JP2006305512A - 攪拌脱泡方法および攪拌脱泡装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 材料の温度変化に起因する仕上がり品質のばらつきを防止する攪拌脱泡方法および攪拌脱泡装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 材料Mを収容した容器15を公転させながら自転させて材料Mを攪拌脱泡する攪拌脱泡方法であって、材料Mの温度を直接的または間接的に検出し、この検出された温度に基づき(例えば、所定温度に到達したことを検出したら)、容器15の公転速度および自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】 材料Mを収容した容器15を公転させながら自転させて材料Mを攪拌脱泡する攪拌脱泡方法であって、材料Mの温度を直接的または間接的に検出し、この検出された温度に基づき(例えば、所定温度に到達したことを検出したら)、容器15の公転速度および自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被攪拌・脱泡材料の攪拌脱泡方法および攪拌脱泡装置に関するものである。
一般に、被攪拌・脱泡材料(以下、単に「材料」という。)を収容した容器を容器ホルダに保持して公転させながら、その公転軌道上で自転させるように構成した攪拌脱泡装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の攪拌脱泡装置においては、容器の公転によって働く遠心力により容器内の内壁に材料を押し付けて、材料に内在する気泡を外部に放出すると共に、容器の自転運動によって容器内の材料を攪拌するようになっている。具体的には、容器の公転速度が大きいと材料の脱泡性能が良くなり、自転速度が大きいと攪拌性能が良くなることが明らかになっている。
また、真空下で容器を自転および公転させることで、材料を攪拌脱泡する方法および装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。材料に真空圧をかけると、材料に内在する微細な気泡が膨張、発泡して、材料との分離を促進させることができるので、短時間かつ高精度の脱泡が容易に促進される。このような攪拌脱泡装置は、公転速度、自転速度、真空圧等のパラメータを時間歩進(時間設定のみで工程を進める方式)で調節し、制御を行っている。
特開平10−43568号公報(段落0013〜0023、図1)
特開平11−104404号公報(請求項1、段落0018、図1)
ところで、材料には最適な仕上がり温度があるところ、従来の時間歩進の制御によると、材料の処理前の冷蔵温度や処理量によって仕上がり温度がばらつき、それに伴い、材料の粘度が変化するといった問題があった。
また、従来の時間歩進の制御によると、攪拌により発生する摩擦熱の影響で材料の温度が変化して物性が変化することがあり、それに伴い、仕上がり状態の品質基準となる粘度、気泡の量・サイズ、フィラーの分散、ポットライフ(可使時間)などに大きく影響を及ぼすといった問題があった。
また、従来の時間歩進の制御によると、攪拌により発生する摩擦熱の影響で材料の温度が変化して物性が変化することがあり、それに伴い、仕上がり状態の品質基準となる粘度、気泡の量・サイズ、フィラーの分散、ポットライフ(可使時間)などに大きく影響を及ぼすといった問題があった。
そこで、本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、材料の温度変化に起因する仕上がり品質のばらつきを防止する攪拌脱泡方法および攪拌脱泡装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、材料を収容した容器を公転させながら自転させて前記材料を攪拌脱泡する攪拌脱泡方法であって、前記材料の温度を直接的または間接的に検出し、この検出された温度に基づき、前記容器の公転速度および自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、材料を収容した容器を公転させながら自転させて、材料を攪拌脱泡すると、材料は攪拌による摩擦熱により温度が上昇する。この温度が必要以上に上昇したまま処理を継続すると、材料の粘度変化、物性変化等を招来するおそれがあるが、材料の温度を検出し、この温度に基づき、容器の公転速度、自転速度を調節するように制御するので、温度変化に起因する材料の仕上がり品質のばらつきを抑えられる。