JP2006333559A - ステータ固定構造 - Google Patents

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【課題】 レゾルバによる回転位置の検出精度を従来より向上させることが可能なステータ固定構造を提供する。
【解決手段】 本発明によれば、筒形ハウジング21内に嵌合固定された固定リング40のうちコネクタ受容部41の開口幅を、筒形ハウジング21におけるコネクタ挿通孔33の開口幅より狭くして、そのコネクタ受容部41の開口縁41A,41Aをレゾルバステータ61のコネクタ部63に突き合わせたので、レゾルバステータ61の回転方向のガタが従来より小さくなり、レゾルバによる回転位置の検出精度を向上させることができる。また、コネクタ部63の幅に対してコネクタ受容部41の開口幅を0.0〜0.2mmの範囲で一致又は大きくしたので、外気温度の低下により固定リング40が縮径変形した場合に、コネクタ部63の破損を防ぐことができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、電動パワーステアリング用のモータに備えた筒形ハウジングに、レゾルバのステータを固定するステータ固定構造に関する。
図8に示したレゾルバのステータ3は、円環部3Aの外周面からコネクタ部3Bを突出した構造になっている。また、図9に示すように、モータ1に備えた筒形ハウジング4には、その一端開口位置にコネクタ挿通孔4Aが貫通形成され、ステータ3のコネクタ部3Bがコネクタ挿通孔4A内に受容されて、円環部3Aが筒形ハウジング4内に嵌合されていた。そして、ステータ3に次いで固定リング6を筒形ハウジング4内に挿入してかしめ固定し、筒形ハウジング4の内周面に形成された位置決め段差部4Bと固定リング6との間でステータ3を挟んで固定していた。また、コネクタ部3Bとコネクタ挿通孔4Aとの係合によって、ステータ3を回転方向で位置決めしていた。
特開2004−48925号公報(図1〜図4)
ところで、ステータ3を筒形ハウジング4に組み付ける際には、ステータ3をコネクタ部3Bから筒形ハウジング4内に挿入し、筒形ハウジング4内でステータ3の傾きを変えて、コネクタ部3Bをコネクタ挿通孔4Aに突入し、円環部3Aを筒形ハウジング4内に嵌合する。この組み付け作業をスムーズに行うために、コネクタ挿通孔4Aにおけるコネクタ部3Bのガタが大きく設定されていた。このため、上述したようにコネクタ部3Bとコネクタ挿通孔4Aとの係合によってステータ3を回転方向で位置決めする従来のステータ固定構造では、ステータ3が回転方向でがたつき、レゾルバによる回転位置の検出精度を向上させることができなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、レゾルバによる回転位置の検出精度を従来より向上させることが可能なステータ固定構造の提供を目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るステータ固定構造は、電動パワーステアリング用のモータに備えた筒形ハウジングに、レゾルバのステータを固定するステータ固定構造であって、筒形ハウジングの一端開口寄り位置にはコネクタ挿通孔が貫通形成され、ステータは、筒形ハウジングの内側に嵌合された円環部と、その円環部の外周面から突出してコネクタ挿通孔に挿通したコネクタ部とを備えてなり、筒形ハウジングの内周面に、円環部の外縁部が当接する位置決め段差部を形成すると共に、位置決め段差部との間でステータを挟んで保持する固定リングを筒形ハウジング内に嵌合固定し、その固定リングにコネクタ部をステータの軸方向から受容するコネクタ受容部が形成されたステータ固定構造において、固定リングのうちコネクタ受容部の開口幅を、コネクタ挿通孔の開口幅より狭くして、そのコネクタ受容部の開口縁をコネクタ部に突き合わせたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のステータ固定構造において、コネクタ部の幅に対してコネクタ受容部の開口幅を0.0〜0.2mmの範囲で一致又は大きくしたところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のステータ固定構造において、固定リングを略C字形とし、その固定リングのうち周方向で分断された部分をコネクタ受容部としたところに特徴を有する。
