JP2006306986A - 潤滑油 - Google Patents

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Abstract

【目的】 各種潤滑油用途に適した潤滑性、低温流動性、金属適合性及び耐熱性のバランスに優れた脂環族アルコールエステルを含有してなる潤滑油、及び該脂環族アルコールの製造方法を提供すること。
【構成】
(A)炭素数2〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸、及び炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸と、
(B)炭素数3〜12の脂環族二価アルコール
とをエステル化に供することによって得られる脂環族アルコールエステルであって、該脂環族アルコールエステル中のモノエステルの含有量が5重量%以下であり、且つ該脂環族アルコールエステルの酸価が0.1mgKOH/g以下、ヨウ素価が2g/100g以下である脂環族アルコールエステルの少なくとも一種を含有する潤滑油。

Description

本発明は、潤滑油に関し、より詳しくは、潤滑油用途に適した脂環族アルコールエステルを含有してなる、潤滑性、低温流動性、金属適合性及び耐熱性のバランスに優れた潤滑油、及び該脂環族アルコールエステルの製造方法に関する。
近年、自動車、家電、電子情報機器、工業用機械等の様々な産業分野で使用されている装置や機械では、潤滑油の性能向上が強く求められている。即ち、高速化、高効率化、及び装置の小型化に伴い潤滑油の使用条件は益々過酷になっており、従来の潤滑油に比べてより高い性能を有する潤滑油が必要とされている。
従来、潤滑油としては安価で入手容易な鉱物油が主に使用されてきた。鉱物油は種々の化学構造を有する炭化水素油の混合物であり、主成分の炭化水素によりパラフィン系とナフテン系(シクロパラフィン系)に大別される(「トライボロジーハンドブック(養賢堂)」など)。パラフィン系鉱物油とナフテン系鉱物油は、粘度特性(例えば、粘度指数)、潤滑特性、低温流動性、更には精製度により耐熱性、添加剤との適合性にも違いがみられ、潤滑油の基材に使用する際には、各々の特性を生かした使い分けがなされている。
しかしながら、最近の高負荷条件での使用、メンテナンスフリーなど要求特性が厳しくなるに従い、鉱物油では要求性能を満足することが困難となり、耐熱性に優れる合成炭化水素油や有機酸エステル等の合成潤滑油が用いられるようになっている。特に有機酸エステルは、耐熱性が良好であると共に、潤滑油の熱・酸化劣化により生成するスラッジやタールの溶解性に優れる。そのため、有機酸エステルを単独で、若しくは鉱物油、合成炭化水素油との混合で用いることにより潤滑油の性能を向上させることが可能である。
上記有機酸エステルはその化学構造により、脂肪族エステル、脂環族エステル、及び芳香族エステルに大別され、各々の特性を生かした用途に用いられている。
脂環族エステルは、シクロアルキル骨格を有するエステルであり、脂環族多価カルボン酸と一価アルコールの反応から得られるエステル(以下、「脂環族カルボン酸エステル」という。)、脂環族多価アルコールと一価カルボン酸との反応から得られるエステル(以下、「脂環族アルコールエステル」という。)等が開示されている(特許文献1〜4)。
なかでも、脂環族多価アルコールを利用したエステルとしては、米国特許第5318711号明細書(特許文献1)が例示される。この文献では、1,4−シクロヘキサンジオールと各種脂肪酸とのエステルを、金属加工油に適用する発明が開示されている。しかしながら、本発明者等が、該明細書に開示された方法でエステルを合成し、その評価を行ったところ、耐加水分解性、金属適合性、耐熱性等の性能は、潤滑油として十分な性能を有していないことが分かった。
米国特許第5318711号明細書 米国特許第3251771号明細書 米国特許第4464277号明細書 特開昭63−139150号公報
本発明は、各種潤滑油用途に適した潤滑性、低温流動性、粘度特性、金属適合性、加水分解安定性及び耐熱性のバランスに優れた脂環族アルコールエステルを含有してなる潤滑油、及び該脂環族アルコールエステルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、下記の知見を得た。
(1)脂環族二価アルコールと、脂肪族及び/又は脂環族モノカルボン酸とのエステル化反応において、脂環族二価アルコールがエステル化中に分解し、脂環族一価アルコールが副生すること。
(2)更に、上記の副生した脂環族一価アルコールとモノカルボン酸との反応生成物であるモノエステルが副生すること。
(3)上記(2)のモノエステルを規定量以上含有する潤滑油は、耐熱性、引火点、加水分解安定性等に劣ること。
(4)エステル化反応中の、脂環族二価アルコールの分解を抑制しようとすると、エステル化反応が十分に進まず、脂環族二価アルコール1モルとモノカルボン酸1モルとの反応で得られモノエステルの副生量が増加すること。
(5)上記(4)のモノエステルを規定量以上含有する潤滑油は、耐熱性、加水分解安定性に劣ること。
(6)エステル化反応時の触媒として、錫系触媒を用いることにより、エステル化反応において、脂環族二価アルコールの分解を抑制し、且つジエステルの生成率を高めることができること。
(7)更に、エステル化反応後に、アルカリ洗浄、並びに、蒸留及び/又は吸着精製を行うことにより、モノエステル含有量が少なく、引火点が高く、優れた加水分解安定性、耐熱性、金属適合性及び耐熱性を有する潤滑油が得られること。
本発明は、係る知見に基づいて完成されたものである
即ち、本発明は、以下の潤滑油及び潤滑油用エステルの製造方法を提供するものである。
項1 一般式(1)
Figure 2006306986
[式中、R、Rは、同一又は相異なって、炭素数2〜18の脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸、及び炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Aは、炭素数3〜12のシクロアルキレン基を表す。]
で表される脂環族アルコールエステルの少なくとも1種を含有する潤滑油であって、該脂環族アルコールエステル中のモノエステル含有量が5重量%以下であり、且つ該脂環族アルコールエステルが、全酸価0.1mgKOH/g以下、及びヨウ素価2Ig/100g以下である潤滑油。
項2 R及びRが、同一又は相異なって炭素数4〜9の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基である上記項1に記載の潤滑油。
項3 R1及びRが、同一又は相異なって2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基である上記項2に記載の潤滑油。
項4 R及びRが、同一又は相異なって炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基である上記項1に記載の潤滑油。
項5 Aが、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、又は、1,4−シクロヘキシレン基である上記項1〜4のいずれかに記載の潤滑油。
項6 Aが、1,2−シクロヘキシレン基である上記項5に記載の潤滑油。
項7 一般式(1)
Figure 2006306986
[式中、R、Rは、同一又は相異なって、炭素数2〜18の脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸、及び炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Aは、炭素数3〜12のシクロアルキレン基を表す。]
で表される脂環族アルコールエステルであり、該脂環族アルコールエステル中のモノエテル含有量が5重量%以下であり、且つ該脂環族アルコールエステルが全酸価0.1mgKOH/g以下、及びヨウ素価2Ig/100g以下である潤滑油用脂環族アルコールエステルの製造方法であって、
(i)(A)炭素数2〜18の脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸、及び脂環族飽和モノカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸と、
(B)一般式(2)
Figure 2006306986
[式中、Aは、一般式(1)におけると同義である。]
で表される脂環族二価アルコールとを、
(A)成分を、(B)成分1当量に対して1.01〜1.5当量用いてエステル化する工程、
(ii)得られたエステル化反応生成物を、アルカリ洗浄する工程、及び
(iii)アルカリ洗浄後のエステル化反応粗物を蒸留する工程及び/又は吸着剤で処理する工程、
を含む脂環族アルコールエステルの製造方法。
項8 (B)成分が、芳香族ジヒドロキシ化合物を核水素化したものである上記項7に記載の脂環族アルコールエステルの製造方法。
項9 (B)成分が、1,2−シクロヘキサンジオールである上記項7に記載の脂環族アルコールエステルの製造方法。
本発明によれば、潤滑性、低温流動性、金属適合性、粘度特性、耐熱性、加水分解安定性の基本要求特性のバランスに優れた潤滑油を得ることができる。そのためエンジン油、ギヤ油、自動変速機油、無段変速機油、ガスタービン油、コンプレッサー油、チェーン油、油圧作動油、軸受用潤滑油、金属加工油、グリース等に使用することができる。
[脂環族アルコールエステル]
本発明に係る脂環族アルコールエステル(以下、「本エステル」という。)は、一般式(1)
Figure 2006306986
