以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。図1に示されるように、本実施形態の内視鏡システム16の内視鏡18は、体腔内に挿入される細長い挿入部20を有する。この挿入部20は、挿入部20の先端部を構成する先端構成部22、湾曲作動される湾曲部24、可撓性を有する長尺の可撓管部を先端側から順に連結することにより形成されている。
図1及び図2Aに示されるように、湾曲部24では、略円筒状の複数の湾曲コマ26が、互いに回動自在に共軸に連結されている。最先端の湾曲コマ26は、先端構成部22に連結されており、この先端構成部22に複数の操作ワイヤー28a,28b,28c,28dの先端部が連結されている。これら操作ワイヤー28a,28b,28c,28dは、湾曲コマ26の内周面側に形成されている貫通孔よりなるワイヤガイドに順次挿通されて後端側へと延出されている。そして、操作ワイヤー28a,28b,28c,28dを進退操作することにより、複数の湾曲コマ26を互いに回動させて、湾曲部24を湾曲操作することが可能である。なお、湾曲コマ26の外周面には、外皮30が被覆されている。
本実施形態では、湾曲部24は、湾曲部24の中心軸に直交する断面において互いに略直交する上下左右の4方向に湾曲可能となっている。即ち、複数の湾曲コマ26は、上下左右の4方向に回動自在に連結されており、4本の操作ワイヤー28a,28b,28c,28dが、湾曲部24の中心軸に直交する断面において上下左右に配置されている。以下では、上下左右に配置されている操作ワイヤー28a,28b,28c,28dを夫々第1乃至第4の操作ワイヤー28a,28b,28c,28dと称する。
湾曲部24の先端側には、先端構成部22が連結されている。この先端構成部22には、観察対象を照明するための照明光学系32が配設されている。即ち、先端構成部22を形成する略円柱状の先端構成部材34には、照明用貫通孔が先端側から後端側へと延設されており、この照明用貫通孔の先端開口には、カバーガラス36が覆設されている。このカバーガラス36の後端側には、照明光を導光する照明用ライトガイド38の先端面が接続されている。この照明用ライトガイド38は、照明用貫通孔を挿通されて先端構成部22から延出され、挿入部20を挿通されている。そして、照明用ライトガイド38の後端部は、光源装置の照明光供給手段に接続される。本実施形態の照明光供給手段は可視光を生成する。そして、照明用ライトガイド38の後端面に入射された可視光は、照明用ライトガイド38を導光されて、カバーガラス36を介して観察対象に照射される。
また、先端構成部22では、照明光学系32に、照明光学系32によって照明された観察対象を観察する観察光学系40が並設されている。即ち、先端構成部材34には、観察用貫通孔が先端側から後端側へと延設されており、この観察用貫通孔の先端部には、内腔に対物レンズ42群が配設されているレンズ枠44が嵌合固定されている。対物レンズ42群の結像位置に、内視鏡画像を伝達するイメージガイド46の先端面が配置されている。このイメージガイド46は、観察用貫通孔を挿通されて先端構成部22から延出され、挿入部20を挿通されている。そして、イメージガイド46の後端部は、内視鏡18の接眼部の接眼レンズに接続されている。
図1、図2B及び図2Cに示されるように、先端構成部22には、先端構成部22と体腔壁との位置関係を測定するための複数の測定部48a,48b,48c,48dが配設されている。本実施形態では、先端構成部22の外周面部で、第1乃至第4の測定部48a,48b,48c,48dが、夫々先端構成部22の中心軸に直交する断面において、湾曲部24の湾曲方向に対応して上下左右に配置されている。
図1、図2B及び図3に示されるように、第1乃至第4の測定部48a,…,48dは、夫々、第1乃至第4の出射部50a,50b,50c,50dを有する。これら第1乃至第4の出射部50a,…,50dでは、夫々、先端構成部材34の外周面に形成されている第1乃至第4の出射用凹部に第1乃至第4のプリズム52a,52b,52c,52dが嵌合固定されている。これら第1乃至第4のプリズム52a,…,52dに、第1乃至第4の測定用ライトガイド54a,54b,54c,54dの先端部が夫々接続されている。これら第1乃至第4の測定用ライトガイド54a,…,54dは、夫々、先端構成部材34に先端側から後端側へと延設されている第1乃至第4の出射用貫通孔に挿通されて先端構成部22から延出され、挿入部20を挿通されている。そして、第1乃至第4の測定用ライトガイド54a,…,54dの後端部は、光源装置の測定光供給手段58に接続される。本実施形態の測定光供給手段58は、可視領域に属さない互いに異なる波長を有する第1乃至第4の測定光を生成する。
