JP2006304774A - マラリア感染赤血球の検出方法並びにこれに使用する検出用試薬及び赤血球膜部分溶解試薬 - Google Patents

マラリア感染赤血球の検出方法並びにこれに使用する検出用試薬及び赤血球膜部分溶解試薬 Download PDF

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Abstract

【課題】 マラリア感染赤血球を簡易、迅速に検出でき、さらには熱帯熱マラリアと他のマラリアとを区別でき、感染率も知ることができるマラリア原虫の検出方法並びにこれに使用する検出用試薬及び赤血球膜部分溶解試薬を提供する。
【解決手段】 本発明の赤血球膜部分溶解試薬は、赤血球の細胞膜に対して所定の溶解力を有する第一の界面活性剤と、該第一の界面活性剤よりも溶解力が弱い第二の界面活性剤とを含み、pH5〜7であり、浸透圧が200〜300mOsm/kg・HOであり、マラリア原虫を赤血球内部に保持した状態で蛍光色素が透過できるように、赤血球の細胞膜を部分的に溶解する。この検出試薬と全血検体を混合した試料をフローサイトメータに導入して得られた散乱光情報及び蛍光情報からマラリア感染赤血球を検出する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、マラリアに感染した赤血球(以下、「マラリア感染赤血球」又は単に「感染赤血球」という)を検出する方法、並びに当該検出方法に使用する検出用試薬及び赤血球膜部分溶解試薬に関する。
マラリアは熱帯、亜熱帯地方に広く分布する寄生虫感染症である。その病原体は、アピコンプレクサ類に分類されるマラリア原虫であり、ハマダラカを媒介として感染する。
マラリアは、熱帯熱マラリア、3日熱マラリア、4日熱マラリア、及び卵型マラリアの4種類に分類されるが、このうち熱帯熱マラリアが特に悪性で、発症後数時間以内に治療を開始しないと重篤な症状や合併症を併発し、死に至る場合も少なくない。一方、その他のマラリアは症状もそれほど重篤でなく、死に至ることは稀である。
従って、熱帯熱マラリアとその他のマラリアでは治療方法及び使用する薬剤が大きく異なる。熱帯熱マラリアでは急激に症状が悪化するなど緊急性が高く、まず何よりも患者を救命するという観点から、熱帯熱マラリアを疑う場合は診断が確定以前であっても投薬を開始することがある。そのため、誤診とそれに伴う投与薬剤の副作用がつきまとう。その他のマラリアの場合は、そこまで緊急性が高くないため、時間をかけて治療することが可能である。
そこで、臨床診断の段階では、熱帯熱マラリアかそれ以外のマラリアかを正確かつ迅速に鑑別し、それに基づいて適切な治療の方法を決定することがきわめて重要となる。このことから、マラリア、特に熱帯熱マラリアの早期診断は重要である。
熱帯熱マラリアの治療に際しては、現在のところ、医師が感染率(一定体積の血液に含まれる全赤血球数に対するマラリア感染赤血球数の割合)を基に、経験的に、投薬の種類、薬剤の投与量、投与スパンを決定している。従って、熱帯熱マラリアの治療の際は、熱帯熱マラリアか他のマラリアかの判別が必要なだけでなく、患者血液におけるマラリア感染率を知ることも重要である。
マラリアの検出方法としては、従来、所定の対象者から採取した血液の塗抹標本を作製し、これをギムザ染色して顕微鏡観察し、マラリア感染赤血球を検出する方法、さらには特定視野での赤血球及び感染赤血球を計数して、感染率を算出する方法が採られている。
しかしながら、顕微鏡観察による方法では、塗抹標本の作成、固定、染色、乾燥の各工程を必要とし、煩雑である。また、マラリア感染赤血球と非感染赤血球の弁別や感染したマラリア原虫の種類が熱帯熱マラリアかそれ以外のマラリア原虫かの判別などに熟練した技術が必要である。さらに、顕微鏡下で観察するのに多くの時間(通常1患者あたり15分以上)を要することになる。
自動的にマラリア感染赤血球を検出する方法として、蛍光色素でマラリア感染赤血球を染色し、フローサイトメータを用いてマラリア感染赤血球を検出する方法も開発されている。
しかし、特許文献1の従来技術で説明されているように、核酸蛍光色素を使用する場合、マラリア感染赤血球が染色されるだけでなく、網状赤血球も染色されてしまい、両者を判別することができないという問題がある。特許文献1では、特定の蛍光色素(オーラミンO類似体)を、低濃度で使用することにより、マラリア感染赤血球のみを染色することが提案されている。しかし、この方法ではマラリア非感染赤血球と感染赤血球の弁別は十分明確ではない。
これに対し、P.H.Vianenらは、非特許文献1で、赤血球を、緩衝剤、ホルムアルデヒド及びジエチレングリコールを含む溶血剤を用いて溶血し、マラリア感染赤血球からマラリア原虫を遊離させた後、色素としてヘキスト33258を使用してマラリア原虫を染色し、フローサイトメータで検出する方法を開示している。この方法では、マラリア非感染赤血球や網状赤血球の影響は無視できるものの、溶血、染色操作が煩雑であり、数十分以上の時間が必要という問題がある。
特許文献2には、溶血処理によりマラリア原虫を遊離させ、核酸染色性色素を用いてマラリア原虫を迅速に特異染色し、遠心分離操作なしにフローサイトメータで検出する方法が開示されている。しかし、熱帯熱マラリアか他のマラリアであるかの弁別はマラリア感染赤血球中のマラリア原虫を観察することにより一般に行なわれているので、赤血球を溶血してしまう特許文献2の方法では、マラリアに感染しているかどうかの判定はできても、熱帯熱マラリアかどうかを決定することまではできない。
特許文献3には、熱帯熱マラリアと他のマラリアでは核酸と結合する色素量に差があることを利用することにより、フローサイトメータを用いてマラリア原虫の種類を判定する方法が提案されている。この方法は、検体中の赤血球を溶血してマラリア原虫を遊離させ、測定試料中のマラリア原虫から蛍光強度を検出し、所定範囲の蛍光強度を有するマラリア原虫の頻度分布に基づき、マラリア原虫の種類を判定する方法である。
しかし、上記特許文献2,3、及び非特許文献1が採用している、赤血球を溶血し、遊離したマラリア原虫を検出する方法では、以下のような理由から正確な感染率を求めることができない。
図1は、ハマダラカの吸血時に体内へ侵入したマラリア原虫が、肝細胞を経由して分裂小体(メロゾイト)として血液中に放出され、赤血球に侵入したことにより開始される、マラリア原虫の赤内型の生活環を示している。赤内型の生活環では輪状体(リングフォーム)、栄養体(トロポゾイト)、分裂体(シゾント)と順に発育し、シゾントが複数のメトゾイトに分裂する際に感染赤血球を破壊し、メロゾイトが赤血球外に放出され、血中に放出されたメロゾイトは新たな赤血球に侵入して、再び赤内型生活環を開始する。マラリア原虫はこのサイクルを繰り返すことにより増殖し、血中の赤血球を破壊し続ける。