[式中、R、Rは、同一又は相異なって、炭素数2〜18の脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸、及び炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Aは、炭素数3〜12のシクロアルキレン基を表す。]
で表される脂環族アルコールエステルであって、該脂環族アルコールエステル中のモノエステル含有量が5重量%以下であり、且つ該脂環族アルコールエステルが、全酸価0.1mgKOH/g以下、及びヨウ素価2Ig/100g以下の脂環族アルコールエステルである。一般的には、酸成分であるモノカルボン酸と、ジオール成分である脂環族二価アルコールとをエステル化反応に供することによって得られる。
(A)成分:モノカルボン酸
(A)酸成分としては、炭素数2〜18の脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸が挙げられる。
脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸の具体例としては、酢酸、n−プロパン酸、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ウンデカン酸、n−ドデカン酸、n−トリデカン酸、n−テトラデカン酸、n−ペンタデカン酸、n−ヘキサデカン酸、n−ヘプタデカン酸、n−オクタデカン酸が挙げられる。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせてエステル化に供することができる。
脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸の具体例としては、イソブタン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソペンタデカン酸、イソヘキサデカン酸、イソヘプタデカン酸、イソオクタデカン酸等が例示される。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせてエステル化に供することができる。
炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸としては、炭素数1〜4のアルキル分枝を1個又は2個有していてもよい。但し、該アルキル分枝とシクロアルキレン基との炭素数の合計は4〜9である。このような脂環族飽和モノカルボン酸としては、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、ジメチルシクロヘキサンカルボン酸等が例示される。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせてエステル化に供することができる。
上記(A)成分は、1種で又は2種以上を組み合わせてエステル化反応に供することができる。
上記モノカルボン酸成分の中でも、潤滑性に優れる点で炭素数4〜9の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸が好ましく、具体的には、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸が推奨される。なかでも、潤滑性、耐熱性及び低温流動性のバランスに優れる点で炭素数5〜7の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸が好ましく、n−ヘプタン酸が特に好ましい。
金属適合性に優れる点で炭素数4〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸及び炭素数6〜9の脂環族モノカルボン酸が好ましく、具体的には、イソブタン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸が推奨される。なかでも、耐熱性及び低温流動性のバランスに優れる点で炭素数6〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸が好ましく、耐熱性、低温流動性及び加水分解安定性のバランスに優れる点で2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸が特に好ましい。
(B)成分:脂環族二価アルコール
(B)成分としては炭素数3〜12、好ましくは炭素数6〜10の脂環族二価アルコールが挙げられる。
脂環族二価アルコールとしては、具体的には、シクロプロパンジオール、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロノナンジオール、シクロデカンジオール、ビシクロ[2,2,1]ヘプタンジオール、ビシクロ[4,4,0]デカンジオールが例示される。
上記脂環族二価アルコールの水酸基の置換位置は特に限定されるものではなく、いずれの位置異性体であってもよい。例えば、シクロヘキサンジオールの場合、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールのいずれもが使用可能であり、また、ビシクロ[4,4,0]オクテンジオールの場合、ビシクロ[4,4,0]オクテン−1,2−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−1,3−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−1,4−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−1,5−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−1,6−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−1,7−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−1,8−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−2,3−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−2,4−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−2,5−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−2,6−ジオール及びビシクロ[4,4,0]オクテン−2,7−ジオールのいずれの位置異性体も使用可能である。このような位置異性体のなかでも加水分解安定性に優れる点で、2つの水酸基が隣接する2つの炭素各々に結合しているvic−ジオールが好ましい。係るvic−ジオールとしては、1,2−シクロヘキサンジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−1,2−ジオール、ビシクロ[4,4,0]オクテン−2,3−ジオール等が例示される。
また、これら脂環族二価アルコールには水酸基の立体配置によって、シス体及びトランス体が存在するが、シス体単独、トランス体単独、又はシス体/トランス体混合物のいずれであってもよい。
これら、脂環族二価アルコールは、従来公知或いは市販されているものが広く使用できるが、本発明に係る脂環族アルコールエステルの原料として適した脂環族二価アルコールの製造方法として、下記の方法が例示される。
芳香族ジヒドロキシ化合物を核水素化して得られる脂環族二価アルコールは、原料入手の容易さ、及びシス/トランス異性体比率を任意に選択することができる点で有利であり、本エステルの好ましい原料として推奨される。特に、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコールを核水素化して得られるシクロヘキサンジオール類は、コストと、金属適合性及び耐熱性のバランスに優れる点から推奨される。
核水素化反応は、従来公知の方法を広く用いることができる。
水素化触媒としては、芳香環を水素化できる触媒であれば、特に限定されず、従来公知或いは市販の水素化触媒を用いることができる。係る水素化触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等の金属を含有する触媒が例示される。該水素化触媒の形態は特に限定されず、粉末型、担体担持型、スポンジメタル型等のいずれの形態であってもよい。
水素化触媒の量としては、触媒金属分を基準として、原料に対して0.01〜20重量%、好ましくは、0.1〜10重量%の範囲が推奨される。
反応は、無溶媒で行うこともできるが、水素化反応に対して不活性な溶媒を用いて行うことが好ましい。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、ブタノール等の炭素数1〜4の脂肪族アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレン(特に、エチレン又はプロピレン)グリコールモノアルキル(炭素数1〜4)エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等の脂肪族エーテル化合物、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの脂肪族環状エーテル等が例示され、中でも、水素化反応の選択率、収率の点から、炭素数1〜4の脂肪族アルコールアルキレン(特に、エチレン又はプロピレン)グリコールモノアルキル(炭素数1〜4)エーテルが好ましい。