そして、第1乃至第4の測定用ライトガイド54a,…,54dの後端面に夫々入射された第1乃至第4の測定光は、第1乃至第4の測定用ライトガイド54a,…,54dを導光されて第1乃至第4のプリズム52a,…,52dに入射されて、第1乃至第4のプリズム52a,…,52dによって先端構成部22の径方向へと出射される。
なお、本実施形態では、測定光供給手段58によって互いに異なる波長を有する第1乃至第4の測定光を夫々生成するようにしている。代わって、測定光供給手段58によって所定の波長領域を有する光を生成し、測定光供給手段58と第1乃至第4の出射部50a,…,50dの出射面との間の光路中に、夫々、互いに異なる所定の波長の光のみを透過するバンドパスフィルタ等の第1乃至第4の出射用選択透過膜を配設するようにしてもよい。例えば、第1乃至第4の測定用ライトガイド54a,…,54dの先端面と第1乃至第4のプリズムの52a,…,52dとの間に第1乃至第4の出射用選択透過膜を夫々介設してもよいし、第1乃至第4のプリズムの52a,…,52dの外表面に第1乃至第4の出射用選択透過膜を夫々覆設するようにしてもよい。
図1、図2C及び図3に示されるように、第1乃至第4の測定部48a,…,48dは、夫々、第1乃至第4の出射部50a,…,50dに対応する第1乃至第4の受光部56a,56b,56c,56dを有する。これら第1乃至第4の受光部56a,…,56dは、夫々、第1乃至第4の出射部50a,…,50dに隣接して配設されている。即ち、所定の受光部の受光面は、その受光部に対応しない出射部の出射面よりも、対応する出射部の出射面に接近して配置されている。本実施形態では、第1乃至第4の受光部56a,…,56dは、先端構成部22の軸方向の先端側で第1乃至第4の出射部50a,…,50dに並設されている。
また、第1乃至第4の受光部56a,…,56dは、夫々、対応する第1乃至第4の出射部50a,…,50dから出射される光の波長に略等しい波長を有する光のみを検知可能である。本実施形態の第1乃至第4の受光部56a,…,56dでは、先端構成部材34の外周面に形成されている第1乃至第4の受光用凹部に、対応する第1乃至第4の出射部50a,…,50dから出射される光の波長に略等しい波長を有する光のみを透過するバンドパスフィルタ等の第1乃至第4の選択透過膜60a,60b,60c,60dが夫々覆設されている。これら第1乃至第4の選択透過膜60a,…,60dの内側で、フォトダイオード等の第1乃至第4の受光素子62a,62b,62c,62dが第1乃至第4の受光用凹部に夫々嵌合固定されている。
そして、第1乃至第4の受光素子62a,…,62dから、光学的信号から電気的信号へと変換された検知信号を伝送する第1乃至第4の信号線64a,64b,64c,64dが夫々延出されている。これら第1乃至第4の信号線64a,…,64dは、夫々、先端構成部材34に先端側から後端側へと延設されている第1乃至第4の測定用貫通孔に挿通されて先端構成部22から延出され、挿入部20を挿通されている。そして、第1乃至第4の信号線64a,…,64dの後端部は、位置関係測定部66に接続されている。
図1乃至図3を参照して、本実施形態の内視鏡システム16の制御系について説明する。上述した測定光供給手段58は、第1乃至第4の出射部50a,…,50dへと、タイミング手段68からのクロック信号に基づいてパルス状の第1乃至第4の測定光を所定の時間間隔Tで同期的に供給する。そして、第1乃至第4の出射部50a,…,50dから、パルス状の第1乃至第4の測定光が同期的に出射される。出射された第1及び第4の測定光の大部分は、夫々、第1乃至第4の測定部48a,…,48dに対面する体腔壁によって、第1乃至第4の受光部56a,…,56dへと反射される。
第1乃至第4の測定光を夫々検知可能な第1乃至第4の受光部56a,…,56dは、夫々、上述した位置関係測定部66の第1乃至第4の時刻測定手段70a,70b,70c,70dに検知信号を出力する。第1乃至第4の時刻測定手段70a,…,70dは、夫々、検知信号の入力開始時刻、即ち、第1乃至第4の受光部56a,…,56dによる第1乃至第4の測定光の検知開始時刻(以下、夫々第1乃至第4の検知開始時刻s1,s2,s3,s4と称する)を測定する。
