JP2006324209A - 冷陰極素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子放出特性のばらつきを抑制することができる冷陰極素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の冷陰極素子の製造方法は、フッ化されたフォトレジスト層16の表面を所定寸法だけ溶解又は除去して親水化する工程と、界面活性剤が添加されたエッチング液に浸しながら負圧状態にし、フォトレジスト層16の表面に生じた撥水性を弱める工程とを含み、ウエットエッチングを行う際に絶縁層13に形成された穴の中にエッチング液が入りやすくなるようにした。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明の冷陰極素子の製造方法は、フッ化されたフォトレジスト層16の表面を所定寸法だけ溶解又は除去して親水化する工程と、界面活性剤が添加されたエッチング液に浸しながら負圧状態にし、フォトレジスト層16の表面に生じた撥水性を弱める工程とを含み、ウエットエッチングを行う際に絶縁層13に形成された穴の中にエッチング液が入りやすくなるようにした。
【選択図】 図3
Description
本発明は、例えば炭素系微細繊維を用いた冷陰極素子の製造方法に関する。
近年、カーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバ、カーボンナノコイル等の炭素系微細繊維は、優れた電子放出特性を持つため、冷陰極材料として注目されている。また、炭素系微細繊維を用いた冷陰極素子は、ディスプレイや撮像装置、照明装置等のデバイスへの適用が検討されている。
特に、冷陰極素子を平面上に並べることによりディスプレイに応用した冷陰極ディスプレイは、高い発光効率、速い応答速度、広い色再現性、低真空環境で動作可能といった特徴を有するディスプレイであり、次世代の大型ディスプレイとして期待されている。
冷陰極素子は、電子を放出する冷陰極と、冷陰極からの電子放出を促すために正の電圧が印加されるゲート電極とから構成され、冷陰極素子に対向配置されて電子を捕捉するアノードを含めて3極型冷陰極素子と呼ばれる。また、この3極型冷陰極素子に、冷陰極から放出された電子を集束するための電極が付加されたものは4極型冷陰極素子と呼ばれ、3極型冷陰極素子と共にディスプレイや撮像装置等の素子として使用されることが多い。
一般に、ディスプレイや撮像装置に冷陰極素子を用いる場合、画像を構成する画素構造に応じて、この冷陰極素子を平面上に二次元的に配置する。この際、1つの画素に対し、1つ以上の冷陰極素子を配置するが、この配置数が多いほど1つの画素から、より多くの電子放出量、すなわち電流を得ることができ、かつ冷陰極素子が持つ電子放出特性のばらつきを平均化することができるため、高品質な画像を得ることができる。
以上のことから、冷陰極素子を高密度に配置することが、ディスプレイや撮像装置等の性能向上に寄与するので、冷陰極素子を高密度に配置する製造方法が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示されたゲート電極付きの冷陰極素子は、炭素系冷陰極材料を冷陰極に用いたものであり、以下の工程で製造されるものである。
工程(1)基板上に陰極母線、絶縁層、ゲート電極を順次形成する。以下、この積層方向を垂直方向といい、垂直方向に直交する方向を水平方向という。
工程(2)フォトレジスト層をゲート電極上に形成する。
工程(3)フォトリソグラフィ技術によってゲート電極に穴を形成する。
工程(4)ドライエッチングによって絶縁層を垂直方向にエッチングし、陰極母線を露出させる。
工程(5)ウエットエッチングによって絶縁層を水平方向にエッチングする。
工程(6)陰極母線上に触媒金属を成膜する。
工程(7)フォトレジスト層と、このフォトレジスト層上に成膜された余分な触媒金属とを共に剥離する。
工程(8)CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によって陰極母線上に炭素系冷陰極を設ける。
工程(2)フォトレジスト層をゲート電極上に形成する。
工程(3)フォトリソグラフィ技術によってゲート電極に穴を形成する。
工程(4)ドライエッチングによって絶縁層を垂直方向にエッチングし、陰極母線を露出させる。
工程(5)ウエットエッチングによって絶縁層を水平方向にエッチングする。
工程(6)陰極母線上に触媒金属を成膜する。
工程(7)フォトレジスト層と、このフォトレジスト層上に成膜された余分な触媒金属とを共に剥離する。
工程(8)CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によって陰極母線上に炭素系冷陰極を設ける。
前述の工程(4)及び(5)において、ドライエッチングとウエットエッチングとを併用して絶縁層をエッチングするのは、ドライエッチング又はウエットエッチングだけでは以下のような問題が生じるからである。
まず、ウエットエッチングだけで絶縁層をエッチングする場合に生じる問題について図11を用いて説明する。図11において、従来の冷陰極素子1は、ガラス基板2と、陰極母線3と、絶縁層4と、ゲート電極5と、炭素系冷陰極6とを備えている。絶縁層4の垂直方向の寸法をT、隣り合う冷陰極素子1の間隔の寸法をDとするとき、図11(a)はD≧2Tの場合を示し、図11(b)はD<2Tの場合を示している。
