JP2006306160A - 車両用衝突検知システム - Google Patents

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Abstract

【課題】標高や天候などによって大気圧が変化した場合であっても、確実に車両の衝突を検知することができる車両用衝突検知システムを提供する。
【解決手段】車両用衝突検知システムは、車両の衝突により変形する内部にドア内空間1が形成される車両ドア50と、ドア内空間1と車室内2との圧力差を検知する相対圧センサ10と、相対圧センサ10により検知された圧力差に基づいて車両の衝突の判定を行う衝突判定手段35とを備える。さらには、ドア内空間1内またはドア内空間2外の絶対圧力を検知する絶対圧センサ20を備え、衝突判定手段35は、相対圧センサにより検知された圧力差と絶対圧センサ20により検知された絶対圧力とに基づいて車両衝突の判定を行うようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば車両ドア内の空間の圧力を検知して、車両の衝突の判定を行う車両用衝突検知システムに関するものである。
エアバッグ等の乗員保護装置を起動するために、車両の衝突を検知する手段として、圧力センサを用いる方法がある(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1に記載の手段によれば、車両ドア内に配置された密閉のエアタンクと、エアタンク内の圧力を検知する圧力センサとを備え、圧力センサにより検知されるエアタンクの圧力が所定閾値以上となったときに、車両が衝突したと判定して、エアバッグ等を起動することが記載されている。
特開平2−249740号公報
しかし、車両ドア内にエアタンクの設置スペースを確保する必要となる。そのため、車両ドア及びエアタンクの設計上の制約が大きくなる。さらに、エアタンクを設けることは、コストアップにつながる。そこで、エアタンクを設けることなく、車両ドア内の空間の圧力を圧力センサにより直接的に検知することで、車両の衝突を検知する方法が考えられる。つまり、車両ドア内の空間の圧力と所定閾値とを比較することで、車両の衝突の判定を行うというものである。
しかし、車両ドア内の空間の圧力は、例えば車両が位置する標高や天候などによって大気圧が変化することに伴い大きく変化する。そして、このように変化する車両ドア内の空間の圧力と所定閾値とを比較することで車両の衝突を判定するため、確実に車両の衝突を検知することができないおそれがある。この現象は、上述したエアタンクを用いた場合であっても同様である。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、標高や天候などによって大気圧が変化した場合であっても、確実に車両の衝突を検知することができる車両用衝突検知システムを提供することを目的とする。
本発明の車両用衝突検知システムは、車両に搭載され、該車両の衝突を検知する車両用衝突検知システムであって、内部に所定の空間が形成され、前記衝突により前記空間を変形させる車体部材と、前記空間内外の圧力差を検知する相対圧検知手段と、前記相対圧検知手段により検知された前記圧力差に基づいて前記衝突の判定を行う衝突判定手段とを備えることを特徴とする。
ここで、車両が衝突していない場合には、車体部材の内部の空間は変形しない。従って、車両が衝突していない場合には、当該空間内の絶対圧力は変化しない。また、車両が衝突していない場合、当該空間外の絶対圧力はもちろん変化しない。つまり、車両が衝突していない場合には、当該空間内外の圧力差は、ほぼ零か若しくは非常に小さい。このことは、大気圧が変化する場合であっても同様である。つまり、大気圧が変化したとしても、車両が衝突していない場合には、当該空間内外の圧力差は、ほぼ零か若しくは非常に小さくなる。
一方、車両が衝突した場合には、車体部材の内部の所定の空間が変形する。従って、車両が衝突した瞬間、当該空間内の圧力が急激に変化する。また、当該空間外の圧力は、車両の衝突によってはほとんど変化しない。つまり、当該空間内外の圧力差は大きくなる。
従って、車両が衝突していない状態における当該空間の圧力差に対して当該空間の圧力差が大きく変化した場合に、車両が衝突したと判定することで、確実に車両の衝突を検知することができる。例えば、当該空間の圧力差が所定の閾値を超えるか否かにより、車両の衝突の判定を確実に行うことができる。
また、本発明の車両用衝突検知システムは、前記空間内または前記空間外の絶対圧力を検知する絶対圧検知手段をさらに備え、前記衝突判定手段は、前記相対圧検知手段により検知された前記圧力差と前記絶対圧検知手段により検知された前記絶対圧力とに基づいて前記衝突の判定を行うようにするとよい。
ここで、大気圧が変化することにより、当該空間内の絶対圧力そのものが変化することは上述した通りであるが、さらに車両が衝突した場合における当該空間内の絶対圧力の変化率が変化することになる。例えば、大気圧が低下した場合には、当該空間内の絶対圧力そのものが低下すると共に、車両が衝突した場合における当該空間内の絶対圧力の変化率も低下する。
そして、大気圧が変化することにより当該空間内の絶対圧力そのものが変化することに対しては、上述したように当該空間内外の圧力差を用いることで、解決することができる。また、大気圧が変化することにより車両が衝突した場合における当該空間内の絶対圧力の変化率が変化することに対しては、大気圧に相当する当該空間内又は当該空間外の絶対圧力を考慮することで、解決することができる。
つまり、当該空間内外の圧力差に加えて、当該空間内又は当該空間外の絶対圧力を考慮して車両の衝突の判定を行うことで、大気圧により当該空間内の絶対圧力及び当該空間内の絶対圧力の変化率が変化した場合であっても、より高精度に車両の衝突を検知することができる。
ここで、当該空間内又は当該空間外の絶対圧力を考慮する手段として、2つの手段について以下に説明する。まず、当該空間内又は当該空間外の絶対圧力を考慮する第1の手段としては、前記衝突判定手段が、前記相対圧検知手段により検知された前記圧力差と所定の閾値とを比較して、前記衝突の判定を行う比較手段と、前記絶対圧検知手段により検知された前記絶対圧力に応じて前記閾値を変更設定する閾値設定手段とを有するようにする手段である。
