JP2006292431A - ドップラ効果を用いた速度計測方法及びドップラ速度計 - Google Patents

ドップラ効果を用いた速度計測方法及びドップラ速度計 Download PDF

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Abstract

【課題】ドップラ速度計で、被計測物体へ向けて送信する出力波の周波数が低い場合であってもドップラ周波数を増大させることができ、高分解能で速度を検出可能とする。
【解決手段】被計測物体Wに向かって送信波を送信すると共に、該送信波を周波数逓倍したものを基準波としておき、前記送信波が被計測物体で反射されたものを受信波として受信した上で基準波と同一逓倍率nで周波数逓倍して、基準波と周波数逓倍された受信波との周波数差から求められるドップラ周波数nfdから被計測物体の速度vを算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ドップラ効果を用いた速度計測方法及びドップラ速度計に関するものである。
従来から、移動する物体(被計測物体)の速度を遠隔で計測する際には、「ドップラ効果」を利用した速度計測方法などが用いられてきた。
例えば、特許文献1に記載された技術では、製鉄所内の連続鋳造工程において、被計測物体(鋳片)に電波を照射して、反射してくる電波のドップラ周波数を測定することにより、被計測物体の速度(鋳片の引き抜き速度)を測定している。この場合、ドップラ周波数は、被計測物体に照射する電波の周波数や被計測物体の速度に比例するものとなり、被計測物体の移動速度が低速の場合、当該ドップラ周波数は低くなって、被計測物体の速度を高分解能で測定することが困難となっていた。
すなわち、特許文献1では、送信波として周波数10GHz(特許文献1中の1GHzは誤り)の電波を使用し、速度v=2cm/sで移動する鋳片の速度を計測しており、従来からの計測方法では、ドップラ周波数fdは1.3Hzとなる。しかしながら、市販されている周波数測定器の測定レンジは約1Hz〜数MHz程度であり、1Hz前後の周波数を測定した際には大きな誤差を伴うことが予想される。また、鋳片の速度が遅くなりドップラ周波数が1Hz以下になった場合、このような低い周波数を測定しようとすれば、測定時間が長くなり、この測定時間の間は計測結果を得ることができず応答性で不利な状況となる。
この状況を改善するためには、被計測物体へ発射する電波の周波数を高くしてドップラ周波数を上げればよく、特許文献1では、周波数50GHzの電波を使用しドップラ周波数を約6.7Hzに上げるようにしている。
一方、被計測物体の速度を高分解能で測定するために、レーザ光を照射するレーザドップラ速度計が既に商品化されている。レーザドップラ速度計は、電波に比べその周波数がはるかに高いレーザ光を被計測物体に照射するため、そのドップラ周波数は低速の物体でも高いものとなる(例えば、可視レーザ光632nm、ミリ波76GHzとすると、その周波数比は6200倍)。ゆえに、レーザドップラ速度計は非常に低速度からの測定が可能なものとなっている。
特許文献2には、上述したようなレーザドップラ速度計を用いて、鋼線材の引き抜き速度を遠隔で計測することが開示されている。
特開昭62−244560号公報(図2) 特開2004−74229号公報(図1)
製鉄所に代表される悪環境下で、特許文献2に記載されたレーザドップラ速度計を用いた場合、レーザ光は少しの粉塵でも散乱され計測誤差が著しいものとなる。
特許文献1の如く、周波数の高い電波を用いたドップラ速度計を使用すると、粉塵による電波の散乱等がレーザ光に比して少なく正確な速度測定が可能となると考えられる。しかしながら、以下に述べる数々の問題もある。
つまり、図8に示すように、電波はその周波帯域により酸素分子や水蒸気(すなわち大気)に反射されたり吸収される。そのため、例えば、多量の水蒸気が充満する圧延機近傍での圧延材の移送速度の検出などには不向きである。仮に水蒸気が少ない環境下であっても、電波は、その周波数が極端に高くなると光と同様に伝搬路の粉塵粒子の影響を受けやすくなるため、高い周波数の電波はダスト環境下には適さない。
