JP2006328175A - 環状オレフィン系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Abstract
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、特定の環状オレフィン化合物を含む単量体を開環重合し、さらに、炭素・炭素不飽和結合の少なくとも90%以上が水素化された環状オレフィン開環(共)重合体[I]100重量部と、特定の縮合型リン酸エステル化合物
[II]2〜40重量部とを含むことを特徴とする。
【効果】
本発明によれば、環状オレフィン開環(共)重合体が本来有する好ましい透明性、耐熱性および機械特性が維持されるとともに、難燃性に優れた環状オレフィン系樹脂組成物を提供することができる。また、この組成物から形成されるフィルム等の成形体は、光学材料をはじめ電気・電子部品の材料などとして有用である。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、水素化された環状オレフィン開環重合体は燃焼しやすいため、安全上の観点から、電気・電子部品の封止材料、保護膜材料、絶縁材料などとしての使用が制限されていた。
特定の環状オレフィン化合物由来の構造単位を有し、水素化された環状オレフィン開環(共)重合体と、特定の構造を有する縮合型リン酸エステル化合物とを、特定の割合で複合化することにより、透明性、耐熱性および機械特性に優れるとともに、難燃性に優れた環状オレフィン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
下記一般式(1)で表される構造単位を、少なくとも90%以上有する環状オレフィン開環(共)重合体[I]100重量部と、
下記一般式(2)で表される縮合型リン酸エステル化合物[II]2〜40重量部とを含むことを特徴とする。
上記環状オレフィン開環(共)重合体[I]は、上記式(1)中のmが1である構造単
位を、全構造単位中40mol%以上含むことが好ましく、あるいは、
上記式(1)中のA1〜A4の少なくとも1つが、加水分解性のシリル基、アルコキシカルボニル基、オキセタニル基、カルボンイミド基、カーボナート基、グリシジル基および酸無水物基からなる群より選ばれる置換基である構造単位を、全構造単位中30mol%以上含むことが好ましい。
ることが好ましく、あるいは、
該環状オレフィン開環(共)重合体[I]のガラス転移温度は、100℃〜250℃の
範囲内にあることが好ましい。
上記環状オレフィン系樹脂組成物は、波長500nmの光線に対する光線透過率(ASTM-D1003)が85%以上である、膜厚100μmのフィルムを形成することができることが好ましい。
したがって、本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物から形成されるフィルム等の成形体は、光学材料をはじめ電気・電子部品の材料などとして有用である。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、環状オレフィン開環(共)重合体[I]と縮
合型リン酸エステル化合物[II]とを含む。
本発明に用いられる環状オレフィン系開環(共)重合体[I]は、下記一般式(4)で
表される環状オレフィン化合物を含む単量体を開環重合し、水素化することによって得られる。上記環状オレフィン化合物を開環重合することにより、上記式(1)で表される構造単位が形成される。
なお、本発明において、環状オレフィン開環(共)重合体とは、1種の環状オレフィン化合物の単独重合体、2種以上の環状オレフィン化合物の共重合体、または少なくとも1種以上の環状オレフィン化合物と環状オレフィン化合物以外の単量体との共重合体を表す。
極性基および官能基を置換基として有しない単量体としては、たとえば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(1−ブテニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ペンチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘプチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(エチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,6−ベンゾビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、
3,4−ベンゾトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
4,5−ベンゾトリシクロ[6.2.1.02,7]ノナデカ−9−エン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
などが挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸2−フルオロエチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸2−フルオロエチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t-ブチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチルカルボン酸メチル−2−カルボン酸メチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、
4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチル
などが挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸ジエチルブチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸トリエチルシリル
などが挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−無水カルボン酸、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−exo−無水スクシン酸、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−無水カルボン酸などが挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−メチル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−エチル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−ブチル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−シクロヘキシル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−(2’−エチルフェニル)−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−(2’,6’−ジメチルフェニル)−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−(2’−メチルフェニル)−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−(2’,4’−ジメトキシフェニル)−2,3−カルボンイミド
