図1及び2は従来技術のリコイルスタータ装置10を示す。リコイルスタータ装置10は、周りにリコイルロープ(図示されていない)が巻きつけられる襟首部22を有する滑車20を含む。更に、滑車20の第1末端には、滑車20とハウジング30とのアラインメントを容易にするための突起部24が設けられ、滑車20の第2末端からは、滑車20とハブ40との軸方向のアラインメントを容易にするための中空円筒状ポスト26が突出している。滑車20とハブ40とはトーションばね50を介して互いに連結され、それによってトーションばね50がハブ40を滑車20から緩衝するためのエネルギー蓄積部品として機能する。具体的には、トーションばね50は第1末端52及び第2末端54を有し、それらはほぼ軸方向に曲げられている。第1末端52は滑車20に設けられた第1開口(図示されていない)により受容され、トーションばね50の一部は中空円筒状ポスト26の周りに配置される。同様に、トーションばね50の第2末端54はハブ40に設けられた第2開口(図示されていない)により受容され、トーションばね50はハブ40の環状ケージ42中にほぼ包含される。環状ケージ42は、円筒状外壁44及びその中にトーションばね50が配置される円筒状内壁46又はポストを含む。ボルト48又はその他の適切な留め具が、リコイルスタータ10とハウジング30とを回転可能に連結するために用いられる。
リコイルスタータ10は、1つ以上のスタータドッグ62が搭載されたフライホイール60と操作可能に連結される。リコイルスタータ10のハブ40は、スタータドッグ62とかみ合うように動作する1つ以上のカムポール49を含む。こうして、リコイルスタータ10がリコイルロープを介して回転すると、カムポール49がスタータドッグ62とかみ合い、それによりフライホイール60が回転する。フライホイール60の内側には複数の磁石64があり、これらはフライホイール60が回転すると磁場を発生させる。磁石64が磁石発電機(図示されていない)の電気コイル(図示されていない)の周りを旋回すると電流が発生し、その電流が点火プラグ(図示されていない)に伝わってクランクシャフト(図示されていない)を回転可能に駆動する。
一般的に、トーションばね50が収縮する方向にねじれるとトーションばね50の直径が減少し、拡張する方向にねじれるとその直径は増大する。こうして、上記従来のリコイルスタータ10において、滑車20の円筒状ポスト26及びハブ40の環状ケージ内壁46は、トーションばね50が収縮する方向にねじれた時のトーションばね50の最小直径を限定するように働く。同様に、ハブ40の環状ケージ外壁44は、トーションばね50が拡張する方向にねじれた時のトーションばね50の最大直径を限定するように働く。滑車20の円筒状ポスト26及びハブ40の環状ケージ42の構成は更に、アセンブリに使用できるトーションばねの初期の大きさ又は弛緩した大きさを限定するように働く。
次に図3〜5に、本発明の一態様によるリコイルスタータ装置70を例示する。リコイルスタータ装置70は、例えば2行程機関のような手動始動型エンジンを補助するために用いられ、一般的にチェーンソーのようなガス駆動機器内に配置される。リコイルスタータ装置70はリコイルロープ(図示されていない)を受容するための襟首部82を有するスタータ滑車80を含む。滑車80の第1末端は滑車80とハウジング90とのアラインメントを容易にするための突起部84を含むが、これは鋳物金属製等のものでよい。滑車80の第2末端はクラッチアセンブリを介してスタータハウジング120と操作可能に連結される。例えば、滑車80の第2末端はボス部86を含む事が可能で、このボス部86は、その外周面から突起する少なくとも1つのカムポール88を有する。カムポール(単数又は複数)88はエンジン始動回転方向に面する結合面を有し、円周方向に沿って配置され、それによってカムの回転をフライホイール100に伝達する。これについては以下に更に詳細に説明する。滑車80はハウジング90のボス92を受容するために、その中央部を貫通する穴を更に含む。
