JP2006327190A - Icカードまたはicタグ用熱接着性ポリエステルフィルム、それを用いたicカードまたはicタグの製造方法、及びicカードまたはicタグ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二軸延伸ポリエステルフィルムの片面または両面に、熱接着層を積層してなる熱接着性ポリエステルフィルムであって、熱接着層は、厚みが5〜30μmであり、ガラス転移温度が50〜95℃の非晶性ポリエステル樹脂Aとこれに非相溶な熱可塑性樹脂Bの混合物からなり、熱可塑性樹脂Bは、ガラス転移温度が−50〜150℃の非晶性樹脂であり、熱接着層中に1〜30質量%含有されていることを特徴とする熱接着性ポリエステルフィルム。
【選択図】図1
Description
(1)空洞含有ポリエステルフィルム表面に、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレンオキサイド共重合体を積層した構成からなる断熱性包装材料用フィルム(例えば、特許文献1を参照)
(2)ポリエステルフィルムの表面に、結晶性ポリエステルと低結晶性の共重合ポリエステルの混合物を積層した構成からなる包装材料用または電気絶縁用フィルム(例えば、特許文献2を参照)
(3)ポリエステルフィルムの表面に、二種類の共重合ポリエステル樹脂を混合した樹脂を積層してなる包装材料用フィルム(例えば、特許文献3〜4を参照)
(4)空洞含有ポリエステルフィルムの表面に少なくとも一種類の共重合ポリエステル樹脂を混合した樹脂を塗布した包装材料用または印刷材料用フィルム(例えば、特許文献5〜6を参照)
(5)ポリエステルフィルムの表面に共重合ポリエステル樹脂とシリカ粒子の混合物を積層した金属板ラミネートまたは包装材料用フィルム(例えば、特許文献7〜10を参照)
(6)ポリエステルフィルムの表面に共重合ポリエステル樹脂または共重合ウレタン樹脂と、シリカ粒子または炭酸カルシウム粒子、ゼオライト粒子などの混合物を塗布したコンデンサー用フィルム(例えば、特許文献11〜14を参照)
(1)賦形率:40〜105%
(2)賦形部の外縁の勾配:20〜1000%
ここで賦形率とは、アンテナ回路または銅箔片を熱接着層の表面にのせ、熱プレスした後、常温常圧でアンテナ回路または銅箔片を取り除いた際に、アンテナ回路または銅箔片によって生じた熱接着層のくぼみの深さであり、賦形部の外縁の勾配とは、このくぼみの外縁における壁面の勾配である。
本発明の熱接着性ポリエステルフィルムは、基材として二軸延伸ポリエステルフィルムを用いているため、ICカードまたはICタグに用いた際に、環境適性(ハロゲンをを含まない)、耐熱性、耐薬品性に優れている。
熱接着層は、厚みが5〜30μmであり、ガラス転移温度が50〜95℃の非晶性ポリエステル樹脂Aとこれに非相溶な熱可塑性樹脂Bの混合物からなり、熱可塑性樹脂Bは、ガラス転移温度が−50〜150℃の非晶性樹脂であり、熱接着層中に1〜30質量%含有されていることを特徴とする。
本発明の熱接着性ポリエステルフィルムは、基材とその基材の片面または両面に熱接着層が積層された構成からなる。基材としては、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いることが、環境適性(ハロゲン化合物を含まない)のほか,耐熱性や耐薬品性、強度、剛性などの点から重要である。これによって、従来使用されてきた無配向のPVCシートやPETGシートなどに比べ、これらの特性が飛躍的に向上する。
本発明の熱接着性ポリエステルフィルムにおいて、熱接着層は非晶性ポリエステル樹脂Aを主たる構成成分とすることが重要である。
以下、熱可塑性樹脂Bとして用いることができる非晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹脂について説明する。
本発明の熱接着性ポリエステルフィルムは、少なくとも一層の二軸延伸ポリエステルフィルム層を基材とする。この層は従来公知の方法によって容易に光学特性や力学特性を調節することができる。すなわち、本発明の熱接着性ポリエステルフィルムを白色または高隠蔽性のICカードまたはICタグとして用いる際には、基材フィルム中に微細空洞を多数含有させたり、白色顔料を含有させたりすることが好ましい実施形態の一つである。また、隠蔽性を必要としない場合で、透明性や強度が優先的に求められる場合には、極力、無機粒子や異物などを含まない二軸延伸ポリエステルフィルムを用いることが好ましい実施形態の一つである。