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の攪拌脱泡方法において、前記容器を公転および自転させる所定の処理時間を予め設定し、前記所定の処理時間の経過および前記検出された温度のうちいずれか一方に基づき、前記容器の公転速度および自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御することを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、材料の温度を検出し、所定の処理時間の経過および検出された温度のうちいずれか一方に基づき、容器の公転速度、自転速度を調節するように制御する。つまり、所定時間が経過するか、材料が所定温度以上になったかを検出したら、公転速度等を調節するように制御するので、円滑な攪拌脱泡を促進するとともに、温度変化に起因する材料の仕上がり品質のばらつきを抑えられる。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の攪拌脱泡方法において、前記容器を所定速度で公転および自転させた後、前記温度が所定温度以上になったことを検出したら、少なくとも前記容器の自転速度を遅くすることを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、請求項1または請求項2による作用に加え、温度が所定温度以上になったことを検出したら、前記容器の自転速度を遅くする。これにより、材料の温度の上昇を抑制し、温度変化に起因する材料の仕上がり品質のばらつきを抑えられる。
請求項4に係る発明は、材料を収容する容器と、この容器を回転自在に軸支する公転テーブルと、前記公転テーブルを回転自在に支持する支持部材と、前記材料の温度を直接的または間接的に検出する温度検出手段と、前記容器を前記公転テーブル上で自転させる自転用回転駆動機構と、前記公転テーブルを回転させることで前記容器を公転させる公転用回転駆動機構と、前記容器の公転速度、自転速度を制御する制御部とを備える攪拌脱泡装置であって、前記制御部は、前記温度検出手段により検出された温度に基づき、前記容器の前記公転速度および前記自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の攪拌脱泡方法を実現する装置である。請求項4に係る発明によれば、公転テーブルを公転用回転駆動機構で回転させることで容器を公転させ、材料を脱泡するとともに、容器を自転用回転駆動機構で回転させることで容器を自転させ、材料を攪拌する。そして、温度検出手段で材料の温度を検出し、この温度に基づき、容器の公転速度、自転速度を調節するように制御する。これにより、温度変化に起因する材料の仕上がり品質のばらつきを抑えられる。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の攪拌脱泡装置において、前記制御部は、前記容器を公転および自転させる処理時間を制御し、所定の処理時間の経過および前記温度検出手段により検出された温度のうちいずれか一方に基づき、前記容器の前記公転速度および前記自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の攪拌脱泡方法を実現する装置である。請求項5に係る発明によれば、温度検出手段で材料の温度を検出し、前記所定の処理時間の経過および前記温度検出手段により検出された温度のうちいずれか一方に基づき、容器の公転速度、自転速度を調節するように制御する。つまり、所定時間が経過するか、材料が所定温度以上になったかを検出したら、公転速度等を調節するように制御するので、円滑な攪拌脱泡を促進するとともに、温度変化に起因する材料の仕上がり品質のばらつきを抑えられる。
本発明に係る攪拌脱泡方法によれば、材料の温度変化に起因する仕上がり品質のばらつきを防止することができる。また、本発明の攪拌脱泡装置によれば、前記攪拌脱泡方法を実現することができ、同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る攪拌脱泡装置の構成図である。
本実施形態では、攪拌脱泡の対象の材料として、例えば、クリーム半田を想定して説明するが、この材料は特に限定されるものではなく、あらゆる材料を対象とすることができる。
本実施形態では、攪拌脱泡の対象の材料として、例えば、クリーム半田を想定して説明するが、この材料は特に限定されるものではなく、あらゆる材料を対象とすることができる。
まず、本発明に係る攪拌脱泡方法を行う攪拌脱泡装置について説明する。
図1に示すように、攪拌脱泡装置1は、筐体2、支持部材3、モータ5、公転テーブル7、容器8、温度検出ユニット9、制御部10と、を主に有し、その他、バネ4、バランス錘取付部11等を有している。攪拌脱泡装置1は、容器8を所定軌道上で公転運動させつつ自転運動させ、容器8に収容された材料Mを攪拌脱泡するものである。図1においては、容器8を公転運動させるときの公転軸を符号Y1で表し、自転運動させるときの自転軸を符号Y2で表す。
