JP2008160969A - モータ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステータコアに歪を生じさせず、大トルクの出力を可能とするモータ構造を提供することである。
【解決手段】筒状のケーシング1内に筒状のステータコア2aを圧入固定してなるモータ構造において、ステータコア2aの外周に軸方向に沿って溝2dを形成し、ケーシング1に内方へ突出するピン1hを上記溝2d内に挿入したので、温度上昇によって圧入部位1fの緊迫力が低下してもピン1hと溝2dとの係合によってステータコア2aがケーシング1に対して円周方向の回り止めとして機能し、モータMは温度上昇時にあっても問題なく大トルクを発生することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、筒状のケーシング内に筒状のステータコアを固定してなるモータ構造の改良に関する。
この種筒状のケーシング内に筒状のステータコアを固定してなるモータ構造にあっては、たとえば、ステータコアがケーシング内に焼き嵌めや圧入のみによって固定されるものが従来から知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2005−261085号公報(背景技術欄)
上述のようなモータ構造を、特に、大トルクの発生が期待されるパワーステアリング装置のアシストモータに適用するには問題を生じる場合がある。
焼き嵌めによる固定の場合、焼入れによってケーシングに歪を生じる場合があり、この歪によってモータにコギングトルクやトルクリップル等の悪影響を及ぼす危惧がある。
さらに、ステータコアとケーシングのそれぞれの材料が異なる事が多く、ステータコアとケーシングの線膨張係数の違いでモータ使用による温度上昇時にステータコアを締め付ける緊迫力が低下してしまうので、大トルク出力ができなくなってしまう危惧がある。これを避けようとして、緊迫力を大きく設定する場合には、今度は、ステータコアを強く締めすぎてステータコアが歪んでしまい、コギングトルクの発生やトルクリップルが大きくなるといった好ましくない事態を招来する事になる。このことは、ステータコアを締め付ける緊迫力でステータコアとケーシングとを一体化する圧入による固定の場合にあっても同様である。
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、ステータコアに歪を生じさせず、大トルクの出力を可能とするモータ構造を提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、筒状のケーシング内に筒状のステータコアを圧入固定してなるモータ構造において、ステータコアの外周に軸方向に沿って溝を形成し、ケーシングに内方へ突出するピンを上記溝内に挿入したことを特徴とする。
本発明のモータ構造によれば、温度上昇によって圧入部位の緊迫力が低下してもピンと溝との係合によってステータコアがケーシングに対して円周方向の回り止めとして機能するので、モータは温度上昇時にあっても問題なく大トルクを発生することが可能である。
そして、ピンとステータコアの溝によってステータコアとケーシングとの回り止めが施されているので、温度上昇時の圧入部位の緊迫力を従来モータ構造のそれよりも小さく設定しておく事ができ、圧入部位の緊迫力によってステータコアに歪が生じてしまうような事態が防止されて、コギングトルクの発生やトルクリップルが大きくなるといった好ましくない事態を招来する事もない。
また、焼き嵌めに必要な炉が不要で、かつ、一般的な機械加工設備のみでモータの製造が可能となり、また、圧入部位の緊迫力も小さくできるので、大トルクを発生するモータを簡単かつ低コストで製造する事ができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。図1は、一実施の形態におけるモータ構造が具現化されたモータの縦断面図である。図2は、一実施の形態におけるモータ構造が具現化されたモータのA矢視断面図である。
図1および図2に示すように、一実施の形態におけるモータ構造が具現化されたモータMは、筒状のケーシング1と、ケーシング1内に固定される筒状のステータ2と、ケーシング1内に回転自在とされてステータコア内に挿通される筒状のロータ3とを備えている。