リングフォームが侵入した赤血球には、1個の赤血球に1つのリングフォームが入り込んだもの(以下、「リングフォーム(シングル)」という)の他、1個の赤血球に2つ以上のリングフォームが侵入したもの(以下、「リングフォーム(マルチ)」という)がある。しかし、赤血球を溶血し、遊離したマラリア原虫を検出する方法では、リングフォーム(シングル)から遊離したマラリア原虫と、リングフォーム(マルチ)から遊離したマラリア原虫のうちの1つとは、同じ蛍光強度を示すので、これらを区別することができない。この結果、リングフォーム(マルチ)は、複数のリングフォーム(シングル)とみなされてしまう。また、シゾントが分裂直前にある場合にも、1つのシゾントが、溶血作用の影響で分裂してしまう場合、複数の赤血球から遊離したものであるとみなされてしまうことがある。
一方、従来の顕微鏡観察の方法では、複数のリングフォームが存在している場合やシゾントが分裂直前の成熟段階にある場合であっても、いずれの場合も感染赤血球1個とカウントして、感染率を算出していた。このため、赤血球を溶血し、遊離したマラリア原虫を検出して、マラリア原虫のDNA総量に対応する蛍光強度に基づく検出方法では、従来の顕微鏡観察の方法で算出される感染率に一致する感染率を求めることができない。特に、分裂直前のシゾントが溶血の影響で複数のメトゾイトに分裂してしまう現象や、熱帯熱マラリアの場合には、1つの赤血球に2つ、3つの原虫が感染したマルチ感染赤血球の割合が多い傾向にあることから、赤血球を溶血して得られる遊離原虫の頻度に着目する方法では、感染率を正確に把握できない。このことは、従来の顕微鏡観察に基づいて算出されていた感染率をもとに治療方法を選択決定していた医療現場では、熱帯熱マラリアであることを判別できても、これまでに経験的に確立されている治療方法を選択することが困難になるといった事態を意味する。
特開平6−300753 特開平11−75892 特開2004−105027 P.H.Vianenら、Cytometry,vol14:276−280
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易、迅速に血液試料中のマラリア原虫を検出できる方法である。しかも熱帯熱マラリアと他のマラリアとを区別できるだけでなく、従来の顕微鏡観察に基づいて算出されていた感染率に匹敵する感染率を算出することができるマラリア感染赤血球の検出方法並びにこれに使用する検出用試薬及び赤血球膜部分溶解試薬を提供することにある。
本発明の赤血球膜部分溶解試薬は、赤血球の細胞膜に対して所定の溶解力を有する第一の界面活性剤と、該第一の界面活性剤よりも溶解力が弱い第二の界面活性剤とを含み、pH5〜7であり、浸透圧が200〜300mOsm/kg・HOであり、マラリア原虫を赤血球内部に保持した状態で蛍光色素が透過できるように、赤血球の細胞膜を部分的に溶解するものである。
前記第一の界面活性剤及び前記第二の界面活性剤が長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩であり、前記第二の界面活性剤の長鎖アルキル基の炭素数は、前記第一の界面活性剤の長鎖アルキル基の炭素数より少ないことが好ましく、具体的には、前記第一の界面活性剤がステアリルトリメチルアンモニウムクロライドであり、前記第二の界面活性剤が、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドであることが好ましい。
本発明の赤血球膜部分溶解試薬は、実質的に赤血球の細胞膜を溶解しないノニオン界面活性剤をさらに含むことが好ましい。前記ノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型界面活性剤、ポリオキシエチレンフィトステロール型界面活性剤、及びひまし油からなる群より選ばれることが好ましく、より好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン水素化ひまし油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテル、およびポリオキシエチレンモノラウリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本発明のマラリア感染赤血球検出用試薬は、マラリア原虫に感染した赤血球を検出するための試薬であって、上記本発明の赤血球膜部分溶解試薬と、RNAよりもDNAを強く染色するDNA選択的蛍光色素とを含む。
前記DNA選択的蛍光色素は、下式で示される蛍光色素であることが好ましい。
本発明のマラリア感染赤血球の検出方法は、RNAよりもDNAを強く染色するDNA選択的蛍光色素を含み且つマラリア原虫を内部に保持した状態で前記蛍光色素が透過できるように赤血球の細胞膜を部分的に溶解することができる試薬と、マラリアに感染した赤血球を含む試料とを混合して、測定試料を調製する工程;前記測定試料に光を照射して散乱光情報及び蛍光情報を取得する工程;及び前記散乱光情報及び蛍光情報に基づいてマラリアに感染した赤血球を検出する工程を含む。
前記取得工程において、前記測定試料をフローサイトメータのフローセルに導入し、前記フローセル内を流れる前記測定試料に前記蛍光色素の蛍光を励起する励起光を照射し、前記測定試料中の赤血球から散乱光情報及び蛍光情報を取得し、前記検出工程において、前記散乱光情報及び前記蛍光情報に基づいて、マラリアに感染した赤血球が含まれるマラリア感染赤血球領域を特定することが好ましい。マラリア感染赤血球領域を特定は、前記散乱光情報及び前記蛍光情報を二軸とする散布図を作成し、前記散布図中にマラリア感染赤血球領域を設定することにより行なえばよく、設定したマラリア感染赤血球領域内のマラリア感染赤血球を検出すればよい。
前記マラリア感染赤血球領域のうち、リングフォーム(シングル)を含む赤血球の領域及びリングフォーム(マルチ)を含む赤血球の領域を特定する工程をさらに含むことが好ましい。
また、本発明の検出方法において、前記マラリア感染赤血球領域に含まれる赤血球数(感染赤血球数M)を計数し、前記試料におけるマラリア感染赤血球の割合(感染率)を算出することが好ましく、感染率の算出は、(1)〜(3)のいずれかにより行なうことができる。
(1)前記試料の白血球濃度WBCと赤血球濃度RBCを求め、前記散布図の白血球領域にある白血球数Wを計数する工程をさらに含み、前記感染率(%)を、
K×(M×WBC)/(W×RBC)×100(式中、Kは補正定数である)
により算出する。
(2)前記試料の赤血球濃度RBC及び前記測定試料に供される前記試料の容積Vを測定する工程をさらに含み、前記感染率(%)を、