加えて、電波の使用には各国とも法的規制があり、極微弱な電波を除けば、用途毎に割り当てられている使用周波数が決まっている。例えば、移動体検知センサ用の特定小電力無線局に対しては、10.525GHz(室内)と24.15GHz(室内外)とが使用に対して開放されているものの、他の周波数(例えば、特許文献1の50GHz)の無制限な使用は許されていない。
上記の制約を考慮して、電波の使用周波数を選択した場合、ドップラ速度計に使用できる電波の周波数は必ずしも高くできず、得られるドップラ周波数も通常の周波数計測機器で計測できる周波数レンジと比して非常に低いものとなる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、被計測物体へ向けて送信する送信波の周波数が低い場合であっても、周波数の高いドップラ周波数を得ることができ、もって、被計測物体の速度を高分解能で検出可能としたドップラ効果を用いた速度計測方法及びドップラ速度計を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明にかかる速度計測方法は、被計測物体に向かって送信波を送信すると共に、該送信波を周波数逓倍したものを基準波としておき、前記送信波が前記被計測物体で反射されたものを受信波として受信した上で、前記基準波と同一逓倍率で周波数逓倍して、前記基準波と周波数逓倍された前記受信波との周波数差から求められるドップラ周波数を基に、前記被計測物体の移動速度を算出することを特徴とする。
好ましくは、発振器の出力を同一周波数を有する2つの出力波に分割した上で、一方の出力波を送信波として被計測物体に向かって送信すると共に、他方の出力波を周波数逓倍して基準波としておき、前記送信波が前記被計測物体で反射されたものを受信波として受信した上で、前記基準波と同一逓倍率で周波数逓倍して、前記基準波と周波数逓倍された前記受信波との周波数差から求められるドップラ周波数を基に、前記被計測物体の移動速度を算出するとよい。
以下、本計測方法の原理を述べる。
図7は、従来のドップラ速度計70の基本的な構成を示したブロック構成図である。
すなわち、発振器72からの出力は方向性結合器73で2つの出力波に分割され、一方の出力波は送受信部75より送信波として送信されて、速度vで移動している被計測物体Wに照射される。被計測物体Wに当たった送信波は反射して送受信部75で受信波として受信される。
受信波の周波数はf+fd(fdはドップラ周波数)となっている。一方、分割された他方の出力波は周波数fの基準波となる。この基準波と受信波とがミキサ76に入力され、その周波数差が求められ、フィルタ77を通過することでドップラ周波数fdだけが抽出される。さらに、該ドップラ周波数fdは信号処理部78に入力され、被計測物体Wの速度が理論的に求められる。
しかしながら、ドップラ周波数fdが非常に低い周波数(例えば1Hz前後)であるときには、通常の周波数測定器や回路で計測できる周波数レンジを外れることがあり、ドップラ周波数fdを精度高い数値として検出することは甚だ困難である。
一方、図1は、本発明に係る速度測定方法ならびにその方法を適用したドップラ速度計1のブロック構成図を示している。
従来のドップラ速度計と同様に、発振器2からの出力を2つの出力波に分割し、このうち一方の出力波を送受信部5より送信し、速度vで移動している被計測物体Wに照射する。送信波は被計測物体Wで反射して送受信部5で受信波として受信される。
また、分割された他方の出力波は、逓倍率nで周波数逓倍されて基準波となり、前記送受信部5で受信された受信波は、基準波と同一の逓倍率nで周波数逓倍される。
前記受信波の周波数は、被計測物体の移動速度vに応じたドップラシフトがかかっておりf+fdとなっていて、周波数逓倍後の周波数はnf+nfdとなる。これに対し基準波の周波数はnfである。そのため、受信波と基準波との周波数差から、逓倍されたドップラ周波数nfdを求めることができ、このn倍されたドップラ周波数fdを基に、被計測物体Wの速度を高分解能で算出することができるようになる。
