図1は、この発明の第1実施例に係る船外機の制御装置を船体も含めて全体的に示す概略図であり、図2は、図1に示す船外機の拡大側面図である。
図1および図2において、符号10は船外機を示す。船外機10は、図示の如く、船体12の後尾に装着される。
図1に示す如く、船体12において操縦席14の付近には、ステアリングホイール16(操作部)が配置される。ステアリングホイール16は、操船者に操作されて船外機10の転舵指示(操船者指示)を入力する。また、ステアリングホイール16の回転軸(図示せず)の付近には、操舵角センサ18が設けられる。操舵角センサ18は、操船者によって操作されたステアリングホイール16の操舵角に応じた信号を出力する。
また、操縦席14の付近にはリモートコントロールボックス(以下「リモコンボックス」という)20が配置される。リモコンボックス20には、操船者に操作されるシフト・スロットルレバー22が設けられる。シフト・スロットルレバー22は、初期位置から前後方向に揺動操作自在とされ、操船者からのシフトチェンジ指示(操船者指示)とエンジン回転数の調節指示(操船者指示)を入力する。また、リモコンボックス20は、レバー位置センサ24を備える。レバー位置センサ24は、操船者によって操作されたシフト・スロットルレバー22の位置に応じた信号を出力する。
操縦席14の付近には、さらに、GPS(Global Positioning System)プロッター26が配置される。GPSプロッター26は、船体12の航路上の位置情報を取得すると共に、操船者に操作されて船体12の航路上の目標位置を入力する。GPSプロッター26は、具体的には、受信機やディスプレイ、複数個のスイッチなど(いずれも図示せず)を備え、衛星から発信された電波を受信して船体12の航路上の位置を特定し、船体12の航跡をディスプレイに表示すると共に、操船者のスイッチ操作によって船体12の航路上の目標位置が入力される。また、GPSプロッター26は、取得した位置情報(特定した船体12の位置)と入力された目標位置に応じた信号を出力する。
さらに操縦席14の付近には、自動操縦スイッチ30と船速設定スイッチ32が設けられる。自動操縦スイッチ30は、操船者の操作に応じ、自動操縦(オートパイロット)の実行指示または実行禁止指示を示す信号を出力する。また、船速設定スイッチ32は、操船者の操作に応じて自動操縦時の指示速度(目標速度)Voを示す信号を出力する。上記した各出力は、船外機10に搭載されたマイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(以下「ECU」という)34に入力される。
図2に示すように、船外機10は、その上部に内燃機関(以下「エンジン」という)36を備える。エンジン36は火花点火式のガソリンエンジンである。エンジン36は水面上に位置し、エンジンカバー40で覆われる。また、エンジンカバー40の内部においてエンジン36の付近には、前記したECU34が配置される。
一方、船外機10の下部にはプロペラ42が配置される。プロペラ42は、エンジン36の出力がシフト機構(図2で図示せず)などを介して伝達されて回転し、船体12を前進あるいは後進させる推力を生じる。
また、船外機10は、船外機10の転舵軸(図2で図示せず)を駆動して船外機10を左右に転舵させる転舵用電動モータ(転舵用アクチュエータ)44と、エンジン36のスロットルバルブ(図2で図示せず)を開閉するスロットル用電動モータ(スロットル用アクチュエータ)46と、シフト機構を駆動してシフトチェンジを行うシフト用電動モータ(シフト用アクチュエータ)48とを備える。
転舵用電動モータ44の付近には、転舵角センサ50が配置される。転舵角センサ50は、船外機10の転舵角に応じた信号を出力する。また、スロットル用電動モータ46の付近には、スロットル開度センサ52が配置される。スロットル開度センサ52は、スロットルバルブの開度に応じた信号を出力する。
シフト用電動モータ48の付近には、シフト位置センサ54が配置される。シフト位置センサ54は、シフトポジション(ニュートラル、フォワードおよびリバース)を示す信号を出力する。上記したセンサ50,52,54の出力は、ECU34に入力される。
次いで、図3を参照し、船外機10の構造について詳説する。図3は、船外機10の部分断面図である。
図3に示すように、船外機10はスターンブラケット56を備える。スターンブラケット56は、船体12の後尾に固定される。また、スターンブラケット56には、チルティングシャフト58を介してスイベルケース60が接続される。