K×M/(RBC×V)×100(式中、Kは補正定数である)
により算出する。
(3)前記散布図の正常赤血球領域にある赤血球数Gを計数する工程をさらに含み、
前記感染率(%)を、
M/(G+M)×100
により算出する。
本発明の検出方法で用いられる前記試薬には、赤血球の細胞膜に対して所定の溶解力を有する第一の界面活性剤と、前記第一の界面活性剤よりも溶解力の弱い第二の界面活性剤とが含有されていることが好ましい。
本発明の赤血球膜部分溶解試薬は、赤血球の内部にマラリア原虫を保持したままで、蛍光色素を赤血球内へ透過させることができるので、この赤血球膜部分溶解試薬とDNA選択的蛍光色素とを含有する本発明の感染赤血球検出用試薬を用いれば、リングフォーム(マルチ)を含む赤血球とリングフォーム(シングル)を含む赤血球のように、DNA総量が異なるマラリア感染赤血球を区別して検出することができる。
本発明のマラリア感染赤血球の検出方法は、赤血球の内部にマラリア原虫を保持したままで、蛍光色素を赤血球内へ透過させることができる試薬を用いてフローサイトメータに導入するので、リングフォーム(マルチ)を含む赤血球とリングフォーム(シングル)を含む赤血球とを区別して、マラリア原虫を検出することができる。
本発明のマラリア感染赤血球の検出方法は、DNA総量が異なるマラリア感染赤血球を区別できるとともに、リングフォーム(マルチ)を1個の感染赤血球として検出することができるので、従来の顕微鏡観察の場合に求める感染率と同程度以上の精度で、感染率を求めることができる。
〔赤血球膜部分溶解試薬〕
はじめに、本発明のマラリア感染赤血球の検出方法に好適に用いられる、本発明の赤血球膜部分溶解試薬について説明する。
本発明の赤血球膜部分溶解試薬は、赤血球の細胞膜に対して所定の溶解力を有する第一の界面活性剤と、該第一の界面活性剤よりも溶解力が弱い第二の界面活性剤とを含み、pH5〜7であり、浸透圧が200〜300mOsm/kg・HOである。
前記第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤のいずれを用いることができるが、カチオン界面活性剤が好ましく用いられる。
カチオン界面活性剤としては、具体的には、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド(OTAB)、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド(DTAB)、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(LTAC)、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド(MTAB)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(STAC)などを用いることができる。
界面活性剤の赤血球膜に対する溶解力は、主として、界面活性剤に含まれる炭素数に依存する。具体的には炭素数が大きくなる程、第4級アンモニウム塩の場合には直鎖アルキル基部分の炭素鎖が長くなる程に溶解力が強くなるが、常温で固形化しやすくなる。そこで、炭素数が小さい界面活性剤を赤血球膜部分溶解試薬に用いることにより、溶媒に対する赤血球膜部分溶解試薬の溶解度を高め、また赤血球膜への影響力を調整することができる。
従って、前記第一の界面活性剤及び前記第二の界面活性剤が長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩の場合には、前記第二の界面活性剤の長鎖アルキル基の炭素数を、前記第一の界面活性剤の長鎖アルキル基の炭素数より少なくすることが好ましい。
具体的には、前記第一の界面活性剤が、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(STAC)であり、前記第二の界面活性剤が、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(LTAC)である組合わせが好ましく用いられる。
第1界面活性剤と第2界面活性剤の組み合わせ及び試薬におけるこれらの界面活性剤の各濃度は、具体的に組み合わせて、蛍光色素が赤血球内に透過でき且つ赤血球の形状を維持できる程度に赤血球膜が溶解されているように選択する。例えば、炭素数21(最も長いアルキル基が18炭素鎖)のSTACと炭素数15(最も長いアルキル基が12炭素鎖)のLTACの組み合わせの場合には、STAC40〜600ppmとLTAC500〜1400ppmの範囲で混合した条件が好ましく用いられる。
本発明の赤血球膜部分溶解試薬は、pHを5〜7に保つために緩衝剤を含有することができる。このようなpH範囲を保つことにより、マラリア原虫を赤血球内部に保持した状態で蛍光色素が透過できるように、赤血球の細胞膜を部分的に溶解することができる。
前記緩衝剤としては、クエン酸、リン酸、コハク酸、トリシンなどを用いることができる。pHを調節するために、塩酸や水酸化ナトリウム等をpH調節剤として添加してもよい。
さらに、本発明の赤血球膜部分溶解試薬は、浸透圧を200〜300mOsm/kg・HOの範囲に保つために、浸透圧調節剤が含有されていることが好ましい。浸透圧200mOsm/kg・HO未満では、試薬又は血液中の液体成分が赤血球内に取り込まれて、膨張する傾向にあり、赤血球の低張溶解が生じる可能性がある。300mOsm/kg・HO超ではマラリア原虫検出のための後述の蛍光色素が赤血球内に進入しにくくなり、また赤血球の収縮による構造変化が生じる可能性がある。
浸透圧調節剤としては、塩化ナトリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物や塩化マグネシウム等のアルカリ土類ハロゲン化物、プロピオン酸等のカルボン酸金属塩、グルコース、マンノース等の糖類が好ましく用いられる。
さらに、必要に応じて、2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウムやβ−フェネチルアルコール等の防腐剤を含有してもよい。
また、pH、浸透圧に影響を与えない範囲で、濃度調整のために、精製水、エタノールなどで希釈されていてもよい。
本発明の赤血球膜部分溶解試薬には、さらに、実質的に赤血球の細胞膜を溶解しないノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、マラリア感染赤血球を、マラリア原虫の生育段階に応じてより的確に分類できるようになる。