第1及び第2の受光部56a,56bは、夫々、先端構成部22において上下の位置に配置されており、第1及び第2の時刻測定手段70a,70bは、第1及び第2の検知開始時刻s1,s2を上下位置関係測定手段72aに出力する。ここで、上下位置関係測定手段72aは、タイミング手段68から入力されるクロック信号に基づき、第1乃至第4の出射部50a,…,50dへの第1乃至第4の測定光の供給開始時刻、即ち、第1乃至第4の出射部50a,…,50dからの第1乃至第4の測定光の出射開始時刻(以下、単に出射開始時刻tと称する)を測定する。そして、上下位置関係測定手段72aは、出射開始時刻tと第1及び第2の検知開始時刻s1,s2との差、即ち、第1及び第2の測定光の体腔内での進行時間(以下、夫々第1及び第2の進行時間T1,T2と称する)を算出する。
測定光の体腔内での進行時間は、測定光の体腔内での進行経路長、即ち、測定部48a,…,48dと測定部48a,…,48dに対面する体腔壁との間の距離に略比例する。ここでは、第1の進行時間T1と第2の進行時間T2との比は、第1の測定部48a即ち先端構成部22の上側部分とこれに対面する体腔壁との間の距離と、第2の測定部48b即ち先端構成部22の下側部分とこれに対面する体腔壁との間の距離と、の比に略等しいこととなる。上下位置関係測定手段72aは、先端構成部22と体腔壁との上下位置関係として、第1及び第2の進行時間T1,T2を制御手段74に出力する。
同様に、第3及び第4の受光部56c,56dは、夫々、先端構成部22において左右の位置に配置されており、第3及び第4の時刻測定手段70c,70dは、第3及び第4の検知開始時刻s3,s4を左右位置関係測定手段72bに出力する。左右位置関係測定手段72bは、出射開始時刻tと第3及び第4の検知開始時刻s3,s4とから第3及び第4の進行時間T3,T4を算出する。第3の進行時間T3と第4の進行時間T4との比は、第3の測定部48c即ち先端構成部22の左側部分とこれに対面する体腔壁との間の距離と、第4の測定部48d即ち先端構成部22の右側部分とこれに対面する体腔壁との間の距離と、の比に略等しいこととなる。左右位置関係測定手段72bは、先端構成部22と体腔壁との左右位置関係として、第3及び第4の進行時間T3,T4を制御手段74に出力する。
制御手段74は、入力された第1乃至第4の進行時間T1,T2,T3,T4に基づき、先端構成部22が体腔内の略中央に配置されるように、湾曲部24を湾曲作動させる湾曲駆動手段76を制御する。即ち、第1の進行時間T1よりも第2の進行時間T2が短い場合には、先端構成部22の上側部分よりも下側部分が体腔壁により接近していることとなるため、第1の操作ワイヤー28aの後退操作又は第2の操作ワイヤー28bの進行操作を行って、湾曲部24を上方向に湾曲させる。逆に、第1の進行時間T1よりも第2の進行時間T2が長い場合には、湾曲部24を下方向に湾曲させる。湾曲部24の湾曲量は、一定量でもよいし、第1の進行時間T1と第2の進行時間T2との差に応じて変化するようにしてもよい。同様に、第3の進行時間T3よりも第4の進行時間T4が短いあるいは長い場合には、湾曲部24を左方向あるいは右方向に湾曲させる。
次に、本実施形態の内視鏡システム16の作用について説明する。内視鏡18によって体腔内の観察を行う場合には、照明光学系32から照射される可視光により体腔内を照明し、観察光学系40によって体腔内を観察しつつ、必要に応じて湾曲部24を湾曲作動させながら、体腔内に内視鏡18の挿入部20を挿入していく。本実施形態では、先端構成部22が体腔壁に接近しすぎないように、湾曲部24を自動制御する。
図4を参照して、湾曲部24の自動制御について説明する。挿入部20が体腔内に挿入されると、図4で実線により示されるように、第1乃至第4の出射部50a,…,50dから、可視領域に属さない互いに異なる波長を有するパルス状の第1乃至第4の測定光が同期的に出射される。出射された第1及び第4の測定光の大部分は、夫々、第1乃至第4の測定部48a,…,48dに対面する体腔壁によって第1乃至第4の受光部56a,…,56dへと反射されて、図4で破線により示されるように、第1乃至第4の受光部56a,…,56dによって検知される。なお、第1乃至第4の出射部50a,…,50dから出射された第1乃至第4の測定光の一部分は、体腔壁によって散乱されて第1乃至第4の受光部56a,…,56dの内の対応しない受光部56a,…,56dへと回り込むが、第1乃至第4の選択透過膜60a,…,60dに遮蔽されるため、対応しない受光部56a,…,56dによっては検知されない。