また、船外機10は、マウントフレーム62を備える。マウントフレーム62はシャフト部64(転舵軸)を備え、シャフト部64はスイベルケース60の内部に鉛直軸回りに回転自在に収容される。マウントフレーム62は、その上端が船外機10のフレームに固定される。また、マウントフレーム62の下端は、ロアマウントセンターハウジング66を介して船外機10のフレームに固定される。
スイベルケース60の上部には、前記した転舵用電動モータ44が配置される。転舵用電動モータ44の出力軸は、減速ギヤ機構68を介してマウントフレーム62に接続される。即ち、転舵用電動モータ44を駆動することにより、その回転出力が減速ギヤ機構68を介してマウントフレーム62に伝達され、よって船外機10がシャフト部64を回転軸として左右に(鉛直軸回りに)転舵される。上記した転舵角センサ50は、船外機10の転舵角として、シャフト部64の回転角に応じた信号を出力する。
また、エンジン36の吸気管70には、スロットルボディ72が接続される。スロットルボディ72は、その内部にスロットルバルブ74を備えると共に、前記したスロットル用電動モータ46が一体的に取り付けられる。スロットル用電動モータ46の出力軸は、スロットルボディ72に隣接して配置された減速ギヤ機構(図示せず)を介し、スロットルバルブ74を支持するスロットルシャフト76に接続される。即ち、スロットル用電動モータ46を駆動することで、その回転出力がスロットルシャフト76に伝達されてスロットルバルブ74が開閉し、よってエンジン36の吸気が調量されてエンジン回転数が調節される。
エンジン36を覆うエンジンカバー40の下方には、エクステンションケース80が取り付けられ、エクステンションケース80の下方には、さらにギヤケース82が取り付けられる。エクステンションケース80とギヤケース82の内部には、鉛直軸回りに回転自在に支持されたドライブシャフト(バーチカルシャフト)84が配置される。ドライブシャフト84は、その上端にエンジン36のクランクシャフト(図示せず)が接続される一方、下端にはピニオンギヤ86が設けられる。
また、ギヤケース82の内部には、水平軸回りに回転自在に支持されたプロペラシャフト90が収容される。プロペラシャフト90の一端はギヤケース82から船外機10の後方に向けて突出され、そこにボス部92を介して前記したプロペラ42が取り付けられる。
エンジン36から排出された排気は、図に矢印で示すように、排気管94からエクステンションケース80の内部に放出される。エクステンションケース80の内部に放出された排気は、さらにギヤケース82の内部とプロペラのボス部92の内部を通過し、プロペラ42の後方の水中へと排出される。
船外機10は、さらにシフト機構96を備える。シフト機構96は、フォワードベベルギヤ98、リバースベベルギヤ100、クラッチ102、シフトスライダ104、シフトロッド106および減速ギヤ機構110からなる。
フォワードベベルギヤ98とリバースベベルギヤ100は、プロペラシャフト90の外周に配置されると共に、上記したピニオンギヤ86と噛合して相反する方向に回転させられる。フォワードベベルギヤ98とリバースベベルギヤ100の間には、プロペラシャフト90と一体に回転するクラッチ102が配置される。
また、船外機10の内部には、その上部から下部に亘ってシフトロッド106が挿通される。シフトロッド106は、具体的には、エンジンカバー30からスイベルケース54(より詳しくは、そこに収容されたシャフト部58の内部)を経てギヤケース82に至るまでの空間に、鉛直軸回りに回転自在に支持される。上記したクラッチ102は、シフトスライダ104を介してシフトロッド106の底面に設けられたロッドピン106aに接続される。
ここで、ロッドピン106aは、シフトロッド106の底面の中心から所定距離だけ偏心した位置に形成される。従って、シフトロッド106を回転させることにより、ロッドピン106aは、前記した所定距離(偏芯量)を半径とする円弧状の移動軌跡を描きながら変位する。
このロッドピン106aの変位は、シフトスライダ104を介し、プロペラシャフト90の軸方向と平行な変位としてクラッチ102に伝達される。これにより、クラッチ102は、フォワードベベルギヤ98およびリバースベベルギヤ100のいずれかと係合する位置、あるいはそれらのいずれとも係合しない位置にスライドさせられる。
クラッチ102がフォワードベベルギヤ98に係合させられると、ドライブシャフト84の回転がピニオンギヤ86とフォワードベベルギヤ98を介してプロペラシャフト90に伝達され、プロペラ32が回転して船体12を前進させる方向の推力を生じる。
一方、クラッチ102がリバースベベルギヤ100に係合させられると、ドライブシャフト84の回転がピニオンギヤ86とリバースベベルギヤ100を介してプロペラシャフト90に伝達され、プロペラ32が前進時とは逆方向に回転して船体12を後進させる方向の推力を生じる。
