス繊維などの無機繊維、ステンレス繊維やスチール繊維などの金属繊維、その他、ボロン繊維、天然繊維、変性した天然繊維などを繊維として用いた強化繊維などが挙げられる。その中でも特に炭素繊維は、これら強化繊維の中でも軽量であり、しかも比強度および比弾性率において特に優れた性質を有しており、さらに耐熱性や耐薬品性にも優れていることから、軽量化が望まれる自動車パネルなどの部材に好適である。なかでも、高強度の炭素繊維が得られやすいPAN系炭素繊維が好ましい。
本発明の繊維強化プラスチックが含む固化したマトリックス樹脂として用い得る熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。また、本発明の繊維強化プラスチックが含む固化したマトリックス樹脂として用い得る熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリスルフォン、ABS、ポリエステル、アクリル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、塩ビ、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、シリコーンなどが挙げられる。前記熱硬化性樹脂には、成形時の粘度調整や硬化樹脂の靱性向上等を目的として、熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂と硬化剤の合計)100質量部に対して、1〜60質量部の範囲で前記の熱可塑性樹脂が配合されたものを用いてもよい。熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂と硬化剤の合計)100質量部に対して配合する熱可塑性樹脂の範囲は、好ましくは2〜50質量部、より好ましくは10〜45質量部である。
また、図1に示すように、本発明の繊維強化プラスチック1は、屈曲部2と平面部3とを有するが、さらに少なくとも一端の面に平面部3から端部方向に向けたテーパー状の部分9を有することが好ましい。屈曲部2と直線部3の数については特に制限はなく、繊維強化プラスチックの厚さ方向の切断面が、例えば図2のようなL型、図3(a)のようなC型、図3(b)のようなZ型の形状を有していてもよい。
上述の繊維強化プラスチックのテーパー状の部分は、繊維強化プラスチックの厚さが原因で生ずる周長差によって生ずる。ここで、“テーパー状の部分”とは、繊維強化プラスチックの平面部における法線と、繊維強化プラスチックの端面における平面部から端部方向への方向がなす角度が、5度以上である部分を指す。繊維強化プラスチックがテーパー状の部分を有することによって、繊維強化プラスチック同士を接合する場合において、接合強度が向上することから好ましい。
また、本発明の繊維強化プラスチック1は、図2に示すように、前記繊維束4が屈曲部2中に沿って屈曲して配向された方向に沿った先に、隣接する別の不連続強化繊維束4’が存在し、繊維束4’の端部が前記屈曲部2中に含まれ、繊維束4’における屈曲部に含まれる部分は前記屈曲部に沿って屈曲して配向されている場合において、前記繊維束の屈曲部側の端部7と、これに隣接する前記別の繊維束の屈曲部側の端部7’との間を、前記2つの繊維束の前記した屈曲部における配向方向に沿って測定した距離のうち、最大値をdXとすると、前記dXは前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である。この時前記屈曲部中には、不連続強化繊維束の端部の一部が含まれている層があればよく、全ての不連続強化繊維束の端部が前記屈曲部中に含まれている必要はない。
なお、dXとしては、例えば図2においては、実線で描かれた前記繊維束4の端部と隣接する別の不連続強化繊維束4’の端部の間に位置する、屈曲部の点線部となる。当然、dXの場所としてはこの位置に限定されるものではない。
本発明において、屈曲部とは、以下に定義する屈曲角度が5度以上であり、かつ繊維強化プラスチックの屈曲部における内径の曲率半径が1〜100mmである箇所を指す。そして平面部とは、繊維強化プラスチックの屈曲部以外の平面状の部分を示す。ここで、屈曲角度とは、図2に示したように、屈曲した箇所を挟む両側の平面部の稜線を延長したときに交わる点でなす角度のうち、小さいほうの角度dθと定義される。ここでいう小さいほうの角度dθとは、屈曲した箇所を挟む両側の平面部が同一平面にある状態から屈曲部を形成する状況を仮定した場合に、屈曲部を形成する初期段階において小さい方の角度をなす部分の角度である。
また、本発明の繊維強化プラスチックにおいては、平面部の長さLsに制限はなく、繊維強化プラスチックにしわやボイドなどが目立たない、表面品位に優れるものであればよい。ここで平面部の長さLsとは、平面部の一方のみに屈曲部が隣接しているときには屈曲部の端と平面部における屈曲部と向かい合う端部との距離、平面部が屈曲部に挟まれているときには、屈曲部間の距離を示す。
ここで、“屈曲部の端”とは、屈曲部における外径部の接線と平面部での稜線がなす角度が、1度以下になる箇所を指し、“屈曲部間の距離”とは、屈曲部の端の間の距離を指す。
そして屈曲部の厚さtについても特に制限はないが、好ましくは1〜100mm、より好ましくは2〜50mm、さらに好ましくは3〜20mmである。
本発明の繊維強化プラスチック1は、強化繊維束が不連続であり、不連続強化繊維束間に固化した樹脂領域が存在するため(以降、これを開口と呼ぶ)、屈曲部での周長差等を原因とする強化繊維の突っ張り等によるしわの発生が抑制され、結果表面品位が向上する。また屈曲部には、少なくとも一部に不連続強化繊維束が含まれるため、強度の低下は小さく、優れた力学特性を両立することができる。
また、本発明の繊維強化プラスチックの層中に含まれる不連続強化繊維束の長さは、長すぎると屈曲部でのしわの発生など表面品位の低下を招き、短すぎると表面品位には優れるが力学特性が低下する。本発明の繊維強化プラスチックの層中に含まれる不連続強化繊維束の長さの範囲としては、前述の通り10〜100mmの範囲であるが、より好ましくは10〜50mm、さらに好ましくは10〜30mmである。
本発明の繊維強化プラスチックは、屈曲部中の不連続強化繊維束の端部と、繊維方向に沿って隣接した配向方向が同じ別の不連続強化繊維束の端部との距離を、不連続強化繊維束の配向方向に沿って測定した、距離の最大値dXが、前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である。
ここで“屈曲部における厚さ”とは、屈曲部を周の一部とする二重の円を仮定し、内側の円の径を内径として、外側の円の径を外径とすると、内径のある点における接線と、それに平行な接線を有する外径の点とがなす距離であり、“屈曲部における厚さの平均値”とは、上記長さを屈曲部にわたって取得した距離の平均である。
前述の通り、本発明の繊維強化プラスチックは、少なくとも屈曲部において開口を有することによって、屈曲部における周長差を原因とするしわの発生が抑制されている。
この時開口長さは、主に屈曲部の厚さtに起因する周長差、屈曲角度によって決定される。この時、屈曲部の厚さtが大きく、繊維強化プラスチックの屈曲角度が大きいほど、屈曲部における開口は大きくなる方向となる。屈曲部の厚さtに対して開口が小さすぎると、繊維強化プラスチックの屈曲部にしわが生じやすくなり、一方、開口が大きすぎると、開口そのものが目立つようになり表面品位が低下する、または繊維強化プラスチックの力学特性が低下することがある。そのため、開口距離の最大値dXが、前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下であることによって、屈曲部のしわの低減と、繊維強化プラスチックの力学特性を両立させ、かつ、表面品位に優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。dXの範囲としては、好ましくは、屈曲部における厚さの平均値tの0.04倍以上1.5倍以下、より好ましくは、0.05倍以上1.2倍以下、さらに好ましくは、0.05倍以上1倍以下である。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。