水素化反応の温度としては、30〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲が例示される。係る温度範囲内でも、反応温度が低いほど、シス体比率の高い脂環族二価アルコールが得られ易く、反応温度が高いほど、トランス体比率の高い脂環族二価アルコールが得られ易い傾向にあり、所望の異性体比率に応じて、適宜反応温度を選択することができる。
反応圧力は、水素分圧として0.5〜30MPa、好ましくは2〜20MPaが推奨される。
反応時間としては、触媒量、反応温度、反応圧力などによって異なるが、通常0.5〜50時間程度、好ましくは1〜20時間程度となるように、条件を適宜選択することが好ましい。
水素化反応終了後には、濾過、遠心分離などの従来公知の方法により、触媒を濾別した後、必要に応じて溶媒を留去し、抽出、蒸留、昇華、晶析、クロマトグラフィー等の慣用の方法を用いることにより、脂環族二価アルコールを得ることができる。
また、1,2−シクロヘキサンジオール等の2つの水酸基が隣接する炭素に結合したvic−ジオールは、対応するシクロアルケンをエポキシ化し、得られたエポキシ基を水和開環することでも得ることができる。例えば、シクロアルケンを、無触媒又は硫酸、リン酸等の酸触媒存在下で、過酸化水素、過ギ酸、過酢酸、過プロビオン酸等の有機過酸化物と反応させ、シクロアルケンオキサイドとした後、無触媒酸或いは酸触媒存在下で、水和開環することにより、vic−シクロアルカンジオールを得る方法や、コバルト、マンガン、モリブデン等の触媒存在下で空気酸化して、エポキシシクロアルケンを経た後、無触媒又は酸触媒存在下で、水和開環する方法が例示される。
また、本発明に係る(B)成分に代えてシクロアルケンオキサイドを用いることもできる。即ち、本発明に係る(A)成分と、シクロアルケンオキサイドとをエステル化することによっても、本エステルを得ることができる。更に、前記シクロアルケンのエポキシ化を本発明に係る脂肪族飽和モノカルボン酸中で行うことにより、エポキシ化と同時にモノエステルとして得ることもできる。該モノエステルは、必要に応じて精製処理を行った後、エステル化反応に供することにより、ジエステルとすることもできる。
シクロアルケンオキサイドを原料としてエステル化して得られるエステルは、一般的にトランス異性体比率が高い傾向にあり、トランス異性体比率の高い本エステルを得る場合に、有利な方法として推奨される。
上記の方法で得られる脂環族二価アルコールの中でも、ヨウ素価が1g/100g以下、過酸化物価が10meq/g以下のものが好ましい。
[モノエステル]
本発明に係るモノエステルは、一般式(3)
Figure 2006306986
[式中、Rは、Rと同義である。Aは、炭素数3〜12のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基を表す。]
又は、一般式(4)
Figure 2006306986
[式中、Rは、Rと同義である。Aは、Aと同義である。]
で表され、本エステル中のモノエステルの含有量(即ち、一般式(1)で表される脂環式二価アルコール、一般式(3)及び一般式(4)で表されるモノエステルの総量に対する、一般式(3)及び一般式(4)で表されるモノエステルの量)は、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下含有している。
[脂環族アルコールエステルの製造方法]
本エステルの製造方法は、規定のエステルが得られる限り特に制限はないが、本エステルの好ましい製造方法としては、下記の製造方法が例示される。
(i)上記(A)成分を、(B)成分1当量に対して、1.01〜1.5当量用いてエステル化する工程、
(ii)得られたエステル化反応生成物を、アルカリ洗浄する工程、及び
(iii)アルカリ洗浄後のエステル化粗物を、蒸留する工程及び/又は吸着剤で処理する工程
を含むことを特徴とする。
[エステル化工程]
エステル化の際、酸成分は、例えば、化学当量として、ジオール成分1当量に対し1.01〜1.5当量、好ましくはジオール成分1当量に対し1.01〜1.3当量、特に好ましくは、1.01〜1.2当量用いられる。vic−ジオールの場合、より高いジエステル転換率を得るために1.1〜1.3当量用いることが好ましい。
エステル化触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属類、スルホン酸類等が例示され、具体的にルイス酸類としては、アルミニウム誘導体、錫誘導体、チタン誘導体が例示され、アルカリ金属類としては、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等が例示され、更にスルホン酸類としてはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等が例示される。酸強度が高く、或いはエステル化活性の高い触媒を用いると一般式(3)で表されるモノエステルの副生量が増加する傾向にあり、一般式(3)の副生を抑制するために、触媒量を低減すると反応時間が増加する傾向にある。係る観点から、エステル化活性が高く、且つ、一般式(3)及び一般式(4)で表されるモノエステルの副生量が少ない高い純度の本エステルが得られやすい触媒として、テトラアルキルチタネート、酸化スズ、脂肪酸スズが挙げられ、特に、酸化スズ若しくは脂肪酸スズが推奨される。その使用量は、例えば原料である(A)成分及び(B)成分の総重量に対して、0.05〜1.0重量%程度用いられる。
エステル化反応は、通常120〜250℃、好ましくは140〜230℃、更に好ましくは180〜230℃の反応温度で、不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。反応時間としては、通常3〜30時間である。必要に応じて、生成してくる水をベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の水同伴剤を用いて系外に共沸留去させてもよい。
[アルカリ洗浄工程]
エステル化反応により得られたエステル化反応生成物を、そのまま或いは未反応の酸(水同伴剤を使用した場合は、水同伴剤)を留去した後、アルカリ洗浄に供する。これにより、残存する未反応の酸、末端にカルボキシル基を有する不純物、触媒等が除去され、金属適合性、耐熱性等に優れた本エステルを得ることができる。
アルカリ洗浄に使用する洗浄液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等のアルカリの水溶液が例示でき、その濃度は特に限定されないが、0.5〜20重量%程度が好ましい。アルカリ水溶液の使用量は反応終了後の反応生成物の全酸価に対して当量又は過剰となる量とするのが好ましい。アルカリ洗浄後のエステル化粗物は、中性となるまで水洗するのが好ましい。
[蒸留工程]
アルカリ洗浄工程を経て得られたエステル化粗物から、本発明に係るモノエステル及びエステル化副生物を蒸留により留去することが好ましい。蒸留の条件としては、特に制限はないが、例えば、150℃〜270℃/1Pa〜15000Pa、好ましくは180℃〜230℃/1Pa〜4000Paの条件下で、エステル化粗物中のモノエステルの含有量(即ち、本エステル、モノエステル及びその他不純物の総重量に対するモノエステルの重量)が、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、特に1重量%以下となるまで、蒸留することが好ましい。原料の種類、不純物の量によって異なるが、通常、エステル化粗物に対して0.5〜10重量%、好ましくは1〜10重量%の留出物が留去させることにより、モノエステルの含有量を低減させることができる。更に、窒素、アルゴン等の不活性ガスや水蒸気等を蒸留装置の気相部或いは液相部に導入しながら蒸留を行うことは、蒸留時間の短縮或いは品質劣化の抑制などの点から好ましい方法として例示される。
[吸着処理工程]
アルカリ洗浄後のエステル化粗物、又は、蒸留工程を経て得られたエステル化粗物は、更に吸着剤による精製を実施することにより高品質なエステルとする事が可能となる。吸着剤としては、天然若しくは合成の吸着剤が挙げられる。具体的には、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、シリカアルミナ、活性白土、ゼオライト、マグネシア、カルシア、珪藻土、ハイドロタルサイト、合成ハイドロタルサイト、イオン交換樹脂などが用いられる。その使用量は、通常、本エステル100重量部に対して0.005〜5重量部が例示され、好ましくは0.01〜3重量部が推奨される。
上記吸着剤は、好ましくは2種以上、更に好ましくは3種類以上を併用することが推奨される。2種類以上の吸着剤を用いることにより、より耐熱性に優れたエステルが得られる傾向がある。
吸着剤の組み合わせの具体例としては、活性炭及び活性アルミナの組み合わせ、活性炭及びシリカゲルの組み合わせ、活性炭及び活性白土の組み合わせ、活性アルミナ及び活性白土の組み合わせ、活性アルミナ、活性白土及びハイドロタルサイトの組み合わせ、活性炭、活性白土及び活性アルミナの組み合わせ等が挙げられ、特に、活性炭及び活性アルミナを組み合わせが特に好ましい。その配合比としては重量比で活性炭/活性アルミナ=80/20〜20/80、好ましくは、50/50〜30/70が推奨される。
吸着剤による精製方法としては、エステルに吸着剤を加え、70〜100℃、好ましくは80〜90℃で、常圧又は減圧下、10分〜2時間、好ましくは、30分〜1時間加熱攪拌する方法が挙げられる。又、吸着塔に吸着剤を充填させ、エステルを通過させてもよい。本吸着処理を常圧で実施する場合には、窒素等の不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。
かくして得られる本エステルの純度としては、通常95重量%以上、好ましくは97重量%以上、特に好ましくは99重量%以上が例示される。