絶縁層4の寸法Tに対し、隣り合う冷陰極素子1の間隔の寸法Dが2T以上あるときは、図11(a)に示すようにエッチングされ、隣り合う冷陰極素子1が絶縁層4によって区切られる。しかしながら、例えば冷陰極素子1の高密度化を図るために寸法Dを2Tよりも小さくしたときは、図11(b)に示すようにエッチングされ、隣り合う冷陰極素子1が破線で示す範囲で接続されてしまう。その結果、後工程においてゲート電極5に割れやたわみ等が生じて陰極母線3と接触し、ゲート電極5と陰極母線3とが電気的に短絡することがある。したがって、絶縁層4をエッチングするのにウエットエッチングを用いるだけでは、冷陰極素子1の高密度化を図ることは困難である。なお、図11(a)及び(b)に示すような形状に絶縁層4がエッチングされるのは、ウエットエッチングでは等方的にエッチングが進行するからである。
次に、ドライエッチングだけで絶縁層をエッチングする場合に生じる問題について図12を用いて説明する。
図12(a)〜(d)に示すように、ドライエッチングだけで絶縁層4をエッチングする場合、絶縁層4は垂直方向にエッチングされる。このとき、図12(a)及び(b)に示すように、一般にエッチング時において例えばポリマーで作られた保護層が穴の内部の絶縁層4上に形成される。この保護層は、後工程において汚染物質となり、ゲート電極5と陰極母線3との間の電気抵抗を低下させてリーク電流の原因となる。また、ゲート電極5の穴の端部から垂直方向に絶縁層4の壁が形成されるため、前述の工程(6)において陰極母線3上に触媒金属を成膜する際に、図12(c)及び(d)に示すように絶縁層4の側面にも触媒が付着しやすくなる。この触媒が絶縁層4に付着したままCVD法により炭素系冷陰極材料を成膜すると、絶縁層4の壁に沿って炭素系冷陰極材料が成長するため、ゲート電極5と陰極母線3とが電気的に短絡することがある。
以上のように、ドライエッチング又はウエットエッチングだけで絶縁層をエッチングすることには問題があるので、従来の冷陰極素子の製造方法においては、絶縁層をエッチングする際にドライエッチングとウエットエッチングとを併用する工程となっている。
しかしながら、前述の工程(4)におけるドライエッチングでは、一般にエッチングガスとしてフッ素系のガスが用いられるため、ゲート電極の表面を覆うフォトレジスト層がドライエッチング後にフッ化されて撥水性を有するようになることが避けられない。このため、工程(5)においてウエットエッチングを行う際に、エッチング液が穴の中に入らない確率が高くなり、ウエットエッチングによるエッチング量が冷陰極素子毎に異なってしまう。その結果、エッチング量が所望値よりも少ない冷陰極素子では、ゲート電極と陰極母線とが電気的に短絡するものが発生する場合がある。したがって、従来の冷陰極素子の製造方法で製造されたものは、各冷陰極素子の電子放出特性がばらついてしまい、例えばディスプレイ装置に適用した場合に表示画像の明るさにばらつきが発生するという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、電子放出特性のばらつきを抑制することができる冷陰極素子の製造方法を提供するものである。
本発明の冷陰極素子の製造方法は、基板上に第1電極、絶縁層、第2電極及びレジスト層を順次形成する工程と、前記レジスト層から前記第1電極に至る穴を形成して前記第1電極を露出させる工程と、エッチング液に浸して前記穴の内部の前記絶縁層をウエットエッチングする工程と、前記ウエットエッチングする工程の前に前記レジスト層の表面を親水化する工程とを含む構成を有している。
この構成により、本発明の冷陰極素子の製造方法は、ウエットエッチングの工程前にレジスト層の表面を親水化する工程を含むので、レジスト層から第1電極に至る穴の内部にエッチング液が流入しやすくなり、穴の内部の絶縁層のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ揃えることができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
また、本発明の冷陰極素子の製造方法は、前記第2電極と前記レジスト層との間において前記第2電極上に絶縁層及び第3電極を順次形成する工程を含む構成を有している。
この構成により、本発明の冷陰極素子の製造方法は、ウエットエッチングの工程前にレジスト層の表面を親水化する工程を含むので、レジスト層から第3電極に至る穴の内部にエッチング液が流入しやすくなり、穴の内部の絶縁層のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ揃えることができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
さらに、本発明の冷陰極素子の製造方法は、前記エッチング液が、界面活性剤を含む構成を有している。
この構成により、本発明の冷陰極素子の製造方法は、エッチング液が界面活性剤を含むので、レジスト層の表面を親水化して穴の内部にエッチング液が流入しやすくなり、穴の内部の絶縁層のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ揃えることができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
さらに、本発明の冷陰極素子の製造方法は、前記ウエットエッチングする工程は、前記エッチング液に浸した状態で負圧雰囲気中において行われる構成を有している。
この構成により、本発明の冷陰極素子の製造方法は、穴の内部の気体を排出することができるので、穴の内部にエッチング液が流入しやすくなり、穴の内部の絶縁層のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ揃えることができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