本発明の繊維強化プラスチックは、屈曲角度を30度以上であることが好ましい。一般に幾何的に考えると、屈曲角度が小さい場合、屈曲部における周長差が小さくなるため、しわの発生が抑制される。一方で、屈曲角度が大きくなると、屈曲部の周長差が大きくなり、しわが発生する可能性が高くなる。本発明は、周長差が大きく、しわが発生する可能性が高い形状を有する場合においても、不連続繊維束の端部間が屈曲部に存在することによって、繊維強化プラスチックのしわを少なくできることから、周長差が大きい、すなわち屈曲角度が大きい形状に適用するほど、その効果は大きくなるものである。
本発明の繊維強化プラスチックに含まれる固化した樹脂は、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもよいが、望ましくは固化した樹脂が熱硬化性樹脂であることによって、表面品位と力学特性を両立したまま、力学特性のばらつきの少ない繊維強化プラスチックとなる。一方、熱可塑性樹脂によって構成される繊維強化プラスチックでは、繊維強化プラスチックとしての表面品位が低下する、または力学特性のばらつきが大きくなる場合がある。
前述の通り、本発明の繊維強化プラスチックの層中に含まれる不連続強化繊維束は端部を有する。不連続強化繊維束の端部はどのような形状をなしてもよいが、端部が実質的に同一長さdLの直線を形成することによって、開口後の繊維強化プラスチックの良好な表面品位と、力学特性を両立することができる。
ここで、“実質的に同一長さdLの直線”とは、不連続強化繊維束の端部がそれぞれ直線をなし、かつある層におけるdLの平均値より50%以上長いまたは短い不連続強化繊維束の端部の割合が、その層中に占める割合の5%以下であることを指す。
またdLの長さについては、短すぎると開口部の面積が小さくなりすぎてしまいしわの発生など表面品位の低下を招き、長すぎると開口部が目立つようになり表面品位の低下と力学特性の低下を招く場合がある。dLの長さとしては、好ましくは0.2〜10mm、より好ましくは0.3〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmの範囲である。
本発明におけるさらに好ましい形態として、図4に示したように、本発明の繊維強化プラスチックにおける層中の不連続強化繊維束において、不連続強化繊維束の端部が実質的に同一長さdLの直線をなし、さらに不連続強化繊維束の端部を、不連続強化繊維束の配向方向に対して直角な平面に投影した長さをWsとすると、Ws/dLの値が0.03以上0.75以下であることが好ましい。Ws/dLは、本発明の不連続強化繊維束の端部がなす直線と、不連続強化繊維束の配向方向とのなす角度によって決定される値であり、これが小さすぎると不連続強化繊維束の端部間での開口領域が小さくしわの発生など表面品位の低下を招く場合があり、または大きすぎると開口部が目立つ方向となり表面品位が低下する場合がある。好ましくは、Ws/dLの値が0.05以上0.6以下であり、さらに好ましくは、0.1以上0.5以下である。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。
本発明におけるさらに好ましい形態として、本発明の繊維強化プラスチックにおける層中の不連続強化繊維束において、不連続強化繊維束の端部が実質的に同一長さdLの直線をなし、さらに本発明の繊維強化プラスチックにおける層中の不連続強化繊維束の配向方向に対して、不連続強化繊維束の端部がなす直線がとる角度のうち小さいほうの角度が、同一の絶対値θであることが好ましい。ここで、“同一の絶対値θ”とは、全ての不連続強化繊維束の端部がなす角度が、全ての端部における角度θの絶対値から求めた平均値の±1°以内であることをいう。
このとき層中の不連続強化繊維束の配向方向に対して、不連続強化繊維束の端部がなす直線がとる角度は、絶対値が同一であればよく、例えば図5(a)に示したように、同一の正の角度10のみで構成されても、図5(b)に示したように絶対値が同一な正負の角度をなす直線11,12を略同数有していてもよい。このような直線を有することによって、力学特性を低下させることなく、かつ屈曲部における開口がより目立たなくなるため、高い表面品位と力学特性の両立が可能となる。
前述の通り、本発明の繊維強化プラスチックは、屈曲部と平面部を有し、表面品位と力学特性が両立した繊維強化プラスチックである。本発明の繊維強化プラスチックは、屈曲部の面外強度σ1を測定したときに、この値を連続した強化繊維を有する以外は同じ構成を有する繊維強化プラスチックの屈曲部の面外強度σ2で除した値σ1/σ2が、0.7以上であることが好ましい。
このような繊維強化プラスチックを実現するための構成としては、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である不連続強化繊維束を含む層を複数有し、屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、前記層中の不連続強化繊維束の長さは、実質的に同一長さLであり、かつ不連続強化繊維の端部長さが、0.2〜10mmの範囲であり、繊維強化プラスチックの屈曲部中の不連続強化繊維束の端部と、繊維方向に沿って隣接した配向方向が同じ別の不連続強化繊維束の端部との距離を、不連続強化繊維束の配向方向に沿って測定した、距離の最大値dXが、前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下とすることが挙げられる。
なお、前記不連続強化繊維束の端部の長さは、上記範囲内であれば実質的に同じであっても異なっていてもよい。
そして前記不連続強化繊維束の端部がなす直線と、不連続強化繊維束の配向方向とのなす角度の範囲については、特に制限はなく、それぞれの不連続強化繊維束がなす角度が同一であっても異なっていてもよく、また、同一の絶対値θであってもよい。
本発明では、面外強度とは層間引張強度評価試験によって得られた値とし、層間引張強度評価試験の方法、ASTM6415−06(2006)を適用する。すなわち、屈曲部と平面部を有する繊維強化プラスチック試験片を、図6に示したような、繊維強化プラスチックの上面に2つの荷重点13、下面に2つの支点14にて支え、圧縮荷重15を与える4点曲げ試験によって試験片に圧縮の荷重を与えることで、屈曲部の面外方向に引張の荷重を与え、その破壊荷重より面外強度を求める方法である。
この時面外強度σ1は、繊維強化プラスチックが破壊されたときの荷重Pmaxを用いて、式1にて求められる。
Figure 2019031478
そしてσ1を、連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチックの屈曲部の面外強度σ2にて除した値σ1/σ2は0.7以上となる。ここで、“連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチック”とは、一方向に配向した連続強化繊維束と固化した樹脂のみを含む層を複数有している以外は、面外強度の測定に用いた繊維強化プラスチックと全く同じ構成のものをいう。なお、屈曲部を複数有する場合は、試料切断などにより、測定可能な屈曲部全てを対象として面外強度を測定し、その中の最も弱い点における面外強度をσ1とし、連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチックにおける、同一の箇所の面外強度をσ2とする。ここで、“連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチック”とは、上記の通りである。
本発明の繊維強化プラスチックにおいて、σ1/σ2が0.7以上の値を有することが可能となる理由については、詳細は不明であるが、以下の理由が考えられる。