[好ましい本エステル]
本エステルには、脂環式二価アルコールの2つの水酸基の立体配置によっ、シス体、トランス体が存在するが、シス体単独、トランス体単独、シス/トランス混合物のいずれの立体異性体でもよい。なかでも、低温流動性と加水分解安定性のバランスに優れる点でシス体とトランス体の混合物が好ましく、その異性体比率としてはシス/トランス=90/10〜10/90が例示される。更には、加水分解安定性により優れる点で、シス/トランス=60/40〜0/100が好ましい。又、長期の加水分解安定性と潤滑性に優れる点で、シス/トランス=25/75〜0/100が好ましい。
本エステルの全酸価としては、0.1mgKOH/g以下、好ましくは0.05mgKOH/g以下である。全酸価が0.1mgKOH/g以下のときには耐熱性が向上する傾向にある。全酸価は、中和によっても調整可能である。
本エステルの水酸基価としては、2mgKOH/g以下、好ましくは、1mgKOH/g以下が例示される。水酸基価が2mgKOH/g以下のときには吸湿性が低くなり、耐熱性が向上する傾向にある。水酸基価は、残存する水酸基を反応工程で十分に低減することが望ましい。
本エステルの硫酸灰分としては、50ppm以下、好ましくは30ppm以下であることが推奨される。硫酸灰分が50ppm以下のときには耐熱性が向上する傾向にある。硫酸灰分は、本エステルの原料となる(A)成分及び/又は(B)成分として硫酸灰分が低いもの(例えば、50ppm以下のもの)を用いるか、或いは触媒として金属触媒を使用した場合、触媒自身及び触媒由来の有機金属化合物を中和、水洗、吸着精製により十分に除去することで調整可能である。
本エステルのヨウ素価としては、2Ig/100g以下、好ましくは1Ig/100g以下、特に好ましくは0.5Ig/100g以下が推奨される。ヨウ素価がI2g/100g以下のときは耐熱性が向上する傾向にある。前記ヨウ素価の本エステルは、(i)(A)成分及び/又は(B)成分としてヨウ素価が低いもの(例えば、1g/100g以下、好ましくは0.5Ig/100g以下のもの)を用いる、(ii)本発明の製造方法に従って、モノエステルを蒸留留去する、(iii)ヨウ素価が1以上の脂環族アルコールエステルを還元(水素添加)すること等により得ることができる。
本エステルの中でも、流動点(JIS K2269)が−20℃以下であるものが好ましく、より低温での使用に適する点で−30℃以下、更には−40℃以下であるものが好ましい。
本エステルの中でも、潤滑性に優れる点で、(A)成分として、炭素数4〜9の直鎖状の脂肪族モノカルボン酸を、(B)成分としてシクロヘキサンジオールを構成原料とする本エステルが推奨される。具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(n−ブタノエート)、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(n−ペンタノエート)、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(n−ヘキサノエート)、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(n−ヘプタノエート)、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(n−オクタノエート)、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(n−ノナノエート)、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(n−ブタノエート)、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(n−ペンタノエート)、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(n−ヘキサノエート)、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(n−ヘプタノエート)、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(n−オクタノエート)、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(n−ノナノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(n−ブタノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(n−ペンタノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(n−ヘキサノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(n−ヘプタノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(n−オクタノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(n−ノナノエート)が例示される。
又、金属適合性に優れる点で、(A)成分として、炭素数4〜9の分岐鎖状の脂肪族モノカルボン酸を、(B)成分としてシクロヘキサンジオールを構成原料とする本エステルが推奨される。具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール ジイソブタノエート、1,2−シクロヘキサンジオール ジイソペンタノエート、1,2−シクロヘキサンジオール ジイソヘキサノエート、1,2−シクロヘキサンジオール ジイソヘプタノエート、1,2−シクロヘキサンジオール ジイソオクタノエート、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(2−エチルヘキサノエート)、1,2−シクロヘキサンジオール ジイソノナノエート、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)、1,3−シクロヘキサンジオール ジイソブタノエート、1,3−シクロヘキサンジオール ジイソペンタノエート、1,3−シクロヘキサンジオール ジイソヘキサノエート、1,3−シクロヘキサンジオール ジイソヘプタノエート、1,3−シクロヘキサンジオール ジイソオクタノエート、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(2−エチルヘキサノエート)、
1,3−シクロヘキサンジオール ジイソノナノエート、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジイソブタノエート、1,4−シクロヘキサンジオール ジイソペンタノエート、1,4−シクロヘキサンジオール ジイソヘキサノエート、1,4−シクロヘキサンジオール ジイソヘプタノエート、1,4−シクロヘキサンジオール ジイソオクタノエート、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(2−エチルヘキサノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジイソノナノエート、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)が例示される。
上記好ましいジエステルの中でも、耐熱性及び低温流動性のバランスに優れる点で、(A)成分が、炭素数6〜9の分岐鎖状の脂肪族飽和モノカルボン酸のジエステルが好ましく、特に、耐熱性、低温流動性及び加水分解安定性のバランスに優れる点で2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸から選ばれる少なくとも1種の分岐鎖状飽和モノカルボン酸のジエステルが特に好ましい。係る本エステルの具体例として、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(2−エチルヘキサノエート)、1,2−シクロヘキサンジオール ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)、1,2−シクロヘキサンジオールと2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸から得られる混基エステル、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(2−エチルヘキサノエート)、1,3−シクロヘキサンジオール ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)、1,3−シクロヘキサンジオールと2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸から得られる混基エステル、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(2−エチルヘキサノエート)、1,4−シクロヘキサンジオール ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)、1,4−シクロヘキサンジオールと2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸から得られる混基エステルが挙げられる。
[潤滑油]
