JP2021011601A - Ni基超耐熱合金の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塑性加工性に優れたNi基超耐熱合金の製造方法を提供する。【解決手段】700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有するNi基超耐熱合金を製造する方法において、押出温度1050〜1200℃、押出比4〜20、押出速度5〜80mm/sの条件で押出により結晶粒径が10μm以下の素材を製造する準備工程と、前記素材を700〜1000℃、ひずみ速度10−4〜10−2/sで塑性加工を行なう加工工程とを含むNi基超耐熱合金の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、Ni基超耐熱合金を製造する方法に関するものであり、詳細には、700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有するNi基超耐熱合金を製造する方法に関するものである。
航空機エンジンや発電用のガスタービンに用いられる耐熱部品として、例えば、インコネル(登録商標)718合金のようなNi基超耐熱合金が多く用いられている。ガスタービンの高性能化と低燃費化に伴って、高い耐熱温度を有する耐熱部品が求められている。
Ni基超耐熱合金の耐熱性(高温強度)を向上させるためには、NiAlを主組成とする金属間化合物の析出強化相であるガンマプライム(以下、「γ′」ともいう。)相の量を増やすことが最も有効である。そして、Ni基超耐熱合金が、更に、γ′生成元素であるAl、Ti、Nbを含有することで、Ni基超耐熱合金の高温強度をさらに向上させることができる。今後、高耐熱性、高強度を満足させるために、γ′相の量がより多いNi基超耐熱合金が求められる。
このNi基超耐熱合金は、γ′相の増加とともに、熱間での塑性加工の変形抵抗が大きくなり、難加工であることが知られている。とりわけ、γ′相の量が35〜40モル%以上のγ′モル率になると、加工性は特に低下する。例えば、インコネル(登録商標)713C合金、IN939、IN100、Mar−M247等の合金は、特別にγ′相が多く、塑性加工が不可能とされ、通常は鋳造まま(as−cast)で使用されている。
このようなNi基超耐熱合金の熱間塑性加工性を向上させる提案として、特許文献1では、γ′モル率が40モル%以上となる組成を有するNi基超耐熱合金からなるインゴットを、加工率5%以上30%未満で冷間加工を行なった後に、γ′固溶温度を超える温度で熱処理する製造方法が記載されている。この方法は、冷間加工工程と熱処理工程との組合せにより、Ni基超耐熱合金に熱間塑性加工を適用することが可能な90%以上の再結晶率を得るものである。
また、近年、上述したγ′相の量が多いNi基超耐熱合金の耐熱部品を補修したり、または、その耐熱部品自体を3次元成形で作製したりするニーズ、が高まっている。その場合の造形素材としてNi基超耐熱合金の細線が求められている。この細線は、ばね等の部品形状に加工して使用することもできる。Ni基超耐熱合金の細線の線径(直径)は、例えば、5mm以下、さらには3mm以下という細いものである。
このような細線は、例えば、線径が10mm以下の「線材」を中間製品として準備し、この線材に塑性加工を行なって作製することが効率的である。この中間製品である「線材」も、塑性加工によって得ることができれば、Ni基超耐熱合金の細線を効率的に製造することができる。
このような超耐熱合金の細線の製造方法として、特許文献2では、線径が5mm以上の鋳造ワイヤを出発材にして、これら鋳造ワイヤを束ねたものを熱間押出した後、分離する手法が提案されている。
国際公開第2016/129485号 米国特許第4777710号明細書
上記のとおり、Ni基超耐熱合金は、γ′相量の増加とともに、熱間塑性加工性が低下する。特許文献2の手法は、限られた成分組成においては細線の製造に効果的なものであるが、その成分組成にしか適用できず、γ′相の量が後述する35モル%以上のNi基超耐熱合金にもなると、これを熱間塑性加工して細線まで加工することは極めて困難である。また、特許文献2の手法は、工程が複雑で、製造コストが大きくなる等の問題があった。