カムポール(単数又は複数)88は1つ以上のスタータドッグ110とかみ合うように構成されており、これらのスタータドッグ110はエンジンシャフト(図示されていない)の回転を起こすためにスタータハウジング120に固定される。スタータハウジング120は留め具130等を介してエンジンシャフトに連結される。少なくとも1つの緩衝部品140が、フライホイール100とスタータハウジング120とを弾性的に結合するためにこの2つの部品の間に提供される。例えば本実施形態においては、緩衝部品(単数又は複数)はトーションばね140を含む。しかしながら、その他のいかなる適切な緩衝部品(単数又は複数)も使用可能である事を理解されたい。緩衝部品140は、エンジンとリコイルスタータとの間の通常のエンジン振動に起因する振動を緩衝又は低減するように作動する。更に、リコイルロープを引っ張るための力の全てがエンジン始動に直接関係するわけではない。それよりも、ロープを引っ張る力が緩衝部品140と組み合わされて生成された力によってエンジンは始動される。こうして、リコイルロープを引っ張るための力は弱くても、エンジンを容易に且つ確実に始動させる事が可能である。
従来技術の装置と同様に、リコイルスタータ70がリコイルロープを介して回転すると、カムポール(単数又は複数)88がスタータドッグ110とかみ合い、それによってスタータハウジング120及びフライホイール100が回転する。フライホイール100の内部には複数の磁石(図示されていない)があり、それらの磁石はフライホイール100が回転すると磁場を発生させる。磁石が磁石発電機(図示されていない)の電気コイル(図示されていない)の周りを旋回すると電流が発生し、それが点火プラグ(図示されていない)に伝わってクランクシャフト(図示されていない)を回転可能に駆動する。
図4に明示するトーションばね140は第1末端142及び第2末端144を含む。第1末端142はほぼ軸方向に曲げられるので、フライホイール100に設けられた開口(図示されていない)内に装着する事が可能である。第2末端144はほぼ半径方向に曲げられるので、スタータハウジング120の円筒状ポスト124(図3)から伸びる複数のリブ122のうちの2つの間に位置する凹部内に係合可能である。しかしながら、トーションばね140はいかなる適切な構成とする事もでき、フライホイール100とスタータハウジング120との間に任意の適切な方法で連結することが可能であり、本発明の範囲に含まれる事を理解されたい。例えば、トーションばねの両末端を軸方向に曲げる事も可能であり、その場合一方の末端はフライホイールの開口内に受容され、他方の末端はスタータハウジングの開口内に受容される。
図3に示すように、スタータハウジング120の円筒状ポスト124から突出して軸方向に伸びる複数のリブ122は、円筒状ポスト124の周囲にほぼ等間隔に配置される。図3に示されている軸方向に伸びるリブの数は4つだけであるが、いかなる数及び構成の軸方向に伸びるリブも用いる事が可能である。もう1つの例として、円筒状ポスト124は、トーションばね140の第2末端144を受容するために1つ以上の窪み、溝、開口等を含んでよい。そのようなリブ(又は、窪み、溝、開口等)の構成により、フライホイール100、トーションばね140及びスタータハウジング120の組み立てが容易になる。例えば組み立てにおいて、第1末端142をフライホイールの開口内に挿入する際にユーザはトーションばね140の第1末端142を容易に目視することが可能である。しかしながら、スタータハウジング120をトーションばね140と連結する場合、第2末端144は目視されない状態でスタータハウジング120に連結される。状況に応じて、ユーザは、トーションばね140の第2末端144を受容するための複数のオプションにより、スタータハウジング120に対するバネ140の第2末端144の方向を考慮する必要なく2つの部品を効果的に連結することができる。
図5に示すように、本発明の一態様によるリコイルスタータ70は、従来技術のリコイルスタータ(例えば、リコイルスタータ10)に比べて、1つ以上の緩衝部品に課せられる大きさの制約を低減する。例えば図2に見るように、従来技術のリコイルスタータ10中のトーションばね50は、円筒状ポスト26の外径及びハブ40の環状ケージ42の外径と内径に制約されていた。これに対し図5に示す本発明の一態様によるトーションばね140は、スタータハウジング120中の軸方向に伸びるリブ122又は円筒状ポスト124と、スタータハウジング120のほぼ環状の突起部128とすることができる保持構造との間に形成される領域126にのみ制約される。この領域126は、従来技術の装置中のハブ40の環状ケージ42によって提供される領域より実質的により大きい。
