JP2005102644A - 微生物の増殖段階測定方法及び微生物の増殖段階測定プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】 微生物が、増殖サイクルのどの増殖段階にあるのかを測定する方法を提供するものである。
【解決手段】 本発明は、(1)試料中の微生物を核酸特異性の蛍光色素で染色する工程と、(2)得られた試料をフローサイトメータに導入し、染色された個々の微生物に光を照射し、個々の微生物から発せられる微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報とを測定する工程と、(3)微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報との組み合わせにより、微生物の増殖段階を解析する工程と、を備える微生物の増殖段階測定方法を提供する。
【選択図】図3

Description

本発明は、微生物の増殖段階を迅速に測定するための方法に関する。
酵母は、外見上卵形や楕円形をした単細胞の真核生物であり、食品微生物学の立場から、パン、ビール、清酒,ワインなどの発酵食品の製造に不可欠の微生物である。また、近年の健康志向を受け、ビール製造過程で生産されるビール酵母が、多くのビタミン,ミネラル,必須アミノ酸を含んだ健康食品として、利用されている。
一方、単細胞真核生物である酵母は、パンやビールを製造する際に有用であるだけでなく、真核細胞のモデル生物として、分子生物学研究の実験によく用いられている。酵母は、動物細胞に比べて世代時間が短く、また単細胞であることから変異株の分離や遺伝学的解析が行いやすいため、細胞周期制御から老化機構に至るまでの幅広い生命科学研究のモデル生物として汎用されている。
醗酵食品の製造、分子生物学的研究の過程において酵母を利用する場合、酵母の状態(数、活性、増殖段階等)を把握することは、製品の品質管理あるいは、実験精度の向上において重要である。
例えば、ビール発酵において、麦汁に酵母が添加されて、最初、増殖サイクルの誘導期に相当する期間、酵母はまず数時間で麦汁中の溶存酸素を全て吸収し、増殖のために必要な不飽和脂肪酸を合成し、ついで、アミノ酸を取り込んで増殖や細胞成分の合成に備える。炭水化物の代謝はまだ始まらず、麦汁に見かけの変化はない。誘導期を過ぎると酵母の出芽増殖が始まり発酵性糖分が代謝されてアルコール発酵が始まり、発酵熱によって液温が上昇するので、タンクの冷却装置で液温を制御するといわれている。
このように、酵母の状態に応じて各種の制御が必要であり、酵母の状態をリアルタイムに把握し、フィードバックすることは重要である。
従来、酵母の活性は、試料の濁度、あるいは、電気抵抗式を用いた酵母数の測定によって、あるいは、pH,溶存酸素等の物性の変化を測定することにより、グロスでまた、間接的に把握されているに過ぎないのが現状である。また、発芽状態を観察するには、顕微鏡観察が必要であり、非常に手間と労力が必要であり、実用的ではない。
また、フローサイトメータを用いて個々の酵母の活性を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、酵母をpH感受性の蛍光物質である5(6)−カルボキシフルオレセインで染色し、pH6以下の酸性条件下に保持した後、酵母細胞に1種の励起光を照射して蛍光を発生させ、2種の蛍光強度をフローサイトメータにより測定することを特徴とする。
2種の蛍光強度、すなわち、2種類の波長での蛍光強度の比より、酵母細胞内のpHが求まり、測定用サンプル中の酵母のpHと酵母本来のpHとの差を比較することにより、酵母の活性が測定される。
特開2002−168870号公報
しかし、この方法では、個々の酵母が活性であるかどうかを判断することができても、個々の酵母がどの増殖段階にあるのかを判断することができない。
本発明は、酵母が、どの増殖段階にあるのかを測定する方法を提供するものである。また、酵母と同様な活性を示す微生物についても、どの増殖段階にあるのかを測定する方法を提供するものである。
