JP2006328340A - 多孔質ポリマーフィルムと多孔質炭素フィルム、それらの製造方法及びそれらフィルムを用いた加工成形物 - Google Patents

多孔質ポリマーフィルムと多孔質炭素フィルム、それらの製造方法及びそれらフィルムを用いた加工成形物 Download PDF

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宏一 片山
Iwao Fukuchi
巌 福地
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明博 織田
Akihiro Sasaki
顕浩 佐々木
Shinji Takeda
信司 武田
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Abstract

【課題】 芳香族ポリイミドを前駆体とする多孔質炭素フィルムよりも、より安価で生産性に優れた方法によって多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムを提供すること。
【解決手段】 (a)アクリロニトリル単位を含有する第1のポリマーと、上記第1のポリマーと非相溶性であり、かつ分子内に酸性基を有する第2のポリマーとを溶媒中で混合し、ミクロ相分離した混合液を形成する工程と、(b)上記混合液から、上記第1のポリマーからなる連続相に上記第2のポリマーがミクロ相分離して存在するポリマーフィルムを形成する工程と、(c)上記ポリマーフィルムから第2のポリマーを除去し、ポリマーフィルムに複数の連続孔を形成する工程とを有することを特徴とする製造方法によって、多孔質フィルムを製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多孔質材料に関し、より詳細には平均細孔径が10〜1000nm、空孔率が10〜70%である連続孔を有する多孔質ポリマーフィルムと多孔質炭素フィルム、及びそれらの製造方法に関する。
多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムは、耐熱性、耐環境性、可とう性、及び機械的強度が必要とされる、濾過フィルター、放熱体、熱伝体、吸着膜、導電体、水素吸蔵体、強化材、及び無機物担持体等の用途に有用であり、それらフィルムについて様々な検討がなされている。
例えば、セルロース、ピッチタール、カルド型ポリマー、及び熱硬化性樹脂等の高耐熱性材料から多孔質膜を形成し、次いで多孔質膜を炭素化することによって多孔質炭素膜を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。特に、芳香族ポリイミド等の熱硬化性樹脂を使用する方法は、他の高耐熱性材料と比較して炭化収率が高く、炭素化前の多孔質膜の形状を容易に維持することができるため有用である。しかし、そのような方法は、原料となる芳香族ポリイミドが高価であり、製造コストが高くなる傾向がある。そのため、芳香族ポリイミドよりも安価な材料を使用して、各種用途に適する多孔質膜及び多孔質炭素膜を効率良く製造する方法が望まれている。
このような状況下、アクリロニトリル系ポリマーを使用して多孔質膜又は多孔質炭素膜を形成する方法が報告されている。例えば、アクリロニトリル系ポリマー及び熱分解性消失ポリマーから中空糸膜を形成し、次いで中空糸膜を炭素化する方法が開示されている(特許文献6を参照)。また、アクリロニトリル系ポリマーを使用して多孔質ポリマーフィルムを形成する方法が開示されている(特許文献7及び8を参照)。さらに、エネルギー線を照射して、ポリアクリロニトリル系ポリマー等の多孔質構造体材料からなる多孔質構造体を形成する方法が開示されている(特許文献9を参照)。
特開平10−099664号公報 特開平10−312778号公報 特開平10−158308号公報 特開2000−335909号公報 特開2001−220115号公報 特開平03−098624号公報 特開平11−071476号公報 特開昭63−139930号公報 特開2005−008882号公報
しかし、上述のアクリロニトリル系ポリマーを使用する方法のいずれによっても、均一な大きさの連続孔を有する多孔質ポリマーフィルム又は多孔質炭素フィルムを効率良く形成することは困難である。より具体的には、特許文献6に記載の中空糸膜の炭素化によって、一体化した炭素構造体を得ることはできない。また、特許文献7及び8に記載の多孔質ポリマーフィルムの孔は連続孔でなく、また大きさは均一でない。特許文献9に記載の多孔質構造体では、熱エネルギー照射といった特殊な処理が必要となるため、生産性が低く、製造コストが高くなる傾向がある。そのため、多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムの製造に関するさらなる改善が望まれている。
したがって、本発明は、孔の大きさと形状、及び空孔率を所望のレベル(平均細孔径10〜1000nm、空孔率10〜70%)に容易に調整でき、各種用途に適する多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムを、芳香族ポリイミドよりも安価なアクリロニトリル系ポリマーを使用して、簡便かつ安価に、効率的に製造可能な方法を提供することを課題とする。
本発明は以下に関する。