換言すれば、ドップラ周波数fdを高くする作用は、送受信部75で受信された後の周波数信号の周波数逓倍により行われるため、空間を伝搬する周波数信号の周波数は必ずしも高くする必要がなく、環境要因あるいは電波利用上の規制を考慮した周波数を選択することができる。
なお、前記送信波はミリ波やマイクロ波等の電波であるとよい。
ミリ波やマイクロ波に相当する周波数帯、すなわち光より波長の長い電波を用いることで、レーザ光のように粉塵による散乱を避けることができ、悪環境化でも速度を確実に計測することができるようになる。
また、上記ドップラ効果に基づいた計測方法を実施するためのドップラ速度計として、被計測物体に向かって送信波を送信すると共に、該送信波が被計測物体で反射されたものを受信波として受信する送受信部と、前記送信波を周波数逓倍して基準波として出力する第1逓倍器と、前記受信波を前記基準波と同一逓倍率で周波数逓倍する第2逓倍器と、
前記第1逓倍器と前記第2逓倍器との出力の周波数差から求められるドップラ周波数を基に前記被計測物体の移動速度を算出する信号処理部とを有する構成とするとよい。
このドップラ速度計を用いることで、ドップラ周波数fdが低い周波数であったとしても、前記第1逓倍器及び第2逓倍器の出力の周波数差から得られる周波数nfdは、従来のドップラ速度計(図7)で得られるドップラ周波数fdをn倍したものであるから、周波数測定器等によって精度よく測定することができる。ゆえに、本速度計によれば、ドップラ周波数fdをn倍した周波数nfdを基に、被計測物体Wの速度を高分解能で算出することができる。
なお、上記ドップラ速度計においては、前記送受信部は、所定の速度で移動する被計測物体に送信波を送信する送信部と、前記送信部とは別の場所に配置されて被計測物体からの反射波を受信する受信部とから構成するようにしてもよい。
本発明によれば、被計測物体へ向けて送信する送信波の周波数が低い場合であっても、周波数の高いドップラ周波数を得ることができ、もって、被計測物体の速度を高分解能で検出することができる。
以下、本発明にかかるドップラ効果を用いた速度計測方法、及びドップラ速度計を図を基にして説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明にかかるドップラ速度計1のブロック構成図である。
ドップラ速度計1は、周波数fの出力波(マイクロ波等の電波)を発生する発振器2と、発振器2から出力される出力波を2つの信号に分割する方向性結合器3とを有している。また、分割された一方の出力波を送信波として送信すると共にその反射波を受信波として受信する送受信部5、及び送信波(出力波)や受信波を各ポートP1,P2,P3に出力するサーキュレータ4を有している。
また、ドップラ速度計1は、入力信号の周波数をn倍して出力する2つの逓倍器(第1逓倍器10と第2逓倍器11)、2つの入力信号の周波数の和と差とを出力するミキサ6、フィルタ7、及び信号処理部8を備える。
図1に示すように、本実施形態における被計測物体Wは、断面略長方形で表面がほぼ平面の形状を有している。当該被計測物体Wは、図1における右側方向に速度vで移動している。送受信部5は、例えば被計測物体Wの進行方向前方側(図1の右側)から被計測物体1の表面に対して垂直に出力波を送信波として送信し、被計測物体Wに反射して戻ってくる反射波を受信波として受信する。
ドップラ速度計1内での信号の流れは以下の通りである。
発振器2では、周波数fの出力波(マイクロ波等の電波)が発生される。発振器2から出力された出力波は、発振器2の出力側に接続された方向性結合器3で同一周波数を有する2つの出力波に分割される。
分割された一方の出力波は、サーキュレータ4のポートP1に入力された上でポートP2に出力され、その後送受信部5に送られて、送受信部5から送信波として被計測物体Wに送信される。該送信波は被計測物体Wの表面に衝突して反射され反射波となる。
被計測物体Wは速度vで移動しているため、この反射波に該速度vに比例したドップラシフトがかかり、その周波数はf+fdとなっている。