さらに、本発明の冷陰極素子の製造方法は、前記レジスト層の表面を親水化する工程において、前記レジスト層の表面を所定の寸法だけ溶解する構成を有している。
この構成により、本発明の冷陰極素子の製造方法は、レジスト層の表面を親水化して穴の内部にエッチング液が流入しやすくなり、穴の内部の絶縁層のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ揃えることができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
さらに、本発明の冷陰極素子の製造方法は、前記レジスト層の表面を親水化する工程において、前記レジスト層の表面に対し、酸化処理及び水酸化処理のいずれかを行う構成を有している。
この構成により、本発明の冷陰極素子の製造方法は、レジスト層の表面を親水化して穴の内部にエッチング液が流入しやすくなり、穴の内部の絶縁層のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ揃えることができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
さらに、本発明の冷陰極素子の製造方法は、前記レジスト層の表面を親水化する工程において、前記レジスト層の表面を所定の寸法だけ除去する構成を有している。
この構成により、本発明の冷陰極素子の製造方法は、レジスト層の表面を親水化して穴の内部にエッチング液が流入しやすくなり、穴の内部の絶縁層のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ揃えることができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
本発明は、電子放出特性のばらつきを抑制することができるという効果を有する冷陰極素子の製造方法を提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る冷陰極素子の製造方法が適用された冷陰極ディスプレイ装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態の冷陰極ディスプレイ装置の概略断面図であり、3極型冷陰極素子の構成となっている。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る冷陰極素子の製造方法が適用された冷陰極ディスプレイ装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態の冷陰極ディスプレイ装置の概略断面図であり、3極型冷陰極素子の構成となっている。
図1に示すように、本実施の形態の冷陰極ディスプレイ装置100は、冷陰極素子10と、陽極基板50とを有している。なお、冷陰極ディスプレイ装置100の構成をわかりやすくするため、図1には1冷陰極素子分の構成が示されている。
冷陰極素子10は、ガラス基板11上に形成された陰極母線12と、陰極母線12上に形成された絶縁層13と、絶縁層13上に形成されたゲート電極14と、陰極母線12上に設けられ、電子を放出する炭素系冷陰極15とを備えている。なお、陰極母線12及びゲート電極14は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の第1電極及び第2電極に対応するものである。
陽極基板50は、ガラス基板51上に形成され、電子を捕捉する陽極電極52と、電子の衝突によって発光する蛍光面53とを備えている。
陰極母線12は、例えばクロムで構成され、例えばスパッタリング法によってガラス基板11上に形成されている。絶縁層13は、例えば酸化珪素で構成され、例えばスパッタリング法によって陰極母線12上に形成されている。ゲート電極14は、例えばクロムで構成され、例えばスパッタリング法によって絶縁層13上に形成されている。炭素系冷陰極15は、例えばカーボンナノチューブで構成され、陰極母線12上に形成されている。
陽極電極52は、例えばITO(Indium Tin Oxide:錫ドープ酸化インジウム)のような透明電極によって構成され、蛍光面53は、陽極電極52上に蛍光体が塗布されて形成されている。
図1において、冷陰極ディスプレイ装置100は、陰極母線12とゲート電極14との間にゲート電圧V1が印加され、陰極母線12と陽極電極52との間に陽極電圧V2が印加されるようになっている。そして、ゲート電圧V1による電界によって、炭素系冷陰極15から電子が放出され、放出された電子は、陽極電圧V2による電界によって加速され、蛍光面53を通過して蛍光面53を発光させた後、陽極電極52に達することにより、冷陰極ディスプレイ装置100は、所定の画像を表示することができるようになっている。
次に、本実施の形態の冷陰極ディスプレイ装置100に係る冷陰極素子10の製造方法について図2〜図4を用いて説明する。図2(a)〜(g)、図3(h)〜(j)及び図4(k)〜(l)は、各製造工程における冷陰極素子10の概略断面図である。なお、以下の製造工程の説明において記載した製造上の手法や寸法等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、ガラス基板11上に陰極母線12として例えばクロムを200nm程度の厚さで形成する(図2(a))。陰極母線12の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法、印刷法等を用いることができ、必要であれば、陰極母線12をフォトリソグラフィ及びエッチング等を用いてライン状にパターンニングしてもよい。また、ガラス基板11は、他の材料からなる基板でもよく、例えばシリコン、セラミクス、石英等を用いることができる。また、陰極母線12の材料としては、クロム以外に金、銀、銅、アルミニウム、シリコン、ニオブ、タンタル等を用いることができる。