(1)多孔質ポリマーフィルムの製造方法であって、
(a)アクリロニトリル単位を含む第1のポリマーと、上記第1のポリマーと非相溶性であり、かつ分子内に酸性基を有する第2のポリマーとを溶媒中で混合し、ミクロ相分離した混合液を形成する工程と、
(b)上記混合液から、上記第1のポリマーからなる連続相に上記第2のポリマーがミクロ相分離して存在するポリマーフィルムを形成する工程と、
(c)上記ポリマーフィルムから第2のポリマーを除去し、ポリマーフィルムに複数の連続孔を形成する工程とを有することを特徴とする、多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(2)上記第2のポリマーが、分子内にスルホン酸基を有するポリマーを含有することを特徴とする、上記(1)に記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(3)上記第2ポリマーのポリスチレン換算による重量平均分子量が、2,000〜100万であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(4)上記分子内にスルホン酸基を有するポリマーが、スルホン酸基を10〜80モル%有することを特徴とする、上記(2)または(3)に記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(5)上記第1のポリマーが、70重量%以上のアクリロニトリル単位を含むことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(6)上記第1のポリマーのポリスチレン換算による重量平均分子量が、1万〜150万であることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(7)上記混合液における第1のポリマーの含有量が、上記第1及び上記第2のポリマーの全重量を基準として20重量%以上であることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(8)上記工程(c)が、エッチングによって実施されることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(9)上記多孔質ポリマーフィルムの膜厚が、0.1〜1000μmであることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法によって得られる多孔質ポリマーフィルムであって、連続孔の平均細孔径が10〜1000nm、および空孔率が10〜70%であることを特徴とする多孔質ポリマーフィルム。
(11)上記(10)に記載の多孔質ポリマーフィルムを備えることを特徴とする加工成形物。
(12)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法に従って多孔質ポリマーフィルムを形成する工程と、
上記多孔質ポリマーフィルムを炭素化して多孔質炭素フィルムを形成する工程と
を有することを特徴とする、多孔質炭素フィルムの製造方法。
(13)上記炭素化する工程に先立ち、上記多孔質ポリマーフィルムを耐炎化する工程をさらに有することを特徴とする上記(12)に記載の多孔質炭素フィルムの製造方法。
(14)上記炭素化する工程が、真空下又は不活性ガス雰囲気下で上記多孔質ポリマーフィルムを加熱処理することによって実施されることを特徴とする上記(12)又は(13)に記載の多孔質炭素フィルムの製造方法。
(15)上記(12)〜(14)のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする多孔質炭素フィルムであって、連続孔の平均細孔径が10〜1000nm、および空孔率が10〜70%であることを特徴とする多孔質炭素フィルム。
(16)上記(15)に記載の多孔質炭素フィルムを備えることを特徴とする加工成形物。
本発明による多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムの製造方法によって、それらフィルムにおける平均細孔径及び空孔率を容易に調整することができ、それにより各種用途に適するフィルムを簡便かつ安価に、効率良く提供することが可能となる。本発明によって得られる多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムは、例えば、燃料電池(電極材料、セパレータ)、リチウム電池、電荷二重層キャパシタ、電荷二重層コンデンサー及び複合材料の分野における、充填材、濾過フィルター、放熱体、熱伝体、吸着膜、導電体、水素吸蔵体、強化材及び無機物担持体等の用途に有用である。
以下、本発明の詳細について説明する。本発明による多孔質ポリマーフィルムの製造方法は、(a)アクリロニトリル単位を含む第1のポリマーと、上記第1のポリマーと非相溶性であり、かつ分子内に酸性基を有する第2のポリマーとを溶媒中で混合し、ミクロ相分離した混合液を形成する工程と、(b)上記混合液から、上記第1のポリマーからなる連続相に上記第2のポリマーがミクロ相分離して存在するポリマーフィルムを形成する工程と、(c)上記ポリマーフィルムから第2のポリマーを除去し、ポリマーフィルムに複数の連続孔を形成する工程とを有することを特徴とする。