ノニオン界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレイン酸エステル等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン(30)水素化ひまし油、ポリオキシエチレン(50)水素化ひまし油等のひまし油;ポリオキシエチレン(20)フィトステロール(以下、「POE(20)フィトステロール」と略記する)、ポリオキシエチレン(25)フィトスタノール(以下、「POE(25)フィトスタノール」と略記する)等のポリオキシエチレンフィトステロール類;ポリオキシエチレン(21)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(16)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレン(20)・ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレン(10)モノラウリン酸エステル等のポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが好ましく用いられる。尚、ポリオキシエチレンの( )内の数値は、ポリエチレン鎖部分の炭素数を示している。
試薬中のノニオン界面活性剤の濃度は、100〜5000ppmであることが好ましく、500〜3000ppmであることがより好ましい。
〔検出用試薬〕
本発明のマラリア感染赤血球検出用試薬は、上記本発明の赤血球膜部分溶解試薬とDNA選択的蛍光色素、好ましくはDNA選択的ビスベンズイミド系蛍光色素を含有する。
DNA選択的蛍光色素とは、RNAよりもDNAを強く染色する蛍光色素で、DNA選択的ビスベンズイミド系蛍光色素とは骨格がビスイミド系のものである。
このような色素としては、例えば、下記式のような構造を有する色素(例えばInvitrogen社のヘキスト34580)が好ましく用いられる。
DNA選択的ビスベンズイミド系蛍光色素には、上記色素の他、ヘキスト33258、ヘキスト33342が挙げられる。これらの色素は、ヘキスト34580と側鎖が異なるが、青色波長(405nm)で励起可能である。
赤血球には核がないので、DNA選択的蛍光色素によって染色されることがない。一方、マラリア感染赤血球は、赤血球内に進入したマラリア原虫のDNAが染色される。従って、感染赤血球は、DNA選択的蛍光色素によって染色されるのに対し、非感染赤血球では染色されないので、後述するフローサイトメータで得られるスキャッタグラムにおける蛍光強度の差違に基づいて、両者を判別することができる。
従来用いられていた核酸蛍光色素では、RNAが残存している網状赤血球も染色されてしまうので、スキャッタグラムでは、感染赤血球が現れる領域に、網状赤血球に相当するドットも現れることになるため、感染赤血球が現れる領域に、網状赤血球が含まれることになる。網状赤血球は、通常、赤血球の1%ぐらい存在する一方、感染率も通常1%程度であることから、網状赤血球を感染赤血球と間違えてしまうおそれがあり、検出感度の低下、感染率算出の精度低下の原因となる。
この点、本発明の検出用試薬では、DNA選択的蛍光色素を用いているので、スキャッタグラムにおいて網状赤血球は正常赤血球と同様の領域に現れることになり、網状赤血球に起因する感染率の精度低下を防止することができる。
本発明の検出用試薬は、上記DNA選択的蛍光色素と上記赤血球膜部分溶解試薬とを含む1液タイプの試薬であってもよいし、DNA選択的蛍光色素と赤血球膜部分溶解試薬とを別々の容器に収容した試薬キットとしてもよい。試薬キットとして用いる場合、測定前に試料とこれらの試薬とを混合して使用することができる。DNA選択的蛍光色素には、溶媒として、エチレングリコール等のアルコール、精製水、緩衝剤などが含まれていてもよい。
〔マラリア原虫感染赤血球の検出方法〕
本発明のマラリア原虫感染赤血球の検出方法は、RNAよりもDNAを強く染色するDNA選択的蛍光色素を含み且つマラリア原虫を内部に保持した状態で前記蛍光色素が透過できるように赤血球の細胞膜を部分的に溶解することができる試薬と、マラリアに感染した赤血球を含む試料とを混合して、測定試料を調製する工程;前記測定試料に光を照射して散乱光情報及び蛍光情報を取得する工程;並びに前記散乱光情報及び蛍光情報に基づいてマラリアに感染した赤血球を検出する工程を含む。
上記測定試料調製工程は、所定の対象者から採取された全血検体を、上記本発明のマラリア原虫の検出用試薬と混合して測定試料を調製する工程である。測定試料の調製工程では、試料中のマラリアに感染した赤血球の細胞膜を、マラリア原虫を内部に保持でき且つ蛍光色素が透過できるように部分的に溶解し、RNAよりもDNAを強く染色するDNA選択的蛍光色素を用いて前記マラリア原虫のDNAを蛍光染色する。具体的には、測定試料は、全血検体と検出用試薬を混合後、通常、例えば40秒間インキュベートすることによって測定試料が調製される。インキュベートの間に、血液中のDNAを有する細胞が染色されることから、全血検体では、白血球及びマラリア感染赤血球が染色されることになる。
ここで、感染赤血球には、図1に示すマラリア原虫の生活環に示すリングフォーム、トロポゾイト、又はシゾントが含まれることになる。また、リングフォームを含む感染赤血球には、1個の赤血球に1つのマラリア原虫が入り込んだリングフォーム(シングル)の他、2つ以上のマラリア原虫が侵入したリングフォーム(マルチ)がある。このような赤血球内生活環を示すマラリア原虫を含む赤血球は、マラリア原虫の成育段階によってDNAの総量が異なるので、それぞれ異なった蛍光強度を示す。また、リングフォーム(シングル)とリングフォーム(マルチ)もそれぞれ異なる量のDNAを有しているため、異なった蛍光強度を示す。
また、リングフォーム、トロポゾイド、シゾントとマラリア原虫が成育するに従って感染赤血球のサイズが大きくなるので、それぞれ異なった散乱光強度を示す。以上より、DNA量を反映する蛍光強度と、細胞サイズを反映する散乱光強度とに基づいてマラリア原虫感染赤血球をマラリア原虫の成育段階毎に分類することが可能である。
測定試料からの散乱光情報及び蛍光情報の取得は、測定試料をフローサイトメータのフローセルに導入し、前記フローセル内を流れる前記測定試料に前記蛍光色素の蛍光を励起する励起光を照射することにより行なうことが好ましい。また、取得した散乱光情報及び蛍光情報に基づいてマラリア感染赤血球を検出する工程は、散乱光強度と蛍光強度とを二軸とする散布図を作成し、マラリア感染赤血球が含まれる領域を特定することにより行なうことが好ましい。特定した感染赤血球領域内の細胞数を計数することにより、感染率を知ることができる。さらに、領域の特定について、マラリア原虫の成育段階毎に感染赤血球を細分類し、それぞれの生育段階のマラリア原虫が感染した赤血球が出現する領域を特定して、各領域内の細胞数を計数してもよい。