そして、このモータMは、車両に搭載されるパワーステアリング装置PSに適用され、モータMのトルクを運転者の操舵力に付加する補助力として利用している。このパワーステアリング装置PSは、モータMの発生トルクを出力軸10の図1中左右方向の直線運動に変換するために、運動変換機構として、ロータ3の内周側に設けられて出力軸10が挿入されるボール螺子ナット11と、出力軸10の外周側に形成されてボール螺子ナット11に螺合される螺子溝10aとを備え、さらに、出力軸10の他端側となる図1中左端側にはラック10bが設けられ、このラック10bは、ピニオンギア12に歯合され、このピニオンギア12は、図示しない操舵輪にユニバーサルジョイントを介して連結されるスタブシャフト13の先端に取付けられている。
上記出力軸10の両端は、タイロッド等を介してそれぞれ車両の左輪および右輪に連結されており、出力軸10の左右方向への運動によって、左右輪の転舵が可能なようになっている。
したがって、車両運転者が操舵輪を操作すると、スタブシャフト13が回転して、出力軸10を操作する方向へ直線運動させて左右輪を転舵させることになるが、このパワーステアリング装置PSにあっては、モータMのトルクで出力軸10の直線運動させる車両運転者の操舵輪の操作力を補助する補助力を発生させて車両運転者の操舵輪操作時の負担を軽減することができる。
なお、詳しくは、上記車両運転者による操舵輪の操舵トルクをスタブシャフト13に取付けたトルクセンサ14で検知し、検知した操舵トルクに応じて予め決められた制御側に則りモータMに電流を供給して、モータMに補助力を付加するためのトルクを発生させるようにしている。
以下、モータMの各部について、詳細に説明すると、ケーシング1は、筒状のケーシング本体1aと、ケーシング本体1aの両端外周のそれぞれに三ずつ設けた螺子孔を備えたフランジ部1b,1cと、ケーシング本体1aのステータ2が固定される軸方向範囲Lで側部から開口してその内外を連通する小孔1dと、ケーシング本体1aの内外を連通し、かつ、モータMのステータ2の巻線2bに結線されるバスバー6を保持するコネクタ7が固定されるコネクタ孔1eと、ケーシング本体1aのステータ2が固定される軸方向範囲Lの一端となる図1中右端側の所定範囲bにおける内径を小径として形成した圧入部1fと、ケーシング本体1aの図1中右端側に設けた段部1gとを備えて構成されている。
また、ケーシング本体1aは、その他端側となる図1中左端側の側部に他の部位より厚肉とされる肉厚部1iを備えており、この肉厚部1iの外周は切り落とされて平面とされて、この平面からケーシング本体1aの肉厚を貫くコネクタ孔1eおよび小孔1dが穿設されている。
そして、小孔1dには、先端がケーシング本体1a内に突出するピン1hが圧入固定されている。なお、ピン1hは、ケーシング1の外方から打ち込まれて少なくとも後端は小孔1dからケーシング本体1aの外周側へ突出しないようにされている。
他方、コネクタ孔1eには、上述のように、モータMへ電流供給する外部電源から延びる図示しない電源コードの先端に設けられた端子に連結されるコネクタ7の嵌合部7aが嵌めこまれており、このコネクタ7は、ケーシング本体1aの外周に螺子締結等によって固定されるとともに、図1中右端に閉塞部7bを備えている。そして、閉塞部7bは、小孔1dを閉塞してシールするようになっており、この閉塞部7bによって小孔1dからケーシング1内への水の浸入を防止している。
このように、小孔1dにピン1hを圧入するとともに、もともとケーシング1に取付ける必要があるコネクタ7に設けた閉塞部7bで小孔1dを閉塞できるようにしたので、特別に小孔1dをシールする部材を設ける必要が無く、さらに、ピン1hの設置がケーシング1の外方から容易に行え、製造面で有利となる。
ステータ2は、筒状のステータコア2aと、ステータコア2aのティース2cに巻回された巻線2bとを備えて構成されており、ステータコア2aの外周には、軸方向となる図1中左右方向に沿って溝2dが設けられている。
そして、ステータコア2aの外周に接着剤を塗布した後に、溝2d内にピン1hの先端を挿入しつつステータコア2aを図1中左方からケーシング本体1a内に挿入し、ステータコア2aの一端となる図1中右端外周をケーシング本体1aの圧入部1fに圧入することによってケーシング1に固定されて一体化される。
