JP6748951B2 - Ni基超耐熱合金の製造方法およびNi基超耐熱合金 - Google Patents

Ni基超耐熱合金の製造方法およびNi基超耐熱合金 Download PDF

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Description

本発明は、Ni基超耐熱合金を製造する方法およびNi基超耐熱合金に関するものであり、詳細には700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有するNi基超耐熱合金を製造する方法およびNi基超耐熱合金に係るものである。
航空機エンジンや発電用のガスタービンに用いられる耐熱部品として、例えば、インコネル(登録商標)718合金のようなNi基超耐熱合金が多く用いられている。ガスタービンの高性能化と低燃費化に伴って、高い耐熱温度を有する耐熱部品が求められている。Ni基超耐熱合金の耐熱性(高温強度)を向上させるためには、NiAlを主組成とする金属間化合物の析出強化相であるガンマプライム(以下、「γ’」とも記す。)相の量を増やすことが最も有効である。そして、Ni基超耐熱合金が、更に、γ’生成元素であるAl、Ti、Nbを含有することで、Ni基超耐熱合金の高温強度をさらに向上させることができる。今後、高耐熱性、高強度を満足させるために、γ’相の量がより多いNi基超耐熱合金が求められる。
しかし、Ni基超耐熱合金は、γ’相の増加と共に、熱間加工の変形抵抗が大きくなり、難加工であることが知られている。とりわけ、γ’相の量が35〜40モル%以上のγ’モル率になると加工性は特に低下する。例えば、インコネル(登録商標)713C合金、IN939、IN100、Mar−M247等の合金は、特別にγ’相が多く、塑性加工が不可能とされ、通常は鋳造合金として鋳造まま(as−cast)で使用されている。
このようなNi基超耐熱合金の熱間塑性加工性を向上させる提案として、特許文献1では、γ’モル率が40モル%以上となる組成を有するNi基超耐熱合金インゴットを加工率5%以上30%未満で冷間加工を行った後にγ’固溶温度を超える温度で熱処理する製造方法が記載されている。この方法は、冷間加工工程と熱処理工程との組合せにより、Ni基超耐熱合金に熱間加工を適用することが可能な90%以上の再結晶率を得るものである。
また、近年、上述したγ’相の量が多いNi基超耐熱合金の耐熱部品を補修したり、または、その耐熱部品自体を3次元成形で作製したりするニーズが高まっている。その場合の造形素材としてNi基超耐熱合金の細線が求められている。この細線は、ばね等の部品形状に加工して使用することもできる。Ni基超耐熱合金の細線の線径(直径)は、例えば、5mm以下、更には3mm以下という細いものである。このような細線は、例えば、線径が10mm以下の「線材」を中間製品として準備し、この線材に塑性加工を行って作製することが効率的である。この中間製品である「線材」も、塑性加工によって得ることができれば、Ni基超耐熱合金の細線を効率的に製造することができる。
このような超耐熱合金の細線の製造方法として、線径が5mm以上の鋳造ワイヤを出発材にして、これら鋳造ワイヤを束ねたものを熱間押出した後、分離する手法が提案されている(特許文献2)。
国際公開第2016/129485号 米国特許第4777710号明細書
特許文献1の方法は、熱間加工を適用するNi基超耐熱合金には効果がある。しかし、上記のとおりNi基超耐熱合金はγ’相の量の増加と共に、熱間塑性加工性が低下する。特許文献2の手法は、限られた成分組成においては細線の製造に効果的なものであるが、その成分組成にしか適用できず、γ’相の量が後述する「35モル%以上」のNi基超耐熱合金にもなると、これを熱間塑性加工して細線まで加工することは極めて困難である。また、特許文献2の手法は、工程が複雑で、製造コストが大きくなる等の問題があった。また、細線や線材を作製するにおいては、その途中工程で割れが発生すると加工率が制限されて、所定の線径にまで塑性加工できないという問題も考えられた。
本発明の目的は、従来とは全く異なる斬新な手法を用いて、塑性加工性に優れたNi基超耐熱合金の製造方法を提供することであり、とりわけNi基超耐熱合金の細線を製造できる新たな方法を提供することである。本発明の他の目的は、線径の小さいNi基超耐熱合金でも、欠陥の少ない細線を少ない工数によりコストを低減して製造できる方法を提供することである。そして、本発明のさらに他の目的は、欠陥の少ないNi基超耐熱合金を提供することである。
本発明の一観点によれば、Ni基超耐熱合金を製造する方法が提供される。この方法は、
(a)炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、かつ700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有する素材に対して、500℃以下の温度で、素材からの累積の加工率が40%以上となるように複数回の塑性加工を行ない第1の加工材を作製する工程と、
(b)第1の加工材に900℃以上の温度で熱処理を行い、第1の熱処理材を作製する工程と、
(c)第1の熱処理材に、500℃以下の温度で、さらに、第1の熱処理材からの累積の加工率が10%以上となるように1回または複数回の塑性加工を行ない、第2の加工材を作製する工程と
を含むものである。
一具体例によれば、(d)第2の加工材に900℃以上の温度で熱処理を行う工程をさらに含むことが好ましい。
一具体例によれば、工程(c)の後に、工程(b)および(c)の組を、一回または複数回行ない、第2の加工材を作製することが好ましい。
一具体例によれば、工程(a)および(c)の塑性加工における1回の塑性加工の加工率が30%以下であることが好ましい。
また、一具体例によれば、工程(b)が、熱処理後の材料の表面の除去工程を含むことが好ましい。
また、一具体例によれば、Ni基超耐熱合金が、質量%で、
C:0.01〜0.25%、
Cr:8.0〜25.0%、
Al:0.5〜8.0%、
Ti:0.4〜7.0%、
Co:0〜28.0%、
Mo:0〜8.0%、
W:0〜15.0%、
Nb:0〜4.0%、
Ta:0〜5.0%、
Fe:0〜10.0%、
V:0〜1.2%、
Hf:0〜3.0%、
B:0〜0.300%、
Zr:0〜0.300%
を含み、残部がNiおよび不純物からなる組成を有することが好ましい。
また、本発明の一観点によれば、Ni基超耐熱合金を製造する方法が提供される。この方法は、
(A)炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、かつ700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有する素材に、500℃以下の温度で、塑性加工を行ない第1の加工材を作製する工程と、
(B)第1の加工材に900℃以上の温度で熱処理を行い、第1の熱処理材を作製する工程と、
(C)第1の熱処理材に、500℃以下の温度で、さらに、塑性加工を行ない、第2の加工材を作製する工程と
を含み、
工程(A)と工程(B)との組を一回または複数回行い、
最後に行う工程(B)の熱処理に供される第1の加工材の長手方向に垂直な方向の寸法dは最終製品寸法dの1.5倍以上のものであるか、あるいは、寸法dと最終製品寸法dとの差d−dは1mm超のものである。
また、本発明の別の一観点によれば、Ni基超耐熱合金が提供される。このNi基超耐熱合金は、炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、かつ700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有し、断面組織における欠陥率が0.5面積%以下のものである。
以下の非限定的な具体例の説明および添付の図面を参照することにより、本発明の利点、特徴及び詳細が明らかになるであろう。