図2に示す散布図の具体例に基づいて、説明する。図2は、熱帯熱マラリアの血液検体を含んでいる測定試料をフローセルに導入し、フローセル内を流れる前記測定試料に、検出用試薬に含まれる蛍光色素を励起する励起光を照射し、測定試料から発せられる散乱光と蛍光を検出し、散乱光強度(縦軸)と蛍光強度(横軸)を2軸として作成された散布図である。
図2において、マラリアに感染していない赤血球は、蛍光強度の低い領域に出現し、リングフォーム、トロポゾイド、シゾントとマラリア原虫が生育するに従って蛍光強度が大きい領域、さらにはサイズ(散乱光強度)が大きい領域に出現する。リングフォームについては、サイズ(散乱光強度)は同等のままで、シングルよりもダブル、マルチのものが蛍光強度の大きい方に出現することになる。また、白血球はそのサイズ及びDNA量から、蛍光強度及び散乱光強度いずれも大きい領域に出現する。
このような領域に存在する細胞を特定するために、スキャッタグラムを各領域のゲートで区切る。測定試料のフローサイトメータにかけて、得られた二次元散布図において、感染赤血球のゲート領域内のドットの有無に基づいて、マラリアに感染しているかどうかを判断することができる。
さらに、感染赤血球のゲート領域のうち、リングフォーム(マルチ)に存在するドットが多い場合には、熱帯熱マラリアと判断することができる。熱帯熱マラリアは他のマラリアと比べて、リングフォーム(マルチ)が多い傾向にあることが経験的に知られていることに基づく。
またさらに、感染赤血球ゲート領域、後述する感染率の算出方法に応じて非感染赤血球ゲート領域、白血球ゲート領域に存在するドット数を計数し、感染率を算出することができる。
本発明のマラリア原虫の検出方法では、感染赤血球を溶血して遊離したマラリア原虫に基づいて検出するのではなく、感染赤血球の形態を保持したままで、フローサイトメータにかけるので、作成した散布図において、マラリア生育段階を把握することができる。従って、感染した原虫の生育状態や感染した原虫の数に依存せず、それぞれ感染赤血球1個と計数するため、顕微鏡観察のときに匹敵する感染率を求めることができる。
〔感染率の算出方法〕
感染率は以下の方法A〜Cのいずれかにより求められる。
方法A:白血球濃度と赤血球濃度の比率を利用する方法
方法Aは、予め検体の赤血球濃度RBCと白血球濃度WBCを測定しておき、その比率を利用して、フローサイトメータで作成したスキャッタグラムに基づいて感染率を求める方法である。
まず、対象となる検体を血球計数器(例えば既存のシスメックス社のXE−2100など)で測定し、白血球濃度WBC(/μL)、赤血球濃度RBC(/μL)を求める。
一方、本発明によるゲートで各細胞領域を区切ったスキャッタグラム(図3)から、各細胞領域内のドットを計数して、白血球粒子数(W1ゲート内ドット数)W、マラリア感染赤血球数(M1ゲート領域内ドット数)Mを求める。
さらに、上記で求めたWBCとRBCの比率及び白血球数Wから、式1により測定試料に含まれる赤血球数xを求める。
x = (W×RBC)/WBC (式1)
赤血球数xと上記で得られた感染赤血球数Mから、感染率Ratioを式2に基づいて算出する。式中、Kは、測定装置内部での損失等を考慮して決定される補正定数である。
Ratio= K×M/x×100 (式2)
式1及び式2から、あるいは直接、式3により感染率を求めることができる。
Ratio=K×(M×WBC)/(W×RBC)×100 (式3)
同様にして、スキャッタグラムから、所定の生育段階にあるマラリア原虫を含む赤血球の数、すなわちリングフォーム(シングル)を含む赤血球の数(R1ゲート内ドット数)R1、シングルフォーム(マルチ)を含む赤血球の数(R2ゲート内ドット数)R2、トロポゾイトを含む赤血球の数(Tゲート内ドット数)T、シゾントを含む赤血球の数(Sゲート内ドット数)Sを計数し、赤血球中の各生育段階の感染率を求めることができる。
Mr:マラリア感染RBCに占めるリングフォームを含む赤血球の比率 (%)
Mr=(R1+R2)/M×100
Mt:マラリア感染RBCに占めるトロポゾイトを含む赤血球の比率 (%)
Mt=T/M×100
Ms:マラリア感染RBCに占めるシゾントを含む赤血球の比率 (%)
Ms=S/M×100
さらに、リングフォーム(R1+R2)を含む赤血球(R1+R2)のうちのリングフォーム(マルチ)の割合Mrm(%)は、下記式4により算出できる。
Mrm=R2/(R1+R2)×100 (式4)
方法B:絶対的定量法
予め、検体の赤血球濃度RBCを測定し、測定試料の調製に使用する検体の容積から測定試料中に含まれる赤血球数を算出して、図3のスキャッタグラムから計数される感染赤血球数との割合を求める方法である。
方法Aと同様にして、赤血球濃度RBCを測定し、次いで本発明によるスキャッタグラム及び特定した測定領域に基づいて、感染赤血球数Mを求め、測定試料の調製に供した検体容積V(μL)とから、下式5により、感染率Ratioを求める。
Ratio=K×M/(RBC×V)×100 (式5)
また、各生育段階の感染率を求める場合には、方法Aと同様にして、スキャッタグラムから、所定の生育段階にあるマラリア原虫を含む赤血球、すなわちリングフォーム(シングル)を含む赤血球の数R1、リングフォーム(マルチ)を含む赤血球の数R2、トロポゾイトを含む赤血球の数T、シゾントを含む赤血球の数Sを計数し、方法Aで示した、各生育段階の感染率を求める式を用いて、各生育段階の感染率を求めることができる。リングフォームを含む赤血球のうちのリングフォーム(マルチ)の割合Mrm(%)も、上記式4により同様にして求めることができる。
この方法では、方法Aと比べて白血球濃度を測定しなくてもよいというメリットがあるが、測定試料に供するサンプル量を正確に計量する必要がある。
方法C:赤血球カウント法
測定試料中の赤血球数と感染赤血球数を計数し、それから感染率を算出する方法である。
図3のスキャッタグラムから、非感染赤血球数(GHOゲート領域内ドット数)G、感染赤血球数(M1ゲート内ドット数)Mを計数して、式6によりマラリア感染率Ratioを求める。
Ratio=M/(G+M)×100 (式6)
各生育段階の感染率を求める場合には、方法Aと同様にして、各生育段階のドット数を計数し、方法Aで示した式により算出すればよい。また、リングフォームを含む赤血球のうちのリングフォーム(マルチ)の割合Mrm(%)も、上記式4により同様にして求めることができる。
〔フローサイトメータ〕
本発明の検出方法で使用するフローサイトメータは、特に限定しないが、例えば特開2004−105027に開示されている装置、すなわち、測定試料を導入するためのフローセルと、フローセル内を流れる測定試料中の細胞に励起光を照射するための光源;励起光を照射された前記細胞より発せられる散乱光強度を検出するための第1の検出器;励起光を照射された前記細胞より発せられる蛍光光強度を検出するための第2の検出器;散乱光強度と蛍光強度を二軸とする散布図を作成し、前記散布図上でマラリア非感染赤血球領域及び感染赤血球領域を特定し、計数する解析部;を備えた装置を用いることができる。