特許文献1の方法は、熱間加工を適用するNi基超耐熱合金には効果がある。しかし、そのためにインゴットに加工率5%以上30%未満で、冷間加工を行なった後に、さらに熱処理を行なう必要がある。
本発明の目的は、塑性加工性に優れたNi基超耐熱合金の製造方法を提供することである。
本発明は、700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有するNi基超耐熱合金を製造する方法において、押出温度1050〜1200℃、押出比4〜20、押出速度5〜80mm/sの条件で押出により結晶粒径が10μm以下の素材を製造する準備工程と、前記素材を700〜1000℃、ひずみ速度10−4〜10−2/sで塑性加工を行なう加工工程とを含む。
上記のNi基超耐熱合金は、700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が40モル%以上の成分組成を有することが好ましい。
本発明は、塑性加工性に優れたNi基超耐熱合金の製造方法を提供することができる。
本発明で作製したNi基超耐熱合金の素材のEBSD像。 本発明で作製したNi基超耐熱合金の素材の外観写真。 実施例で用いた高温引張試験片の形状寸法を示す図。 本発明で作製したNi基超耐熱合金の応力−ひずみ曲線の一例。
本発明者は、γ′相の量が多いNi基超耐熱合金の塑性加工性について研究した。その結果、Ni基超耐熱合金の材料に熱間押出を行ない、結晶粒径が10μm以下の素材を製造し、この素材に700〜1000℃、ひずみ速度10−4〜10−2/sという条件を適用することにより、Ni基超耐熱合金の塑性加工性が飛躍的に向上する現象を突きとめた。
本発明が対象とするNi基超耐熱合金は、700℃におけるγ′相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有する。ここで、Ni基超耐熱合金のγ′相の量は、そのγ′相の「体積率」や「面積率」等の数値的指標で表わすことができる。
本明細書では、γ′相の量を、「γ′モル率」の数値的指標で表す。γ′モル率とは、Ni基超耐熱合金が熱力学的な平衡状態において析出することができる、安定的なγ′相の平衡析出量のことである。γ′相の平衡析出量を「モル率」で表わした値は、Ni基超耐熱合金が有する成分組成により決定される。この平衡析出量のモル%の値は、熱力学平衡計算による解析で求めることができる。そして、熱力学平衡計算による解析では、各種の熱力学平衡計算ソフトを用いることで、精度よく、かつ、容易に求めることができる。
本発明では、Ni基超耐熱合金のγ′モル率を、「700℃における平衡析出量」とする。Ni基超耐熱合金の高温強度は、組織中のγ′相の平衡析出量で評価でき、この高温強度が大きいほど、熱間塑性加工は困難になる。
組織中のγ′相の平衡析出量は、一般的に、概ね700℃以下で温度依存性が小さくなり、概ね一定となるので、上記の700℃のときの値を基準とする。
そして、本発明の塑性加工性の効果を享受するにおいて、700℃におけるγ′相の平衡析出量が40モル%以上の成分組成がより好ましい。さらに好ましいγ′相の平衡析出量は、50モル%以上であり、さらにより好ましくは60モル%以上である。特に好ましいγ′相の平衡析出量は63モル%以上であり、いっそう好ましくは66モル%以上、よりいっそう好ましくは68モル%以上である。
700℃におけるγ′相の平衡析出量の上限は、特に限定しないが、75モル%程度が現実的であり、より好ましくは70モル%未満である。
上述のとおり、通常はNi基超耐熱合金のγ′モル率が大きいほど、熱間塑性加工は困難である。本発明で適用するNi基超耐熱合金は、熱間押出により、動的再結晶を促進し、結晶粒径が10μm以下の結晶粒を有する素材を得ることで、次工程の加工工程における塑性加工で、破断伸びが200%以上の伸びを示し、塑性加工性を飛躍的に改善できる。
