JP2006305629A - 回転体用鍛造材の製造方法 - Google Patents

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廉樹 上高原
Toshihiro Katsura
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Abstract

【課題】機械的特性が高く、かつ、バラツキが少ない回転体用鍛造材の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金から押出ビレットを作製する押出工程と、押出ビレットを型打鍛造温度200〜400℃で型打鍛造して回転体用鍛造材を作製する鍛造工程とを含む回転体用鍛造材の製造方法であって、回転体用鍛造材に所定の切削加工を施して作製される回転体が、回転体用鍛造材の鍛造時の相当歪量の解析によって、切削加工後の回転体の全領域において相当歪量が0.2以上となる領域に設定されるように、押出ビレットの押出ビレット寸法および型打鍛造に使用される金型の金型形状をあらかじめ決定し、押出工程において前記押出ビレット寸法の押出ビレットを作製すると共に、鍛造工程において前記金型形状で型打鍛造を行うことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、高速で回転する回転体、特に、ターボチャージャのインペラ等に使用される回転体用鍛造材の製造方法に関する。
従来、自動車や船舶のターボチャージャに用いられるインペラ(図5参照)等の回転体には、軽量化目的で高温強度の高いアルミ鍛造材が用いられることがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、ターボチャージャ用のインペラは、回転数が10000〜14000rpmで、温度が120〜180℃という苛酷な条件で使用される為、インペラ全体が、均一でバラツキの少ない、かつ、高い機械的特性(疲労強度等)を有した素材で構成されていることが要求される。特に、素材の結晶粒については、疲労強度に影響する因子であるため、均一で小さいことが好ましい。
従って、回転体用素材としてのアルミ鍛造材の製造において、種々の方法が検討されている。例えば、機械的特性が低下し、回転体の破損につながるデッドメタル部分を極力少なくするために、回転体の回転軸近傍部にメタルフロー組織が生じやすい逃がし部を設けた金型で鍛造する方法、また、型打鍛造前に3軸方向から角形に順次鍛伸するいわゆる3面鍛造が提案されている(特許文献2)。
特開昭58−77737号公報(第2頁左上欄第5〜7行、図1) 特開20000−197943号公報(段落番号0008、0012、図1〜図3)
しかしながら、回転体用鍛造材としては、鍛造材の方向に関わらず機械的特性の高い、かつ、バラツキの少ない材料が望まれるが、前記のように逃がし部を設けてメタルフローを生じさせても、充分な機械的特性が得られなかった。また、逃がし部は余肉部として削除しなければならないため、材料の歩留まりが低下した。一方、型打鍛造前に3面鍛造を施す方法においては、機械的特性の向上、均一化は図れるものの、工程が増え、生産性が低下した。
本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、機械的特性が高く、かつ、バラツキが少ない回転体用鍛造材の製造方法を提供することを目的とする。
前記したように、従来、回転体用鍛造材のメタルフローに着目して、機械的特性の向上が図られてきたが、本発明においては、回転体用鍛造材の鍛造時の相当歪量に着目して、機械的特性の向上を図ったものである。
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、アルミニウム合金から押出ビレットを作製する押出工程と、前記押出ビレットを型打鍛造温度200〜400℃で型打鍛造して回転体用鍛造材を作製する鍛造工程とを含み、前記回転体用鍛造材に所定の切削加工を施して作製される回転体が、前記回転体用鍛造材の鍛造時の相当歪量の解析によって、切削加工後の回転体の全領域において相当歪量が0.2以上となる領域に設定されるように、前記押出ビレットの押出ビレット寸法および前記型打鍛造に使用される金型の金型形状をあらかじめ決定し、前記押出工程において前記押出ビレット寸法の押出ビレットを作製すると共に、前記鍛造工程において前記金型形状で型打鍛造を行う回転体用鍛造材の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、回転体用鍛造材の結晶粒が均一となり、かつ、70μm以下に微細化する。その結果、機械的特性が向上し、特にバラツキが少なくなる。