減面率31%の塑性加工を行なったNi基超耐熱合金の断面ミクロ組織の電子線後方散乱回折(EBSD)像。 本発明における中間熱処理の効果を説明する図。 棒材(熱間押出材)の断面ミクロ組織(カーリング液エッチング)。 実施例1における累積加工率が56%の線材の中間熱処理前の断面ミクロ組織(カーリング液エッチング)。 実施例1における累積加工率が56%の線材の中間熱処理後の断面ミクロ組織(カーリング液エッチング)。 実施例1における線径1.0mmの線材の外周部の断面ミクロ組織(カーリング液エッチング)。 実施例1における線径1.0mmの線材の中央部の断面ミクロ組織(カーリング液エッチング)。 実施例3における線径2.5mmの線材の外周部の断面ミクロ組織(カーリング液エッチング)。 実施例3における線径2.5mmの線材の中央部の断面ミクロ組織(カーリング液エッチング)。 実施例4における熱間押出材(素材)の断面組織の一例を示すEBSD像。 図7のEBSD像で認識される結晶粒の粒径分布を示す図。 実施例4における熱間押出材(素材)の断面組織の一例を示すミクロ組織写真。 実施例4における第1の塑性加工後の材料(直径4.5mm)のミクロ組織写真。 実施例4における第1の熱処理後の材料(直径4.5mm)のミクロ組織写真。 実施例4における第2の塑性加工で4パス目終了後の材料(直径4.0mm)のミクロ組織写真。
本発明は、従来の熱間塑性加工とは異なる新しいアプローチによって、塑性加工性に優れたNi基超耐熱合金を製造できる新たな方法を提供するものである。
本発明者は、γ’相の量が多いNi基超耐熱合金の塑性加工性について研究した。その結果、Ni基超耐熱合金の素材に40%以上の加工率で冷間塑性加工を行なうことが可能である現象を突きとめた。
その際、30%以上の加工率での冷間塑性加工により、Ni基超耐熱合金の組織中にナノ結晶粒が生成されることを見いだした。このナノ結晶粒の生成がNi基超耐熱合金の塑性加工性の飛躍的向上に寄与しているものと推察される。
したがって、本発明による700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有するNi基超耐熱合金を製造する方法は、
(a)炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、かつ700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有する素材に対して、500℃以下の温度で、素材からの累積の加工率が40%以上となるように複数回の塑性加工を行ない第1の加工材を作製する工程と、
(b)前記第1の加工材に900℃以上の温度で熱処理を行い、第1の熱処理材を作製する工程と、
(c)前記第1の熱処理材に、500℃以下の温度で、さらに、前記第1の熱処理材からの累積の加工率が10%以上となるように1回または複数回の塑性加工を行ない、第2の加工材を作製する工程と
を含むものである。
本発明が対象とするNi基超耐熱合金は、炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、700℃におけるガンマプライム(γ’)相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有する。
ここで、Ni基超耐熱合金のγ’相の量は、そのγ’相の「体積率」や「面積率」等の数値的指標で表すことができる。本明細書では、γ’相の量を、「γ’モル率」の数値的指標で表す。γ’モル率とは、Ni基超耐熱合金が熱力学的な平衡状態において析出することができる、安定的なガンマプライム相の平衡析出量のことである。ガンマプライム相の平衡析出量を「モル率」で表した値は、Ni基超耐熱合金が有する成分組成により決定される。この平衡析出量のモル%の値は、熱力学平衡計算による解析で求めることができる。熱力学平衡計算による解析では、各種の熱力学平衡計算ソフトを用いることで、精度よく、かつ、容易に求めることができる。
本発明では、Ni基超耐熱合金のγ’モル率を、「700℃における平衡析出量」とする。Ni基超耐熱合金の高温強度は、組織中のガンマプライム相の平衡析出量で評価でき、この高温強度が大きいほど、熱間塑性加工は困難になる。組織中のガンマプライム相の平衡析出量は、一般的に、概ね700℃以下で温度依存性が小さくなり、概ね一定となるので、上記の「700℃」のときの値を基準とする。
上記の通り、通常はNi基超耐熱合金のγ’モル率が大きいほど熱間塑性加工は困難である。しかし、本発明によれば、γ’モル率を大きくすることが、Ni基超耐熱合金の冷間の塑性加工性の向上に大きく関与する。Ni基超耐熱合金の断面組織中に「ナノ結晶粒」を有することで、冷間塑性加工性を飛躍的に改善できる。このナノ結晶粒は、Ni基超耐熱合金のマトリックスであるオーステナイト相(ガンマ(γ))とガンマプライム相との相界面から最も発生しやすい。したがって、Ni基超耐熱合金のγ’モル率を大きくすることは、上記の相界面の増加に繋がって、ナノ結晶粒の生成に寄与する。図1は、本発明の製造方法において線材の冷間塑性加工により生成された断面ミクロ組織のEBSD像の例を示したものである。EBSDの測定条件は、走査型電子顕微鏡「ULTRA55(Zeiss社製)」に付属したEBSD測定システム「OIM Version 5.3.1(TSL Solution社製)」を使用して、倍率:10000倍、スキャンステップ:0.01μmとし、結晶粒の定義は方位差15°以上を粒界とした。図1でEBSD像に確認されたナノ結晶粒(囲み部)の最大径(最大長さ)は、小さいもので約25nmである。
γ’モル率が35%のレベルにまで達すると、上記のナノ結晶粒の生成が促進される。700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が40モル%以上の成分組成がより好ましい。更に好ましいガンマプライム相の平衡析出量は、50モル%以上であり、更により好ましくは60モル%以上である。特に好ましいガンマプライム相の平衡析出量は63モル%以上であり、いっそう好ましくは66モル%以上、よりいっそう好ましくは68モル%以上である。700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量の上限は、特に限定しないが、75モル%程度が現実的である。
700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の析出強化型のNi基超耐熱合金として、例えば、質量%で、C:0.01〜0.25%、Cr:8.0〜25.0%、Al:0.5〜8.0%、Ti:0.4〜7.0%、Co:0〜28.0%、Mo:0〜8.0%、W:0〜15.0%、Nb:0〜4.0%、Ta:0〜5.0%、Fe:0〜10.0%、V:0〜1.2%、Hf:0〜3.0%、B:0〜0.300%、Zr:0〜0.300%を含み、残部がNiおよび不純物からなる組成を有することが好ましい。
以下、本発明のNi基超耐熱合金の好ましい組成の各成分について説明する(成分組成の単位は「質量%」である)。
炭素(C)
Cは、従来、Ni基超耐熱合金の鋳造性を高める元素として含有するものである。そして、特に、γ’相の量の多いNi基超耐熱合金は、塑性加工が困難であるため、通常、鋳造部品として使用され、一定量のCが添加されている。この添加されたCは、鋳造組織中に炭化物として残り、一部は粗大な共晶炭化物として形成される。そして、このような粗大な炭化物は、Ni基超耐熱合金を塑性加工したときに、特に、室温で塑性加工したときに、亀裂の起点および亀裂の進展経路となり、Ni基超耐熱合金の塑性加工性に悪影響を及ぼす。
したがって、γ’相の量の多いNi基超耐熱合金を、鋳造部品としてではなく、塑性加工によりNi基超耐熱合金を製造することを目的とした本発明にとって、そのNi基超耐熱合金中のCを低減することは好ましい。本発明の場合、Cの含有量は0.25%以下とする。好ましくは0.20%以下である。より好ましくは0.15%以下である。
しかし、Cは、耐熱部品の強度を高める元素でもあり、そのような耐熱部品を作製したり、補修したりすることを考えれば、Cを含有していることが好ましい。本発明のNi基超耐熱合金の製造方法によれば、上述のナノ結晶粒の効果によって、高C含有量の合金でも塑性加工が可能になる。その場合でも、高C含有量の合金の場合、塑性加工により細線や線材を製造するとなると、上記の炭化物が亀裂の起点および亀裂の進展経路となり得る問題によって、加工率が制限される。これに対して、後述する第1や第2の中間熱処理によって、上記の炭化物の亀裂の問題にも対応できるので、例えば、鋳造部品における含有量と同程度のC含有量を許容することができる。
よって、本発明によるNi基超耐熱合金を製造方法では、Cは0.01%以上含有するものとする。好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.07%以上とする。よりさらに、Cは0.1%以上含有していてもよい。
クロム(Cr)