つまり、第1の手段は、衝突判定手段が、絶対圧検知手段から信号を入力して、閾値を変更設定する処理を行うことで、絶対圧力を考慮している。具体的には、上記第1の手段における閾値設定手段により、当該空間内又は当該空間外の絶対圧力に応じて、衝突の判定基準である閾値を変更設定している。つまり、当該空間内外の圧力差の変化率の変化に応じて、閾値を変更設定していることになる。これにより、例えば当該空間内外の圧力差が変更設定された閾値を超えた場合に車両が衝突したと判定することで、大気圧が変化することにより当該空間内の絶対圧力の変化率が変化した場合であっても、確実に車両の衝突を検知することができる。
そして、第1の手段を用いる場合であって、特に絶対圧検知手段が当該空間内の絶対圧力を検知する場合には、以下のようにするとよい。すなわち、前記相対圧検知手段は、前記圧力差に応じた第3信号を出力し、前記絶対圧検知手段は、前記空間内の前記絶対圧力に応じた第4信号を出力し、さらに、前記第3信号に対して第1カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行い第5信号を生成する第1ローパスフィルタと、前記第4信号に対して第1カットオフ周波数より低い第2カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行い第6信号を生成する第2ローパスフィルタとを備え、前記衝突判定手段は、前記第5信号と前記第6信号とに基づいて前記衝突の判定を行うようにするとよい。
ここで、空間内外の絶対圧力は様々な要因により変化するため、相対圧検知手段により検知される圧力差には、車両の衝突により変化する周波数成分よりも高周波のノイズが含まれる。そこで、相対圧検知手段により出力される第3信号に対して第1ローパスフィルタによりローパスフィルタリング処理を行うことで、高周波のノイズを除去することができる。さらに、第1ローパスフィルタの第1カットオフ周波数を車両の衝突により変化する当該空間内外の圧力差の周波数より高い周波数とする。これにより、第3信号は、高周波のノイズを含まず、且つ、車両の衝突により変化する当該空間内外の圧力差の周波数成分を含む信号となる。
また、車両が衝突した場合における当該空間内の絶対圧力は、急激に変化する。従って、相対圧検知手段により検知される当該空間内外の圧力差も急激に変化する。さらに、絶対圧検知手段により検知される当該空間内の絶対圧力も急激に変化する。ここで、絶対圧検知手段は、車両の衝突時における大気圧に相当する圧力を検知することが目的であるが、このように車両の衝突により変化する当該空間内の絶対圧力は、大気圧に相当するとは言い難い。そのため、このように車両の衝突により変化する当該空間内の絶対圧力に基づいて閾値を変更設定したのでは、閾値を適切に変更設定できないおそれがある。
そこで、絶対圧検知手段により出力される第4信号に対して第2カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行うようにする。ここで、第2ローパスフィルタにおける第2カットオフ周波数は、第1ローパスフィルタにおける第1カットオフ周波数よりも低くしている。具体的には、第2カットオフ周波数は、車両の衝突により変化する当該空間内の圧力の周波数より低い周波数とする。これにより、絶対圧検知手段から出力される第4信号を処理した第6信号は、車両の衝突による当該空間内の絶対圧力の変化の影響をほとんど受けない信号となる。つまり、第6信号は、大気圧に相当する信号となる。このように、当該空間内外の圧力差に相当する第5信号と、大気圧に相当する第6信号に応じて変更設定された閾値とを比較して車両の衝突を判定することで、大気圧が変化することにより当該空間内の絶対圧力の変化率が変化した場合であっても、確実に車両の衝突を検知することができる。
また、当該空間内又は当該空間外の絶対圧力を考慮する第2の手段としては、前記相対圧検知手段は、前記圧力差に応じた第1信号を出力する検知回路と、前記第1信号に対して所定の増幅度により増幅した第2信号を生成し、且つ、前記絶対圧検知手段により検知された前記絶対圧力に応じて前記増幅度を変更する増幅回路とを備え、前記衝突判定手段は、前記第2信号に基づいて前記衝突の判定を行うようにする手段である。
この第2の手段は、相対圧検知手段から衝突判定手段へ出力される第2信号そのものが、絶対圧力を考慮したものとしている。例えば、大気圧が低下した場合には、増幅回路の増幅度を増加させ、大気圧が上昇した場合には、増幅回路の増幅度を低下させるようにする。これにより、検知回路が出力する第1信号の変化率が大気圧の変化に応じて変化したとしても、増幅回路が出力する第2信号の変化率は大気圧の変化に応じて変化しないようにすることができる。つまり、大気圧が変化することによる当該空間内の絶対圧力及び絶対圧力の変化率が変化した場合であっても、確実に車両の衝突を検知することができる。
さらに、第2の手段によれば、衝突判定手段は、相対圧検知手段と信号接続するのみで、絶対圧検知手段と信号接続する必要がない。ここで、衝突判定手段は、例えば車両の中央に配置されるエアバッグECUなどであるため、衝突判定手段と相対圧検知手段及び絶対圧検知手段との距離は非常に長い。しかし、衝突判定手段と絶対圧検知手段とを信号接続する必要がないため、信号配線を削減することにより、低コスト化、且つ、配線作業の容易化を図ることができる。
ここで、第2の手段を用いる場合であって、特に絶対圧検知手段が当該空間内の絶対圧力を検知する場合には、上述した第1の手段における第2ローパスフィルタに相当するものを適用することにより、同様の効果を奏することができる。すなわち、絶対圧検知手段により検知された当該空間内の絶対圧力に応じた信号に対して第2ローパスフィルタによるローパスフィルタリング処理を行う。そして、当該ローパスフィルタリング処理を行った信号に応じて増幅回路の増幅度を変更するようにする。なお、絶対圧検知手段が当該空間外の絶対圧力を検知するようにした場合には、上述したローパスフィルタは不要とすることもできる。ただし、上記第1の手段にて説明したように、高周波ノイズを除去する目的であれば、カットオフ周波数が高いローパスフィルタが必要となる。