第1及び第2の受光部56a,56bから、検知信号が第1及び第2の時刻測定手段70a,70bに夫々入力され、第1及び第2の時刻測定手段70a,70bから、第1及び第2の検知開始時刻s1,s2が上下位置関係測定手段72aへと夫々入力される。上下位置関係測定手段72aは、出射開始時刻tと第1及び第2の検知開始時刻s1,s2から第1及び第2の進行時間T1,T2を算出し、制御手段74へと出力する。
図4に示されるように、第1の進行時間T1よりも第2の進行時間T2が長い場合には、第1の進行時間T1と第2の進行時間T2との差に応じて、第1の操作ワイヤー28aの進行操作又は第2の操作ワイヤー28bの後退操作を行って湾曲部24を下方向に湾曲させる。
一方で、第3及び第4の受光部56c,56dから、検知信号が第3及び第4の時刻測定手段70c,70dに夫々入力され、第3及び第4の時刻測定手段70c,70dから、第3及び第4の検知開始時刻s3,s4が左右位置関係手段へと夫々入力される。左右位置関係測定手段72bは、出射開始時刻tと第3及び第4の検知開始時刻s3,s4から第3及び第4の進行時間T3,T4を算出して、制御手段74へと出力する。
図4に示されるように、第3の進行時間T3よりも第4の進行時間T4が短い場合には、第3の進行時間T3と第4の進行時間T4との差に応じて、第3の操作ワイヤー28cの後退操作又は第4の操作ワイヤー28dの進行操作を行って湾曲部24を左方向に湾曲させる。
図4で実線により示されるように、第1乃至第4の測定光の先回の出射開始時刻tから所定時間Tが経過した後、再び、第1乃至第4の出射部50a,…,50dから第1乃至第4の測定光が出射される。図4に示されるように、第1の進行時間T1’と第2の進行時間T2’とが等しい場合には、先端構成部22は体腔内で上下方向に対して略中央にあり、湾曲部24の上下方向への湾曲作動は行われない。同様に、図4に示されるように、第3の進行時間T3’と第4の進行時間T4’とが等しい場合には、先端構成部22は体腔内で左右方向に対して略中央にあり、湾曲部24の左右方向への湾曲作動は行われない。このようにして、湾曲部24が体腔内の略中央に配置される。
従って、本実施形態の内視鏡システム16は次の効果を奏する。本実施形態では、挿入部20を体腔内に挿入する際には、各出射部50a,…,50dから互いに異なる波長の光を出射し、各受光部56a,…,56dによって対応する出射部50a,…,50dから出射された光の波長に略等しい波長の光のみを検知して、受光部56a,…,56dによる検知結果に応じて先端構成部22と体腔壁との位置関係を測定している。ここで、各出射部50a,…,50dから出射された光の一部分は、体腔壁によって散乱されて対応しない受光部56a,…,56dへと回り込むが、対応しない受光部56a,…,56dによっては検知されないため、先端構成部22と体腔壁との位置関係を正確に測定することが可能となっている。そして、このような正確な位置関係に基づいて湾曲部24を湾曲作動させるため、先端構成部22が体腔壁に近接しすぎないように湾曲部24を確実に湾曲作動させることが可能となっている。
また、光の進行経路長に応じて光が減衰することに基づいて、出射部から出射される光の光量と受光部に入射される光の光量との差から、先端構成部と体腔壁との位置関係を測定することも可能であるが、光の減衰量は、光が反射される体腔壁の状況や光が進行する体腔内の状況等、進行経路長以外のファクターによって容易に変化するため、誤差が生じやすい。
本実施形態では、出射部50a,…,50dからの光の出射開始時刻tと、対応する受光部56a,…,56dによる光の検知開始時刻s1,…,s4との差である進行時間T1,…,T4を測定し、測定部48a,…,48dと体腔壁との間の距離が進行時間T1,…,T4に略比例することから、進行時間T1,…,T4に基づいて先端構成部22と体腔壁との位置関係を測定している。この進行時間T1,…,T4は、進行経路長以外のファクターによっては変化されにくいため、先端構成部22と体腔壁との位置関係を一層正確に測定することが可能となっている。また、本実施形態では、受光量を検知する必要はなく、単に光が入射されたか否か検知することで足りるため、受光量に対する精度が必要なく、内視鏡システム16を安価に形成することが可能となっている。
そして、照明光学系32による照明には、可視領域に属する波長を有する照明光を用いる一方で、先端構成部22と体腔壁との位置関係の測定には、可視領域に属さない波長を有する測定光を用いている。このため、照明光によって、先端構成部22と体腔壁との位置関係の測定が影響を受けることが防止されると共に、測定光によって、照明光により照明された観察対象の観察が影響を受けることが防止されている。