本発明は、(1)試料中の微生物を核酸特異性の蛍光色素で染色する工程と、(2)得られた試料をフローサイトメータに導入し、染色された個々の微生物に光を照射し、個々の微生物から発せられる微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報とを測定する工程と、(3)微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報との組み合わせにより、微生物の増殖段階を解析する工程と、を備える微生物の増殖段階測定方法を提供する。
発明者は、微生物の各増殖段階で、微生物の大きさを表す光学情報(散乱光強度、散乱光パルス幅または蛍光パルス幅)と、微生物の染色度合いを表す光学情報(蛍光強度)との組み合わせが異なることを見出し、この組み合わせの違いを利用することにより、微生物の増殖段階を解析することが可能となり、本発明の完成に至った。
本発明の方法により、試料中の微生物数や、個々の微生物の増殖活性のみならず、個々の微生物の増殖段階を測定することができる。この方法を用いることにより、微生物を用いた発酵食品の製造などにおいて、微生物の状態をリアルタイムに把握し、微生物の状態に応じて各種の制御を行うことができる。また、微生物を用いた研究において、微生物の増殖段階を測定することにより、実験精度の向上を図ることができる。
本発明の微生物の増殖段階測定方法は、(1)試料中の微生物を核酸特異性の蛍光色素で染色する工程と、(2)得られた試料をフローサイトメータに導入し、染色された個々の微生物に光を照射し、個々の微生物から発せられる微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報とを測定する工程と、(3)微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報との組み合わせにより、微生物の増殖段階を解析する工程と、を備える。
上記(1)の工程、すなわち、試料中の微生物を核酸特異性の蛍光色素で染色する工程について説明する。
試料には、微生物を含む試料を用いる。微生物を含んだ試料には、液体、固形、半固形のものなどを用いることができる。微生物の濃度は、例えば、104〜107個/mL程度が好適である。
微生物には、酵母が好適に用いられる。また、微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報との組み合わせにより、微生物の増殖段階を解析できるものであれば、他の微生物に対しても本発明の方法を適用することができる。特に微生物の発芽により、その大きさや長さが変化する微生物、例えば、納豆菌などにも好適に適用される。以下、微生物として酵母を例に説明する。
核酸特異性の蛍光色素には、酵母中の核酸(少なくともRNA)を特異的に染色するとともに、光を吸収し、蛍光を発するものが用いられる。ここで、「核酸を特異的に染色する」とは、主に核酸を染色することをいい、本発明の目的を逸脱しない範囲で、例えば、酵母中のタンパク質、酵素など、核酸以外のものを染色する場合を除外するものではない。従って、「核酸特異性の蛍光色素」には、本発明の目的を逸脱しない範囲で、例えば、酵母中のタンパク質、酵素など、核酸以外のものを染色する蛍光色素も含まれる。このような蛍光色素には、例えば、特開平9−104683、特開2001−258590に記載の色素を用いることができる。具体的には、例えば、以下の一般式で示される化合物を使用することができる。:
Figure 2005102644
(式中、R1水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基;R2及びR2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基;R4は水素原子、アシル基又は炭素数1〜3のアルキル基;R5は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基;Zは硫黄原子、酸素原子又は炭素数1〜3のアルキル基で置換された炭素原子;nは1又は2;X-はアニオンである)。この蛍光色素の濃度は、例えば、0.1から100ppm(最終濃度)とすることができる。この色素を用いると、1分以内に酵母の核酸を染色することができ、好適である。