本発明の一態様によれば、ほぼ環状の突起部128は、円筒状ポスト124の周りに同心状に設置される。しかしながら、その他のいかなる適切な保持構造も、スタータハウジング120又はフライホイール100と一体化されるか、又は連結された構成で用いることにより、トーションばね140を所定の位置に保持できる事を理解されたい。従って、トーションばね140の外径は保持構造128を超える事はできず、トーションばね140の内径はスタータハウジング90の円筒状ポスト124又は軸方向に伸びるリブ122の外径未満になり得ない。保持構造128と円筒状ポスト124又は軸方向に伸びるリブ122との間に形成された領域126は、従来技術装置のハブケージ42より実質的に大きい。こうして、トーションばね140の大きさは、バネの寿命を最大にするために、或いは換言すれば、トーションばね140又はその他の適切な緩衝部品が摩滅するまでにスタータアセンブリを作動させる事のできる回数を顕著に増大させるために、最適化する事が可能である。
次に図6ないし10に、本発明の一態様によるリコイルスタータ装置150の別の実施例を示す。リコイルスタータ装置150は、例えば2行程機関のような手動始動エンジン152を補助するために用いられる。リコイルスタータ装置150は、リコイルロープ(図示されていない)を受容するための襟首部156を有するスタータ滑車154を含む。滑車154は、滑車154とハウジング(図示されていない)とのアラインメントを容易にするための突起部158を含み、これは鋳物金属製等のものでよい。滑車154は、クラッチアセンブリを介してスタータハウジング166と操作可能に連結される。これについては以下でより詳細に記述する。クラッチアセンブリはボス部160を含み、これはスタータ滑車154から突起し、ボス部160の外周面から突起する少なくとも1つのカムポール162を有する。図6は、ボス部160の互いに対向する側から半径方向に伸びる2つのカムポール162を有する滑車154を示す。しかしながら、任意の適切な構成を有するいかなる数のカムポールも用いる事が可能である事を理解されたい。カムポール162はエンジン始動回転方向に面する係合面を有し、円周方向に沿って配置され、それによってカムの回転をエンジンシャフト163に伝達する。これについては以下に更に詳細に記述する。滑車154はハウジングのボス(図示されていない)を受容するための、滑車154の中央部を貫通する穴を更に含む。
クラッチアセンブリはカムポール162と操作可能にかみ合う少なくとも1つのスタータドッグ164を更に含む。図6は2つのスタータドッグ164の使用を示す。しかしながら、いかなる数のスタータドッグも使用可能である事を理解されたい。スタータドッグ164は剛性の重合体材料から製造する事が可能で、各スタータドッグ164は少なくとも1つのカムポール162とかみ合う本体部167及びスタータハウジング166とかみ合う結合部168を含む。特に、各スタータドッグ164の結合部168は、スタータハウジング166内に設けられた開口に受容されるようにすることができる。各結合部168は、ハウジング166とのスナップ係合部とする事が可能で、開口内で回転するように動作可能である。スタータドッグ164はいかなる適切な方法によってもスタータハウジング166に連結可能である事を理解されたい。
スタータハウジング166の第2面は少なくとも1つの緩衝部品170に連結される。こうして、緩衝部品170はエンジン152とクラッチアセンブリとの間に位置する領域に配置される。例えば本実施形態において、緩衝部品(単数又は複数)はトーションばね170を含む。しかしながら、その他いかなる適切な緩衝部品(単数又は複数)も用いる事が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれると考えられる事を理解されたい。上記の例示的実施形態にあるように、緩衝部品はエンジンとリコイルスタータとの間の通常のエンジン振動に起因する振動を緩衝又は低減し、リコイルロープを引っ張ってエンジンを始動させるために必要な力を低減するように動作する。