さらに、湾曲部24を湾曲作動させる際には、通常、先端構成部22の内、挿入部20の長手方向に垂直な断面において湾曲方向に位置する部分が最初に体腔壁に接近することとなる。本実施形態では、挿入部20の長手方向に垂直な断面において、体腔壁との位置関係を測定するための第1乃至第4の測定部48a,…,48dを湾曲方向に配設しているため、先端構成部22の体腔壁への接近を早期に検出することができ、先端構成部22が体腔壁に近接しすぎないように湾曲部24を一層確実に湾曲作動させることが可能となっている。
図5は、本発明の第2実施形態を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第1乃至第4の出射部50a,…,50cから、互いに異なったタイミングでパルス状の第1乃至第4の測定光を出射している。
本実施形態では、測定光供給手段58は、タイミング手段68からのクロック信号に基づき、第1乃至第4の出射部50a,…,50dへとパルス状の第1乃至第4の測定光を所定の時間間隔Tをおいて順次供給する。そして、第1乃至第4の出射部50a,…,50dは、パルス状の第1乃至第4の測定光を所定の時間間隔Tをおいて順次出射する。また、第1乃至第4の時刻測定手段70a,…,70dは、夫々、タイミング手段68からのクロック信号に基づき、対応する第1乃至第4の出射部50a,…,50dからの第1乃至第4の測定光の出射開始時刻t1,…,t4から、所定の時間間隔Tの間だけ、第1乃至第4の検知開始時刻s1,…,s4の測定を行う。ここで、時間間隔Tは、各測定部48a,…,48dにおける測定が時間的に分離されるように設定される。
次に、本実施形態の内視鏡システム16の作用について説明する。図5を参照して、湾曲部24の自動制御について説明する。挿入部20が体腔内に挿入されると、第1の出射部50aからパルス状の第1の測定光が出射される。そして、体腔壁によって反射された第1の測定光が第1の受光部56aによって検知され、第1の検知開始時刻s1が上下位置関係測定手段72aへと入力される。第1の測定光の出射時刻から所定時間Tが経過し、第1の測定部48aによる測定が完了した後、第2の出射部50bからパルス状の第2の測定光が出射される。そして、体腔壁によって反射された第2の測定光が第2の受光部56bによって検知され、第2の検知開始時刻s2が上下位置関係測定手段72aへと入力される。
同様に、第2の測定光の出射時刻から所定時間Tが経過し、第2の測定部48bによる測定が完了した後、第3の出射部50cからパルス状の第3の測定光が出射され、第3の測定部48cによる測定が行われる。そして、第3の測定光の出射時刻から所定時間Tが経過し、第3の測定部48cによる測定が完了した後、第4の出射部50dからパルス状の第4の測定光が出射され、第4の測定部48dによる測定が行われる。
従って、本実施形態の内視鏡システム16は次の効果を奏する。測定光として互いに近似する波長を有する測定光を用いる場合や、体腔壁による反射等によって測定光の波長が変化して、反射された測定光が互いに近似する波長を有することとなる場合には、受光部56a,…,56dによって対応しない出射部50a,…,50dから出射された測定光を検知してしまい、先端構成部22と体腔壁との位置関係の測定に誤差が生じる可能性がある。本実施形態では、第1乃至第4の出射部50a,…,50dは、夫々、互いに異なったタイミングでパルス状の第1乃至第4の測定光を出射しており、第1乃至第4の受光部56a,…,56dは、対応する第1乃至第4の出射部50a,…,50dによる第1乃至第4の測定光の出射のタイミングに応じて第1乃至第4の測定光を検知している。即ち、第1乃至第4の測定部48a,…,48dによる測定は時間的に分離されており、受光部56a,…,56dによって対応しない出射部50a,…,50dから出射された測定光を検知することが防止されている。このため、先端構成部22と体腔壁との位置関係を一層正確に測定することが可能となっている。
図6乃至図8Bは、本発明の第3実施形態を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本実施形態では、内視鏡18を細長い管腔内に挿入していく場合に、先端構成部22の先端側部分と後端側部分との両方を、管腔の中心軸に垂直な断面において、管腔内の略中央に配置させるようにしている。