一般にASTM6415−06(2006)に代表されるような面外強度の測定方法において、強化繊維が不連続である場合、屈曲部に存在する不連続繊維は、不連続繊維の先端部が応力集中源として作用すると考えられる。しかし、一般に面外強度の測定においては、繊維端部の影響は、強化繊維の配向が一方向である場合、その影響はわずかであるものと推定される。また、本発明の繊維強化プラスチックの層間に固化した樹脂層を有する場合は、層間の影響が大きくなり、強化繊維の影響はさらに小さくなると考えられる。
また、本発明の繊維強化プラスチックの面外強度測定においては、必ずしも定められた試験片の寸法に従う必要はない。具体的には、屈曲部の厚さt・屈曲部の内径の曲率半径R、平面部の長さ、繊維強化プラスチックの層間における不連続強化繊維束がなす角度などが挙げられる。また本発明の繊維強化プラスチックにおいては、前述の値が本明細書中に記載された好ましい範囲であれば、σ1/σ2の関係を満たすことができる。また、4点曲げ試験を実施する場合、試験片への荷重点は繊維強化プラスチックの大きさに応じて決定され、屈曲部の曲率半径が8mm以下の場合、図6に示した荷重点13と、同じ平面部における支点14との距離dsは20mm、屈曲部の頂点16と荷重点13との距離Lxは15mmである。屈曲部の曲率半径が8mmより大きい場合、図6に示した荷重点13と、同じ平面部における支点14との距離dsは20mm、屈曲部の頂点16と荷重点13との距離Lxは屈曲部の曲率半径の1.5倍である。
本発明の繊維強化プラスチックは、以下のR1/R2が1.5以下となることが好ましい。
R1/R2:屈曲部に繰り返し荷重を負荷し、繰り返し荷重の最大値から求めた面外応力を、屈曲部の面外強度σ1の値を1とした時の相対値rで表し、縦軸をr、横軸を繊維強化プラスチックが破壊された時の繰り返し数の常用対数としたグラフを作成し、前記rが0.6以上の範囲で近似曲線の傾きR1を求め、続いて連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチックにおける近似曲線の傾きR2をR1と同様にして求め、R1をR2で除して得られる値をR1/R2とする。
このような繊維強化プラスチックを実現するための構成としては、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である不連続強化繊維束を含む層を複数有し、屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、前記層中の不連続強化繊維束の長さは、実質的に同一長さLであり、かつ不連続強化繊維束の端部長さが、0.2〜10mmの範囲であり、繊維強化プラスチックの屈曲部中の不連続強化繊維束の端部と、繊維方向に沿って隣接した配向方向が同じ別の不連続強化繊維束の端部との距離を、不連続強化繊維束の配向方向に沿って測定した、距離の最大値dXが、前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下とすることが挙げられる。
本発明においては、R1/R2を求めるための繰り返し荷重を負荷する方法として、ASTM6415−06(2006)に記載の荷重の負荷方法を適用する。すなわち、屈曲部と平面部を有する繊維強化プラスチック試験片を、図6に示した、繊維強化プラスチックの上面に2つの荷重点13、下面に2つの支点14にて支え、圧縮荷重15を与える4点曲げ試験によって試験片に圧縮の荷重を与えることで、屈曲部の面外方向に引張の荷重を与える方法である。
この時屈曲部間の圧縮荷重を、繊維強化プラスチックが破壊しない程度の繰り返しの圧縮荷重とすることで、面外方向の疲労試験を実施することができる。この時、面外応力σは、繰り返しの圧縮荷重の最大値Pを用いて、以下の式2より算出することができる。
Figure 2019031478
そしてR1を、連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチックにおける近似曲線の傾きR2にて除した値R1/R2は、上記の通り1.5以下となることが好ましい。なお、屈曲部を複数有する場合は、試料切断などにより、測定可能な屈曲部全てを対象として面外強度を測定し、その中の最も弱い点における近似曲線の傾きをR1とし、連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチックにおける、同一の箇所の近似曲線の傾きをR2とする。ここで、“連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチック”とは、上記の通りである。
R1を算出するための近似曲線を求める方法としては、グラフ中にプロットされた点を元に、その誤差が最小二乗法にて最小になるように線形近似した直線の傾きによって求めることができる。なお、この傾きが大きいほど、応力比が低下しても繰り返し数の増加が少ない、すなわち応力比の低下に対して破壊されやすい試験片であるということができる。
本発明の繊維強化プラスチックにおいて、R1/R2が1.5以下の値を有することが可能となる理由については、詳細は不明であるが、以下の理由が考えられる。
一般にASTM6415−06(2006)に代表されるような面外応力の測定方法において、強化繊維が不連続である場合、屈曲部に存在する不連続繊維は、不連続繊維の先端部が応力集中源として作用すると考えられる。しかし、一般に面外応力の測定においては、繊維端部の影響は、強化繊維の配向が一方向である場合、その影響はわずかであるものと推定される。また、本発明の繊維強化プラスチックの層間に固化した樹脂層を有する場合は、層間の影響が大きく、強化繊維の影響はさらに小さくなると考えられる。
また、本発明の繊維強化プラスチックの面外応力測定においては、必ずしも定められた試験片の寸法に従う必要はない。具体的には、屈曲部の厚さt・曲率半径R、平面部の長さLs、平面部の長さ、繊維強化プラスチックの層間における不連続強化繊維束がなす角度などが挙げられる。また本発明の繊維強化プラスチックにおいては、前述の値が本明細書中に記載された好ましい範囲であれば、R1/R2の関係を満たすことができる。また、4点曲げ試験を実施する場合、試験片への荷重点は繊維強化プラスチックの大きさに応じて決定され、屈曲部の曲率半径が8mm以下の場合、図6に示した荷重点13と、同じ平面部における支点14との距離dsは20mm、屈曲部の頂点16と荷重点13との距離Lxは15mmである。屈曲部の曲率半径が8mmより大きい場合、図6に示した荷重点13と、同じ平面部における支点14との距離dsは20mm、屈曲部の頂点16と荷重点13との距離Lxは屈曲部の曲率半径の1.5倍である。
本発明の繊維強化プラスチックの製造方法としては、一方向に配向した不連続強化繊維束と前駆樹脂とを含むプリプレグ(以下、“一方向に配向した不連続強化繊維束と前駆樹脂とを含むプリプレグ”を不連続強化繊維プリプレグという場合がある)を、曲率を有する型17の表面に沿って曲げ賦形する工程、及び前記不連続強化繊維プリプレグを同じ型を用いて加熱・加圧する工程を含む。
ここで、“前駆樹脂”とは、樹脂が熱硬化性樹脂の場合、加熱・加圧などによる熱硬化性樹脂の架橋反応が少なく、樹脂の硬化が進んでいない状態を指し、樹脂が熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂を加熱・加圧して冷却する工程の前の状態を指す。
また不連続強化繊維プリプレグは、不連続強化繊維が一方向に配向しているので、不連続強化繊維の配向方向をそれぞれ任意の方向にして各不連続強化繊維プリプレグを重ねる(積層する)ことによって、任意の力学特性を有する成形体の設計が可能となる。