請求項2に記載の発明は、前記型打鍛造温度が200〜350℃である回転体用鍛造材の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、回転体用鍛造材の結晶粒がより一層、均一、かつ、微細化する。その結果、機械的特性がより一層向上する。
請求項3に記載の発明は、前記鍛造工程の前に、前記押出ビレットを自由鍛造し、その自由鍛造温度を200〜400℃、かつ、すえ込み比1.5以上で行う回転体用鍛造材の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、回転体用鍛造材の半径方向のメタルフローにバラツキが生じず、結晶粒がより一層、均一、かつ、微細化する。その結果、機械的特性がより一層向上する。また、回転体鍛造材の上部および下部に形成される鍛造時の相当歪量0.2未満の領域(結晶粒が不均一、かつ、粗大な領域)が、半径方向に広がるように分布する。
請求項4に記載の発明は、前記自由鍛造温度が200〜350℃である回転体用鍛造材の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、回転体用鍛造材の結晶粒がより一層、均一、かつ、微細化する。その結果、機械的特性がより一層向上する。
請求項5に記載の発明は、前記鍛造工程の前に、前記ビレットを荒型鍛造し、その荒型鍛造温度を200〜400℃で行う回転体用鍛造材の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、回転体用鍛造材の結晶粒がより一層、均一、かつ、微細化する。その結果、機械的特性がより一層向上する。
請求項6に記載の発明は、前記鍛造工程の後に、JIS規定のT6処理を施す回転体用鍛造材の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、鍛造後のT6処理の析出・時効によって、機械的性質がより一層向上する。
請求項7に記載の発明は、前記鍛造工程の後に、JIS規定のT61処理を施す回転体用鍛造材の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、鍛造後に施す溶体化処理後に沸騰水による焼き入れを行うT61処理の析出・時効によって、材料の残留応力が少なくなると共に、機械的性質がより一層向上する。
請求項8に記載の発明は、前記相当歪量が0.3以上である回転体用鍛造材の製造方法として構成したものである。このように構成すれば、回転体用鍛造材の結晶粒がより一層、均一、かつ、微細化する。その結果、機械的特性がより一層向上する。
本発明に係る請求項1ないし請求項8の製造方法によれば、機械的特性が高く、かつ、バラツキの少ない回転体用鍛造材を、生産性を阻害することなく、製造することができる。また、鍛造工程前に自由鍛造を行うことによって、前記の効果に加えて、回転体への切削加工代が少なくて済み、歩留まりを向上させることができる
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は回転体用鍛造材の正面図、図5(a)は回転体の平面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
本発明において、回転体用鍛造材とは、図5に示すような、自動車用または船舶用エンジンのターボチャージャに使用される、例えば、複数の2種のブレード11、12を備えたインペラ等の、高温、高回転の環境下で使用される回転体10を、所定の切削加工によって作製するための部材である。したがって、図1に示すように、回転体用鍛造材1は、回転体10に近似した形状に作製され、所定の切削加工が施される加工部1aと、切削加工により回転体10となる回転体部10aとを備えたものである。また、回転体用鍛造材1に所定の切削加工を施す前に、機械的特性のより一層の向上を目的とした熱処理、例えば、JIS規定のT6、T61処理(溶体化処理後焼き入れし、人工時効硬化処理)を回転体用鍛造材1に行ってもよい。鍛造後のT6処理、T61処理の析出・時効によって機械的性質が向上する。T61処理の際、材料の残留応力が少なくなると共に機械的性質が向上するため沸騰水で焼き入れを行うことが好ましい。
そして、本発明の回転体用鍛造材の製造方法は、押出工程、鍛造工程の2つの工程を含むものである。以下、各工程について説明する。
1.押出工程
アルミニウム合金から押出ビレットを作製する工程である。
(アルミニウム合金)
回転体用鍛造材1の原材料である押出ビレットを構成するアルミニウム合金は、回転体10が高温度、高速度の環境の下で使用されるため、高温強度の高いJIS6000系、7000系または2000系アルミニウム合金が好ましい。特に、回転体10が自動車や船舶のターボチャージャに用いられるインペラ等の場合には、JIS2000系アルミニウム合金がより好ましく、JIS2618アルミニウム合金が最も好ましい。また、JIS2014、JIS2219アルミニウム合金、または、JIS2000系アルミニウム合金に少量のAg等を添加した合金であってもよい。
