JP2004217180A - 船外機の操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船外機の目標転舵角θs’を、ステアリングホイールの操舵角θsを係数Kで除して得た値に基づいて算出する(S16)と共に、前記係数Kを、船体の船速が増加する(エンジン回転数NEが増加する)につれて大きな値となるように設定し、よって船体の船速が増加するにつれて操舵角θsに対する目標転舵角θs’が減少するように構成する。換言すれば、ステアリングホイールの操舵に対する船外機の転舵の応答性を、船速が増加するにつれて低下させることで、高速走行時の船外機の転舵速度を、低速走行時のそれに比して減少させる。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は船外機の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
船体(船舶)を操船する際、船体の船速が小さい着岸時や離岸時などにあっては、船外機を大きく転舵して船体を急旋回できるのが望ましい。他方、船速が大きいときは、船外機を大きく転舵して船体を急旋回させると、船体の走行安定性が低下する恐れがある。このため、従来より、船外機の最大転舵角を規定する機械的なストッパを、アクセル操作と連動して動作させるように構成することで、船速が大きいときの最大転舵角を、船速が小さいときのそれに比して小さい角度に設定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−279495号公報(第3頁左上欄第5行から第14行など)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術にあっては、船外機の転舵速度は船速の如何に関わらず一定であったため、船速が大きいときは、船外機が急転舵して船体を急旋回させないように、操縦者はステアリングホイールを慎重に(ゆっくりと)操舵する必要があった。特に、波やうねりが大きいときは、それに起因する船体の揺れによって意図せずにステアリングホイールを急操舵してしまう場合があり、一層の注意が必要とされた。他方、着岸や離岸といった低速走行時に船外機を急転舵して船体を急旋回させるときは、操縦者はステアリングホイールを素早く操舵する必要があり、操縦者の負担が大きくなって操舵フィーリングを低下させる一因となっていた。
【0005】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、船体の船速に応じて船外機を最適な速度で転舵させることができ、よって操縦者の負担を軽減して操舵フィーリングを向上させるようにした船外機の操舵装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を解決するために、この発明は請求項1項において、内燃機関で駆動されるプロペラを備えると共に、スイベルシャフトを介して船体に転舵自在に取り付けられる船外機の操舵装置において、前記スイベルシャフトを前記船体に対して回動させるアクチュエータ、前記船体に配置されたステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段、前記検出された操舵角に基づいて前記アクチュエータの動作を制御し、よって前記スイベルシャフトを回動させて前記船外機を重力軸回りに転舵させる操舵制御手段、および前記船体の船速を示す値を検出する船速検出手段、を備え、前記操舵制御手段は、前記ステアリングホイールの操舵角に対する前記船外機の転舵角が所定の比率となるように前記アクチュエータを動作させると共に、前記検出された船速を示す値に基づいて前記所定の比率を変更するように構成した。
【0007】
このように、検出されたステアリングホイールの操舵角(入力)に対する船外機の転舵角(出力)が所定の比率となるように、アクチュエータを動作させて船外機の転舵軸であるスイベルシャフトを回動させると共に、検出された船速を示す値(具体的には、内燃機関の回転数あるいは船速)に基づいて前記所定の比率を変更するように構成したので、船体の船速に応じて船外機を最適な速度で転舵させることができ、よって操縦者の負担を軽減して操舵フィーリングを向上させることができる。
【0008】
また、請求項2項にあっては、前記操舵制御手段は、前記船速を示す値が増加するにつれて前記ステアリングホイールの操舵角に対する前記船外機の転舵角が減少するように前記所定の比率を変更するように構成した。
【0009】