図4は、本発明で使用されるフローサイトメータの光学系の一例である。
図4において、励起光源(例えば青色レーザダイオード:波長405nm)21から出射されたビームは、コリメートレンズ22を介してシースフローセル23のオリフィス部を照射する。ノズル6から吐出されたオリフィス部を通過する血球から発せられる前方散乱光は集光レンズ24とピンホール板25を介して前方散乱光検出器(フォトダイオード)26に入射する。一方、オリフィス部を通過する血球から発せられる側方散乱光は、集光レンズ27とダイクロイックミラー28とフィルタ29とピンホール板30を介して側方蛍光検出器(フォトマルチプライアチューブ)31に入射する。また、オリフィス部を通過する血球から発せられる側方蛍光は、集光レンズ27とダイクロイックミラー28とフィルタ29とピンホール板30を介して側方蛍光検出器(フォトマルチプライアチューブ)31に入射する。前方散乱光検出器26から出力される前方散乱光信号と、側方散乱光検出器29から出力される側方散乱光信号と、側方蛍光検出器31から出力される側方蛍光信号とは、それぞれアンプ32,33,34により増幅され、解析部35に入力される。
ここで、解析部35は、入力された前方散乱光信号及び側方蛍光信号からそれぞれ前方蛍光強度及び蛍光強度を算出し、前方散乱光強度及び蛍光強度をそれぞれパラメータとする二次元散布図(スキャッタグラム)を作成して、図示しない表示部に表示させるとともに、その二次元散布図に設定される任意の領域内のドット数(粒子数)を計数し、所望の演算を行ない、計数結果や演算結果を表示部に表示させる。
さらに、フローサイトメータにCCDカメラ及び画像解析部が備えられていることが好ましい。本発明の検出方法では、赤血球の形状が維持された状態でフローサイトメータに導入することから、感染赤血球の画像を表示解析することにより、リングフォーム(マルチ)の存在、リングフォーム(シングル)とリングフォーム(マルチ)の差違、トロポゾイドを含む赤血球、シゾントを含む赤血球などの形態を、画像で区別することが可能である。
尚、上記実施形態では、リングフォーム(シングル)の領域及びリングフォーム(マルチ)の領域を特定しているが、これらのうちの何れか一方の領域のみを特定してもよい。
〔検出用試薬〕
1:界面活性剤濃度について
表1に示す組成を有する赤血球膜部分溶解試薬において、界面活性剤の濃度を表2に示すように変え、塩酸量によりいずれもpH6.1に調整した試薬No.1〜5を調製した。検体a(ヒト全血)、検体b(ヒト全血に培養マラリア原虫を添加)それぞれ20μlに、色素としてヘキスト34580(Invitrogen社:励起波長392nm、蛍光波長498nm)をエチレングリコールで溶解した色素液(0.5mg/ml)2μlと、前記試薬No.1〜5を1ml添加し、40℃、40秒間混合して、測定試料とした。この測定試料を、光源として青半導体レーザ(波長405nm)を用いたフローサイトメータにかけて測定した。
各試薬No.1〜5について、各検体a、bで得られたスキャッタグラムを、それぞれ図5〜図9に示す。各図において、(a)は検体a、(b)は検体bのスキャッタグラムである。また、図中、GHOゲート領域は、非感染赤血球の領域であり、W1ゲート領域は白血球の領域であり、M1は感染赤血球の領域である。
図5〜図9からわかるように、低濃度の界面活性剤1種類で、マラリア感染赤血球を検出できた。しかし、界面活性剤を1種類しか含まない試薬(No.1,2)を用いた場合では、非感染赤血球の一部がマラリア感染赤血球球領域(M1)に入り込むため、より低感染率の検体におけるマラリア感染赤血球の検出が困難である。一方、2種類の界面活性剤を含有させた試薬(No.3〜5)では、図7のようにマラリア感染赤血球、非感染赤血球、白血球がそれぞれの領域にゲーティングされる場合もあったが、図8及び図9に示されるように、マラリア感染赤血球の一部が非感染赤血球領域(GHO)に入り込むことがあった。従って、精度の高い感染率算出のためには、界面活性剤を2種類以上混合し、個々の濃度のバランスをとった赤血球膜部分溶解試薬を用いる必要がある。
2:試薬pHについて
表1に示す組成を有する赤血球膜部分溶解試薬において、界面活性剤としてSTAC90ppm、LTAC900ppmを含み、さらに塩酸量を変えることにより、表3に示すように、pHを調節した試薬No.11〜13を調製した。検体a(ヒト全血)、検体b(ヒト全血に培養マラリア原虫を添加)それぞれ20μlに、上記1で用いた蛍光色素(ヘキスト34580)液2μlと、前記試薬No.11〜13を1ml添加し、40℃、40秒間混合して、測定試料とした。この測定試料を、光源として青半導体レーザを用いたフローサイトメータにかけて測定した。
各試薬No.11〜13について、各検体a、bで得られたスキャッタグラムを図10〜図12に示す。各図において、(a)は検体a、(b)は検体bのスキャッタグラムである。また、図中、GHOゲート領域は、非感染赤血球の領域であり、W1ゲート領域は白血球の領域であり、M1は感染赤血球の領域である。
図10〜12の比較からわかるように、検体bについて、GHO領域と区別して、M1領域に現れるようにするためには、試薬No.12でなければならないことがわかる。
3.試薬の浸透圧について
浸透圧は、Advanced Instruments社のAdvanced 3D3 Osmometer(凝固点降下法)で測定した。
表1に示す組成を有する赤血球膜部分溶解試薬(界面活性剤としてSTAC90ppm、LTAC900ppm、pH6.1)に、塩化ナトリウムの量を変えて混合することにより、表4に示すように浸透圧を変えた試薬No.21〜23を調製した。検体a(ヒト全血)、検体b(ヒト全血に培養マラリア原虫を添加)それぞれ20μlに、上記1で用いたヘキスト34580色素液2μlと、前記試薬No.21〜23を1ml添加し、40℃、40秒間混合して、測定試料とした。この測定試料を、光源として青色半導体レーザを用いたフローサイトメータにかけて測定した。
各試薬No.21〜23について、各検体a、bで得られたスキャッタグラムを図13〜図15に示す。各図において、(a)は検体a、(b)は検体bのスキャッタグラムである。また、図中、GHOゲート領域は、非感染赤血球の領域であり、W1ゲート領域は白血球の領域であり、M1は感染赤血球の領域である。
図13〜15との比較からわかるように、検体bについて、GHO領域と区別して、MI領域に現れるようにするためには、試薬No.22でなければならないことがわかる。