また、本発明の車両用衝突検知システムを構成する前記相対圧検知手段及び前記絶対圧検知手段は、一体に成形されるようにしてもよい。これらを一体に成形することで、部品点数の削減による低コスト化及び作業性の向上、並びに小型化を図ることができる。
そして、相対圧検知手段及び絶対圧検知手段を一体に成形する場合には、相対圧検知手段に入力する検出口と絶対圧検知手段に入力する検出口を共通化するとよい。第1の共通化の手段としては、前記相対圧検知手段は、少なくとも前記空間外の圧力を入力する検出口を備え、前記絶対圧検知手段は、前記検出口から前記空間外の前記絶対圧力を入力するようにする。また、第2の共通化の手段としては、前記相対圧検知手段は、前記空間内の圧力を入力する検出口を備え、前記絶対圧検知手段は、前記検出口から前記空間内の前記絶対圧力を入力するようにする。
このように、検出口を共通化することで、相対圧検知手段及び絶対圧検知手段からなる装置全体の小型化を図ることができると共に、製造コストを低減することができる。
また、本発明の車両用衝突検知システムを構成する前記絶対圧検知手段は、前記空間外に配置され前記空間外の前記絶対圧力を検知するようにしてもよい。絶対圧検知手段により空間外の絶対圧力を検知することで、車両の衝突による影響を受けにくくすることができる。その結果、当該空間外の絶対圧力を確実に大気圧に相当する圧力として用いることができる。また、車両の衝突により絶対圧力が変化しないため、低い周波数のカットオフ周波数によるローパスフィルタなどを用いる必要がない。従って、低コスト化を図ることもできる。
さらには、当該絶対圧検知手段により検知した絶対圧力は車両の衝突により影響を受けにくいので、当該絶対圧力を他の制御手段に利用することもできる。すなわち、絶対圧検知手段は、検知された前記絶対圧力を前記衝突判定手段以外の制御手段に出力するようにしてもよい。このように、絶対圧検知手段を共有化することができることによる低コスト化を図ることができる。他の制御手段としては、例えば、エンジン噴射量を制御する制御手段などである。
なお、本発明の車両用衝突検知システムを構成する前記車体部材は、車両ドアとしてもよい。車両ドアは、ドアインナーパネルとドアアウターパネルとの間に空間が形成されている。そして、車両の衝突により車両ドアの空間が変形することを利用して、車両の衝突を検知することができる。
そして、前記車体部材を車両ドアとした場合には、前記相対圧検知手段は、前記車両ドアのドアインナーパネルに配置され、前記空間は、前記車両ドアのドア内空間であり、前記空間外は、前記ドアインナーパネルの車両内側の車室内としてもよい。このように、相対圧検知手段をドアインナーパネルに配置することで、確実に且つ容易にドア内空間と車室内の圧力差を検知することができる。
本発明の車両用衝突検知システムによれば、車両の衝突により変形する空間の内外の圧力差に基づいて車両の衝突を判定しているので、標高や天候などによって大気圧が変化した場合であっても、確実に車両の衝突を検知することができる。さらに、前記空間内外の圧力差に加えて、大気圧に相当する絶対圧力を考慮して、車両の衝突を判定しているので、大気圧の変化により前記空間内外の圧力差の変化率が変化する場合であっても、高精度に車両の衝突を検知することができる。
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
(1)第1実施形態
第1実施形態の車両用衝突検知システムについて図1〜図4を参照して説明する。図1は、第1実施形態の車両用衝突検知システムを示すブロック図である。図2は、車両ドアの断面図である。図3は、図2のA部分の拡大図である。図4は、エアバッグECU30の比較部35における車両の衝突判定を説明する図である。
第1実施形態の車両用衝突検知システムは、図1に示すように、相対圧センサ10と、絶対圧センサ20と、エアバッグECU(以下、「A/B ECU」という)30とから構成される。
相対圧センサ(相対圧検知手段)10は、ドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力との圧力差を検知するセンサである。絶対圧センサ(絶対圧検知手段)20は、車室内2の絶対圧力を検知するセンサである。ここで、相対圧センサ10及び絶対圧センサ20の配置について、図2及び図3を参照して説明する。相対圧センサ10及び絶対圧センサ20は、図3に示すように、一体成形されている。以下、この一体成形された相対センサ10及び絶対圧センサ20を一体センサモジュール40という。一体センサモジュール40の大部分は、図2及び図3に示すように、車両ドア(本発明の車体部材の一例)50の内部に形成されるドア内空間1内に配置されている。具体的には、一体センサモジュール40の大部分は、車両ドア50を構成するインナーパネル51とアウターパネル52との間に形成されるドア内空間1内に配置されている。さらに具体的には、一体センサモジュール40は、インナーパネル51のうちのアウターパネル52側の面に取り付けられている。
この一体センサモジュール40は、図3に示すように、相対圧センサ10と絶対圧センサ20とを内蔵すると共に、2つの検出孔41、42が形成されている。第1の検出孔41は、ドア内空間1側に開口されたドア内側検出口41aと、相対圧センサ10の一方面(図3の右側面)とを連通している。つまり、相対圧センサ10の図3の右側面は、第1の検出孔41を介して、ドア内側検出口41aからドア内空間1の絶対圧力を入力している。第2の検出孔42は、車室内2側に開口された車室内側検出口42aと、相対圧センサ10の他方面(図3の左側面)とを連通している。つまり、相対圧センサ10の図3の左側面は、第2の検出孔42を介して、車室内側検出口42aから車室内2の絶対圧力を入力している。第2の検出孔42は、さらに途中で分岐して、絶対圧センサ20にも連通している。つまり、絶対圧センサ20は、第2の検出孔42を介して、車室内側検出口42aから車室内2の絶対圧力を入力している。