不連続強化繊維プリプレグを得るための工程としては、例えばまず一方向に引き揃えられた強化繊維、つまり一方向に配向した連続強化繊維と前駆樹脂とを含むプリプレグ(以下、“一方向に配向した続強化繊維束と前駆樹脂とを含むプリプレグ”を連続強化繊維プリプレグと記すこともある)を作製し、その後カッターを用いての手作業や裁断機により切込を入れる方法、あるいは一方向に配向した連続強化繊維プリプレグの製造工程において所定の位置に刃を配置した回転刃ローラーを連続的に押し当てたり、連続強化繊維プリプレグを多層に重ねて所定の位置に刃を配置した型で押し切りしたり、レーザーの照射によって繊維を切断する等の方法や、予め一方向に配向した不連続強化繊維に前駆樹脂を含浸させたりする等の方法がある。簡易に連続強化繊維プリプレグに切込を入れるには手作業や裁断機を用いる方法が、生産効率を考慮し大量に作製する場合には押し切りを用いる方法が、連続強化繊維プリプレグ中の特定の場所を選定し切込を入れる場合にはレーザーを用いる方法が、予め形状を決めて作製する場合には不連続強化繊維に前駆樹脂を含浸させる方法が適している。当然、これらは前述の作製方法に限定されるものではない。なお、本明細書において、連続強化繊維束か不連続強化繊維束かを問わない強化繊維束と前駆樹脂とを含むプリプレグを、単に、プリプレグと記すものとする。すなわち、不連続強化繊維プリプレグと連続強化繊維プリプレグとを総称する場合に、プリプレグと記すものである。
回転刃ローラーを用いる場合には、直接ローラーを削りだして所定の刃を設けてもよいが、マグネットローラーなどに平板を削りだして所定の位置に刃を配置したシート状の型を巻きつけることにより、刃の取りかえが容易で好ましい。このような回転刃ローラーを用いることで、小さな(具体的には切込長さが1mm以下である)切込でも良好に切込を挿入することができる。また、連続強化繊維プリプレグに切込を入れ不連続強化繊維プリプレグとした後、さらに、その不連続強化繊維プリプレグをローラー等で加圧することで、切込部に前駆樹脂を充填、融着させることにより、取り扱い性を向上させてもよい。
図7(a)は、プリプレグ18を型に押し当てて配置し、型の屈曲部の山19に沿って曲げ賦形することで、屈曲部と平面部を有するプリプレグ積層体へと曲げ賦形する工程の概念図を示している。ここでいうプリプレグとは、積層プリプレグであってもよいし、1層のみのプリプレグであってもよい。1層のみのプリプレグである場合には、型に押し当てて曲げ賦形をする操作を繰り返すことでプリプレグ積層体を得ることができる。なお、本明細書において、“積層プリプレグ”とは、曲げ賦形する前のプリプレグを積層したものを指し、 “プリプレグ積層体”とは、曲げ賦形された積層されたプリプレグを指す。積層プリプレグを形成する工程については後述する。
プリプレグ18を型に押し当てて配置し、型の屈曲部に沿わせる向きは必ずしも屈曲部の山に沿って曲げ賦形する必要はなく、例えば図7(b)に示すような型を用いて、屈曲部の谷20に沿わせ、内側の面へ曲げ賦形してもよい。
また、曲げ賦形する方法は、密封空間で減圧吸引を行うことで型に押し付けてもよいし、プリプレグを型に押し付けるための押さえを用いて賦形してもよい。あるいは、手作業で賦形してもよい。
曲げ賦形に用いる型は、図7のように、屈曲部と平面部とを含みさえすれば、ほかの面を含んでいてもよく、特に限定されない。つまり賦形に用いる型は、図8(a)のように2箇所の屈曲部を有してもよく、図8(b)のように2箇所の屈曲部がそれぞれ山と谷の形状をなしていてもよい。なお、これらの曲げ賦形に用いる型の形状は例を示したものであって、これらに限定されるものではない。
通常、プリプレグの曲げ賦形を行う際、内周側と外周側とでの周長差が生じる。1層毎のプリプレグを見た場合には、プリプレグ内の厚み方向における内側の強化繊維と外側の強化繊維との繊維間を、積層プリプレグを見た場合には、積層プリプレグ内の厚み方向における内側のプリプレグと外側のプリプレグとの層間を、滑らせながら屈曲部に合わせて厚み方向において異なる移動量の変形をする必要がある。かかる状況において、連続繊維強化プリプレグは繊維方向には伸長できないため、厚み方向において異なる移動量の変形をすることができず、形状に追従しきれない場合があるが、不連続強化繊維プリプレグは切込の両側の不連続強化繊維の端部の間の距離が開くことにより、繊維方向に伸張することにより厚み方向において異なる移動量の変形をすることが可能なため、連続強化繊維プリプレグと比べて形状追従性が向上している。したがって、プリプレグ積層体を賦形するプリプレグとして、不連続強化繊維プリプレグを用いることで、繊維方向への伸張を許容し屈曲部の厚み方向における内側と外側で異なる移動量の変形をすることが可能となることで、曲げ賦形時の屈曲部への形状追従性が向上する。プリプレグ積層体を構成する複数のプリプレグは、不連続強化繊維プリプレグを含みさえすれば特に限定されず、プリプレグ積層体を構成する複数のプリプレグのうち、全てが不連続強化繊維束と前駆樹脂とを含むプリプレグであってもよいし、繊維方向への伸張が必要なプリプレグのみ不連続強化繊維プリプレグであってもよい。また、プリプレグ積層体の積層構成については、上記の要件を満たしさえすれば特に制限はなく、どのような構成であってもよい。
プリプレグ積層体を作製した後の固化させる工程では、賦形された形状を保ったまま固化させるために、曲げ賦形する工程で用いた型と同一の型を用いて固化することが好ましい。同一の型を用いることによって、積層体を型から外すことによる積層体の形状戻り(スプリングバック)などの形状変化を防ぐことができ、表面品位と力学特性の両立が可能となる。固化方法は、前駆樹脂が熱硬化樹脂の場合は、ボイド等の欠陥を抑制するために、オートクレーブを用いて硬化することが好ましいが、真空圧を併用すると共に加熱温度をコントロールしながら固化させる方法でもよい。
さらに本発明の繊維強化プラスチックの製造方法として、任意の層において用いられる不連続強化繊維プリプレグを作製するために連続強化繊維プリプレグの全面に切込を入れる工程を有することがより好ましい。これにより、前記積層プリプレグ中に含まれる不連続強化繊維束を含む層が、切込をプリプレグの全面に有する層となるためである。すなわち、図7中のプリプレグ18のような、不連続繊維強化束を全面に有するプリプレグを得られることからより好ましい。不連続強化繊維束をプリプレグの全面に有することによって、例えば図8に示したような、屈曲部を複数有する型においても、不連続繊維強化束を有することによってプリプレグが、型へ形状追従することが容易になるため、シワの少ない、表面品位に優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。
さらに本発明の繊維強化プラスチックの製造方法として、全ての層において用いられる不連続強化繊維プリプレグを作製するために連続強化繊維プリプレグの全面に切込を入れる工程を有することがより好ましい。これにより、前記積層プリプレグ中に含まれる全てのプリプレグの層が、切込をプリプレグの全面に有するプリプレグの層となり、本発明の繊維強化プラスチックの作製がより容易となるためである。すなわち、図7中のプリプレグ18のような、全ての層が不連続繊維強化を全面に有するプリプレグを得られることからより好ましい。全ての層において不連続強化繊維束をプリプレグの全面に有することによって、例えば図8に示したような、屈曲部を複数有する型においても、不連続繊維強化束を有することによってプリプレグの形状追従がより容易になるため、シワの少ない、表面品位に優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。また、連続強化繊維を有する層を別途用意し挿入する手間が省けるため、本発明の繊維強化プラスチックの作製に要する時間が短くなる意味でも好ましい。