そして、押出で得る素材は、次工程の加工工程における塑性加工性の向上の観点から、その断面組織が10μm以下の等軸結晶粒組織であることが好ましい。また、押出で得る素材は、結晶粒内に一次γ′相を有することが好ましい。また、押出で得る素材は、結晶粒内に二次γ′相を有することがより好ましい。そして、この二次γ′相は、Ni基超耐熱合金のマトリックスであるガンマ(以下、「γ」ともいう。)相と一次γ′相との相界面から最も発生しやすい。したがって、Ni基超耐熱合金のγ′モル率を大きくすることは、上記の相界面の増加に繋がって、二次γ′相の生成に寄与する。
本発明では、熱間押出により結晶粒径が10μm以下の素材を製造する。熱間押出に供する材料は、溶湯を鋳型に注湯して鋳塊を作製する溶製法によって得られたものであることが好ましい。
そして、鋳塊の製造には、例えば、真空溶解と、真空アーク再溶解やエレクトロスラグ、再溶解等の常法を組み合わせる等して適用すればよい。このとき、鋳塊の元素偏析を解消するために、例えば、1100〜1280℃で5〜60時間保持するソーキングを行なってもよい。このソーキングは、押出に供する材料の形状に仕上げてから行なってもよい。
そして、上記の材料に対して、熱間で押出成形を行ない、棒状の押出材に塑性加工する。押出は、動的再結晶を促し、微細な結晶粒組織を得る観点から、押出温度1050〜1200℃、押出比4〜20、押出速度5〜80mm/sの条件で行なう。このとき、成形された押出材の直径は、例えば、10〜200mmであることが好ましい。そして、表面性状の向上の観点から、上記の押出材の表面を機械加工等によって素材に仕上げることが好ましい。素材の直径を小さくしておくことは、後述する加工工程で、直径がさらに小さい線材や細線等を作製するときに、その塑性加工のパス回数を少なくできる点で好ましい。
また、素材における結晶粒径は、例えば、図1に示す素材におけるEBSD像によって確認することもできる。そして、EBSDの測定条件を、スキャンステップ:0.1μmとし、結晶粒の定義を方位差15°以上の粒界としたときに認識できる結晶粒について、その個々の結晶粒の最大径と個数との関係を示す結晶粒径分布から、結晶粒の最大径の平均直径を求めることができる。
このとき、結晶粒径分布は、上記の測定条件および定義によって結晶粒と認識されたもので確認すればよく、例えば、最大径が0.2μm以上の結晶粒で確認することができる。本発明において、素材における結晶粒径は、上記の「結晶粒の最大径の平均直径」をさす。
本発明の製造方法では、上記で得た素材に、700〜1000℃、ひずみ速度10−4〜10−2/sの条件で塑性加工を行なう。これにより、本発明は、優れた塑性加工性を維持しながらNi基超耐熱合金を得ることができる。本発明は、特に、γ′相の量が35モル%以上の、これまでの熱間塑性加工では加工することが困難であった後述するNi基超耐熱合金を、単純な工程で且つ低コストで線材や細線にまで加工することができるという点で有用である。
そして、本発明でいう加工工程における塑性加工は、その塑性加工中に特定の温度範囲で、且つ特定のひずみ速度の範囲で行なうことが重要である。そこで、本発明でいう加工工程における塑性加工温度は、700〜1000℃とし、ひずみ速度を10−4〜10−2/sの範囲として塑性加工を行なう。これにより、本発明は、超塑性変形を利用したNi基超耐熱合金の製造が可能となる。
また、本発明では、700〜900℃で塑性加工する場合は、超塑性変形抵抗を抑制する観点から、ひずみ速度を10−4〜10−3/sの範囲にすることが好ましい。そして、900℃を超えて塑性加工する場合は、ひずみ速度を10−4〜10−2/sの範囲にすることができる。
なお、本発明でいう超塑性とは、破断伸びが200%以上、ひずみ速度感受性指数が0.3以上であることをいう。そして、超塑性の発現の有無は、ひずみ速度感受性指数mを用いることで予測することができ、流動応力とひずみ速度の関係式(数式1)から算出することができ、mの値が大きいほど、加工工程における変形に対する超塑性の寄与が大きいことを表わす。
本発明で適用する、700℃におけるγ′相の平衡析出量が35モル%以上の析出強化型のNi基超耐熱合金は、例えば、質量%で、C:0〜0.25%、Cr:8.0〜25.0%、Al:0.5〜8.0%、Ti:0.4〜7.0%、Co:0〜28.0%、Mo:0〜8.0%、W:0〜15.0%、Nb:0〜4.0%、Ta:0〜5.0%、Fe:0〜10.0%、V:0〜1.2%、Hf:0〜3.0%、B:0〜0.300%、Zr:0〜0.300%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる組成を有することが好ましい。