前記反射波は送受信部5で受信され受信波となる。なお、送受信部5は、発振器2からの出力波を効率よく送信及び受信できるよう、その波長に対応したホーンアンテナあるいはパラボラアンテナ等が使用される。
前記受信波は、サーキュレータ4のポートP2に入力されポートP3に出力される。ポートP3から出力された受信波は第2逓倍器11に入力され、後述する第1逓倍器10と同じ逓倍率nで周波数逓倍される。すなわち、第2逓倍器11から出力された受信波の周波数は、nf+nfdとなっている。
一方、方向性結合器3で分割された他方の出力波は、ドップラ周波数を求めるための基準となる基準波の役目をもち、第1逓倍器10に入力され逓倍率nで周波数逓倍される。すなわち、周波数nfの基準波となる。
なお、第1逓倍器10と第2逓倍器11との逓倍率に関しては、両者とも同じnであって、第1逓倍器10の逓倍率に第2逓倍器11の逓倍率を合わせたとしているが、逆に第2逓倍器11の逓倍率に第1逓倍器10の逓倍率を合わせたと考えてもよい。
第1逓倍器10及び第2逓倍器11とも、バラクタダイオード又はショットキーバリアダイオードなどの非線形素子を用いて高次周波数を発生させる回路、又はトランジスタの非線形増幅領域を用いて高次周波数を発生させる回路を有していて、その後段側には、共振回路やバンドパスフィルタ等のフィルタが配置される構成となっている。すなわち、第1逓倍器10及び第2逓倍器11は、必要な次数の高次周波数成分を抽出する回路を包含するものとなっている。
次に、周波数逓倍された受信波及び基準波は、ミキサ6に入力され混合されて、これらの和および差の周波数を有する信号がミキサ6より出力される。
前述した如く、被計測物体Wで反射されて送受信部5で受信された受信波の周波数はf+fdであり、これが第2逓倍器11にて周波数逓倍(逓倍率n)されることにより、ミキサ6へ入る時点ではnf+nfdとなっている。
これに対し、基準波は、方向性結合器3から直接第1逓倍器10へ入力されて周波数逓倍(逓倍率n)され、その後にミキサ6へ入る。基準波nf及び周波数逓倍された受信波nf+nfdはミキサ6において混合される。ミキサ6から出力される和の周波数は(nf+nfd)+nf=2nf+nfdとなり、差の周波数は(nf+nfd)ーnf=nfdとなる。
ミキサ6からの出力はフィルタ7(ローパスフィルタ)に入力され、必要な差の周波数であるnfdが抽出される。
次に、フィルタ7で取り出された周波数nfdの信号は信号処理部8へ送られる。信号処理部8では、内蔵されている周波数測定回路で周波数逓倍されたドップラ周波数nfdが測定され、ドップラ周波数fdは、測定結果を逓倍率nで割ることにより求められる。
被計測物体Wの速度は、計算されたドップラ周波数fdを式(1)に代入することで算出される。
Figure 2006292431
ここで、特許文献1の条件(被計測物体Wの移動速度v=2cm/s、送信波の周波数10GHz)で被計測物体Wの移動速度を計測する場合を考えてみる。この条件下ではドップラ周波数fdは約1.3Hzである。ドップラ周波数fdの周波数変動が±30%あれば、ドップラ周波数fd=0.9〜1.7Hzと、1Hz以下の小さな値となることがあり、従来のドップラ速度計70では満足な計測精度が得られない。
一方、ドップラ速度計1では、逓倍器10,11の逓倍率をn=5とした場合、周波数逓倍された周波数nfdは4.5〜8.5Hzとなり、通常の周波数測定器や測定回路(測定レンジは約1Hz〜数MHz程度)で、高精度且つ高分解能で計測が可能である。
このドップラ速度計1は、粉塵等の多い悪環境化に用いることができると共に、被計測物体1の速度が低速の場合にも有効である。ゆえに、例えば、製鉄所内の連続鋳造装置から引き出されるスラブ等の鋳片の速度測定に最適である。
[第2実施形態]
図2は、ドップラ速度計1Bの第2実施形態を示したブロック構成図である。本実施形態が第1実施形態と最も異なるところは、送受信部5Bが送信部5Baと受信部5Bbとに分かれている点にある。