Crは、耐酸化性、耐食性を向上させる元素である。しかし、Crを過剰に含有すると、σ(シグマ)相などの脆化相を形成し、強度や素材準備の際の熱間加工性を低下させる。したがって、Crは、例えば、8.0〜25.0%とすることが好ましい。より好ましくは8.0〜22.0%である。好ましい下限は9.0%であり、より好ましい下限は9.5%である。さらに好ましい下限は10.0%である。また、好ましい上限は18.0%であり、より好ましい上限は16.0%である。さらに好まし上限は14.0%である。特に好ましい上限は12.5%である。
モリブデン(Mo)
Moは、マトリックスの固溶強化に寄与し、高温強度を向上させる効果がある。しかし、Moが過剰になると金属間化合物相が形成されて高温強度を損なう。よって、Moは、0〜8.0%とすることが好ましい(無添加(不可避不純物レベル)でもよい)。より好ましくは、2.0〜7.0%である。さらに好ましい下限は2.5%であり、より好ましい下限は3.0%である。さらに好ましい下限は3.5%である。また、さらに好ましい上限は6.0%であり、より好ましい上限は5.0%である。
アルミニウム(Al)
Alは、強化相であるγ’(NiAl)相を形成し、高温強度を向上させる元素である。しかし、過度の添加は素材準備の際の熱間加工性を低下させ、加工中の割れなどの材料欠陥の原因となる。よって、Alは、0.5〜8.0%が好ましい。より好ましくは2.0〜8.0%である。さらに好ましい下限は2.5%であり、より好ましい下限は3.0%である。さらに好ましい下限は4.0%であり、よりさらに好ましい下限は4.5%である。特に好ましい下限は5.1%である。また、さらに好ましい上限は7.5%であり、より好ましい上限は7.0%である。さらに好ましい上限は6.5%である。
なお、上述したCrとの関係で、素材準備の際の熱間加工性を確保するために、Crの含有量を低減したときには、その低減分のAlの含有量を許容することができる。そして、例えば、Crの上限を13.5%にしたときに、Alの含有量の下限を3.5%とすることが好ましい。
チタン(Ti)
Tiは、Alと同様、γ’相を形成し、γ’相を固溶強化して高温強度を高める元素である。しかし、過度の添加は、γ’相が高温で不安定となって高温での粗大化を招くとともに、有害なη(イータ)相を形成し、素材準備の際の熱間加工性を損なう。よって、Tiは、例えば、0.4〜7.0%が好ましい。他のγ’生成元素やNiマトリックスとのバランスを考慮すると、Tiの好ましい下限は0.6%であり、より好ましい下限は0.7%である。さらに好ましい下限は0.8%である。また、好ましい上限は6.5%であり、より好ましい上限は6.0%である。さらに好ましい上限は4.0%であり、特に好ましい上限は2.0%である。
以下、本発明のNi基超耐熱合金に添加可能な任意成分について説明する。
コバルト(Co)
Coは、組織の安定性を改善し、強化元素であるTiを多く含有しても素材準備の際の熱間加工性を維持することを可能とする。一方で、Coは高価なものであるため、コストが上昇する。よって、Coは、他元素との組み合わせにより、例えば、28.0%以下の範囲で含有することができる任意元素の一つである。Coを添加する場合の好ましい下限は8.0%とすると良い。より好ましい下限は10.0%である。また、Coの好ましい上限は18.0%とする。より好ましい上限は16.0%である。なお、γ’生成元素やNiマトリックスとのバランスにより、Coを無添加レベル(原料の不可避不純物レベル)としても良い場合は、Coの下限を0%とする。
タングステン(W)
Wは、Moと同様、マトリックスの固溶強化に寄与する選択元素の一つである。しかし、Wが過剰となると有害な金属間化合物相が形成されて高温強度を損なうため、例えば、上限を15.0%とする。好ましい上限は13.0%であり、より好ましい上限は11.0%であり、さらに好ましい上限は9.0%である。上記のWの効果をより確実に発揮させるには、Wの下限を1.0%とすると良い。好ましくは、Wの下限を、3.0%、5.0%、7.0%にすることもできる。また、WとMoとを複合添加することにより、より固溶強化効果が発揮できる。複合添加の場合のWは0.8%以上の添加が好ましい。なお、Moの十分な添加により、Wを無添加レベル(原料の不可避不純物レベル)としても良い場合は、Wの下限を0%とする。
ニオブ(Nb)
Nbは、AlやTiと同様、γ’相を形成し、γ’相を固溶強化して高温強度を高める選択元素の一つである。しかし、Nbの過度の添加は有害なδ(デルタ)相を形成し、素材準備の際の熱間加工性を損なう。よって、Nbの上限は、例えば、4.0%とする。好ましい上限は3.5%であり、より好ましい上限は2.5%である。なお、上記のNbの効果をより確実に発揮させるには、Nbの下限を1.0%とすると良い。好ましい下限は2.0%とすると良い。他のγ’生成元素の添加により、Nbを無添加レベル(不可避不純物レベル)としてもよい場合は、Nbの下限を0%とする。
タンタル(Ta)
Taは、AlやTiと同様、γ’相を形成し、γ’相を固溶強化して高温強度を高める選択元素の一つである。ただし、Taの過度の添加は、γ’相が高温で不安定となって高温での粗大化を招くとともに、有害なη(イータ)相を形成し、素材準備の際の熱間加工性を損なう。よって、Taは、例えば、5.0%以下とする。好ましくは4.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは2.5%以下である。なお、上記のTaの効果をより確実に発揮させるには、Taの下限を0.3%とすると良い。好ましくは、Taの下限を、0.8%、1.5%、2.0%にすることもできる。TiやNbなどのγ’生成元素添加やマトリックスとのバランスにより、Taを無添加レベル(不可避不純物レベル)としても良い場合は、Taの下限を0%とする。
鉄(Fe)
Feは、高価なNi、Coの代替として用いる選択元素の一つであり、合金コストの低減に有効である。この効果を得るには、他元素との組み合わせで添加するかどうかを決定すると良い。ただし、Feを過剰に含有するとσ(シグマ)相などの脆化相を形成し、強度や素材準備の際の熱間加工性を低下させる。よって、Feの上限は、例えば、10.0%とする。好ましい上限は9.0%であり、より好ましい上限は8.0%である。一方、γ’生成元素やNiマトリックスとのバランスにより、Feを無添加レベル(不可避不純物レベル)としてもよい場合は、Feの下限を0%とする。
バナジウム(V)
Vは、マトリックスの固溶強化、炭化物生成による粒界強化に有用な選択元素の一つである。ただし、Vの過度の添加は製造過程の高温不安定相の生成を招き、製造性および高温力学性能に悪影響を招く。よって、Vの上限は、例えば、1.2%とする。好ましい上限は1.0%であり、より好ましい上限は0.8%である。なお、上記のVの効果をより確実に発揮させるには、Vの下限を0.5%とすると良い。合金中の他合金元素とのバランスにより、Vを無添加レベル(不可避不純物レベル)としても良い場合は、Vの下限を0%とする。
ハフニウム(Hf)
Hfは、合金の耐酸化性向上、炭化物生成による粒界強化に有用な選択元素の一つである。ただし、Hfの過度の添加は、製造過程の酸化物生成、高温不安定相の生成を招き、製造性および高温力学性能に悪影響を招く。よって、Hfの上限は、例えば、3.0%、好ましくは2.0%、より好ましくは1.5%とする。なお、上記のHfの効果をより確実に発揮させるには、Hfの下限を0.1%とすると良い。好ましくは、Hfの下限を、0.5%、0.7%、1.0%にすることもできる。合金中の他合金元素とのバランスにより、Hfを無添加レベル(不可避不純物レベル)としても良い場合は、Hfの下限を0%とする。
ホウ素(B)
Bは、粒界強度を向上させ、クリープ強度、延性を改善する元素である。一方で、Bは融点を低下させる効果が大きいこと、また、粗大なホウ化物が形成されると素材準備の際の熱間加工性が阻害されることから、例えば、0.300%を超えないように制御すると良い。好ましい上限は0.200%であり、より好ましい上限は0.100%である。さらに好ましい上限は0.050%であり、特に好ましい上限は0.020%である。なお、上記の効果を得るには最低0.001%の含有が好ましい。より好ましい下限は0.003%であり、さらに好ましい下限は0.005%である。特に好ましい下限は0.010%である。合金中の他合金元素とのバランスにより、Bを無添加レベル(不可避不純物レベル)としても良い場合は、Bの下限を0%とする。
ジルコニウム(Zr)