次いで、絶縁層13として例えば酸化珪素を3μm程度の厚さで形成する(図2(b))。絶縁層13の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法、印刷法等を用いることができる。また、絶縁層13の材料としては、酸化珪素以外に酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム等を用いることができる。
さらに、ゲート電極14として例えばクロムを200nm程度の厚さで形成する(図2(c))。ゲート電極14の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法、印刷法等を用いることができ、必要であれば、ゲート電極14をフォトリソグラフィ及びエッチング等を用いてライン状にパターンニングしてもよい。また、ゲート電極14の材料としては、クロム以外に金、銀、銅、アルミニウム、シリコン、ニオブ、タンタル等を用いることができる。
引き続き、ゲート電極14上にフォトレジストをスピンコートにより3μm程度の厚さで塗布してフォトレジスト層16を形成し、その後、約100℃にて1時間程度ベーキングする(図2(d))。なお、フォトレジスト層16は、特許請求の範囲に記載のレジスト層に対応するものである。
次いで、予め5μm程度の径の穴がパターンニングされたフォトマスクを用いて紫外線露光し、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液を用いて現像する(図2(e))。
次いで、クロムエッチャントを用いてゲート電極14をエッチングし、穴17をゲート電極14に設けた後、1時間程度ベーキングする(図2(f))。
続いて、例えばCHF3(トリフルオルメタン)ガスを用いたドライエッチングにより、例えば気圧5Pa、出力200W、時間120分間の条件で、絶縁層13を垂直方向にエッチングし、陰極母線12を露出させる(図2(g))。このとき、フォトレジスト層16がマスクとなりゲート電極14はエッチングされない。ドライエッチング後は、図2(g)に示すようにフォトレジスト層16の表面は撥水化される。
さらに、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液に約60秒間浸して、撥水性を有するフォトレジスト層16の表面を所定寸法だけ溶解することにより親水化する(図3(h))。ここで、所定寸法だけ溶解するとは、フォトレジスト層16の表面を親水化できる程度、換言すればフォトレジスト層16の表面から撥水性が無くなる程度に溶解することをいう。溶解する厚さは、フォトレジスト層16の溶解前の厚さや、後工程のドライエッチングにおける耐性等を考慮して設定するのが好ましい。具体的には、フォトレジスト層16の溶解前の厚さが3μm程度の場合は、例えば10nm〜20nm程度になるよう極めて薄く溶解するのが好ましい。なお、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液に代えて、例えば有機アルカリ系の水溶液やエタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の有機溶媒の水溶液、フォトレジスト層16を溶解する能力がある化学薬品等を使用することができる。
また、図3(h)に示された工程に代えて、図3(h1)に示すように、酸素プラズマによりフォトレジスト層16の表面を、例えば気圧5Pa、出力100W、時間1分間の条件で酸化又は水酸化し、極めて薄くフォトレジスト層16の表面を所定寸法だけ除去することにより親水化することもできる。ここで、所定寸法だけ除去するとは、図3(h)に示された工程における所定寸法だけ溶解する量と同等な量だけ除去することをいう。なお、酸素の他にも例えばアルゴンのような希ガスを用いることができる。
次いで、界面活性剤が添加されたバッファードフッ酸、例えばステラケミファ社のLAL700を用いて、絶縁層13を水平方向に20分間ウエットエッチングする(図3(i))。この際、真空デシケータと真空ポンプとを用いて雰囲気を負圧にする。
引き続き、触媒層18として例えば鉄を30nm程度の厚さで形成する(図3(j))。図3(j)において、陰極母線12上に形成された層を触媒層18aとし、フォトレジスト層16上に形成された層を触媒層18bとしている。触媒層18の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法等を用いることができる。また、触媒層18の材料としては、鉄以外に白金、パラジウム等の貴金属やコバルト、ニッケル等の遷移金属、イットリウムのような希土類元素、又はこれらの合金等を用いることができる。
次いで、アミン系の剥離液、例えば東京応化工業(株)の106液を用いて、フォトレジスト層16を剥離する(図4(k))。このとき、陰極母線12上に形成された触媒層18aはそのまま残り、フォトレジスト層16上に形成された触媒層18bはフォトレジスト層16と共にゲート電極14から剥離される。
そして、例えば熱CVD法によって、一酸化炭素と水素とが混合された雰囲気中で20分間、600℃にて加熱し、炭素系冷陰極15を成長させる(図4(l))。なお、炭素系冷陰極15は、熱CVD法以外の手法、例えばプラズマCVD法によっても成長させることができる。