本発明の潤滑油は、本エステルを潤滑油基油として含む潤滑油であるか、又は、本エステルと他の基油(以下「併用基油」という)との混合物を潤滑油基油として含む潤滑油であり、該潤滑油基油に対して、本エステルの少なくとも1種を、10〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%含有する。換言すると、併用基油は、該潤滑油基油に対して、90重量%以下、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の量で含まれている。
上記併用基油としては、鉱物油(石油の精製によって得られる炭化水素油)、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、シクロアルカン誘導体、フィッシャートロプシュ法(Fischer-Tropsch process)によって得られる合成炭化水素の異性化油などの合成炭化水素油、動植物油、本エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル、シリコーン油が例示され、係る併用基油の少なくとも1種を適宜併用することができる。
鉱物油としては、溶剤精製鉱油、水素化精製鉱油、ワックス異性化油が挙げられるが、通常、100℃における動粘度が1.0〜25mm/s、好ましくは2.0〜20mm/sの範囲にあるものが用いられる。
ポリ−α−オレフィンとしては、炭素数2〜16のα−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1ーヘキサデセン等)の重合体又は共重合体であって、100℃における動粘度が1.0〜25mm/s、粘度指数が100以上のものが例示され、特に100℃における動粘度が1.5〜20mm/sで、粘度指数が120以上のものが好ましい。
ポリブテンとしては、イソブチレンを重合したもの、イソブチレンをノルマルブチレンと共重合したものがあり、一般に100℃の動粘度が2.0〜40mm/sの広範囲のものが挙げられる。
アルキルベンゼンとしては、炭素数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基で置換された分子量が200〜450であるモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン等が例示される。
アルキルナフタレンとしては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン等が例示される。
シクロアルカン誘導体としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ビシクロヘプタン環、ビシクロオクタン環を含有する合成系ナフテン基油が例示される。
動植物油としては、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油等が例示される。
本エステル以外の有機酸エステルとしては、脂肪酸モノエステル、脂肪族二塩基酸ジエステル、ポリオールエステル及びその他のエステルが例示される。
脂肪酸モノエステルとしては、炭素数5〜22の脂肪族直鎖状又は分岐鎖状モノカルボン酸と炭素数3〜22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。
脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸,ノナン二酸、デカン二酸等脂肪族二塩基酸と若しくはその無水物と炭素数3〜22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのフルエステルが挙げられる。
ポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のネオペンチルポリオールと炭素数3〜22の直鎖状及び/又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪酸とのフルエステルが挙げられる。
その他のエステルとしては、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、或いは、縮合ヒマシ油脂肪酸、水添縮合ヒマシ油脂肪酸などのヒドロキシ脂肪酸と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、アルコールと炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンオキサイドの開環重合体が例示される。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、これらの1種を用いた重合体、若しくは2種以上の混合物を用いた共重合体が使用可能である。又、片端又は両端の水酸基部分がエーテル化若しくはエステル化した化合物も使用可能である。重合体の動粘度としては、通常5.0〜1000mm/s(40℃)、好ましくは5.0〜500mm/s(40℃)である。
ポリビニルエーテルとしては、ビニルエーテルモノマーの重合によって得られる化合物であり、モノマーとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。重合体の動粘度としては、通常5.0〜1000mm/s(40℃)、好ましくは5.0〜500mm/s(40℃)である。
ポリフェニルエーテルとしては、2個以上の芳香環のメタ位をエーテル結合又はチオエーテル結合でつないだ構造を有する化合物が挙げられ、具体的には、ビス(m−フェノキシフェニル)エーテル、m−ビス(m−フェノキシフェノキシ)ベンゼン、及びそれらの酸素の1個若しくは2個以上を硫黄に置換したチオエーテル類(通称C−エーテル)等が例示される。
アルキルフェニルエーテルとしては、ポリフェニルエーテルを炭素数6〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換した化合物が挙げられ、特に1個以上のアルキル基で置換したアルキルジフェニルエーテルが好ましい。
シリコーン油としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンのほか、長鎖アルキルシリコーン、フルオロシリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
これらの併用基油の中でも、耐熱性及び潤滑性に優れる点で合成炭化水素油及び有機酸エステルが好ましく、特に、ポリ−α−オレフィン、シクロアルカン誘導体、脂肪族二塩基酸ジエステル及びポリオールエステルが好ましい。
本発明の潤滑油には、その性能を向上させるために、公知の酸化防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等の添加剤の1種又は2種以上を適宜配合することも可能である。これらの配合量は、所定の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、その具体的な例を以下に示す。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール等のフェノール系、N−フェニル−α−ナフチルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン等のアミン系、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、混合ジアルキルジフェニルアミン、フェノチアジン等の硫黄系化合物等が例示される。これらの酸化防止剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの酸化防止剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部添加することが望ましい。
金属清浄剤としては、Ca−石油スルフォネート、過塩基性Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、Ca−フェネート、過塩基性Ca−フェネート、Ba−フェネート、過塩基性Ba−フェネートなどの金属フェネート、Ca−サリシレート、過塩基性Ca−サリシレートなどの金属サリシレート、Ca−フォスフォネート、過塩基性Ca−フォスフォネート、Ba−フォスフォネート、過塩基性Ba−フォスフォネートなどの金属フォスフォネート、過塩基性Ca−カルボキシレート等が例示される。これらの金属清浄剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの金属清浄剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部添加することが望ましい。
無灰分散剤としては、ポリアルケニルコハク酸イミド、ポリアルケニルコハク酸アミド、ポリアルケニルベンジルアミン、ポリアルケニルコハク酸エステル等が例示される。これらの無灰分散剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの無灰分散剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜7重量部添加することが望ましい。
油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコールなどのグリセリンエーテル、ラウリルポリグリセリンエーテル、オレイルポリグリセリルエーテルなどのアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、ジ(2−エチルヘキシル)モノエタノールアミン、ジイソトリデシルモノエタノールアミンなどのアルキル若しくはアルケニルアミンのポリ(アルキレンオキサイド)付加物等が例示される。これらの油性剤は、単独で又は組合わせて用いてもよい。これらの油性剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加することが望ましい。
