JP2006310516A - シールド導電路 - Google Patents

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Abstract


【課題】 シールドパイプの外周に他部材を存在させることなく、シールドパイプの端部に可撓性シールド部材を接続できるようにする。
【解決手段】 シールド導電路Waは、金属製のシールドパイプ10と、シールドパイプ10の端部に接続された筒状の可撓性シールド部材20と、シールドパイプ10と可撓性シールド部材20に挿通されることでシールドされる電線30と、シールドパイプ10内への嵌入を可能とされた概ね筒状をなす保持部材40とを備えている。シールドパイプ10と可撓性シールド部材20の接続手段として、シールドパイプ10内に保持部材40を嵌入し、その保持部材40の外周とシールドパイプ10の内周との間で可撓性シールド部材20を挟み付けるようにしたので、シールドパイプ10の外周には接続用の他部材が存在せずに済む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シールド導電路に関するものである。
特許文献1には、電線保護機能を有する金属製のシールドパイプと、金属素線を筒状に編んだ編組線からなる可撓性シールド部材とを接続し、複数本のノンシールド電線を、シールドパイプと可撓性シールド部材に挿通することで一括してシールドするシールド導電路が開示されている。このようなシールド導電路は、電気自動車の動力回路として用いることができ、この場合、車体の床下に沿った配索経路では強度の高いシールドパイプをシールド手段として用い、スペースに余裕がなくて屈曲した経路で配索される車内では可撓性シールド部材がシールド手段として用いられる。
特開2004−171952公報
シールドパイプと可撓性シールド部材とを接続する手段としては、可撓性シールド部材の端部をシールドパイプの端部に被せ、その上からカシメリングを嵌め、このカシメリングを縮径させるように塑性変形させることにより、シールドパイプの外周とカシメリングの内面との間で挟みつける方法が考えられる。
しかし、塑性変形したカシメリングの外周面は、滑らかな曲面にはならないため、可撓性シールド部材を包囲するプロテクタの端部とシールドパイプの端部との隙間を防水しようとする場合には、プロテクタをカシメリングまで包囲するように長くして、プロテクタの端部をシールドパイプの外周面と対応する位置まで延長する必要がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールドパイプの外周に他部材を存在させることなく、シールドパイプの端部に可撓性シールド部材を接続できるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、金属製のシールドパイプと、前記シールドパイプの端部に接続された筒状の可撓性シールド部材と、前記シールドパイプと前記可撓性シールド部材に挿通されることでシールドされる電線と、前記シールドパイプ内への嵌入を可能とされた概ね筒状をなす保持部材とを備えてなり、前記可撓性シールド部材が前記保持部材と前記シールドパイプの内周との間で挟み付けられることで、前記可撓性シールド部材と前記シールドパイプが接続状態に保持されているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記可撓性シールド部材を前記保持部材の後端部に押し当てつつ前記保持部材の後端部を押すことで、前記保持部材と前記可撓性シールド部材が前記シールドパイプ内に押し込まれるようになっているものであって、前記保持部材の後端部には、前記可撓性シールド部材の当接を可能とされた曲面状の受け面が形成されているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記可撓性シールド部材の端部が、前記保持部材の内周側に通されて外周側へ折り返された形態とされており、前記可撓性シールド部材における外周側への折返部が、前記保持部材の外周と前記シールドパイプの内周との間で挟まれているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
シールドパイプと可撓性シールド部材の接続手段として、シールドパイプ内に保持部材を嵌入し、その保持部材の外周とシールドパイプの内周との間で可撓性シールド部材を挟み付けるようにしたので、シールドパイプの外周には接続用の他部材が存在せずに済む。
<請求項2の発明>
保持部材の後端部に可撓性シールド部材を押し当てつつ保持部材をシールドパイプに押し込む際には、可撓性シールド部材を曲面状の受け面に押し付けるようにすれば、可撓性シールド部材の破損を回避することができる。
<請求項3の発明>
保持部材と可撓性シールド部材をシールドパイプに押し込む際には、摩擦抵抗のために、可撓性シールド部材が保持部材に対して押し込み方向後方へ位置ずれすることが懸念されるが、本発明では、可撓性シールド部材を保持部材の内周側に通してから外周側へ折り返し、その折返部分を保持部材とシールドパイプとの間で挟むようにしているので、可撓性シールド部材の折返部が押し込み方向後方へ位置ずれしようとしても、可撓性シールド部材の曲げ部が保持部材の端縁部に引っ掛かるため、位置ずれが防止される。
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1を参照して説明する。本実施形態のシールド導電路Waは、一括シールド機能と電線保護機能を兼ね備えるシールドパイプ10と、一括シールド機能を有する可撓性シールド部材20と、複数本のノンシールドタイプの電線30とを備えて構成されている。
