JP2006298237A - 建設機械のキャノピ構造 - Google Patents

Abstract

【課題】 キャノピの柱の強度を向上させ、かつ柱の歪みを最小限に抑えることができる構造を提供しようとする。
【解決手段】 異型鋼管4の外側に補強部材5を接続させて柱部2を形成させ、該柱部2に天井板3を接続させてキャノピを形成させた。
【選択図】 図１

Description

この発明は、建設機械のキャノピ構造に関する。

従来の建設機械のキャノピは、各壁を形成する合わせ板の一方または双方を外方に膨らませて中空部を形成し、その中空部を柱（ピラー）とする構造が主流であった。

しかし、近年、搭乗者保護の観点からキャノピの強度向上が要請され、特開平９−２５６４８号公報（特許文献１）や特許第３４７４４１７号公報（特許文献２）において、柱を補強する構造が提案されている。図４は特開平９−２５６４８号公報に開示された一例であり、柱6内に鋼管7（または棒鋼）を配置させている。また図５は特許第３４７４４１７号公報に開示された一例であり、柱8内に曲折状板部材9を配置させている。

特開平９−２５６４８号（図２〜４、図８、図１１） 特許第３４７４４１７号（図２〜５、図１０〜１４）

しかし、これらの補強構造は、合わせ材を接合した柱を基礎とすることによる強度向上の限界があることに加え、補強部材の接合工程に起因する理由によって、キャノピに過重がかかった際、柱に生じる歪みを最小限に抑えることが困難となっている。すなわち、補強部材の配置は、まず補強部材を、柱を形成する一の合わせ材（例えばアウタパネル）と接合させた後、補強部材を挟むように他方の合わせ材（例えばインナパネル）を前記一の合わせ材に接合することで行う。ここで、他方の合わせ材の接合時においては、加工誤差や溶接歪みを考慮して、補強部材との間にある程度の間隙（各図中、ｓで示す）を設ける必要がある。しかし、この間隙があることによって、キャノピに過重がかかった際、間隙の分だけ柱に歪みが生じてしまうのである。

この発明は、従来技術の以上のような問題に鑑み創案されたもので、キャノピの柱の強度を向上させ、かつ柱の歪みを最小限に抑えることができる構造を提供しようとするものである。

このため、この発明に係る建設機械のキャノピ構造は、異型鋼管の外側に補強部材を接続させて柱部を形成させ、該柱部に天井板を接続させてキャノピを形成させたことを特徴とする。

ここで、前記異型鋼管とは、鋼管を加圧等の加工をして、断面形状を円以外の所定形状にしたものをいう。

本発明は、柱部の構成部材として異型鋼管を用いているので、それだけで強度が向上しているが、その外側に補強部材を接続させて柱を形成させているので、強度がさらに向上する。また、異型鋼管の外側に補強部材を接続させて柱を形成させる構造のため、部材間に間隙を生じさせる余地がなく、従来のような間隙による歪みが生じるおそれもない。

以上説明したように、本発明によれば、キャノピの柱の強度が向上し、また従来のような柱に歪みが生じるというおそれもない。

本発明の具体的実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、以下の形態例は本発明を具現化した一例に過ぎず、本発明がそれに限定されるものではないことは当然である。

図１は油圧ショベルのキャノピに適用された一例であり、同図(a)はキャノピ全体の説明図、(b)は柱部の断面図である。

図示のように、本形態例は、４本の柱部としての柱2で四角を形成させ、それらの柱2の上部に天井板3を接続させてキャノピ1を形成させている。

前記柱2は、いずれも同図(b)に示すように、鋼管を加圧変形させた異型鋼管4の外部に、補強部材5を接続させている。補強部材5は、図示のように断面Ｌ字状の曲折鋼板よりなる。異型鋼管4は両端4a,4bが突出するように中央部が凹む形状に加圧され、その両端4a、4b部に前記補強部材5の端部が接続されて、異型鋼管4の凹み部を覆う形態となっている。この接続により、異型鋼管4と補強部材5とが一体となって柱2を形成している。なお、異型鋼管4の凹み部はキャノピ1の内側に位置することになるので、補強部材5は外側からは露見せず、キャノピ1の美観が阻害されることはない。また、オペレータの視界を妨げることもない。

本形態例の構造によって、どの程度の強度が向上するのかを断面係数を解析した試験結果で示す。図２に示すように、キャノピの前後方向（Ｘ方向）と左右方向（Ｙ方向）のそれぞれの断面係数を解析した。比較のため、図３に示すような前記異型鋼管4のみ用いて前記補強部材5を用いていない柱の構造についても解析した。解析結果は次のとおりである。

Ｘ方向： 実施形態例５１７６６３．３０、比較例１６６９８５．８７
Ｙ方向： 実施形態例７８３２５９．１６、比較例５５８７５７．６３

上記表に示すように、本形態例はキャノピの前後方向（Ｘ方向）と左右方向（Ｙ方向）のいずれの方向の断面係数も格段に向上していることが示されている。

この発明は、キャノピを備える建設機械に適用可能である。

本形態例の説明図であり、(a)はキャノピ全体の説明図、(b)は(a)中の柱のＡ−Ａ断面図である。 断面係数の解析に用いた形態例を示した断面図である。 断面係数の解析に用いた比較例を示した断面図である。 特開平９−２５６４８号に開示される柱の断面図である。 特許第３４７４４１７号に開示される柱の断面図である。

符号の説明

1 キャノピ
2 柱（柱部）
3 天井板
4 異型鋼管
5 補強部材

Claims (1)

1. 異型鋼管の外側に補強部材を接続させて柱部を形成させ、該柱部に天井板を接続させてキャノピを形成させたことを特徴とする建設機械のキャノピ構造。

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