JP4694863B2 - フローサイトメトリー解析による微生物細胞活性の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フローサイトメトリー解析による微生物細胞活性の評価方法に関する。
特にビール酵母においては、酵母の生理状態計測法は、細胞の生死を区別するバイアビリティーと細胞自体の活性を示すバイタリティーの2つ手法に分類される。これらはいずれも酵母管理上重要な指標であり、使用する酵母の発酵状態や製造されたビール・発泡酒品質(風味や泡持ち)への影響を予測する手段として研究されてきた。
酵母のバイアビリティーを判定する技術として、メチレンブルー染色法(例えば、非特許文献1)が知られているが、この手法では染色具合の曖昧さが生じやすく、測定者による誤差が大きい。また近年ではオキソノールやフルオレセインなどの蛍光色素を用いた測定方法も報告されているが、得られる情報が細胞の生死状態のみであるため、生きている細胞の活性を精度良く適切に評価することは不可能である。
スライドカルチャー法やプレートカルチャー法(非特許文献2)等は、酵母を実際に培養してそのバイタリティーを判定する方法である。これらは精度の高い酵母活性測定方法であるが、結果が得られるまで1〜6日という長時間を要するため発酵及び醸造作業工程での実用性に乏しい。
また、近年では、簡便で制度の高いバイタリティー計測法として、酵母の発酵活性に着目したAPT法(アシディフィケーションパワーテスト)(非特許文献3)、メチレンブルー染色法の変法であるアルカリメチレンブルー法(特許文献1)や酵母細胞内pHを測定するICP法(特許文献2)などが開発されている。これらはいずれもサンプル内の酵母活性の平均値を求めるものであるか、若しくは染色、非染色の二つの状態で細胞の活性を区別するものである。またICP法に関しては、フローサイトメーターを組み合わせて微生物集団の活性分布を測定する手法(特許文献3)が開発されている。しかしながら、前述の手法は全て酵母のバイタリティーに関連したものであり、バイアビリティー判定を同時に行うことはできなかった。
一方、エステラーゼ活性判定色素と核染色色素の二重染色について、例えばフルオレセインジアセテート及びヨウ化プロピジウムの組合せたバイアビリティー判定方法は、トリコモナス原虫(非特許文献4)で断片的な実施例が紹介されている。生細胞にはエステラーゼ活性があるため、フルオレセインジアセテートが分解され励起光下で蛍光を発生し(陽性)、かつ細胞膜が健全に保持されているため、ヨウ化プロピジウムは細胞内に取り込まれず、核が染色されないため蛍光が発生しない(陰性)。逆に、死細胞にはエステラーゼ活性がないため、フルオレセインジアセテートが分解されず励起光下で蛍光を発生しない(陰性)、かつ細胞膜が破壊されているため、ヨウ化プロピジウムは細胞内に取り込まれ核が染色される(陽性)。これまでは、前述の手法の位置づけとしては、バイアビリティーを二重に確認することにより、より正確にバイアビリティーを把握するものであった。
特開平5−336994 特開平5−76393 特開2002−168870 AmericanSociety Brewing Chemists. Methods of Analysis, 7th ed. Microbiology, Yeast-3, A,1976 EBC Analytica Microbiologia., J.Inst.Brew.,83, 109, 1977 Kara, B.Vら, J.Inst.brew., 94, 153, 1988 Michelle J. Humphreysら, Cytometry, 15, 343, 1994 K. J. Hutter, BrauweltInternational., 120, 1997
前述のように、これまで微生物細胞、特に酵母について細胞のバイアビリティー及びバイタリティーを同時に把握する方法はなかった。したがって、本発明は微生物細胞のバイアビリティー及びバイタリティーを同時に把握する細胞活性評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、エステラーゼ活性判定色素及び核染色色素で二重染色したビール酵母細胞をフローサイトメーターにより解析すると、エステラーゼ活性判定色素及び核染色色素がともに陽性である細胞集団が存在することを明らかにした。本発明者らは、前記細胞集団は細胞膜が損傷しているが、細胞のエステラーゼ機能が維持されていることから、損傷細胞と規定した。即ち、本発明者らは、生細胞集団及び死細胞集団に加え損傷細胞集団の検出に成功し、正確かつ簡便に細胞のバイアビリティー及びバイタリティーの両方を把握できる今までにない細胞活性評価方法を見出した。