さらに本発明の繊維強化プラスチックの製造方法として、前記曲げ賦形する工程において、前記プリプレグを加熱する操作を含むことがより好ましい。前述した通り、前記プリプレグは不連続繊維強化束及び前駆樹脂を含む。前記プリプレグを曲げ賦形するときに、前記プリプレグを加熱することによって、前駆樹脂の粘度が低下するため、曲げ賦形を実施することが容易となり、その結果、曲げ賦形された後に固化した繊維強化プラスチックの表面品位が優れたものとなる。プリプレグの加熱温度については、プリプレグに含まれる前駆樹脂の粘度を下げて曲げ賦形が容易となる温度であればよく、プリプレグに含まれる前駆樹脂の種類に応じて適宜選択される。また、曲げ賦形時にプリプレグを加熱する操作の時期については、加熱によってプリプレグに含まれる前駆樹脂の粘度を下げて曲げ賦形が容易となればよいため、特に制限されるものではなく、例えば予めプリプレグを加熱してから曲げ賦形を実施する・プリプレグを加熱しながら曲げ賦形を実施する、などの方法が考えられる。プリプレグを加熱する方法としては、熱源を有するチャンバー内やヒーター近傍でプリプレグを加熱する、などの方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに本発明の繊維強化プラスチックの製造方法として、前述の曲げ賦形する工程の前に、プリプレグを複数枚積層して積層プリプレグを形成する工程を有することがより好ましい。すなわち、図7中のプリプレグ18は、積層されたプリプレグであることがより好ましい。ここでプリプレグを複数枚積層する工程とは、一方向に配向した不連続強化繊維束と前駆樹脂とを含むプリプレグを含むプリプレグを、複数枚積層して積層プリプレグを得る工程をいう。積層プリプレグを構成するプリプレグは、不連続強化繊維プリプレグを含みさえすれば特に限定されず、不連続強化繊維プリプレグのみから構成された態様であっても、一部に不連続強化繊維プリプレグを含む態様であっても特に限定されない。積層プリプレグは、成形対象とする繊維強化プラスチックの目標厚みに対応して部分的に積層枚数が異なるものであってもよい。なお、表面品位と力学特性を一定に保つ、及び生産しやすく、汎用性が高いという意味では、プリプレグ全面が不連続強化繊維プリプレグである方が好ましい。
プリプレグの積層の際には、プリプレグの層中に含まれる不連続強化繊維の向きと、これに積層する別のプリプレグの層中に含まれる不連続強化繊維の向きが異なっていてもよい。また、予め複数枚積層した部分積層プリプレグを複数用意し、部分積層プリプレグ同士を重ね合わせて積層プリプレグとしてもよく、また、部分積層プリプレグを曲げ賦形して部分プリプレグ積層体とした後、それらを重ね合わせてプリプレグ積層体としてもよい。
また、積層する工程では、プリプレグを何枚積層してもよいが、プリプレグを多層積層しすぎると、前記曲げ賦形する工程において、プリプレグの取り扱い性が低下することがある。このような場合、プリプレグの積層枚数は適宜選択される。
また、プリプレグの積層方法としては、自動装置を用いてプリプレグ同士を重ね合わせてもよいし、手作業で重ね合わせてもよい。また、重ね合わせたプリプレグを、密封空間で減圧吸引を行うことでプリプレグ同士の粘着力を高めてもよい。
本発明の繊維強化プラスチックの用途としては、強度、剛性、軽量性が要求される、自転車用品、ゴルフ等のスポーツ部材のシャフトやヘッド、ドアやシートフレームなどの自動車部材、ロボットアームなどの機械部品、航空機部材がある。中でも、強度、軽量に加え、部材形状が複雑で、本材料のように形状追従性が要求されるシートパネルやシートフレーム等の自動車部品や主翼のストリンガーなどの航空機部材に好ましく適用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に記載の発明に限定されるものではない。
<不連続強化繊維プリプレグの作製>
プリプレグシートに、所定の位置に刃が配置された回転刃ローラーを押し当て、プリプレグを貫通する切込をプリプレグの全面に挿入することにより、プリプレグ中の強化繊維を切断し、不連続強化繊維束の長さLが一定値25mmである不連続強化繊維プリプレグを得た。また、比較例5では、プリプレグを屈曲させる特定の箇所にカッターを用いて手作業で複数の切込を挿入した。
<積層方法>
不連続強化繊維プリプレグを、150mm×200mmの寸法に切断し、これを複数枚積層して積層プリプレグを得た。
<曲げ賦形方法>
積層プリプレグをコーナー部(コーナー部半径:7.5mm、屈曲角度:90度)を有する型に、コーナー部にて屈曲させるようにアイロンにて加熱しながら型に沿わせて賦形し、屈曲部と平面部を有するプリプレグ積層体を得た。部分積層プリプレグの上にさらに部分積層プリプレグを賦形する場合も同様にして賦形を行い、屈曲部と平面部を有するプリプレグ積層体を得た。
<固化方法>
得られたプリプレグ積層体を、曲げ賦形に用いた型と同一の型を用いて、型ごと真空引きを行った後オートクレーブにて硬化せしめ、所定の形状の繊維強化プラスチックを得た。
<不連続強化繊維プリプレグの作製評価方法>
不連続強化繊維プリプレグの作製について、以下の2段階で評価した。
なお、表1〜3中のみに限り、“不連続強化繊維プリプレグの作製”を“プリプレグ作製”と略記している。
A:不連続強化繊維プリプレグの作製に人の手がほとんどかからず、時間を要せず連続的に作製することができたもの。
C:不連続強化繊維プリプレグの作製に人の手がかかり、時間を要し連続的な作製が難しかったもの。
<表面品位の評価方法>
作製した繊維強化プラスチックを観察し、以下の3段階で評価した。
A:繊維強化プラスチックの内径側に発生したしわが少なく、かつ、開口が目立たないもの。
B:繊維強化プラスチックの内径側に発生したしわが少ないが、開口を認識しやすい、または不連続強化繊維を認識しやすいもの。
C:繊維強化プラスチックの内径側に、目立ったしわが観察されたもの。
<取り扱い性の評価方法>
積層プリプレグを加熱し、曲げ賦形の型に賦形させる時の取り扱い性を、以下の3段階で評価した。
A:積層プリプレグを曲げ賦形の型に沿わせる時に特段の問題点がなかったもの。
B:積層プリプレグを曲げ賦形の型に沿わせる時に取り扱いに若干の難があったものの、型に沿わせるのに要する時間への影響が小さかったもの。
C:積層プリプレグを曲げ賦形の型に沿わせる時に取り扱いに若干の難があり、時間を要したもの。
<面外強度評価方法>
作製した繊維強化プラスチックを、屈曲部を有するように幅25mmに切断し、図6に示した屈曲部の頂点16から荷重点13までの距離Lxを15mm、荷重点13から支点14までの距離dsを20mmとして4点曲げ評価用ジグに設置し、変位速度2mm/分にて4点曲げ試験を実施し、破壊荷重を測定後、式1を用いて面外強度を計算した。なお、4点曲げ評価用の試験片の幅とは、図6においては奥行き方向であり、図示されてはいない。(面外疲労特性評価方法においても、同様である)
<面外疲労特性評価方法>
作製した繊維強化プラスチックを、屈曲部を有するように幅25mmに切断し、図6に示した屈曲部の頂点16から荷重点13までの距離Lxを15mm、荷重点13から支点14までの距離dsを20mmとして4点曲げ評価用ジグに設置し、応力比0.1、周波数3Hzにて繰り返し荷重を負荷することによって4点曲げ試験を実施し、応力比rが0.6以上の任意の応力(応力は式2を用いて算出)にて試験片が壊れるまで試験を実施した。得られた結果を用いて、前述のR1/R2を求める方法にて面外疲労特性を評価した。
(実施例1)
強化繊維が炭素繊維、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であるプリプレグ“トレカ”(商標登録)プリプレグシートP2352W−19(強化繊維:T800S、マトリックス樹脂:3900−2B、強化繊維の体積含有率:56%、片面離型紙を積層)を用いて、dLは1mm、Ws/dLは0.24、すなわち切込は14°の、同一の正負の角度をなす切込を略半数ずつ挿入した。
前記プリプレグを3枚と切込を挿入しなかった同一品種のプリプレグを1枚とをそれぞれ4組用意して、強化繊維束の向きが同じになるように、切込プリプレグを3枚積層した後、切込を挿入しなかったプリプレグをその上に積層して部分積層プリプレグを4組用意した。加熱した積層プリプレグを型に沿わせて曲げ賦形し、部分プリプレグ積層体とした後、この部分プリプレグ積層体の上に残りの部分積層プリプレグを順次積層して、切込を含めた積層構成が表1に示す対称積層になり、かつ、型の平面部の稜線と不連続強化繊維の向きが一致する、屈曲部と平面部を有するプリプレグ積層体を得た。
