JPH1175892A - マラリア原虫の検出方法 - Google Patents

マラリア原虫の検出方法

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JPH1175892A
JPH1175892A JP9250759A JP25075997A JPH1175892A JP H1175892 A JPH1175892 A JP H1175892A JP 9250759 A JP9250759 A JP 9250759A JP 25075997 A JP25075997 A JP 25075997A JP H1175892 A JPH1175892 A JP H1175892A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マラリア原虫を迅速かつ簡単に、遠心分離操
作無しにフローサイトメータで検出する方法を提供す
る。 【解決手段】 試料中の赤血球を界面活性剤を含むマラ
リア原虫測定用試薬で溶解してマラリア原虫を遊離さ
せ、遊離したマラリア原虫を核酸染色性色素を用いて染
色し、染色した試料をフローサイトメトリにより測定す
ることからなるマラリア原虫の検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料中のマラリア
原虫を迅速かつ特異的に検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マラリアは熱帯・亜熱帯地方に広く分布
する寄生虫感染症である。その病原体は胞子虫類に分類
されるマラリア原虫であり、ハマダラカに媒介され感染
する。WHOの統計によれば世界人口の40%以上が居
住する90ヶ国がその汚染地である。そのため年間3〜
5億人程度が罹患し、死亡者は150〜300万人に至
っている。
【0003】マラリアの症状としては特有の熱発作とそ
れに引き続いて起こる脾腫や貧血を呈する。特に悪性マ
ラリアと呼ばれる熱帯熱マラリアにおいては、発症後数
時間以内に治療を開始しないと重篤な症状や合併症に陥
り死に至る場合もある。このことから、マラリアの特に
熱帯熱マラリアの早期の診断は重要である。
【0004】マラリア原虫をもつハマダラカに吸血され
ると、ハマダラカの唾液とともに原虫のヒトへの感染型
であるスポロゾイトが血中に注入される。スポロゾイト
は血流により肝細胞に運ばれ、肝細胞内に侵入する。そ
の後細胞分裂によりメロゾイト(分裂小体:merozoit
e)を形成し、血中に放出する。メロゾイトは血中にて
直ちに赤血球内に侵入して赤内型の生活史を開始する。
赤内型の生活史では輪状体(ring form)、栄養体(tro
phozoite)、分裂体(schizonte)と発育しメロゾイト
を赤血球外に放出する。このとき同時に赤血球の破壊を
招く。血中に放出されたメロゾイトは新たに赤血球に侵
入し、再び赤内型生活史を開始する。マラリア原虫はこ
のサイクルを繰り返すことにより増殖し、血中の赤血球
を破壊し続ける。一方メロゾイトの一部は赤血球に感染
することなく、生殖母体(gametocyte)と呼ばれる形態に
分化する。生殖母体はハマダラカの吸血により更なる感
染の母体となる。
【0005】マラリアを診断する方法として、従来から
目視による顕微鏡観察法が挙げられる。血液塗抹標本を
ギムザ染色し、顕微鏡で観察することによりマラリア原
虫が感染している赤血球を検出する方法である。
【0006】また、血液塗抹標本を核酸染色性蛍光色素
を用いて染色し、蛍光顕微鏡で観察する方法も挙げられ
る。しかしこれらの方法では、塗抹標本の作成、固定、
染色の工程を必要とし煩雑かつ時間が必要である。さら
に顕微鏡観察には熟練を要し、多数の赤血球を観察する
ために多くの時間を費やす。このため多数検体を処理す
ることは困難である。
【0007】近年DNAプローブ、間接蛍光抗体法、間
接赤血球凝集法等が開発されている。しかしこれらの方
法はその操作が煩雑であり、時間もかかり、高価である
ことが問題である。
【0008】前述の方法以外に、フローサイトメータを
用いてマラリア感染赤血球を測定する方法が開発されて
いる。これは核酸染色性色素により赤血球内のマラリア
原虫を特異的に染色し、色素の励起光を照射することに
よりマラリア原虫からの蛍光を検出する方法である。
【0009】J.W.Jacobbergerは蛍光色素として3,3'-di