また、ビール酵母について、前記方法によって生細胞、死細胞及び損傷細胞のそれぞれの比率を測定し、これらに基づき細胞活性(発酵状態)の評価を試みた。本発明に係る方法に基づく死細胞の比率は、従来のメチレンブルー染色法に基づくそれに比べて発酵速度との相関がより高いこと、本発明に係る方法に基づく損傷細胞の比率は、従来のAPT法に基づくAP値に比べて泡持ちとの相関がより高いことが明らかとなり、本方法が従来法よりも正確に細胞活性を評価できることを証明し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、微生物細胞をエステラーゼ活性判定色素及び核染色色素で二重染色する工程と、微生物細胞に励起光を照射することにより発生するエステラーゼ活性判定色素由来の蛍光の蛍光強度及び核染色色素由来の蛍光の蛍光強度をフローサイトメーターにより測定し、前記2種類の蛍光の蛍光強度を座標軸とする2次元座標に微生物細胞をプロットして分布図を作成する工程と、分布図において、エステラーゼ活性判定色素が陽性でありかつ核染色色素が陰性ある細胞を生細胞と、エステラーゼ活性判定色素が陰性でありかつ核染色色素が陽性である細胞を死細胞と、エステラーゼ活性判定色素及び核染色色素がともに陽性である細胞を損傷細胞と規定し特定する工程と、微生物細胞集団中の生細胞、死細胞及び損傷細胞のそれぞれの比率に基づき、微生物細胞の活性を判定する工程とを備える、微生物細胞の活性評価方法を提供する。本方法によって、今まで検出することができなかった損傷細胞の検出を可能にすることによって、より正確に細胞活性を評価することが可能である。
本発明は、また、エステラーゼ活性判定色素が、カルボキシフルオレセインジアセテート、5−カルボキシフルオレセインジアセテート、5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル、5(6)−カルボキシフルオレセインジアセテート混合物、5(6)−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル混合物、及び5−クロロメチルフルオレセインジアセテートからなる群より選択される色素であり、核染色色素が、ヨウ化プロピジウム、エチジウムブロマイド、及びエチジウムホモダイマーからなる群より選択される色素である、微生物細胞の評価方法を提供する。かかる2群の色素は、励起光下でそれぞれ発する蛍光の干渉が小さい色素群であるため、損傷細胞を生細胞及び死細胞と明瞭に区別することができるため、より正確に細胞活性を評価することが可能である。
本発明は、また、二重染色を0.25μM〜10μMの5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル及び0.5μg/mL〜5μg/mLのヨウ化プロピジウムで行う、微生物活性の評価方法を提供する。このような条件下で二重染色を行うと損傷細胞を適切に染色することができ、生細胞及び死細胞と明瞭に区別することができるため、より正確に細胞活性を評価することが可能である。
本発明は、また、励起光は、波長410nm〜510nmの光であり、発生する2種類の蛍光は波長515nm〜545nmの光及び650nm以上の光である、微生物活性の評価方法を提供する。かかる条件では、励起光下で発生する2種類の蛍光の干渉が小さいため、損傷細胞を生細胞及び死細胞と明瞭に区別することができるため、より正確に細胞活性を評価することが可能である。
本発明は、また、食品用酵母または細菌の活性の評価方法を提供する。前述のように、本方法は正確かつ簡便にビール酵母のバイアビリティー及びバイタリティーの両方を同時に測定することが可能であるため、特に酵母または細菌を利用する発酵食品など食品分野において応用することが可能である。
本発明は、また、ビール酵母細胞集団中の生細胞、死細胞及び損傷細胞のそれぞれの比率を測定し、損傷細胞と死細胞との合計が20%未満であり、かつ損傷細胞が10%未満の場合に、ビール酵母細胞集団がビール醸造に適すると判断するビール酵母の活性の評価方法を提供する。前述のように、ビール酵母において、死細胞比率は発酵速度と、損傷細胞比率は発泡酒等の泡持ちと高い相関があるため、死細胞または損傷細胞の比率が所定値より低いビール酵母をビール、発泡酒及び雑種等の製造過程において問題のない活性を維持すると判定することが可能である。
本発明の方法によれば、今まで検出できなかった損傷細胞を簡便に検出することが可能である。これによって、細胞活性をバイアビリティー及びバイタリティーの両方からより正確に把握ことができる。さらに、ビール醸造などにおいて工程管理指標として利用することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(二重染色)