得られた積層体を、オートクレーブにて180℃、2時間で硬化せしめ、繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例1に対して明らかに少なかった。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.6倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例1を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.93であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.24であった。
(実施例2)
強化繊維が炭素繊維、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であるプリプレグ“トレカ”(商標登録)プリプレグシートP3052S−15(強化繊維:T700S、マトリックス樹脂:2500、強化繊維の体積含有率:56%、片面離型紙を積層)を用いて、dLは1mm、Ws/dLは0.24、すなわち切込は14°の、同一の正負の角度をなす切込を略半数ずつ挿入した。前記プリプレグを3枚と切込を挿入しなかった同一品種のプリプレグを1枚とをそれぞれ8組用意した。これらを用いて、強化繊維束の向きが同じになるように、切込プリプレグを3枚積層した後、切込を挿入しなかったプリプレグをその上に積層して部分積層プリプレグを8組用意したことと、オートクレーブでの硬化条件を130℃、90分としたこと以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは4.6mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例2に対して明らかに少なかった。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.5倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例2を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.72であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は0.98であった。
(実施例3)
切込を挿入したプリプレグのみを不連続強化繊維束の向きが同じになるように4枚積層した部分積層プリプレグを4組用意し、これらを用いた4組の部分プリプレグ積層体とした以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例1に対して明らかに少なかった。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.7倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例1を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.98であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.15であった。
(実施例4)
切込を挿入したプリプレグのみを不連続強化繊維束の向きが同じになるように4枚積層した部分積層プリプレグを8組用意し、これらを用いた8組の部分プリプレグ積層体とした以外は、実施例2と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは4.6mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例2に対して明らかに少なかった。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.4倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例2を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.78であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は0.91であった。
(実施例5)
不連続強化繊維束の向きが同じになるように16枚積層した積層プリプレグを1つ用意した以外は、実施例3と同様にして所定の形状の繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例1に対して明らかに少なくなっていたが、曲げ賦形の工程にて積層したプリプレグが厚いため、取り扱い性が若干低下した。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.18倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例31を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.92であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.3であった。
(実施例6)
不連続強化繊維束の向きが45°ずつ異なるように4枚積層した(積層構成は[45°/0°/−45°/90°]となる)積層プリプレグを4つ用意し、積層プリプレグを曲げ賦形した後、その上から積層プリプレグを賦形することによって積層構成が[45°/0°/−45°/90°]2sとなる屈曲部と平面部を有するプリプレグ積層体を得た以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例1に対して明らかに少なくなっていた。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.6倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例3を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.90であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.2であった。
(実施例7)
マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂である共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM4000)を用いたこと、溶接によって積層プリプレグを得たこと、200℃の環境下にて型に曲げ賦形した後その上に積層プリプレグを積層したプリプレグ積層体を成形した以外は、実施例3と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3.2mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例3に対して明らかに少なかったが、積層プリプレグ同士の粘着性が悪く、取り扱い性に劣った。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.7倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例4を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.75であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.3であった。
(実施例8)