このように構成することで、送信部5Baと受信部5Bbとをそれぞれの最適な配置で設けることができる。ドップラ速度計1Bの他の構成、ドップラ速度計1Bを用いて行う速度計測方法、及び作用効果などは、第1実施形態と略同様である。
[比較例1・・・特開平5−323023]
本発明にかかるドップラ速度計1,1Bの特徴をより明確に理解するため、以下、比較例の説明をする。
図3は、逓倍器82Aの接続位置が、第1実施形態のドップラ速度計1とは異なるドップラ速度計80Aを示したブロック構成図である。ドップラ速度計80Aでは、発振器81の入力が逓倍器82Aに入力され、その出力が方向性結合器83へ入力される。
ドップラ速度計80Aでは、発振器81から出力される送信波を、予め周波数逓倍(n倍)するため、送受信部85で受信されミキサ86に入った受信波の周波数は、nf+nfdとなる。また、逓倍器82Aから直接ミキサ86へ入った基準波の周波数は、nfとなるので、ミキサ86から出力される和の周波数は(nf+nfd)+nf=2nf+nfdとなり、差の周波数は(nf+nfd)ーnf=nfdとなる。
しかしながら、この構成では、送受信部85から送信される送信波の周波数はnfとなり、高い周波数となってしまう。そのため、背景技術の中で既述したように、伝搬路の粉塵粒子の影響を受けやすくなりダスト環境下での測定には適さないという問題や、法的規制に抵触して使用が許可されない問題などが起こることになる。
結果、このように逓倍器82Aを配置するのは適当ではない。
[比較例2]
図4は、逓倍器82Bの接続位置が第1実施形態のドップラ速度計1とは異なるドップラ速度計80Bを示したブロック構成図である。ドップラ速度計80Bでは、方向性結合器83で2分割された一方の出力波と、送受信部85で受信された受信波とがそのままミキサ86に入力され、ミキサ86の出力が逓倍器82Bに入力され、逓倍器82Bからの出力がフィルタ87に入力される。
このような構成であると、ドップラ速度計70(図7)の場合と同様に、送受信部85で受信された後にミキサ86に入る出力波の周波数はf+fdであり、方向性結合器83で分割されミキサ86へ入る出力波(基準波)の周波数はfである。したがって、ミキサ86の差の周波数としてドップラ周波数fdが抽出され、ドップラ周波数fdは逓倍率nの逓倍器82Bで周波数逓倍された周波数nfdになる。
しかしながら、周波数逓倍する前のドップラ周波数fdは1Hz前後と非常に低く、現状の逓倍器では、このような低周波数を確実に周波数逓倍することは容易ではない。ゆえに、ミキサ86の後段に逓倍器82Bを配置するのではなく、第1,2実施形態のように、周波数の高い出力波及び受信波を周波数逓倍するために、ミキサ6の前段に逓倍器10,11を配置する構成が好適である。
さらに、第1,2実施形態が比較例2に比べて優位な理由として、以下のことが考えられる。
例えば、比較例2のように、低い周波数の信号が逓倍器82Bに入力される場合を想定する。このときの速度計測に関する諸条件を、特許文献1(被計測物体Wの移動速度v=2cm/s、送信波の周波数10GHz)と同じとする。この条件下ではドップラ周波数fdは約1.3Hzであり、被計測物体の速度変動に起因するドップラ周波数fdの周波数変動を±30%と仮定すると、ドップラ周波数fdは0.9〜1.7Hzの範囲で変化する。
かかる変動幅を有するドップラ周波数fdを、逓倍率がn=5である逓倍器82Bに入力したとする。逓倍器82B内では、入力されたドップラ周波数がnfd=4.5〜8.5Hzに逓倍されることになるため、周波数逓倍後の信号を通過させるフィルタ(例えば、逓倍器内に包含されるフィルタ)には、図5に示されるように周波数4.5〜8.5Hzの信号を通過させるバンドパスフィルタが用いられることになる。
しかしながら、このバンドパスフィルタは、図5に示すように被計測物体の速度変動に起因しない、ドップラ周波数fd=1.7Hzの3倍,4倍の高次周波数を通過させてしまって、目的の次数の周波数だけを抽出することができないという問題を起こす可能性がある。