シールドパイプ10は、金属製(例えば、アルミニウム合金、銅合金等)であり、その断面形状は真円形をなしている。
可撓性シールド部材20は、金属製(例えば、銅合金製)の素線を網目状に編んだ筒状の編組線からなり、自在に曲げ変形することができる。可撓性シールド部材20の前端部(図1における左側の端部)は、後述する接続手段により、シールドパイプ10の後端部に対して導通可能に接続されている。
電線30は、アルミニウム合金製の単芯線や銅製の撚り線等からなる導体の外周を合成樹脂製の絶縁被覆で包囲した周知の形態のものであり、導体と絶縁被覆はいずれも可撓性を有しているので、電線30は曲げ変形することができる。複数本の電線30はシールドパイプ10内及び可撓性シールド部材20内に挿通され、このシールドパイプ10と可撓性シールド部材20によって一括してシールドされている。
シールドパイプ10と可撓性シールド部材20の接続構造を説明する。この接続手段として、保持部材40が用いられている。保持部材40は、全周に亘って連続した円筒形をなす。保持部材40の外径は、前端から後端に亘って一定であり、シールドパイプ10の内径とほぼ同じ寸法とされている。一方、保持部材40の内径は、前端が最も大きく、後端が最も小さくなっている。したがって、保持部材40の厚さは、前端において最も薄く、後端側に向かって次第に厚くなっていることになる。また、保持部材40の後端部には、略半円弧形(曲面状)をなす受け面41が形成されている。この受け面41は、全周に亘って連続して形成されている。尚、保持部材40の材質としては、合成樹脂、金属等を用いることができる。
次に、シールドパイプ10と可撓性シールド部材20の接続手順を説明する。接続に際しては、まず、可撓性シールド部材20の前端部を保持部材40に被せ、両者20,40を後方からシールドパイプ10内に押し込む。このとき、図1
に想像線で示すように、可撓性シールド部材20における保持部材40よりも後方の部分を縮径させるように変形させて、この縮径させた部分を保持部材40の受け面41に対して後方から当接させる。そして、この状態で、可撓性シールド部材20を受け面41に押し付けるようにしつつ、保持部材40の後端部(受け面41)を前方へ押す。保持部材40を押す手段としては、作業者の手や治具を用いることができる。保持部材40を押すと、保持部材40と可撓性シールド部材20の前端部がほぼ一体となってシールドパイプ10内に嵌入される。嵌入に伴い、保持部材40が僅かに縮径するように弾性撓みを生じる。そして、保持部材40の全体がシールドパイプ10内に収容されたら、シールドパイプ10と可撓性シールド部材20の接続が完了する。
接続状態では、保持部材40の拡径方向の弾性復元力により、可撓性シールド部材20の前端部が保持部材40の外周面とシールドパイプ10の後端部内周面との間で弾性的に径方向に挟み付けられ、この挟み付けに起因する摩擦抵抗により、可撓性シールド部材20がシールドパイプ10に対して前後方向(軸線方向)への相対変位を規制された状態で導通可能に接続された状態に保持される。また、保持部材40も、摩擦抵抗により、シールドパイプ10及び可撓性シールド部材20に対して前後方向に相対変位することなく固定される。
上述のように、本実施形態においては、シールドパイプ10と可撓性シールド部材20の接続手段として、シールドパイプ10内に保持部材40を嵌入し、その保持部材40の外周とシールドパイプ10の内周との間で可撓性シールド部材20を挟み付けるようにしたので、シールドパイプ10の外周には接続用の他部材が存在せずに済む。
これにより、シールドパイプ10の後端部外周をシール面として使用することが可能となり、このシール面に、例えば可撓性シールド部材20を包囲するプロテクタの前端部内周面を対応させて両面の間にシール部材を介在させれば、電線30の挿通空間(シールドパイプ10内及び可撓性シールド部材20内)への浸水を防止することが可能となる。
また、可撓性シールド部材20を保持部材40の後端部に押し当てつつ保持部材40の後端部を押すことで、保持部材40と可撓性シールド部材20がシールドパイプ10内に押し込まれるようになっているのであるが、本実施形態では、保持部材40の後端部に、可撓性シールド部材20の当接を可能とされた曲面状の受け面41が形成されているので、この受け面41に可撓性シールド部材20を押し当てつつ保持部材40をシールドパイプ10に押し込むようにすれば、可撓性シールド部材20の破損や折損を防止することができる。
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図2を参照して説明する。本実施形態2は、可撓性シールド部材20におけるシールドパイプ10との接続部分の形状を上記実施形態1とは異なる形態としたものである。その他の構成(シールドパイプ10,可撓性シールド部材20,電線30及び保持部材40)については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
シールドパイプ10と可撓性シールド部材20を接続する際には、まず、可撓性シールド部材20の前端部を、後方から保持部材40の内周側(中心孔)に通し、保持部材40の前方において外周側へ反転させるように折り返し、その折返部21を保持部材40に被せる。そして、この可撓性シールド部材20と保持部材40を後方からシールドパイプ10内に押し込む。