なお、工程(a)及び(b)における用語「ミクロ相分離」とは、図1に示すように、第1のポリマーからなる連続相(海)10に、第2のポリマーからなり、直径10μm以下の相(島)20が分散した、海島構造を意味する。本発明による製造方法では、多孔質フィルムの孔の大きさと形状、及び空孔率は、使用する第1及び第2のポリマーの種類、それらの組み合わせ、及びそれらの割合等に依存して、ミクロ相分離の所望の状態を得ることによって容易に調整することが可能である。本発明では、特に、分子内に酸性基を有する第2のポリマーの使用が重要である。
工程(a)は、より具体的には、(a1)第1のポリマーを第1の有機溶媒に溶解させる工程と、(a2)第2のポリマーを第2の有機溶媒に溶解させる工程と、(a3)工程(a1)及び工程(a2)で得られた各溶液を混合及び撹拌することによって実施することが可能である。
工程(a1)で使用可能な第1のポリマーは、耐熱性に優れ、安価であり、さらに後述する第2のポリマーとミクロ相分散の良好な状態を形成するアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系ポリマーである。
アクリロニトリル系ポリマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸等のカルボン酸類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びアクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、スチレン及びα−メチルスチレン等のスチレン類、又はアクリルアミド及びジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類の1以上の共重合性モノマーと、アクリロニトリルとの共重合体が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
第1のポリマー(すなわち、アクリロニトリル系ポリマー)におけるアクリロニトリル単位の含有量は、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましい。アクリロニトリル単位の含有量が70重量%未満になると、機械的強度が低下し、第2のポリマーからなる分散相(島)を除去する際に多孔質の形状を維持することが困難となる傾向がある。また、多孔質ポリマーフィルムを多孔質炭素フィルム前駆体とする場合、アクリロニトリル単位が70重量%未満になると、炭素収率が低下し、多孔質炭素フィルムの生産性が低下する傾向がある。
第1のポリマーの好ましい実施形態として、上記カルボン酸類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、又はアクリルアミド類の1以上の共重合性モノマーを10重量%以下で含有する(即ち、アクリロニトリル単位の含有量が90重量%を超える)アクリロニトリル系ポリマーが挙げられる。アクリロニトリル系ポリマーにおける共重合性モノマーの存在は、多孔質ポリマーフィルムを多孔質炭素フィルム前駆体とする場合、必要に応じて多孔質ポリマーフィルムを耐炎化又は不融化する際に、触媒作用を示すために好ましい。
アクリロニトリル系ポリマーのポリスチレン換算による重量平均分子量は、好ましくは1万〜150万、より好ましくは20万〜120万、さらに好ましくは50万〜100万である。重量平均分子量が1万未満の場合、第1及び第2のポリマーがミクロ相分離した混合液を調製することが困難になる傾向がある。また、機械的強度が低下し、第2のポリマーを除去する際に、多孔質の形状を維持することが困難になる傾向がある。一方、重量平均分子量が150万を超える場合、溶媒に対する溶解性が低下し、ミクロ相分離の良好な状態を得ることが困難となり、生産性が低下する傾向がある。なお、本明細書における用語「ポリスチレン換算による重量平均分子量」とは、ポリスチレンを分子量換算基準試料として使用し、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法に従って測定した値である。
工程(a1)で使用可能な第1の有機溶媒の具体例としては、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、又はジメチルスルホキシドを主成分とする単独又は混合溶媒が挙げられる。工程(a1)は、使用する有機溶媒の凝固点から沸点の範囲、例えば15〜150℃の温度条件下で実施することが好ましい。
工程(a2)で使用可能な第2のポリマーの具体例としては、第1のポリマーと相溶性であり、分子内にスルホン酸基、カルボキル基、フェノール基、リン酸基等の酸性基を有するポリマーが挙げられる。中でも、生産性、取扱性及び除去効率等の観点から、分子内にスルホン酸基を有するポリマーが好ましい。ここで、用語「非相溶性」とは、第1のポリマーと第2のポリマーとを混合した場合、互いに溶解せずに相分離することを意味する。
スルホン酸基を有するポリマーの具体例としては、ポリアクリル酸メチル及びポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル等のメタクリル樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリブタジエン等のジエン系樹脂、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルホン、及びポリエーテルスルホンの1以上を主鎖とするポリマーの分子内にスルホン基を有するものが挙げられる。
