JP4361419B2 - 多層フィルム - Google Patents

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本発明は、成形加工性に優れる多層フィルムに関し、詳しくは、成形加工品を得る目的で用いられる多層フィルムに関する。
近年、食品包装分野(例えば、トレー、アイスクリームカップ容器等)、薬品包装分野(例えば、カプセル、錠剤等のPTP薬品包装等)、ラミネート成形分野(例えば、家具、屋内外装飾品、電化製品、自動車部品等の、フィルムと紙、木材、金属、もしくは樹脂とのラミネート品の成形加工品等)、IC、半導体分野、磁気記録用カード材料分野(例えば、キャッシュカード、IDカード、クレジットカード等)、農業分野(例えば、グリーンハウス等)など幅広い分野に、プラスチックのフィルム(シートも含む。以下同じ)が用いられている。
これらの用途に用いられる材料は、一般に平面形態のみならず、曲面、凹凸面等の非平坦表面形態である製品が多い為、加工性・成形性に優れた硬質ポリ塩化ビニル樹脂製のフィルムが主として用いられている。また、ポリエステル系の材料としてはA−PET(商品名)と呼ばれる無配向ポリエチレンテレフタレートフィルムがよく用いられており、成形性に優れている。しかしながらA−PETは、長時間使用すると脆化現象が発生し、不透明化、伸度低下等の問題がある。この欠点を解消しようとする目的で、特開平8−279150号公報には、無配向加熱結晶化ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる方法が提案されている。
また、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルが、近年、ポリ塩化ビニル代替として提唱されており、A−PETと同様に加工・成形が必要な用途に多く用いられている。
特開平8−279150号公報
上記の材料は、加工性・成形性に優れ、前記用途に多く用いられているが、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂は耐熱性に劣るため、製品が真夏の自動車内などの高温にさらされると変形してしまう場合がある。加えて、ポリ塩化ビニル樹脂は、使用後焼却すると塩素による有毒物質が生成しやすく、環境汚染の問題を発生させる。また、A−PETは無配向加熱結晶化ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる方法により脆化現象、不透明化は改善されるものの、成形性が劣ってしまう問題がある。更に、1,4−シクロへキサンジメタノール誘導体共重合ポリエステルは、成形性、経時変化は良好であるものの、インク等を使用して印刷したとき、フィルム表面のポリマーがインクの溶剤等で溶解して裏移りしやすい等、有機溶剤への耐久性に乏しく、また加工した製品がカール、変形しやすい等の点で寸法安定性が不十分である問題がある。
本発明は、かかる問題点を改善し、成形加工性、透明性、経時安定性、耐溶剤性および寸法安定性に優れた多層フィルムを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、実質的に非配向構造のポリエステルの層と、この層に接して両側に設けられた配向構造のポリエステルの層とからなり、配向構造のポリエステルの層は少なくとも2種類の不活性粒子を含有し、かかる2種類の不活性粒子が1)平均粒子径の異なる2種類の球状シリカ、または2)球状シリカと、球状シリカとは粒子径の異なる球状シリコーンであり、かつ配向構造のポリエステルの層の総厚み(a)と実質的に非配向構造のポリエステルの層の総厚み(b)との比(a/b)が0.01〜1であることを特徴とする成形加工用多層フィルムである。
本発明によれば、成形加工性、透明性、経時安定性、耐溶剤性および寸法安定性に優れた多層フィルムを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[配向構造のポリエステルの層]
配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルは、205〜270℃の融点のポリエステルであることが好ましく、配向構造を形成し得る結晶性のポリエステルであることが好ましい。このポリエステルとしては以下に説明するポリエステルを用いることができる。すなわち、配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルとしては、主たるジカルボン酸単位がテレフタル酸単位、もしくはテレフタル酸およびイソフタル酸単位からなり、主たるグリコール単位がエチレングリコール単位からなるポリエステルが好ましい。このポリエステルは、必要に応じて、例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2−ビフェニルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸,アゼライン酸,セバシン酸等の他のカルボン酸単位を含有していてもよく、また、例えばプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の他のグリコール単位を含有していてもよい。
このポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、第3成分を少量共重合したポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、第3成分を少量共重合したポリエチレン−2,6−ナフタレート等を好ましく挙げることができる。
フィルムおよびその加工製品の寸法安定性、耐変形性および耐カール性の面から、配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルのガラス転移温度は、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。
配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルの融点は、非配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルの融点より、少なくとも15℃高いことが好ましく、さらには20℃以上、特に30℃以上高いことが好ましい。融点差が15℃未満であると小さいと熱処理を実施する温度の最適化が行いにくく好ましくない。即ち、熱処理温度が、非配向構造のポリエステルの層のポリエステルの融点に近すぎると、このポリエステルが充分に溶融しないため、実質的な非配向構造への変化が不充分となってしまう。他方、熱処理温度が配向構造のポリエステルの層のポリエステルの融点に近すぎると、このポリエステルの溶融が一部で起き始めるため、フィルム製造時にフィルムの切断発生、またロール状に巻き取った物が融着してしまう等のトラブルが起きやすくなる。
[非配向構造のポリエステルの層]
非配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルとしては、延伸処理によりポリマーの配向構造(結晶構造)を形成し得るポリエステルであって、配向構造のポリエステルの層のポリエステルの融点よりも低い融点、好ましくは少なくとも15℃低い融点、さらに好ましくは少なくとも20℃低い融点、特に好ましくは少なくとも30℃低い融点を有するとともに、190℃以上の融点を有するポリエステルを用いる。具体的には、好ましくは190〜250℃の融点のポリエステルを用いる。
このポリエステルとして、主たるジカルボン酸単位がテレフタル酸および/もしくは2,6−ナフタレンジカルボン酸および/もしくはイソフタル酸単位からなるコポリエステルが好ましい。このコポリエステルの従たるジカルボン酸単位としては、配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルの他のジカルボン酸単位として例示したもの、グリコール単位としては非配向構造のポリエステル層を構成するポリエステルのグリコール単位として例示したものを好ましく挙げることができる。
このコポリエステルの具体例としては1)テレフタル酸単位およびナフタレンジカルボン酸単位を主とするジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を主とするグリコール単位からなるコポリエステル、2)テレフタル酸単位およびイソフタル酸単位を主とするジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を主とするグリコール単位からなるコポリエステル、3)テレフタル酸単位およびナフタレンジカルボン酸単位およびイソフタル酸単位を主とするジカルボン酸単位とエチレングリコール単位を主とするグリコール単位からなるコポリエステルなどが好ましく挙げられる。さらに好ましくは、ジカルボン酸単位中、テレフタル酸単位が90〜60モル%、ナフタレンジカルボン酸単位が5〜20モル%、イソフタル酸単位が5〜20モル%であるコポリエステルを挙げることができる。
非配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルのガラス転移温度は、夏期における車中での輸送および保管において、高温に製品等が曝されても品質が低下しないように、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上、特に好ましくは80℃以上のガラス転移温度を有する。