図7に明示されるように、トーションばね170は第1末端172及び第2末端174を有する。第1末端172は半径外方向に曲げられているので、エンドキャップ178に設けられた開口176内に嵌合できる。エンドキャップ178は、トーションばね170とエンドキャップ178とのアラインメントを容易にするための複数の開口176を含む事が可能である。例えば、4つの開口176をエンドキャップ178の周囲にほぼ等間隔で配置する事が可能である。トーションばね170の第2末端174は半径方向に沿って内側に曲げられるので、円筒状ポスト184から半径方向に伸びる複数のリブ182のうち2つの間に位置する凹部180内に係合可能である。円筒状ポスト184は、ハウジング166の第2面から伸びる。複数のリブ182は、円筒状ポスト184の周囲にほぼ等間隔で配置する事が可能である。図示されている軸方向に伸びるリブ184の数は4つだけであるが、いかなる数及び構成の軸方向に伸びるリブ184も使用可能である事を理解されたい。代替的に又は追加的に、円筒状ポスト184は、トーションばね170の第2末端174を受容するための、1つ以上の窪み、溝、開口等を含んでよい。そのようなリブ(又は、窪み、溝、開口等)の構成により、エンドキャップ178、トーションばね170及びハウジング166の組み立てが容易になる。例えばリコイルスタータ装置150の組み立てにおいて、第1末端172をエンドキャップの開口176の1つに挿入する際、ユーザはトーションばね170の第1末端172を容易に目視できる。しかしながら、トーションばね170をハウジング166と連結する際は、トーションばね170の第2末端174は通常目視されない状態でハウジング166に連結される。状況に応じてユーザは、トーションばね170の第2末端174を受容するための複数のオプションにより、ハウジング166に対するバネ170の第2末端174の方向を考慮する必要なく、2つの部品を効果的に連結することができる。
しかしながら、トーションばね170はいかなる適切構成にもする事が可能であり、エンドキャップ174とハウジング166の第2面との間に任意の適切な方法により連結でき、本発明の範囲に含まれる事を理解されたい。例えば、トーションばねの両末端を軸方向に曲げる事も可能で、その場合一方の末端はエンドキャップの開口内に受容され、他方の末端はハウジングの開口内に受容される。
ハウジング166の第2面は円筒状ポスト184の周りに同心状に位置する保持構造186を更に含む。従って、トーションばね170の外径は保持構造186を超える事はできず、トーションばね170の内径は円筒状ポスト184又は軸方向に伸びるリブ182の外径未満になり得ない。保持構造186と円筒状ポスト184又は軸方向に伸びるリブ182との間に形成される領域は、従来技術のハブケージ42(図10参照)より実質的に大きい。こうして、トーションばね170の大きさは、バネの寿命を最大にするため、或いは換言すれば、トーションばね170又はその他の適切な緩衝部品が摩滅するまでにスタータアセンブリを作動させる事のできる回数を顕著に増大させるために、最適化する事が可能である。その他のいかなる適切な保持構造も、ハウジング166と一体化されるか、又は連結される構成、或いはエンドキャップ178と連結される構成で、トーションばね170を所定の位置に保持するために用いる事が可能である事を理解されたい。
次に図8には、スタータドッグ164が連結されたハウジング166の第1面が更に詳細に例示される。ハウジング166の第1面は、中にスタータドッグ164が配置される凹領域188を含む。スタータドッグ164はその結合部168の周りを回転可能であり、スタータドッグ164が回転可能な範囲は凹領域188の側壁190によって限定される。ハウジング166には又、エンジンシャフト163をリコイルスタータ装置150と連結するための中央穴192が貫通している。
図9は組み立てられた状態のリコイルスタータ装置150の一部を示す。スタータドッグ164は結合部168を介してハウジング166の第1面に連結され、トーションばね170は半径方向に沿って内側に伸びる末端174を介してハウジング166の第2面に連結される。エンドキャップ178中の複数の開口176の内の1つが、トーションばね170の半径方向に沿って外側に伸びる末端172に連結される。エンジンシャフト163は、エンドキャップ178、トーションばね170及びハウジング166にそれぞれ設けられた対応する穴を貫通し、ハウジング166の第1面中の中央穴192を通る適切な留め具(図示されていない)を介してアセンブリに固定される。エンジンシャフト163は、従来技術のものと同様に、1つ以上の釣合い重り194及びクランクピン196に連結される。