上記スルホン酸基を有するポリマーとしては、スルホン酸基を10〜50モル%有することが好ましい。スルホン酸基の含有量が10%未満の場合、ポリアクリロニトリル系ポリマー等の第1のポリマーとの親和性が低下することによって、良好にミクロ相分離した混合液を得ることが困難となる。スルホン酸基の含有量が50モル%を超える場合、そのようなポリマーの製造は複雑になり、価格も高くなる傾向がある。
なお、第2のポリマーは、スルホン酸基を有するポリマーに限定されず、最終的に所望する多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムの特徴及び製造コストを考慮して、適切に選択することが可能である。第2のポリマーのポリスチレン換算による重量平均分子量は、好ましくは2000〜100万、より好ましくは5000〜80万、さらに好ましくは1万〜60万である。第2のポリマーの重量平均分子量が2000未満の場合、良好にミクロ相分離した混合液を調製することが困難となる傾向がある。一方、重量平均分子量が100万を超える場合、溶媒に対する溶解性が低下し、除去後に良好な孔を得ることが困難となり、生産性が低下する傾向がある。
工程(a2)で使用可能な第2の有機溶媒の具体例として、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、又はジメチルスルホキシドを主成分とする単独又は混合溶媒が挙げられる。工程(a2)は、工程(a1)と同様に、使用する有機溶媒の凝固点から沸点の範囲、例えば15〜150℃の温度条件下で実施することが好ましい。
工程(a3)は、より具体的には、上述の工程(a1)及び(a2)から得られた各溶液を混合及び撹拌することによって実施することが可能である。混合及び撹拌は、例えば、メカニカルスターラー、ミックスローター、混錬機等を使用して実施することが可能である。混合及び撹拌の条件は、良好なミクロ相分離の状態が得られる範囲であれば、特に限定されるものではない。工程(a3)は、上述の工程(a1)及び(a2)と同様にして、溶媒の凝固点から沸点の温度範囲、例えば15〜150℃の温度条件下で実施することが好ましい。
工程(a3)における混合及び撹拌の際に、第3の有機溶媒を追加しても良い。工程(a3)で使用可能な第3の有機溶媒の具体例としては、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドを主成分とする単独又は混合溶媒が挙げられる。また、これらの有機溶媒の他に、必要に応じて、水、メタノール及びエタノール等のアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトン等の直鎖又は環状のケトン類、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等の直鎖又は環状のエーテル類、酢酸エチル及び酢酸プロピル等の直鎖又は環状のエステル類、アセトニトリル等のシアノ基を含有した溶媒、ジクロロメタン及びクロロホルム等のハロゲン系溶媒を、第3の有機溶媒の全重量を基準として、30重量%以下の量で添加してもよい。このように、他の溶媒を追加した場合であっても、ミクロ相分離した分散相の大きさを制御することが可能である。この理由は、おそらく、分散相の界面の溶解性パラメータ(SP)値が適切に調整されていることによると思われる。
上記工程(a1)〜(a3)に従って調製された混合液は、混合液の全重量を基準として第1のポリマーを1重量%以上含有していればよい。しかし、第1のポリマーの含有量が少ないと、塗布効率が悪い、フィルム化する条件が難しい、膜厚を制御し難い等の問題が生じる。そのため、混合液における第1のポリマーの含有量は、10〜30重量%であることが望ましい。
さらに、ミクロ相分離した混合液に含まれるポリマー成分は、その全重量(第1及び第2のポリマーの合計重量)を基準として、第1のポリマーの含有量が20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましい。全ポリマー成分における第1のポリマーの含有量が20重量%未満の場合、相反転が起こり、本発明で意図したミクロ相分離構造が得られなくなる傾向がある。より具体的には、第2のポリマーが連続相(海)となり、第1のポリマーが分散相(島)となり、連続した多孔質形状にはならず、粒子状の成分が多くなる。
混合液に含まれる全ポリマー成分における第1のポリマーの含有量は、多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムの用途に応じて適宜変更することが可能である。例えば、空孔率が高い多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムを製造する場合は、第1のポリマーの含有量を少なくすれば良い。
工程(b)は、より具体的には、工程(a)で形成したミクロ相分離した混合液を、スピンコーター、バーコーター及びアプリケーター等の各種塗布装置を用いて、基板上に塗布し、フィルム化することによって実施することが可能である。特に限定されるものではないが、フィルム化は、加熱又は溶媒抽出を用いて、塗膜を乾燥させることによって実施される。加熱による塗膜乾燥では、80〜250℃の温度条件で塗膜を加熱することが好ましい。より好ましくは、80℃から徐々に加温して、最終的に250℃の温度に到達するように実施する。最終的には、乾燥させた塗膜を基板上から剥がすことによってポリマーフィルムが得られる。