図6に示されるように、第1の出射部50aには、先端構成部22の軸方向の先端側及び後端側に、第1実施形態の第1の受光部と同様な構成の第1の先端側受光部56e及び第1の後端側受光部56fが夫々配設されている。そして、第1の出射部50aと第1の先端側受光部56eとによって、第1の先端側測定部48eが形成されており、第1の出射部50aと第1の後端側受光部56fとによって、第1の後端側測定部48fが形成されている。同様に、第2の出射部50bには、先端構成部22の軸方向の先端側及び後端側に、第2の先端側受光部56g及び第2の後端側受光部56hが夫々並設されており、第2の先端側測定部48g及び第2の後端側測定部48hが形成されている。
図7に示されるように、第1及び第2の先端側受光部56e,56gは、夫々、検知信号を第1実施形態の時刻測定手段と同様な構成の第1及び第2の先端側時刻測定手段70e,70gに出力し、これら第1及び第2の先端側時刻測定手段70e,70gは、第1及び第2の先端側検知開始時刻を、第1実施形態の上下位置関係測定手段と同様な構成の先端側上下位置関係測定手段72cに出力する。また、第1及び第2の後端側受光部56f,56hは、夫々、検知信号を第1及び第2の後端側時刻測定手段70f,70hに出力し、これら第1及び第2の後端側時刻測定手段70f,70hは、第1及び第2の後端側検知開始時刻を、後端側上下位置関係測定手段72dに出力する。さらに、先端側上下位置関係測定手段72c及び後端側上下位置関係測定手段72dは、第1及び第2の先端側進行時間及び後端側進行時間を制御手段74に出力し、制御手段74は、先端構成部22の先端側部分及び後端側部分の両方を上下方向について体腔内の略中央に配置させるように、湾曲部24を湾曲作動させる。
左右方向についても、上下方向と同様な構成によって、先端構成部22の先端側部分及び後端側部分の両方が管腔内の略中央に配置されるように、湾曲部24が湾曲作動される。
次に、本実施形態の内視鏡システム16の作用について説明する。ここで、内視鏡18を細長い管腔内に挿入していく場合、図8Aに示されるように、先端構成部22の先端側部分が、管腔の中心軸に垂直な断面において管腔内の略中央に配置されていても、先端構成部22全体は管腔内の略中央に配置されていない場合がある。このような場合、先端構成部22の進行方向は管腔の中心軸に沿ったものとなっていないので、内視鏡18をさらに挿入すると、先端構成部22が管腔壁に接近しすぎるおそれがある。
本実施形態では、図8Bに示されるように、先端構成部22の先端側部分と後端側部分との両方が上下左右方向について管腔内の略中央に配置されるように、湾曲部24が湾曲作動される。このため、先端構成部22全体が管腔内の略中央に配置されることとなり、先端構成部22の進行方向が管腔の中心軸に沿ったものとなって、内視鏡18をさらに挿入して先端構成部22を進行させても、先端構成部22は上下左右方向について管腔内の略中央に配置されたままである。このようにして、内視鏡18を管腔の中心軸に沿って挿入していく。
従って、本実施形態の内視鏡システム16は次の効果を奏する。本実施形態では、先端構成部22の先端側部分と後端側部分との両方が上下左右方向について管腔内の略中央に配置されるように、湾曲部24が湾曲作動されている。このため、先端構成部22の進行方向が管腔の中心軸に沿ったものとなり、挿入部20を管腔内に挿入していく際には、挿入部20が管腔の中心軸に沿って挿入されていくこととなる。従って、先端構成部22が管腔壁に接近しすぎることが防止されると共に、内視鏡18を細長い管腔内に円滑に挿入することが可能となっている。
図9A乃至図10は、本発明の第4実施形態を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本実施形態では、先端構成部22と体腔壁との位置関係を測定するために、第1乃至第3の測定部48a,48b,48cを用いている。
図9A及び図9Bに示されるように、先端構成部22の外周部で、第1乃至第3の測定部48a,48b,48cが、先端構成部22の中心軸に直交する断面において周方向に略等間隔で配置されている。本実施形態では、第1乃至第3の測定部48a,48b,48cは、夫々、上方向、左下方向、右下方向に配置されている。そして、第1乃至第3の出射部50a,50b,50cには、夫々、第1乃至第3のLED80a,80b,80cが配設されており、これら第1乃至第3のLED80a,80b,80cは、夫々、赤色LED、青色LED、緑色LEDである。第1乃至第3のLED80a,80b,80cから、夫々、第1乃至第3のLED80a,80b,80cに電力を供給するための第1乃至第3のリード線81a,81b,81cが延出されており、これら第1乃至第3のリード線81a,81b,81cの延出端部は、電源装置に接続されている。この電源装置は、タイミング手段68(図3参照)からのクロック信号に基づき、第1乃至第3のLED80a,80b,80cをパルス的に点灯させて、第1乃至第3の出射部50a,50b,50cからパルス状の第1乃至第3の測定光を先端構成部22の径方向に出射させる。