本発明の微生物細胞の活性評価方法において、微生物細胞をエステラーゼ活性判定色素及び核染色色素で二重染色する。具体的な染色方法は、細胞をエステラーゼ活性判定色素及び核染色色素に同時にまた連続的に曝露することによって行われ、色素濃度及び曝露時間(染色時間)などの条件については、当業者によって適宜に設定することができる。
ここで、エステラーゼ活性判定色素とは、細胞膜透過性を有する色素であって、それ自体が蛍光性を有しないが、細胞内に存在する各種エステラーゼによって加水分解されてはじめて蛍光性を有する化合物に変換される細胞染色用色素をいう。本発明の方法に使用されるエステラーゼ活性判定色素は、特に限定されないが、細胞内への透過しやすさを考慮すれば、フルオレセインのエステル誘導体、例えば、カルボキシフルオレセインジアセテート、5−カルボキシフルオレセインジアセテート、5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル、5(6)−カルボキシフルオレセインジアセテート混合物、5(6)−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル混合物、5−クロロメチルフルオレセインジアセテートが好ましい。
また、ここで核染色色素とは、細胞膜透過性を有さず、細胞膜が破壊されている細胞内に入り込み、細胞核内の染色体と結合することにより蛍光性となる細胞染色用色素をいう。本発明の方法に使用される核染色色素は、特に限定されないが、ヨウ化プロピジウム、エチジウムブロマイド、エチジウムホモダイマーが好ましい。
また、本発明の二重染色に使用される色素の組合せは、特に制限されないが、5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル及びヨウ化プロピジウムの組合せが好ましい。二重染色を0.25μM〜10μMの5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル及び0.5μg/mL〜5μg/mLのヨウ化プロピジウムの条件で行うのがより好ましい。
本発明の方法の測定対象である微生物細胞は、特に限定されないが、ビール酵母、パン酵母、ワイン酵母、清酒酵母及び清酒酵母などの酵母、及び乳酸菌、ビフィスズ菌などの細菌等の食品分野に有用な微生物が挙げられる。
(フローサイトメトリー解析)
本発明の微生物細胞の活性評価方法において、エステラーゼ活性判定色素及び核染色色素で二重染色された微生物細胞に励起光を照射することにより発生するエステラーゼ活性判定色素由来の蛍光の蛍光強度及び核染色色素由来の蛍光の蛍光強度をフローサイトメーターにより測定し、前記2種類の蛍光の蛍光強度を座標軸とする2次元座標に微生物細胞をプロットして作成した分布図において、エステラーゼ活性判定色素が陽性でありかつ核染色色素が陰性ある細胞を生細胞と、エステラーゼ活性判定色素が陰性でありかつ核染色色素が陽性である細胞を死細胞と、エステラーゼ活性判定色素及び核染色色素がともに陽性である細胞を損傷細胞と規定し特定し、微生物細胞集団中の生細胞、死細胞及び損傷細胞のそれぞれの比率に基づき、微生物細胞の活性を判定する。ここで、フローサイトメーターとは、流体中の粒子(細胞など)にレーザー光による励起光を照射し、個々の粒子から発生する蛍光を測定するフローサイトメトリーの原理を用いた測定器を意味するものであり、本発明において、分析を主とするフローサイトメーターの他に、細胞分取装置をさらに備えたセルソーター等も包含する。
励起光としては、1種類の光を使用する。例えば、エステラーゼ活性判定色素として5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル(5−CFDA−AM;励起光波長410nm〜510nm)と、核染色色素としてヨウ化プロピジウム(PI;励起光波長460nm〜560nm)とを組合せて使用する場合に、488nmの1種類の励起光を使用することが好ましい。
測定される蛍光としては、エステラーゼ活性判定色素由来の蛍光及び核染色色素由来の蛍光の2種類がある。例えば、5−CFDA−AM及びPIで染色した場合に、それぞれ波長515nm〜545nm及び波長650nm以上の2種類の蛍光となる。使用するフローサイトメーターの検出器にあわせて蛍光色素の組合せを設定することができる。この場合には、各色素の蛍光波長が近いと蛍光の漏れこみが増大し、蛍光補正が困難となることから、最大蛍光波長が50nm以上離れる色素の組合せが好ましい。