methyloxacarbocyanineを使用してフローサイトメータ
でマラリア感染赤血球を検出する方法を開示している
(Cytometry,Vol.5:589-600, 1984)。この文献では網
状赤血球とマラリア感染赤血球がスキャッタグラム上で
重なった領域に出現することが示唆されている。
【0010】M.T.Maklerらは蛍光色素としてThiazole O
rangeを使用してマラリア感染赤血球を検出する方法を
開示している(Cytometry, Vol.8:568-570, 1987)。
この文献においても網状赤血球がマラリア感染赤血球に
影響を及ぼすことが記載されている。
【0011】J.M.WhaumらはAcridine Orangeを使用して
マラリア感染赤血球を検出する方法を開示している(Cy
tometry, Vol.4:117-122, 1983)。Acridine Orange
は、DNAに結合したときは緑蛍光を、RNAと結合したとき
は赤蛍光を発する。この文献ではこの性質を用いて、DN
AとRNAの両方をもつマラリア感染赤血球とRNAのみをも
つ網状赤血球を弁別することが可能であると記載されて
いる。
【0012】特開平6-300753号では、色素としてオーラ
ミンOと3,3'-diethyl-2,2'-oxacarbocyanine iodideを
使用してマラリア感染赤血球を検出する方法が開示され
ている。この方法では低濃度のオーラミンOによりマラ
リア感染赤血球のみを染色し、3,3'-diethyl-2,2'-oxac
arbocyanine iodideにより全体的な蛍光強度を増強し検
出可能とした。しかしこの方法ではマラリア未感染赤血
球と感染赤血球の弁別は十分明確ではない。
【0013】上記に記載されている方法は、網状赤血球
の影響、マラリア未感染赤血球と感染赤血球の弁別が十
分でないという問題に加えて、計数するマラリア感染赤
血球数が少ないことに由来する絶対的な感度が不十分で
ある。
【0014】これに対しP.H.Vianenらは、赤血球を、緩
衝剤、ホルムアルデヒドおよびジエチレングリコールを
含む溶血剤を用いて溶血し、マラリア原虫を遊離した
後、色素としてHoechst 33258を使用してマラリア原虫
を染色し、フローサイトメータで検出する方法を開示し
た(Cytometry, Vol.14:276-280, 1993)。この方法
ではマラリア未感染赤血球や網状赤血球の影響は無視す
ることができるものの、溶血、染色操作が煩雑であり、
数十分以上の時間が必要という問題がある。
【0015】英国特許GB2,270,752では、血液試料から
赤血球のみを分離するため遠心分離を行い、化学物質あ
るいは超音波による溶血処理後、既知の計数法により検
出を行う方法が開示されている。この方法は遠心分離操
作が必要であり、煩雑かつ時間が必要である。またこの
方法は、細胞の大きさを測定することにより検出を行っ
ている。
【0016】これらの溶血により遊離したマラリア原虫
を計数する方法では遠心分離、溶血操作という前処理が
必要であり、染色にも数十分以上必要という問題があ
る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶血
処理によりマラリア原虫を遊離させ、核酸染色性色素を
用いてマラリア原虫を迅速に特異染色し、遠心分離操作
無しにフローサイトメータで検出する方法を提供するこ
とである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、試料を
溶血剤により溶解処理を行うことによって、赤血球中の
マラリア原虫を遊離すると同時に、未感染赤血球・網状
赤血球の除去を行う。その後、マラリア原虫を核酸染色
性蛍光色素にて染色を行い、フローサイトメータに導入
し検出を行う。
【0019】すなわち、溶血剤としての界面活性剤及び
核酸染色性色素を含むマラリア原虫測定用試薬と、マラ
リア原虫を含む試料をマラリア原虫が特異的に染色され
る条件において混合することにより、試料中のマラリア
原虫を蛍光染色する工程及び蛍光染色されたマラリア原
虫を個々に検出する工程からなるマラリア原虫検出方法
を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】核酸染色性色素としては、核酸を
染色できる蛍光色素であれば特に限定はされるものでは