さらに、ステータ2の巻線2bは、ケーシング1に固定されるコネクタ7に保持されるバスバー6に結線されており、外部電源から巻線2bへ電流供給ができるようになっている。なお、このモータMの場合、ブラシレスモータとして構成されており、巻線2bは、具体的には、U,V,Wの各相がスター結線あるいはデルタ結線された三相巻線とされ、バスバー6もそれに対応するようコネクタ7内に3つ設けられている。
このようにステータコア2aは、ケーシング1に一体化されるので、温度上昇によって圧入部位の緊迫力が低下してもピン1hと溝2dとの係合によってステータコア2aのケーシング1に対する円周方向の回り止めとして機能し、モータMは温度上昇時にあっても問題なく大トルクを発生することが可能である。
そして、このように、ピン1hとステータコア2aの溝2dによってステータコア2aとケーシング1との回り止めが施されているので、温度上昇時の圧入部1fの緊迫力を従来モータ構造のそれよりも小さく設定しておく事ができ、圧入部1fの緊迫力によってステータコア2aに歪が生じてしまうような事態が防止されて、コギングトルクの発生やトルクリップルが大きくなるといった好ましくない事態を招来する事もない。
また、焼き嵌めに必要な炉が不要で、かつ、一般的な機械加工設備のみでモータMの製造が可能となり、また、圧入部1fの緊迫力も小さくできるので、大トルクを発生するモータMを簡単かつ低コストで製造する事ができる。
さらに、この場合、圧入部1fは、ステータコア2aの外周全体を締め付けているのではなく、ステータコア2aの一端側の一部となる所定範囲bのみが圧入部1fで緊迫されることになるので、ステータコア2aに万が一歪が生じたとしてもその影響は極僅かであり、モータMの精度低下に繋がるコギングトルクの発生やトルクリップルが大きくなるといった事態をより確実に阻止することができる。
また、この場合、ステータコア2aはケーシング1の内周に圧入固定されるだけでなく、接着によっても固定されるので、より一層圧入部1fにおける緊迫力をより一層小さく設定する事が可能であると共に、温度上昇による緊迫力が低下してもステータコア2aの軸方向のズレを防止することができる。
なお、ステータコア2aは、それぞれ一つのティース2cを備えて巻線2bを巻回した12個の分割コアcを環状に配置して一体化して形成されており、分割コアcの製造型を共通化のため、各分割コアcに溝2dが形成されているが、溝2dは上記ピン1hを挿入するためのものであるので、ステータコア2aに一つ設ければよい。
また、ピン1hは、ステータコア2aの溝2d内に挿入される事で、ステータコア2aの円周方向を位置決める機能をも発揮するので、製品単位でステータコア2aの円周方向位置にバラツキが生じてしまうことがなく、均一な製品の製造にも寄与する。
つづいて、ロータ3は、筒状とされて、その外周であってステータコア2aに対向する位置に磁石20が円周方向に等間隔を持って外周側にN極とS極とが交互に現れるように接着されて固定され、また、一端側となる図1中右端側が拡径されて拡径部3aが設けられ、他端側となる図1中左端側の外周にはモータMの駆動に必要とされるロータ位置センサとして機能するレゾルバロータ15が取付けられ、さらに、拡径部3aの内周にはボール螺子ナット11が圧入固定されている。
そして、ロータ3の一端に固定されているボール螺子ナット11がケーシング本体1aの段部1gに固定されたボールベアリング8によって保持されるとともに、ロータ3の他端側がケーシング1の図1中左方に連結される筒部材4の内周に固定されたボールベアリング9によって保持され、ロータ3は、ケーシング1に回転自在に収容されている。
上記した筒部材4は、図1中右端側が拡径されて拡径部4aが形成され、この拡径部4aがケーシング本体1aの他端開口内に嵌合され、拡径部4aの外周に設けたフランジ部4bとケーシング本体1aに設けたフランジ部1cを符合させてフランジ部4bを貫くボルト16をフランジ部1cの螺子孔に捻じ込んでケーシング1と筒部材4とが螺子締結されて一体化される。
また、この筒部材4の拡径部4aの内周側にはロータ3の外周に設けたレゾルバロータ15に対向するレゾルバステータ17が取付けられており、このレゾルバステータ17から伸びる励磁用および信号取り出し用の電線18は筒部材4の拡径部4aの肉厚を貫通するレゾルバコネクタ19に保持されて筒部材4の外方へ導出されている。なお、この電線18は、レゾルバコネクタ19に連結される端子を介して図示しないパワーステアリング装置PSの制御装置へ接続される。