(押出ビレット)
汎用の押出機で、前記アルミニウム合金から作製された鋳造ビレットを押出比5〜40で押出を行った後、所定寸法の円筒状の押出ビレットに切断する。ここで、押出ビレットの寸法は、回転体用鍛造材1の鍛造時の相当歪量に影響し、回転体用鍛造材1および回転体10の機械的特性を左右する因子であるため、後記するように、回転体用鍛造材1の鍛造時の相当歪量の解析によって、回転体10が、切削加工後の回転体10の全領域において相当歪量が0.2以上となる領域(回転体部10a)に設定されるように、あらかじめ所定寸法に決定しておく。また、押出ビレットの形状は、円筒状に限定されず、所定の回転体用鍛造材1(回転体10)が鍛造できれば、角型形状等の他の形状であってもよい。なお、押出前に鋳造時の添加元素の偏析等をなくすために、押出前に鋳造ビレットに500〜540℃×4hr以上保持の均熱処理を施すのが好ましい。
2.鍛造工程(型打鍛造)
前記押出工程で作製された押出ビレットを汎用の鍛造機で型打鍛造して回転体用鍛造材1を作製する工程である。ここで、型打鍛造は、所定形状の金型を使用し、所定の型打鍛造温度で行われる。
(金型)
金型の形状は、回転体用鍛造材1の鍛造時の相当歪量に影響し、回転体用鍛造材1および回転体10の機械的特性を左右する因子であるため、以下に示す回転体用鍛造材1の鍛造時の相当歪量の解析によって、回転体10が、切削加工後の回転体10の全領域において相当歪量が0.2以上となる領域(回転体部10a)に設定されるように、あらかじめ所定形状に決定しておく。
(鍛造時の相当歪量の解析)
鍛造時の相当歪量の解析は、ここでは、FEM(有限要素法)を用いた塑性流動解析により、回転体用鍛造材1を解析し、等歪領域を算出することにより行われる。しかしながら、相当歪量が解析できれば、塑性流動解析に限定されない。
ここで、相当歪量とは、Von Miesesの降伏応力に対応する相当歪量で、下式(1)で計算される歪量をいう。なお、下式(1)において、相当歪量を(ε)、長さ方向の真歪量を(ε1)、幅方向の真歪量を(ε2)、厚さ方向の真歪量を(ε3)で示す。
Figure 2006305629
図2〜図4にFEMを用いた塑性流動解析による鍛造時の相当歪量の分布を示す回転体用鍛造材1の軸方向部分断面図を示す。FEMを用いた塑性流動解析では、押出ビレットの型打鍛造の加工により生じる等歪領域が算出され、等高線の状態で表示される。図2〜図4において、実線で囲まれた部分が回転体用鍛造材1、二点鎖線で囲まれた部分が、回転体10(図5参照)が設定される領域、すなわち、所定の切削加工によって回転体10となる回転体部10aである。そして、斜線部が鍛造時の相当歪量0.2未満、それ以外の部分が鍛造時の相当歪量0.2以上であることを示している。
図2〜図4に示すように、回転体用鍛造材1の中央部(回転軸)の上部および下部近傍では鍛造時の変形が生じにくいため、鍛造時の相当歪量0.2未満の等歪領域Aが発生する。相当歪量0.2未満の等歪領域Aでは、後記する型打鍛造温度を調整しても、素材の結晶粒が不均一、かつ、粗大化し、機械的特性が低下する。したがって、図3および図4に示すように、鍛造時の相当歪量が0.2未満の等歪領域Aが、回転体部10aにかかると、作製された回転体10の機械的特性が低く、特に、バラツキが大きいものとなり、高温、高回転の環境下で使用された際に、回転体10の破損等につながる。
本発明においては、図2に示すように、鍛造時の相当歪量が0.2未満の等歪領域Aが、回転体部10aにかからないようにする必要がある。その結果、切削加工後の回転体10の全領域において鍛造時の相当歪量が0.2以上となり、回転体10の素材の結晶粒が均一、かつ、微細となり、機械的特性が高く、バラツキが少なくなる。特に、疲労強度が高くなる。
そして、回転体用鍛造材1の鍛造時の相当歪量は、鍛造前の材料寸法および鍛造前後の金型の形状に影響されるため、前記の塑性流動解析等の結果から、金型の形状および押出ビレットの寸法を見なおし、加工率を大きくしたりして、切削加工後の回転体10の全領域において鍛造時の相当歪量が0.2以上となるように調整する。好ましくは、鍛造時の相当歪量が0.3以上となるように調整する。
(型打鍛造温度)