本発明において、非配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルの融点は、配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルの融点より、15℃以上、さらには20℃以上、特に30℃以上低いことが好ましい。
非配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルのガラス転移温度と配向構造のポリエステルの層を構成するポリエステルのガラス転移温度との差は、フィルムの厚み斑を良好にするために、好ましくは20℃以下、さらに好ましくは10℃以下、特に好ましくは5℃以下である。
なお、本発明において融点とは、ポリエステルを一度溶融した後、急冷、固化したサンプルを、示差熱熱量計で20℃/分の速度で昇温したときの溶融吸熱ピーク温度をいう。
本発明においてガラス転移温度とは、ポリエステルを一度溶融して後、急冷、固化したサンプルを、示差熱熱量計で20℃/分の速度で昇温したときの構造変化(比熱変化)温度をいう。
[不活性粒子]
本発明において、配向構造のポリエステルの層は、少なくとも2種類の不活性粒子を含有する。少なくとも2種類の不活性粒子を含有することで、透明性を維持しながら、優れた滑性、すなわち優れた巻取り性および取り扱い性得ることができる。
不活性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2μmである。平均粒径が0.05μm未満であるとフィルムに十分な滑性が付与されず、5μmを超えるとフィルムの透明性が失われてしまい好ましくない。
不活性粒子は、球状不活性粒子である。球状不活性粒子であると、フィルムでの光線の散乱が低減され、高い光線透過率を得ることができる。
活性粒子として、1)平均粒子径の異なる2種類の球状シリカ、2)球状シリカと、球状シリカとは粒子径の異なる球状シリコーン、を用いることができる。
[添加剤]
配向構造のポリエステルの層、非配向構造のポリエステルの層のいずれを構成するポリエステルも、ポリオレフィン樹脂を含有することが好ましい。この場合、ポリオレフィン樹脂は、ポリエステルの層の重量100重量%あたり、好ましくは0.1〜30重量%含有される。ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテンを用いることができる。
適度な滑り性を付与して、フィルムの良好な取り扱い性を得るために、ポリエステル、特に配向構造のポリエステルの層のポリエステルは、微粒子を含有することが好ましい。微粒子の平均粒径は好ましくは2.5μm以下である。微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリンなどの無機微粒子、触媒残渣の析出微粒子、例えばシリコーン、ポリスチレン、アクリルの架橋体などの有機微粒子を用いることができる。
[厚み]
本発明の多層ポリエステルフィルムの総厚みは、好ましくは10〜1000μm、さらに好ましくは25〜750μm、特に好ましくは50〜500μmである。
本発明の多層フィルムは、製品として使用する際、1枚で使用しても、2枚以上を貼合せ積層して用いてもよい。この貼合せ積層の場合、その厚みは積層する枚数と全体の厚み、使用上の理由などによって適宜決められるが、全体の厚みは、好ましくは20〜5000μm、さらには好ましくは50〜3000μmである。
[製造方法]
本発明に用いるポリエステル自体は、周知の方法で製造することができる。その具体的な例としては、1)ポリエステル製造の反応工程で、1種または複数のジカルボン酸エステル形成性誘導体と1種または複数のグリコ−ルを反応させる方法、2)2種以上のポリエステルを、単軸あるいは2軸押出し機を用い、溶融混合してエステル交換反応(再分配反応)させる等の方法が挙げられる。なお、これらの工程において、必要に応じて、粒子、ポリオレフィン、その他各種添加剤をポリエステル中に含有させることもできる。
本発明の半導体製造工程用フィルムは、典型的には3層構成の積層フィルムからなる。このフィルムは、非配向構造のポリエステルの層を構成することになるポリエステル(以下「ポリエステルB」ということがある)の層(以下「芯層」ということがある)の両側に、配向構造のポリエステルの層を構成することになるポリエステル(以下「ポリエステルA」ということがある)の層(以下「表層」ということがある)を、共押し出しによりより積層して延伸して、積層フィルムを得る。そしてこの積層フィルムを、ポリエステルBの融点より高く、かつポリエステルAの融点より低い温度におく熱処理を行なうことにより製造する。この熱処理により、芯層のポリエステルBは溶融状態になり、芯層のポリエステルの配向構造は実質的に非配向な構造になり、非配向構造のポリエステルの層が形成される。
この熱処理は、好ましくは、共押出製膜法における延伸処理後に熱固定処理を、ポリエステルBのポリエステルの融点より高く、かつポリエステルAのポリエステルの融点より低い温度で行なうことで好ましく行うことができる。
