JP2006318783A - ハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟性に富み前記のように電線押出し時におけるメヤニの発生を抑えたハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体を提供する。
【解決手段】樹脂100重量部に対し、引張弾性率が100MPa未満である少なくとも2種類以上の樹脂を組み合わせてなる配合物が65〜75重量部(a)と、ポリプロピレン樹脂及び酸変性ポリプロピレン樹脂からなる組成が25〜35重量部(b)とを含む配合物からなるハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体。
【選択図】図1

Description

本発明は、特にハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体に関するものである。
従来、自動車用の電気回路に使用される電線は、その被覆材にPVCが使用されることが多かった。しかし最近では、環境に配慮し、塩素などハロゲン系化合物を含まないポリオレフィン樹脂を原料とする絶縁体材料の検討が行われてきている。特に、電線絶縁体材料にポリプロピレン樹脂を使用する場合、PVC並みの柔軟性を引き出すためには、熱可塑性エラストマー等の柔軟樹脂材料を使用することが多い。PVC電線と同様な柔軟性に富んだハロゲンフリーポリプロピレン電線を使用することは、ワイヤーハーネス組み付け時間を短くし、取り扱いも容易であるため生産性及び作業性に非常に優れるという利点がある。
特開2004−043546号公報
しかし、従来のこうしたハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体では、押出し成形機にて押し出す際にメヤニが発生し、電線表面の肌荒れ、電線への焼け異物の付着等を引き起こすため、定期的にメヤニを除去する必要性がありコストアップの要因となるほか、品質管理上も厳しくしなくてはならないといった製造上の問題を有していた。メヤニ、とは成形加工において、ダイスリップに発生する樹脂付着物のことを言い、その発生要因としては加工条件や材料に関する要因が考えられ、このメヤニの発生は、成形品の肌荒れ(メルトフラクチャー)、幕切れ、焼け異物発生といった問題を引き起こし、不良品の流動へつながる問題を有している。(図1を参照)
本発明が解決しようとする課題は、柔軟性に富み前記のように電線押出し時におけるメヤニの発生を抑えたハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体を提供する点にある。
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、樹脂100重量部に対し、
引張弾性率が100MPa未満である少なくとも2種類以上の樹脂を組み合わせてなる配合物が65〜75重量部(a)と、
ポリプロピレン樹脂及び酸変性ポリプロピレン樹脂からなる組成が25〜35重量部(b)
とを含む配合物からなるハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、請求項1の樹脂配合物100重量部に加えさらに、金属水和物55〜70重量部、フェノール系酸化防止剤0.1〜5重量部、ヒドラジン誘導体銅害防止剤0.1〜5重量部、脂肪酸誘導体滑剤0.1〜3重量部、の各組成を任意に含み得る配合物からなるハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、引張弾性率が300MPa以下である、請求項1或いは2に記載のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、請求項1乃至3に記載のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体により被覆された電線に存する。
本発明のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体は、メヤニ発生の問題点を解決し生産性に優れ、良好な柔軟性を維持しており作業性に優れているという利点がある。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明者らは、良好な柔軟性に富み、かつ電線押出し成形時にメヤニの発生を防止できるハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体について鋭意検討した結果、樹脂100重量部に対して、引張弾性率が100MPa未満である樹脂、即ち柔軟樹脂を少なくとも2種類以上組み合わせて65〜75重量部(a)、ポリプロピレン樹脂及びマレイン酸変性したポリプロピレン樹脂からなる組成が25〜35重量部(b)、加えて金属水和物55〜70重量部、フェノール系酸化防止剤0.1〜5重量部、ヒドラジン誘導体銅害防止剤0.1〜5重量部、脂肪酸誘導体滑剤0.1〜3重量部を配合してなる配合物において、良好な柔軟性に富みかつ電線押出し成形時にメヤニ発生を抑えられることを見出した。