また、クラッチ102がフォワードベベルギヤ98およびリバースベベルギヤ100のいずれとも係合しない位置に変位させられると、プロペラシャフト90へのドライブシャフト84の回転の伝達が断たれる。
前記したシフト用電動モータ48は、エンジンカバー40の内部に配置され、その出力軸は減速ギヤ機構110を介してシフトロッド106の上端に接続される。即ち、シフト用電動モータ48を動作させることにより、その回転出力が減速ギヤ機構110を介してシフトロッド106に伝達され、シフトロッド106が回転させられる。そして、シフトロッド106の回転に応じてクラッチ102がスライドすることにより、シフトポジションがフォワード、リバースおよびニュートラルの間で切り換えられる。上記したシフト位置センサ52は、シフトポジションを示す信号として、シフト機構96の動作量、より具体的には、シフトロッド106の回転角に応じた信号を出力する。
図4は、図1に示す装置を機能的に表すブロック図である。
図4に示すように、ECU34は入力部34aと、演算部34bと、出力部34cとを備える。上記した操舵角センサ18、レバー位置センサ24、GPSプロッター26、自動操縦スイッチ30および船速設定スイッチ32の出力は、ECU34の入力部34aに入力される。
また、船体12の適宜位置には、船速センサ120と、風向・風速センサ122と、コンパス124とが配置される。船速センサ120は、船体12の船速(航行速度)Vを示す信号を出力する。また、風向・風速センサ122は船体12に作用する風の向きと大きさに応じた信号を出力し、コンパス124は船体12の進行方向(方位)θを示す信号を出力する。船速センサ120、風向・風速センサ122およびコンパス124の出力も、ECU34の入力部34aに入力される。
また、船外機10に配置された転舵角センサ50、スロットル開度センサ52およびシフト位置センサ54の出力も、ECU34の入力部34aに入力される。ECU34の演算部34bでは、入力部34aを介して入力された各値に基づき、転舵用電動モータ44、スロットル用電動モータ46およびシフト用電動モータ48の制御値を算出すると共に、算出した制御値を出力部34cを介して各電動モータに出力してその動作を制御する。
図5は、ECU34で実行される各電動モータの制御の処理を表すメイン・ルーチン・フローチャートである。図示のプログラムは、所定の周期(例えば10msec)で実行される。
ECU34の処理について概説すると、ECU34は、入力部34aを介して入力された各値に基づき、手動操縦(操船者による操縦)と自動操縦を切り替える。具体的には、ECU34は、ステアリングホイール16やシフト・スロットルレバー22から入力された操船者指示(船外機10の転舵指示、シフトチェンジ指示およびエンジン回転数の調節指示)に従って各電動モータの動作を制御する通常の制御(以下「通常制御」という)と、GPSプロッター26から入力された船体12の航路上の位置情報と目標位置に基づいて(具体的には、船体12が目標位置に到達するように)各電動モータの動作を制御して船体12を自動操縦する自動操縦制御のうちのいずれかを実行する。
以下、図5フローチャートについて説明すると、先ずS10で、自動操縦の実行指示があるか否か判断する。この判断は、自動操縦スイッチ30の出力に基づいて行われる。S10で否定されるとき、即ち、自動操縦スイッチ30から自動操縦の実行禁止指示を示す信号が出力されているときは、S12に進んで通常制御を実行する。具体的には、操舵角センサ18で検出されたステアリングホイール16の操舵角に応じて船外機10の目標転舵角を決定すると共に、転舵角センサ50の出力が目標転舵角に一致するように転舵用電動モータ44の動作を制御する。また、レバー位置センサ24の出力(具体的には、シフト・スロットルレバー22の操作方向)に基づいて目標シフトポジションを決定すると共に、シフト位置センサ54の出力が目標シフトポジションを表す値となるようにシフト用電動モータ48の動作を制御する。そして、シフト位置センサ54の出力から目標シフトポジションが確立されたこと(シフトチェンジが完了したこと)が検知されたとき、レバー位置センサ24の出力(具体的には、シフト・スロットルレバー22の操作量)に基づいて目標スロットル開度を決定すると共に、スロットル開度センサ52の出力が目標スロットル開度に一致するようにスロットル用電動モータ36の動作を制御する。
一方、S10で肯定されるとき、即ち、自動操縦スイッチ30から自動操縦の実行指示を示す信号が出力されているときは、S14に進んで自動操縦制御を実行する。
図6は、自動操縦制御の処理を表すサブ・ルーチン・フローチャートである。