なお、インナーパネル51は、ドア内空間1と車室内2とを区画するパネルであり、アウターパネル52は、ドア内空間1と車外3とを区画するパネルである。ここで、アウターパネル52は、例えば車両の側方が衝突した際に変形する。そして、車両が衝突した際にアウターパネル52が変形することに伴い、ドア内空間1も変形することになる。
次に、図1に戻り説明を行う。上述したように配置される相対圧センサ10は、図1に示すように、相対圧センサチップ(検知回路)11と、増幅回路12と、A/Dコンバータ13とから構成される。相対圧センサチップ11は、シリコンチップの中央部を薄く加工して形成したダイヤフラム上に、ホイートストンブリッジとなるように拡散抵抗を形成されたものである。そして、相対圧センサチップ11に圧力が付与されてダイヤフラムが変形した場合には、相対圧センサチップ11の図1の左右端の電位差が変化する。そして、相対圧センサチップ11は、図1の左右端の電位差の信号を出力する。ここで、相対圧センサチップ11のダイヤフラムの一方面側はドア内空間1と連通しており、ダイヤフラムの他方面側は車室内2と連通している。つまり、相対圧センサチップ11のダイヤフラムは、ドア内側検出口41aから入力されるドア内空間1の絶対圧力と車室内側検出口42aから入力される車室内2の絶対圧力との圧力差に応じて変形する。つまり、相対圧センサチップ11の図1の左右端の電位差は、ドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力との圧力差に応じたものとなる。
増幅回路12は、相対圧センサチップ11により出力される電位差の信号に対して増幅処理を行う。そして、A/Dコンバータ13にて、増幅回路12にて増幅処理された信号に対してA/D変換される。そして、A/Dコンバータ13は、A/D変換された信号(第1信号)S1をA/B ECU30へ出力する。
絶対圧センサ20は、絶対圧センサチップ21と、増幅回路22と、A/Dコンバータ23とから構成される。絶対圧センサチップ21は、相対圧センサチップ11と同様に、シリコンチップの中央部を薄く加工して形成したダイヤフラム上に、ホイートストンブリッジとなるように拡散抵抗を形成されたものである。そして、絶対圧センサチップ21に圧力が付与されてダイヤフラムが変形した場合には、絶対圧センサチップ21の図1の左右端の電位差が変化する。そして、絶対圧センサチップ21は、図1の左右端の電位差の信号を出力する。ここで、絶対圧センサチップ21のダイヤフラムの一方面側はドア内空間1と連通しており、ダイヤフラムの他方面側にはガラス台座との間に真空空間が形成されている。つまり、絶対圧センサチップ21のダイヤフラムは、車室内側検出口42aから入力される車室内2の絶対圧力に応じて変形する。つまり、絶対圧センサチップ21の図1の左右端の電位差は、車室内2の絶対圧力に応じたものとなる。
増幅回路22は、絶対圧センサチップ21により出力される絶対圧力の信号に対して増幅処理を行う。そして、A/Dコンバータ23にて、増幅回路22にて増幅処理された信号に対してA/D変換される。そして、A/Dコンバータ23は、A/D変換された信号(第2信号)S2をA/B ECU30へ出力する。
A/B ECU30は、相対圧センサ10及び絶対圧センサ20から入力された信号S1、S2に基づいて、サイドエアバッグ4を展開させるか否かの判定を行う。このA/B ECU30は、第1ローパスフィルタ31と、第2ローパスフィルタ32と、閾値記憶部33と、閾値設定部34と、比較部35とから構成される。
第1ローパスフィルタ31は、相対圧センサ10から入力した第1信号S1に対して、第1カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行い、第3信号S3を生成する。ここで、第1カットオフ周波数は、車両の衝突の際におけるドア内空間1と車室内2との圧力差の周波数よりも高くしている。また、高周波ノイズを除去できるように、第1カットオフ周波数は高周波ノイズの周波数よりも低くしている。
第2ローパスフィルタ32は、絶対圧センサ20から入力した第2信号S2に対して、第2カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行い、第4信号S4を生成する。ここで、第2カットオフ周波数は、高周波ノイズを除去できるように、高周波ノイズの周波数よりも低くしている。なお、絶対圧センサ20により検知される絶対圧力は、車室内2の絶対圧力であるので、車両の衝突によっては大きく変化しない。
閾値記憶部33は、車両の衝突の判定を行う閾値THを複数記憶している。この閾値THは、第1ローパスフィルタ31により生成された第3信号S3と比較することにより、車両の衝突の判定を行う基準値である。ここで、閾値記憶部33は、第2ローパスフィルタ32により生成された第4信号S4に関連付けられた複数の閾値THからなる閾値マップを記憶している。すなわち、第4信号S4の電圧範囲(絶対圧力範囲に相当)を複数の電圧範囲に分割して、それぞれの電圧範囲毎に1つの閾値THが関連付けられている。例えば、第4信号S4の電圧範囲がP1〜P2の範囲の閾値THはTH1とし、第4信号S4の電圧範囲がP2〜P3の範囲の閾値THはTH2とし、第4信号S4の電圧範囲がP3〜P4の範囲の閾値THはTH3とする。
閾値設定部(衝突判定手段)34は、第2ローパスフィルタ32により生成された第4信号S4と閾値記憶部33に記憶されている閾値マップとに基づいて、車両の衝突判定に用いる閾値THを変更設定する。具体的には、閾値設定部34は、第4信号S4が含まれる電圧範囲における閾値THを閾値マップから選択し、車両の衝突判定に用いる閾値THとして変更設定する。