溶媒抽出による塗膜乾燥では、ポリマーフィルムを形成する第1および第2のポリマーを溶解せず、それらポリマーの混合液に含有する溶媒を溶解する溶媒を抽出溶媒として使用する。抽出溶媒は、例えば、水、メタノール及びエタノール等のアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン等の直鎖、環状、及び飽和又は不飽和炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、又はジメチルスルホキシド等の単独又は混合溶媒が挙げられる。
乾燥後のポリマーフィルムの膜厚は、好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜200μmである。ポリマーフィルムの乾燥膜厚が0.1未満の場合、機械的強度が不十分となり、多孔質構造を維持することが困難となる傾向がある。一方、乾燥膜厚が1000μmを超える場合、曲げ強度が低下する傾向がある。またエッチングによって除去しきれないポリマー相が生じる可能性がある。
工程(c)は、より具体的には、工程(b)で形成されたポリマーフィルムに存在する第2のポリマーからなる分散相にウェットエッチング又はドライエッチングを施し、ポリマーフィルムから分散相の部位のみを除去することによって実施することが可能である。第2のポリマーからなる分散相を除去することによって、ポリマーフィルムに孔が形成され、多孔質ポリマーフィルムとなる。すなわち、本発明による製造方法では、分散相を除去しなければ、多孔質形状を得ることができない。分散相の除去は、ウェットエッチング又はドライエッチングに限定されるものではなく、第1のポリマーからなる連続相の特性を低下させずに、分散相のみを除去することが可能であれば、いかなる方法を使用してもよい。
ここで、用語「ウェットエッチング」とは、水又は溶媒を使用して、目的とする第2のポリマーからなる分散相を抽出することを意味する。エッチング条件は、第2のポリマーの主骨格および酸性基の種類によって適切に選択される。例えば、分散相がスルホン酸基を含有するポリマーである場合には、ポリマーフィルムを、3%過酸化水素水に5ppm硫酸鉄(II)を加えて調製した溶液(Fenton試薬)中に浸漬する方法、又は5%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬する方法等が挙げられる。
また、用語「ドライエッチング」とは、水又は溶媒を使用せずに、目的とする分散相を除去することを意味する。具体的には、分散相にイオンビーム又はレーザー等を照射して除去する方法、又は分散相のみを加熱して熱分解させて除去する方法が挙げられる。
なお、多孔質ポリマーフィルムを多孔質炭素フィルム前駆体とする場合、必要に応じて耐炎化又は不融化処理が実施される。そのような場合、分散相の除去は、耐炎化又は不融化処理の前に実施することが好ましい。耐炎化又は不融化処理の後に分散相の除去を実施すると、熱によって変性した第2のポリマーがポリマー中に残存し易くなり、良好な多孔質形状を得ることが困難になる可能性がある。
本発明による多孔質ポリマーフィルムは、上述の製造方法に従って製造されることを特徴とし、使用する第1及び第2のポリマーの種類、それらの組み合わせ、及びそれらの割合等を適切に選択することによって、所望の平均細孔径及び空孔率を有する多孔質ポリマーフィルムが提供される。
平均細孔径及び空孔率の好ましい範囲は、多孔質ポリマーの用途に応じて異なるが、実用性の観点から、連続孔の平均細孔径は直径で10〜1000nmの範囲であることが好ましく、空孔率は10〜70%の範囲であることが好ましい。
なお、本明細書で使用する用語「平均細孔径」とは、電子顕微鏡(SEM)観察によって無作為に選出した多孔質ポリマーフィルムにおける孔の平均直径を意味する。また、本明細書で使用する用語「空孔率」とは、電子顕微鏡(SEM)観察によって無作為に選出した範囲の面積に占める孔の割合を意味する。
本発明による多孔質炭素フィルムの製造方法は、本発明による多孔質ポリマーフィルムを使用することを特徴とし、それらが優れた多孔質炭素フィルム前駆体となるために、特殊な方法を使用することなく、簡便かつ効率的に多孔質炭素フィルムを提供することが可能である。より具体的には、本発明による多孔質炭素フィルムの製造方法は、先に示した製造方法に従って多孔質ポリマーフィルムを形成する工程と、上記多孔質ポリマーフィルムを炭素化して多孔質炭素フィルムを形成する工程とを有する。なお、多孔質ポリマーフィルム及びその製造方法の詳細については、先に説明したとおりである。
本明細書における用語「炭素化」とは、多孔質ポリマーフィルムを、好ましくは500〜3200℃、より好ましくは600℃〜3000℃の温度条件下で熱処理することを意味する。炭素化の温度が500℃未満の場合、多孔質炭素フィルムにおけるグラファイト層の形成が十分ではなく、機械的強度、導電特性等の諸特性が低下する傾向がある。また、炭素化の温度が3200℃を超える場合、グラファイト層を形成する炭素原子の一部又は殆どが昇華し、グラファイト層に欠陥が生じる傾向がある。