ない。例えば、Acridine Orange,Thiazole Orange,Et
hidium Bromide,Propidium Iodide,Auramine O,Hoec
hst 33258,Hoechst 33342,Rhodamine 123,DiOC1(3)
などがあげられる。なお、これらは、光源としてアルゴ
ンレーザ(488nm)を使用する場合に使用できる蛍光色素
である。他の波長の光源、例えば赤色レーザなどを使用
する場合には、それに合わせて使用可能な色素を適宜選
択すればよい。他の色素としては、Acridine homodime
r, Actinomycin D, 7-Aminoactinomycin D(7-AAD), 9-A
mino-6-chloro-2-methoxyacridine(ACMA), BOBO-1, BOB
O-3, BO-PRO-1, BO-PRO-3, 4',6-Diamidino-2-phenylin
dole(DAPI), Dihydroethidium, 4',6-(Diimidazolin-2-
yl)-2-phenylindole, Ethidium-acridine heterodimer,
Ethidium diazide, Ethidium homodimer-1, Ethidium
homodimer-2, Ethidium monoazide, Hexidium iodide,
Hydroxystilbamidine, methanesulfonate, LDS 751, Ol
iGreen ssDNA quantitation reagent, PicoGreen dsDNA
quantitation reagent, PO-PO-1, PO-PO-3, PO-PRO-1,
PO-PRO-3, SYTO 11 live-cell nucleic acid stain, S
YTO 12 live-cell nucleic acid stain, SYTO 13 live-
cell nucleic acid stain, SYTO 14 live-cell nucleic
acid stain, SYTO 15live-cell nucleic acid stain,
SYTO 16 live-cell nucleic acid stain, SYTO20 live-
cell nucleic acid stain, SYTO 21 live-cell nucleic
acid stain,SYTO 22 live-cell nucleic acid stain,
SYTO 23 live-cell nucleic acid stain, SYTO 24 live
-cell nucleic acid stain, SYTO 25 live-cell nuclei
c acidstain, SYTO 17 red fluorescent nucleic acid
stain, SYTOX Green nucleicacid stain, TO-PRO-1, TO
-PRO-3, TO-PRO-5, TO-TO-1,TO-TO-3, YO-PRO-1, YO-PR
O-3, YO-YO-1,YO-YO-3等が挙げられる。これらは、Mole
cular Probes, Inc.より入手できる。
【0021】核酸染色性色素の量は使用する色素の種類
によって異なるが、一般に試薬全量に対して0.001〜100
00ppm、好ましくは0.005〜1000ppm、より好ましくは0.0
1〜500ppmである。
【0022】界面活性剤は、赤血球を溶解する作用とと
もにマラリア原虫への色素の透過性を向上する作用があ
る。界面活性剤の種類は一般に赤血球を溶解する作用が
あるものであれば特に限定されるものではないが、アニ
オン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤やカチオン性
界面活性剤が好適に使用される。
【0023】例えばアニオン性界面活性剤では、一般式 R1-R2-(CH2CH2O)n-X
【化3】 で表されるポリオキシエチレン系アニオン界面活性剤
が、ノニオン性界面活性剤では、一般式 R1-R2-(CH2CH2O)n-H
【化4】 で表されるポリオキシエチレン系ノニオン性界面活性剤
が使用できる。上述のアニオン性界面活性剤およびノニ
オン性界面活性剤の濃度は、0.01〜15%、好ましくは0.
