JP4169335B2 - エンジンスタータ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンスタータ装置、特に、リコイリング終了時エンジンのクランク軸駆動用ゼンマイの蓄力を零ならしめることが可能なエンジンスタータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリコイルスタータ装置では、リコイルロープに依ってローププーリーを回転させこの回転を遠心クラッチを介してエンジンのクランク軸に直接伝達し、起動させるのが一般的であった。このリコイルスタータではロープを所望の回転スピードと一気に引く力が要求される為力の弱い人には操作が難しく、従って船外機発電機等リコイルスターターを使用している中型エンジンでは始動不能が現実に起り、また、内燃エンジンシリンダー内部の空気圧には変動が生じる為クランク軸と直結している従来のリコイルスターターではその負荷の度合に依って容易、円滑にリコイルロープを引くことが難しいという欠点が有った。
【0003】
また、スターターにはセル式モーターを用いたもの、或いはワンウェイクラッチとスタート用のバネを用い手動でリコイリングを繰り返しリコイルの都度スタート用のバネの蓄力を増し起動させるものが存在する(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−174061号公報(第1頁、図1)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前者のセル式モータースターターは構造が複雑で高価であり、また、充電機構が必要とされ、起動は容易ではあるが充電不足、その他使用不能になることが考えられ船外機に於いては緊急用として別途従来形リコイルスターターを取り付けている。
【0006】
また、後者のワンウェイクラッチを設け、スタート用のバネの蓄力を数回のリコイリングで徐々に増してエンジンをスタートさせる機能を持っているスターターはリコイリングロープ戻し過程終了時スタート用のバネに蓄力が残る事が特徴であり、エンジン起動迄には至らないが大きな力が貯えられたままの場合が当然生じる。
【0007】
一方、内燃エンジンの回転トルクが不規則になり、内燃エンジンピストンが上昇して燃焼室の空気が圧縮されたときにピストン周囲の割りリングシールより空気漏れが発生して圧力が低下しエンジンクランク軸の負荷が減少する。このような場合には上記蓄力が大で有るだけに負荷の減少とが相重なり予期せぬエンジン起動が生ずる恐れがある。
【0008】
また、燃料の流量の増減により回転数に変化があり、前述した予期せぬ起動の確率を高めている。その結果起動が生じて刃物や危険物が取り付いている作業機では大きな危害を加えるようになる恐れもある。
【0009】
本発明はこのような欠点を除くようにしたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジンスタータ装置は、スタータハウジングと、ロープによって回動されるロープリールと、このロープリールに備えた、ロープリールの回動によって巻かれるリコイル用の第1ゼンマイとエンジンのクランク軸駆動用の第2ゼンマイの一対と、この第2ゼンマイによって駆動されるエンジン起動プーリと、このエンジン起動プーリと上記クランク軸間に介挿される遠心クラッチと、上記起動プーリと上記ロープリールを直結可能とする、上記ハウジング外から選択的に操作される手段を有し、上記第1ゼンマイによるロープ戻し終了時には上記第2ゼンマイのバネ力が零とされることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のエンジンスタータ装置は、上記第2ゼンマイの上記起動プーリの側に位置する固定蓋を上記ロープリールに設けたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【0014】
図1は本発明のエンジンスタータ装置を示し、1は手動操作されるロープ、2はこのロープ1によって回動されるロープリール、3は同じくこのロープリール2によって巻かれる一方の側のリコイル用の第1ゼンマイ、4は同じく他方の側のエンジンのクランク軸駆動用の第2ゼンマイ、5はこの第2ゼンマイ4によって回動される起動プーリー、6はこの起動プーリー5とエンジンのクランク軸間に介挿される遠心クラッチ、7は本発明のエンジンスターター装置を囲む固定のスタータハウジング、8は上記ロープリール2及び起動プーリー5を回動自在に支持するため上記スタータハウジング7によって焼結含油メタル等の軸受9を介して回動自在に支持した支軸、10はこの支軸8の中心に軸方向に形成した雌ネジ、11はこの雌ネジ10に螺合した結合ネジ、12はこの結合ネジ11によって押されて上記ロープリール2と起動プーリー5とを直結せしめるための板バネ等の結合部材、13はこの結合部材12と係合するよう上記ロープリール2の軸部内周面に形成した溝または突起、14は同じく起動プーリー5の円筒部5aの端面に形成した溝または突起、15は上記結合部材12を上記支軸8に連結するためのアーム、16はこのアームの取り付けボルト、17は上記第2ゼンマイ4の上記起動プーリ5側に位置するよう上記ロープリール2に固定して設けた固定蓋である。
【0015】
本発明のエンジンスタータ装置は上記のような構成であるから、内燃エンジンを始動するときは、前記ロープ1を手で引いてロープリール2を回転させる。該ロープリール2の回転によりリコイル用の第1ゼンマイ3が巻かれると共に、同時に前記エンジンのクランク軸駆動用の第2ゼンマイ4も巻かれる。
【0016】
本発明においては、前記ロープ1の1回の引っ張り操作で第2ゼンマイ4に蓄積されるトルクで確実に内燃エンジンのクランク軸を回転できる大きさに設計し、前記ロープ1が前記第1ゼンマイ3の作用で巻き戻されたとき、第2ゼンマイ4も同時に巻き戻され第2ゼンマイ4の蓄力が零にされるようにする。
【0017】
【発明の効果】
本発明のエンジンスタータ装置は上記のような構成であるからリコイリング終了と同時に第2ゼンマイ4の蓄力が零となり、内燃エンジンが不用意に起動するという上記従来の欠点を一掃することができる。
【0018】
また、従来装置では第2ゼンマイ4が破損したり機能しなくなった場合には内燃エンジンの起動が不可能になるが、この場合には上記支軸8の軸部に螺合した結合ネジ11を締めれば、この結合ネジ11の先端が図2に示すように板バネ等の結合部材12を押し上げ、ロープリール2の溝または突起13と起動プーリー5の溝または突起14に係合し、その結果ロープリール2の軸部と起動プーリー5とが直結されるようになり、上記ロープ1の引っ張り操作による従来のリコイルスターターとして機能せしめることができ、極めて安全で且つ信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジンスタータ装置の断面図である。
【図2】図1に示すエンジンスタータ装置の動作説明用の断面図である。
【符号の説明】
1 ロープ
2 ロープリール
3 リコイル用の第1ゼンマイ
4 エンジンのクランク軸駆動用の第2ゼンマイ
5 起動プーリー
5a 円筒部
6 遠心クラッチ
7 スタータハウジング
8 支軸
9 軸受
10 雌ネジ
11 結合ネジ
12 結合部材
13 溝または突起
14 溝または突起
15 アーム
16 取り付けボルト
17 固定蓋

Claims (2)

  1. スタータハウジングと、ロープによって回動されるロープリールと、このロープリールに備えた、ロープリールの回動によって巻かれるリコイル用の第1ゼンマイとエンジンのクランク軸駆動用の第2ゼンマイの一対と、この第2ゼンマイによって駆動されるエンジン起動プーリと、このエンジン起動プーリと上記クランク軸間に介挿される遠心クラッチと、上記起動プーリと上記ロープリールを直結可能とする、上記ハウジング外から選択的に操作される手段を有し、上記第1ゼンマイによるロープ戻し終了時には上記第2ゼンマイのバネ力が零とされることを特徴とするエンジンスタータ装置。
  2. 上記第2ゼンマイの上記起動プーリの側に位置する固定蓋を上記ロープリールに設けたことを特徴とする請求項1記載のエンジンスタータ装置。
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