Zrは、Bと同様、粒界強度を向上させる効果を有している。一方で、Zrが過剰となると、やはり融点の低下を招き、高温強度や素材準備の際の熱間加工性が阻害される。よって、Zrの上限は、例えば、0.300%とする。好ましい上限は0.250%であり、より好ましい上限は0.200%である。さらに好ましい上限は0.100%であり、特に好ましい上限は0.050%である。なお、上記の効果を得るには0.001%以上の含有が好ましい。より好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましい下限は0.010%である。合金中の他合金元素とのバランスにより、Zrを無添加レベル(不可避不純物レベル)としても良い場合は、Zrの下限を0%とする。
以上に説明した元素以外の残部はNiであるが、不可避不純物を含んでもよい。
次に、上記に説明した成分組成を有するNi基超耐熱合金を製造する本発明の製造方法について一具体例を説明する。
素材
本発明では、まず、上記に説明した成分組成を有する素材を準備する。この素材の作製方法は特に限定されない。例えば、この素材は、溶湯を鋳型に注湯して鋳塊を作製する溶製法によって得ることができる。そして、鋳塊の製造には、例えば、真空溶解と、真空アーク再溶解やエレクトロスラグ再溶解等の常法を、組み合わせる等して適用してもよい。あるいは、素材は、粉末冶金法によって得られたものであってもよい。そして、上記の鋳塊や、粉末冶金法で作製された合金塊に対して、必要に応じて、熱間鍛造、熱間圧延、熱間押出などの熱間加工や機械加工(例えば、寸法調整や各種手入れのための切断や研磨、研削など)を施して、所定の形状、例えば、棒材(bar material)の形状の素材に仕上げてもよい。また、これら作業の間で、均熱処理(ソーキング)等の熱処理を施すことができる。たとえば、鋳塊の元素偏析を解消するためにソーキング(例えば1100℃〜1280℃で5〜60時間保持)を行なってもよい。あるいは、例えば、熱間押出に供する材料(ビレット(billet))の形状に仕上げてからソーキングを行なってもよい。本発明では、素材の組織や結晶粒径は限定されない。そのため、素材にソーキングや熱処理を行った場合、その後の冷却は急冷、放冷、炉冷などいずれでもよい。
一例として、上記の材料に対して、熱間で押出成形を行ない、所定の形状の棒材(bar material)の素材に仕上げる場合について説明する。熱間押出の条件は、押出温度(材料の加熱温度)1050℃〜1200℃、押出比4〜20、押出速度(ステム速度)5〜80mm/sで行なうことが好ましく、成形された押出材(extruded material)の断面径は、例えば、10mm以上や、20mm超である。そして、例えば、200mm以下である。そして、棒材を製造する場合、上記の押出材の表面を機械加工等によって仕上げたり、上記の押出材から所定の寸法の棒材を採取したりして、作製することができる。この場合、棒材の断面径を、例えば、150mm以下、100mm以下、50mm以下、30mm以下、10mm以下といった寸法にすることもできる。また、棒材の断面径を、例えば、3mm以上、4mm以上、5mm以上といった寸法にすることもできる。棒材の断面径を小さくしておくことは、後述する冷間塑性加工で、断面径がさらに小さい線材や細線等を作製するときに、その塑性加工の回数(パス数)を少なくできる点で好ましい。
本発明では素材の結晶粒径は限定されない。しかし、熱間で押出成形を行なうことにより、素材の結晶粒径を、例えば200μm以下の再結晶組織にすることができる。好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下の再結晶組織である。また、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上、よりさらに好ましくは1.5μm以上の再結晶組織である。再結晶によって生成された結晶粒は粒内の歪みが少なく、かつ、この結晶粒を微細にすることで結晶粒界も増加するので、これに後述の冷間塑性加工を行なえば、そのときの加工歪みが組織の全体に均等に加わる。また、この結晶粒の微細化が、後述するナノ結晶粒の生成にも効果的である。よって、この工程を行なうことにより、次工程の塑性加工での変形がより均一になり、加工中の異常変形や曲がりの発生を避けることができ、歩留まりを飛躍的に向上させることができる。この効果をさらに向上させるために、熱間押出された素材は、加工による残留応力を除去するための熱処理を施してもよい。熱処理された材料は、放冷などで冷却される。
素材の結晶粒径は、素材の断面のEBSD像によって確認することができる(図7)。そして、EBSDの測定条件を、スキャンステップ:0.1μmとし、方位差15°以上の粒界で認識できる結晶粒について、その個々の結晶粒の最大径と個数との関係を示す結晶粒径分布(図8)から、結晶粒の最大径の平均直径を求めることができる。このとき、結晶粒径分布は、上記の測定条件によって結晶粒と認識されたもので確認すればよく、例えば、最大径が0.2μm以上の結晶粒で確認することができる。本発明において素材の結晶粒径は、上記の「結晶粒の最大径の平均直径」をさす。
なお、素材が炭化物を含むとき、上記のEBSD像では、この炭化物も「方位差15°以上の粒界」で定義した結晶粒として認識され得る(例えば、図7の矢印)。このようなとき、この炭化物も結晶粒として上記の結晶粒径分布に含めてもよい。
EBSD像を用いることで、γ’相の存在によって素材の断面組織の結晶粒界の確認が容易でないときでも(例えば、上記の光学顕微鏡による観察で結晶粒界の特定が容易でないときでも)、結晶粒界を一義的に特定することが容易なので、γ’相の量が多いNi基超耐熱合金の結晶粒の平均直径を求めるのに好適である。また、素材の断面組織の結晶粒径が小さいときでも(例えば、結晶粒の平均直径が30μm以下や、20μm以下、10μm以下といった小さい数値であるときでも)、結晶粒の平均直径を求めるのに好適である。
あるいは、素材の結晶粒径は、素材の断面組織から測定することもできる。まず、素材の断面をカーリング液で腐食して、その腐食後の断面組織を所定の倍率の光学顕微鏡で観察する。そして、JIS−G−0551(ASTM−E112)に準拠した「粒度番号G」で評価して、その粒度番号Gに相当した「結晶粒の平均直径d」に換算することができる。本発明において素材の結晶粒径は、上記の「結晶粒の平均直径d」をさす。素材の断面組織の結晶粒径が大きい場合、素材の結晶粒径は、この粒度番号Gによる方法で評価することもできる。
素材の硬さは、限定されないが、その組織中に後述するナノ結晶粒が生成されていない状態で、冷間塑性加工による初期の加工性を確保するために、低いことが好ましい。例えば、550HV以下や500HV未満にできる。より好ましくは470HV以下、さらに好ましくは450HV以下である。素材の硬さの下限は、特に限定しないが、250HV程度が現実的である。そして、例えば、300HV以上や350HV以上にできる。400HVを超える硬さにすることもできる。素材の硬さは、素材の断面で測定することができる。
第1の冷間塑性加工[工程(a)[A]]
次に、上記の素材に対して、冷間塑性加工を行う。より具体的には、素材からの累積加工率が40%以上となる複数回の冷間塑性加工を行う。本発明は、従来の「熱間による」塑性加工によるものとは異なり、「冷間による」塑性加工によってNi基超耐熱合金を製造するものである。そして、特に、γ’相の量が35モル%以上のNi基超耐熱合金においては、それを冷間塑性加工によって40%以上の累積加工率を得ることができ、熱間塑性加工では加工することが困難であった上記のNi基超耐熱合金を、比較的単純な工程かつ低コストで、例えば線材や細線にまで加工することができる。この達成のために、上記の冷間による塑性加工は、その塑性加工中に回復や再結晶が発生できないと考えられる低い温度領域で行うことが必要である。
そこで本発明における上記の塑性加工温度は、「500℃以下」とすることが好ましい。より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは100℃以下、よりさらに好ましくは50℃以下(例えば、室温)である。
本発明のNi基超耐熱合金の製造方法は、線材形態に好適であるが、板材、帯材などにも適用できる。そのため、本発明の製造方法により製造されるNi基超耐熱合金は、線材(wire material)、板材(sheet material)、帯材(strip material)の中間製品形状であることの他に、細線(wire product)、薄板(sheet product)、薄帯(strip product)の最終製品形状であってもよい。板材(薄板)、帯材(薄帯)において、その寸法の関係は、線材(細線)のときの線径(直径)を、板厚または帯厚に読み替えることができる。