本発明のICカードまたはICタグは、プラスチックフィルムにアンテナ回路及びICチップを設けたインレットの片面または両面に、前記の熱接着性フィルムを配置し、熱接着性フィルムの熱接着層を介してインレットを熱プレスして接着させたコアシートを構成要素として用いることで製造できる。また、ICカードまたはICタグのより好ましい製造方法は、前記のコアシートの両面に、さらにポリエステルシート(例えば、無配向のPETGシート)または二軸延伸ポリエステルフィルムを積層し、次いで熱プレスして、各部材を貼り合わせて一体化させる方法である。
(1)樹脂の融点とガラス転移温度
JIS K 7121に記載の「プラスチックの転移温度測定方法」により、DSC測定を行った。サンプルは、拡大鏡つきミクロトームを用いてフィルムより熱接着層を切削した小片約10mgを、アルミパンに密封して300℃で3分間溶融し、液体窒素でクエンチしたものを用いた。測定器には示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製、EXSTAR6200DSC)を用い、乾燥窒素雰囲気下で実施した。室温より10℃/分の速さで加熱して中間点ガラス転移温度を求めた後、融解ピーク温度(融点)を求めた。
JIS K 7122に記載の「プラスチックの転移熱測定方法」により融解熱量を求めた。DSC測定の詳細は上記の融点の測定と同様にした。
JIS K 7130に記載の「発泡プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」により測定した。測定器は電子マイクロメーター(マール社製、ミリトロン1240)を用いた。測定すべきフィルムの任意の4箇所より5cm角サンプル4枚を切り取り、一枚あたり各5点(計20点)測定して平均値を厚みとした。
測定すべきフィルムの任意の3箇所より小片を切り取った。ミクロトームを用いてこの小片を切削し、フィルム表面に直交するフィルム断面を作成した。この断面に白金パラジウム合金をスパッタリングしてサンプルとし、走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S2500)を用いて断面を検鏡した。フィルム全厚みが一視野に含まれる適切な倍率で観察して、各層の厚みを測定した。測定は各視野あたり3箇所で行い、合計9箇所の平均値をもって積層厚みとした。
測定すべきフィルムの任意の3箇所より小片を切り取り、除電ブロワーで塵などを注意深く取り除いた。この熱接着層表面を非接触型三次元形状測定装置(Micromap社製、Micromap557)で測定した。光学系にはミロー型二光束干渉対物レンズ(10倍)とズームレンズ(Body Tube,0.5倍)を使用し、5600オングストロームの光源を用いて、2/3インチCCDカメラで受光した。測定はWAVEモードで行い、1619μm×1232μmの視野を640×480ピクセルのデジタル画像として処理した。画像の解析には解析ソフトウェア(Micromap123、バージョン4.0)を用いて、1次関数モードで傾斜除去(Detrending)した。これにより上記3サンプルの表裏それぞれ5視野(合計30視野)の算術平均表面粗さを測定して、その平均値を表面粗さ(Sa)とした。
作成したICカードまたはICタグについて、インレットの回路面と熱接着層との間の接着面を注意深く剥離した。この熱接着層の剥離面において界面剥離している部分を選び、プリント回路の圧痕の段差を視野に含むようにして上記(5)と同様に三次元形状の画像を得た。同ソフトウェアの断面解析機能によって、圧痕の段差と直交する断面形状プロファイルを得た。このプロファイルから、プリント回路による圧痕の深さを求め、もとのプリント回路の高さ(10μm)で除して賦形率を求めた。また、圧痕の外縁部分において、圧痕部から非圧痕部に至る段差について勾配(段差中央部を含み、段差の約1/3部分での勾配)を求め、賦形部外縁の勾配とした。なお、観察は3視野について行って合計15プロファイルの平均値を評価した。
JIS K 7125に記載の「発泡プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数の試験方法」により測定した。測定器は引張り試験機(島津製作所製、AG1KNI)を用いた。測定すべきフィルムの任意の5箇所よりサンプル10枚を切り取り、フィルムの表裏両面を対向させて測定した。滑り片に加える荷重は1500gとし、合計5回の平均値を静摩擦係数とした。
任意の5箇所より切り取った100mm四方のサンプル5枚について、JIS K 7222に記載の「発泡プラスチック及びゴム−見かけ密度の測定」により測定した。測定は室温で行い、平均値をもって見かけ密度とした。なお、表記を簡便にするため単位はg/cm3に換算した。