図6フローチャートを参照して自動操縦制御について説明すると、先ずS100で自動操縦中止フラグのビット(初期値0)が1にセットされているか否か判断する。S100で否定されるときはS102に進み、船体12が目標位置に到達したか否か判断する。この判断は、GPSプロッター26で特定された船体12の現在位置と、入力された目標位置とを比較することによって行われる。
S102で否定されるときはS104で指示速度Vo(船速設定スイッチ32の出力)を読み込むと共に、S106で目標進行方向(方位)θoを算出する。目標進行方向θoは、船体12の現在位置と目標位置を直線で結んで得た目標航路から求められる。尚、風向・風速センサ122で検出された風の向きと大きさに応じ、目標進行方向θoを修正するようにしても良い。
次いでS108に進み、シフトポジションがフォワードであるか否か判断する。S108で否定されるときはS110に進み、シフト用電動モータ48の動作を制御してフォワードにシフトチェンジする。S108で肯定されるときはS110の処理をスキップする。
次いでS112で船体12の現在の進行方向θ(コンパス124の出力)を読み込むと共に、S114で操船者によってステアリングホイール16が操作されているか否か判断する。S114で否定されるときはS116に進み、船体12の現在の進行方向θが目標進行方向θoに一致しているか否か判断する。S116で否定されるときはS118に進み、θとθoが一致するように転舵用電動モータ44の動作を制御する(船外機10を転舵させて船体12の進行方向を調整する)。尚、S116で肯定されるときはS118の処理をスキップする。
次いでS120で現在の船速V(船速センサ120の出力)を読み込んだ後、S122に進んで操船者によってシフト・スロットルレバー22が操作されているか否か判断する。S122で否定されるときはS124に進み、現在の船速Vが指示速度Vo以上であるか否か判断する。S124で否定されるときはS126に進み、スロットル開度が所定値だけ増大する、換言すれば、船速Vが所定値だけ上昇するように、スロットル用電動モータ46の動作を制御する。他方、S124で肯定されるときはS128に進み、船速Vが指示速度Voに一致しているか否か判断する。S128で否定されるとき、即ち、船速Vが指示速度Voを上回っているときはS130に進み、ニュートラルにシフトチェンジする、またはスロットル開度を所定値だけ減少させ、船体12を減速させる。一方、S128で肯定されるときはS130の処理をスキップし、現在のスロットル開度とシフトポジションを維持する。尚、船体12が目標位置に接近したときは、指示速度Voに関わらず、スロットル開度やシフトポジションを調節して船体12を減速させるようにしてもよい。
このように、自動操縦制御では、GPSプロッター26から入力された船体12の航路上の位置情報と目標位置に基づいて各電動モータの動作を制御し、船体12を自動操縦する。
一方、S114またはS122で肯定されるとき、即ち、操船者によってステアリングホイール16やシフト・スロットルレバー22の操作が行われているときは、S132に進んで自動操縦制御を中止(中断)して通常制御に切り替えると共に、S134に進んで自動操縦中止フラグのビットを1にセットする。
このように、自動操縦の実行中にステアリングホイール16やシフト・スロットルレバー22の操作が行われたとき、即ち、船外機10の転舵指示、シフトチェンジ指示およびエンジン回転数の調節指示のすくなくともいずれかの操船者指示が入力されたときは、自動操縦を中止して手動操縦に移行する。
自動操縦中止フラグのビットが1にセットされると、次回のプログラム実行時にS100で肯定されてS136に進み、操船者によるステアリングホイール16やシフト・スロットルレバー22の操作が終了したか(操作が行われていないか)否か判断する。S136で肯定されるときはS138に進み、ステアリングホイール16とシフト・スロットルレバー22の操作が終了してから所定時間(例えば数秒)経過したか否か判断する。S136またはS138で否定されるときはS132に進み、通常制御を続行する。一方、S138で肯定されるときはS140に進んで自動操縦中止フラグのビットを0にリセットし、S102以降の処理に進む。即ち、自動操縦の中断中に操船者指示の入力が終了してから所定時間経過したときは、自動操縦を再開する。
尚、S102で肯定されるとき、即ち、船体12が目標位置に到達したときは、S142に進んでニュートラルにシフトチェンジし、船体12を停船させる。