05〜10%の範囲で好適に使用される。
【0024】また、カチオン性界面活性剤では、一般式
a
【化5】 [式中、R1:C8〜C20のアルキル基、アルケニル基又は
アルキニル基;R2,R3およびR4:C1〜C8のアルキル基、
アルケニル基又はアルキニル基;X-:陰イオン基] 一般式b
【化6】 [式中、n:7〜19の整数;X-:陰イオン基]で表される
カチオン性界面活性剤が使用できる。好ましいR1として
は、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基
及びセチル基が挙げられる。好ましいR2〜R4としては、
メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプルピル基が
挙げられる。好ましい陰イオン基は、F-, Cl-, Br-, I-
などのハロゲンイオンの他に、CF3SO3 -, BF4 -, ClO4 -
どを含む。
【0025】界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤
が特に好適である。具体的には、オクチルトリメチルア
ンモニウムブロマイド(OTAB),デシルトリメチルアン
モニウムブロマイド(DTAB),ラウリルトリメチルアン
モニウムクロライド(LTAC),ミリスチルトリメチルア
ンモニウムブロマイド(MTAB)、セチルピリジニウムク
ロライド(CPC)などが挙げられる。
【0026】カチオン性界面活性剤濃度は、界面活性剤
に含まれるR1〜R4の総炭素数が増えるごとに、溶血力が
強くなることを考慮して決定すべきである。過剰な界面
活性剤濃度はマラリア原虫までも溶解するため好ましく
ない。本発明においては、例えば、MTAB(総炭素数17)
では300〜3000ppm,LTAC(総炭素数15)では300〜10000
ppm,DTAB(総炭素数13)では5000〜20000ppm,OTAB
(炭素数11)では21000〜40000ppmが好適である。
【0027】本発明の試薬には,pHを一定に保つため
の緩衝剤を含有することが出来る。緩衝剤はpHを一定
に保つことにより、安定したマラリア原虫の染色結果を
得るために使用される。通常数mMから100mM程度の
濃度で使用される。緩衝剤の種類は通常使用されるもの
であれば限定されるものではないが、染色するのに好適
なpHに応じて、例えば、カルボン酸類,リン酸,トリ
シンなどのグッドの緩衝剤,タウリンなどを使用するこ
とが出来る。好適なpHは使用する色素によって異なる
が、3〜11の範囲、好ましくは4〜9の範囲がよい。
【0028】また本発明の試薬には浸透圧補償剤を含有
することが出来る。浸透圧はマラリア原虫の低張溶解を
防止するために通常150〜600mOsm/kgの範囲に調整され
ていることが望ましい。浸透圧補償剤は特に制限される
ものではないが、例えばプロピオン酸等のアルカリ金属
塩、グルコース、マンノース等の糖類が好適である。Na
Clのようなアルカリ金属ハロゲン化物やアルカリ土類金
属ハロゲン化物も使用できる。さらに多価アニオンを使
用することもできる。多価アニオンとしては、硫酸イオ
ン、リン酸イオン、炭酸イオン及び多価カルボン酸イオ
ンが特に好適であり、これらを供給し得る化合物として
は、例えば、クエン酸、硫酸、リン酸、EDTAやこれらの
アルカリ金属塩等が挙げられる。
【0029】なお、緩衝剤で測定に適した浸透圧が維持
できる場合には、緩衝剤を浸透圧補償剤としても使用す
ることができる。
【0030】さらに本試薬には、上記構成要素以外に
も、必要に応じて防腐剤を含有することが可能である。
例えば2-ピリジルチオ-1-オキシドナトリウムあるいは
β−フェネチルアルコールが挙げられる。
【0031】本発明の方法に使用する試薬は上記各種成
分を含む1液構成とすることができるが、核酸染色性色
素が水溶液中で不安定な場合には、色素を適当な水溶性
の非水溶媒、例えばエタノール,ジメチルスルホキシド
あるいはエチレングリコール等に溶解して保存し、使用
時に他の成分を含有する水溶液と混合して使用すること
が可能である。
【0032】本発明の方法に用いる試薬を血液試料と混
合すると、速やかに赤血球の溶血が行われ、同時に核酸
の染色が行われる。即ち、感染赤血球の溶血によりマラ
リア原虫が遊離してその核酸が染色される。また、未感
染赤血球や網状赤血球も同時に溶血され、デブリスとな
る。この場合の反応温度は20〜50℃が好適である。ま
た、反応時間は反応温度が高いほど短時間であるが、5