図10に示されるように、第1乃至第3の受光部56a,56b,50cが、夫々、検知信号を第1乃至第3の時刻測定手段70a,70b,70cに出力し、これら第1乃至第3の時刻測定手段70a,70b,70cは、第1乃至第3の検知開始時刻s1,s2,s3を三方向位置関係測定手段72gに出力する。この三方向位置関係測定手段72gは、第1乃至第3の進行時間T1,T2,T3を制御手段74に出力し、制御手段74は、先端構成部22を上方向、左下方向、右下方向について体腔内の略中央に配置させるように、湾曲部24(図1参照)を湾曲作動させる。
従って、本実施形態の内視鏡システム16は次の効果を奏する。本実施形態では、先端構成部22と体腔壁との位置関係を測定するために、3つの測定部48a,48b,48cを用いている。このため、互いに異なる波長を有する3つの測定光を生成する必要があるが、このような測定光は、単に市販の赤色LED、青色LED、緑色LEDを用いることで容易に生成することが可能である。従って、内視鏡システム16を容易に構成することが可能となっており、内視鏡システム16を安価に提供することが可能となっている。
図11及び図12は、本発明の第5実施形態を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本実施形態では、内視鏡18の先端構成部22の先端面部に測定部48a,…,48dを配設している。
図11に示されるように、内視鏡18の先端構成部22の先端面部には、第1乃至第4の測定部48a,…,48dが上下左右方向に配設されている。図12に示されるように、第1実施形態と同様、第1乃至第4の検知開始時刻s1,…,s4が、前後位置関係測定手段72hに入力される。この前後位置関係測定手段72hは、第1乃至第4の進行時刻T1,…,T4を算出し、これら第1乃至第4の進行時刻T1,…,T4を先端構成部22の先端面部と体腔壁との前後位置関係として警告手段82に出力する。この警告手段82は、第1乃至第4の進行時刻T1,…,T4が所定の閾値以下である場合には、内視鏡18の先端構成部22の先端面部が体腔壁に接近しすぎであると判断し、発光、発音、警告表示等の警告を発する。
次に、本実施形態の内視鏡システム16の作用について説明する。内視鏡18を体腔内に挿入して体腔内の観察を行う際に、内視鏡18の先端構成部22の先端面部が体腔壁に接近しすぎた場合には、警告手段82によって警告がなされる。内視鏡18の操作者は、警告がなされた場合には、内視鏡18の挿入を停止し、必要ならば所定量だけ内視鏡18を抜去する。
従って、本実施形態の内視鏡システム16は次の効果を奏する。本実施形態では、内視鏡18の先端構成部22の先端面部に配設されている第1乃至第4の測定部48a,…,48dによって、先端面部と体腔壁との前後位置関係を測定し、先端面部が体腔壁に接近しすぎである場合にはその旨を警告している。このため、先端面部が体腔壁に接近しすぎることを防止することが可能となっている。特に、内視鏡18の観察光学系40の死角に体腔壁が存在する場合には、内視鏡18の観察画像によっては体腔壁への接近を視認することができないため、顕著な効果を奏することとなる。
図13は、本発明の第6実施形態を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本実施形態では、内視鏡画像を主画面84に表示すると共に、体腔内における内視鏡18の配置及び内視鏡18の観察領域Rを示すアニメーション画像を補助画面86に表示する。
図1及び図13に示されるように、本実施形態の内視鏡システム16は、内視鏡像の撮像を行う撮像手段88を有し、この撮像手段88は、撮像信号をプロセッサの内視鏡画像生成手段92に出力する。この内視鏡画像生成手段92は、内視鏡画像を生成し、モニターの主画面84に表示させる。
また、プロセッサには、性別、年齢、身長、体重等の患者情報に応じた各種臓器の平均的な形状、大きさ等が記録されているデータベース94が内蔵されている。キーボード等のデータ入力手段96から患者の性別、年齢、身長、体重等の患者情報がアニメーションデータ作成手段98に入力されると、アニメーションデータ作成手段98は、データベース94に記録されているデータを参照して、各種臓器のアニメーションデータを作成する。このアニメーションデータは、補助画像生成手段106に出力される。