摩耗防止剤・極圧剤としては、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜りん酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が例示される。これらの摩耗防止剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの摩耗防止剤・極圧剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部添加することが望ましい。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が例示される。これらの金属不活性剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの金属不活性剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜0.4重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部添加することが望ましい。
防錆剤としては、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が例示される。これらの防錆剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの防錆剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部添加することが望ましい。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が例示される。これらの粘度指数向上剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの粘度指数向上剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜7重量部添加することが望ましい。
流動点降下剤としては、塩素化パラフィンとアルキルナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、既述の粘度指数向上剤であるポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン等が例示される。これらの流動点降下剤は、単独で又は組合わせて用いることができる。これらの流動点向上剤は、使用する場合、通常、潤滑油基油100重量部に対してに対して0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加することが望ましい。
消泡剤としては、液状シリコーンが適しており、消泡剤を使用する場合、その添加量は、通常、潤滑油基油100重量部に対して0.0005〜0.01重量部である。
本発明に係る潤滑油は、従来公知の脂環式二価アルコールエステルを含有する潤滑油と比べて、引火点が高く、耐熱性、耐加水分解安定性に優れ、低温流動性、金属適合性のバランスに優れる。
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例において、エステルの諸性状、潤滑油の物理特性、化学特性は以下の方法により測定した。
(a)エステルの組成(ジエステル含有量、モノエステル含有量、シス/トランス異性体比率)
ガスクロマトグラフィーにより測定した。
(b)全酸価
JIS K2501に準拠して測定した。
(d)ヨウ素価
基準油脂分析法2.3.4.1−1996に準拠して測定した。
(e)動粘度
JIS K2283に準拠して、40℃、100℃における動粘度を測定した。
(f)粘度指数
JIS K2283に準拠して算出した。
(g)低温流動性試験
JIS K2269に準拠して流動点を測定した。
(h)潤滑性試験
JPI−5S−32−90に準拠して、高速四球型摩耗試験機(神鋼造機製)を用いて、回転数700rpm、荷重5kg、時間60分の条件で試験し、摩耗痕径を測定した。形成された摩耗痕が小さいものほど潤滑性が良好と判断した。
(i)加水分解安定性試験
内径6.6mm、高さ30cmのガラス試験管に、水分を約1000ppmに調整した各実施例のエステル2.0gを秤りとる。アスピレーターで脱気しながらその試験管を封じ、オーブンに入れて175℃で20時間加熱した。その後エステルを取り出し、全酸価を測定した(水解安定性−1)。
また、175℃で40時間加熱した後のエステルの全酸価を測定し、長期加水分解安定性試験とした(水解安定性−2)。
全酸価の上昇の少ないものほど加水分解安定性が良好であると判断した。
(j)耐熱性試験(揮発量)
実施例及び比較例の各々のエステルに対し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.5重量%を溶解させて潤滑油を調整した。次いで、内径53mm、高さ56mmの50mLビーカーに上記添加油2gを入れ、200mLビーカーで蓋をした後、オーブン中150℃で24時間加熱した。試験後、下式より揮発量を算出した。
揮発量(重量%)=(W−W)/Wx 100
但し、Wは、加熱前の潤滑油重量を、Wは、加熱後の潤滑油重量を表す。
また、耐熱性試験(揮発量)後の潤滑油の酸価を測定し、試験前の潤滑油の酸価との差をΔTANとした。
揮発量及びΔTANが小さいほど耐熱性に優れていることを表す。
(k)金属適合性試験
実施例又は比較例のエステルを50mL共栓付試験管に約50mLを入れ、金属片(鉄、銅、鉛)を入れ、オーブン中90℃で14日間加熱した。試験後、濾過処理したエステルの全酸価を測定する。全酸価の上昇が少ないものほど金属との適合性が良好である。また、試験片は下記のものを使用した。
鉄: 針金(長さ40mm、径1.6mm)、表面を研磨紙(600番)で磨いた後に使用した。
銅: 針金(長さ40mm、径1.6mm)、表面を研磨紙(600番)で磨いた後に使用した。
鉛: 塊状鉛(約1g、ナカライテスク製品)
[実施例1]
(核水素化工程)
電磁誘導撹拌装置を備え付けた3Lオートクレーブに、ハイドロキノン500g(4.5モル)、水500g、展開スポンジニッケル触媒(NDT−90、川研ファインケミカル社製)1.5gを入れ、オートクレーブ内を水素で置換した後、ゲージ圧力3.0MPa、140℃で水素化反応を行った。尚、反応は、消費された水素を補充しながら行い、圧力減少が見られなくなるまで継続した。反応終了後、冷却して触媒を減圧濾過により濾別した。濾液を減圧条件下、140℃に加熱して水を留去させた後、冷却固化させて、1,4−シクロヘキサンジオール(以下、「1,4−CHD」と略記する。)の白色固体500g(収率95%)で得た。尚、得られた1,4−CHDの純度は98重量%、異性体比率はシス/トランス=47/53)であった。
(エステル化工程)
撹拌器、温度計及び冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、上記核水素化工程で得られた1,4−CHD174g(1.5モル)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸568.8g(3.6モル:(B)成分に対して、1.2当量)、キシレン[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し5重量%]及び触媒としてパラトルエンスルホン酸[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し1.0重量%]を仕込み、窒素雰囲気下、徐々に140℃まで昇温した。理論生成水量(54g)を目安にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しながら減圧下でエステル化反応を約5時間行った。反応終了後、過剰の酸及びキシレンを蒸留で除去した。
(アルカリ洗浄工程)
次いで、エステル化反応生成物の全酸価に対して、過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗してエステル化反応粗物576gを得た。このエステル化反応粗物におけるジエステル含有量は96.8重量%であった。
(蒸留工程)
次に、得られたエステル化反応粗物を、667Paの条件下、180℃まで加熱して、モノエステル及びエステル化副生物等を蒸留留去した。
(吸着処理工程)
蒸留工程終了後、80℃にて活性アルミナ及び活性炭(本エステルの理論収量に対して各0.1重量%)を加えて、1時間撹拌して処理をした。処理後、濾過をして1,4−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)500gを得た。得られた「エステルA」の組成、酸価、及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例2]
(水素化工程)
ハイドロキノンに代えてレゾルシンを用いた以外は、実施例1の核水素化工程と同様の方法により水素化反応を行い、1,3−シクロヘキサンジオール(以下、「1,3−CHD」と略記する。)485g(収率92%)で得た。尚、得られた1,3−CHDの純度は、94重量%であり、異性体比率は、シス/トランス=50/50)であった。
(本エステルの製造)
1,4−CHDに代えて、上記水素化工程で得られた1,3−CHD174g(1.5モル)を用い、反応時間を約22時間とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理を行い、1,3−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)511gを得た。得られた「エステルB」の組成、酸価、及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例3]