染色は、例えば、核酸特異性の蛍光色素と緩衝剤を含む水溶液である染色液を用いて行うことができる。染色液のpHは、特に限定されないが2.0〜10とすることが好ましく、さらに2.0から4.5とすることが好ましい。このpHの範囲で染色を行うと、酵母がよく染色されるからである。
緩衝剤には、上記pH範囲を維持できるものを使用することが好ましく、クエン酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、グリシン、コハク酸、乳酸、β−アラニン、ε−アミノカプロン酸及びフマル酸などを使用できる。その濃度は、例えば、10〜500mMとすることができる。
染色を行う前に、試料を希釈液で希釈する。その希釈液には、酵母の細胞膜を損傷させ、色素が細胞内に入りやすくする薬剤、例えば、界面活性剤を加えてもよい。界面活性剤には、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を用いることができるが、特に、カチオン界面活性剤を用いることが好ましい。
カチオン界面活性剤には、例えば、デシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩及びオクタデシルトリメチルアンモニウム塩を用いることができる。その濃度は、例えば、10〜30000mg/L、好ましくは、100〜3000mg/Lとすることができる。
染色液に硫酸塩または硝酸塩を加えても良い。酵母の蛍光染色性を増大させることができるからである。その濃度は、例えば、10〜500mM、好ましくは、50〜200mMとすることができる。
使用する蛍光色素が水溶液中で不安定な場合には、蛍光色素をメタノール、エタノールやエチレングリコールなどの水溶性有機溶媒中に溶解しておき、使用時に緩衝液と混合してもよい。これにより、色素の保存安定性を向上させることができるからである。
試料が液体の場合は、試料と希釈液と染色液とを混合することにより、試料中の酵母を核酸特異性の蛍光色素で染色することができる。試料が固形,半固形の場合、試料と生理食塩水,ペプトン水等適当な希釈液とを混合してストマッカー等を用いてホモジナイズした後に、試料と染色液を混合することにより、試料中の酵母を核酸特異性の蛍光色素で染色することができる。ホモジナイズ後の試料に100μm以上の粒子が存在する場合は、測定の精度が低下するため、メッシュを用いてろ過をすることが好ましい。メッシュの大きさは、100μm程度であることが好ましい。
次に、上記(2)の工程、すなわち、得られた試料をフローサイトメータに導入し、染色された個々の酵母に光を照射し、個々の酵母から発せられる酵母の大きさを表す光学情報と、酵母の染色度合いを表す光学情報とを測定する工程について説明する。
ここで、酵母の大きさを表す光学情報が散乱光強度、散乱光パルス幅または蛍光パルス幅であり、酵母の染色度合いを表す光学情報が蛍光強度であることが好ましい。さらに、酵母の大きさを表す光学情報としては、検出精度向上の観点から、酵母の長さを表す光学情報である散乱光パルス幅または蛍光パルス幅が好ましく、特に散乱光パルス幅が好ましい。
フローサイトメータには、検出部を流れる粒子にレーザ等の光を照射し、粒子から発生する前方散乱光,側方散乱光、後方散乱光あるいは蛍光を測定できるものを用いることができる。径が約1〜100ミクロン程度の微粒子を計測できるものが好ましい。
具体的には、例えば、シスメックス株式会社より発売されているBACTANA、ベックマン・クールター社より発売されているEPICSシリーズ、ベクトン・ディッキンソン社より発売されているFACSシリーズを用いることができる。
染色された個々の酵母に光を照射すると、個々の酵母で光が散乱し、フローサイトメータは、散乱光を検出する。そして、散乱光信号強度を測定するか、散乱光を検出している時間から、散乱光パルス幅を測定する。なお、「散乱光」には、前方散乱光、側方散乱光、及び、後方散乱光などが含まれる。