以上のように、本実施の形態の冷陰極素子10の製造方法によれば、フッ化されたフォトレジスト層16の表面を所定寸法だけ溶解又は除去して親水化する工程と、界面活性剤が添加されたエッチング液に浸しながら負圧状態にし、フォトレジスト層16の表面に生じた撥水性を弱める工程とを含み、ウエットエッチングを行う際に絶縁層13に形成された穴の中にエッチング液が入りやすくなる構成としたので、複数の冷陰極素子を同時に形成する場合、ウエットエッチングによる水平方向のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ均一化してゲート電極と陰極母線との間の電気的な短絡を防止することができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
なお、前述の実施の形態において、本発明の冷陰極素子の製造方法を冷陰極ディスプレイに適用した例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば撮像素子や照明装置等のデバイスに適用しても同様の効果が得られる。
また、前述の実施の形態において、本発明の冷陰極素子の製造方法を炭素系冷陰極を用いた冷陰極素子に適用した例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係る冷陰極素子の製造方法が適用された冷陰極ディスプレイ装置の構成について図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態の冷陰極ディスプレイ装置の概略断面図であり、4極型冷陰極素子の構成となっている。
まず、本発明の第2の実施の形態に係る冷陰極素子の製造方法が適用された冷陰極ディスプレイ装置の構成について図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態の冷陰極ディスプレイ装置の概略断面図であり、4極型冷陰極素子の構成となっている。
図5に示すように、本実施の形態の冷陰極ディスプレイ装置200は、冷陰極素子20と、陽極基板60とを有している。なお、冷陰極ディスプレイ装置200の構成をわかりやすくするため、図5には1冷陰極素子分の構成が示されている。
冷陰極素子20は、ガラス基板21上に形成された陰極母線22と、陰極母線22上に形成された絶縁層23と、絶縁層23上に形成されたゲート電極24と、ゲート電極24上に形成された絶縁層25と、絶縁層25上に形成され、電子を集束する集束電極26と、陰極母線22上に設けられ、電子を放出する炭素系冷陰極27とを備えている。なお、陰極母線22、ゲート電極24及び集束電極26は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の第1電極、第2電極及び第3電極に対応するものである。
陽極基板60は、ガラス基板61上に形成され、電子を捕捉する陽極電極62と、電子の衝突によって発光する蛍光面63とを備えている。
陰極母線22は、例えばクロムで構成され、例えばスパッタリング法によってガラス基板21上に形成されている。絶縁層23及び25は、例えば酸化珪素で構成され、例えばスパッタリング法によって、それぞれ、陰極母線22及びゲート電極24上に形成されている。ゲート電極24は、例えばクロムで構成され、例えばスパッタリング法によって絶縁層23上に形成されている。集束電極26は、例えばクロムで構成され、例えばスパッタリング法によって絶縁層25上に形成されている。炭素系冷陰極27は、例えばカーボンナノチューブで構成され、陰極母線22上に形成されている。
陽極電極62は、例えばITOのような透明電極によって構成され、蛍光面63は、陽極電極62上に蛍光体が塗布されて形成されている。
図5において、冷陰極ディスプレイ装置200は、陰極母線22とゲート電極24との間にゲート電圧V1が印加され、ゲート電極24と集束電極26との間に集束電圧V2が印加され、さらに、陰極母線22と陽極電極62との間に陽極電圧V3が印加されるようになっている。そして、ゲート電圧V1による電界によって、炭素系冷陰極27から電子が放出され、放出された電子は、集束電圧V2による電界によって集束される。そして、陽極電圧V3による電界によって加速され、蛍光面63を通過して蛍光面63を発光させた後、陽極電極62に達することにより、冷陰極ディスプレイ装置200は、所定の画像を表示することができるようになっている。
次に、本実施の形態の冷陰極ディスプレイ装置200に係る冷陰極素子20の製造方法について図6〜図9を用いて説明する。図6(a)〜(g)、図7(h)〜(j1)、図8(k)〜(n1)及び図9(o)〜(r)は、各製造工程における冷陰極素子20の概略断面図である。なお、以下の製造工程の説明において記載した製造上の手法や寸法等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、ガラス基板21上に陰極母線22として例えばクロムを200nm程度の厚さで形成する(図6(a))。陰極母線22の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法、印刷法等を用いることができ、必要であれば、陰極母線22をフォトリソグラフィ及びエッチング等を用いてライン状にパターンニングしてもよい。また、ガラス基板21は、他の材料からなる基板でもよく、例えばシリコン、セラミクス、石英等を用いることができる。また、陰極母線22の材料としては、クロム以外に金、銀、銅、アルミニウム、シリコン、ニオブ、タンタル等を用いることができる。
次いで、絶縁層23として例えば酸化珪素を3μm程度の厚さで形成する(図6(b))。絶縁層23の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法、印刷法等を用いることができる。また、絶縁層23の材料としては、酸化珪素以外に酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム等を用いることができる。