蛍光強度の解析においては、エステラーゼ活性判定色素由来の蛍光強度と核染色色素由来の蛍光強度を座標軸に細胞を2次元に展開した分布図を使用する。検出器の感度及び蛍光補正は予め、例えば、培養直後の生細胞をエステラーゼ活性判定色素陽性かつ核染色色素陰性のコントロールとして、熱やアルコール処理した死細胞をエステラーゼ活性判定色素陰性かつ核染色色素陽性のコントロールとして、数字設定を行う。次に、被検微生物細胞を2次元分布図に展開し、エステラーゼ活性判定色素が陽性でかつ核染色色素が陰性の細胞集団を生細胞と、エステラーゼ活性判定色素が陰性でかつ核染色色素が陽性の細胞集団を死細胞と、エステラーゼ活性判定色素及び核染色色素ともに陽性の細胞集団を損傷細胞と判定することによって、細胞活性を生細胞、死細胞及び損傷細胞の3種類の活性分布によって把握できる。ここで、エステラーゼ活性判定色素の陽性とは、前記2次元の分布図において、被検細胞のエステラーゼ活性判定色素由来の蛍光の蛍光強度は生細胞の当該蛍光強度と同様でありかつ死細胞のそれよりも高い場合をいい、核染色色素の陽性とは、前記2次元の分布図において、被検細胞の核染色色素由来の蛍光の蛍光強度は死細胞の当該蛍光強度と同様で生細胞のそれよりも高い場合をいう。この場合、陽性又は陰性の判定基準値は、対数軸目盛り上のチャネル値で10〜100となるような条件設定が好ましく、三分画若しくは四分画の蛍光マーカーなどを使用して各分画の細胞比率を求める。
(工程管理指標としての利用)
本発明のビール酵母の活性の評価方法は、ビール酵母細胞集団中の生細胞、死細胞及び損傷細胞のそれぞれの比率を測定し、ビール酵母細胞集団がビール醸造に適するかどうかを判断することによって行われる。死細胞比率が低いほど発酵性が良好であり、損傷細胞比率が低いほど製品の泡持ちが高く維持されることから、予め死細胞比率及び損傷細胞比率と発酵速度及び泡持ちの相応関係について前記方法によって測定しておけば、死細胞及び損傷細胞の比率を工程管理の指標として活用できる。具体的な測定方法は、前述の通りである。問題のない発酵状態を維持するため、損傷細胞と死細胞との合計が20%未満であり、かつ損傷細胞が10%未満であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)ビール酵母の二重染色及びフローサイトメトリー解析
ビール工場よりサンプリングした酵母を20%(w/w)になるよう蒸留水に懸濁し、2℃もしくは10℃にて1週間保存した。予め蒸留水で洗浄した酵母を5×10〜10×10細胞/mLになるようTE緩衝液(50mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH7.0)で希釈し、当該液1mLを1.5mL容チューブに分注し、5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル(5−CFDA−AM)を終濃度が0.5μMになるよう加え、30℃にて30分間染色した。遠心して上清を除去した後、TE緩衝液を1mL加え懸濁し、ヨウ化プロピジウム(PI)を終濃度が2.0μg/mLになるよう加えた後、4℃にて10分間染色する。遠心して上清を除去した後、TE緩衝液を1mL加え再度懸濁し、フローサイトメトリー解析に供試した。
フローサイトメトリー解析には、FACSCalibur(日本ベクトン・デッキンソン社)を用いて、流速を600events/sec以下とし、計測細胞数を10000細胞とし、FL1電圧及びFL3電圧をそれぞれ500V及び550とし、FSC閾値及びSSC閾値をともに300とした。蛍光補正は、(補正後FL1=FL1−7%FL2)の式及び(補正後FL3=FL3−22%FL2)の式によって行った。
細胞に488nmのアルゴンレーザーの励起光を照射した後、5−CFDA−AM由来の蛍光を515nm〜545nmの蛍光検出器(FL1)で検出し、PI由来の蛍光を650nm以上の蛍光検出器(FL3)で検出した。図1A及び図1Bはそれぞれ2℃保存サンプル及び10℃保存サンプルの細胞分布図を示す。横軸は5−CFDA−AM由来の蛍光強度であり、縦軸はPI由来の蛍光強度であり、チャネル値40の位置に二本の境界線を引き、右下段は生細胞、左上段は死細胞、そして右上段は膜損傷細胞と規定し、各画分の比率を表1に示した。図1及び表1の結果から、本発明方法によって、細胞集団内に生細胞集団及び死細胞集団以外に、損傷細胞の集団の存在を明らかにしただけでなく、保存条件の差異によるビール酵母の活性の差異をも簡単に把握することができた。
Figure 0004694863

(実施例2)本発明に係る方法及び従来法によるビール酵母の活性の評価並びにその比較