このように、この発明の第1実施例に係る船外機の制御装置にあっては、従来技術では独立に設置されていた船外機と自動操縦装置を一体化させた。具体的には、ステアリングホイール16やシフト・スロットルレバー22から入力された操船者指示(船外機10の転舵指示、シフトチェンジ指示およびエンジン回転数の調節指示の少なくともいずれか)に従って転舵用電動モータ44、スロットル用電動モータ46およびシフト用電動モータ48の少なくともいずれかの動作を制御する通常制御と、GPSプロッター26から入力された船体12の位置情報と目標位置に基づいて各電動モータ44,46,48の動作を制御して船体12を自動操縦する自動操縦制御とを、ECU34で実行するように構成したので、手動操縦(通常制御)と自動操縦(自動操縦制御)の両方を行うのに必要な構成を簡素化することができる。換言すれば、手動操縦を行うのに必要な制御ユニットと制御対象を、自動操縦を行うのに必要なそれと共通化するようにしたので、装置全体の構成を簡素化することができ、よって装置の大型化と取り付け作業の煩雑化を防止することができる。さらに、自動操縦制御では、転舵用電動モータ44に加え、スロットル用電動モータ46とシフト用電動モータ48の動作を制御するように構成したので、自動操縦中の船速の調整や停船も行うことができる。
また、自動操縦の実行中に操船者指示が入力されたとき、自動操縦を中止すると共に、入力された操船者指示に従って転舵用電動モータ44、スロットル用電動モータ46およびシフト用電動モータ48の少なくともいずれかの動作を制御する(通常制御に切り替える)ように構成したので、自動操縦から手動操縦に速やかに移行することができると共に、自動操縦から手動操縦への切り替え作業(具体的には、自動操縦スイッチ30の操作)が不要となって操船者の負担を軽減することができる。
また、操船者指示の入力が終了してから所定時間経過したとき、自動操縦を再開するように構成したので、手動操縦から自動操縦への切り替え作業(自動操縦スイッチ30の操作)も不要となり、操船者の負担を一層軽減することができる。
以上の如く、この発明の第1実施例にあっては、船外機(10)の転舵軸(シャフト部64)を駆動して前記船外機を転舵させる転舵用アクチュエータ(転舵用電動モータ44)と、前記船外機に搭載された内燃機関(エンジン36)のスロットルバルブ(74)を開閉して機関回転数(エンジン回転数)を調節するスロットル用アクチュエータ(スロットル用電動モータ46)と、前記船外機のシフト機構(96)を駆動してシフトチェンジを行うシフト用アクチュエータ(シフト用電動モータ48)と、操船者に操作されて前記船外機の転舵指示、機関回転数の調節指示およびシフトチェンジ指示の少なくともいずれかの操船者指示を入力する操作部(ステアリングホイール16、シフト・スロットルレバー22)と、前記入力された操船者指示に従って前記転舵用アクチュエータ、スロットル用アクチュエータおよびシフト用アクチュエータの少なくともいずれかの動作を制御するアクチュエータ制御手段(ECU34、図5フローチャートのS12)とを備えた船外機の制御装置において、前記船外機が装着される船体の航路上の位置情報を取得する位置情報取得手段(GPSプロッター26)と、前記操船者に操作されて前記航路上の目標位置を入力する目標位置入力部(GPSプロッター26)とを備えると共に、前記アクチュエータ制御手段は、前記取得された位置情報と前記入力された目標位置に基づいて前記転舵用アクチュエータ、スロットル用アクチュエータおよびシフト用アクチュエータの少なくともいずれかの動作を制御して前記船体を自動操縦する(図5フローチャートのS14、図6フローチャートのS102からS130,S142)ように構成した。
また、前記アクチュエータ制御手段は、前記自動操縦の実行中に前記操船者指示が入力されたとき、前記自動操縦を中止すると共に、前記入力された操船者指示に従って前記転舵用アクチュエータ、スロットル用アクチュエータおよびシフト用アクチュエータの少なくともいずれかの動作を制御する(図6フローチャートのS114,S122,S132,S134)ように構成した。
また、前記アクチュエータ制御手段は、前記操船者指示の入力が終了してから所定時間経過したとき、前記自動操縦を再開する(図6フローチャートのS100,S136からS140)ように構成した。
尚、上記において、船体10に装着される船外機を1基としたが、2基以上であっても良い。
また、転舵用アクチュエータ、スロットル用アクチュエータおよびシフト用アクチュエータをそれぞれ電動モータとしたが、油圧シリンダなど、他のアクチュエータを使用しても良い。
10:船外機、16:ステアリングホイール(操作部)、22:シフト・スロットルレバー(操作部)、26:GPSプロッター(位置情報取得手段、目標位置入力部)、34:ECU(アクチュエータ制御手段)、36:エンジン(内燃機関)、44:転舵用電動モータ(転舵用アクチュエータ)、46:スロットル用電動モータ(スロットル用アクチュエータ)、48:シフト用電動モータ(シフト用アクチュエータ)、64:シャフト部(転舵軸)、74:スロットルバルブ、96:シフト機構