さらに、ゲート電極24として例えばクロムを200nm程度の厚さで形成する(図6(c))。ゲート電極24の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法、印刷法等を用いることができ、必要であれば、ゲート電極24をフォトリソグラフィ及びエッチング等を用いてライン状にパターンニングしてもよい。また、ゲート電極24の材料としては、クロム以外に金、銀、銅、アルミニウム、シリコン、ニオブ、タンタル等を用いることができる。
次いで、絶縁層25として例えば酸化珪素を3μm程度の厚さで形成する(図6(d))。絶縁層25の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法、印刷法等を用いることができる。また、絶縁層25の材料としては、酸化珪素以外に酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム等を用いることができる。
次いで、集束電極26として例えばクロムを200nm程度の厚さで形成する(図6(e))。集束電極26の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法、印刷法等を用いることができ、必要であれば、集束電極26をフォトリソグラフィ及びエッチング等を用いてライン状にパターンニングしてもよい。また、集束電極26の材料としては、クロム以外に金、銀、銅、アルミニウム、シリコン、ニオブ、タンタル等を用いることができる。
引き続き、集束電極26上にフォトレジストをスピンコートにより3μm程度の厚さで塗布してフォトレジスト層28を形成し、その後、約100℃にて1時間程度ベーキングする(図6(f))。なお、フォトレジスト層28は、特許請求の範囲に記載のレジスト層に対応するものである。
次いで、予め5μm程度の径の穴がパターンニングされたフォトマスクを用いて紫外線露光し、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液を用いて現像する(図6(g))。
次いで、クロムエッチャントを用いて集束電極26をエッチングし、穴29を集束電極26に設けた後、1時間程度ベーキングする(図7(h))。
続いて、例えばCHF3ガスを用いたドライエッチングにより、例えば気圧5Pa、出力200W、時間120分間の条件で、絶縁層25を垂直方向にエッチングし、ゲート電極24を露出させる(図7(i))。このとき、フォトレジスト層28がマスクとなり集束電極26はエッチングされない。ドライエッチング後は、図7(i)に示すようにフォトレジスト層28の表面は撥水化される。
さらに、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液に約60秒間浸して、撥水性を有するフォトレジスト層28の表面を所定寸法だけ溶解することにより親水化する(図7(j))。ここで、所定寸法だけ溶解するとは、フォトレジスト層28の表面を親水化できる程度、換言すればフォトレジスト層28の表面から撥水性が無くなる程度に溶解することをいう。溶解する厚さは、フォトレジスト層28の溶解前の厚さや、後工程のドライエッチングにおける耐性等を考慮して設定するのが好ましい。具体的には、フォトレジスト層28の溶解前の厚さが3μm程度の場合は、例えば10nm〜20nm程度になるよう極めて薄く溶解するのが好ましい。なお、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液に代えて、例えば有機アルカリ系の水溶液やエタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の有機溶媒の水溶液、フォトレジスト層28を溶解する能力がある化学薬品等を使用することができる。
また、図7(j)に示された工程に代えて、図7(j1)に示すように、酸素プラズマによりフォトレジスト層28の表面を、例えば気圧5Pa、出力100W、時間1分間の条件で酸化又は水酸化し、極めて薄くフォトレジスト層28の表面を所定寸法だけ除去することにより親水化することもできる。ここで、所定寸法だけ除去するとは、図7(j)に示された工程における所定寸法だけ溶解する量と同等な量だけ除去することをいう。なお、酸素の他にも例えばアルゴンのような希ガスを用いることができる。
次いで、界面活性剤が添加されたバッファードフッ酸、例えばステラケミファ社のLAL700を用いて、絶縁層25を水平方向に20分間ウエットエッチングする(図8(k))。この際、真空デシケータと真空ポンプとを用いて雰囲気を負圧にする。
次いで、クロムエッチャントを用いてゲート電極24をエッチングし、穴29をゲート電極24に設けた後、1時間程度ベーキングする(図8(l))。
続いて、例えばCHF3ガスを用いたドライエッチングにより、例えば気圧5Pa、出力200W、時間120分間の条件で、絶縁層23を垂直方向にエッチングし、陰極母線22を露出させる(図8(m))。このとき、フォトレジスト層28がマスクとなりゲート電極24及び集束電極26はエッチングされない。ドライエッチング後は、図8(m)に示すようにフォトレジスト層28の表面は撥水化される。
さらに、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液に約60秒間浸して、撥水性を有するフォトレジスト層28の表面を所定寸法だけ溶解することにより親水化する(図8(n))。なお、水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液に代えて、例えば有機アルカリ系の水溶液やエタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の有機溶媒の水溶液、フォトレジスト層28を溶解する能力がある化学薬品等を使用することができる。
