JP2006314248A - トリテルペン誘導体の製造方法 - Google Patents

トリテルペン誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 医薬品の合成中間体として利用可能な式(II)で示されるトリテルペン誘導体の生物学的変換による新規な製造方法の提供。
【解決手段】 出発原料のトリテルペン誘導体を、式(II)で示されるトリテルペン誘導体に変換する能力を有する微生物の培養菌体またはその培養菌体の調製物の存在下、出発原料をインキュベーション処理し、その処理液から目的物を採取する。なお微生物としては、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属するものを挙げることができる。
【化7】
Figure 2006314248

(式(II)中、R1およびR2は、いずれか一方が水素原子を表わし、他方が水酸基を表わすか、一緒になってオキソ基を表わす)
【選択図】 なし

Description

本発明は、エンドセリンの作用に起因する循環器系障害等の治療薬として有効な医薬の合成用中間体として利用可能なトリテルペン誘導体の生物学的変換による製造方法に関する。
エンドセリンは、21個のアミノ酸からなる内皮細胞由来の血管収縮性ペプチドである(非特許文献1参照)。このペプチドは、細胞膜上にある受容体の活性化を介して、平滑筋収縮等をはじめとする多様な作用を発揮するため、循環器系疾患の発症に深く関与していると考えられている。
このようなエンドセリンの作用を抑制する物質としてある種のトリテルペン誘導体が知られている(特許文献1〜3参照)。これらトリテルペン誘導体は、エンドセリンの過剰分泌に起因する様々な疾患の治療または予防に特に有効であることが示唆されている。
従来、これらのエンドセリン受容体拮抗作用を示すトリテルペン誘導体は、北米産の常緑広葉樹シロコヤマモモ(southern bayberry,Myrica cerifera)の枝の有機溶媒抽出液より単離された化合物を化学修飾することにより得られる後記式(II)で示されるトリテルペン誘導体をさらに化学修飾することにより製造していた。しかしながらこの製造法は、繁雑な工程を要するために目的物質の収率は極めて低いという問題点があった。
式(II)
Figure 2006314248
(式(II)中、R1およびR2は、いずれか一方が水素原子を表わし、他方が水酸基を表わすか、一緒になってオキソ基を表わす)
一方、後記式(I)で示されるトリテルペン誘導体(特にR1が水素原子、R2が水酸基であるオレアノール酸)は、タラ根皮、ブドウ皮あるいはオリーブの葉から容易に抽出でき、大量に入手可能であるので、これを原料とした前記式(II)で示されるトリテルペン誘導体の製造も試みられているが、目的物を得るために10工程もの化学反応を要する(特許文献4参照)。
式(I)
Figure 2006314248
(式(I)中、R1およびR2は、いずれか一方が水素原子を表わし、他方が水酸基を表わすか、一緒になってオキソ基を表わす)
さらに生物学的な製造方法として、メリアンサス(Melianthus)属、ベルサマ(Bersama)属、ミリカ(Myrica)属、ポリガラ(Polygala)属、アスチルベ(Astilbe)属、イレックス(Ilex)属、マロタス(Mallotus)属、メロキア(Melochia)属、ロイプテリア(Rhoiptelea)属等の植物由来の毛状根を培養し、得られた毛状根から抽出精製する方法が提案されている(特許文献5参照)。しかしこれらの方法はいずれも生産効率が十分でなく、効率よく製造する方法の開発が強く望まれてた。
国際公開(WO)第92/12991号パンフレット 特開平7-53484号公報 特開平6-345716号公報 特開平7-316188号公報 国際公開(WO)第97/27314号パンフレット M.Yanagisawa et al.,Nature,vol.332,p411,1988
本発明は、生物学的変換方法による前記式(I)で示されるトリテルペン誘導体を原料とした前記式(II)で示されるトリテルペン誘導体の新規な製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために広範な微生物群から前記式(I)で示されるトリテルペン誘導体の27位メチル基を水酸化し、前記式(II)で示されるトリテルペン誘導体へと変換しうる微生物を探索したところ、高い選択性を有する微生物を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供するものである。
[1]式(I)
Figure 2006314248
(式(I)中、R1およびR2は、いずれか一方が水素原子を表わし、他方が水酸基を表わすか、一緒になってオキソ基を表わす)で示されるトリテルペン誘導体の、
式(II)
Figure 2006314248