比較部(衝突判定手段)35は、第1ローパスフィルタ31により生成された第3信号S3と閾値設定部34にて設定された閾値THとを比較して、第3信号S3が閾値THを超えている場合に車両が衝突したと判定する。そして、比較部35は、車両が衝突したと判定した場合には、サイドエアバッグ4を展開させる信号を出力する。
ここで、比較部35における車両の衝突判定について、図4を参照して説明する。図4は、車両が衝突してからの経過時間に対する第3信号S3の電圧値(ドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力との圧力差に相当)を示す図である。そして、図4において、実線S3_1、一点鎖線S3_2及び破線S3_3は、それぞれ車両が同一の衝撃を受けた場合であって大気圧が異なる場合についての第3信号S3の変化挙動を示す。具体的には、実線S3_1は大気圧が高い状態を示し、破線S3_3は大気圧が低い状態を示し、一点鎖線S3_2は大気圧が中間状態を示す。
ここで、大気圧に応じて第3信号S3が図4のようになることについて説明する。第3信号S3は、相対圧センサ10により検知されるドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力との圧力差に応じた信号である。そして、車両が衝突する直前までは、相対圧センサ10により検知されるドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力との圧力差はほとんど0になるので、第3信号S3もほとんど0になる。従って、図4において、車両が衝突した時点(時刻0の時点)において、実線S3_1、一点鎖線S3_2及び破線S3_3は、何れも0となっている。このことは、大気圧が変化した場合であっても同様である。
そして、車両が衝突した場合には、アウターパネル52が変形することに伴い、ドア内空間1が変形する。そうすると、ドア内空間1の絶対圧力が上昇する。一方、車室内2の絶対圧力は、車両が衝突する前後の絶対圧力はそれほど変化しない。従って、相対圧センサ10により検知される圧力差は、車両が衝突した直後には、ドア内空間1の絶対圧力が上昇することに伴い急激に上昇する。
このとき、車両の衝突時における大気圧が異なる場合には、第3信号S3の変化率が異なる。具体的には、大気圧が高いほど第3信号S3の変化率(上昇率)が大きくなり、大気圧が低いほど第3信号S3の変化率(上昇率)が小さくなる。つまり、図4に示すように、大気圧が高い場合を示す実線S3_1の変化率が大きくなり、大気圧が低い場合を示す破線S3_3の変化率が小さくなる。
ここで、車室内3の絶対圧力は、実質的に大気圧に相当する。つまり、大気圧が変化すると、大気圧の変化に伴い車室内3の絶対圧力が変化する。そして、閾値記憶部33に記憶している閾値マップは、絶対圧センサ20により検知される車室内3の絶対圧力に応じた第4信号S4に関連付けた閾値THを記憶している。つまり、閾値記憶部33に記憶している閾値マップは、大気圧に応じた複数の閾値THを記憶していることになる。例えば、閾値マップは、大気圧が高い場合における閾値THがTH1であり、大気圧が低い場合における閾値THがTH3であり、その中間の場合における閾値THがTH2などとする。そうすると、図4に示すように、大気圧が高い場合には、第3信号S3は実線S3_1となり、その信号と比較する閾値THはTH1となる。つまり、比較部35は、実線S3_1が閾値TH1を超えたか否かを判定して、実線S3_1が閾値TH1を超えていれば車両が衝突したと判定する。一方、実線S3_1が閾値TH1を超えていない場合には、車両は衝突していないと判定する。一点鎖線S3_2は閾値TH2と比較し、破線S3_3は閾値TH3と比較して、車両の衝突判定を行う。
以上説明したように、相対圧センサ10により検知されたドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力との圧力差は、車両衝突前まではほとんど0である。この圧力差は、大気圧が変化した場合であっても変わらない。従って、大気圧が変化した場合であっても車両衝突前までほとんど0である当該圧力差を用いて車両の衝突判定を行うので、大気圧の変化に影響を受けることなく車両の衝突判定を行うことができる。
さらに、大気圧が変化することに伴って、相対圧センサ10により検知される当該圧力差の変化率が変化する。しかし、閾値設定部34にて、絶対圧センサ20により検知された車室内2の絶対圧力に応じた第4信号に対応する閾値THを設定している。そして、車室内2の絶対圧力は、大気圧に相当する。つまり、当該圧力差に応じた第3信号S3と比較する閾値THを実質的に大気圧に応じて変更設定しているので、確実に車両の衝突を検知することができる。
(2)第1実施形態の第1変形態様
次に、第1実施形態の車両用衝突検知システムの第1変形態様について図5を参照して説明する。図5は、当該第1変形態様における図2のA部分の拡大図である。ここで、第1実施形態の第1変形態様においては、上記第1実施形態に対して、一体センサモジュール40の構成及びA/B ECU30の第2ローパスフィルタ32が異なる。以下、相違点のみについて説明する。
当該相違点は、絶対圧センサ20がドア内空間1の絶対圧力を検知する点と、第2ローパスフィルタ32の第2カットオフ周波数が上記第1実施形態のものより低くしている点である。以下、詳細に説明する。
一体センサモジュール40の大部分は、図5に示すように、車両ドア50を構成するインナーパネル51とアウターパネル52との間に形成されるドア内空間1内に配置されている。さらに具体的には、一体センサモジュール40は、インナーパネル51のうちのアウターパネル52側の面に取り付けられている。
この一体センサモジュール40は、図5に示すように、相対圧センサ10と絶対圧センサ20とを内蔵すると共に、2つの検出孔43、44が形成されている。第1の検出孔43は、ドア内空間1側に開口されたドア内側検出口43aと、相対圧センサ10の一方面(図5の右側面)とを連通している。つまり、相対圧センサ10の図5の右側面は、第1の検出孔43を介して、ドア内側検出口43aからドア内空間1の絶対圧力を入力している。第1の検出孔43は、さらに途中で分岐して、絶対圧センサ20にも連通している。つまり、絶対圧センサ20は、第1の検出孔43を介して、ドア内側検出口43aからドア内空間1の絶対圧力を入力している。第2の検出孔44は、車室内2側に開口された車室内側検出口44aと、相対圧センサ10の他方面(図5の左側面)とを連通している。つまり、相対圧センサ10の図5の左側面は、第2の検出孔44を介して、車室内側検出口44aから車室内2の絶対圧力を入力している。