また、図8(n)に示された工程に代えて、図8(n1)に示すように、酸素プラズマによりフォトレジスト層28の表面を、例えば気圧5Pa、出力100W、時間1分間の条件で酸化又は水酸化し、極めて薄くフォトレジスト層28の表面を所定寸法だけ除去することにより親水化することもできる。なお、酸素の他にも例えばアルゴンのような希ガスを用いることができる。
次いで、界面活性剤が添加されたバッファードフッ酸、例えばステラケミファ社のLAL700を用いて、絶縁層23及び25を水平方向に20分間ウエットエッチングする(図9(o))。この際、真空デシケータと真空ポンプとを用いて雰囲気を負圧にする。
引き続き、触媒層30として例えば鉄を30nm程度の厚さで形成する(図9(p))。図9(p)において、陰極母線22上に形成された層を触媒層30aとし、フォトレジスト層28上に形成された層を触媒層30bとしている。触媒層30の形成工程は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法等を用いることができる。また、触媒層30の材料としては、鉄以外に白金、パラジウム等の貴金属やコバルト、ニッケル等の遷移金属、イットリウムのような希土類元素、又はこれらの合金等を用いることができる。
次いで、アミン系の剥離液、例えば東京応化社の106液を用いて、フォトレジスト層28を剥離する(図9(q))。このとき、陰極母線22上に形成された触媒層30aはそのまま残り、フォトレジスト層28上に形成された触媒層30bはフォトレジスト層28と共に集束電極26から剥離される。
そして、例えば熱CVD法によって、一酸化炭素と水素とが混合された雰囲気中で20分間、600℃にて加熱し、炭素系冷陰極27を成長させる(図9(r))。なお、炭素系冷陰極27は、熱CVD法以外の手法、例えばプラズマCVD法によっても成長させることができる。
以上のように、本実施の形態の冷陰極素子20の製造方法によれば、フッ化されたフォトレジスト層28の表面を所定寸法だけ溶解又は除去して親水化する工程と、界面活性剤が添加されたエッチング液に浸しながら負圧状態にし、フォトレジスト層28の表面に生じた撥水性を弱める工程とを含み、ウエットエッチングを行う際に絶縁層23及び25に形成された穴の中にエッチング液が入りやすくなる構成としたので、複数の冷陰極素子を同時に形成する場合、ウエットエッチングによる水平方向のエッチング量を冷陰極素子毎にほぼ均一化してゲート電極と陰極母線との間の電気的な短絡を防止することができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
(実験結果)
次に、本発明の冷陰極素子の製造方法による効果を確認するために行った実験の結果について説明する。
次に、本発明の冷陰極素子の製造方法による効果を確認するために行った実験の結果について説明する。
(1)界面活性剤の有無による効果の確認実験
まず、ドライエッチングにて絶縁層に垂直方向の穴を施した2枚の基板を用意した。次いで、一方の基板は界面活性剤が添加されたエッチング液を用いてウエットエッチングを行い、他方の基板は界面活性剤が添加されていないエッチング液を用いてウエットエッチングを行った。その後、それぞれの基板を破砕し、電子顕微鏡により絶縁層のエッチング状態を確認した。
まず、ドライエッチングにて絶縁層に垂直方向の穴を施した2枚の基板を用意した。次いで、一方の基板は界面活性剤が添加されたエッチング液を用いてウエットエッチングを行い、他方の基板は界面活性剤が添加されていないエッチング液を用いてウエットエッチングを行った。その後、それぞれの基板を破砕し、電子顕微鏡により絶縁層のエッチング状態を確認した。
その結果、界面活性剤が添加されたエッチング液を用いてウエットエッチングを行ったものは、80〜85%程度の割合で、図10(a)に示すように絶縁層が水平方向にエッチングされた状態となっていた。一方、界面活性剤が添加されていないエッチング液を用いてウエットエッチングを行ったものは、その半数以上が図10(b)に示すように絶縁層が水平方向にエッチングされていない状態であった。
(2)負圧状態でのウエットエッチングの効果の確認実験
まず、ドライエッチングにて絶縁層に垂直方向の穴を施した2枚の基板を用意した。次いで、一方の基板は従来行われているように大気圧中でウエットエッチングを行い、他方の基板はエッチング液に浸した状態で真空デシケータに入れ、1Pa程度の負圧状態にしてウエットエッチングを行った。なお、エッチング液は、両者共に界面活性剤を添加したものを用いた。その後、それぞれの基板を破砕し、電子顕微鏡により絶縁層のエッチング状態を確認した。
まず、ドライエッチングにて絶縁層に垂直方向の穴を施した2枚の基板を用意した。次いで、一方の基板は従来行われているように大気圧中でウエットエッチングを行い、他方の基板はエッチング液に浸した状態で真空デシケータに入れ、1Pa程度の負圧状態にしてウエットエッチングを行った。なお、エッチング液は、両者共に界面活性剤を添加したものを用いた。その後、それぞれの基板を破砕し、電子顕微鏡により絶縁層のエッチング状態を確認した。
その結果、負圧状態でウエットエッチングを行ったものは、90%程度の割合で絶縁層が水平方向にエッチングされていた。一方、大気圧中でウエットエッチングを行ったものは、絶縁層が水平方向にエッチングされていなかった。
(3)フォトレジスト層の表面の親水化による効果の確認実験
フォトレジスト層の表面を親水化するため、以下の2種類の方法を用いた。なお、絶縁層上に電極とフォトレジスト層とを順次形成した基板を用いた。