リコイルスタータ装置150の作動中、リコイルスタータ150はリコイルロープを介して回転する。こうしてカムポール(単数又は複数)162が回転し、スタータドッグ164とかみ合って、今度はスタータドッグ164がハウジング166及びエンジンシャフト163を回転させるように動作する。トーションばね170の存在によって、エンジンとリコイルスタータ150との間の通常のエンジン振動に起因する振動が緩衝又は低減され、リコイルロープを引っ張ってエンジン152を始動させるために必要な力が低減される。
次に図11ないし13に、例えば2行程機関のようなエンジン201用のリコイルスタータ装置200の別の実施例を示す。本明細書に記述した前記の実施例と同様に、リコイルスタータ装置200は、リコイルロープ(図示されていない)を受容するための襟首部204を有するスタータ滑車202を含む。滑車202の第1末端は、滑車202とエンジンハウジング208とのアラインメントを容易にするための突起部206を含み、これは鋳物金属製等のものでよい。反動抑制バネ209が突起部206の周りに連結される。滑車の第2末端は、クラッチアセンブリを介してスタータハウジング220に操作可能に結合される。詳細には示さないが、滑車202の第2末端はボス部210を含み、ボス部210はその外周辺面から突起する少なくとも1つのカムポール(図示されていない)を有する。カムポール(単数又は複数)は、例えば図3及び6に開示及び例示されるような、いかなる適切な構成も有する事が可能である。カムポール(単数又は複数)はエンジン始動回転方向に面する係合面を有し、円周方向に沿って配置され、それによってカムの回転をエンジンシャフト212に伝達する。これについては以下に更に詳細に記述する。更に滑車202の中央部には、エンジンハウジング208のボス216を受容するため穴214が貫通している。
滑車202のカムポール(単数又は複数)は、スタータハウジング220の第1面に連結される少なくとも1つのスタータドッグ218と操作可能にかみ合うように構成される。図12は2つのスタータドッグ218を用いる例を示す。しかしながら、いかなる数のスタータドッグも使用可能である事を理解されたい。スタータドッグ218は剛性の重合体材料から製造する事が可能で、図6ないし10に関して上記に開示及び例示されたものと同様の方法で、スタータハウジング220の第1面上に提供される第1ボス部の内部と連結する事が可能である。スタータドッグ218は、任意の適切な方法によってスタータハウジング220に連結する事が可能である。
スタータハウジング220の第2面は、その中央部内に少なくとも1つの緩衝部品224を受容するのに適する第2ボス部222を含む。こうして、緩衝部品224は、エンジンと、カムポールを含むスタータ滑車202との間に位置する領域に提供される。例えば、本実施形態においては、緩衝部品(単数又は複数)は板バネ224を含む。しかしながら、その他いかなる適切な緩衝部品(単数又は複数)も用いる事が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれると考えられる事を理解されたい。上記の例示的実施形態と同様に、緩衝部品はエンジンとリコイルスタータとの間の通常のエンジン振動に起因する振動を緩衝又は低減するように動作し、リコイルロープを引っ張ってエンジンを始動させるために必要な力を低減するように作動する。
図12に明示するように、板バネ224は第1末端226及び第2末端228を有する。板バネ224の第1末端226及び第2末端228はほぼU字型で、板バネ224の両端が各々スタータハウジング220及びフライホイール230とかみ合うように構成される。第1U字型末端226は、第2ボス222の内側部分の溝穴(図示されていない)とかみ合う。板バネ224の第2U字型末端228は、フライホイール230のハブ部234に提供される溝穴232とかみ合う。図12は、バネ224とフライホイール230とのアラインメントを容易にするための、ハブ部234の互いに対向する位置にある2つの溝穴232を例示する。しかしながら、1を含む任意の適切な数の溝穴をフライホイール230の一部分に設けることができる事を理解されたい。リコイルスタータ装置200を組み立てる際、バネ224をスタータハウジング220と連結するとき、ユーザはバネ224の第1末端226を容易に目視できる。しかしながら、バネ224をフライホイール230と連結するとき、板バネ224の第2末端228は一般的に目視されない状態でフライホイール230に連結される。従って、板バネ224の第2末端228を受容するための溝穴を1つ以上有することにより、バネ224とフライホイール230との連結が容易になる。しかしながら、板バネ224はいかなる適切な構成ともする事ができ、任意の適切な方法によってスタータハウジング220とフライホイール230との間に連結可能であり、本発明の範囲に含まれると考えられる事を理解されたい。