透過光学濃度計(マクベス社、RD−914)を用いて、白色光での光学濃度を測定した。測定すべきサンプルの任意の5箇所より切り取った50mm四方のサンプル5枚について測定を行い、その平均値を光線透過率(%)に換算した。
測定すべきフィルムを任意の3箇所より長手方向に100mm、幅方向に50mmに枚葉状に切り出し、無荷重の状態で、110℃で30分間加熱処理した後、フィルムの凸部を下にして水平なガラス板上に静置して、ガラス板と立ち上がったフィルム4隅の下端との垂直距離を最小目盛り0.5mm単位で定規を用いて測定し、この4箇所の測定値の平均値をカール値とした。3枚について測定を行い、この平均値をカール値とした。
作成したICカードまたはICタグで、アンテナ回路または銅箔を配した部位の外縁部を三次元形状測定装置(菱化システム社製、マイクロマップTYPE550、対物レンズ10倍)を用いて、WAVEモードで観察した。アンテナ回路または銅箔の有無によって生じる段差を三視野(一視野あたり三箇所)観測し、その平均値を求めた。段差が小さいほど凹凸吸収性に優れると評価し、段差が3μm未満の場合を◎、3μm以上6μm未満の場合を○とし、6μm以上の場合を×とした。なお、銅箔を用いた場合、ICカードまたはICタグとしての機能はないが、熱接着性フィルムを用いてカードまたはタグを作成した際の凹凸吸収性のモデル評価法として用いることができる。
作成したICカードまたはICタグについて、手作業により剥離した。全く熱接着していないものを×、全面的に界面剥離するものを△、熱接着層が大部分で凝集破壊するものを○、材料破壊するものを◎とした。
作成したICカードまたはICタグを清浄で平らなステンレス鋼板(SUS304、厚さ0.8mm)上に静置し、オーブンを用いて空気雰囲気下、120℃で24時間加熱保持した。加熱前後の試料外観(光沢損失や変色、曇り、ひび割れ、変形、融解、融着)を目視評価し、加熱前後で差異の認められないものを○、差異の認められるものを程度に応じて△または×とした。
JIS K 7367−5に記載の「プラスチック−毛細管型粘度計を用いたポリマー希釈溶液の粘度の求め方−」により、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(60/40;質量部)の混合溶媒を用いて、30℃で測定した。
粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S2500)で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーした。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について、各粒子の外周をトレースした。画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、それらの平均値を平均粒子径とした。
[ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造]
エステル化反応缶を昇温して200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部含むスラリーを仕込み、撹拌しながら、触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部及びトリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで加熱昇温を行い、ゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った。
上記PET樹脂について、エチレングリコールの15モル%をネオペンチルグリコールに、テレフタル酸の15モル%をイソフタル酸に変えて製造を行い、非晶性ポリエステル樹脂A1を得た。この樹脂のDSC装置による分析では融点は観測されず、ガラス転移温度は78℃であった。
メルトフローレートが1.5のポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン社製、日本ポリスチ G797N)20質量%、メルトフローレートが3.0の気相法重合ポリプロピレン樹脂(出光石油化学社製、IDEMITSU PP F300SP)20質量%及びメルトフローレートが180のポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製、TPX DX−820)60質量%をペレット混合し、二軸押出機に供給して十分に混練りし、ストランドを冷却、切断して空洞形成剤含有マスターペレットを調整した。