(水素化工程)
ハイドロキノンに代えて、カテコールを用い、イソプロパノール335g、展開スポンジニッケル触媒(NDT−90、川研ファインケミカル社製)33g、ゲージ圧力5.0MPa、反応温度130℃とした以外は、実施例1の水素化工程と同様にして行い、イソプロパノールを留去することにより1,2−シクロヘキサンジオール(以下、「1,2−CHD」と略記する。)501g(収率95%)で得た。尚、得られた1,2−CHDの純度は、98%(シクロヘキサノール1.4重量%を含有)、異性体比率は、シス/トランス=57/43であった。
(本エステルの製造)
1,4−CHDに代えて、上記水素化工程で得られた1,2−CHD174g(1.5モル)とし、反応温度を180℃、反応時間を約10時間、触媒をテトライソプロピルチタネート[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し0.5重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理を行い、1,2−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)508gを得た。得られた「エステルC」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例4]
(シクロヘキサンジオールの合成例)
撹拌器、温度計及び冷却管付き水分分留受器を備えた3リットルの四ツ口フラスコに シクロヘキセンオキサイド392g(4モル)、イオン交換水1kg、リン酸1gを仕込み、80℃まで昇温した。60%過酸化水素水232g(4.1モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間熟成反応を行い、減圧下で水800mlを留去した。冷却後、アセトン500mlを添加して1,2−CHD315g(収率65%)を白色の結晶として得た。尚、得られた1,2−CHDの純度は99%であり、異性体比率はシス/トランス=0/100であった。
(本エステルの製造)
1,4−CHDに代えて、上記合成例で得られた1,2−CHD174g(1.5モル)を用い、反応温度を180℃、反応時間を約10時間、触媒をテトライソプロピルチタネート[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し0.5重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理をして、1,2−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)514gを得た。得られた「エステルD」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例5]
1,4−CHDに代えて、実施例3の水素化工程と同様の方法により得られた1,2−CHD174g(1.5モル)と、3,5,5−トリメチルヘキサン酸483.5g(3.06モル:1.02当量)を用い、反応温度を225℃、反応時間を約8時間、触媒を酸化スズ[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し0.2重量%]とし、更に水同伴剤としてキシレン[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し5重量%]を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理をして、1,2−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)498gを得た。得られた「エステルE」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例6]
1,4−CHDに代えて、試薬の1,2−CHD(シス/トランス=77/23)174g(1.5モル)を用い、反応温度を230℃、反応時間を約8時間、触媒を酸化スズ[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し0.2重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理をして、1,2−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)529gを得た。得られた「エステルF」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例7]
1,4−CHDに代えて、試薬の1,2−CHD(シス/トランス=77/23)174g(1.5モル)を用い、反応温度を230℃、反応時間を約8時間、触媒を酸化スズ[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し0.2重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄を実施し、ジエステル含有量が98.1重量%であるエステル化反応粗物を得た。引き続き、実施例1と同様の方法で活性炭、活性アルミナによる精製処理をして、濾過後、1,2−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)529gを得た。得られた「エステルG」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例8]
1,4−CHDに代えて、試薬の1,2−CHD(シス/トランス=77/23)174g(1.5モル)と、3,5,5−トリメチルヘキサン酸483.5g(3.3モル:1.1当量)を用い、反応温度を230℃、反応時間を約10時間、触媒を酸化スズ[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し0.2重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理をして、1,2−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)529gを得た。得られた「エステルH」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例9]
(水素化工程)
ハイドロキノンに代えて、カテコールを用い、プロピレングリコールモノメチルエーテル500g、安定化ニッケル触媒(SN−110、堺化学工業社製)15g、ゲージ圧力3.0MPaとした以外は、実施例1の水素化工程と同様にして行い、プロピレングリコールモノメチルエーテルを留去することにより1,2−CHDを502g(収率95%)で得た。尚、得られた1,2−CHDの純度は、98%(シクロヘキサノール2重量%を含有)、異性体比率は、シス/トランス=35/65であった。
(本エステルの製造)
1,4−CHDに代えて、上記水素化工程で得られた1,2−CHD174g(1.5モル)とし、反応温度を230℃、反応時間を約8時間、触媒を酸化スズ[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し0.2重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理を行い、1,2−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)508gを得た。得られた「エステルI」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例10]
1,4−CHDに代えて、試薬の1,2−CHD(シス/トランス=77/23)174g(1.5モル)を用い、反応温度を140℃、反応時間を約6時間とし、更に水同伴剤としてキシレン[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し5重量%]を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理をして、1,2−シクロヘキサンジオールジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)498gを得た。得られた「エステルJ」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例11]
3,5,5−トリメチルヘキサン酸に代えて2−エチルヘキサン酸518.4g[3.6モル:(B)成分に対して1.2当量]を用い、1,4−シクロヘキサンジオールに代えて、試薬の1,2−CHD(シス/トランス=77/23)174g(1.5モル)を用い、反応温度を230℃、反応時間を約13時間、触媒を酸化スズ[(A)成分及び(B)成分の総量に対し0.2重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理をして、1,2−シクロヘキサンジオールジ(2−エチルヘキサノエート)498gを得た。得られた「エステルK」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例12]