絶対圧センサ20は、上述したように、ドア内空間1の絶対圧力を検知する。従って、絶対圧センサ20は、車両が衝突することに伴い変形するドア内空間1の絶対圧力を検知する。つまり、絶対圧センサ20により出力される第2信号S2は、車両の衝突により急激に変化する。
また、第2ローパスフィルタ32は、絶対圧センサ20から入力した第2信号S2に対して、第2カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行い、第4信号S4を生成する。そして、第2カットオフ周波数は、車両の衝突により急激に変化するドア内空間1の絶対圧力の周波数よりも低い周波数とする。ここで、第2ローパスフィルタ32に入力される第2信号S2は、上述したように、車両の衝突により急激に変化するドア内空間1の絶対圧力に応じた信号となる。従って、第2信号S2は、車両の衝突により急激に変化するドア内空間1の絶対圧力の周波数成分を含んでいる。そして、第2ローパスフィルタ32において、車両の衝突により急激に変化するドア内空間1の絶対圧力の周波数よりも低い周波数の第2カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行うことで、第4信号S4は車両の衝突により急激に変化するドア内空間1の絶対圧力の周波数成分を含まない信号となる。つまり、第4信号S4は、第1実施形態の第4信号S4と実質的に同様の信号となる。そして、閾値設定部34において、この第4信号S4に応じた閾値THに変更設定される。
このように、絶対圧センサ20の検知する絶対圧力がドア内空間1であっても、確実に車両の衝突を検知することができる。
(3)第1実施形態の第2変形態様
次に、第1実施形態の車両用衝突検知システムの第2変形態様について図6及び図7を参照して説明する。図6は、当該第2変形態様における車両ドアの断面図である。図7は、図6のB部分の拡大図である。ここで、第1実施形態の第2変形態様においては、第1実施形態に対して、相対圧センサ10及び絶対圧センサ20の配置が異なる。以下、相違点のみについて説明する。
当該相違点は、上記第1実施形態においては相対圧センサ10と絶対圧センサ20とが一体成形されたが、当該第2変形態様においては相対圧センサ10と絶対圧センサ20とが別体であって異なる場所に配置されている。
具体的には、相対圧センサ10は、センサモジュール45に内蔵されている。このセンサモジュール45の大部分は、図6及び図7に示すように、車両ドア50を構成するインナーパネル51とアウターパネル52との間に形成されるドア内空間1内に配置されている。さらに具体的には、センサモジュール45は、インナーパネル51のうちのアウターパネル52側の面に取り付けられている。
このセンサモジュール45は、図7に示すように、相対圧センサ10を内蔵すると共に、2つの検出孔46、47が形成されている。第1の検出孔46は、ドア内空間1側に開口されたドア内側検出口46aと、相対圧センサ10の一方面(図7の右側面)とを連通している。つまり、相対圧センサ10の図7の右側面は、第1の検出孔46を介して、ドア内側検出口46aからドア内空間1の絶対圧力を入力している。第2の検出孔47は、車室内2側に開口された車室内側検出口47aと、相対圧センサ10の他方面(図7の左側面)とを連通している。つまり、相対圧センサ10の図7の左側面は、第2の検出孔47を介して、車室内側検出口47aから車室内2の絶対圧力を入力している。そして、絶対圧センサ20は、車室内2のフロア上に配置されている。つまり、絶対圧センサ20は、車両の衝突により変化しない車室内2の絶対圧力を検知している。
(4)第2実施形態
次に、第2実施形態の車両用衝突検知システムについて図8及び図9を参照して説明する。図8は、第2実施形態の車両用衝突検知システムを示すブロック図である。図9は、相対圧センサ60内における信号処理を説明する図である。なお、第2実施形態において、上述した第1実施形態と同一構成については同一符号を付す。
第2実施形態の車両用衝突検知システムは、図8に示すように、相対圧センサ60と、絶対圧センサ70と、A/B ECU80とから構成される。ここで、相対圧センサ60及び絶対圧センサ70は、第1実施形態の相対圧センサ10及び絶対圧センサ20と同様に、一体センサモジュール40に内蔵され、インナーパネル51のうちのアウターパネル52側の面に配置されている。つまり、相対圧センサ60は、ドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力とを入力している。また、絶対圧センサ70は、車室内2の絶対圧力を入力している。
そして、相対圧センサ60は、相対圧センサチップ11と、増幅回路61と、A/Dコンバータ13とから構成される。
相対圧センサチップ11は、第1実施形態の相対圧センサチップ11と同様である。すなわち、相対圧センサチップ11は、シリコンチップの中央部を薄く加工して形成したダイヤフラム上に、ホイートストンブリッジとなるように拡散抵抗を形成されたものである。そして、相対圧センサチップ11は、ドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力との圧力差に応じた図8の左右端の電位差の信号(第5信号)S5を出力する。