とりわけNi基超耐熱合金の熱間押出された素材が棒材の場合、断面積を圧縮する棒材加工を行なうことができる。この場合、Ni基超耐熱合金の「棒材」を出発材料として、この棒材に行う塑性加工の様態として、棒材中に均一に圧力を付与することができる「棒材の長手方向に垂直な断面の断面積を圧縮する加工」を施すことが好ましい。そして、この棒材の素材に、断面積(棒径)を塑性的に圧縮して、長さを伸ばしていく加工を行う。特に、Ni基超耐熱合金の線材を得る場合、線材よりも断面積(直径)が大きい「棒材」を塑性加工して作製することが効率的である。棒材の周面から軸心に向けて、累積加工率が40%以上の塑性加工を行って、棒材の断面積を圧縮する。このような加工として、スエジング、カセットローラダイス伸線、孔型ダイス伸線などがある。
他方、Ni基超耐熱合金の板材、帯材等の製造には、圧延加工を用いることもできる。
ここで、加工率とは、棒材をスエジングやダイス伸線を行なう場合には、減面率により表す。減面率は、塑性加工前の棒材の断面積Aと、塑性加工後の線材や細線の断面積Aとの関係で、
[(A−A)/A]×100(%) (1)
の式で算出される。
他方、圧延加工を行なう場合には、加工率は圧下率で表す。圧下率は、塑性加工前の素材の厚さをtとし、塑性加工後の板材や帯材、薄板や薄帯の厚さをtとすると、
[(t−t)/t]×100(%) (2)
の式で算出される。
累積加工率とは塑性加工を複数回、あるいは複数パスにわたって行なった場合の、最終加工物の素材に対する加工率を示す。
本発明では、例えば、上記の冷間塑性加工の素材からの累積加工率を40%以上に高くする。
この加工率の塑性加工は、一回の塑性加工で完了するのではなくて、複数回の塑性加工に分けて完了することができる。複数回の塑性加工の間には熱処理を行わない。ここでいう熱処理とは、回復や再結晶が発生するような高い温度領域での熱処理のことであり、例えば、500℃を超える温度に加熱する熱処理である。このように冷間加工のパス間に熱処理が必要なく、複数の冷間強加工を連続的に実施して、累積加工率(累積減面率)を大きくすることができる。なお、強加工を行なったNi基超耐熱合金は、組織中にナノ結晶粒の生成が観察できる。この機構はまだ完全に解明できていないが、ナノ結晶粒の生成により複数の冷間強加工を連続的に実施できると考えられる。このとき、40%未満の加工率であると、製造工程の単純化、コスト低減の効果が小さくなる。すなわち冷間塑性加工を行なうことの実益の観点からは、累積加工率は、40%以上にするとよい。累積加工率は、45%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、55%以上がさらに好ましい。累積加工率の上限は特に限定しないが、80%程度とすることが好ましい。本発明に係る高C含有量の合金の製造の場合、累積加工率を、一旦、80%以下としておくことが、後述する第1の熱処理による材料欠陥の修復効果を有効化する点で好ましい。より好ましくは75%以下、さらに好ましくは70%以下、よりさらに好ましくは65%以下である。そして、1回の塑性加工(パス)による加工率(減面率)は30%以下とすることが好ましい。より好ましくは28%以下とすることができる。一度の大きな加工率の塑性加工を行なうことは、材料の割れや欠陥を引き起こす虞があるからである。
なお、複数回の冷間塑性加工を行なう場合、塑性加工(パス)の回数が多ければ、上記の1回の塑性加工(パス)による加工率をさらに小さくすることができる。例えば、塑性加工(パス)の回数が3回以上の場合、1回の塑性加工(パス)による加工率を最大25%とすることができる。また、塑性加工(パス)の回数が4回以上の場合、1回の塑性加工(パス)による加工率を最大23%とすることができる。
また、複数回の冷間塑性加工を行なう場合、ある任意の塑性加工(パス)における加工率(減面率)を、その前の回の塑性加工(パス)における加工率(減面率)よりも大きくして、加工効率を上げることも可能である。各塑性加工(パス)毎に加工率(減面率)を大きくしてもよい。
本明細書で使用する用語「パス」については、上述したスエジングやダイス伸線、圧延といった種類の塑性加工において、一つの(または、一対でなる)ダイスやロールによって塑性加工されたときを「1パス」と称することができる。以後、「1パス」という用語を使用するとき、それは上記の1回の「塑性加工」を示している。
とりわけNi基超耐熱合金の素材が棒材の場合、塑性加工性を向上させるためには、上記の塑性加工で、棒材中に均一かつ均等に圧力を付与することが重要と思われる。そして、このためには、棒材の周面から軸心に向けて、棒材の断面積を圧縮するような塑性加工が効果的である。このとき、塑性加工方式を限定する必要はない。但し、塑性加工される棒材の全周に均等に圧力を加える塑性加工方式が有利である。この具体例として、スエジング加工が挙げられる。スエジング加工は、棒材の全周を囲む複数のダイスを回転させながら、棒材の周面を鍛造するので、ナノ結晶粒の生成に好ましい。その他、カセットローラダイス伸線、孔型ダイス伸線などその他の塑性加工も適用可能である。
第1の熱処理[工程(b)[B]]
上記加工材に900℃以上の温度で熱処理を行う。この熱処理の効果について図2を参照して説明する。
上記のとおり累積加工率が40%以上の強加工を行なったNi基超耐熱合金は、更に続けて加工を行なうことが可能な状態になる。したがって、塑性加工中に熱処理を行わないで、さらに大きな加工率まで冷間加工を行なうことができる。
しかし、本発明が対象とするNi基超耐熱合金は、炭素を0.01〜0.25質量%含有するために、素材1の組織中に粗大な炭化物2が析出している。累積加工率が40%以上の冷間塑性加工(i)を施した後のNi基超耐熱合金の加工材3は、γ相とγ’相とが延伸方向に延びた線状組織になる。炭化物は、塑性加工により粉砕され微細炭化物4となるものの微細炭化物が組織の延伸方向に連なった炭化物集合体として加工組織に存在する。この微細炭化物同士の間には、材料欠陥6(例えば材料の欠落による隙間など)が形成される。このまま、更に塑性加工(ii)を行なうと、各微細炭化物4間の欠陥6が広がり、隣接する欠陥6と結合し、割れの起点となる虞がある。そこで、延伸方向に連なった炭化物集合体が形成された段階で、熱処理を行うことにより、微細炭化物4同士の間に形成された材料欠陥6が修復される。例えば、延伸方向の断面組織において、欠陥率を0.5面積%以下にできる。
これは、材料が軟化するとともに、合金成分の拡散により合金成分が隙間を充填するためと考えられる。したがって、熱処理を行った後に更に塑性加工を行なう(iii)場合は、材料欠陥を起点として割れが発生することはない。
なお、熱処理を行う時期、すなわち延伸方向に連なった炭化物集合体が形成された段階は、炭化物含有量、素材作製方法などによる炭化物のサイズ、種類等により異なるが、例えば、累積加工率40%以上、例えば45%以上、50%以上、55%以上などを目途とする。しかし上記のとおり、累積加工率の上限は80%程度とすることが好ましい。
また、熱処理を行う時期は、炭化物含有量、素材作製方法などによる炭化物のサイズ、種類等により異なるが、線径が小さくなり過ぎない時期で行うことが好ましい。熱処理後に後述する酸化スケール等の除去を行う場合、線径が小さすぎると、この除去による材料の滅失割合が増えて、製品歩留が低下する虞がある。そして、例えば、線径が2.7mm以上のときを目途とする。好ましくは3.0mm以上、より好ましくは3.3mm以上、さらに好ましくは3.6mm以上、よりさらに好ましくは3.9mm以上といった線径を目途とする。上限については、例えば、4.5mm程度とすることができる。
熱処理の温度は、900℃以上で行う。900℃未満では、上記の欠陥の修復を行なう、すなわち欠陥を充填するほど合金成分が拡散するには不十分である。熱処理の温度上限は、特に限定はしないが、約1200℃程度である。熱処理は、上記のとおり加工による欠陥の修復を目的とするので、γ’相の固溶に関係なく欠陥が修復できればよい。熱処理時間は材料の寸法、形状に応じて例えば、10分以上、30分以上、60分以上とすることができ、上限についても120分以下、90分以下といったように、適宜決定すればよい。熱処理は、表面酸化を避けるために、真空、還元雰囲気、Arなどの不活性雰囲気で行なうことが好ましいが、酸化雰囲気(例えば、大気雰囲気)で行なってもよい。酸化雰囲気で熱処理を行った場合、表面に酸化スケールが形成される。酸化スケールが形成されたまま冷間塑性加工を行なうと、割れや欠陥の起点となる虞がある。そこで、例えば研磨や研削などにより機械的に、または化学的に除去してもよい。線材の製造の場合は、センタレス研磨を用いてスケールの除去を行なうことが好ましい。また、酸化雰囲気で熱処理を行う場合、上記の熱処理時間は、例えば、100分以下、90分以下、80分以下といったように、短時間で完了することが好ましい。