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−N−シクロヘキシル−スクシンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−N−フェニル−スクシンイミド、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−N−シクロヘキシル−4,5−カルボンイミド、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−N−メチル−4,5−カルボンイミド、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−N−(2’−メチルフェニル)−4,5−カルボンイミド、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−N−(2’,4’−ジメトキシフェニル)−4,5−カルボンイミド
などが挙げられる。
5−[(3−エチル−3−オキタセニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[(3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル
などが挙げられる。
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
9−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−エチルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−シクロヘキシルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−フェニルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジメチルメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エ
ン、
9−トリクロロシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジクロロメチルシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロジメチルシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジクロロメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロメチルメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
などが挙げられる。
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−3’,4’−ジメチル−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−3’−メチル−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−4’,4’−ジメチル−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
9−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
などが挙げられる。
位を40mol%以上、より好ましくは50mol%以上、さらに好ましくは60mol%以上含むこととなるように、上記単量体を用いることが望ましい。上記環状オレフィン開環(共)重合体[I]が、このような構造単位を有することによって、環状オレフィン
開環(共)重合体[I]と縮合型リン酸エステル化合物[II]との相溶性が向上する。ま
た、透明性および難燃性に優れた組成物を得ることができる。
も1つに、加水分解性のシリル基、アルコキシカルボニル基、オキセタニル基、カルボンイミド基、カーボナート基、グリシジル基および酸無水物基からなる群より選ばれる置換基を有する構造単位を30mol%以上、より好ましくは40mol%以上、さらに好ましくは50mol%以上含むこととなるように、これら極性の置換基を有する単量体を用
いることが望ましい。上記環状オレフィン開環(共)重合体[I]が、このような構造単
位を有することによって、環状オレフィン開環(共)重合体[I]と縮合型リン酸エステ
ル化合物[II]との相溶性が向上する。また、透明性および難燃性に優れた組成物を得ることができる。
上記環状オレフィン開環(共)重合体[I]は、まず、上記式(4)で表される環状オ
レフィン化合物を含む単量体を用いて、タングステン触媒、モリブテン触媒、ルテニウム触媒、レニウム触媒、チタン触媒などを用い、炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒で、10〜150℃で開環重合し、次に、ニッケル触媒、パラジウム触媒、ルテニウム触媒、ロジウム触媒などを用い、水素ガスにより、10〜220℃、1.0〜15.0MPaで水素化することにより得られる。
(1)単成分系触媒
上記単成分系触媒としては、タングステン錯体、モリブテン錯体、チタン触媒などが挙げられ、具体例としては、
W(OR’)2(=NAr)[=CH-C(Me)2R]、
Mo(OR’)2(=NAr)[=CH-C(Me)2R]、
W(Br)2[OCH2(t-Bu)][=CH(t-Bu)]、
W(CO)4[=C(OMe)(CH2CH2CH=CH2)]、
RuCl2[PPh3]2(=CHCO2Et)、
RuCl2[PCy3]2(=CH-Ph)、
Bis(cyclopentadienyl)3,3-dimetyltitanacyclobutane、
Bis(cyclopentadienyl)3-t-butyltitanacyclobutane
などが挙げられる(それぞれ、Ar:2,6-diisopropyl phenyl、Me:methyl、R:methyl、phenyl、t-Bu:t-butyl、-C(Me)2CF3、-C(Me)(CF3)2、Ph:phenyl、Cy:cyclohexylを示す。)。