また、染色された酵母は、フローサイトメータからのレーザ等の光を吸収し、染色された酵母に含まれる核酸量に応じた強度の蛍光を発し、フローサイトメータは、蛍光を検出し、蛍光の強度を測定すると共に、蛍光を検出している時間から、蛍光パルス幅を測定する。
次に、上記(3)の工程、すなわち、酵母の大きさを表す光学情報と、酵母の染色度合いを表す光学情報との組み合わせにより、酵母の増殖段階を解析する工程について説明する。
酵母の増殖段階とは、酵母の増殖サイクルにおいて、酵母の形態又は組成上の違いにより分類される区分をいい、例えば、静止期未出芽酵母、活動期未出芽酵母又は出芽酵母という増殖段階がある。
酵母の増殖段階を解析するとは、酵母がどの増殖段階にあるのかを解析することをいう。例えば、酵母が静止期未出芽酵母、活動期未出芽酵母又は出芽酵母のいずれの増殖段階であるかを解析することをいう。
散乱光パルス幅及び蛍光パルス幅の一方と、蛍光強度との組み合わせにより、酵母の増殖段階を解析することができるのは、これらの組み合わせが、酵母の増殖段階に応じて変化するからである。
例えば、次のことが言える。静止期未出芽酵母は、長さが短いので散乱光パルス幅又は蛍光パルス幅が短く、核酸量が少ないため蛍光強度が小さい。活動期未出芽酵母は、静止期未出芽酵母と比べ、長さの変化が小さく、核酸量が増加する。従って、散乱光パルス幅又は蛍光パルス幅はあまり変化せず、蛍光強度は大きくなる。
出芽酵母は、出芽のために長さが長くなるが、核酸量の変化は小さい。従って、散乱光パルス幅又は蛍光パルス幅は大きくなり、蛍光強度はあまり変化しない。
以上より、散乱光パルス幅及び蛍光パルス幅の一方と、蛍光強度との組み合わせにより、酵母が静止期未出芽酵母、活動期未出芽酵母又は出芽酵母のいずれの増殖段階であるかを解析することができる。例えば、散乱光パルス幅及び蛍光パルス幅の一方と、蛍光強度とをパラメータとする二次元分布図(スキャッタグラム)を作成し、その分布領域から酵母の増殖段階を判定することができる。
本発明は、別の観点から見ると、(1)上述の酵母の増殖段階測定方法を用いて所定量の試料中の複数の酵母の増殖段階を個別に測定し、(2)試料中の全酵母、静止期未出芽酵母、活動期未出芽酵母及び出芽酵母の少なくとも1つを計数することにより、複数の酵母の状態を統計的に解析する工程を備える試料解析方法を提供するものである。
上記の方法を用いて所定量の試料中の複数の酵母の増殖段階を測定することにより、複数の酵母がそれぞれどの段階にあるのかを測定することができる。
試料中の全酵母、静止期未出芽酵母、活動期未出芽酵母及び出芽酵母の少なくとも1つを計数することにより、複数の酵母の状態を統計的に解析することにより、複数の酵母を含んだ試料の状態を知ることができる。
統計的に解析とは、例えば、全酵母及び出芽酵母を計数し、出芽酵母数を全酵母数で割ることにより、出芽酵母の比率を求めることをいう。同様に、全酵母、及び、静止期未出芽酵母及び/又は活動期未出芽酵母を計数することにより、静止期未出芽酵母比率及び/又は活動期未出芽酵母比率を求めることもできる。
このような比率をもとめることにより、試料中の酵母の状態を統計的に把握することができ、例えば、ビールなどの醸造における温度制御のための情報として利用することができる。
ここまで、主に酵母について説明をしてきたが、本発明の方法は、散乱光パルス幅及び蛍光パルス幅の一方と、蛍光強度との組み合わせにより、増殖段階を解析できるものであれば、酵母以外の微生物に対しても適用することができるものであり、上記の説明は、酵母以外の微生物についても適用される。
本発明の実施例を以下に示す。本発明の実施形態は以下の実施例に限定されるものでは無い。
測定用試料の調製
まず、ドライイーストを寒天平板(YPD Agar)に塗布し、25℃で培養し、はえたコロニーを掻き取り、滅菌水に107個/mLの濃度に懸濁した。懸濁液1mLをYPDブロス9mLに添加し、25℃で培養した。
次に、一定時間培養後の上記試料50μLに希釈液340μLを添加して攪拌した後、染色液10μLを添加し、40℃で20秒間インキュベートすることにより、核酸特異性の蛍光色素での染色を行い、測定用試料を調製した。
試薬は以下の組成のものを使用した。
(希釈液)