このように、船速を示す値が増加するにつれてステアリングホイールの操舵角に対する船外機の転舵角を減少させるように構成したので、操縦者は船速の如何に関わらずステアリングホイールを同様な回転速度で操舵することにより、船速が小さいときは船外機を急転舵して船体を急旋回させることができると共に、船速が大きいときは船外機をゆっくりと転舵して安定した操船を行うことができ、よって操縦者の負担を一層軽減して操舵フィーリングをより一層向上させることができる。さらに、船速が大きいときに波やうねりに起因する船体の揺れの影響を受け、操縦者が意図せずにステアリングホイールを急操舵した場合であっても、船外機が転舵される角度が小さいことから、船体の走行安定性が低下するのを抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に即してこの発明の一つの実施の形態に係る船外機の操舵装置を説明する。
【0011】
図1はその船外機の操舵装置を全体的に示す説明図であり、図2は図1の部分説明側面図である。
【0012】
図1および図2において、符合10は、内燃機関、プロペラシャフト、プロペラなどが一体化された船外機を示す。船外機10は、図2に示す如く、スイベルシャフト(後述)が回動自在に収容されるスイベルケース12と、スイベルケース12が接続されるスターンブラケット14を介し、船体(船舶)16の後尾に重力軸回りおよび水平軸回りに転舵自在に取り付けられる。
【0013】
船外機10は、その上部に内燃機関(以下「エンジン」という)18を備える。エンジン18は火花点火式の直列4気筒で2200ccの排気量を備える4サイクルガソリンエンジンからなる。エンジン18は水面上に位置し、エンジンカバー20で覆われて船外機10の内部に配置される。エンジンカバー20で被覆されたエンジン18の付近には、マイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(以下「ECU」という)22が配置される。
【0014】
また、船外機10は、その下部にプロペラ24と、その付近に設けられたラダー26を備える。プロペラ24は、図示しないクランクシャフト、ドライブシャフト、ギヤ機構およびシフト機構を介してエンジン18の動力が伝達され、船体16を前進あるいは後進させる。
【0015】
図1に示す如く、船体16の操縦席付近にはステアリングホイール28が配置される。ステアリングホイール28の付近には操舵角センサ30が配置される。操舵角センサ30は、具体的にはロータリエンコーダからなり、操縦者によって入力されたステアリングホイール28の操舵(操作)量に応じた信号を出力する。また、操縦席の右側にはスロットルレバー32およびシフトレバー34が配置され、それらの操作は図示しないプッシュプルケーブルを介してエンジン18のスロットルバルブおよびシフト機構(共に図示せず)に伝達される。
【0016】
さらに、操縦席付近には、船外機10のチルト角度を調整するためのパワーチルトスイッチ36と、トリム角度を調整するためのパワートリムスイッチ38が配置され、操縦者によって入力されるチルトのアップ・ダウンおよびトリムのアップ・ダウンの指示に応じた信号を出力する。上記した操舵角センサ30、パワーチルトスイッチ36およびパワートリムスイッチ38の出力は、信号線30L,36L,38Lを介してECU22に送られる。
【0017】
また、図2に示すように、エンジンのクランクシャフト(図示せず)付近にはクランク角センサ40が配置され、所定クランク角(例えば30[度])ごとにパルス信号を出力する。さらに、スイベルケース12に収容されたスイベルシャフト付近には転舵角センサ42が配置され、スイベルシャフトが1[度]回動される(即ち、船外機10が1[度]転舵される)ごとに、パルス信号を出力する。これらクランク角センサや転舵角センサの出力は、信号線40L,42Lを介してECU22に送られる。
【0018】
また、前記したスイベルケース12とスターンブラケット14の付近には、操舵用のアクチュエータ、具体的には電動モータ44と、チルト角度およびトリム角度調整用の公知のパワーチルトトリムユニット46が配置され、それぞれ信号線44Lおよび46Lを介してECU22に接続される。ECU22は、上記した各センサおよびスイッチの出力に基づき、電動モータ44を駆動して船外機10を操舵すると共に、パワーチルトトリムユニット46を動作させて船外機10のチルト角度およびトリム角度を調整する。
【0019】
図3は、図2に示すスイベルケース12付近を拡大して示す部分断面図である。
【0020】
図3に示すように、パワーチルトトリムユニット46は、1本のチルト角度調整用の油圧シリンダ46a(以下「チルト用油圧シリンダ」という)と、2本の(図では1本のみ表れる)トリム角度調整用の油圧シリンダ(以下「トリム用油圧シリンダ」という)46bを一体的に備える。
【0021】