本発明において積層フィルムは、典型的には、ポリエステルAの表層とポリエステルBの芯層とからなる。具体的な構成として、A/B/A(ここで、/は層の構成を示す)タイプの3層構成、A/B/A/B/Aタイプの5層構成、さらにこれらの順序による7層、9層、2n+1(nは自然数)構成等マルチ多層構成が挙げられる。また、必要に応じて、ポリエステルAの層が2層以上の場合、1以上の層を違うポリマーで構成することができる。ポリエステルBの層が2層以上の場合も同様である。例えば、ポリエステルAの層が2種のポリマー(A1、A2)、ポリエステルBの層が2種のポリマー(B1、B2)からなるとき、A1/B1/A2タイプの3層構成、A1/B1/A2/B2/A1タイプの5層構成等を挙げることができる。これら層構成のうち、3層、5層が好ましく、特に3層が好ましい。
本発明において積層フィルムは、1軸以上に延伸されて形成された配向構造を有するポリエステルAの層が最表層を構成することが必要である。実質的に非配向構造のポリエステルBの層が最表層を構成すると、フィルム製造の際、工程内の各種ロール等にフィルムが粘着しやすい等の問題がある。
なお、本発明における積層フィルムの最表面の片面、もしくは両面に、本発明の効果が損なわれない限りにおいて、滑性向上、接着性向上、制電性向上、離型性向上等表面改質のため、コーティング処理、コロナ放電処理などの表面処理をしてもよい。
コーティング処理等表面処理の方法としては、ポリエステル系塗布剤、ウレタン系塗布剤、アクリル系塗布剤等を単独もしくは混合して、フィルム製造におけるプロセス内で塗布する方法、一旦ロール等のフィルム製品にした後に別のプロセスにて塗布する方法などが挙げられる。
本発明において積層フィルムは、共押出製膜法で製造するのが好ましい。その具体例を、例えば上記3層フィルム(A/B/A)の場合について説明すると、先ず、ポリエステルAのチップを乾燥、溶融する。これと並行して、ポリエステルBのチップを乾燥、溶融する。続いて、これら溶融ポリマーをダイ内部で3層に積層し、例えばフィードブロックを設置したダイ内部で3層に積層したのち、冷却ドラム上にキャスティングして未延伸積層フィルムにし、続いて、この積層フィルムを縦軸および/または横軸に1軸以上の方向に延伸して1軸以上に延伸されて形成された配向構造を有する多層延伸フィルムを得る。なお、5層以上の場合も、同様にすることができる。
延伸処理はポリエステルAの層が所望の配向構造を形成する条件で行い、例えばポリエステルAの層を構成するポリエステルのTg(ガラス転移温度)−10℃からTg+50℃の温度(Tc)で、縦方向に2.5倍以上、好ましくは3〜6倍延伸し、次いでTg+10からTg+50℃の温度で、横方向に2.5倍以上、好ましくは3〜6倍延伸するのが好ましい。この延伸は面積倍率で8倍以上、さらには9倍以上であることが好ましい。
以上の様にして得られる積層フィルムに、さらに熱処理を実施する。この熱処理温度は、ポリエステルBの融点より高い温度であることが肝要であり、この熱処理により、ポリエステルBが溶融して、1軸以上の延伸処理で形成された延伸配向構造が、実質的に非配向構造に変化する。熱処理温度は、ポリエステルBの融点より5℃以上高い温度で、かつポリエステルAの融点より10℃以上低い温度が好ましい。
なお、この熱処理によって、ポリエステルAには熱固定処理の効果が及ぶ。この熱処理方法としては、例えば、フィルム製造時において延伸後直ちに工程内で熱処理する方法、フィルム製造完了後フィルムをロール状に巻き取った後熱処理する方法を用いることができる。
[厚み比率]
本発明の多層フィルムは、実質的に非配向構造のポリエステルの層の総厚み()と、配向構造のポリエステルの層の総厚み()との比(a/b)が0.01〜1、好ましくは0.03〜0.67、さらに好ましくは0.05〜0.43である。この厚み比は、例えば層構成がA1(厚み:a1)/B(厚み:b)/A2(厚み:a2)の3層からなる場合、層Aと層Bの総厚み比(a/b)、すなわち(a1+a2)/(b)が0.01〜1であることを意味し、また層構成がA1(厚み:a1)/B1(厚み:b1)/A2(厚み:a2)/B2(厚み:b2)/A3(厚み:a3)の5層からなる場合、層Aと層Bの総厚み比(a/b)、すなわち(a1+a2+a3)/(b1+b2)が0.01〜1であることを意味する。この総厚み比(a/b)が0.01に満たないと、ポリエステルAの層の最表層厚みが小さいため、フィルム製造時の厚み制御が難しく、ポリエステルBの層が一部表層に露出しやすいという問題を生じ、また、フィルムの寸法安定性が不充分である。総厚み比が1を超えると、実質的に非晶構造であるポリエステルBの層の存在割合が少ないため、フィルムをモールディング加工、エンボス加工等の変形加工する際、フィルムを保持金具に挟んで固定して使用する際等において、フィルムの加工性、柔軟性が不充分である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。各種物性は下記の方法により評価した。