上記多成分系触媒は、下記の(a)成分と(b)成分とから形成される触媒である。さらに活性を向上させるために、必要に応じて(a)成分および(b)成分に、活性向上剤として(c)成分を加えてもよい。
(b)アルキルアルミニウム化合物、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機スズ化合物、AlまたはLiのヒドリド化合物などから選ばれた化合物
(c)水、酸素、イソプロパノール、t-ブタノール、アセトアルデヒド、アセトアル
デヒドジエチルアセタール、エチレンオキシド、プロピレンオコシド、エピクロルヒドリン、テトラブチルアンモニウムクロライド、三臭化アルミニウムなどから選ばれた化合物。
子量調節剤との量比、単量体の重合体への転化率、重合温度などにより制御することができる。
触媒成分の除去は、重合体溶液に乳酸、リンゴ酸、シュウ酸などの化合物および水/アルコールを添加し、水/アルコール相に触媒成分を移行し、重合体溶液から触媒成分を分離・除去することによって行うことができる。また、他の方法として、活性炭、アルミナ、シリカ、粘土などで触媒成分を吸着し、これをろ過することにより、重合体溶液から触媒成分を除去する方法も用いることができる。
、RuCl2[PPh3]3、RuHCl(Co)[PPh3]3、RhHCl(Co)[PPh3]3、
IrHCl(Co)[PPh3]3等のルテニウム、ロジウム、イリジウム錯体などの均一触媒が挙げられる。
上記水素化された開環(共)重合体の回収は、重合体溶液から直接溶媒を除去する方法、上記アルコール、ケトン等の貧溶媒で重合体を凝固して分離する方法など、公知の方法によって回収することができる。
テル化合物[II]との相溶性の点から、25℃で、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒に溶解することが好ましい。
250℃、好ましくは120℃〜230℃、より好ましくは130℃〜200℃であることが望ましい。上記ガラス転移温度が上記範囲よりも低いと耐熱性の点で問題を生じるこ
とがあり、一方、上記範囲を超えると開環(共)重合体の靱性が低下する傾向にある。
トグラフィー(GPC)法によって測定され、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000〜200,000、好ましくは30,000〜100,000であり、重量平均分子量(Mw)が30,000〜300,000、好ましくは50,000〜200,000であることが望ましい。MnおよびMwが上記範囲よりも低いと、機械的強度および伸びが小さく、フィルムまたはシートとした際に割れやすくなる傾向にある。一方、上記範囲を超えると、フィルムまたはシートを作製する際に、溶液キャスト法(流延法)においては、重合体の溶液粘度が高くなりすぎるため取り扱いが困難となり、また、押し出し成形法または射出成形法においては、加工が困難となる傾向にある。
本発明に用いる縮合型リン酸エステル化合物[II]は、上記式(2)で表される。このような構造を有する縮合型リン酸エステル化合物[II]は、環状オレフィン開環(共)重合体[I]との相溶性が高く、透明性に優れた組成物を得ることができるため好ましい。
1,3−ビス(フェニルホスフォリル)ベンゼン
1,3−ビス(ジフェニルホスフォリル)ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(アルキルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’,6'−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’,6'−ジエチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジイソプロピルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジブチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’−t−ブチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’−イソプロピルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン
1,3−ビス[ジ(2’−メチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス(ジフェニルホスフォリル)ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジエチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジイソプロピルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’−t−ブチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’−イソプロピルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’−メチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
4,4’−ビス[ジ(2”,6”−ジメチルフェニル)ホスフォリルフェニル]ジメチルメタン
などが挙げられる。
ができ、さらに耐熱性および機械特性も低下しにくいためより好ましい。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、環状オレフィン開環(共)重合体[I]10
0重量部に対して、難燃剤として縮合型リン酸エステル化合物[II]を2〜40重量部、好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部の範囲で含んでいることが望ましい。上記縮合型リン酸エステル化合物[II]の量が上記範囲よりも低いと、充分な難燃性が得られない傾向にあり、一方、上記範囲を超えると、透明性の点で問題を生じることがあり、また、機械特性が大きく低下する傾向にある。
上記環状オレフィン系樹脂組成物の透明性などの諸特性を損なわない範囲で、必要に応じて上記の樹脂組成物に他の難燃剤を添加することができる。上記の他の難燃剤としては、たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、下記式(5)で表される10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなどが挙げられる。
クトン系、リン系、チオエーテル系などの酸化防止剤を、0.01〜5重量部添加することにより、さらに耐熱劣化性を改良することができる。