〜300秒が好適である。より好適な条件は反応温度30〜4
0℃であり、反応時間は5〜30秒である。
【0033】測定に使用する機器は従来より公知のフロ
ーサイトメータが使用可能である。光源は使用する色素
に応じて選択されるべきである。試料の調製及び測定は
以下の工程からなる。
【0034】マラリア原虫測定用試薬と血液試料を混
合して測定用試料を調製する。 測定用試料をフローサイトメータに導入する。 シースフロー中を流れる細胞に励起光を照射し、細胞
が発する散乱光と蛍光を測定する。 散乱光強度と蛍光強度によりマラリア原虫と他の細胞
成分を弁別する。 工程における血液試料とは、測定対象となる血液成分
である赤血球を含有する試料の全てを示す。例えば、抗
凝固剤処理を行った末梢血液あるいはマラリア原虫を赤
血球に感染させて培養した培養液である。工程におけ
る散乱光は前方散乱光または側方散乱光のいずれでもよ
い。工程において散乱光強度と蛍光強度によりマラリ
ア原虫とデブリス(Debris:主に赤血球の残骸)を弁別
し、蛍光強度によりマラリア原虫と白血球を弁別する。
【0035】本発明の方法を用いると、マラリア原虫を
赤血球デブリスや白血球などの成分から弁別できるだけ
でなく、マラリア原虫の生活史を分類計数することがで
きる。3日熱マラリア,4日熱マラリア,卵型マラリア
では、in vitroの培養系及び患者の末梢血中で、全ての
生活史が出現する。しかし熱帯熱マラリアでは、培養系
では全ての生活史が出現するものの、末梢血中では輪状
体と生殖母体しか出現しない。
【0036】本発明の方法を用いると、これらのマラリ
ア原虫の生活史の分類が可能である。即ち、散乱光強度
と蛍光強度の違いにより、分裂小体,輪状体,分裂体,
生殖母体を弁別することが可能である。この生活史の分
類を用いることによりスキャッタグラムの出現パターン
から、末梢血において輪状体,生殖母体しか出現しない
熱帯熱マラリアと、全ての生活史が出現する他の3種の
マラリアとの弁別が可能である。とくに、熱帯熱マラリ
アは発症後すみやかに治療を開始することが必要なこと
から、本発明の方法により迅速に測定できることは、早
期に診断をする上できわめて有用である。
【0037】さらに本発明はマラリア原虫検出用キット
も提供する。本発明のキットには、アニオン性界面活性
剤、ノニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤
からなる群より選ばれる界面活性剤及び核酸染色性色素
を含む。核酸染色性色素は1液構成としても2液構成と
してもよい。
【0038】
【実施例】実施例1 以下の組成のマラリア原虫測定用試薬を調製した。 アクリジンオレンジ 3mg トリシン 10mM LTAC 1000mg リン酸2水素ナトリウム 120mM 精製水 1L NaOHでpH9に調整 本発明試薬1mlに抗凝固剤処理を行ったマラリア原虫
(P.falciparum)培養赤血球を含む培養液1μlを加
え、35℃、30秒インキュベートした測定用試料をフロー
サイトメータ試作機で測定を行った。励起光源にアルゴ
ンイオンレーザーを用い、488nmで励起を行い、前方散
乱光および側方蛍光を測定した。図1に得られたスキャ
ッタグラムを示す。デブリスの右側の蛍光強度の強い領
域に集団が出現するのが確認された。また、同調培養に
よって生活史の各段階とスキャッタグラムとを比較した
ところ、分裂小体、輪状体、栄養体および分裂体の各段
階をスキャッタグラム上で弁別することができた。
【0039】実施例2 実施例1と同様の組成を用いて、抗凝固剤処理を行った
健常人血液を同じように測定した場合のスキャッタグラ
ムを図2に示す。実施例1で出現が確認された領域には、
健常人ではドットが出現しないことが確認できた。
【0040】実施例3 以下の組成のマラリア原虫測定用試薬を調製した。 アクリジンオレンジ 3mg リン酸2水素ナトリウム 120mM DTAB 10000mg 精製水 1L NaOHでpH7に調整 本発明試薬1mlにマラリア原虫培養赤血球を含む培養
液40μlを加え、35℃、30秒インキュベートした測定用
試料をフローサイトメータ試作機で測定を行った。励起
光源にアルゴンイオンレーザーを用い、488nmで励起を
行い、前方散乱光および側方蛍光を測定した。図3に得
られたスキャッタグラムを示す。実施例1と同様にマラ
リア原虫を検出できることが確認できた。