(1)成形評価性−1
フィルムをエンボスローラーに圧着させ、前面にRzが500μmのエンボスが付与されたエンボスフィルムを作成した。
なお、ここでいうRzは断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分の平均線に平行な直線の内高い方から1〜5番目までの山の平均と深い方から1〜5番目までの谷の平均との間隔をμm単位で表したものを指す。
◎:エンボス付与しても、エンボスフィルムに割れ発生は、全くない。
○:エンボス付与の際、エンボスフィルムに微細な割れが発生する。
×:エンボス付与の際、エンボスフィルムに大きな割れが発生する。
(2)成形性評価−2
加熱プラグを有したPTP成形機を用い、フィルムを130℃にてプレス成形して、長さ20mm、幅10mm、深さ10mmのポケットを10mm間隔で付与したパック用フィルムを作成した。
◎:ポケットの形状は金型通りであり、ポケット間のフィルムにしわの発生もない。
○:ポケットの形状は金型通りであるが、ポケット間のフィルムに若干のしわの発生がある。
×:ポケットのしわがあり、また形状も金型通りでないものがある。さらに、ポケット間のフィルムにしわの発生が多い。
(3)成形性評価−3
300mm×300mmに切断したサンプルフィルムにエポキシ系接着剤(東洋モートン(株)製AD502/酢酸エチル=1.3/1wt%とした溶液に硬化剤として、AD502に対して7wt%の東洋モートン(株)製CAT−10Lを加えたもの)を、乾燥後に約5μmの塗布厚みとなるように塗工し、80℃、5分で予備乾燥させる。その上に厚み250μmの無配向ポリエチレンテレフタレートシート(帝人化成(株)製A−PET)を張り合わせ、温度80℃、速度60m/min、ニップ圧3.0barの条件でラミネートし、評価用のラミネートサンプルを得た。
得られたラミネートサンプルをプレス成形機を用いて、フィルムを130℃にてプレス成形して、長さ70mm、幅40mm、深さ50mmの凸状部分を付与したフィルムを作成した。
◎:成形部分の形状は金型通りであり、フィルムに皺が見られず、切断していない。
○:成形部分の形状は金型通りであり、切断は見られないが、若干の皺が見られる。
×:成形部分が金型通りでない、または、成形部分に切断と皺の発生が見られる。
(4)印刷性評価
メチルエチルケトンで顔料を分散したインクにて、グラビアロールを使用して、フィルムロールの片面に連続印刷した。
◎:フィルムロールの印刷反対面(無印刷面)に、印刷面からのインクの転写はない。
○:フィルムロールの印刷反対面(無印刷面)に、印刷面からのインクの転写が微細にあるじゃ間ない。
×:フィルムロールの印刷反対面(無印刷面)に、印刷面からのインクの転写が前面にある。
なお、この印刷性評価は、耐溶剤性評価の代替手段である。
(5)フィルム厚み
外付けマイクロメーターで100点測定し、平均値を求めてフィルムの厚みとした。
(6)各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kVにて観測撮影し、その写真から各層の厚みを測定し、平均厚み、相対標準偏差を求めた。
(7)ガラス転移温度・融点
サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(Tg)(単位:℃)と融点(Tm)(単位:℃)を測定した。
(8)固有粘度
固有粘度(単位:[η]dl/g)は、25℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
(9)巻取り性
実施例1の通りに得られた3層フィルムを1500mm幅、1200m長でロール状に巻取り、このロールを更にスリッター装置を用いて1000mm幅、1000m長にスリットした。
◎:スリット後のロール表面には、表面欠点が全く無い。
○:スリット後のロール表面には、若干の微小な表面欠点が見られる。
×:スリット後のロール表面に、突起などの表面欠点が多数見られる。
[実施例1]
出発原料としてテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを用い、かつ酢酸マンガン、リン酸、3酸化アンチモンを触媒として用いて、常法によりエステル交換反応、重縮合反応を実施し、得られたポリマーを反応釜から吐出、冷却して、ポリエチレンテレフタレートのペレット(以下、PETと呼称)を得た。得られたPETは、あらかじめ表1に記載の通りの不活性粒子を添加しておく。また、得られたPETのガラス転移温度と融点は表1に示す通りである。