シフェニル)プロピオン酸ステアレート、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタ
エリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、ハイドロキノン系酸化防止剤、ビス−(2
,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト等のリン系2次酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等のイオウ系2次酸化防止剤などが挙げられる。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物から形成される成形体は、種々の材料として用いられる。
縮合型リン酸エステル[II]を含む上記の樹脂組成物を、均一かつ透明に溶解できるため、芳香族化合物を用いることが好ましい。これにより、透明性および機械特性に優れた成形体を得ることができる。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、優れた透明性、耐熱性、機性械特性および難燃性を活かして、光学材料をはじめ電気・電子部品の封止材料、保護膜材料、絶縁材料などとして有用である。
上記電気・電子部品としては、たとえば、プリント配線基板の銅張積層板、高密度実装基板のビルドアップ多層配線層の層間絶縁膜、半導体パッケージ基板の絶縁材、半導体部品のトランスファー成型材の封止材、アンダーフィル用封止材、バッファーコート膜、パシベーション膜、ソルダーレジストの保護膜などが挙げられる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、環状オレフィン開環(共)重合体の分子量(Mn、Mw)、ガラス転移温度(Tg)、共重合体中の組成解析、および環状オレフィン系樹脂組成物の残溶媒量、全光線透過率、難燃性、破断強度・破断伸びは下記の方法で測定した。
ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で、東ソー(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数:10Hz、昇温速度:4℃/分、加振モード:単一波形、加振振幅:2.5μmの条件でTanδのピーク温度を測定した。
重合終了後の重合体溶液に残留する単量体を、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定し、共重合体中の組成を求めた。
環状オレフィン系樹脂組成物中のトルエン以外の残留溶媒量を測定する場合、1gのフィルムをトルエン20mLに溶解または膨潤させて、フィルム中の残留溶媒を抽出し、ガスクロマトグラフィー装置HP−5890(ヒューレット・パッカード社製)に、カラムPoraplotQ(ヒューレット・パッカード社製)を装着して残留溶媒量を測定した。また、フィルム中の残留トルエン量を測定する場合には、1gのフィルムをシクロヘキサン20mLまたはアセトン20mLに溶解または膨潤させて、上記同手法で測定し、定量した。
ASTM-D1003に準拠し、環状オレフィン系樹脂組成物を、厚さ約100μmのフィルムにして、全光線透過率を測定した。
(難燃性測定評価法1)
環状オレフィン系樹脂組成物からなるフィルムを50mm×200mmに切り、直径12.7mm、長さ200mmの筒状になるように丸め、その筒状にしたフィルムの一端が地面と対面し、その長手方向が地面と垂直になるように把持した。次に、他端を約20mmの火炎に3秒間さらした後離炎した。離炎後のフィルムの燃焼状態を観察し、4段階評価(◎:5秒以内に自己消火する、○:7秒以内に自己消火する、△:10秒以内に自己消火する、×:10秒以内に自己消火しない、または燃え尽きる)した。◎、○および△を良好と判断した。
難燃性測定評価法1による評価後、消火直後に、再び端部を約20mmの火炎に3秒間さらした後離炎した。この操作をさらに2回繰り返し、離炎後消火に至るまでの時間の合計を3段階評価(◎:7秒以内に自己消火する、○:10秒以内に自己消火する、×:10秒以内に自己消火しない)した。◎および○を良好と判断した。
JIS K7113に準じて、試験片を引っ張り速度3mm/minで測定した。
[参考例1]
300mLのガラス製耐圧ビンに、窒素雰囲気下で、溶媒のトルエン80mL、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル170mmol、および分子量調節剤として1−ヘキセン42.5mmolを仕込んだ
。これに、触媒成分としてトリエチルアルミニウム0.119mmol、六塩化タングステンのメタノール変性物[メタノール/タングステン=3(mol/mol)]0.017mmolを、この順に加えた。80℃で2時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。単量体の環状オレフィン開環重合体への転化率は97%であった。重合反応溶液に水660mLおよび乳酸47.5mmolを加えて攪拌した後、静置分離した。重合反応溶液から、触媒成分の反応物を含む水相を除去した。この重合反応溶液をイソプロパノール3Lに加えて、開環重合体を凝固することで、未反応単量体を除去した。これを真空下、50℃で15時間乾燥し、環状オレフィン開環重合体Aを得た。
メトキシカルボニル基に基づく3.2〜3.6ppmの吸収と、水素化されずに残った開環重合体の二重結合に隣接する水素に基づく5.4〜5.8ppmの吸収との相対比から算出した。また、開環重合体AHのMnは19,000、Mwは75,000であり、Mw/Mnは3.7であった。また、開環重合体AHのTgは168℃であった。
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン34mmol、4−メチルテ
トラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル136mmolを添加した以外は、参考例1と同様の方法で、環状オレフィン開環共重合体Bおよび水素化された環状オレフィン開環共重合体BHを得た。1H−NMR測定から求め
られた水素化率は99.8%であった。開環共重合体BHのMnは18,000、Mwは72,000であり、Mw/Mnは4.0であった。また、開環共重合体BHのTgは148℃であった。開環共重合体BHのトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−
ジエン由来の構造単位の割合は19.5mol%であった。