上記で得たポリエチレンテレフタレート樹脂50質量%に、平均粒径0.3μm(電顕法)のアナターゼ型二酸化チタン(富士チタン社製、TA−300)50質量%を混合したものをベント式二軸押出機に供給して予備混練りした後、溶融ポリマーを連続的にベント式単軸混練り機に供給して混練りして酸化チタン含有マスターペレットを調整した。
上記で得られたポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%に、平均粒径3.5μm(カタログ値)のメラミン粒子(日産化学工業社製、オプトビーズ3500M)[30質量%]を混合したものをベント式二軸押出機に供給して予備混練りした後、溶融ポリマーを連続的にベント式単軸混練り機に供給して混練りして有機粒子含有マスターペレットを調整した。
前記PET樹脂を原料Mとし、上記非晶性ポリエステル樹脂A1を90質量%とアタクチックポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン社製、G797N;ガラス転移温度78℃)を10質量%含む混合物を原料Cとした。原料Mおよび原料Cを水分率80ppmまで真空乾燥して、各々別の押出機に供給した。押出しの際は、混合性と積層安定性を調整するため、原料Mは押出機内部で280℃まで加熱して溶融混合した後、樹脂温度270℃でフィードブロックに導いた。一方、原料Cは押出機内部で250℃まで加熱して溶融混合した後、樹脂温度280℃でフィードブロックに導いた。これを原料Mからなる中間層(基材)の両面に原料Cからなる熱接着層が積層されるようにフィードブロックで接合した。これをT型ダイスより20℃に調節された冷却ドラム上に押し出し、厚み2.4mmの3層構成の未延伸フィルムを製造した。なお、未延伸フィルム製造時、冷却ドラムの反対面には20℃、相対湿度30%に調節した冷風を吹き付けて冷却した。
上記の実施例1で添加したポリスチレン樹脂に代えて、平均粒径1.5μmの無定形シリカ粒子を5000ppm含むポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。これ以外は実施例1と同様にして、熱接着性ポリエステルフィルムとICカードを得た。この比較例1で得られた熱接着性ポリエステルフィルムは、ICカードに用いるコアシートとして好適な熱接着性と凹凸吸収性を有するものの、滑り性が極度に悪くてブロッキングしたため摩擦係数が測定できなかった。このため、ICカードを作成する過程においても、ハンドリング性や熱膨張によるズレを緩和することができず、しわや折れ筋が発生した。
上記の実施例1で添加したポリスチレン樹脂に代えて、平均粒径3μmの硫酸バリウム粒子を50質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。これ以外は実施例1と同様にして、熱接着性ポリエステルフィルムとICカードを得た。この比較例2で得られた熱接着性ポリエステルフィルムは、ICカードに用いるコアシートとして好適な熱接着性と凹凸吸収性を有するものの、滑り性が極度に悪くてブロッキングしたため摩擦係数が測定できなかった。このため、カードを試作する過程においても、ハンドリング性や熱膨張によるズレを緩和することができず、しわや折れ筋が発生した。
前記の空洞形成剤含有マスターペレット6質量%と前記酸化チタン含有マスターペレット14質量%、及び前記PET樹脂80質量%よりなる混合物を原料Mとした。また、非晶性ポリエステル樹脂A1を94質量%と上記のポリスチレン樹脂を5質量%、ポリエチレン樹脂(三井化学社製、ハイワックスNL500)を1質量%含む混合物を原料Cとした。さらに、熱接着層および中間層(基材)の積層厚みを、二軸延伸後で30/240/30(単位:μm)となるように各押出機から吐出される樹脂量を調節した。これ以外は実施例1と同様にして、熱接着性ポリエステルフィルムを得た。また二軸延伸ポリエステルフィルム(A4300)に代えて、空洞含有白色ポリエステルフィルム(東洋紡績製、クリスパーK1212、厚み188μm、見かけ密度1.1g/cm3)を用いて、ICカードを得た。この実施例2で得られた熱接着性ポリエステルフィルムは、ICカードに用いるコアシートとして好適な熱接着性や凹凸吸収性と滑り性を両立したフィルムである。また、耐熱性、平面性、隠蔽性、軽量性についてもICカード用材料として好適であった。また、得られたICカードは軽量性、隠蔽性に優れたものであった。