本発明において、炭素化は、真空下又は不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。上記不活性ガスとしては、窒素、水素、アルゴン、及びヘリウム等が挙げられる。2000℃未満の温度で炭素化を実施する場合は、真空下又は不活性ガス雰囲気下であれば、圧力の制限はない。2000℃以上の温度で炭素化を実施する場合は、炭素の昇華を防止するために0.1MPa以上の加圧状態にすることが好ましい。また、アルゴン等の希ガス雰囲気下で炭素化を実施することで、雰囲気ガスと炭素との反応が起こらないため好ましい。
本発明による多孔質炭素フィルムの製造方法では、炭素化の工程に先立ち、多孔質ポリマーフィルムを耐炎化処理する工程をさらに有することが好ましい。本明細書における用語「耐炎化」とは、多孔質ポリマーフィルムを200℃〜300℃の温度条件下で熱処理することを意味する。このような耐炎化工程を設けることによって、得られる多孔質炭素フィルムの炭素収率、弾性率、及び強度を向上させることが可能である。耐炎化処理に変えて、慣用の不融化処理を実施してもよい。不融化処理は、例えば、酸素存在下、多孔質ポリマーフィルムを200℃前後の温度に加熱することによって実施する。なお、上記耐炎化(不融化)処理は、当技術分野で周知であり、例えば、炭素繊維産業(近代編集社、森田健一著)で説明されている。具体的には、酸素雰囲気又は空気中で200〜300℃の温度条件で処理する工程を意味し、上述の説明では、炭素繊維に延伸を加えながら空気中200〜300℃で処理する方法を例示している。
本発明による多孔質炭素フィルムは、上述の製造方法に従って製造されることを特徴とし、本発明による多孔質ポリマーフィルムが優れた前駆体となり、適切な平均細孔径及び空孔率を有する多孔質炭素フィルムが提供される。本発明の多孔質炭素フィルムでは、多孔質ポリマーフィルム前駆体の形状変化が少なく、平均細孔径及び空孔率についても変化なく維持することが可能である。すなわち、本発明による多孔質炭素フィルムは、その実用面を考慮して、連続孔の平均細孔径は直径で10〜1000nmの範囲であり、空孔率は10〜70%の範囲であることが好ましい。
本発明による加工成形物は、燃料電池(電極材料、セパレータ)、リチウム電池、電荷二重層キャパシタ、電荷二重層コンデンサー及び複合材料の分野で使用される加工成形物を意味し、本発明による多孔質ポリマーフィルム又は多孔質炭素フィルムを含むことを特徴とする。加工成型物の具体例としては、充填材、濾過フィルター、放熱体、熱伝体、吸着膜、導電体、水素吸蔵体、強化材及び無機物担持体が挙げられる。本発明による多孔質ポリマーフィルムおよび多孔質炭素フィルムは均一な細孔径を有し、特に多孔質炭素フィルムについては優れた強度および導電性を示すため、上述の各種用途に有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、実施例によって本発明は限定されるものではない。各実施例で使用するポリマー及びそれらを含む溶液を以下のようにして調製した。
(実施例1)
本実施例は、第1のポリマーとして使用するアクリロニトリル系ポリマーの合成及びその溶液の調製に関する。
(1)アクリロニトリル系ポリマーの合成
撹拌機付き1000mLセパラブルフラスコに、アクリロニトリル54.0g、メトキシトリエチレングリコールアクリレート6.00g、連鎖移動剤のα−メチルスチレンダイマー0.18g、重合開始剤のペルオキソ二硫酸カリウム1.40g、及び蒸留水540gを出発原料として仕込み、窒素を導入しながら1時間攪拌した。次いで、60℃の湯浴でフラスコを加熱しながら、出発原料を6時間撹拌し、反応混合物を得た。室温まで冷却した後、濾過によって反応混合物から固形物を回収し、60℃で減圧乾燥することによって、アクリロニトリル単位が90重量%のアクリロニトリル系ポリマーを得た(収量:51.7g、収率:95.0%、重量平均分子量110万、分散度9.6)。
(2)ポリマー溶液の調製
撹拌機付き200mLセパラブルフラスコに、先に調製したアクリロニトリル系ポリマー20.0g、及びN−メチルピロリドン180gを仕込み、フラスコを60℃の湯浴で加熱しながら8時間撹拌することにより、アクリロニトリル系ポリマー溶液を得た。
(実施例2)
本実施例は、第2のポリマーとして使用するスルホン化ポリエーテルスルホンの合成及びその溶液の調製に関する。
(1)スルホン化ポリエーテルスルホンの合成
ディーンスタークトラップ、コンデンサー、撹拌機、及び窒素供給管を備えた500mLの4つ口丸底フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ナトリウム塩1水和物25.5g、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン14.4g、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル20.2g、炭酸カリウム16.6g、N−メチルピロリドン120mL、及びトルエン36mLを出発原料として仕込んだ。出発原料を160℃に加熱し、トルエンを留去しながら、4時間にわたって還流に供した。次いで、温度を200℃に昇温し、96時間攪拌して、反応混合物を得た。冷却後、反応混合物を2000mLの水中に注ぎ、それらを析出させて沈殿させた。沈殿物を濾過し蒸留水で十分に洗浄後、室温(25℃)下で12時間にわたって減圧乾燥することにより、スルホン化ポリエーテルスルホンを得た(収量:50.0g、収率:88.7%、重量平均分子量18万、分散度2.4)。