【0041】実施例4 以下の組成のマラリア原虫測定用試薬を調製した。 チアゾールオレンジ 3mg クエン酸Na 80mM DTAB 10000mg 精製水 1L NaOHでpH5に調整 本発明試薬1mlに抗凝固処理を行ったマラリア原虫培
養赤血球を含む培養液1μlを加え、35℃30秒イン
キュベートした測定用試料をフローサイトメータ試作機
で測定を行った。励起光源にアルゴンイオンレーザーを
用い、488nmで励起を行い、前方散乱光および側方蛍光
を測定した。図4に得られたスキャッタグラムを示す。
実施例1と同じようにマラリア原虫を検出できることが
確認された。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、試料中のマラリア原虫
を迅速かつ特異的に検出することができる。本発明の方
法では測定用試薬と血液試料とを混合して約30秒イン
キュベートするだけで遠心分離操作を行うことなく測定
が可能である。
【0043】また、本発明の方法ではマラリア原虫の生
活史の分類が可能である。即ち、散乱光強度と蛍光強度
の違いにより、分裂小体,輪状体,分裂体,生殖母体を
弁別することが可能である。この生活史の分類を用いる
ことによりスキャッタグラムの出現パターンから、末梢
血において輪状体,生殖母体しか出現しない熱帯熱マラ
リアと、全ての生活史が出現する他の3種のマラリアと
の弁別が可能である。とくに、熱帯熱マラリアは発症後
すみやかに治療を開始することが必要なことから、本発
明の方法により迅速に測定できることは、早期に診断を
する上できわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の方法によるマラリア原虫培
養赤血球を含む培養液を測定した緑蛍光強度−前方散乱
光強度スキャッタグラムである。
【図2】本発明の実施例2の方法による健常人の血液を
測定した緑蛍光強度−前方散乱光強度スキャッタグラム
である。
【図3】本発明の実施例3の方法によるマラリア原虫培
養赤血球を含む培養液を測定した緑蛍光強度−前方散乱
光強度スキャッタグラムである。
【図4】本発明の実施例4の方法によるマラリア原虫培
養赤血球を含む培養液を測定した緑蛍光強度−前方散乱
光強度スキャッタグラムである。
【図5】本発明の方法でマラリア原虫を測定したときの
スキャッタグラムの摸式図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の赤血球を界面活性剤を含むマラ
    リア原虫測定用試薬で溶解してマラリア原虫を遊離さ
    せ、遊離したマラリア原虫を核酸染色性色素を用いて染
    色し、染色した試料をフローサイトメトリにより測定す
    ることからなるマラリア原虫の検出方法。
  2. 【請求項2】 界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、
    ノニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤から
    なる群より選ばれる請求項1記載のマラリア原虫の検出
    方法。
  3. 【請求項3】 界面活性剤が、以下の一般式a又はbで表
    されるカチオン性界面活性剤である請求項1または2記載
    のマラリア原虫の検出方法。 一般式a 【化1】 [式中、R1:C8〜C20のアルキル基、アルケニル基又は
    アルキニル基;R2,R3およびR4:C1〜C8のアルキル基、
    アルケニル基又はアルキニル基;X-:陰イオン基] 一般式b 【化2】 [式中、n:7〜19の整数;X-:陰イオン基]
  4. 【請求項4】 シースフロー中を流れる細胞に励起光を
    照射し、細胞が発する散乱光強度と蛍光強度を測定する
    ことにより実施する請求項1記載のマラリア原虫の検出
    方法。
  5. 【請求項5】 分裂小体,輪状体,分裂体及び生殖母体
    からなる群より選ばれる1以上のマラリア原虫の生活史
    を検出することによりマラリアの種類を同定することを
    含む請求項1記載のマラリア原虫の検出方法。
  6. 【請求項6】 アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面
    活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ば
    れる界面活性剤及び核酸染色性色素を含む、マラリア原
    虫検出用キット。
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