また、Ni基超耐熱合金は、質量%で、C:0〜0.03%、Cr:8.0〜22.0%、Al:2.0〜8.0%、Ti:0.4〜7.0%、Co:0〜28.0%、Mo:2.0〜7.0%、W:0〜6.0%、Nb:0〜4.0%、Ta:0〜3.0%、Fe:0〜10.0%、V:0〜1.2%、Hf:0〜1.0%、B:0〜0.300%、Zr:0〜0.300%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる組成を有することが好ましい。
そして、素材の硬さは、次工程の加工工程における塑性加工による初期の加工性を確保するために、低いことが好ましい。素材の硬さは、例えば、500HV未満が好ましく、より好ましくは450HV以下である。素材の硬さは、さらに好ましくは400HV以下であり、よりさらに好ましくは380HV以下である。素材の硬さの下限は、特に限定しないが、250HV程度が現実的である。素材の硬さは、素材の径方向断面で測定することができる。
以下、本発明で適用するNi基超耐熱合金の一形態として、好ましい組成の各成分について説明する。なお、成分組成の単位は、「質量%」である。
C:炭素
Cは、従来、Ni基超耐熱合金の鋳造性を高める元素として含有するものである。そして、特に、γ′相の量の多いNi基超耐熱合金は、塑性加工が困難であるため、通常、鋳造部品として使用され、一定量のCが添加されている。この添加されたCは、鋳造組織中に炭化物として残り、一部は粗大な共晶炭化物として形成される。そして、このような粗大な炭化物は、Ni基超耐熱合金を塑性加工したときに、特に、室温で塑性加工したときに、き裂の起点およびき裂の進展経路となり、Ni基超耐熱合金の塑性加工性に悪影響を及ぼす。このため、本発明では、Cの含有量は0.25%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、0.03%以下であり、さらに好ましくは0.025%以下、さらにより好ましくは0.02%以下である。Cの含有量は、特に好ましくは0.02%未満である。
そして、本発明のNi基超耐熱合金にとって、Cは規制元素であり、より低く管理されることが好ましく、Cを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Cの下限を0質量%とできる。通常は、C無添加のNi基超耐熱合金であっても、その成分組成を分析したときには、例えば、0.001%程度のC含有量が認められ得る。
Cr:クロム
Crは、耐酸化性、耐食性を向上させる元素である。
しかし、Crを過剰に含有するとσ(シグマ)相などの脆化相を形成し、強度の低下に加え、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性を低下させる。したがって、Crは、例えば、8.0〜25.0%とすることが好ましく、8.0〜22.0%がより好ましい。Crの好ましい下限は9.0%であり、より好ましくは9.5%であり、さらに好ましくは10.0%である。
また、Crの好ましい上限は18.0%であり、より好ましくは16.0%であり、さらに好ましくは14.0%である。Crの上限は、特に好ましくは12.5%である。
Mo:モリブデン
Moは、マトリックスの固溶強化に寄与し、高温強度を向上させる効果がある。
しかし、Moが過剰になると、金属間化合物相が形成されて高温強度を損なう。よって、Moは、0〜8.0%とすることが好ましく、無添加すなわち不可避不純物レベルでもよい。Moは、2.0〜7.0%がより好ましい。Moのさらに好ましい下限は2.5%であり、より好ましくは3.0%であり、さらに好ましくは3.5%である。
また、Moのさらに好ましい上限は6.0%であり、より好ましくは5.0%である。
Al:アルミニウム
Alは、強化相であるγ′(NiAl)相を形成し、高温強度を向上させる元素である。