チルト用油圧シリンダ46aは、そのシリンダボトムがスターンブラケット14に固定されて船体16に取り付けられると共に、ピストンロッドのロッドヘッドがスイベルケース12に当接させられる。トリム用油圧シリンダ46bも、そのシリンダボトムがスターンブラケット14に固定されて船体16に取り付けられると共に、ピストンロッドのロッドヘッドがスイベルケース12に当接させられる。
【0022】
スイベルケース12は、チルティングシャフト48を介してスターンブラケット14に接続される。換言すれば、スイベルケース12は、チルティングシャフト48を中心として船体16と相対角度変位自在に接続される。また、スイベルケース12は、その内部にスイベルシャフト50が回動自在に収容される。スイベルシャフト50は、その上端がマウントフレーム52に固定されると共に、下端がロアマウントセンターハウジング(図示せず)に固定される。マウントフレーム52とロアマウントセンターハウジングは、それぞれエンジン18などが載置されるフレームに固定される。
【0023】
また、スイベルケース12の上部には、前記した電動モータ44と、電動モータ44の出力(回転出力)を減速するギヤボックス(ギヤ機構)56が固定される。
【0024】
図4は、電動モータ44と、スイベルケース12と、マウントフレーム52と、ギヤボックス56とを重力方向において上方から見た説明図である。尚、図4において符合70は、平面視の船外機10の外形線の垂直投影面を示す。
【0025】
図3および図4に示すように、電動モータ44は、船外機10の内部(船外機の外形線の垂直投影面70内)においてスイベルケース12に固定されると共に、同様に船外機10の内部に固定されたギヤボックス56を介してマウントフレーム52に接続される。
【0026】
具体的に説明すると、電動モータ44の出力軸に固定された出力軸ギヤ44aは、ギヤボックス56内において、出力軸ギヤ44aよりも歯数の多い第1のギヤ56aに噛合される。
【0027】
第1のギヤ56aには、それよりも歯数の少ない第2のギヤ56bが同軸上に固定され、第2のギヤ56bは、それよりも歯数の多い第3のギヤ56cに噛合される。第3のギヤ56cの同軸上には、ギヤボックス56の外方において、それよりも歯数の少ない第4のギヤ56dが固定される。
【0028】
ここで、マウントフレーム52の円弧状の端部側面には、第4のギヤ56dよりも歯数の多いマウントフレームギヤ52aが形成される。そのマウントフレームギヤ52aに、前記した第4のギヤ56dが噛合されることにより、電動モータ44の出力が減速されてマウントフレーム52に伝達される。
【0029】
即ち、電動モータ44の回転出力によってマウントフレーム52が回動させることにより、船外機10の重力軸回りの転舵がパワーアシストされ、よってプロペラ24およびラダー26が重力軸回りに揺動される。尚、船外機10の最大転舵角は、左転舵30[度]、右転舵30[度]の合計60[度]である。
【0030】
図5は、この実施の形態に係る船外機の操舵装置の構成を示すブロック図である。
【0031】
図5に示すように、ECU22は、信号線30Lを通じて送られた操舵角センサ30の出力(パルス信号)を入力部22aを介して入力し、入力信号を図示しないカウンタでカウントしてステアリングホイール28の操舵角θsを検出する。また、ECU22は、信号線40Lを通じて送られたクランク角センサ40の出力(パルス信号)と信号線42Lを通じて送られた転舵角センサ42の出力(パルス信号)をそれぞれ入力部22bと入力部22cを介して入力し、入力信号を図示しないカウンタでカウントしてエンジン回転数NEと船外機10の現在の転舵角θoを検出する。
【0032】
検出されたステアリングホイールの操舵角θs、エンジン回転数NEおよび船外機の転舵角θoは、演算部22dに入力される。演算部22dは、入力されたステアリングホイールの操舵角θsとエンジン回転数NEに基づいて船外機10の目標転舵角θs’を算出すると共に、目標転舵角θs’と現在の転舵角θoの差分Δθに応じた通電指令値を算出し、出力部22eと信号線44Lを介して電動モータ44に供給する。
【0033】
次いで、図6から図8を参照し、この実施の形態に係る船外機の操舵装置の動作、具体的には、ECU22で行われる電動モータ44の駆動制御について説明する。図6は、その動作のうち、船外機10の目標転舵角θs’の算出動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、図示しないイグニション・スイッチがACC位置まで廻されたときに実行され、以後100msecごとにループされる。
【0034】
尚、この実施の形態においてステアリングホイール28は、ロック・トゥ・ロックが4回転であり、そのセンター位置(中立位置)は船体16の直進方向と合致している(即ち、ステアリングホイール28を左右のいずれの方向にも操舵していないとき、船外機10のプロペラ24およびラダー26が船体16を直進させる方向に向いている)ものとする。