(式(II)中、R1およびR2は、いずれか一方が水素原子を表わし、他方が水酸基を表わすか、一緒になってオキソ基を表わす)で示されるトリテルペン誘導体への、生物学的変換方法による式(II)で示されるトリテルペン誘導体の製造方法であって、
(A)前記生物学的変換方法を行うことができるものであって、かつストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物の培養菌体またはその培養菌体の調製物の存在下で、式(I)で示されるトリテルペン誘導体をインキュベーション処理する工程、
(B)インキュベーション処理液から式(II)で示されるトリテルペン誘導体を採取する工程、
を含んでなる方法。
[2]式(I)で示されるトリテルペン誘導体がオレアノール酸であり、式(II)で示されるトリテルペン誘導体がミリセロールである[1]記載の方法。
[3]式(I)で示されるトリテルペン誘導体が3-ケトオレアノール酸であり、式(II)で示されるトリテルペン誘導体がミリセロンである[1]記載の方法。
[4]シクロデキストリン類の存在下でインキュベーション処理する[1]記載の方法。
[5]シクロデキストリン類が、メチル-β-シクロデキストリンまたはα-シクロデキストリンである[4]記載の方法。
[6]生物学的変換方法を行うことができる菌株が、ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.) AH132株(FERM P-20242)またはストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus) AG695株(FERM P-20241)である[1]〜[5]いずれかに記載の方法。
[7]前記式(I)で示されるトリテルペン誘導体を前記式(II)で示されるトリテルペン誘導体へ変換する能力をもつストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物。
[8]ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.) AH132株(FERM P-20242)またはストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus) AG695株(FERM P-20241)である[7]記載の微生物。
本発明の生物学的変換方法では、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属し、前記式(I)で示されるトリテルペン誘導体を前記式(II)で示されるトリテルペン誘導体へ変換する能力を有する微生物の培養菌体またはその培養菌体の調製物であれば、種および株の種類を問うことなく使用することができる。またこれらの菌株から分離され、前記変換反応を触媒する酵素も培養菌体の調製物に包含される。
そのような微生物の好ましい例として、ストレプトマイセス・エスピー(Storeptomyces sp.)AH132株およびストレプトマイセス・グリセウス(Storeptomyces griseus) AG695株を挙げることができる。ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.) AH132株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成16年10月8日付けでStreptomyces sp. AH132として寄託されている(受託番号 FERM P-20242)。またストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus) AG695株も、同じく独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成16年10月8日付けでStreptomyces griseus AG695として寄託されている(受託番号 FERM P-20241)。
AH132株の16srRNA遺伝子の5'末端側約500塩基配列は、配列番号1のとおりである。BLASTを用いたDNA塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)による相同性検索の結果、本株の配列はストレプトマイセス・エスピー(株名 IM-6866、Accession No.AF131522)、ストレプトマイセス・プラテンシス(株名 SAFN-030、Accession No.AY167807)、ストレプトマイセス・カスガエンシス(Accession No.AB024442)等と100%の相同性を示し、最も近縁であることが示唆された。AH132株の16SrDNAに対し、特徴付ける既知種基準株由来の配列は検索されなかったので、AH132株をストレプトマイセス(Streptomyces)属に属すると判断した。