しかし、Alの過度の添加は、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性を低下させ、加工中の割れなどの材料欠陥の原因となる。よって、Alは、0.5〜8.0%が好ましく、より好ましくは2.0〜8.0%である。Alのさらに好ましい下限は2.5%であり、より好ましくは3.0%であり、さらに好ましくは4.0%であり、よりさらに好ましくは4.5%である。Alの特に好ましい下限は5.1%である。
また、Alのさらに好ましい上限は7.5%であり、より好ましくは7.0%であり、さらに好ましくは6.5%である。
なお、上述したCrとの関係で、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性を確保するために、Crの含有量を低減したときには、その低減分のAlの含有量を許容することができる。そして、例えば、Crの上限を13.5%にしたときに、Alの含有量の下限を3.5%とすることが好ましい。
Ti:チタン
Tiは、Alと同様、γ′相を形成し、γ′相を固溶強化して高温強度を高める元素である。
しかし、Tiの過度の添加は、γ′相が高温で不安定となって高温での粗大化を招くとともに、有害なη(イータ)相を形成し、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性を損なう。よって、Tiは、例えば、0.4〜7.0%が好ましい。他のγ′生成元素やNiマトリックスとのバランスを考慮すると、Tiの好ましい下限は0.6%であり、より好ましくは0.7%であり、さらに好ましくは0.8%である。
また、Tiの好ましい上限は6.5%であり、より好ましくは6.0%であり、さらに好ましくは4.0%であり、特に好ましくは2.0%である。
以下、本発明で適用するNi基超耐熱合金に添加可能な任意成分について説明する。
Co:コバルト
Coは、組織の安定性を改善し、強化元素であるTiを多く含有しても準備工程および加工工程における熱間塑性加工性を維持することを可能とする。
一方、Coは高価なものであるため、コストが上昇する。よって、Coは、他元素との組み合わせにより、例えば、28.0%以下の範囲で含有することができる任意元素の一つである。Coを添加する場合の好ましい下限は8.0%とするとよく、より好ましくは10.0%である。
また、Coの好ましい上限は18.0%とし、より好ましくは16.0%である。
なお、γ′生成元素やNiマトリックスとのバランスにより、Coを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Coの下限を0%とする。
W:タングステン
Wは、Moと同様、マトリックスの固溶強化に寄与する選択元素の一つである。
しかし、Wが過剰になると、有害な金属間化合物相が形成されて高温強度を損なうため、例えば、上限を15.0%とする。Wの好ましい上限は5.5%であり、より好ましくは5.0%である。上記のWの効果をより確実に発揮させるには、Wの下限を1.0%とするとよい。また、WとMoとを複合添加することにより、より固溶強化効果が発揮できる。複合添加の場合のWは0.8%以上の添加が好ましい。
なお、Moの十分な添加により、Wを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Wの下限を0%とする。
Nb:ニオブ
Nbは、AlやTiと同様に、γ′相を形成し、γ′相を固溶強化して高温強度を高める選択元素の一つである。
しかし、Nbが過剰になると、有害なδ(デルタ)相を形成し、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性を損なう。よって、Nbの上限は、例えば、4.0%とする。Nb好ましい上限は3.5%であり、より好ましくは2.5%である。
なお、上記のNbの効果をより確実に発揮させるには、Nbの下限を1.0%とするとよい。好ましくは2.0%とするとよい。他のγ′生成元素の添加により、Nbを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Nbの下限を0%とする。
Ta:タンタル