型打鍛造温度は、回転体10の素材の結晶粒の大きさ、均一性に影響し、回転体用鍛造材1および回転体10の機械的特性を左右する因子であるため、200〜400℃、好ましくは200〜350℃で行うものである。型打鍛造温度が200℃未満であると、鍛造加工時に材料に割れが生じやすい。一方、型打鍛造温度が400℃を超えると、前記のように、切削加工後の回転体10の全領域における鍛造時の相当歪量を0.2以上としても、回転体部10の素材の結晶粒が粗大化し、回転体10の機械的特性が低下する。また、型打鍛造温度が200〜350℃であれば、結晶粒がより一層微細、かつ、均一となり、好ましい機械的特性が得られる。なお、この型打鍛造の際、金型の温度は材料温度±20℃にしておくことが好ましい。
また、本発明に係る製造方法においては、前記の型打鍛造前に、すえ込み比1.5以上の自由鍛造を行ってもよい。この自由鍛造によって、図2に示された鍛造時の相当歪量0.2未満の等歪領域Aの分布が、回転体用鍛造材1の半径方向に広がるため、回転体部10aへの切削加工代が少なくて済み、歩留まりを向上させることができる。すえ込み比1.5未満では、等歪領域Aの半径方向への広がりが少なく、前記の切削加工代の減少が小さい。ここで、すえ込み比は、自由鍛造前後の押出ビレットの長さの比で、自由鍛造前の長さL0、自由鍛造後の長さL1としたとき、(L0/L1)で算出される。
自由鍛造は、前記型打鍛造で使用する金型で行うことが好ましいが、別の金型で行ってもよい。そして、自由鍛造は、自由鍛造温度200〜400℃、好ましくは200〜350℃で行う。自由鍛造温度が200℃未満であると、鍛造加工時に材料に割れが生じやすい。一方、自由鍛造温度が400℃を超えると、回転体用鍛造材1の結晶粒が粗大化し、機械的特性が低下しやすい。また、自由鍛造温度が200〜350℃であれば、結晶粒がより一層微細、かつ、均一となり、好ましい機械的特性が得られる。
さらに、本発明に係る製造方法においては、前記の型打鍛造前に、荒型鍛造を行ってもよい。荒型鍛造は、前記型打鍛造で使用する金型で行うことが好ましいが、別の金型で行ってもよい。そして、荒型鍛造は、荒型鍛造温度200〜400℃、好ましくは200〜350℃で行う。荒型鍛造温度が200℃未満であると、鍛造加工時に材料に割れが生じやすい。一方、荒型鍛造温度が400℃を超えると、回転体用鍛造材1の結晶粒が粗大化し、機械的特性が低下しやすい。また、荒型鍛造温度が200〜350℃であれば、結晶粒がより一層微細、かつ、均一となり、好ましい機械的特性が得られる。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1〜4)
JIS2618合金を押出し比24で押出しを行なった後に切断を行ない、直径φ50mmの押出ビレットを作製した。この押出ビレットを、図2の鍛造時の相当歪量分布を示す金型形状で、型打鍛造温度を4段階に変化させて、型打鍛造を行ない、図1に示す形状のターボチャージャに使用されるインペラ用鍛造材1を作製した。引き続き、このインペラ用鍛造材1にT61処理(530℃×3hr溶体化処理後、沸騰水焼き入れ)を行った。なお、インペラ用鍛造材1の寸法は外径φ90mm×高さh65mmとした。また、実施例2については、型打鍛造前に、すえ込み比1.5、自由鍛造温度330℃の自由鍛造を行った。
(比較例1〜4)
比較例1、2は、型打鍛造温度を請求の範囲外とした以外は、実施例1と同様にしてインペラ用鍛造材を作製した。比較例3は、図3の鍛造時の相当歪量分布を示す金型形状で型打鍛造を行った以外は、実施例1と同様にしてインペラ用鍛造材1Aを作製した。比較例4は、図4の鍛造時の相当歪量分布を示す金型形状で型打鍛造を行った以外は、実施例1と同様にしてインペラ用鍛造材1Bを作製した。
このようにして得られたインペラ用鍛造材(実施例1〜4、比較例1〜4)で、所定の切削加工によってインペラとなる領域(回転体部10a、図1の二点鎖線で示す領域内)から試験片S1を切り出し(図1参照)、機械的特性(静的強度)、結晶粒径を測定した。試験片の切り出し部位は、インペラの使用の際に最も大きな負荷がかかる回転軸Yの近傍で、断面と垂直方向とした。
<機械的特性(静的強度)>
ASTM F8に規定された試験片に加工後、引張試験を実施し、抗張力(TS)、0.2%耐力(ES),伸び(EL)を測定した。その結果を表1に示す。
<結晶粒径>
ASTM E112で規定された方法で、結晶粒径(GS)を測定した。その結果を表1に示す。なお、結晶粒径は70μm以下が良好、70μmを超えるものを不良とした。
また、以下の方法で結晶粒の均一性を評価した。
<結晶粒観察方法>
回転体部10aの回転軸Yの近傍部4箇所(P1、P2、P3、P4)について観察用試験片を切り出し、結晶粒の分布状態(均一性)を光学顕微鏡(倍率400倍)で観察し、均一性が非常に良好なものを(◎)、良好なものを(○)、均一性が劣るものを(×)として評価した。その結果を表1に示す。結晶粒の分布が均一であれば、疲労強度についても均一であるといえる。