図1に示すように、攪拌脱泡装置1は、筐体2、支持部材3、モータ5、公転テーブル7、容器8、温度検出ユニット9、制御部10と、を主に有し、その他、バネ4、バランス錘取付部11等を有している。攪拌脱泡装置1は、容器8を所定軌道上で公転運動させつつ自転運動させ、容器8に収容された材料Mを攪拌脱泡するものである。図1においては、容器8を公転運動させるときの公転軸を符号Y1で表し、自転運動させるときの自転軸を符号Y2で表す。
支持部材3の上部には、モータ5が固定され、モータ5の回転軸5aが支持部材3の貫通孔3eを貫通して支持部材3の下面に突出している。そして回転軸5aの先端には、プーリP1が固定され回転軸5aと一体に回転する。このプーリP1の外半周部には、ベルトV1が掛け渡され、プーリP2を介して、モータ5の回転を後記する公転テーブル7に伝達する。なお、プーリP1、プーリP2、ベルトV1等は、特許請求の範囲の「公転用回転駆動機構」に相当する。
さらに、支持部材3に形成された突起3aの中心軸に設けられた孔部3bには、回転ベアリング3cを介して公転テーブル7が回転自在に軸支されている(この回転軸が前記した「公転軸Y1」である)。なお、この突起3aの上部外周部には、後記する断面円形の丸ベルトV2が掛け渡される丸ベルト溝3dが形成されている。一方、公転テーブル7の支持部材3の下面側に突出した部分には、公転テーブル7と一体に回転するプーリP2が固定されている。そして、このプーリP2の外半周部には、前記したベルトV1が掛け渡され、モータ5の回転がプーリP1、P2を経由して公転テーブル7に伝達されることとなる。
そして、支持部材3は、複数のばね4を介して筐体2に弾性的に保持されている。これら複数のばね4の作用により、モータ5、公転テーブル7および容器8の回転に伴う励起振動が吸収され筐体2に伝達されない。
公転テーブル7における支持部材3の上面側には、容器8、案内プーリP4およびバランス錘取付部11が配置されている。
容器8は、容器本体8a、上蓋8bおよび試料ホルダ8cから構成されている。
容器本体8aは上部が開口した有底円筒形状を有し、その底面中央部には、支軸8dが軸心を容器8の主軸に一致させて突出して設けられている。そして、支軸8dは、公転テーブル7の外周部近傍に設けられた貫通孔7bに、回転ベアリング7cを介して回転自在となっている。これにより、容器8は公転テーブル7に対して回転自在に軸支されることになる(この回転軸が前記した「自転軸Y2」である)。なお、貫通孔7bは公転軸Y1と自転軸Y2との延長線同士が上方で交差するように設けられているものとする。これにより、公転テーブル7が公転軸Y1を中心に回転することで形成される容器8の公転面に対し、容器8は常に公転軸Y1に対して一定角度で内傾することになる。また、上蓋8bは、この容器本体8aの開口する上部を閉蓋するものである。
容器8は、容器本体8a、上蓋8bおよび試料ホルダ8cから構成されている。
容器本体8aは上部が開口した有底円筒形状を有し、その底面中央部には、支軸8dが軸心を容器8の主軸に一致させて突出して設けられている。そして、支軸8dは、公転テーブル7の外周部近傍に設けられた貫通孔7bに、回転ベアリング7cを介して回転自在となっている。これにより、容器8は公転テーブル7に対して回転自在に軸支されることになる(この回転軸が前記した「自転軸Y2」である)。なお、貫通孔7bは公転軸Y1と自転軸Y2との延長線同士が上方で交差するように設けられているものとする。これにより、公転テーブル7が公転軸Y1を中心に回転することで形成される容器8の公転面に対し、容器8は常に公転軸Y1に対して一定角度で内傾することになる。また、上蓋8bは、この容器本体8aの開口する上部を閉蓋するものである。
試料ホルダ8cは、内部に材料Mを収容し、容器本体8aに対して自転軸Y2周りに相対回転しないように、かつ、嵌脱自在に容器本体8a内に収容される。容器本体8aに嵌脱自在とすることで、材料Mの混練脱泡作業の終了後、試料ホルダ8cごと次の工程に移すことができる。そして、一回使用した試料ホルダ8cは、洗浄して繰り返し使用することもできるし、使い捨てることもできる。
なお、[特許請求の範囲]に記載の容器の自転用回転駆動機構は、丸ベルト溝3dと案内プーリP4とプーリP3と丸ベルトV2とから構成される。
公転テーブル7の下面から突出している支軸8dの先端には、プーリP3が固定され、容器8と一体に回転する。プーリP3の外半周部には、丸ベルトV2が掛け渡され、公転テーブル7に対して相対回転する突起3aの回転がプーリP3に伝達される。
案内プーリP4は、回転自在に公転テーブル7の側面に軸支され、その外周部がプーリP3と丸ベルト溝3dとの間に掛け渡されている丸ベルトV2の軌道を案内している。なお、案内プーリP4は、図1中、一つのみ記載されているが、背面の対称位置にも対になるように配設されている。
公転テーブル7の下面から突出している支軸8dの先端には、プーリP3が固定され、容器8と一体に回転する。プーリP3の外半周部には、丸ベルトV2が掛け渡され、公転テーブル7に対して相対回転する突起3aの回転がプーリP3に伝達される。