Taは、AlやTiと同様に、γ′相を形成し、γ′相を固溶強化して高温強度を高める選択元素の一つである。ただし、Taが過剰になると、γ′相が高温で不安定となって高温での粗大化を招くとともに、有害なη(イータ)相を形成し、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性を損なう。よって、Taは、例えば、5.0%以下とする。好ましくは2.5%以下である。
なお、上記のTaの効果をより確実に発揮させるには、Taの下限を0.3%とするとよい。TiやNbなどのγ′生成元素添加やマトリックスとのバランスにより、Taを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Taの下限を0%とする。
Fe:鉄
Feは、高価なNi、Coの代替として用いる選択元素の一つであり、合金コストの低減に有効である。この効果を得るには、他元素との組み合わせで添加するかどうかを決定するとよい。ただし、Feが過剰になると、σ(シグマ)相などの脆化相を形成し、強度の低下に加え、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性を低下させる。よって、Feの上限は、例えば、10.0%とし、好ましい上限は9.0%であり、より好ましくは8.0%である。
一方、γ′生成元素やNiマトリックスとのバランスによりFeを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Feの下限を0%とする。
V:バナジウム
Vは、マトリックスの固溶強化、炭化物生成による粒界強化に有用な選択元素の一つである。ただし、Vが過剰になると、製造過程の高温不安定相の生成を招き、製造性および高温力学性能に悪影響を招く。よって、Vの上限は、例えば、1.2%とする。Vの好ましい上限は1.0%であり、より好ましくは0.8%である。
なお、上記のVの効果をより確実に発揮させるには、Vの下限を0.5%とするとよい。合金中の他合金元素とのバランスにより、Vを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Vの下限を0%とする。
Hf:ハフニウム
Hfは、合金の耐酸化性向上、炭化物生成による粒界強化に有用な選択元素の一つである。ただし、Hfが過剰になると、製造過程の酸化物生成、高温不安定相の生成を招き、製造性および高温力学性能に悪影響を招く。よって、Hfの上限は、例えば、3.0%とする。
なお、上記のHfの効果をより確実に発揮させるには、Hfの下限を0.1%とするとよい。合金中の他合金元素とのバランスにより、Hfを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Hfの下限を0%とする。
B:ホウ素
Bは、粒界強度を向上させ、クリープ強度、延性を改善する元素である。一方で、Bは融点を低下させる効果が大きいこと、また、粗大なホウ化物が形成されると、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性が阻害されることから、例えば、0.300%を超えないように制御するとよい。Bの好ましい上限は0.200%であり、より好ましくは0.100%である。さらに好ましくは0.050%であり、特に好ましくは0.020%である。
なお、上記の効果を得るには最低0.001%の含有が好ましい。Bのより好ましい下限は0.003%であり、さらに好ましくは0.005%であり、特に好ましくは0.010%である。合金中の他合金元素とのバランスによりBを無添加すなわち不可避不純物レベルとしてもよい場合は、Bの下限を0%とする。
Zr:ジルコニウム
Zrは、Bと同様に、粒界強度を向上させる効果を有している。一方で、Zrが過剰となると、やはり融点の低下を招き、高温強度に加え、準備工程および加工工程における熱間塑性加工性が阻害される。よって、Zrの上限は、例えば、0.300%とする。Zrの好ましい上限は0.250%であり、より好ましくは0.200%であり、さらに好ましくは0.100%であり、特に好ましくは0.050%である。
なお、上記の効果を得るには、最低0.001%の含有が好ましい。Zrのより好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%である。合金中の他合金元素とのバランスにより、Zrを無添加すなわち不可避的不純物レベルとしてもよい場合は、Zrの下限を0%とする。