このとき、図2に想像線で示すように、可撓性シールド部材20における保持部材40よりも後方の部分を拡径させるように変形させて、この拡径させた部分を保持部材40の受け面41に対して後方から当接させる。そして、この状態で、可撓性シールド部材20を受け面41に押し付けるようにしつつ、保持部材40の後端部(受け面41)を前方へ押す。保持部材40を押す手段としては、作業者の手や治具を用いることができる。保持部材40を押すと、保持部材40と可撓性シールド部材20の前端部がほぼ一体となってシールドパイプ10内に嵌入される。嵌入に伴い、保持部材40が僅かに縮径するように弾性撓みを生じる。そして、保持部材40の全体がシールドパイプ10内に収容されたら、シールドパイプ10と可撓性シールド部材20の接続が完了する。
接続状態では、保持部材40の拡径方向の弾性復元力により、可撓性シールド部材20の前端部が保持部材40の外周面とシールドパイプ10の後端部内周面との間で弾性的に径方向に挟み付けられ、この挟み付けに起因する摩擦抵抗により、可撓性シールド部材20がシールドパイプ10に対して前後方向(軸線方向)への相対変位を規制された状態で導通可能に接続された状態に保持される。また、保持部材40も、摩擦抵抗により、シールドパイプ10及び可撓性シールド部材20に対して前後方向に相対変位することなく固定される。
上述のように本実施形態2においても、実施形態1と同様、シールドパイプ10と可撓性シールド部材20の接続手段として、シールドパイプ10内に保持部材40を嵌入し、その保持部材40の外周とシールドパイプ10の内周との間で可撓性シールド部材20を挟み付けるようにしたので、シールドパイプ10の外周には接続用の他部材が存在せずに済む。
また、保持部材40と可撓性シールド部材20をシールドパイプ10に押し込む際には、曲面状の受け面41に可撓性シールド部材20を押し当てつつ保持部材40を押し込むことにより、可撓性シールド部材20の破損や折損を防止することができる。
また、保持部材40と可撓性シールド部材20をシールドパイプ10に押し込む際には、可撓性シールド部材20が、シールドパイプ10との間の摩擦抵抗のために、保持部材40に対して押し込み方向後方へ位置ずれすることが懸念される。しかし、本実施形態2では、可撓性シールド部材20の前端部を保持部材40の内周側に通してから外周側へ折り返し、その折返部21を保持部材40の外周面とシールドパイプ10の内周面との間で挟むようにしているので、可撓性シールド部材20の折返部21が保持部材40に対して押し込み方向後方へ位置ずれしようとしても、可撓性シールド部材20の曲げ部22が保持部材40の前端縁部に引っ掛かるため、位置ずれが防止されている。これにより、可撓性シールド部材20を確実にシールドパイプ10内に挿入することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態ではシールドパイプの形状を円形としたが、本発明によれば、シールドパイプの断面形状は非円形(楕円形、長円形等)でもよい。この場合、保持部材も、シールドパイプと相似形の筒状となる。
(2)上記実施形態では保持部材を全周に亘って連続した筒状としたが、本発明によれば、保持部材はC字形断面の概ね筒状であってもよい。
(3)上記実施形態では保持部材の厚さが軸線方向において異なるようにしたが、本発明によれば、保持部材の厚さが軸線方向全長に亘って一定の厚さであってもよい。
(4)上記実施形態では可撓性シールド部材を編組線としたが、本発明によれば、可撓性シールド部材は、アルミニウム製のシート材等、編組線以外の部材であってもよい。
(5)上記実施形態では保持部材の後端部に曲面状の受け面を形成したが、本発明によれば、保持部材の後端部(可撓性シールド部材が当接する領域)がエッジ状をなしていてもよい。
(6)上記実施形態において保持部材を嵌入したときにその保持部材の嵌入方向前端を当接させることで保持部材を前止まりする位置決め手段として、シールドパイプの内周にストッパを設けてもよい。
実施形態1の断面図 実施形態2の断面図
符号の説明
Wa…シールド導電路
10…シールドパイプ
20…可撓性シールド部材
30…電線
40…保持部材
41…受け面
Wb…シールド導電路

Claims (3)

  1. 金属製のシールドパイプと、
    前記シールドパイプの端部に接続された筒状の可撓性シールド部材と、
    前記シールドパイプと前記可撓性シールド部材に挿通されることでシールドされる電線と、
    前記シールドパイプ内への嵌入を可能とされた概ね筒状をなす保持部材とを備えてなり、
    前記可撓性シールド部材が前記保持部材と前記シールドパイプの内周との間で挟み付けられることで、前記可撓性シールド部材と前記シールドパイプが接続状態に保持されていることを特徴とするシールド導電路。
  2. 前記可撓性シールド部材を前記保持部材の後端部に押し当てつつ前記保持部材の後端部を押すことで、前記保持部材と前記可撓性シールド部材が前記シールドパイプ内に押し込まれるようになっているものであって、
    前記保持部材の後端部には、前記可撓性シールド部材の当接を可能とされた曲面状の受け面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のシールド導電路。
  3. 前記可撓性シールド部材の端部が、前記保持部材の内周側に通されて外周側へ折り返された形態とされており、
    前記可撓性シールド部材における外周側への折返部が、前記保持部材の外周と前記シールドパイプの内周との間で挟まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシールド導電路。
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