dLが1mmとなる切込と、dLが5mmとなる切込を略半数ずつ、同一の角度をなす切込とした以外は、実施例3と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例1に対して明らかに少なかったが、繊維強化プラスチックの切込部のdLが5mmとなる切込を中心とする開口が目立ち、表面品位は実施例3よりやや劣っていた。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.8倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例1を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.9であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.25であった。
(実施例9)
Ws/dLを0.87、すなわち不連続強化繊維束と繊維の配向方向とがなす角度を60°とした以外は、実施例3と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例1に対して明らかに少なかったが、繊維強化プラスチックの切込部の開口が目立ち、表面品位は実施例3よりやや劣っていた。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.75倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例1を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.95であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.15であった。
(実施例10)
切込として、全て14°の同一の正の角度をなす切込を挿入した以外は、実施例3と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例1に対して明らかに少なかったが、繊維強化プラスチックの切込部の開口が実施例3に比べると目立ち、表面品位はやや劣っていた。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.7倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例1を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.9であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.25であった。
(実施例11)
プリプレグの屈曲部となる箇所を特定し、当該箇所のみに、長さ1mm、14°の同一の正負の角度をなす切込を、カッターを用いて手作業にて、切込同士が重ならず、かつ接しないようにしながら任意に複数箇所設けた以外は、実施例3と同様にして繊維強化プラスチックを得た。プリプレグに切込を挿入する際、場所の特定に時間を要したため、不連続繊維強化プリプレグの作製に時間を要し連続的な作製が難しく、結果繊維強化プラスチックの作製に時間を要し作業性が悪かった。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは2.9mmであった。
積層プリプレグの曲げ賦形時にプリプレグの抵抗は小さく、曲げ賦形に要した時間は実施例3とほぼ同等であった。成形した繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが比較例1に対して明らかに少なかった。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.1倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例3を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.88であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.24であった。
(実施例12)
切込を挿入したプリプレグを不連続強化繊維束の向きが同じになるように1枚ずつ積層した積層プリプレグを16枚用意した以外は、実施例3と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは2.9mmであった。
得られた繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが後述の比較例1に対して明らかに少なかった。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.07倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、後述の比較例1を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.92であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.18であった。
(比較例1)
プリプレグに切込を挿入しないこと以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
積層プリプレグの曲げ賦形時にプリプレグの抵抗が大きく、曲げ賦形に時間を要した。コーナー部の内側にシワが発生しており、繊維のよれた跡が実施例1と比較して明らかに多かった。
(比較例2)
プリプレグに切込を挿入しないこと以外は、実施例4と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは4.7mmであった。
積層プリプレグの曲げ賦形時にプリプレグの抵抗が大きく、曲げ賦形に時間を要した。コーナー部の内側にシワが発生しており、繊維のよれた跡が実施例4と比較して明らかに多かった。
(比較例3)
プリプレグに切込を挿入しないこと以外は、実施例6と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
積層プリプレグの曲げ賦形時にプリプレグの抵抗が非常に大きく、曲げ賦形に時間を要した。成形した繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にシワが多く発生しており、繊維のよれた跡が実施例6と比較して明らかに多かった。また、厚さ方向の観察を実施したところ、ボイドが多く観察された。
(比較例4)
プリプレグに切込を挿入しないこと以外は、実施例5と同様にして繊維強化プラスチックを得た。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは3mmであった。
積層プリプレグの曲げ賦形時にプリプレグの抵抗が非常に大きくプリプレグの十分な加熱が必要であった。また比較例1と比較しても曲げ賦形に時間を要した。成形した繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にシワが多く発生しており、繊維のよれた跡が実施例5と比較して明らかに多かった。また、厚さ方向の観察を実施したところ、ボイドが多く観察された。
(比較例5)
切込を設ける際に、プリプレグの屈曲部となる箇所を特定し、当該箇所に、長さ1mm、14°の同一の正負の角度をなす切込を、カッターを用いて手作業にて、切込同士が重ならず、かつ接しないようにしながら任意に複数箇所設けた以外は、実施例6と同様にして繊維強化プラスチックを得た。プリプレグに切込を挿入する際、場所の特定に時間を要したため、プリプレグの作製に時間を要し連続的な作製が難しく、結果繊維強化プラスチックの作製に時間を要し作業性が悪かった。また、切込箇所を特定してから切込を入れたため、45°層及び90°層ではプリプレグ中に含まれる強化繊維の長さが同一にならず、また切込を挿入した箇所もムラが生じた。得られた繊維強化プラスチックの屈曲部の厚さの平均値tは2.9mmであった。
積層プリプレグの曲げ賦形時にプリプレグの抵抗は小さく、曲げ賦形に要した時間は実施例3とほぼ同等であった。成形した繊維強化プラスチックは、コーナー部の内側にて発生するシワが比較例1に対して明らかに少なくなっていた。続いてdXの値を画像スキャンにより測定したところ、屈曲部の平均厚さtの0.1倍であった。また、本繊維強化プラスチックと、比較例3を用いてσ1/σ2を求めたところ、その値は0.86であった。同様にR1/R2の値を求めたところその値は1.26であった。