案内プーリP4は、回転自在に公転テーブル7の側面に軸支され、その外周部がプーリP3と丸ベルト溝3dとの間に掛け渡されている丸ベルトV2の軌道を案内している。なお、案内プーリP4は、図1中、一つのみ記載されているが、背面の対称位置にも対になるように配設されている。
ところで、プーリP3と丸ベルト溝3dとの回転比は1:1となるように構成されている。これにより、公転テーブル7が例えば回転速度xで回転すると、丸ベルト溝3dが公転テーブル7に対して回転速度xで相対的に回転することになる。さらに、丸ベルト溝3dの回転は、容器8を公転テーブル7に対し回転速度xで公転方向とは逆方向に回転させることになる。即ち、容器8は、公転テーブル7の支持部材3に対する回転速度と同じ回転速度でかつ回転方向が逆回転となるように、公転テーブル7に対して回転する。
温度検出ユニット9は、材料Mの温度を検出する温度センサ91と、容器8の上蓋8bに取り付けられるコンパレータ部92と、このコンパレータ部92と対向するように筐体2の上部取付部21に配設される受光部93とから構成される。
温度センサ91は、例えば、サーミスタなどの感温抵抗素子等からなるもので、その先端部が試料ホルダ8c内に延出し、材料Mの温度を直接的に検出するものである。温度センサ91は、材料温度の検出値を検出信号としてコンパレータ部92に送信するようになっている。
コンパレータ部92は、温度センサ91からの検出信号に基づき、その検出値を、予め設定された基準値と比較するものである。そして、比較の結果、材料Mの温度が所定の温度を超えた場合は、LED92aを発光させるようになっている。このLED92aは、回転する容器8の上蓋8bの外面側中央に取り付けられ、筐体2と相対的な位置関係が変化するものであるが、所定位置においては、受光部93側を向くようになっている。なお、このコンパレータ部92には、複数の基準値を設定することができる。また、コンパレータ部92等の駆動電源として、容器8の上蓋8bに取り付けたリチウム電池等の小型電池を用いることができる。
受光部93は、例えば、フォトトランジスタ等からなるもので、LED92aが発した光を検知するものである。受光部93は、光を検知すると、制御部10に検出信号を送信するようになっている。これにより、制御部10では、材料Mの温度が基準となる所定温度に到達したことを検知する。
制御部10は、材料別に処理手順を記憶しており、この処理手順に基づき、モータ5の駆動等を制御し、延いては、容器8の公転・自転を制御するものである。本実施形態では、処理手順レシピにおいて、容器8を公転および自転させる所定の処理時間が予め設定されており、制御部10は、設定された処理時間の経過および温度検出ユニット9で検出された温度のうちのいずれか一方に基づいて、工程を進めるようにモータ5を制御する。なお、制御部10に、図示しないディスプレイを接続して、制御部10の処理状況をディスプレイに表示するようにしてもよい。
バランス錘取付部11は、公転軸Y1を中心として、公転テーブル7における容器8の対称位置に設けられている。バランス錘取付部11は、公転テーブル7の径方向に沿って設けられたネジ部材11aと、このネジ部材11aに螺合したバランス錘11bとから構成され、バランス錘11bを径方向に移動させることで、公転テーブル7上での重量バランスをとっている。
次に、攪拌脱泡装置1の動作を説明する。
まず、材料Mを収容した試料ホルダ8cを容器本体8aに設置する。そして、制御部10が、モータ5を駆動すると、その回転が、プーリP1、ベルトV1、プーリP2を介して公転テーブル7に伝達され、公転テーブル7を回転させる。このとき、公転テーブル7を基準とすれば、支持部材3の突起3aが相対回転し、この突起3aの相対回転が、案内プーリP4、丸ベルトV2、プーリP3、支軸8dを介して容器8に伝達される。そのため、容器8は公転テーブル7上で回転させられる。つまり、公転テーブル7に取り付けられる容器8は公転するとともに、公転テーブル7上で自転する。ここで、容器8は、支持部材3に対する公転テーブル7の回転速度と同一速度で、かつ、その回転方向と逆向きに自転する。
まず、材料Mを収容した試料ホルダ8cを容器本体8aに設置する。そして、制御部10が、モータ5を駆動すると、その回転が、プーリP1、ベルトV1、プーリP2を介して公転テーブル7に伝達され、公転テーブル7を回転させる。このとき、公転テーブル7を基準とすれば、支持部材3の突起3aが相対回転し、この突起3aの相対回転が、案内プーリP4、丸ベルトV2、プーリP3、支軸8dを介して容器8に伝達される。そのため、容器8は公転テーブル7上で回転させられる。つまり、公転テーブル7に取り付けられる容器8は公転するとともに、公転テーブル7上で自転する。ここで、容器8は、支持部材3に対する公転テーブル7の回転速度と同一速度で、かつ、その回転方向と逆向きに自転する。