同様に、出発原料としてテレフタル酸ジメチル88モル%(全酸成分に対し)および2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル12モル%(全酸成分に対し)とエチレングリコールを用いる以外は、上記PETと同様に、エステル交換反応、重縮合反応を実施し、得られたポリマーを反応釜から吐出、冷却して、共重合ポリエチレンテレフタレートのペレット(以下、NDC−CO−PETと呼称)を得た。
上記で得られたPETおよびNDC−CO−PETを、別々に乾燥、単軸スクリュー押出し機で溶融した後、ダイ内部でPET/NDC−CO−PET/PETの3層に溶融ポリマーを積層し、この状態で冷却ドラム上にキャスティングし、未延伸多層フィルムを得た。続いて、該多層フィルムを縦方向に110℃で3.0倍、横方向に120℃で3.2倍に逐次2軸延伸した後、235℃で熱固定し、3層フィルムを得た。この3層フィルムの厚み構成は、PETからなる両面の表層が5μm、CO−PETからな芯層が90μmの合計100μmであった。得られた3層フィルムの特性を表1に示したが、成形加工、印刷評価とも良好な結果を得た。
Figure 0004361419
[実施例2]
ポリエステル層Bを構成する出発原料として、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル12モル%の代わりに、イソフタル酸ジメチル12モル%を用いて共重合ポリエチレンテレフタレートのペレット(以下、IA−CO−PETと呼称)を得て、これを用いて製膜する以外は実施例1と同様にして3層フィルムを得た。得られた3層フィルムの特性を表1に示す。
[実施例3〜13、比較例1〜4、参考例1〜2
表1〜2に示した組成のポリエステル、不活性粒子を用い、実施例1と同様に実施して、3層フィルムを得た。得られた3層フィルムの特性は表1〜2に示す通りである。尚、ポリエステルAの層、Bの層を構成するポリエステルは、実施例1と2に記載の方法より得られたペレット(PET、NDC−CO−PET、IA−CO−PET)を各々の実施例、比較例に適切な比率でブレンドすることで作成した。
表1〜2から明らかなように、本発明の条件を満たす実施例3〜15はいずれも良好な結果を得た。一方、比較例1はポリエステルAの層とポリエステルBの層との融点差が小さく、また、ポリエステルBの層の融点が熱固定温度よりも高く、ポリエステルBの層が無配向となっていない為に成形性の劣るものであった。比較例2はポリエステルAの層とポリエステルBの層の厚みの比が高く、ポリエステルAの層が全フィルム厚みに対して厚い為ヘーズが高く、ポリエステルBの層が全フィルム厚みに対して薄い為、成形性に劣るものであった。比較例3はポリエステルAの層に1種類の不活性粒子しか含有していない為、巻取り性が不十分であった。また、比較例4はポリエステルAの層に含有している不活性粒子が凝集シリカであるために、透明性が不十分なものであった。
Figure 0004361419
本発明の多層フィルムは、食品包装分野、薬品包装分野、ラミネート成形分野、IC、磁気記録用カード材料分野、農業分野等に好適である。特に、これらの用途のうち、単に平面体ではなく、曲面、凹凸面等非平坦面に成形加工、積層、転写する用途に対して好適であり、例えば、1)トレー、アイスクリームカップ等立体的な構造を有する食品包装分野、2)カプセル、錠剤等におけるPTP薬品包装分野、3)家具、電化製品、自動車部品等において、無色透明のフィルムまたは印刷や金属蒸着を施したフィルムと木材、金属、樹脂、ゴムとのラミネート時またはラミネート後、折り曲げ加工、曲面加工、凹凸付与加工、ブロー成形等により立体的に成形する分野、4)家具、電化製品、自動車部品等において、曲面、凹凸面等の非平坦な3次元的表面に意匠を転写する等の転写箔分野、5)キャッシュカード、IDカード、クレジットカード等において、文字、模様をエンボス加工、および/または磁気テープ、ICチップ等を埋め込み処理した、磁気記録用カード、IC記録カード材料分野、6)半導体材料を製造する際に用いられるテープ材料分野、7)グリーンハウスにおいて、骨組みとクリップ固定して使用する農業分野等に好ましく用いることができる。

Claims (1)

  1. 実質的に非配向構造のポリエステルの層と、この層に接して両側に設けられた配向構造のポリエステルの層とからなり、配向構造のポリエステルの層は少なくとも2種類の不活性粒子を含有し、かかる2種類の不活性粒子が1)平均粒子径の異なる2種類の球状シリカ、または2)球状シリカと、球状シリカとは粒子径の異なる球状シリコーンであり、かつ配向構造のポリエステルの層の総厚み(a)と実質的に非配向構造のポリエステルの層の総厚み(b)との比(a/b)が0.01〜1であることを特徴とする成形加工用多層フィルム。
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