(2)ポリマー溶液の調製
コンデンサー、撹拌機、及び窒素供給管を備えた200mLの4つ口丸底フラスコに、先に調製したスルホン化ポリエーテルスルホン25.0g、及びN−メチルピロリドン46.5gを加え、160℃で加熱溶解することにより、スルホン化ポリエーテルスルホン溶液を得た。
(実施例3〜7)
実施例3〜7は、本発明による多孔質ポリマーフィルム及び多孔質炭素フィルムの製造に関する。
(1)混合液の調製
実施例1で得たアクリロニトリル系ポリマー溶液、及び実施例2で得たスルホン化ポリエーテルスルホン溶液をそれぞれ表1に示す配合比で同一容器内に秤量し、真空攪拌脱法装置を用いて室温で5分間にわたって攪拌することによって混合液を得た。
(2)多孔質ポリマーフィルムの製造
調製した混合液を、アプリケーターを用いてガラス板上に塗布した後、送風型乾燥機中で、温度120℃で0.5時間、160℃で2時間、180℃で0.5時間、更に200℃で0.25時間にわたって乾燥することにより、膜厚40±2μmのポリマーフィルムを得た。このポリマーフィルムを、10%硫酸水溶液に12時間含浸させた後、蒸留水で洗浄し、自然乾燥させた。次いで、硫酸水溶液で処理したポリマーフィルムを、耐圧密閉容器において、3%過酸化水素水に5ppm硫酸鉄(II)を加えて調製した溶液(Fenton試薬)中に浸し、80℃で4時間保持し、スルホン化ポリエーテルスルホンに由来する相を除去した。これを蒸留水で洗浄し、更に120℃の送風乾燥機で15分にわたって乾燥させることにより、膜厚40±2μmの多孔質ポリマーフィルムを得た。
(3)多孔質炭素フィルムの製造(不融化及び炭素化)
作製した多孔質ポリマーフィルムについて、5℃/minで150℃まで、次いで0.5℃/minで250℃まで昇温し、引き続き250℃で5時間保持することによって、不融化処理を行い、多孔質炭素フィルム前駆体を得た。この多孔質炭素フィルム前駆体を、窒素気流中、5℃/minで1000℃まで加温し、30分間保持することによって炭素化を実施し、膜厚38±2μmの多孔質炭素フィルムを得た。
(4)評価
各実施例で得られた多孔質炭素フィルムの電子顕微鏡(SEM)写真を、図2〜4(順に実施例5〜7に対応)に示す。実施例5〜7のいずれも、多孔質炭素フィルムにおいて、ほぼ均一な連続孔が観察された。このことから、多孔質ポリマーフィルムも同様に多孔質形状を有することを確認した。各実施例で得られた多孔質炭素フィルムの空孔率を表2に示す。
(比較例1)
本実施例は、第2のポリマーとして酸性基を含有しないポリマーを使用して製造されるポリマーフィルム及び炭素フィルムに関する。
(1)ポリマー溶液の調製
ポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン社製;アクリペットMD)15.0g、及びN−メチルピロリドン35.0gを、50ccのガラス製サンプル瓶の中に入れ、80℃で5時間加熱することにより、ポリメタクリル酸メチル溶液を得た。この溶液10.0gと実施例2で調製したアクリロニトリル系ポリマー溶液20.0gとを均一になるまで混合し、混合液を得た。
(2)ポリマーフィルムの製造
調製した混合液を、アプリケーターを用いてガラス板上に塗布した後、送風型乾燥機中で、温度80℃で0.5時間、100℃で0.5時間、120℃で0.5時間、更に200℃で0.25時間にわたって乾燥することにより、膜厚40μmのポリマーフィルムを得た。このフィルムをアセトン中に4時間にわたって浸漬し、アセトンで洗浄した後、室温下で乾燥し、酸性基を含有しない(ポリメタクリル酸メチル−アクリロニトリル系ポリマー)ポリマーフィルムを得た。膜厚は40μmであった。
(3)炭素フィルムの製造(不融化、炭素化)、及び評価
作製したポリマーフィルムについて、150℃まで5℃/min、250℃まで0.5℃/minで昇温し、250℃で5時間保持することによって、不融化処理を実施した。次いで、このフィルムを、窒素気流中、5℃/minで1000℃まで加温し、30分保持することによって炭素化を実施し、膜厚40μmの炭素フィルムを得た。得られた炭素フィルムの電子顕微鏡(SEM)写真を図5に示す。図5から分かるように、炭素フィルムにおいて、多孔質形状を確認することはできなかった。これは、酸性基の欠如によって良好な相分離状態を造り出すことが出来なかったか、あるいはそれを維持することができなかったためと思われる。
(比較例2)
本実施例は、第2のポリマーの除去を実施せずに製造されるポリマーフィルム及び炭素フィルムに関する。
表1に示した実施例5の多孔質ポリマーフィルムについて、スルホン化ポリエーテルスルホンに由来する相の除去を実施せずに、150℃まで5℃/min、250℃まで0.5℃/minで昇温し、250℃で5時間保持の不融化処理を行った。このフィルムを窒素気流中、5℃/minで1000℃まで加温し、30分にわたって保持することで炭素化を実施し、膜厚38μmの炭素フィルムを得た。得られた炭素フィルムの電子顕微鏡(SEM)写真を図6に示す。図6から分かるように、炭素フィルムにおいて、多孔質形状を確認することはできなかった。アクリロニトリル系ポリマーに由来する相とともに、スルホン化ポリエーテルスルホンに由来する相も炭素化し、本来孔を形成すべき領域も埋めてしまったためと思われる。