AG695株の16srRNA遺伝子の5'末端側約500塩基配列は、配列番号2のとおりである。BLASTを用いたDNA塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)による相同性検索の結果、本株の配列はストレプトマイセス・エスピー(株名 GP770、Accession No.SSU22974)、ストレプトマイセス・グリセウス(株名 ATCC10137、Accession No.SY15501)、ストレプトマイセス・グリセウス(株名 KACC 20084、Accession No.AY207604)等と100%の相同性を示し、最も近縁であることが示唆された。従ってAG695株の16SrDNAに対しては、ストレプトマイセス・グリセウスの16SrDNA配列が類似しているものと判断し、AG695株をストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)に属するものと判断した。
なお、配列の決定は以下のとおり行った。被験菌株の培養液を集菌後、FastPrep FP120 Instrument,Fast DNA Kit(フナコシ社)を用いてDNA抽出を行った。プライマーには9F:GTGTTTGATCCTGGCTCAG(配列番号3)および536R:GTATTACCGC GGCTGCTG(配列番号4)を用い、PCR増幅にはTaKaRa LA Taq(TaKaRa社)を用いた。PCR産物の精製にはMini elute PCR purification Kit(QIAGEN社)、サイクルシークエンスには、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社)を用いた。サーマルサイクラーには、TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL(TaKaRa社)を、DNAシークエンサーにはABI PRISM 310 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社)を使用した。なお、基本操作はApplied Biosystems社のプロトコールに従った。
本発明によれば、前述した性質をもつ微生物の培養菌体またはその培養菌体の調製物の存在下で、出発原料(基質)である式(I)で示されるトリテルペン誘導体がインキュベーション処理される。この処理は前記微生物を培養する際に、その培養液中に基質を添加して行うか、あるいは場合により前記微生物の培養菌体を、例えばそのまま、もしくはホモジナイズした調製物の懸濁液中に基質を添加し、インキュベーションして行うこともできる。
培養液への基質の添加は、培養前または培養開始後、一定期間(1〜2日間)経過したときのいずれの時期に行ってもよい。上記菌体は上記の微生物を栄養源含有培地に接種し、好気的に培養することにより製造できる。このような培養菌体の調製物を用意するための微生物の培養、および基質が添加された状態で行われる微生物の培養は、原則的には一般微生物の培養方法に準じて行うことができるが、通常は液体培養による振とう培養、通気攪拌培養等の好気的条件下で実施するのが好ましい。
本発明の生物学的変換方法においては、シクロデキストリン類の存在下でインキュベーション処理することにより目的の式(II)で示されるトリテルペン誘導体を効率的に得ることができる。シクロデキストリン類として、具体的には、メチル-β-シクロデキストリン、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンを挙げることができるが、好適なシクロデキストリン類として特にメチル-β-シクロデキストリンおよびα-シクロデキストリンを挙げることができる。なお、栄養源含有培地へのシクロデキストリン類の添加量は特に制限はないが、メチル-β-シクロデキストリンの場合、0.02〜0.1%、α-シクロデキストリンの場合、0.5〜1.0%が好適である。
培養に用いられる培地としては、これら微生物が生育できる培地であればよく、各種の合成培地、半合成培地、天然培地等いずれも利用可能である。培地組成としては炭素源として、グルコース、グリセロール、ポテトスターチ、コーンスターチ、デキストリン等を単独または組合わせて用いることができるが、グルコースまたはデキストリンを用いることが好ましい。
窒素源としては、ペプトン、肉エキス、大豆粉、カゼイン、アミノ酸、麦芽エキス、酵母エキス、尿素等の有機窒素源、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等の無機窒素源を、単独または組合せて用いることができる。その他、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化コバルト等の塩類、ビタミン類も必要に応じ添加して使用することができる。なお、培養中発泡が著しいときは、公知の各種消泡剤を適宜培地中に添加することもできる。
好適な培地として、例えば、TSB(トリプティックソイブロス)培地(和光純薬社、カゼイン17g/L、ソイビーンミール3g/L、グルコース2.5g/L、塩化ナトリウム5g/L、リン酸二カリウム2.5g/L)を挙げることができる。