クエン酸二水塩 21.6g/L
ミリスチルトリメチルアンモニウムブロマイド 1.0g/L
精製水 1.0L
NaOH pH2.5になる量
(染色液)
エチレングリコール 1.0L
下記の構造を有する色素 50mg
Figure 2005102644
測定方法
633nmの赤色半導体レーザを光源とするフローサイトメータBACTANA(シスメックス製)を用いて、作製した試料の前方散乱光パルス幅、赤色蛍光(650nm以上)強度を測定した。また、BACTANAには、測定データを解析するプログラムを搭載したコンピュータが接続されている。コンピュータは、ROM、RAM、ハードディスク等のメモリ、CPU,ディスプレイから構成されている。
図1〜図3は、培養0、2、5時間の試料を用いて測定された、前方散乱光パルス幅と蛍光強度の組み合わせを示すスキャッタグラムを示す。縦軸は前方散乱光パルス幅であり、酵母の長さに対応する。一方、横軸は蛍光強度であり、酵母に含まれる核酸量に対応する。
図3において、Area1は静止期未出芽酵母の分布領域を、Area2は活動期(誘導期)未出芽酵母の分布領域を、Area3は出芽状態の酵母の分布領域を示す。
図1に示すように、培養初期の段階では、酵母は休止状態にあり、出芽してない単細胞の状態であるため、その長さは短く、前方散乱光パルス幅も小さい。また、タンパク質等の合成は、休止状態にあるため、核酸量(RNA)が少なく、蛍光強度も小さい。従って、Area1に分布する。
次に、酵母をYPD Broth培地で培養すると、酵母は、誘導期に入り、タンパク合成等の活動を始める。このとき、核酸(RNA)が増加する。形態的にはほとんど変化が認められないため、前方散乱光パルス幅はほとんど変化しないが、核酸(RNA)合成が始まるため、核酸量が増加し、蛍光強度が大きくなり、AREA2に分布する。
その後、培養を継続し誘導期を過ぎると、酵母は出芽し増殖する。出芽した酵母(出芽酵母と呼ぶ)は出芽していない酵母(未出芽酵母と呼ぶ)よりも長さが長くなり前方散乱光パルス幅が大きくなるとともに、核酸量も豊富になり蛍光強度が大きくなり、Area3に分布する。
スキャッタグラム中の各増殖段階にある酵母の比率の推移を図4に、各増殖段階にある酵母の数の推移を図5に示す。図4、図5において、1は静止期未出芽酵母、2は活動期未出芽酵母、3は出芽酵母、4は全酵母についてのデータを示す。
図4より、出芽前に(出芽酵母3が増加する前に)、酵母の活動(タンパク合成,核酸合成)が活発化し(活動期未出芽酵母2が増加し)、最終的に酵母が出芽し出芽酵母3が増加する様子が把握できる。また、図5より出芽酵母3が増加した後に、全酵母4の数が増加し始めることが明瞭に把握できる。
このように、従来酵母数のみで把握していた、酵母の増殖段階の変化を、個々の細胞レベルで詳細に、且つ、リアルタイムに把握することが可能である。
図6に従来の画像法により求めた出芽比率と本法で求めた出芽比率の比較を示す。両者には強い相関が見られ、本発明による方法の有効性が示される。
次に、図7を用いて、解析プログラムの処理工程を説明する。まず、BACTANAで得られた測定データ(前方散乱光パルス幅及び蛍光強度データ)をコンピュータに転送し、コンピュータのメモリに記憶させる(ステップS1)。
次に、予めメモリに記憶された後述する各酵母の分布領域、Area1、Area2、Area3を呼び出すとともに、メモリに記憶された前方散乱光パルス幅及び蛍光強度データに基づいて、スキャッタグラムを作成し、ディスプレイに表示する(ステップS2)。このスキャッタグラムには、予め設定されてメモリに記憶されていた静止期未出芽酵母の分布領域を示すArea1、活動期(誘導期)未出芽酵母の分布領域を示すArea2、出芽状態の酵母の分布領域を示すArea3が表示されている。
次に、各分布領域、Area1、Area2、Area3のプロット数を計数(ステップS3)し、静止期未出芽酵母数、活動期未出芽酵母数、出芽状態の酵母数を求め、全酵母の分布領域のプロット数を合計することにより全酵母数を求める(ステップS4)。