前記空洞形成剤含有マスターペレット8質量%と前記酸化チタン含有マスターペレット6質量%、及び前記PET樹脂86質量%よりなる混合物を原料Mとした。また、原料Cにおけるポリスチレン樹脂の添加量を20質量%とした。これ以外は実施例1と同様にして、熱接着性ポリエステルフィルムを得た。またサンドマット加工を施した二軸延伸ポリエステルフィルムに代えて、空洞含有白色ポリエステルフィルム(東洋紡績製、クリスパーK2323、厚み188μm、見かけ密度1.1g/cm3)を用いて、ICカードを得た。この実施例3で得られた熱接着性ポリエステルフィルムは、ICカードに用いるコアシートとして好適な熱接着性や凹凸吸収性と滑り性を両立したフィルムである。また、耐熱性、平面性、隠蔽性、軽量性についてもICカード用材料として好適であった。また、得られたICカードは軽量性、隠蔽性に優れたものであった。
酸化チタン含有マスターペレット30質量%とPET樹脂70質量%よりなる混合物を原料Mとした。非晶性ポリエステル樹脂A1を95質量%とポリカーボネート樹脂(出光石油化学社製、ガラス転移温度148℃)5質量%よりなる混合物を原料Cとして用いた。熱接着層および中間層(基材)の積層厚みを、二軸延伸後で14/47/14(単位:μm)となるように各押出機から吐出される樹脂量を調節した。また空洞含有白色ポリエステルフィルム(東洋紡績製、クリスパーK2323、厚み250μm、見かけ密度1.1g/cm3)を用いて、ICカードを得た。これ以外は実施例1と同様にして、厚さ75μmの熱接着性ポリエステルフィルムとICカードを得た。この実施例で得られた熱接着性ポリエステルフィルムは、ICカードに用いるコアシートとして好適な熱接着性や凹凸吸収性と滑り性を両立したフィルムである。また、耐熱性、隠蔽性についてもICカード用として好適であった。
空洞形成剤含有マスターペレット30質量%とPET樹脂70質量%よりなる混合物を原料Mとした。また非晶性ポリエステル樹脂A2を70質量%と共重合環状オレフィン樹脂(三井化学社製、APL8008T、ガラス転移温度70℃)30質量%よりなる混合物を原料Cとして用いた。さらに、押出機3台を用いて、両面の熱接着層の厚みを違えた三層構成の未延伸フィルムを製造した。この際、各層の厚み(熱接着層Aa/中間層(基材)/熱接着層Ab)が、二軸延伸後で26/150/14(単位:μm)となるように、各押出機のから吐出される樹脂量を調節した。なお、熱接着層Aが冷却ドラムに接する表面である。得られた未延伸フィルムは実施例1と同様に延伸したが、赤外ヒーターの温度をフィルム表裏で差をつけるよう微調整し、二軸延伸後の縦方向のカールが最小となるようにした。これ以外は実施例1と同様にして、厚さ190μmの熱接着性ポリエステルフィルムを得た。また、二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績製、コスモシャインA4300)に代えて、空洞含有白色ポリエステルフィルム(東レ社製、E60L、厚み188μm、見かけ密度0.9g/cm3)を用いて、実施例1と同様にICカードを得た。この実施例5で得られた熱接着性ポリエステルフィルムは、ICカードに用いるコアシートとして好適な熱接着性や凹凸吸収性と滑り性を両立したフィルムである。また、耐熱性、隠蔽性についてもICカード用材料として好適であった。平面性については若干の縦方向カールが発生したが、フィルムのハンドリング性に実用上の障害がない程度であった。
熱接着層および中間層(基材)の積層厚みを、二軸延伸後で47/50/3(単位:μm)となるように各押出機から吐出される樹脂量を調節した。また縦延伸工程における赤外ヒーターの加熱において、フィルム表裏に温度差をつけ、フィルムのカールを低減する手段を採用しなかった。これ以外は実施例5と同様にして、熱接着性ポリエステルフィルムを得た。このフィルムの熱接着層Bの面に、アンテナ回路が対向するようにインレットを配置し、実施例5と同様にICカードを作成した。この比較例3で得られた積層二軸延伸ポリエステルフィルムでは、熱接着性、凹凸吸収性ともに不十分であった。また、フィルムを取り扱うのが困難なレベルのカールが生じた。また、平面で静置することができなかったため、カール値を測定することができなかった。このため、ICカードを作成する過程においてもハンドリング性が困難であり、インレットを熱接着性フィルムの熱接着層に貼り合わせる際に位置決めを正確に行うことができなかった。
市販の非晶性ポリエステル樹脂(東洋紡績製、バイロン240;ガラス転移温度60℃)95質量%と低密度ポリエチレン樹脂(出光石油化学社製、ガラス転移温度−36℃)5質量%よりなる混合物を原料Cとして用いた。また各層の厚み(熱接着層Aa/中間層(基材)/熱接着層Ab)は、二軸延伸後で25/250/25(単位:μm)となるように、各押出機のから吐出される樹脂量を調節した。これ以外は実施例1と同様にして、厚さ300μmの熱接着性ポリエステルフィルムを得た。