請求項1の構成によれば、筒形ハウジング内に嵌合固定された固定リングのうちコネクタ受容部の開口幅を、筒形ハウジングにおけるコネクタ挿通孔の開口幅より狭くして、そのコネクタ受容部の開口縁をステータのコネクタ部に突き合わせたので、ステータの回転方向のガタが従来より小さくなり、レゾルバによる回転位置の検出精度を向上させることができる。具体的には、請求項2の構成のように、コネクタ部の幅に対してコネクタ受容部の開口幅を0.0〜0.2mmの範囲で一致又は大きくすることが好ましい。これにより、外気温度の低下により固定リングが縮径変形した場合に、コネクタ部の破損を防ぐことができる。また、請求項3の構成では、固定リングを略C字形にしたので板金を湾曲させて固定リングを製造することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1において符号20は、電動パワーステアリング用のモータであって、このモータ20に転舵シャフト12、第1円筒ケース26、第2円筒ケース27等を組み付けて電動パワーステアリング装置13が構成されている。転舵シャフト12は、図1に示した車両における1対の転舵輪11,11の間に差し渡され、両端部が図示しないタイロッドを介して各転舵輪11,11に連結されている。
第1円筒ケース26は、モータ20に備えた筒形ハウジング21の一端開口に連結され、第2円筒ケース27は、筒形ハウジング21の他端開口に連結されている。そして、これら筒形ハウジング21、第1及び第2の円筒ケース26,27によって転舵シャフト12の外側が覆われている。
第1円筒ケース26の中間部分には、ピニオン突入部50が側方に開放している。そのピニオン突入部50を介してピニオン51が第1円筒ケース26の側部から第1円筒ケース26内に突入している。これに対し、転舵シャフト12のうち第1円筒ケース26内に収容される部分には、ラック52が形成されている。そして、第1円筒ケース26の内部でピニオン51とラック52とが噛合している。また、ピニオン51は、ハンドル53の中心から下方に延びた操舵力伝達軸54に連結されている。さらに、操舵力伝達軸54の下端部には、ハンドル53にかかる負荷トルクを検出するための操舵トルクセンサ57が備えられている。
モータ20のロータ28(以下、「モータロータ28」という)は筒形をなし、第1円筒ケース26の内周面に装着されたベアリング26Bと、筒形ハウジング21の他端開口寄り位置に装着されたベアリング21Bとにより回転可能に軸支されている。モータロータ28の内周面には、ボールナット14が固定されている。そして、転舵シャフト12の中間部分に形成されたボールネジ部15に、複数のボールを介してボールナット14が螺合してボールネジ機構16が構成されている。これにより、モータロータ28が回転駆動されると、転舵シャフト12が直動して転舵輪11,11が転舵する。
モータロータ28の外周面のうち筒形ハウジング21に覆われた部分には、界磁用マグネット28Mが固着されている。これに対し、筒形ハウジング21の内周面のうち界磁用マグネット28Mと対向する位置には、ステータコア22が組み付けられている。ステータコア22は円筒状をなし、ステータコア22の内周面から突出した複数のティース23(図2参照)には電磁コイル24が巻回されている。そして、筒形ハウジング21がこのステータコア22の外側に焼嵌されている。
図1に示すように、モータ20には、モータロータ28の回転位置を検出するためにレゾルバ60が備えられている。レゾルバ60は、筒形ハウジング21における一端開口側に配置され、図3に示すように筒形ハウジング21の内面に固定されたステータ61(以下、「レゾルバステータ61」という)と、モータロータ28の外面に固定されたロータ62(以下、「レゾルバロータ62」という)とからなる。
そのレゾルバステータ61を筒形ハウジング21に組み付けるために、図2に示すように筒形ハウジング21の一端開口寄り位置にはコネクタ挿通孔33が貫通形成されている。また、筒形ハウジング21の内周面には、ステータコア22から一端開口側に向かって段階的に拡径するように、第1内径部25A、第2内径部25B、第3内径部25Cが形成されている。さらに、第2内径部25Bのうち第1内径部25A側に立ち上がり部分には逃がし溝25Dが形成されると共に、第3内径部25Cのうち第2内径部25Bとの境界部分から離れた位置には、係止溝25Eが形成されている。また、逃がし溝25D及び係止溝25Eは、コネクタ挿通孔33を筒形ハウジング21の周方向で横切っている。
図5に示すようにレゾルバステータ61は、円環部64と円環部64の外周面から突出したコネクタ部63とを備えている。円環部64は円環状のコア65を有し、そのコア65の内面から複数のティース65Tが突出している。そして、各ティース65Tにコイル66が巻回されている。また、コア65の両側面には、コイル66の側方を覆うように円環状の樹脂カバー67が取り付けられている。円環部64の外縁部(詳細には、コア65のうち樹脂カバー67から露出した外縁部)のうちコネクタ部63から±90度離れた部分には、円環部64の外周面を部分的に平坦面にして切り欠き部65C,65Cが形成されている。