さらに、この筒部材4内にはパワーステアリング装置PSの出力軸10の図1中左端が挿通され、筒部材4には、出力軸10に形成したラック10bに歯合するピニオンギア12およびスタブシャフト13を回転自在に収容するハウジング4cが設けられている。
そして、上記スタブシャフト13に取付けられたトルクセンサ14が出力する信号もまた、レゾルバステータ17が出力する信号と同様に、上記した図示しないパワーステアリング装置PSの制御装置へ入力され、当該制御装置は、これら信号に基づいてモータMを駆動してパワーステアリング装置PSで車両運転者の操舵輪の操舵を補助する補助力を制御する。
また、ケーシング本体1aの一端となる図1中右端には、パワーステアリング装置PSの出力軸10の一端となる右端を摺動自在に軸支するガイド筒5が取付けられており、このガイド筒5は、ケーシング本体1a側に設けた鍔5aと、鍔5aの外周であってフランジ部1bに符合する位置に設けたフランジ部5bとを備えている。
そして、ケーシング本体1aのフランジ部1bとガイド筒5のフランジ部5bとをつき合わせて、フランジ部5bを貫通するボルト21をフランジ部1bの螺子孔に捻じ込んでケーシング1とガイド筒5とが螺子締結されて一体化される。
本発明のモータ構造が具現化したモータMは、上述のようにパワーステアリング装置PSに適用され、このパワーステアリング装置PSは、モータMが大トルクを発生することができるので、車両搭乗者の操舵輪の操作に均一で大きな補助力を付与する事が可能であり、さらに、コギングトルクの発生やトルクリップルが大きくなるといった不具合も解消できるので、操舵時に車両搭乗者に対して違和感や不快感を与えることがないと共に操舵輪操作にギクシャク感を与える事もない。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
本発明の一実施の形態におけるモータ構造が具現化されたモータの縦断面図である。 一実施の形態におけるモータ構造が具現化されたモータのA矢視断面図である。
符号の説明
1 ケーシング
1a ケーシング本体
1b,1c フランジ部
1d 小孔
1e コネクタ孔
1f 圧入部
1g 段部
1h ピン
1i 肉厚部
2 ステータ
2a ステータコア
2b 巻線
2c ティース
2d 溝
3 ロータ
3a ロータにおける拡径部
4 筒部材
4a 筒部材における拡径部
4b 筒部材におけるフランジ部
4c ハウジング
5 ガイド筒
5a ガイド筒における鍔
5b ガイド筒におけるフランジ部
6 バスバー
7 コネクタ
7a 嵌合部
7b 閉塞部
8,9 ボールベアリング
10 出力軸
11 ボール螺子ナット
10a 螺子溝
10b ラック
12 ピニオンギア
13 スタブシャフト
14 トルクセンサ
15 レゾルバロータ
16,21 ボルト
17 レゾルバステータ
18 電線
19 レゾルバコネクタ
20 磁石
b ケーシング本体におけるステータが固定される軸方向範囲の一端の所定範囲
c 分割コア
L ケーシング本体のステータが固定される軸方向範囲
M モータ
PS パワーステアリング装置

Claims (5)

  1. 筒状のケーシング内に筒状のステータコアを圧入固定してなるモータ構造において、ステータコアの外周に軸方向に沿って溝を形成し、ケーシングに内方へ突出するピンを上記溝内に挿入したことを特徴とするモータ構造。
  2. ステータコアをケーシングの内周に接着したことを特徴とする請求項1に記載のモータ構造。
  3. ステータコアの一端の外周部を圧入部としてケーシングに圧入することを特徴とする請求項1または2に記載のモータ構造。
  4. ピンはケーシングに設けられてケーシング内外を連通する小孔に圧入されてケーシングに固定され、ステータコアに巻回される巻線へ電流供給を行うバスを保持してケーシングに取付けられるコネクタにケーシングの外周に当接して小孔を閉塞する閉塞部を設けたことを特徴とする請求項1から3に記載のモータ構造。
  5. 内周側にボール螺子ナットが装着される筒状のロータをケーシング内に回転自在に収容するとともに、ボール螺子ナット内に螺合するとともにピニオンギアに歯合するラックが形成されて両端が車両の車輪に連結される出力軸をケーシング内に収容してなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のモータ構造。
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