培養条件は、上記微生物が良好に生育し得る範囲内で適宜選択することができる。通常、pH5.5〜8.0、25〜28℃で2〜3日程度培養する。上述した各種の培養条件は、使用する微生物の種類や特性、外部条件等に応じて適宜変更でき、最適条件を選択できる。
また、培養菌体の調製物は、培養終了後、遠心分離または濾過により分離した菌体または凍結乾燥処理、噴霧乾燥処理、有機溶媒処理、破砕処理等の前処理を行った菌体を適当な溶液に懸濁して調製する。菌体の懸濁に使用できる溶液は、前記した培地であるか、あるいはトリス-酢酸、トリス-塩酸、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の緩衝液を単独または混合したものである。緩衝液のpHは、好ましくは5.0〜9.0、さらに好ましくは6.0〜8.0である。
基質となる式(I)で示されるトリテルペン誘導体は、固体のままか、あるいは水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等に溶解して培養液または菌体の懸濁液に添加することができ、その添加量は、例えば培養液の場合、培養液1L当り20〜500mgであり、好ましくは200〜500mgである。基質の添加は一度に行ってもよいが、添加量が比較的多い場合は、数度にわたって、または連続的に行ってもよい。
基質添加後は、1〜3日間、好ましくは2日間、振とうあるいは通気攪拌等の操作を行い、水酸化反応を進行させることにより、基質である式(I)で示されるトリテルペン誘導体を、式(II)で示される目的のトリテルペン誘導体に変換することができる。
このとき、基質としてオレアノール酸(式(I)において、R1が水素原子、R2が水酸基で示されるトリテルペン誘導体)を添加すると、ミリセロール(式(II)において、R1が水素原子、R2が水酸基で示されるトリテルペン誘導体)に変換することができ、基質として3-ケトオレアノール酸(式(I)において、R1およびR2が一緒になってオキソ基で示されるトリテルペン誘導体)を添加すると、式(II)で示されるミリセロン(式(II)において、R1およびR2が一緒になってオキソ基で示されるトリテルペン誘導体)に変換することができる。
こうして生成した目的の式(II)で示されるトリテルペン誘導体を反応混合物から単離するには、種々の既知精製手段を選択、組合せて行うことができる。例えば、疎水性吸着樹脂への吸着、溶出や、酢酸エチル、n-ブタノール等を用いた溶媒抽出、シリカゲル等によるカラムクロマトグラフィー、あるいは薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留等を単独あるいは適宜組合せて分離精製することができる。
以下、本発明について具体例を挙げてより詳細に説明するが、本発明をこれらの例に限定することを意図するものではない。
実施例1 オレアノール酸をミリセロールへ変換する微生物のスクリーニング
終濃度として0.1%のメチル-β-シクロデキストリンおよび200μg/mLのオレアノール酸(和光純薬社、アセトンにて20mg/mLの濃度で調製したものを高圧蒸気殺菌した培地に添加)を含んだ2mLのTSB(トリプティックソイブロス)培地(和光純薬社)を遠沈管に分注し、各種の微生物を植菌して、28℃、220rpmで4〜5日間振とう培養を行った。
培養終了後、培養液に酢酸エチル800μLを加え抽出を行った。抽出後、高速遠心分離機に供し(15000rpm,5分間)、酢酸エチル層を回収した。ついでエバポレーターにより乾固後、100μLのメタノールを加え再溶解した。これを高速遠心分離機に供し(15000rpm,5分間)、得られた上清を高速液体クロマトグラフィーを用いて分析した。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は以下のとおりである。
カラム:Develosil ODS-HG-5,φ4.6×150mm(野村化学社)
カラム温度:35℃
溶離液:アセトニトリル:水=50:50
流速:1mL/min
検出:210nm
分析結果を表1に示す。その結果、AH132株及びAG695株の培養液に目的物であるミリセロールが生成していることを確認できた。
Figure 2006314248
実施例2 AH132株によるミリセロールの生産
終濃度として200μg/mLのオレアノール酸および0.1%のメチル-β-シクロデキストリンを添加したTSB培地100mLを含む500mL三角フラスコ10本にAH132株を植菌し、28℃、220rpmで5日間振とう培養を行った。