〔多重感染マラリア赤血球の検出〕
実施例1:
表1に示す組成において、界面活性剤としてSTAC90ppm及びLTAC900ppmを含有する赤血球膜部分溶解試薬(pH6.1、浸透圧256mOsm/kg・HO)1mlと、上記で用いたヘキスト34580色素液2μlを混合して、検出用試薬を調製した。
ヒト全血に培養マラリア20μlを、40℃、40秒間混合した検体に、上記検出用試薬を混合して、測定試料とした。
この測定試料について、位相顕微鏡及び蛍光顕微鏡で観察したところ、マラリア感染赤血球の形状が保持されたリングフォーム(シングル)及びリングフォーム(マルチ)が認められた。それぞれの顕微鏡写真を図16及び図17に示す。
次に、この測定試料を、光源として青色半導体レーザを用いたフローサイトメータにかけて、横軸:蛍光強度、縦軸:散乱光強度とするスキャッタグラム作成し、図18に示すように各領域を特定した。R1ゲート領域(リングフォーム(シングル))、R2ゲート領域(リングフォーム(マルチ))のドット数を計数し、リングフォーム全体に示すリングフォーム(マルチ)の割合(R2/(R1+R2))を求めた。
同じマラリア感染検体について、塗抹標本を作製し、ギムザ染色を行ない、顕微鏡観察した。それぞれ2回ずつリングフォーム(シングル)及びリングフォーム(マルチ)をカウントして平均値を算出し、リングフォーム全体に示すリングフォーム(マルチ)の割合(R2/(R1+R2))を求めた。
スキャッタグラムに基づく計数結果及び顕微鏡観察に基づくカウント結果を、それぞれ表5に示す。
表5からわかるように、リングフォーム全体に示すリングフォーム(マルチ)の割合は、本発明の方法では18.6%であり、従来の顕微鏡観察の方法では19.2%であった。フローサイトメータを用いる本発明の測定方法で領域を特定して計数することにより、顕微鏡観察で形態を確認しつつカウントする場合と同程度の精度で、リングフォーム(マルチ)の割合を求めることが可能であることが確認できた。
実施例2〜4:
表1に示す組成において、界面活性剤としてSTAC281ppm、LTAC924ppmを含有する赤血球膜部分溶解試薬(実施例2)、実施例2の試薬にさらにPOE(20)フィトステロールを500ppm含有させた赤血球膜部分溶解試薬(実施例3)、及び実施例2の試薬にさらにPOE(25)フィトスタノールを500ppm含有させた赤血球膜部分溶解試薬(実施例4)を調製した。実施例2〜4の赤血球膜部分溶解試薬のpHは6.1、浸透圧は257mOsm/kg・HOであった。これらの試薬のいずれか1mlと、上記で用いたヘキスト34580色素液2μlを混合して、検出用試薬を調製した。
測定試料として、三日熱マラリアに感染した患者から採取した検体(三日熱マラリア感染検体)を用いた。
次に、この測定試料を上記検出用試薬と混合した後、光源として青色半導体レーザを用いたフローサイトメータに導入し、横軸:蛍光強度、縦軸:散乱光強度とするスキャッタグラムを作成した。実施例2〜4の試薬を用いた際のスキャッタグラムを、それぞれ図19〜21に示す。そして、このスキャッタグラムに基づいて、上記の方法Aを使用して、マラリア粒子のカウント数およびマラリア感染率を求めた。なお、方法Aによる感染率の算出に用いられる補正定数Kは1である。これらの結果を表6に示す。また、同じ検体について塗抹標本を作製し、ギムザ染色を行ない、顕微鏡観察(目視)により算出した感染率の結果も、あわせて表6に示す。
表6に示すように、算出されたマラリア感染率は、実施例2の試薬を用いた場合には0.31%であり、実施例3の試薬を用いた場合には0.29%、実施例4の試薬を用いた場合には0.28%であり、従来の顕微鏡観察(目視)の方法では0.28%であった。本発明の検出試薬(実施例2〜4)を用いて測定試料を調製し、フローサイトメータを利用して算出された感染率は、顕微鏡観察で形態を確認しつつカウントすることにより求められた感染率と、同程度の精度を有することが確認できた。また、ノニオン界面活性剤を添加した試薬(実施例3、4)を用いることにより、スキャッタグラム上で各生育段階のマラリア感染赤血球の集団をより明確に識別することができ、生育段階毎のマラリア感染赤血球の分類性能が向上することが確認できた。
本発明の赤血球膜部分溶解試薬は、赤血球の形状を保持したままフローサイトメータに適用できる測定試料を調製できるので、細胞の蛍光強度に基づく分布だけでなく、赤血球の形態を観察したい場合にも利用できる。
本発明の検出方法は、所定の生育段階のマラリア原虫を含む赤血球の存在割合、感染率を、形態を実際に観察しながらカウントする顕微鏡観察に匹敵する精度で、迅速かつ簡易に知ることができる。また、本発明の方法は、熱帯熱マラリアの感染赤血球と、他のマラリアの感染赤血球を区別することも可能である。
以上より、顕微鏡観察を行なう技術者の技能によって、結果の再現性が悪い点や検出限界感度が異なるなどの問題を回避できる。また、技術者の主観に基づく判断を防止して、より客観的な検査結果を提供できる。実際の医療現場では、迅速な診断、さらには薬剤投与量、投与スパンなどの治療方法の選択決定に利用できる。
また、本発明の検出方法は、例えば、マラリアの感染メカニズムや抗マラリヤ薬の創薬など、マラリア原虫の感染率及び生育状態を確認する必要がある研究分野で利用できる。例えば、マラリア治療薬の開発時に、本発明の方法でマラリア感染赤血球をマラリア原虫の生育段階毎に精度良く分類することにより、効果の高い治療薬の選別を行なうことができる。具体的には、培養したマラリア原虫を赤血球に感染させると、各生育段階のマラリア感染赤血球が検出されるが、ここに所定のマラリア治療薬を添加すると、リングフォームのみしか検出されない場合がある。このような場合、このマラリア治療薬が、リングフォームからトロポゾイドへの生育を阻害していると考えられる。また、マラリア治療薬を添加しても依然として各生育段階のマラリア感染赤血球が同程度検出される場合は、この治療薬はマラリアの成長を阻害する作用が小さい薬剤であると考えられる。