原料Cの非晶性ポリエステル樹脂を、結晶性ポリエステル樹脂であるPET樹脂に変更したほかは実施例6と同様にして積層二軸延伸ポリエステルフィルム得た。しかしながら、該フィルムは熱接着性を有しておらず、ICタグを作成することができなかった。
原料Mとして、実施例5の原料Cを用いた。また混合性と積層安定性を調整するため、原料Mは押出機内部で250℃まで加熱して溶融混合した後、樹脂温度280℃でフィードブロックに導いた。また未延伸フィルムの厚みを0.25mmに調節した。その他は実施例5と同様にして未延伸シートを得た。この未延伸シートを熱接着性ポリエステルフィルムの代わりに用いて、実施例6と同様にICタグを作成した。この比較例5で得られた未延伸シートは、良好な熱接着性、凹凸吸収性を示したものの、滑り性が悪く、ハンドリング性が困難であった。また、耐熱性においてもICタグとしての信頼性を得るには十分ではなかった。
2:二軸延伸ポリエステルフィルム
3:インレット(3A+3B+3C)
3A:プラスチックフィルム(基材)
3B:アンテナ回路
3C:ICチップ
4:無配向のポリエステルシートまたは二軸延伸ポリエステルフィルム
Claims (10)
- 二軸延伸ポリエステルフィルムの片面または両面に、熱接着層を積層してなる熱接着性ポリエステルフィルムであって、
熱接着層は、厚みが5〜30μmであり、ガラス転移温度が50〜95℃の非晶性ポリエステル樹脂Aとこれに非相溶な熱可塑性樹脂Bの混合物からなり、熱可塑性樹脂Bは、ガラス転移温度が−50〜150℃の非晶性樹脂であり、熱接着層中に1〜30質量%含有されていることを特徴とする熱接着性ポリエステルフィルム。 - 熱接着性ポリエステルフィルムは、フィルム内部に微細空洞を多数含有し、(a)フィルムの見かけ密度が0.7〜1.3g/cm3、(b)厚みが50〜350μm、(c)光線透過率が25〜98%であることを特徴とする請求項1に記載の熱接着性ポリエステルフィルム。
- 熱接着性ポリエステルフィルムは、二軸延伸ポリエステルフィルムの両面に熱接着層を積層し、一方の熱接着層を熱接着層aとし、他方の熱接着層b(厚みが熱接着層aと同じか、熱接着層aよりも薄い)とした際に、前記熱接着層の厚みの比(熱接着層aの厚み/熱接着層bの厚み)が1.0〜2.0で、かつフィルムの加熱処理後(110℃、無荷重下で30分間)のカール値が5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱接着性ポリエステルフィルム。
- 熱接着性ポリエステルフィルムの表面と裏面間の静摩擦係数が0.1〜0.8であり、熱プレスによる賦形性が下記(1)及び(2)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱接着性ポリエステルフィルム。
(1)賦形率:40〜105%
(2)賦形部の外縁の勾配:20〜1000%
ここで賦形率とは、アンテナ回路または銅箔片を熱接着層の表面にのせ、熱プレスした後、常温常圧でアンテナ回路または銅箔片を取り除いた際に、アンテナ回路または銅箔片によって生じた熱接着層のくぼみの深さであり、賦形部の外縁の勾配とは、このくぼみの外縁における壁面の勾配である。 - プラスチックフィルムにアンテナ回路及びICチップを設けたインレットの片面または両面に、請求項1〜4のいずれかに記載の熱接着性フィルムを配置し、熱接着性フィルムの熱接着層を介してインレットを熱プレスして接着させたコアシートを構成要素として用いることを特徴とするICカードまたはICタグの製造方法。
- プラスチックフィルムにアンテナ回路及びICチップを設けたインレットの片面または両面に、請求項1〜4のいずれかに記載の熱接着性フィルムを積層し、熱接着性フィルムの熱接着層を介してインレットと接着させたコアシートを構成要素として含むことを特徴とするICカードまたはICタグ。
- コアシートの両面にポリエステルシートまたは二軸延伸ポリエステルフィルムを積層してなることを特徴とする請求項6記載のICカードまたはICタグ。
- 見かけ密度が0.7g/cm3以上、1.3g/cm3未満であることを特徴とする請求項6または7に記載のICカードまたはICタグ。
- 光線透過率が10%以上、98%以下であることを特徴とする請求項6または7に記載のICカードまたはICタグ。
- 光線透過率が0.01%以上、5%以下であることを特徴とする請求項6または7に記載のICカードまたはICタグ。
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- 2006-04-28 JP JP2006125724A patent/JP3925735B2/ja active Active
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