また、温度検出ユニット9においては、温度センサ91で一定タイミングごとに材料Mの温度を検出し、その検出値を検出信号としてコンパレータ部92に送信している。コンパレータ部92では、予め設定された基準値と、前記検出値を比較しており、検出値が基準値を上回った場合は、材料Mが所定温度に到達したとして、LED92aを発光させる。LED92aが発光すると、受光部93が検知し、その結果を、制御部10に送信する。これにより、制御部10において、材料Mの温度が所定温度を上回ったことが検知される。
次に、図2を参照しながら、制御部10の処理手順について説明する。図2は、制御部の処理手順を説明するフローチャートである。本実施形態に係る処理手順は、回転速度が2回変化する2ステップで進められる。
まず、制御部10は、モータ5を駆動し、回転速度N1(例えば、容器8を1000rpm)で回転(公転・自転)させる(ステップS1)。この工程は、主として材料Mの粘度調整のため、高速回転によって材料Mの発熱(例えば、冷蔵温度の約8℃から約23℃まで加温)を促すことを目的とする。
次に、ステップS2に進み、モータ5の駆動を開始してから第1の所定時間(例えば、70sec)が経過したか否かを判断する。この結果、所定時間が経過していない場合は(ステップS2でNo)、受光部93からの信号を入力されるか否かにより、制御部10が、所定温度(例えば、約23℃)に到達したか否かを判断する(ステップS3)。そして、所定温度に到達していない場合は(ステップS3でNo)、ステップS2に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、所定温度に到達している場合は(ステップS3でYes)、次のステップS5に進む。
一方、ステップS2で、所定時間が経過したと判断された場合(ステップS2でYes)、図示しないディスプレイにタイムアップ表示をし(ステップS4)、ステップS5に進む。この工程では、何らかの原因で、設定温度に到達しなくても、処理工程を強制的に進めることができる。
所定時間が経過した場合(ステップS2でYes)、および、材料Mが所定温度に到達している場合は(ステップS3でYes)、制御部10は、モータ5を駆動し、回転速度N2(N1>N2)(例えば、容器8を500rpm)で回転させる(ステップS5)。この工程は、所定温度を保持したまま、材料Mをさらに分散、脱泡することを目的とする。その後、第2の所定時間(例えば、180sec)が経過したか否かを判断し(ステップS6)、経過していない場合は(ステップS6でNo)、さらに、経過するまで時間計測する。そして、第2の所定時間を経過した場合は(ステップS6でYes)、そのまま、処理を終了する。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、材料Mを収容した容器8の公転によって働く遠心力により容器8内の内壁に材料Mを押し付けて、材料Mに内在する気泡を外部に放出することができる。また、容器8の自転によって容器8内の材料Mを攪拌することができる。
本実施形態では、材料Mを収容した容器8の公転によって働く遠心力により容器8内の内壁に材料Mを押し付けて、材料Mに内在する気泡を外部に放出することができる。また、容器8の自転によって容器8内の材料Mを攪拌することができる。
材料Mは攪拌されることで温度が上昇するが、本実施形態では材料Mの温度を定期的に検出し、所定の処理時間の経過および検出された温度のうちいずれか一方に基づき、容器8の回転速度(公転速度、自転速度)を遅くするように制御する。つまり、所定時間が経過するか、材料が所定温度以上になったかを検出したら、回転速度を遅くするように制御するので、円滑な攪拌脱泡を促進するとともに、材料Mの摩擦熱による温度上昇を抑え、温度変化に起因する材料Mの仕上がり品質のばらつきを抑えられる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、様々な形態で実施することができる。
本実施形態では、容器8の回転速度を1回変化させる処理手順について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、所定温度到達、または、所定時間の経過により容器8の回転を停止させる(つまり、回転速度が変化しない)ようにするものであってもよいし、容器8の回転速度を複数回変化させる(つまり、回転速度を2回以上変化させる)ようにするものであってもよい。また、材料Mの温度のみに基づいて、処理を進めるように制御するものであってもよい。
本実施形態では、1つのモータ5で、容器8の自転運動・公転運動を実現し、自転・公転速度の回転比が固定の装置を用いたが、自転・公転速度の回転比を任意に変化させることができる攪拌脱泡装置を用いることもできる。これによれば、一層好適な仕上がり状態を得るように処理手順を設定することができる。