3,5,5−トリメチルヘキサン酸に代えてn−ヘプタン酸429g[3.3モル:(B)成分に対して1.1当量]を用い、1,4−シクロヘキサンジオールに代えて、試薬の1,2−CHD(シス/トランス=77/23)174g(1.5モル)を用い、反応温度を180℃、反応時間を約10時間、原料酸の過剰率を10モル%とし、触媒をオクチル酸スズ((A)成分及び(B)成分の総量に対し0.3重量%)とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理をして、1,2−シクロヘキサンジオールジ(n−ヘプタノエート)444gを得た。得られた「エステルL」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[実施例13]
3,5,5−トリメチルヘキサン酸に代えてシクロヘキサンカルボン酸138.2g(1.08モル)及び2−エチルヘキサン酸362.9g(2.52モル)[計3.6モル:(B)成分に対して1.2当量]を用い、1,4−シクロヘキサンジオールに代えて、試薬の1,2−CHD(シス/トランス=77/23)174g(1.5モル)を用い、反応温度を230℃、反応時間を約15時間、原料酸の過剰率を20モル%とし、触媒を酸化スズ[(A)成分及び(B)成分の総量に対し0.3重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法により、エステル化、アルカリ洗浄、蒸留、吸着処理をして、1,2−シクロヘキサンジオールジシクロヘキサンカルボキシレート458gを得た。得られた「エステルM」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[比較例1]
1,4−CHDに代えて、実施例2の水素化工程と同様の方法により得られた1,3−CHD174g(1.5モル)を用い、反応温度を140℃、反応時間を約22時間とした以外は、実施例1と同様の方法によりエステル化反応を行った。反応終了後、過剰の酸及びキシレンを蒸留で除去した。次いで、反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗した。蒸留及び吸着処理することなく、濾過をして1,3−シクロヘキサンジオール ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)574gを得た。得られた「エステルN」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[比較例2]
3,5,5−トリメチルヘキサン酸に代えてn−ヘプタン酸429g(3.3モル)を用い、1,4−CHDに代えて、実施例3の水素化工程と同様の方法により得られた1,2−CHD174g(1.5モル)と、3,5,5−トリメチルヘキサン酸521.4g[3.3モル:(B)成分に対して1.1当量]を用い、反応温度を180℃、反応時間を約10時間、触媒をオクチル酸スズ[(A)成分及び(B)成分の総重量に対し0.3重量%]とした以外は、実施例1と同様の方法によりエステル化反応を行った。反応終了後、過剰の酸及びキシレンを蒸留で除去した。次いで、反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗した。蒸留及び吸着処理することなく、濾過をして1,2−シクロヘキサンジオール ジ(n−ヘプタノエート)481gを得た。得られた「エステルQ」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
[比較例3]
1,4−CHDに代えて、実施例3の水素化工程と同様の方法により得られた1,2−CHD174g(1.5モル)を用い、反応温度を180℃、反応時間を約10時間、触媒をテトライソプロピルチタネート[(A)成分及び(B)成分の総量に対し0.5重量%]とした以外、実施例1と同様の方法によりエステル化反応を行った。反応終了後、過剰の酸及びキシレンを蒸留で除去した。次いで、反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗した。蒸留及び吸着処理することなく、濾過をして1,2−シクロヘキサンジオール ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノエート)570gを得た。得られた「エステルR」の組成、酸価及びヨウ素価を表1に示した。
実施例14〜26
実施例1〜13で得られたエステルからなる潤滑油の動粘度、粘度指数、引火点、低温流動性試験、潤滑性試験、加水分解安定性試験、金属適合性試験、及び耐熱性試験の結果を表2に示した。
比較例4〜6
比較例1〜3で得られたエステルの動粘度、粘度指数、引火点、低温流動性試験、潤滑性試験、加水分解安定性試験、金属適合性試験、及び耐熱性試験の結果を表2に示した。
Figure 2006306986
Figure 2006306986
表1から明らかなように、本発明の製造方法により、モノエステル含有量、酸価、水酸基価及びヨウ素価が低い脂環族アルコールエステルを得ることができる。又、表2から明らかなように、本発明の該脂環族アルコールエステルを含有してなる潤滑油は、低粘度性、潤滑性、低温流動性、金属適合性、耐熱性などのバランスに優れている。特に脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸及び脂環族モノカルボン酸から選ばれる少なくとも1種を用いたジエステルは加水分解安定性に優れ、特に、1,2−置換ジオールを用いたジエステルは更に良好な加水分解安定性を示す。また、比較例4〜6に示した、本エステルを用いない潤滑油は、引火点が低いほか、耐熱性能が悪く、潤滑油として十分な性能を有していないことが明らかである。
本発明の潤滑油は、潤滑油の基本要求特性のバランスに優れていることから、ガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、ガスエンジン油などの自動車エンジン油、ギア油、自動変速機油、無段変速機油などの駆動系潤滑油、軸受用潤滑油の他、ジェットエンジン油、油圧作動油、コンプレッサー油、チェーン油、ガスタービン油、金属加工油、グリース基油などに好適に使用することができる。


特許出願人 新日本理化株式会社



Claims (9)

  1. 一般式(1)
    Figure 2006306986
    [式中、R、Rは、同一又は相異なって、炭素数2〜18の脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸、及び炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Aは、炭素数3〜12のシクロアルキレン基を表す。]
    で表される脂環族アルコールエステルの少なくとも1種を含有する潤滑油であって、該脂環族アルコールエステル中のモノエステルの含有量が5重量%以下であり、且つ脂環族アルコールエステルが、全酸価0.1mgKOH/g以下、及びヨウ素価2Ig/100g以下である潤滑油。
  2. 及びRが、同一又は相異なって炭素数4〜9の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基である請求項1に記載の潤滑油。
  3. 1及びRが、同一又は相異なって2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基である請求項2に記載の潤滑油。
  4. 及びRが、同一又は相異なって炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基である請求項1に記載の潤滑油。
  5. が、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、又は、1,4−シクロヘキシレン基である請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油。
  6. が、1,2−シクロヘキシレン基である請求項5に記載の潤滑油。
  7. 一般式(1)
    Figure 2006306986
    [式中、R、Rは、同一又は相異なって、炭素数2〜18の脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸、及び炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Aは、炭素数3〜12のシクロアルキレン基を表す。]
    で表される脂環族アルコールエステルであって、該脂環族アルコールエステル中のモノエステル含有量が5重量%以下であり、且つ該脂環族アルコールエステルが全酸価0.1mgKOH/g以下、及びヨウ素価2Ig/100g以下である潤滑油用脂環族アルコールエステルの製造方法であって、
    (i)(A)炭素数2〜18の脂肪族飽和直鎖状モノカルボン酸、炭素数4〜18の脂肪族飽和分岐鎖状モノカルボン酸、及び炭素数4〜9の脂環族飽和モノカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のモノカルボン酸と、
    (B)一般式(2)
    Figure 2006306986
    [式中、Aは、一般式(1)におけると同義である。]
    で表される脂環族二価アルコールとを、
    (A)成分を、(B)成分1当量に対して1.01〜1.5当量用いてエステル化する工程、
    (ii)得られたエステル化反応生成物を、アルカリ洗浄する工程、及び
    (iii)アルカリ洗浄後のエステル化反応粗物を蒸留する工程及び/又は吸着剤で処理する工程、
    を含む脂環族アルコールエステルの製造方法。
  8. (B)成分が、芳香族ジヒドロキシ化合物を核水素化したものである請求項7に記載の脂環族アルコールエステルの製造方法。
  9. (B)成分が、1,2−シクロヘキサンジオールである請求項7に記載の脂環族アルコールエステルの製造方法。
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