以上に説明した元素以外の残部は、Niであり、熱間塑性加工性や、本発明で適用するNi基超耐熱合金の用途における諸特性を損なわない範囲で不可避不純物を含んでもよい。
先ず、真空溶解によって、質量%で、12.0Cr−5.9Al−4.5Mo−2.0Nb−0.6Ti−0.087Zr−0.015C−0.01B−残部Niおよび不可避的不純物からなる組成を有するNi基超耐熱合金の溶湯を鋳造して、直径100mm、質量10kgの円柱状のインゴットを作製した。
そして、このインゴットのγ′モル率は、60モル%であった。なお、この値は、熱力学平衡計算ソフト「JMatPro(Version 8.0.1,Sente Software Ltd.製)」を用いて計算した。この熱力学平衡計算ソフトに、上記した各元素の含有量を入力して、γ′モル率(%)を求めた。
上記で得たNi基超耐熱合金のインゴットを、保持温度1200℃、保持時間8時間の熱処理を施して、これを炉冷してから、直径70mm、長さ150mmの円柱形状の材料を採取した。この円柱形状の材料をSUS304製のカプセルに封止して、押出に供した。押出の条件は、押出温度1100℃、押出比10、押出ステム速度15mm/sとし、押出材を得た。
上記で得た押出材の一部を、押出材の軸線方向に平行に半割切断して、その切断面のミクロ組織を評価した。測定場所は、押出材の表面から軸心に向かってD/4(Dは押出材直径)の距離入った位置とした。
上記で得た素材の断面ミクロ組織のEBSD像を評価した。そして、EBSDの測定条件は、走査型電子顕微鏡「JIB 4700F (日本電子製)」に付属したEBSD測定システム「AZtec Version 3.2(Oxford Instruments製)」を使用して、倍率:10000倍、スキャンステップ:0.02μmとし、結晶粒の定義は方位差15°以上を粒界とした。そして、図1のEBSD像に示す結晶粒径について、上述の要領に従って測定し、各視野の「結晶粒の平均直径d」の平均を「素材の結晶粒径」とした結果、5μmであった。
そして、押出加工により、加工工程に供される素材の断面ミクロ組織は、γ相に、大きさが1μm程度の一次γ′相が出現した微細な等軸結晶粒組織であった。そして、素材の結晶粒内には、大きさが200nm程度の二次γ′相も観察された。
上記で得た押出材の一部を機械加工により、図2に示す直径20mmの丸棒材とし、この丸棒材から押出方向と引張変形軸が平行となるように放電加工機を用いて、図3に示す引張試験片を切り出し、熱間塑性加工による加工工程を模して、700〜1000℃、初期ひずみ速度10−4〜10−2/sの範囲で変化させて高温引張試験を行なった。
図4に高温引張試験により得られた900℃および1000℃における応力−ひずみ曲線を示す。900℃では、ひずみ速度が低いほど流動応力が低下し、10−3/sにおいて300%を超える伸びが得られた。
900℃で引張試験を行なった場合には、10−3/sにおいて、高ひずみ域において定常変形が観察され、数式1で示されるひずみ速度感受性指数mも0.3以上が得られ、超塑性変形を示したと判断できる。
また、1000℃で引張試験を行なった場合には、10−2/sという高いひずみ速度においても超塑性が観察され、本発明の有効性が確認できた。

Claims (2)

  1. 700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が35モル%以上の成分組成を有するNi基超耐熱合金を製造する方法において、
    押出温度1050〜1200℃、押出比4〜20、押出速度5〜80mm/sの条件で押出により、結晶粒径が10μm以下の素材を製造する準備工程と、
    前記素材を700〜1000℃、ひずみ速度10−4〜10−2/sの条件で塑性加工を行なう加工工程と
    を含むNi基超耐熱合金の製造方法。
  2. 前記700℃におけるガンマプライム相の平衡析出量が40モル%以上の成分組成を有する請求項1に記載されたNi基超耐熱合金の製造方法。

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