得られた培養液をまとめ、培養液1Lに対し、等量のクロロホルムを用いて二回抽出した。これを遠心分離(8000rpm、20min)し、クロロホルム層を得た。次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過を行った。溶媒を減圧留去し、粗抽出物を1.2g得た。これを少量の酢酸エチルに溶解後、シリカゲル60(Merck社)を充填したカラム(φ1.5 cm × 25 cm)にて酢酸エチルを溶媒に用いて粗抽出物の分離を行った。目的物を含んでいるフラクションを回収してまとめ、溶媒を減圧留去したところ、粗抽出物を223mg得た。これを少量のクロロホルムに溶解し、Preparative TLC(MERCK silica gel60 F254 1.05744、n-ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、生成物であるミリセロールを7.7mg(収率3.9%)得た。回収した物質の構造はNMRにて確認した。
TSB培地にメチル-β-シクロデキストリンを添加した培地を使用することにより、TSB培地のみの場合と比較してオレアノール酸からミリセロールへの変換率を約1.5倍上げることができた。
実施例3 AH132株によるミリセロンの生産
終濃度として0.1%のメチル-β-シクロデキストリンおよび100μg/mLの3-ケトオレアノール酸(アセトンにて10mg/mLの濃度で調製したものを高圧蒸気殺菌した培地に添加)を含んだTSB(トリプティックソイブロス)培地(和光純薬社)100mLを含む500mL三角フラスコ3本にAH132株を植菌し、28℃、220rpmで3日間振とう培養を行った。
得られた培養液をまとめ、培養液300mLに対し、等量の酢酸エチルを用いて二回抽出した。これを遠心分離(8000rpm、20min)し、酢酸エチル層を得た。次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過を行った。溶媒を減圧留去し、粗抽出物を68.3mg得た。これを少量の酢酸エチルに溶解後、Preparative TLC(MERCK silica gel60 F254 1.05744、n-ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、生成物であるミリセロンを1.6mg(収率5.3%)得た。回収した物質の構造はNMRにて確認した。

Claims (8)

  1. 式(I)
    Figure 2006314248
    (式(I)中、R1およびR2は、いずれか一方が水素原子を表わし、他方が水酸基を表わすか、一緒になってオキソ基を表わす)で示されるトリテルペン誘導体の、
    式(II)
    Figure 2006314248
    (式(II)中、R1およびR2は、いずれか一方が水素原子を表わし、他方が水酸基を表わすか、一緒になってオキソ基を表わす)で示されるトリテルペン誘導体への、生物学的変換方法による式(II)で示されるトリテルペン誘導体の製造方法であって、
    (A)前記生物学的変換方法を行うことができるものであって、かつストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物の培養菌体またはその培養菌体の調製物の存在下で、式(I)で示されるトリテルペン誘導体をインキュベーション処理する工程、
    (B)インキュベーション処理液から式(II)で示されるトリテルペン誘導体を採取する工程、
    を含んでなる方法。
  2. 式(I)で示されるトリテルペン誘導体がオレアノール酸であり、式(II)で示されるトリテルペン誘導体がミリセロールである請求項1記載の方法。
  3. 式(I)で示されるトリテルペン誘導体が3-ケトオレアノール酸であり、式(II)で示されるトリテルペン誘導体がミリセロンである請求項1記載の方法。
  4. シクロデキストリン類の存在下でインキュベーション処理する請求項1記載の方法。
  5. シクロデキストリン類が、メチル-β-シクロデキストリンまたはα-シクロデキストリンである請求項4記載の方法。
  6. 生物学的変換方法を行うことができる菌株が、ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.) AH132株(FERM P-20242)またはストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus) AG695株(FERM P-20241)である請求項1〜5いずれかに記載の方法。
  7. 前記式(I)で示されるトリテルペン誘導体を前記式(II)で示されるトリテルペン誘導体へ変換する能力をもつストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する微生物。
  8. ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.) AH132株(FERM P-20242)またはストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus) AG695株(FERM P-20241)である請求項7記載の微生物。
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