フォトレジスト層の表面を親水化するため、以下の2種類の方法を用いた。なお、絶縁層上に電極とフォトレジスト層とを順次形成した基板を用いた。
(ア)水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%水溶液を用い、この液に基板を30〜45秒間浸し、フォトレジスト層の表面を極めて薄く溶解した。
(イ)ドライエッチングにより絶縁層をエッチングした後、チャンバー内を真空引きし、酸素を5Pa程度流入して酸素プラズマを発生させ、30秒程度曝露させることにより、フォトレジスト層の表面を酸化又は水酸化した。
次いで、界面活性剤を添加したエッチング液を用いて負圧状態でウエットエッチングを行った後、それぞれの基板を破砕し、電子顕微鏡により絶縁層のエッチング状態を確認した。
その結果、(ア)、(イ)の方法でフォトレジスト層の表面を親水化したものは共に、全ての穴において絶縁層が水平方向にエッチングされていた。また、(イ)の方法で用いた酸素に代えてアルゴンを用いても同様の効果が得られることを確認した。これは、アルゴンプラズマにより、フォトレジスト層の表面が極めて薄く除去されたためであると考えられる。
以上の実験結果から、界面活性剤を添加したエッチング液を用いる工程と、雰囲気を負圧にする工程と、フォトレジスト層の表面を親水化処理する工程とのうちの少なくとも1つの工程によって、従来のものよりも高い割合でエッチング液を穴の中に入れることができ、穴の内部の絶縁層を水平方向にエッチングすることが可能なことが検証できた。
したがって、本発明の冷陰極素子の製造方法によれば、穴の内部の絶縁層を水平方向にエッチングすることにより、冷陰極とゲート電極とが電気的に短絡することを回避することができ、電子放出特性のばらつきを抑制することができる。
10、20 冷陰極素子
11、21、51、61 ガラス基板
12、22 陰極母線(第1電極)
13、23、25 絶縁層
14、24 ゲート電極(第2電極)
15、27 炭素系冷陰極
16、28 フォトレジスト層(レジスト層)
17、29 穴
18(18a、18b)、30(30a、30b) 触媒層
26 集束電極(第3電極)
50、60 陽極基板
52、62 陽極電極
53、63 蛍光面
100、200 冷陰極ディスプレイ装置
11、21、51、61 ガラス基板
12、22 陰極母線(第1電極)
13、23、25 絶縁層
14、24 ゲート電極(第2電極)
15、27 炭素系冷陰極
16、28 フォトレジスト層(レジスト層)
17、29 穴
18(18a、18b)、30(30a、30b) 触媒層
26 集束電極(第3電極)
50、60 陽極基板
52、62 陽極電極
53、63 蛍光面
100、200 冷陰極ディスプレイ装置
Claims (7)
- 基板上に第1電極、絶縁層、第2電極及びレジスト層を順次形成する工程と、前記レジスト層から前記第1電極に至る穴を形成して前記第1電極を露出させる工程と、エッチング液に浸して前記穴の内部の前記絶縁層をウエットエッチングする工程と、前記ウエットエッチングする工程の前に前記レジスト層の表面を親水化する工程とを含むことを特徴とする冷陰極素子の製造方法。
- 前記第2電極と前記レジスト層との間において前記第2電極上に絶縁層及び第3電極を順次形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の冷陰極素子の製造方法。
- 前記エッチング液は、界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷陰極素子の製造方法。
- 前記ウエットエッチングする工程は、前記エッチング液に浸した状態で負圧雰囲気中において行われることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の冷陰極素子の製造方法。
- 前記レジスト層の表面を親水化する工程において、前記レジスト層の表面を所定の寸法だけ溶解することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の冷陰極素子の製造方法。
- 前記レジスト層の表面を親水化する工程において、前記レジスト層の表面に対し、酸化処理及び水酸化処理のいずれかを行うことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の冷陰極素子の製造方法。
- 前記レジスト層の表面を親水化する工程において、前記レジスト層の表面を所定の寸法だけ除去することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の冷陰極素子の製造方法。
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JP2007149594A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-14 | Kokusai Kiban Zairyo Kenkyusho:Kk | 冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出素子の製造方法 |
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-
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- 2005-05-20 JP JP2005148476A patent/JP2006324209A/ja active Pending
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