コネクタ部63は、コア65に一体形成された1対の対向壁63A,63Aの間に、合成樹脂製のコネクタハウジング63Bを固定した構造になっている。詳細には、1対の対向壁63A,63Aは、レゾルバステータ61の軸方向と直交する方向で対向しており、コネクタハウジング63Bの基端部が対向壁63A,63Aの間に配置され、コネクタハウジング63Bの先端部は対向壁63A,63Aより図5の上方に突出している。また、コネクタハウジング63Bの先端には、図2に示すようにフード部63Fが備えられ、コイル66に接続された端子金具63Tがフード部63Fの奥面から突出している。
図2に示すようにレゾルバステータ61のコネクタ部63は、コネクタ挿通孔33に挿通され、円環部64は筒形ハウジング21内に嵌合されている。詳細には、レゾルバステータ61を筒形ハウジング21に組み付けるには、図4に示すようにレゾルバステータ61が筒形ハウジング21に対して傾けられて、コネクタ部63から先に筒形ハウジング21内に挿入される。このとき、円環部64の外縁部のうち切り欠き部65C,65Cのみが筒形ハウジング21の内周面に隣接した状態になる。ここで、円環部64の全体の径寸法に対して両切り欠き部65C,65Cの間の寸法は小さくなっているので(図5参照)、レゾルバステータ61がスムーズに筒形ハウジング21内に挿入される。そして、筒形ハウジング21内でレゾルバステータ61の傾きを変えてコネクタ部63をコネクタ挿通孔33内に挿通し、図1に示すようにコネクタ部63の先端部を筒形ハウジング21から外側に突出した状態にする。すると、円環部64が筒形ハウジング21に対して同心状に配置され、このときに円環部64における外縁部(詳細には、コア65の外縁部)が第1内径部25Aと第2内径部25Bとの段差部(本発明に係る「位置決め段差部」に相当する)に当接して位置決めされる。
ここで、この段差部において第2内径部25Bから第1内径部25Aへの立ち上がり部分には逃がし溝25Dが形成されて陥没しているので、円環部64の外側エッジ部がその立ち上がり部分に乗り上がることが防がれ、円環部64の端面を確実に段差面に面当接してレゾルバステータ61を位置決めすることができる。
筒形ハウジング21には、レゾルバステータ61より一端開口側に固定リング40が嵌合されている。固定リング40は、例えば帯板状のアルミ板金を略C字形に湾曲させてなり、図6に示すように略C字形をなしている。また、固定リング40のうち周方向で分断された部分がコネクタ受容部41になっている。そして、固定リング40は、コネクタ受容部41内にレゾルバステータ61のコネクタ部63を受容した状態にして筒形ハウジング21内に嵌合されている。また、固定リング40は、筒形ハウジング21内に嵌合した状態でかしめられ、図2に示すように固定リング40を構成する金属の一部が前記した係止溝25E内に入り込んでいる。これにより固定リング40が筒形ハウジング21内に抜け止めされかつ摩擦係合により回り止めされている。そして、この固定リング40と第1内径部25Aとの間に円環部64の外縁部が挟まれ、レゾルバステータ61が筒形ハウジング21に対して軸方向で固定されている。
さて、レゾルバステータ61は、その回転方向に関しては、固定リング40のうちコネクタ受容部41を挟んで対向する開口縁41A,41Aによって規制されている。ここで、図6に示したコネクタ受容部41の開口幅の寸法L2(図6参照)は、図5に示したコネクタ部63のうちコネクタ受容部41に受容される部分の幅寸法L1と同じ値に設定(設計)されている。詳細には、コネクタ部63のうちコネクタ受容部41内に収まる部分には前記した対向壁63A,63Aが備えられ、それら対向壁63A,63Aにおける背面同士の間の寸法L1が、所定値Pとされかつその所定値Pに対して誤差が−0.1〜0.0mmに収まるように設計図が作成されている。一方、固定リング40が筒形ハウジング21内に嵌合固定された状態でコネクタ受容部41の開口幅の寸法L2が所定値Pとされかつその所定値Pに対して誤差が0.0〜0.1mmに収まるように、固定リング40及び筒形ハウジング21の設計図が作成されている。これらにより、コネクタ部63の幅に対してコネクタ受容部41の開口幅が0.0〜0.2mmの範囲で一致又は大きくなっている。
また、コネクタ挿通孔33において前記した対向壁63A,63Aの対向方向の開口幅は、例えば、所定値Pより1.0〜1.5mmの大きさになっている。これにより、コネクタ部63をコネクタ挿通孔33に容易に挿入組み付けすることができる。従って、本実施形態によれば、レゾルバステータ61を筒形ハウジング21に容易に組み付けることができると共に、その組み付け後に固定リング40にてコネクタ部63を位置決めして、レゾルバステータ61の回転方向のガタを規制することができる。なお、コネクタ挿通孔33には、コネクタ部63との隙間を塞ぐように栓部材34が装着されている。