Figure 2006305629
表1の結果から、実施例1〜4は、請求の範囲を満足するため、静的強度が高く維持されていると共に、結晶粒が細かく、かつ、均一であった。また、比較例1は、型打鍛造温度が請求の範囲の上限値を超えるため、結晶粒が大きく、均一性にも劣り、伸びが低いものであった。比較例2は、型打鍛造温度が請求の範囲の下限値未満であるため、型打鍛造加工の際に割れが生じた。
比較例3は、図3に示すように、鍛造材の根元部に逃がし部1bを設けてメタルフローの改善を図ったものであるが、鍛造時の相当歪量0.2未満の等歪領域Aが切削加工後の回転体部10a内にあるため、結晶粒はある程度小さくなるものの、均一性に劣るものであった。比較例4は、図4に示すように、鍛造時の相当歪量0.2未満の等歪領域Aが回転体部10a内にあるため、結晶粒が小さいものの、均一性に劣るものであった。
次に、インペラ用鍛造材(実施例1〜4、比較例1〜4)で、前記試験片S1(図1参照)と同一領域から、JISZ2274に準じて1号試験片を切り出した。この1号試験片を用いて、JISZ2274に準じて小野式回転曲げ疲労試験機で疲労試験を行い、高温疲労寿命(1号試験片が破断に至るまでの繰り返し曲げ回数)の測定を行った。その結果を表2に示す。なお、測定条件は以下とした。
<疲労試験の測定条件>
試験回転数 : 3000rpm
1号試験片の平行部 : φ8mm
1号試験片の表面粗さ : 0.8S
試験温度 : 120℃
試験負荷応力 : 210MPa
Figure 2006305629
表2の結果から、実施例1〜4は、比較例1〜4よりも10〜40%高温疲労寿命が増加することが確認された。
回転体用鍛造材の正面図である。 FEMを用いた塑性流動解析による鍛造時の相当歪量の分布を示す、本発明の回転体用鍛造材の軸方向部分断面図である。 FEMを用いた塑性流動解析による鍛造時の相当歪量の分布を示す、従来の回転体用鍛造材の軸方向部分断面図である。 FEMを用いた塑性流動解析による鍛造時の相当歪量の分布を示す、従来の回転体用鍛造材の軸方向部分断面図である。 (a)は回転体の平面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
符号の説明
1 回転体用鍛造材(インペラ用鍛造材)
1a 加工部
1b 逃がし部
10 回転体
11、12 ブレード
10a 回転体部(領域)
A 鍛造時の相当歪量0.2未満の等歪領域

Claims (8)

  1. アルミニウム合金から押出ビレットを作製する押出工程と、
    前記押出ビレットを型打鍛造温度200〜400℃で型打鍛造して回転体用鍛造材を作製する鍛造工程とを含み、
    前記回転体用鍛造材に所定の切削加工を施して作製される回転体が、前記回転体用鍛造材の鍛造時の相当歪量の解析によって、切削加工後の回転体の全領域において相当歪量が0.2以上となる領域に設定されるように、前記押出ビレットの押出ビレット寸法および前記型打鍛造に使用される金型の金型形状をあらかじめ決定し、前記押出工程において前記押出ビレット寸法の押出ビレットを作製すると共に、前記鍛造工程において前記金型形状で型打鍛造を行うことを特徴とする回転体用鍛造材の製造方法。
  2. 前記型打鍛造温度が200〜350℃であることを特徴とする請求項1に記載の回転体用鍛造材の製造方法。
  3. 前記鍛造工程の前に、前記押出ビレットを自由鍛造し、その自由鍛造温度を200〜400℃、かつ、すえ込み比1.5以上で行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転体用鍛造材の製造方法。
  4. 前記自由鍛造温度が200〜350℃であることを特徴とする請求項3に記載の回転体用鍛造材の製造方法。
  5. 前記鍛造工程の前に、前記押出ビレットを荒型鍛造し、その荒型鍛造温度を200〜400℃で行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転体用鍛造材の製造方法。
  6. 前記鍛造工程の後に、JIS規定のT6処理を施すことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の回転体用鍛造材の製造方法。
  7. 前記鍛造工程の後に、JIS規定のT61処理を施すことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の回転体用鍛造材の製造方法。
  8. 前記相当歪量が0.3以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の回転体用鍛造材の製造方法。
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