一方、内視鏡システム16は、第1実施形態と同様な構成の位置関係測定部66を有する。さらに、内視鏡システム16は、挿入部20の体腔内への挿入量、湾曲部24の湾曲量、及び、挿入部20の基端部に対する先端部の捩り量を夫々検知する挿入量測定手段100、湾曲量測定手段102、及び、捩り量測定手段104を有する。例えば、挿入量は、挿入部20の外表面に配置されている、挿入部20の先端部からの長さを示す指標によって検知可能であり、湾曲量及び捩り量は、挿入部20に歪ゲージを配設することにより検知可能である。これら位置関係測定部66、挿入量測定手段100、湾曲量測定手段102、及び、捩り量測定手段104によって測定された体腔壁との位置関係、挿入量、湾曲量及び捩り量は、プロセッサの補助画像生成手段106に入力される。
補助画像生成手段106は、入力されたアニメーションデータ、体腔壁との位置関係、挿入量、湾曲量及び捩り量から、体腔内における内視鏡18の配置及び内視鏡18の観察領域Rを示すアニメーション画像を生成し、モニターの補助画面86に表示させる。例えば、補助画面86には、各種臓器及び内視鏡18が模式的に示され、内視鏡18の観察領域Rが各種臓器とは別の表示色で表示される。
なお、体腔内における内視鏡18の配置及び内視鏡18の観察領域Rを測定するのに、X線画像、MRI画像等を利用してもよい。
次に、本実施形態の内視鏡システム16の作用について説明する。本実施形態の内視鏡システム16は、医師が内視鏡画像を観察するのに並行して、患者に内視鏡画像を説明するような場合に主に用いられる。内視鏡18による体腔内の観察を行う前に、観察を行おうとしている患者の患者情報をデータ入力手段96から入力する。アニメーションデータ作成手段98は、患者情報に基づき、データベース94に記録されているデータを参照して、各種臓器のアニメーションデータを作成する。内視鏡18が体腔内に挿入されていない場合には、補助画像生成手段106によって、補助画面86に当該患者の各種臓器のみが模式的に表示される。
続いて、内視鏡18を体腔内に挿入していき、内視鏡画像を主画面84に表示させる。同時に、体腔壁との位置関係、挿入量、湾曲量、及び、捩り量が測定されて補助画像生成手段106に入力され、補助画像生成手段106によって、補助画面86に、各種臓器内に内視鏡18が挿通されている様子が模式的に示され、内視鏡18の観察領域Rが各種臓器とは別の表示色で表示される。
そして、内視鏡の観察領域Rが明示されている補助画像を用い、内視鏡18によってどの部位を観察しているかを患者に説明しつつ、主画面84に表示されている内視鏡画像を説明する。
従って、本実施形態の内視鏡システム16は次の効果を奏する。医学知識の少ない大多数の患者にとっては、内視鏡18によって観察されている部位について、単に部位名称で説明されただけでは、どの部位を観察しているのか理解しにくい。本実施形態では、主画面84に表示されている内視鏡画像を患者に説明する際には、内視鏡の観察領域Rが明示されている補助画像を併用することにより、医学知識の少ない患者であっても、どの部位を観察しているのか容易に理解することが可能であり、患者が内視鏡画像の意義を理解することが容易になる。
以下、本発明の参考形態を説明する。第3実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。本参考形態では、第1乃至第3のLED80a,80b,80cに代わって、第1乃至第3の半導体レーザーを夫々用いている。即ち、第1乃至第3の測定光としてレーザー光を用いており、これらレーザー光は進行方向に垂直な断面において所定の広がりを有する。レーザー光は直進性を有するため、第1乃至第3の出射部50a,50b,50cから出射され、第1乃至第3の測定部48a,48b,48cに対面する体腔壁によって反射された第1乃至第3の測定光は、夫々、第1乃至第3の受光部56a,56b,56cの内の対応する受光部56a,56b,56cのみへと反射され、体腔壁による散乱によって対応しない受光部56a,56b,56cに入射されることはない。即ち、各出射部50a,50b,50cから出射された測定光は、対応しない受光部56a,56b,56cによっては検知されないため、先端構成部22と体腔壁との位置関係を正確に測定することが可能となっている。