第2の塑性加工[工程(c)[C]]
上記熱処理材に、500℃以下の温度で、さらに、塑性加工を行なう。より具体的には、この熱処理材からの累積加工率が10%以上となるように1回または複数回の塑性加工を行なう。この塑性加工も、第1の塑性加工と同様に、線材の場合は、スエジング、カセットローラダイス伸線、孔型ダイス伸線など、板材、帯材等の製造には、圧延加工を用いることもできる。上記第1の熱処理により、加工組織は再結晶を起こすが、微細炭化物同士の間に形成された材料欠陥が修復されるので、さらに冷間塑性加工を行なっても、材料欠陥から割れが生じることはない。この塑性加工により、最終製品寸法まで塑性加工を行なう。最終製品寸法の材料の硬さは500HV以上や、550HV以上、600HV以上等にできる。
第2の塑性加工の累積加工率は10%以上にできる。累積加工率の上限は特に限定はないが第1の塑性加工と同様な加工率を目途とする。そして、第1の塑性加工で例えば40%以上の累積加工率の強加工が行われて、断面径(線径)が小さくなっていることを考えれば、第2の塑性加工の累積加工率は、第1の塑性加工の累積加工率より小さくすることができる。その他、加工条件は第1の塑性加工と同様である。例えば、複数回の塑性加工を行なう場合、ある任意のパスにおける加工率を、その前の回のパスにおける加工率よりも大きくして、加工効率を上げることも可能である。各パス毎に加工率を大きくしてもよい。
第2の熱処理および第3の塑性加工[再度の工程(b)[B]および工程(c)[C]]
第2の塑性加工により最終製品寸法まで加工できない場合は、さらに上記に記載した第1の熱処理および第2の塑性加工を1回または複数回繰り返し、目標寸法まで加工を行なうことができる。加工条件、熱処理条件などは、上記に記載したとおりである。
例えば、第2の熱処理については、その温度、時間、雰囲気等を、第1の熱処理の要領で決めることができる。また、酸化雰囲気で熱処理を行って、表面に酸化スケールが形成された場合、それを除去することができる。そして、熱処理を行う時期については、例えば、第2の塑性加工(つまり、直前の塑性加工)の累積加工率などを目途にして、決めることができる。
また、第3の塑性加工については、その累積加工率を10%以上にできる。累積加工率の上限は特に限定はないが第1の塑性加工と同様な加工率を目途とすることができる。そして、第3の塑性加工の累積加工率は、第1の塑性加工の累積加工率より小さくすることができる。また、第3の塑性加工で複数回の塑性加工を行なう場合、ある任意のパスにおける加工率を、その前の回のパスにおける加工率よりも大きくして、加工効率を上げることも可能である。各パス毎に加工率を大きくしてもよい。
以上のような第2の熱処理および第3の塑性加工の組を、最終製品寸法に応じて、一回または複数回行なうことができる。
ここで、工程(A)と工程(B)との組を一回または複数回行う場合、最後に行う工程(B)の熱処理に供されるNi基超耐熱合金(第1の加工材)の長手方向に垂直な方向の寸法dは最終製品寸法dの1.5倍以上であることが好ましい。Ni基超耐熱合金(第1の加工材)は塑性加工で展伸され、線状、板状、帯状等の細長い形状となるため、上述の長手方向に垂直な方向の寸法dとは、線状であれば直径、板状や帯状であれば厚さを意味する。最終製品寸法dとは、仕上げ加工をする場合および加工レスの場合も含めた最終製品形状での上記方向での寸法である。上述のように、熱処理(特に、大気雰囲気などの酸化雰囲気での熱処理)を行った場合、表面に酸化スケールが形成されるため、研磨や研削などにより機械的に、または化学的に除去することが好ましい。かかる研磨等による合金の滅失量の割合は、塑性加工が進んで、合金が薄く、細くなるほどに大きくなり、歩留まりが低下する。したがって、塑性加工と塑性加工の間の熱処理は、仕上げ寸法よりも十分大きな段階で済ませておくことが好ましい。かかる観点から、上述のように寸法dは最終製品寸法dの1.5倍以上が好ましく、1.8倍以上がより好ましい。また、同じ観点から、上述のように寸法dと最終製品寸法dとの差d−dは1mm超であることも好ましく、より好ましくは差d−dは1.2mm以上である。そして、上述した寸法dとdとの関係が、いずれかの工程(B)の熱処理ときに満たしていることが好ましく、特に、最後に行う工程(B)の熱処理のときに満たしていることが好ましい。これらの条件を満たしながら、2mm以下の最終製品寸法dにすることがさらに好ましい。
最終熱処理[工程(d)]
上記の冷間塑性加工によって得られた合金を、最終製品形状である「細線」や「薄板」、「薄帯」とすることができる。細線とは、その線径(直径)が、例えば、5mm以下、4mm以下、3mm以下といったものから、果ては2mm以下、1mm以下といった更に細いものである。また、薄板、薄帯とは、その厚さが、例えば、5mm以下、4mm以下、3mm以下といったものから、果ては2mm以下、1mm以下といった更に薄いものである。そして、細線、薄板、薄帯とは、その長さが、上記の線径や厚さに対して、例えば、50倍以上、100倍以上、300倍以上といった更に長いものである。
所定の寸法、形状に塑性加工した後、最終製品として供給する際、この冷間塑性加工を終えたままの状態で供給することができる。この場合の合金は、例えば、その組織中のγ相とγ’相とが延伸方向に延びた線状組織である。また、合金の硬さは500HV以上である。そして、合金中に加工欠陥が存在することも考えられる。例えば、合金の長さ方向(つまり、塑性加工方向)の中心軸を含むような断面組織において、欠陥率が0.5面積%を超える加工欠陥である。但し、現実的には、1.0面積%以下である。そして、このような加工欠陥が存在することは、これ以上の塑性加工を行わない点で、問題がない。
そして、必要に応じて熱処理(例えば900℃〜1200℃で30分〜3時間保持)を施すことにより所望の等軸結晶組織にすることができる。この熱処理によって、例えば、硬さを500HV未満や450HV以下、420HV以下に調整することが可能である。そして、例えば、300HV以上や、350HV以上の硬さである。このことによって、最終製品を輸送形態や使用形態に見合った形態に曲げたり切断したりすることが容易になる。また、この熱処理によっても加工欠陥を修復でき、例えば、合金の長さ方向(つまり、塑性加工方向)の中心軸を含むような断面組織において、欠陥率を0.5面積%以下にできる。そして、これまでの塑性加工の間で行ってきた熱処理の効果も相まって、上記の欠陥率を、さらに、0.4面積%以下、0.3面積%以下、0.2面積%以下にできる。Ni基超耐熱合金の使用形態において、加工欠陥を低減しておくことが望まれる場合は、この熱処理を行うことができる。
上記の熱処理を行うことで、上記の等軸結晶組織中の結晶粒が成長していることが考えられる。例えば、結晶粒の粒径が、最大のもので線径に達しているかも知れない。そして、延伸方向に連なった炭化物集合体によって、結晶粒の粗大化が抑制される効果(ピン止め効果)が有効に機能すれば、結晶粒の成長が抑制される。この場合、上記の熱処理後の結晶粒の大きさは、断面組織における平均粒径で、例えば、100μm以下、75μm以下、50μm以下、25μm以下、10μm以下といった粒径となる。
上記の熱処理を行うことに関わらず、最終製品の表面を、例えば、研磨や研削などにより機械的に、または化学的に仕上げ加工することができる。
以上、本発明によるNi基超耐熱合金を説明してきた。本発明によれば、500℃以下の温度で累積加工率が40%以上のNi基超耐熱合金の塑性加工を行なうため、熱間加工と熱処理を繰り返すなどの複雑な製造工程が必要なく、強冷間塑性加工が可能であり、塑性加工間の熱処理の回数を低減できる。そのため、工程の単純化が達成でき製造コストの低減が可能になる。また、必要に応じては、欠陥率1.0面積%以下の加工欠陥の少ない製品、特に線材を得ることができる。この効果は、特に加工欠陥の発生しやすい炭素含有量が大きなNi基超耐熱合金について顕著である。
真空溶解によって準備した溶湯を鋳造して、直径100mm、質量10kgの円柱状のNi基超耐熱合金Aのインゴットを作製した。Ni基超耐熱合金Aの成分組成を表1に示す(質量%)。表1には、上記のインゴットの「γ’モル率」も示す。この値は、市販の熱力学平衡計算ソフト「JMatPro(Version 8.0.1,Sente Software Ltd.社製品)」を用いて計算した。この熱力学平衡計算ソフトに、表1に列挙された各元素の含有量を入力して、上記の「γ’モル率」(%)を求めた。