増幅回路61は、相対圧センサチップ11により出力される電位差の第5信号S5を入力する。さらに、増幅回路61は、絶対圧センサ70の増幅回路71から出力された第6信号S6を入力する。そして、増幅回路61は、第6信号S6を考慮して、電位差の第5信号S5に対して増幅処理された第7信号S7を生成する。具体的には、増幅回路61は、第6信号S6の電圧値が大きいほど増幅度が小さくされ、第6信号S6の電圧値が小さいほど増幅度が大きくされる。ここで、第6信号S6は、後述するが、実質的に大気圧に相当するため、増幅回路61における増幅度は、大気圧が高いほど小さくなり、大気圧が低いほど大きくなる。なお、第5信号S5と第7信号S7の関係についての詳細は、後述する。そして、増幅回路61にて増幅処理された第7信号S7は、A/Dコンバータ13によりA/D変換された後に、A/B ECU80へ出力される。
絶対圧センサ70は、絶対圧センサチップ21と、増幅回路71とから構成される。絶対圧センサチップ21は、第1実施形態の絶対圧センサチップ21と同様である。すなわち、絶対圧センサチップ21は、シリコンチップの中央部を薄く加工して形成したダイヤフラム上に、ホイートストンブリッジとなるように拡散抵抗を形成されたものである。そして、絶対圧センサチップ21は、車室内2の絶対圧力に応じた図8の左右端の電位差の信号を出力する。なお、車室内2の絶対圧力は、実質的に大気圧に相当する圧力である。
増幅回路71は、絶対圧センサチップ21により出力される絶対圧力の信号に対して増幅処理された第6信号S6を生成する。そして、増幅回路71は、増幅処理された第6信号S6を相対圧センサ60の増幅回路61へ出力する。
ここで、相対圧センサ60の増幅回路61における増幅処理について、図9を参照して詳細に説明する。図9は、車両が衝突してからの経過時間に対する第5信号S5及び第7信号S7の電圧値を示す図である。そして、図8において、細実線S5_1、細一点鎖線S5_2、及び細破線S5_3は、それぞれ車両が同一の衝撃を受けた場合であって大気圧が異なる場合についての第5信号S5の変化挙動を示す。具体的には、細実線S5_1は大気圧が高い状態を示し、細破線S5_3は大気圧が低い状態を示し、細一点鎖線S5_2は大気圧が中間状態を示す。太実線S7は、第5信号S5_1〜S5_3に対して増幅処理された第7信号S7の変化挙動を示す。
ここで、大気圧に応じて第5信号S5が図8のようになる理由については、第1実施形態の図4を用いて説明したこととほぼ同様であるので、説明を省略する。簡単に言うと、大気圧が異なるとしても車両が衝突する直前までは第5信号S5は0となり、車両の衝突直後の第5信号S5の変化率が大気圧に応じて異なる。
一方、第7信号S7は、車両が同一の衝撃を受けた場合には大気圧に関わらずほぼ同一の変化挙動となる。これは、増幅回路61における増幅度が、絶対圧センサ70の増幅回路71から出力される第6信号S6に応じて変化されるためである。具体的には、第6信号S6の電圧値が大きいほど増幅回路61の増幅度が小さくなり、第6信号S6の電圧値が小さいほど増幅回路61の増幅度が大きくなる。ここで、第6信号S6は、上述したように、実質的に大気圧に相当するため、増幅回路61における増幅度は、大気圧が高いほど小さくなり、大気圧が低いほど大きくなる。そして、車両が同一の衝撃を受けた場合に、第7信号S7が大気圧に関わらず同一の変化挙動となるように増幅処理されている。
次に、図8に戻り説明を行う。A/B ECU80は、相対圧センサ60から入力された第7信号S7に基づいて、サイドエアバッグ4を展開させるか否かの判定を行う。このA/B ECU80は、第1ローパスフィルタ31と、閾値記憶部81と、比較部82とから構成される。
第1ローパスフィルタ31は、相対圧センサ60から入力した信号に対して、第1カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行う。ここで、第1カットオフ周波数は、車両の衝突の際におけるドア内空間1の絶対圧力と車室内2の絶対圧力との圧力差の周波数よりも高くしている。また、高周波ノイズを除去できるように、第1カットオフ周波数は高周波ノイズの周波数よりも低くしている。
閾値記憶部81は、車両の衝突の判定を行う閾値THを予め記憶している。この閾値THは、第1ローパスフィルタ31により生成された信号と比較することにより、車両の衝突の判定を行う基準値である。
比較部(衝突判定手段)82は、第1ローパスフィルタ31により生成された信号と閾値記憶部81に記憶している閾値THとを比較して、第1ローパスフィルタ31により生成された信号が閾値THを超えている場合に車両が衝突したと判定する。そして、比較部82は、車両が衝突したと判定した場合には、サイドエアバッグ4を展開させる信号を出力する。
ここで、比較部82においては、第1ローパスフィルタ31により生成された信号と1つの閾値THとを比較することにより、車両の衝突の判定を行っている。ところで、上述したように、大気圧が異なる場合であっても、車両が同一の衝撃を受けた場合には、相対圧センサ60から出力される信号はほぼ同一の変化挙動となる。従って、大気圧に関わりなく、第1ローパスフィルタ31により生成された信号と1つの閾値THとを比較することにより、確実に車両の衝突を検知することができる。
(5)第2実施形態の変形態様
第2実施形態においては、絶対圧センサ70が車室内2の絶対圧力を検知するようにしたが、ドア内空間1の絶対圧力を検知するようにしてもよい。ただし、この場合には、車両の衝突によりドア内空間1の絶対圧力が急激に変化するために、車両の衝突により急激に変化するドア内空間1の絶対圧力の周波数よりも低い周波数をカットオフ周波数とするローパスフィルタリング処理を行わせる。これにより、ドア内空間1の絶対圧力に対してローパスフィルタリング処理を行った信号は、実質的に車室内2の絶対圧力に相当する信号と同様とすることができる。
(6)その他
また、上記実施形態における絶対圧センサ20、60により生成された信号は、A/B ECU30又は相対圧センサ60へ出力したが、これに限られるものではない。例えば、エンジン噴射量を制御する制御装置などの車両用衝突検知システム以外の他の制御装置などに出力するようにしてもよい。ただし、絶対圧センサ20、70が車両の衝突により影響を受けにくい絶対圧力を検知することができるセンサであることが望ましい。例えば、絶対圧センサ20、70が車室内2の絶対圧力を検知する場合などである。