本発明におけるミクロ相分離(海島構造)について説明する模式図である。 実施例5で得た多孔質炭素フィルムの電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例6で得た多孔質炭素フィルムの電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例7で得た多孔質炭素フィルムの電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1で得た多孔質炭素フィルムの電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例2で得た多孔質炭素フィルムの電子顕微鏡(SEM)写真である。
符号の説明
10 第1のポリマーからなる連続相(海)
20 第2のポリマーからなる分散相(島)

Claims (16)

  1. 多孔質ポリマーフィルムの製造方法であって、
    (a)アクリロニトリル単位を含む第1のポリマーと、前記第1のポリマーと非相溶性であり、かつ分子内に酸性基を有する第2のポリマーとを溶媒中で混合し、ミクロ相分離した混合液を形成する工程と、
    (b)前記混合液から、前記第1のポリマーからなる連続相に前記第2のポリマーがミクロ相分離して存在するポリマーフィルムを形成する工程と、
    (c)前記ポリマーフィルムから第2のポリマーを除去し、ポリマーフィルムに複数の連続孔を形成する工程と
    を有することを特徴とする、多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  2. 前記第2のポリマーが、分子内にスルホン酸基を有するポリマーを含有することを特徴とする、請求項1に記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  3. 前記第2のポリマーのポリスチレン換算による重量平均分子量が、2,000〜100万であることを特徴とする、請求項1または2に記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  4. 前記分子内にスルホン酸基を有するポリマーが、スルホン酸基を10〜80モル%有することを特徴とする請求項2または3に記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  5. 前記第1のポリマーが、70重量%以上のアクリロニトリル単位を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  6. 前記第1のポリマーのポリスチレン換算による重量平均分子量が、1万〜150万であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  7. 前記混合液における第1のポリマーの含有量が、前記第1及び前記第2のポリマーの全重量を基準として20重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  8. 前記工程(c)が、エッチングによって実施されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  9. 前記多孔質ポリマーフィルムの膜厚が、0.1〜1000μmであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の多孔質ポリマーフィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法によって得られる多孔質ポリマーフィルムであって、連続孔の平均細孔径が10〜1000nm、および空孔率が10〜70%であることを特徴とする多孔質ポリマーフィルム。
  11. 請求項10に記載の多孔質ポリマーフィルムを備えることを特徴とする加工成形物。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法に従って多孔質ポリマーフィルムを形成する工程と、
    前記多孔質ポリマーフィルムを炭素化して多孔質炭素フィルムを形成する工程と
    を有することを特徴とする、多孔質炭素フィルムの製造方法。
  13. 前記炭素化する工程に先立ち、前記多孔質ポリマーフィルムを耐炎化する工程をさらに有することを特徴とする請求項12に記載の多孔質炭素フィルムの製造方法。
  14. 前記炭素化する工程が、真空下又は不活性ガス雰囲気下で前記多孔質ポリマーフィルムを加熱処理することによって実施されることを特徴とする請求項12又は13に記載の多孔質炭素フィルムの製造方法。
  15. 請求項12〜14のいずれかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする多孔質炭素フィルムであって、連続孔の平均細孔径が10〜1000nm、および空孔率が10〜70%であることを特徴とする多孔質炭素フィルム。
  16. 請求項15に記載の多孔質炭素フィルムを備えることを特徴とする加工成形物。
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