本実施形態では、所定温度、第1、第2の所定の処理時間をそれぞれ具体的に示したが、本発明はこれに限定されず、材料別に所定温度や処理時間を適宜変更して実施することができる。これによれば、材料に応じた所望の処理を行うことができる。
本実施形態では、材料Mの温度が所定温度を超えたら、制御部10が回転速度(公転速度、自転速度)を遅くするように調節して制御したが、本発明はこれに限定されず、材料Mの温度に基づき制御するものであれば、いかなる調節態様であってもよい。例えば、温度が所定温度より低くなったら、回転速度を調節する(例えば、速める)ように制御するものであってもよい。
本実施形態では、材料Mの温度を温度センサ91で直接的に検出したが、本発明はこれに限定されず、材料Mの近傍温度(例えば、容器8内の温度)を検出し、これに基づき材料Mの温度を間接的に検出するものであってもよいし、容器本体8aの温度を赤外線温度センサで検出するものであってもよい。これによっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明に係る攪拌脱泡方法を実施する装置は、前記攪拌脱泡装置1に限定されない。
本実施形態では、容器8に回転を伝達する回転伝達機構として、プーリを用いた攪拌脱泡装置1を用いたが、例えば、プーリの代わりにギア等を用いた攪拌脱泡装置を使用してもよい。
本実施形態では、容器8に回転を伝達する回転伝達機構として、プーリを用いた攪拌脱泡装置1を用いたが、例えば、プーリの代わりにギア等を用いた攪拌脱泡装置を使用してもよい。
本実施形態では、温度検出ユニット9の駆動電源は電池としたが、本発明はこれに限定されず、他の方法で駆動電源を得てもよい。例えば、容器8の回転を利用した電磁発電機構により駆動電源を得る方法、容器8の上蓋8bに太陽電池を設置し、筐体2側から光を照射することで光電変換によるエネルギ伝達をする方法を用いてもよい。また、信号の伝達方式についても光以外、例えば、電波を用いた場合も、同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、大気中で用いる攪拌脱泡装置1について説明したが、本発明はこれに限定されず、真空中で用いるものであってもよい。
1 攪拌脱泡装置
2 筐体
3 支持部材
3a 突起
4 バネ
5 モータ
7 公転テーブル
8 容器
9 温度検出ユニット
10 制御部
11 バランス錘取付部
91 温度センサ
92 コンパレータ部
93 受光部
Y1 公転軸
Y2 自転軸
M 材料
2 筐体
3 支持部材
3a 突起
4 バネ
5 モータ
7 公転テーブル
8 容器
9 温度検出ユニット
10 制御部
11 バランス錘取付部
91 温度センサ
92 コンパレータ部
93 受光部
Y1 公転軸
Y2 自転軸
M 材料
Claims (5)
- 材料を収容した容器を公転させながら自転させて前記材料を攪拌脱泡する攪拌脱泡方法であって、前記材料の温度を直接的または間接的に検出し、この検出された温度に基づき、前記容器の公転速度および自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御することを特徴とする攪拌脱泡方法。
- 請求項1に記載の攪拌脱泡方法において、前記容器を公転および自転させる所定の処理時間を予め設定し、前記所定の処理時間の経過および前記検出された温度のうちいずれか一方に基づき、前記容器の公転速度および自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御することを特徴とする攪拌脱泡方法。
- 請求項1または請求項2に記載の攪拌脱泡方法において、前記容器を所定速度で公転および自転させた後、前記温度が所定温度以上になったことを検出したら、少なくとも前記容器の自転速度を遅くすることを特徴とする攪拌脱泡方法。
- 材料を収容する容器と、
この容器を回転自在に軸支する公転テーブルと、
前記公転テーブルを回転自在に支持する支持部材と、
前記材料の温度を直接的または間接的に検出する温度検出手段と、
前記容器を前記公転テーブル上で自転させる自転用回転駆動機構と、
前記公転テーブルを回転させることで前記容器を公転させる公転用回転駆動機構と、
前記容器の公転速度、自転速度を制御する制御部とを備える攪拌脱泡装置であって、
前記制御部は、前記温度検出手段により検出された温度に基づき、前記容器の前記公転速度および前記自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御することを特徴とする攪拌脱泡装置。 - 前記制御部は、前記容器を公転および自転させる処理時間を制御し、所定の処理時間の経過および前記温度検出手段により検出された温度のうちいずれか一方に基づき、前記容器の前記公転速度および前記自転速度のうち少なくとも1つを調節するように制御することを特徴とする請求項4に記載の攪拌脱泡装置。
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