スタータ装置200は又、リコイルスタータ装置200内の板バネ224の安定性を追加するため、板バネ224の両側に第1平ワッシャ236及び第2平ワッシャ238を備える。
リコイルスタータ装置200を組み立てる際には、フライホイール230、第2平ワッシャ238、板バネ224、第1平ワッシャ236及びスタータハウジング220それぞれの中央部にエンジンシャフト212を貫通させ、スタータハウジング220の第1面に留め具240により固定する。エンジンシャフト212は、従来技術のものと同様に、1つ以上の釣合い重り242及びクランクシャフト244を含む。リコイルスタータ装置200は、前述したリコイルスタータ装置70及び150と同様に動作する。
次に、図14ないし17には、本発明の一態様によるリコイルスタータ装置200’の別の実施例が示される。本実施例の同様な部分又は類似の部分は、図11ないし13に用いたものと同じ参照文字で示すが、「’」を付ける事により区別する。全ての主要な点において、これら2つのリコイルスタータ装置200、200’は同じ一般的方法で製造され、クラッチアセンブリ部品の製造及び搭載に違いがある以外は同様に動作する。これについては以下に更に詳細に記述する。リコイルスタータ装置200’は、襟首部204’を有するか、又はリコイルロープ(図示されていない)を受容するスタータ滑車202’を含む。滑車202’の第1末端は、滑車202’とエンジンハウジング208’とのアラインメントを容易にするための突起部206’を含み、これは鋳物金属製等のものでよい。反動抑制バネ209’が突起部206の周りに連結される。
図16に明示されるように、少なくとも1つのスタータドッグ250が適切な連結素子252を介してスタータ滑車202’に連結される。2つのスタータドッグ250が図16に示される。しかしながら、1を含む任意の数のスタータドッグを用いる事が可能である。スタータドッグ250は、例えばクラッチシェル246のようなクラッチ要素とかみ合うように構成される。クラッチシェル246は、適切な留め具248を介してエンジンシャフト212’に連結する事が可能な単独部品として、スタータハウジング220’と一体形成される。クラッチシェル246の内壁は複数の歯を含み、これによってクラッチシェル246はスタータドッグ250とかみ合う。ロープを引っ張る事により回転がスタータ滑車202’に与えられると、スタータドッグ250が外方向に旋回する。この外方向に旋回した位置で、スタータドッグ250はクラッチシェルの歯の歯間みぞとかみ合う。こうして、回転がクラッチシェル246に与えられ、それによってエンジンシャフト212’にも回転が与えられ、駆動される。
スタータハウジング220’の第2面は、その中央部に少なくとも1つの緩衝部品224’を受容するのに適するボス部222’を含む。こうして、緩衝部品224’がエンジンとクラッチ要素との間に位置する領域に提供される。例えば、本実施形態において、緩衝部品(単数又は複数)は板バネ224’を含む。しかしながら、例えばトーションばねのようなその他あらゆる緩衝部品(単数又は複数)を用いる事が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれると解釈される事を理解されたい。上記の例示的実施形態と同様に、緩衝部品は、エンジンとリコイルスタータとの間の通常のエンジン振動に起因する振動を緩衝又は低減し、リコイルロープを引っ張ってエンジンを始動させるために必要な力を低減するように動作する。
本発明を特定の実施例を用いて以上に開示した。しかしながら、本技術分野の当業者であれば、本発明の範囲から逸脱すること無しに他にも様々な構成が可能であり、本明細書に記載の要素又はステップを等価物で置換できる事を理解するであろう。本発明を特定の状況又は特定の必要に適合させるために、本発明の範囲を逸脱することなしに本発明に変更が必要な場合がある。本発明は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に含まれる全ての実施形態、同一品又は均等物を包括する最も広い解釈が特許請求の範囲に規定される。