このNi基超耐熱合金Aのインゴットに保持温度1200℃、保持時間8時間の熱処理を施し、炉冷してから、このインゴットの長さ方向に平行方向に長さ150mm、直径60mmの円柱形状の材料を採取した。この円柱形状の材料をSUS304製カプセルに封止して、熱間押出に供した。熱間押出の条件は、押出温度1150℃、押出比10(カプセルを含む)、押出ステム速度15mm/sであった。熱間押出により、直径27mmの押出材を得た。押出材の結晶粒径(平均結晶粒径)は200μm以下であった。
次に、押出材から直径6mm、長さ60mmの棒材を切り出した。棒材の長手方向は押出材の軸線方向に平行に取った。図3に光学顕微鏡観察による棒材の長手方向の中央部(軸線部)断面ミクロ組織を示す。観察は、断面を研磨後カーリング液でエッチングを行なった。γ組織中にγ’相が均一に析出しているが、数ミクロンから数10ミクロン程度の炭化物(MC、M23等)が観察された。なお、この中央部における硬さは449HVであった。
この棒材に、回転式スエジング装置を用いて、室温(約25℃)で複数パスの冷間塑性加工を施した(第1の塑性加工)。各パスの加工率(減面率)は30%以下とした。素材からの累積加工率が55%を超えた4パス目(直径4.0mm)の終了後に、大気中で熱処理(1150℃、60分)を施し(第1の熱処理)、表面に形成された酸化スケールをセンタレス研磨により除去した。このため、線径は3.8mmになった。図4Aおよび図4Bに熱処理前後の光学顕微鏡による長手方向の中央部断面ミクロ組織を示す。熱処理前(図4A)は、γ相とγ’相とが延伸方向に延びた線状組織になっていることがわかる。炭化物も延伸方向に連なった炭化物集合体が観察され、炭化物を起点とする欠陥部(囲み部)が見られた。他方、熱処理後(図4B)の組織は、粒状のγ相中にγ’相が均一に析出している再結晶組織となっている。延伸方向に連なった炭化物も残存しているが、炭化物粒子間が広がり金属組織により分断され、欠陥部は観察されなくなった。
この第1の熱処理を行った材料にさらに、2パスの冷間塑性加工を施し(第2の塑性加工)、第1の熱処理後の材料からの累積加工率が37.7%となったところで、再び熱処理およびセンタレス研磨を行なった(第2の熱処理)。センタレス研磨により線径が2.8mmとなった材料にさらに4パスの冷間塑性加工を施し(第3の塑性加工)、第2の熱処理後の材料からの累積加工率が49.0%となったところで、再び熱処理およびセンタレス研磨を行なった(第3の熱処理)。センタレス研磨により線径が1.75mmとなった材料に最終的に、第3の熱処理後の材料からの累積加工率が40.5%となる2パスの冷間塑性加工を施して(第4の塑性加工)、線径1.35mmとした。この線径1.35mmの線材に最終的にセンタレス研磨を行ない線径1.0mm、長さが約1mの最終寸法の線材を製造した。図5Aおよび図5Bに線径1.0mmの線材の長手方向断面における光学顕微鏡による外周部および中央部のミクロ組織をそれぞれ示す。いずれにおいても図4Aと同様にγ相とγ’相とが延伸方向に延びた線状組織が得られた。延伸方向に連なった炭化物集合体が観察されるが、倍率を拡大した図5Bでみても、炭化物粒子間に欠陥部は観察されなかった。この線径1.0mmの線材の中央部における硬さは570HVであった。また、第3の熱処理に供された材料の寸法d(2.0mm)は最終製品寸法d(1.0mm)の2.0倍であった。
実施例1で得た線径1.35mmの線材に、大気中で最終熱処理(1150℃、60分)を行なった後に、仕上加工のセンタレス研磨を行なって、最終的に線径1.0mm、長さが約1mの最終寸法の線材を製造した。この線径1.0mmの線材の長手方向断面における光学顕微鏡による外周部および中央部のミクロ組織は、いずれにおいても図4Bと同様に粒状のγ相中にγ’相が均一に析出している再結晶組織が得られた。延伸方向に連なった炭化物集合体が観察されるが、炭化物粒子間に欠陥部は観察されなかった。この線径1.0mmの線材の中央部における硬さは379HVであった。また、この線材の長手方向断面における中央部のミクロ組織における結晶粒の大きさは、双晶のものを除いた平均粒径で、約8μmであった。
実施例1で説明した方法、条件で作製したNi基超耐熱合金Aの熱間押出材から切り出した直径6mm、長さ60mmの棒材に実施例1と同様に複数パスの加工を施した。実施例1と異なり、中間熱処理(つまり、第1の熱処理)は1150℃、30分で行い、その後にセンタレス研磨を行わずに、酸化スケールの形成されたままで塑性加工を続けて行なった(表3)。
実施例3において、線径2.7mmの線材を製造することができた。この線材の組織は、図4Aと同様にγ相とγ’相とが延伸方向に延びた線状組織であり、延伸方向に連なった炭化物集合体が観察された。そして、線材の長さ方向(つまり、塑性加工方向)の中央部断面組織において、欠陥率が1.0面積%以下の加工欠陥が認められた。
上記の線径2.7mmの線材に、さらに、加工率が14.3%の塑性加工を行って、線径2.5mmの線材を製造することができた。図6Aおよび図6Bに長手方向断面における光学顕微鏡による外周部および中央部のミクロ組織をそれぞれ示す。この線材の組織もまた、図4Aと同様にγ相とγ’相とが延伸方向に延びた線状組織であり、延伸方向に連なった炭化物集合体が観察された。なお、この線材の外周部には割れが認められたが、内部は欠陥部が抑制されていることが確認された。また、第1の熱処理に供された材料の寸法d(4.0mm)は最終製品寸法d(2.5mm)の1.6倍であった。
また、実施例1および実施例3の結果から、追加の中間熱処理を行って、好ましくは表面の酸化スケールの除去も行うことで、線材の外周部の割れも抑制しつつ、さらに塑性加工を続けることができ、より小さい線径の線材を製造できることを確認できた。
真空溶解によって準備した溶湯を鋳造して、直径80mm、質量10.5kgの円柱状のNi基超耐熱合金Bのインゴットを作製した。Ni基超耐熱合金Bの成分組成を表4に示す(質量%)。表4には、実施例1と同じ要領で求めた、上記のインゴットの「γ’モル率」(%)も示す。

このNi基超耐熱合金Bのインゴットに保持温度1200℃、保持時間8時間の熱処理を施し、炉冷してから、このインゴットの長さ方向に平行方向に長さ150mm、直径66mmの円柱形状の材料を採取した。この円柱形状の材料をSUS304製カプセルに封止して、熱間押出に供した。熱間押出の条件は、押出温度1150℃、押出比10(カプセルを含む)、押出ステム速度15mm/sであった。熱間押出により、直径27mmの押出材を得た。
この押出材を、押出材の軸線方向に平行に半割切断して、その切断面のミクロ組織および硬さを評価した。図9に走査型電子顕微鏡観察(倍率2000倍)による上記切断面の軸線部の断面ミクロ組織を示す。ミクロ組織には各種の炭化物(MC、MC、M23等)が観察された(図中の分散物)。また、ミクロ組織の硬さは中央部(軸線部)で496HVであった。
そして、素材の結晶粒径をEBSD像で評価した。測定場所は、上記の切断面において、押出材の表面から軸心に向かってD/4(Dは押出材直径)の距離入った位置とした。EBSDの測定条件は、走査型電子顕微鏡「JIB−4700F(日本電子社製)」に付属したEBSD測定システム「Aztec Version 3.2(Oxford Instruments社製)」を使用して、倍率:2000倍、スキャンステップ:0.1μmとし、方位差15°以上を粒界として結晶粒を定義した。そして、この測定条件および定義によって結晶粒と認識されたもの(炭化物を含む)について、個々の結晶粒の最大径(最大長さ)と個数との関係による結晶粒径分布を確認し、結晶粒の最大径の平均直径を求めた。
このときのEBSD像を図7に、結晶粒径分布を図8に示す。図8において、横軸の結晶粒径(結晶粒の最大径)は0.2μm毎に纏めて示しており、例えば、最大径が0.2μm以上0.4μm未満の結晶粒は「0.4μm」のグループに、最大径が0.6μm以上0.8μm未満の結晶粒は「0.8μm」のグループに纏めてある。個々の結晶粒の最大径で、最も大きな値は6.43μmであった。また、最も小さな値は0.36μmであった。そして、結晶粒の最大径の平均直径(つまり、素材の結晶粒径)は、1.1μmであった。
次に、押出材から直径6mm、長さ60mmの棒材を切り出した。棒材の長手方向は押出材の軸線方向に平行に取った。実施例1と同様、このNi基超耐熱合金Bの棒材の断面ミクロ組織にも、γ組織中にγ’相が均一に析出しており、上記の通り各種の炭化物(MC、MC、M23等)が観察された。なお、Ni基超耐熱合金Bの棒材の硬さは、その長手方向の中央部において、上記と同様、496HVであった。