マラリア原虫の赤血球内の生活環を示す概要図である。 マラリア感染血液を本発明の検出方法で検出した場合に得られるスキャッタグラムの一例である。 感染率の算出方法を説明するためのスキャッタグラムである。 本発明に検出方法で使用されるフローサイトメータの一例の構成を示す図である。 試薬No.1を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.2を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.3を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.4を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.5を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.11を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.12を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.13を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.21を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.22を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 試薬No.23を用いて得られた測定試料のスキャッタグラム。 実施例1の検体に存在するリングフォーム(シングル)の(a)位相差顕微鏡写真(倍率1000倍)代用図面、及び(b)蛍光顕微鏡写真(倍率1000倍)代用図面である。 実施例1の検体に存在するリングフォーム(ダブル)の(a)位相差顕微鏡写真(倍率1000倍)代用図面、及び(b)蛍光顕微鏡写真(倍率1000倍)代用図面である。 実施例1で得られたスキャッタグラムである。 実施例2で得られたスキャッタグラムである。 実施例3で得られたスキャッタグラムである。 実施例4で得られたスキャッタグラムである。
符号の説明
21 光源
26 散乱光検出器
31 蛍光検出器
35 解析部

Claims (14)

  1. 試料中の赤血球の細胞膜を部分的に溶解するための試薬であって、
    前記赤血球の細胞膜に対して所定の溶解力を有する第一の界面活性剤と、
    該第一の界面活性剤よりも溶解力が弱い第二の界面活性剤とを含み、
    pH5〜7であり、浸透圧が200〜300mOsm/kg・HOであり、
    マラリア原虫を赤血球内部に保持した状態で蛍光色素が透過できるように、赤血球の細胞膜を部分的に溶解する赤血球膜部分溶解試薬。
  2. 前記第一の界面活性剤及び前記第二の界面活性剤が長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩であり、
    前記第二の界面活性剤の長鎖アルキル基の炭素数は、前記第一の界面活性剤の長鎖アルキル基の炭素数より少ない、請求項1に記載の赤血球膜部分溶解試薬。
  3. 前記第一の界面活性剤が、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドであり、
    前記第二の界面活性剤が、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドである請求項1又は2記載の赤血球膜部分溶解試薬。
  4. 実質的に赤血球の細胞膜を溶解しないノニオン界面活性剤をさらに含む請求項1〜3の何れかに記載の赤血球膜部分溶解試薬。
  5. 前記ノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル型界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型界面活性剤、ポリオキシエチレンフィトステロール型界面活性剤、及びひまし油からなる群より選ばれる請求項4に記載の赤血球膜部分溶解試薬。
  6. 前記ノニオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン水素化ひまし油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテル、およびポリオキシエチレンモノラウリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項4に記載の赤血球膜部分溶解試薬。
  7. マラリア原虫に感染した赤血球を検出するための試薬であって、
    請求項1〜6の何れかに記載の赤血球膜部分溶解試薬と、RNAよりもDNAを強く染色するDNA選択的蛍光色素とを含むマラリア感染赤血球検出用試薬。
  8. 前記DNA選択的蛍光色素が、下式で示される蛍光色素である請求項7記載のマラリア感染赤血球検出用試薬。
  9. RNAよりもDNAを強く染色するDNA選択的蛍光色素を含み且つマラリア原虫を内部に保持した状態で前記蛍光色素が透過できるように赤血球の細胞膜を部分的に溶解することができる試薬と、マラリアに感染した赤血球を含む試料とを混合して、測定試料を調製する工程;
    前記測定試料に光を照射して散乱光情報及び蛍光情報を取得する工程;及び
    前記散乱光情報及び蛍光情報に基づいてマラリアに感染した赤血球を検出する工程;
    を含むマラリア感染赤血球の検出方法。
  10. 前記取得工程において、前記測定試料をフローサイトメータのフローセルに導入し、前記フローセル内を流れる前記測定試料に前記蛍光色素の蛍光を励起する励起光を照射し、前記測定試料中の赤血球から散乱光情報及び蛍光情報を取得し、
    前記検出工程において、前記散乱光情報及び前記蛍光情報に基づいて、マラリアに感染した赤血球が含まれるマラリア感染赤血球領域を特定する、
    請求項9に記載の検出方法。
  11. 前記検出工程において、前記散乱光情報および前記蛍光情報を二軸とする散布図を作成し、前記散布図中に、マラリアに感染した赤血球が含まれるマラリア感染赤血球領域を設定し、前記マラリア感染赤血球領域内のマラリアに感染した赤血球を検出する、請求項10に記載の検出方法。
  12. 前記マラリア感染赤血球領域のうち、リングフォーム(シングル)を含む赤血球の領域及びリングフォーム(マルチ)を含む赤血球の領域を特定する工程をさらに含む請求項10又は11記載の検出方法。
  13. 前記マラリア感染赤血球領域に含まれる赤血球数(感染赤血球数M)を計数し、前記試料におけるマラリア感染赤血球の割合(感染率)を算出する、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記試薬には、赤血球の細胞膜に対して所定の溶解力を有する第一の界面活性剤と、前記第一の界面活性剤よりも溶解力の弱い第二の界面活性剤とが含有されている請求項9〜13の何れかに記載の方法。

JP2006051981A 2005-03-29 2006-02-28 マラリア感染赤血球の検出方法並びにこれに使用する検出用試薬及び赤血球膜部分溶解試薬 Active JP4969115B2 (ja)

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