これに対し、図1のように、10GHz+0.9〜1.7Hzのような高い周波数の信号、すなわちミキサ6に入る前の受信波を逓倍器11に入力した場合には、逓倍器11内で、入力信号の周波数が50GHz+4.5〜8.5Hzと逓倍されることになる。ゆえに、図6に示すような45〜55GHzを通過させるバンドパスフィルタを用いれば、3倍,4倍の高次周波数(30GHzや40GHz)を確実に除去することができる。
以上のことを鑑みた結果、比較例2のように、ミキサ86の後段に逓倍器82Bを配置し、ミキサ86からの出力である低い周波数の信号を逓倍器82Bに入力することは好ましくない。第1,2実施形態のように、送信波及び受信波を逓倍器により周波数逓倍してからミキサで混合する構成とすることにより、上述したような「必要としない高次周波数がフィルタを通過する」といった問題が発生せず、非常に優位となる。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
本ドップラ速度計1,1Bは、被計測物体Wが出力波の進行方向に直交する方向に移動するものでなければ、その速度vを計測することが可能である。
また、第1逓倍器10や第2逓倍器11は、それぞれ、複数の逓倍器を接続した構成とし、これらから得られる周波数逓倍後の周波数を積算することで目的とする逓倍率(n)を得るようにしてもよい。
本発明にかかるドップラ効果を用いた速度測定方法及びドップラ速度計は、様々な形状・速度を有する被計測物体の速度測定に用いることができる。特に、連続鋳造機から出てくる鋳片や伸線機から排出される線材に好適に実施できる。また、鉄鋼プロセスなど高温、多粉塵の悪環境下にある物体の移動速度を測定する用途に適用することができる。
ドップラ速度計の第1実施形態を示すブロック構成図である。 ドップラ速度計の第2実施形態を示すブロック構成図である。 比較例1のドップラ速度計を示すブロック構成図である。 比較例2のドップラ速度計を示すブロック構成図である。 比較例2における逓倍器への入力信号とフィルタとの関係を示した図である。 第1,2実施形態における逓倍器への入力信号とフィルタとの関係を示した図である。 従来のドップラ速度計を示すブロック構成図である。 大気における電波の周波数−吸収係数の特性を示した図である。
符号の説明
1 ドップラ速度計
1B ドップラ速度計
2 発振器
5 送受信部
5Ba 送信部
5Bb 受信部
8 信号処理部
10 第1逓倍器
11 第2逓倍器
W 被計測物体

Claims (4)

  1. 被計測物体に向かって送信波を送信すると共に、該送信波を周波数逓倍したものを基準波としておき、
    前記送信波が前記被計測物体で反射されたものを受信波として受信した上で、前記基準波と同一逓倍率で周波数逓倍して、
    前記基準波と周波数逓倍された前記受信波との周波数差から求められるドップラ周波数を基に、前記被計測物体の移動速度を算出することを特徴とするドップラ効果を用いた速度計測方法。
  2. 発振器の出力を同一周波数を有する2つの出力波に分割した上で、一方の出力波を送信波として被計測物体に向かって送信すると共に、他方の出力波を周波数逓倍して基準波としておき、
    前記送信波が前記被計測物体で反射されたものを受信波として受信した上で、前記基準波と同一逓倍率で周波数逓倍して、
    前記基準波と周波数逓倍された前記受信波との周波数差から求められるドップラ周波数を基に、前記被計測物体の移動速度を算出することを特徴とするドップラ効果を用いた速度計測方法。
  3. 前記送信波は電波である請求項1又は2に記載のドップラ効果を用いた速度計測方法。
  4. 被計測物体に向かって送信波を送信すると共に、該送信波が被計測物体で反射されたものを受信波として受信する送受信部と、
    前記送信波を周波数逓倍して基準波として出力する第1逓倍器と、
    前記受信波を前記基準波と同一逓倍率で周波数逓倍する第2逓倍器と、
    前記第1逓倍器と前記第2逓倍器との出力の周波数差から求められるドップラ周波数を基に前記被計測物体の移動速度を算出する信号処理部と、を有することを特徴とするドップラ速度計。
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