この棒材に、回転式スエジング装置を用いて、室温(約25℃)で複数パスの冷間塑性加工を施した(第1の塑性加工)。各パスの加工率(減面率)は30%以下とした。素材からの累積加工率が40%を超えた3パス目(直径4.5mm)の終了後に、真空中で熱処理(1150℃、30分)を施した(第1の熱処理)。そして、この第1の熱処理を行なった材料に、表面のセンタレス研磨は行なわないで、続けて、2パスの冷間塑性加工を施し(第2の塑性加工)、第1の熱処理後の材料からの累積加工率が39.5%となったところで、再び熱処理のみを行なった(第2の熱処理)。そして、これ以降、表5に示す通りの、第3〜6の塑性加工と、この塑性加工間に伴う第3〜5の熱処理(真空中、センタレス研磨なし)とを行なって、線径1.3mmの線材とした。そして、この線径1.3mmの線材に、大気中で最終熱処理(1150℃、30分)を行なった後に、仕上加工のセンタレス研磨を行なって、表面に形成された酸化スケールを除去して、最終的に線径1.0mm、長さが約1mの最終寸法の線材を製造した。
このとき、各時点における材料の硬さは、その中央部における硬さで、第1の塑性加工で1パス目が終了したときの材料(直径5.5mm)が563HVであった以降、それぞれの塑性加工が終了したときで500HV以上であった(概ね610HVであった)。また、それぞれの塑性加工の終了後に熱処理を行ったときで500HV未満であった。
図10に、走査型電子顕微鏡観察(倍率1000倍)による、第1の塑性加工後の材料(直径4.5mm)の断面ミクロ組織を示す。図10の断面ミクロ組織は、γ相とγ’相とが延伸方向(材料の長手方向)に延びた線状の加工組織になっていた。また、炭化物も延伸方向に集合する傾向が見られた。そして、炭化物を起点とする欠陥部は見られなかったが、この時点で、第1の熱処理を行った。
図11に、走査型電子顕微鏡観察(倍率1000倍)による、第1の熱処理後の材料(直径4.5mm)の断面ミクロ組織を示す。図11の断面ミクロ組織は、等軸結晶組織になっていた。そして、上記の等軸晶組織に、線状に集合した炭化物を有した組織となっていた。
図12に、走査型電子顕微鏡観察(倍率1000倍)による、第2の塑性加工で4パス目終了後の材料(直径4.0mm)の断面ミクロ組織を示す。図12の断面ミクロ組織は、γ相とγ’相とが延伸方向(材料の長手方向)に延びた線状の加工組織になっていた。また、炭化物も延伸方向に集合する傾向が見られた。そして、第1の塑性加工後の時点で第1の熱処理を行ったことで、炭化物を起点とする欠陥部は見られなかった。
そして、上記の最終寸法が線径1.0mmの線材の長手方向断面における光学顕微鏡による外周部および中央部のミクロ組織は、いずれにおいても図4Bと同様に粒状のγ相中にγ’相が均一に析出している再結晶組織が得られた。延伸方向に連なった炭化物集合体が観察されるが、炭化物粒子間に欠陥部は観察されなかった。この線径1.0mmの線材の中央部における硬さは382HVであった。また、第5の熱処理に供された材料の寸法d(1.5mm)は最終製品寸法d(1.0mm)の1.5倍であった。
以上、実施例によりNi基超耐熱合金の細線を、冷間塑性加工により製造できることを示した。本発明の製造方法により製造したNi基超耐熱合金は冷間で塑性加工することで、任意の線径の線材等に加工できる。本実施例は、線材の製造について行なったが、板材など他の形状の製造への適用も可能である。

Claims (10)

  1. 断面組織における欠陥率が1.0面積%以下であるNi基超耐熱合金の製造方法であって、
    (a)炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、かつ700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有する素材に、500℃以下の温度で、前記素材からの累積の加工率が40%以上となるように複数回の塑性加工を行ない第1の加工材を作製する工程と、
    (b)前記第1の加工材に900℃以上の温度で熱処理を行い、第1の熱処理材を作製する工程と、
    (c)前記第1の熱処理材に、500℃以下の温度で、さらに、前記第1の熱処理材からの累積の加工率が10%以上となるように1回または複数回の塑性加工を行ない、第2の加工材を作製する工程と
    を含む、Ni基超耐熱合金の製造方法。
  2. 前記工程(c)の後に、工程(b)および(c)の組を、一回または複数回行ない、前記第2の加工材を作製する請求項1に記載されたNi基超耐熱合金の製造方法。
  3. (d)前記第2の加工材に900℃以上の温度で熱処理を行う工程をさらに含む、請求項1または請求項2に記載されたNi基超耐熱合金の製造方法。
  4. 前記工程(a)および(c)の塑性加工における1回の塑性加工の加工率が30%以下である、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたNi基超耐熱合金の製造方法。
  5. 前記工程(b)が、前記熱処理後の材料の表面の除去工程を含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたNi基超耐熱合金の製造方法。
  6. 前記Ni基超耐熱合金が、質量%で、
    C:0.01〜0.25%、
    Cr:8.0〜25.0%、
    Al:0.5〜8.0%、
    Ti:0.4〜7.0%、
    Co:0〜28.0%、
    Mo:0〜8.0%、
    W:0〜15.0%、
    Nb:0〜4.0%、
    Ta:0〜5.0%、
    Fe:0〜10.0%、
    V:0〜1.2%、
    Hf:0〜3.0%、
    B:0〜0.300%、
    Zr:0〜0.300%
    を含み、残部がNiおよび不純物からなる、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたNi基超耐熱合金の製造方法。
  7. 断面組織における欠陥率が1.0面積%以下であるNi基超耐熱合金の製造方法であって、
    (A)炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、かつ700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有する素材に、500℃以下の温度で、塑性加工を行ない第1の加工材を作製する工程と、
    (B)前記第1の加工材に900℃以上の温度で熱処理を行い、第1の熱処理材を作製する工程と、
    (C)前記第1の熱処理材に、500℃以下の温度で、さらに、塑性加工を行ない、第2の加工材を作製する工程と
    を含み、
    前記工程(A)と前記工程(B)との組を一回または複数回行い、
    最後に行う工程(B)の熱処理に供される第1の加工材の長手方向に垂直な方向の寸法dは最終製品寸法dの1.5倍以上であるNi基超耐熱合金の製造方法。
  8. 断面組織における欠陥率が1.0面積%以下であるNi基超耐熱合金の製造方法であって、
    (A)炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、かつ700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有する素材に、500℃以下の温度で、塑性加工を行ない第1の加工材を作製する工程と、
    (B)前記第1の加工材に900℃以上の温度で熱処理を行い、第1の熱処理材を作製する工程と、
    (C)前記第1の熱処理材に、500℃以下の温度で、さらに、塑性加工を行ない、第2の加工材を作製する工程と
    を含み、
    前記工程(A)と前記工程(B)との組を一回または複数回行い、
    最後に行う工程(B)の熱処理に供される第1の加工材の長手方向に垂直な方向の寸法dと最終製品寸法dとの差d−dは1mm超であるNi基超耐熱合金の製造方法。
  9. 線径が5mm以下の細線、または厚さが5mm以下の薄板若しくは薄帯からなり、炭素含有量が0.01〜0.25質量%であり、かつ700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有し、
    断面組織における欠陥率が0.5面積%以下であり、硬さが420HV以下であるNi基超耐熱合金。
  10. 長さが、前記線径または前記厚さに対して、50倍以上である請求項9に記載されたNi基超耐熱合金。
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