Figure 2019031478
Figure 2019031478
Figure 2019031478
表中において、“積層構成”とは曲げ賦形後に固化する工程を経て得られた繊維強化プラスチックの積層構成を、“積層プリプレグ”とは曲げ賦形する前の積層する工程にて積層された部分積層プリプレグまたは積層プリプレグの積層構成を略記したものである。また、これらの積層構成の表記において不連続強化繊維プリプレグと連続繊維強化プリプレグを併用した実施例1および2の積層構成については、それらを区別するため、不連続強化繊維プリプレグ(切込を挿入したプリプレグ)には添え字cを、連続強化繊維プリプレグ(切込を挿入しなかったプリプレグ)には添え字lを付した。(全てが、不連続強化繊維プリプレグであるか連続強化繊維プリプレグである、他の例については、添え字は付与していない)
1:繊維強化プラスチック
2:屈曲部
3:平面部
4,4’:不連続強化繊維束
5:固化したマトリックス樹脂
6:繊維強化プラスチックの層
7,7’:不連続強化繊維束の端部
8:不連続強化繊維束間の固化した樹脂領域(開口領域)
9:繊維強化プラスチックの端部(テーパー部)
10:不連続強化繊維束の端部がなす直線
11:不連続強化繊維束の端部がなす直線(正の角度)
12:不連続強化繊維束の端部がなす直線(負の角度)
13:面外特性評価試験における支点(型の上面)
14:面外特性評価試験における支点(型の下面)
15:面外特性評価試験における荷重の向き
16:繊維強化プラスチックの屈曲部の頂点
17:曲げ賦形する工程に用いられる型
18:プリプレグ
19:曲げ賦形する工程に用いられる型の屈曲部(山)
20:曲げ賦形する工程に用いられる型の屈曲部(谷)

Claims (15)

  1. 固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層を複数有し、
    屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、
    前記各層において、複数の不連続強化繊維束の長さは、実質的に同一長さLであり、
    前記屈曲部中には不連続強化繊維束の端部が含まれており、さらに、前記繊維束が屈曲部に沿って屈曲して配向された方向に沿った先に、隣接する別の不連続強化繊維束が存在し、
    前記別の繊維束は、その端部が前記屈曲部に含まれ、その屈曲部に含まれる部分は前記屈曲部に沿って屈曲して配向されている場合において、
    前記繊維束の屈曲部側の端部と、前記別の繊維束の屈曲部側の端部との間を、前記2つの繊維束の前記した屈曲部における配向方向に沿って測定した距離のうち、最大値をdXとすると、
    前記dXは前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である、繊維強化プラスチック。
  2. 固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の強化繊維束を含む層を複数有し、前記層は全て、固化したマトリックス樹脂中に配向方向が一方向である複数の不連続強化繊維束を含む層であり、
    屈曲部と平面部とを有する繊維強化プラスチックであって、
    前記各層において、複数の不連続強化繊維束の長さは、実質的に同一長さLであり、
    前記屈曲部中には不連続強化繊維束の端部が含まれており、さらに、前記繊維束が屈曲部に沿って屈曲して配向された方向に沿った先に、隣接する別の不連続強化繊維束が存在し、
    前記別の繊維束は、その端部が前記屈曲部に含まれ、その屈曲部に含まれる部分は前記屈曲部に沿って屈曲して配向されている場合において、
    前記繊維束の屈曲部側の端部と、前記別の繊維束の屈曲部側の端部との間を、前記2つの繊維束の前記した屈曲部における配向方向に沿って測定した距離のうち、最大値をdXとすると、
    前記dXは前記屈曲部における厚さの平均値tの0.03倍以上2倍以下である、繊維強化プラスチック。
  3. 前記屈曲部の屈曲角度が、30度以上である、請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック。
  4. 前記固化した樹脂が、熱硬化性樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  5. 前記層中の不連続強化繊維束において、不連続強化繊維束の端部が実質的に同一長さdLの直線をなす、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  6. 前記不連続強化繊維束の端部を、前記不連続強化繊維束の配向方向に対して直交する方向に投影した長さをWs(mm)とすると、Ws/dLの値が0.03以上0.75以下である、請求項5に記載の繊維強化プラスチック。
  7. 前記層中の不連続強化繊維束の配向方向に対して、不連続強化繊維束の端部がなす直線がとる角度のうち小さいほうの角度が、同一の絶対値θである、請求項5または6に記載の繊維強化プラスチック。
  8. 前記層中の不連続強化繊維束の配向方向に対して、不連続強化繊維束の端部がなす直線がとる角度のうち小さいほうの角度が、同一の絶対値θの正負の角度をなす、請求項5〜7のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  9. 前記屈曲部の面外強度σ1を、連続した強化繊維を有する以外は同じ構成を有する繊維強化プラスチックの屈曲部の面外強度σ2で除した値σ1/σ2が、0.7以上となる、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  10. 以下のR1/R2が、1.5以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
    R1/R2:前記屈曲部に繰り返し荷重を負荷し、繰り返し荷重の最大値から求めた面外応力を、前記屈曲部の面外強度σ1の値を1とした時の相対値rで表し、縦軸をr、横軸を繊維強化プラスチックが破壊された時の繰り返し数の常用対数としたグラフを作成し、前記rが0.6以上の範囲で近似曲線の傾きR1を求め、続いて連続した強化繊維を有する繊維強化プラスチックにおける近似曲線の傾きR2をR1と同様にして求め、R1をR2で除して得られる値をR1/R2とする。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化プラスチックの製造方法であって、
    強化繊維束と前駆樹脂を含むプリプレグとして、一方向に配向した不連続強化繊維束と前駆樹脂を含むプリプレグを前記プリプレグの少なくとも一部に用い、所定の曲率を有する型の表面に沿って曲げ賦形する工程、及び前記プリプレグを同じ型を用いて加熱・加圧する工程を含む、繊維強化プラスチックの製造方法。
  12. 任意の層において前記プリプレグの全面に切込を入れる工程を有する、請求項11に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  13. 全ての層において前記プリプレグの全面に切込を入れる工程を有する、請求項11または12に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  14. 前記曲げ賦形する工程において、前記プリプレグを加熱する操作を含む、請求項11〜13のいずれかに記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  15. 前記曲げ賦形する工程の前に、前記プリプレグを複数枚積層する工程を有する、請求項11〜14のいずれかに記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
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