引張弾性率が100MPa未満である少なくとも2種類以上の柔軟樹脂の配合量については、樹脂100重量部中65〜75重量部であり、好ましくは63〜73重量部である。65重量部未満の場合は、得られる絶縁体を持つ電線の柔軟性強度が増加してしまいワイヤーハーネス組み付け作業性を低下させるため好ましくない。また、75重量部より大きい場合は、電線押出し成形時においてメヤニが発生してしまい生産性を低下させるため好ましくない。
引張弾性率が100MPa未満の柔軟樹脂としては、一般に上市されているエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)またはエチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)とポリプロピレンからなるポリオレフィン系エラストマー、架橋反応を起こさせたEPDM、EPMとポリプロピレンからなる動的架橋型オレフィン系エラストマー及び完全非晶質ポリオレフィンなどを用いることができる。
引張弾性率が100MPa以上の柔軟樹脂を使用する場合は、引張弾性率が一桁に近い柔軟樹脂を多く配合する必要性が生じ、この場合電線押出し成形時にメヤニが発生してしまい生産性を低下させるため好ましくない。
本発明のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体は、前記の各配合成分を配合して混合し、熱可塑性樹脂押出し成形機に投入し、金型内へ押出して得られるが、混合に際し、その方法は特に限定されるものではない。例えば、原料をミキサー、ブレンダー等の混合機によりドライブレンドし、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール機に供給し溶融混練する方法を用いることができる。また、溶融混練する際、各原料を一括溶融混練りしてもよく、多段添加方式で溶融混練りしても良い。
以下、本実施の形態の実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
下記、表1の実施例及び比較例にある樹脂100重量部に対し、金属水和物66重量部、フェノール系酸化防止剤2重量部、ヒドラジン誘導体銅害防止剤1.5重量部、脂肪酸誘導体系滑剤0.5重量部を混合し、45mmφのスクリューを有する二軸押出機を用いて190℃〜210℃で溶融混練しペレット化した。
さらに得られたペレットについて、電熱プレスと蒸気プレスを用いて厚さ0.8mmのシートを作製した。得られたシートは、JIS K6251ダンベル3号形状に打ち抜いた後、引張速度50mm/minにて引張り、引張弾性率を圧縮応力測定装置(ストログラフ、島津製作所製)により測定した。引張弾性率が300MPa以下のものは合格(○)、300MPaより大きいものを不合格(×)とした。
また、20mmφのスクリューを有する単軸押出機(東洋精機製)を用いて、200℃〜220℃にて電線を10分間押出後に発生したメヤニを採取し、電子天秤を用いて重量を測定した。採取したメヤニの重量が、1mg/min以下のものを合格(○)、1mg/minより大きいものを不合格(×)とした。
これらの結果を表2にあわせて示した。
表2に示された通り、本発明のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体においては、引張弾性率300MPa以下という好適な柔軟性を維持し、かつメヤニの発生が抑えられることが示された。
なお、本発明が上記実施例の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。
本発明のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体材料は、電線押出し加工時にメヤニの発生が抑えられているため極めて生産効率が高い。
また、本発明のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体を押出した電線は柔軟性に富んでいるため、取り扱いが容易で組み付け加工時間が短いワイヤーハーネス等を提供することが可能である。
メヤニについての説明図

Claims (4)

  1. 樹脂100重量部に対し、
    引張弾性率が100MPa未満である少なくとも2種類以上の樹脂を組み合わせてなる配合物が65〜75重量部(a)と、
    ポリプロピレン樹脂及び酸変性ポリプロピレン樹脂からなる組成が25〜35重量部(b)
    とを含む配合物からなるハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体。
  2. 請求項1の樹脂配合物100重量部に加えさらに、金属水和物55〜70重量部、フェノール系酸化防止剤0.1〜5重量部、ヒドラジン誘導体銅害防止剤0.1〜5重量部、脂肪酸誘導体滑剤0.1〜3重量部、の各組成を任意に含み得る配合物からなるハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体。
  3. 引張弾性率が300MPa以下である、請求項1或いは2に記載のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体。
  4. 請求項1乃至3に記載のハロゲンフリーポリプロピレン樹脂電線絶縁体により被覆された電線。



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