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル85mmol、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−N−(2’,4’−ジメトキシフェニル)−4,5−カルボンイミド85mmolを添加した以外は、参考例1と同様の方法で、環状オレフィン開環共重合体Cおよび水素化された環状オレフィン開環共重合体CHを得た。1H−NMR測定から求められた水素化率は99.8%であっ
た。開環共重合体CHのMnは29,000、Mwは89,000であり、Mw/Mnは4.0であった。また、開環共重合体CHのTgは140℃であった。開環共重合体CHのテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−N−(2’,6’−ジメトキシフェニル)−4,5−カルボンイミド由来の構造単位の割合は45mol%であった。
開環重合体AH100重量部に対して、難燃剤として1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)3重量部、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重量部およびトリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.3重量部を添加して、20重量%トルエン溶液を作製した。
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)10重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚100μmのフィルム2を得た。フィルム2は、Tgが163℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)30重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚103μmのフィルム3を得た。フィルム3は、Tgが162℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
開環共重合体BHを用いた以外は、実施例2と同様の方法で、膜厚101μmのフィルム4を得た。フィルム4は、Tgが143℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)5重量部、および10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド5重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚105μmのフィルム5を得た。フィルム5は、Tgが162℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジブチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン10重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚100μmのフィルム6を得た。フィルム6は、Tgが160℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
開環共重合体CHを用いた以外は、実施例2と同様の方法で、膜厚102μmのフィルム7を得た。フィルム7は、Tgが137℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)1重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚98μmのフィルム8を得た。フィルム8は、着火後自己消火しなかった。その他の結果を表1に示す。
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)50重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚103μmのフィルム9を得た。フィルム9は、難燃性に問題はないが、白濁しており非常に脆いフィルムであった。その他の結果を表1に示す。
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)の代わりに、トリオクチルホスフェート20重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚102μmのフィルム10を得た。フィルム10は、難燃性に劣っていた。その他の結果を表1に示す。
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)の代わりに、水酸化アルミニウム20重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚100μmのフィルム11を得た。フィルム11は、白濁しており、難燃性に劣っていた。その他の結果を表1に示す。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表される構造単位を少なくとも90%以上有する環状オレフィン開環(共)重合体[I]100重量部と、
下記一般式(2)で表される縮合型リン酸エステル化合物[II]2〜40重量部とを含む環状オレフィン系樹脂組成物。
- 前記環状オレフィン開環(共)重合体[I]が、前記式(1)中のmが1である構造単
位を、全構造単位中40mol%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂組成物。 - 前記環状オレフィン開環(共)重合体[I]が、前記式(1)中のA1〜A4の少なくと
も1つが、加水分解性のシリル基、アルコキシカルボニル基、オキセタニル基、カルボンイミド基、カーボナート基、グリシジル基および酸無水物基からなる群より選ばれる置換基である構造単位を、全構造単位中30mol%以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載の環状オレフィン系樹脂組成物。 - 前記環状オレフィン開環(共)重合体[I]が、25℃で芳香族炭化水素溶媒に溶解す
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂組成物。 - 前記環状オレフィン開環(共)重合体[I]のガラス転移温度が、100℃〜250℃
の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂組成物。 - 波長500nmの光線に対する光線透過率(ASTM-D1003)が85%以上である、膜厚100μmのフィルムを形成することができることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
- 前記成形体が、フィルムまたはシートであることを特徴とする請求項8に記載の成形体。
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