また、上記実施形態においては、相対圧センサ10、60及び第1実施形態の第1変形態様における絶対圧センサ20は車両ドア50のドア内空間1の絶対圧力を入力したが、これに限られるものではない。例えば、これらのセンサは、車両の衝突により変形する空間内の圧力を入力すればよい。つまり、これらのセンサは、車両の衝突により内部の絶対圧力が変化する空間の圧力を入力すればよい。
また、上記実施形態においては、相対圧センサ10、60及び絶対圧センサ20、70を用いたが、相対圧センサのみを用いてもよい。ただし、この場合には、大気圧に応じて圧力差の変化率が変化することに対しては対応することができない。
また、上記実施形態においては、閾値記憶部33に閾値マップを記憶して、閾値設定部34にて該当する閾値THを選択するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、閾値記憶部33及び閾値設定部34を閾値演算部に置き換えるようにしてもよい。閾値演算部の一例としては、絶対圧センサ20から入力した信号に対して例えば比例するように関連付けられた関係式により閾値THを演算するようにするものである。
第1実施形態の車両用衝突検知システムを示すブロック図である。 車両ドアの断面図である。 図2のA部分の拡大図である。 エアバッグECU30の比較部35における車両の衝突判定を説明する図であって、車両が衝突してからの経過時間に対する第3信号S3の電圧値を示す図である。 第1実施形態の第1変形態様における図2のA部分の拡大図である。 第1実施形態の第2変形態様における車両ドアの断面図である。 図6のB部分の拡大図である。 第2実施形態の車両用衝突検知システムを示すブロック図である。 相対圧センサ60内における信号処理を説明する図であって、車両が衝突してからの経過時間に対する第5信号S5及び第7信号S7の電圧値を示す図である。
符号の説明
1:ドア内空間、 2:車室内、 3:車外、 10、60:相対圧センサ、 20、70:絶対圧センサ、 40:一体センサモジュール、 41、43、46:第1の検出孔、 41a、43a、46a:ドア内側検出口、 42、44、47:第2の検出孔、 42a、44a、47a:車室内側検出口、 45:センサモジュール、 50:車両ドア、 51:インナーパネル、 52:アウターパネル

Claims (12)

  1. 車両に搭載され、該車両の衝突を検知する車両用衝突検知システムであって、
    内部に所定の空間が形成され、前記衝突により前記空間を変形させる車体部材と、
    前記空間内外の圧力差を検知する相対圧検知手段と、
    前記相対圧検知手段により検知された前記圧力差に基づいて前記衝突の判定を行う衝突判定手段と、
    を備えることを特徴とする車両用衝突検知システム。
  2. 前記空間内または前記空間外の絶対圧力を検知する絶対圧検知手段をさらに備え、
    前記衝突判定手段は、前記相対圧検知手段により検知された前記圧力差と前記絶対圧検知手段により検知された前記絶対圧力とに基づいて前記衝突の判定を行う請求項1記載の車両用衝突検知システム。
  3. 前記衝突判定手段は、
    前記相対圧検知手段により検知された前記圧力差と所定の閾値とを比較して、前記衝突の判定を行う比較手段と、
    前記絶対圧検知手段により検知された前記絶対圧力に応じて前記閾値を変更設定する閾値設定手段と、
    を備える請求項2記載の車両用衝突検知システム。
  4. 前記相対圧検知手段は、
    前記圧力差に応じた第1信号を出力する検知回路と、
    前記第1信号に対して所定の増幅度により増幅した第2信号を生成し、且つ、前記絶対圧検知手段により検知された前記絶対圧力に応じて前記増幅度を変更する増幅回路と、
    を備え、
    前記衝突判定手段は、前記第2信号に基づいて前記衝突の判定を行う請求項2記載の車両用衝突検知システム。
  5. 前記相対圧検知手段は、前記圧力差に応じた第3信号を出力し、
    前記絶対圧検知手段は、前記空間内の前記絶対圧力に応じた第4信号を出力し、
    前記第3信号に対して第1カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行い第5信号を生成する第1ローパスフィルタと、
    前記第4信号に対して第1カットオフ周波数より低い第2カットオフ周波数によるローパスフィルタリング処理を行い第6信号を生成する第2ローパスフィルタと、をさらに備え、
    前記衝突判定手段は、前記第5信号と前記第6信号とに基づいて前記衝突の判定を行う請求項2又は3に記載の車両用衝突検知システム。
  6. 前記相対圧検知手段及び前記絶対圧検知手段は、一体に成形される請求項2〜5の何れか一項に記載の車両用衝突検知システム。
  7. 前記相対圧検知手段は、少なくとも前記空間外の圧力を入力する検出口を備え、
    前記絶対圧検知手段は、前記検出口から前記空間外の前記絶対圧力を入力する請求項6記載の車両用衝突検知システム。
  8. 前記相対圧検知手段は、前記空間内の圧力を入力する検出口を備え、
    前記絶対圧検知手段は、前記検出口から前記空間内の前記絶対圧力を入力する請求項6記載の車両用衝突検知システム。
  9. 前記絶対圧検知手段は、前記空間外に配置され前記空間外の前記絶対圧力を検知する請求項2〜4の何れか一項に記載の車両用衝突検知システム。
  10. 前記絶対圧検知手段は、検知された前記絶対圧力を前記衝突判定手段以外の制御手段に出力する請求項9記載の車両用衝突検知システム。
  11. 前記車体部材は、車両ドアである請求項1〜10の何れか一項に記載の車両用衝突検知システム。
  12. 前記相対圧検知手段は、前記車両ドアのドアインナーパネルに配置され、
    前記空間は、前記車両ドアのドア内空間であり、
    前記空間外は、前記ドアインナーパネルの車両内側の車室内である請求項11記載の車両用衝突検知システム。
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