まず、ビール工場よりサンプリングした酵母15種類について、本発明の活性評価法(実施例1と同条件)及び従来のメチレンブルー染色法及びAPT法で細胞活性を測定した。
次に、外観エキス値が14%である発泡酒麦汁2.5Lに、ビール酵母を30×10細胞/mLになるように加え、13.5℃にて1週間前発酵させた後、さらに10℃にて1週間及び1℃にて2週間後発酵させることによって発酵試験を行った。発酵速度は前発酵2日後の外観エキス消費量によって、泡持ちは後発酵終了後に酵母を遠心除去してNIBEM法で測定した。
それぞれの方法によって測定したビール酵母の活性と発酵状態との相関を比較した結果を、図2及び図3に示した。図2から、本発明に係る方法による死細胞比率(図2A)はメチレンブルー染色法(図2B)に比べてバラツキが小さく、本発明の方法による死細胞と発酵速度(発酵2日後のエキスの消費量)との相関係数の絶対値が0.744であるのに対して、メチレンブルー染色法では0.666と低く、本発明に係る方法によるビール酵母の細胞活性と発酵速度との相関関係がメチレンブルー染色法に比べ一層深いことが分かった。また、図3から、本発明に係る方法による損傷細胞比率(図3A)はAP値(図3B)に比べてバラツキが小さく、損傷細胞の比率と泡持ちとの相関係数の絶対値が0.760であるのに対して、APT法では0.527と低く、本発明に係る方法によるビール酵母の細胞活性は発泡酒の泡持ちへの影響度をより高い相関があることが分かった。
図1は、5−CFDA−AM及びPIで二重染色したビール酵母をフローサイトメーターによって解析した結果を示す。図1A及び図1Bはそれぞれ2℃保存サンプル及び10℃保存サンプルの細胞分布図を示す。 図2は、異なる方法によって測定した15種類の酵母の死細胞比率と発酵2日後のエキス消費量(発酵速度)の相関を示す。図2Aは、5−CFDA−AM及びPIで二重染色に続いたフローサイトメトリー解析法による死細胞比率と発酵速度との相関を示す。図2Bは、メチレンブルー染色法による死細胞比率と発酵速度との相関を示す。 図3は、異なる方法によって測定した15種類の酵母の細胞活性とNIBEM(泡持ち)の相関を示す。図3Aは、5−CFDA−AM及びPIで二重染色に続いたフローサイトメトリー解析法による損傷細胞比率と泡持ちとの相関を示す。図3Bは、APT法によるAP値と泡持ちとの相関を示す。

Claims (4)

  1. ビール酵母細胞集団をエステラーゼ活性判定色素及び核染色色素で二重染色する工程と、
    ビール酵母細胞集団に励起光を照射することにより発生するエステラーゼ活性判定色素由来の蛍光の蛍光強度及び核染色色素由来の蛍光の蛍光強度をフローサイトメーターにより測定し、前記2種類の蛍光の蛍光強度を座標軸とする2次元座標にビール酵母細胞集団をプロットして分布図を作成する工程と、
    分布図において、エステラーゼ活性判定色素が陽性でありかつ核染色色素が陰性あるビール酵母を生細胞と、エステラーゼ活性判定色素が陰性でありかつ核染色色素が陽性であるビール酵母を死細胞と、エステラーゼ活性判定色素及び核染色色素がともに陽性であるビール酵母を損傷細胞と規定し特定する工程と、
    損傷細胞の比率と死細胞の比率との合計が20%未満であり、かつ損傷細胞が10%未満の場合に、前記ビール酵母細胞集団がビール醸造に適すると判断する工程と
    を備える、ビール酵母の活性評価方法。
  2. エステラーゼ活性判定色素が、カルボキシフルオレセインジアセテート、5−カルボキシフルオレセインジアセテート、5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル、5(6)−カルボキシフルオレセインジアセテート混合物、5(6)−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル混合物、及び5−クロロメチルフルオレセインジアセテートからなる群より選択される色素であり、核染色色素が、ヨウ化プロピジウム、エチジウムブロマイド、及びエチジウムホモダイマーからなる群より選択される色素である、請求項1記載の方法。
  3. 二重染色を0.25μM〜10μMの5−カルボキシフルオレセインジアセテートアセトキシメチルエステル及び0.5μg/mL〜5μg/mLのヨウ化プロピジウムで行う、請求項1記載の方法。
  4. 励起光は、波長410nm〜510nmの光であり、発生する2種類の蛍光は波長515nm〜545nmの光及び650nm以上の光である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
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