一方、レゾルバロータ62は、モータロータ28のうちレゾルバステータ61と対向した位置に嵌合固定されている。レゾルバロータ62は、磁性体よりなり、図3に示すように、外周面が波形状になっている。これにより、レゾルバロータ62がモータロータ28と共に回転すると、レゾルバステータ61に生じる磁気特性が変化する。そして、コネクタ部63を通してレゾルバステータ61に接続されたレゾルバ信号処理回路59が、前記磁気特性の変化に基づいてレゾルバロータ62の回転位置に応じた角度検出信号を出力する。
操舵制御装置56は、操舵トルクセンサ57及び車速センサ58等の検出結果等に基づき、予め定められたデータマップに応じてモータ20に付与する駆動電流(即ち、モータ20に出力させるアシスト力)を決定する。そして、レゾルバ60が検出したモータロータ28の回転位置に基づいて、モータ20に付与する駆動電流をフィードバック制御する。このとき、上述の如く従来よりレゾルバステータ61の回転方向におけるガタを規制しているので、レゾルバ60による回転位置の検出精度が向上し、安定したモータ20の制御を行うことが可能になる。また、本実施形態では、コネクタ部63の幅に対してコネクタ受容部の開口幅を0.0〜0.2mmの範囲で一致又は大きくしたので、外気温度の低下により固定リング40が縮径変形しても、コネクタ部63を破損させることが防がれる。しかも、固定リング40を略C字形にしたので、板金を湾曲させて固定リング40を製造することができ、パイプ材を切断して製造する場合に比べて製造コストを抑えることができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態の固定リング40は、略C字形をなしていたが、図7に示した固定リング44のように、コネクタ受容部45が固定リング44の軸方向の一端側に開放する一方、他端側が閉じた構造にしてもよい。このような構造にすれば、コネクタ受容部45の開口幅の寸法L2を容易に許容寸法誤差内に収めることができる。
(2)前記実施形態では、固定リング40が筒形ハウジング21の内周面にかしめ固定されていたが、固定リングを筒形ハウジングの内周面に例えば接着剤にて固定したもの、或いは、固定リングを筒形ハウジングの内周面にボルトで固定したものに本発明を適用してもよい。
本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の概念図 筒形ハウジング及びレゾルバステータ等の側断面図 モータの正面図 レゾルバステータを組み付ける過程を示した筒形ハウジングの側断面図 レゾルバステータの正面図 固定リングの斜視図 変形例の固定リングの斜視図 レゾルバのステータの正面図 従来のステータ固定構造を示した断面図
符号の説明
13 電動パワーステアリング装置
20 モータ
21 筒形ハウジング
33 コネクタ挿通孔
40,44 固定リング
41,45 コネクタ受容部
60 レゾルバ
61 レゾルバステータ
63 コネクタ部
64 円環部

Claims (3)

  1. 電動パワーステアリング用のモータに備えた筒形ハウジングに、レゾルバのステータを固定するステータ固定構造であって、
    前記筒形ハウジングの一端開口寄り位置にはコネクタ挿通孔が貫通形成され、
    前記ステータは、前記筒形ハウジングの内側に嵌合された円環部と、その円環部の外周面から突出して前記コネクタ挿通孔に挿通したコネクタ部とを備えてなり、
    前記筒形ハウジングの内周面に、前記円環部の外縁部が当接する位置決め段差部を形成すると共に、前記位置決め段差部との間で前記ステータを挟んで保持する固定リングを前記筒形ハウジング内に嵌合固定し、その固定リングに前記コネクタ部を前記ステータの軸方向から受容するコネクタ受容部が形成されたステータ固定構造において、
    前記固定リングのうち前記コネクタ受容部の開口幅を、前記コネクタ挿通孔の開口幅より狭くして、そのコネクタ受容部の開口縁を前記コネクタ部に突き合わせたことを特徴とするステータ固定構造。
  2. 前記コネクタ部の幅に対して前記コネクタ受容部の開口幅を0.0〜0.2mmの範囲で一致又は大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のステータ固定構造。
  3. 前記固定リングを略C字形とし、その固定リングのうち周方向で分断された部分を前記コネクタ受容部としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のステータ固定構造。
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