出芽状態の酵母数を全酵母数で除算して出芽酵母比率、静止期未出芽酵母数を全酵母数で除算して静止期未出芽酵母比率、活動期未出芽酵母数を全酵母数で除算して活動期未出芽酵母比率を求める(ステップS5)。求められた各酵母比率をディスプレイに表示する(ステップS6)。
本実施例では、フローサイトメータとそれに接続される解析プログラムを搭載したコンピュータの構成としたが、フローサイトメータのメモリに解析プログラムを格納する構成にしても良い。
培養0時間の試料を用いて測定された、前方散乱光パルス幅と蛍光強度の組み合わせを示すスキャッタグラムである。 培養2時間の試料を用いて測定された、前方散乱光パルス幅と蛍光強度の組み合わせを示すスキャッタグラムである。 培養5時間の試料を用いて測定された、前方散乱光パルス幅と蛍光強度の組み合わせを示すスキャッタグラムである。 培養時間と各増殖段階にある酵母の比率との関係を示すグラフである。 培養時間と各増殖段階及にある酵母数及び全酵母数との関係を示すグラフである。 従来の画像法により求めた出芽比率と本法で求めた出芽比率の関係を示すグラフである。 本発明のプラグラムの処理工程を示したフローチャート図である。
符号の説明
1 静止期未出芽酵母
2 活動期未出芽酵母
3 出芽酵母
4 全酵母
Area1 静止期未出芽酵母
Area2 活動期未出芽酵母
Area3 出芽酵母

Claims (11)

  1. (1)試料中の微生物を核酸特異性の蛍光色素で染色する工程と、(2)得られた試料をフローサイトメータに導入し、染色された個々の微生物に光を照射し、個々の微生物から発せられる微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報とを測定する工程と、(3)微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報との組み合わせにより、微生物の増殖段階を解析する工程と、を備える微生物の増殖段階測定方法。
  2. 前記微生物の大きさを表す光学情報が散乱光強度、散乱光パルス幅または蛍光パルス幅であり、前記微生物の染色度合いを表す光学情報が蛍光強度である請求項1記載の微生物の増殖段階測定方法。
  3. 微生物の増殖段階を解析する工程は、各微生物が静止期未出芽微生物、活動期未出芽微生物又は出芽微生物のいずれの増殖段階であるかを解析する工程である請求項1又は2に記載の微生物の増殖段階測定方法。
  4. (1)請求項3に記載の方法を用いて所定量の試料中の複数の微生物の増殖段階を個別に測定する工程と、(2)試料中の全微生物、静止期未出芽微生物、活動期未出芽微生物及び出芽微生物の少なくとも1つを計数することにより、複数の微生物の状態を統計的に解析する工程と、を備える試料解析方法。
  5. 前記微生物が、酵母である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. (1)核酸染色された微生物の大きさを表す光学情報と、微生物の染色度合いを表す光学情報とを用いて、2次元散布図を作成する工程と、(2)静止期未出芽微生物の分布領域のプロット数、活動期未出芽微生物の分布領域のプロット数および出芽状態の微生物の分布領域のプロット数を計数し、静止期未出芽微生物の数、活動期未出芽微生物の数および出芽状態の微生物の数を求める工程と、を実行するための微生物の増殖段階測定プログラム。
  7. 求められた各分布領域の微生物の数を合計し、全微生物数を求める工程を備える請求項6に記載の微生物の増殖段階測定プログラム。
  8. 全微生物数と出芽微生物数に基づいて出芽微生物の比率を求める工程を備える請求項7に記載の微生物の増殖段階測定プログラム。
  9. 全微生物数、及び、未出芽全微生物数及び/又は活動期未出芽全微生物数に基づいて未出芽全微生物比率及び/又は活動期未出芽微生物比率を求める工程を備える請求項7に記載の微生物の増殖段階測定プログラム。
  10. 前記微生物が酵母である請求項6〜9のいずれかに記載の微生物の増殖段階測定プログラム。
  11. 請求項6〜10記載の微生物の増殖段階測定プログラムを記録した記録媒体。
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