【0035】
以下、図6フロー・チャートを説明すると、先ずS10で船体16の船速を示す値、具体的には、エンジン回転数NEを検出する。次いでS12に進み、ステアリングホイール28の操舵角θsを検出する。尚、操舵角θsおよび後述するステップで述べる目標転舵角θs’ならびに現在の転舵角θoの各角度は、その方向(回転方向)に応じて正負が相違させられる。
【0036】
次いでS14において、検出したエンジン回転数NEに基づいて図7に示すテーブルを検索し、係数Kを算出する。図7に示すように、係数Kは、エンジン回転数NEが増加する、換言すれば、船速が増加するにつれて大きい値となるように設定される。
【0037】
次いでS16に進み、ステアリングホイール28の操舵角θsを係数Kで除した商の正負を逆にして得た値を、船外機10の目標転舵角θs’とする。即ち、係数Kは、操舵角θsに対する目標転舵角θs’の比率を決定する係数である。尚、操舵角θsと目標転舵角θs’の正負を逆にするのは、例えばステアリングホイール28を上面視において右回りに操舵して船体16を右旋回させる場合、船外機10は左回りに転舵されるためである。
【0038】
ここで、係数Kは、前記したようにエンジン回転数NE(即ち、船速)が増加するにつれて大きな値となるように設定されることから、ステアリングホイール28の操舵角θsに対する船外機10の目標転舵角θs’は、エンジン回転数NE(船速)が増加するにつれて減少する。
【0039】
具体的には、例えばエンジン回転数NEが1500[rpm]の低速走行時において、係数Kは図7に示すように12に設定される。従って、低速走行時にステアリングホイール28を1回転させることによって得られる船外機10の目標転舵角θs’は、360[度]を12で除した30[度]となる。前述の如く、船外機10の最大転舵角は左転舵30[度]、右転舵30[度]であることから、低速走行時にあっては、ステアリングホイール28をセンター位置(中立位置)から左右のいずれかの方向に1回転操舵することにより、船外機10を最大転舵角まで転舵させることができる。
【0040】
これに対し、例えばエンジン回転数NEが7000[rpm]の高速走行時にあっては、係数Kは図7に示すように24に設定されることから、高速走行時にステアリングホイール28を1回転させることによって得られる船外機10の目標転舵角θs’は、360[度]を24で除した15[度]となる。従って、高速走行時にあっては、ステアリングホイール28をセンター位置から左右のいずれかの方向に2回転操舵しなければ、船外機10を最大転舵角まで転舵させることができない。即ち、ステアリングホイール28の操舵に対する船外機10の転舵の応答性を、船速が増加するにつれて低下させるように構成する、換言すれば、高速走行時の船外機10の転舵速度を、低速走行時のそれに比して減少させるように構成した。
【0041】
図6フロー・チャートの説明を続けると、次いでS18に進み、S16で算出した目標転舵角θs’の上下限制限(リミット)処理を行う。上記したように、ステアリングホイール28はロック・トゥ・ロックが4回転であり、センター位置から左右それぞれの方向に2回転ずつ操舵することができる。しかしながら、船外機10を最大転舵角まで転舵させるためにステアリングホイール28を2回転操舵する必要があるのは高速走行時のみであり、船速(エンジン回転数NE)が小さくなるにつれて最大転舵角を得るのに必要とされる操舵角は小さくなる。従って、S18は、低速走行時などにおいて、船外機10を最大転舵角まで転舵させるのに必要とされる操舵角を超えてステアリングホイール28が操舵されたときに、目標転舵角θs’が最大転舵角を上回るのを防止するための処理である。
【0042】
次いで、図8フロー・チャートを参照し、ECU22で行われる船外機10の転舵動作について説明する。図示のプログラムも、図示しないイグニション・スイッチがACC位置まで廻されたときに実行され、以後100msecごとにループされる。
【0043】
以下説明すると、先ずS20において、船外機10の転舵角θo(現在の転舵角)を検出する。次いでS22に進み、図6フロー・チャートで算出した目標転舵角θs’と現在の転舵角θoの差分Δθを算出し、S24に進んで算出した差分Δθが零か否か判断する。
【0044】
S24で否定されるときは、S26に進み、差分Δθが零となるように電動モータ44の通電指令値を算出し、前記した出力部22eおよび信号線44Lを介して電動モータ44に出力して駆動することにより、スイベルシャフトを回動させて船外機10を転舵させる。他方、S24で肯定されるとき、即ち、現在の転舵角θoが目標転舵角θs’に一致しているときは、S28に進んで電動モータ44の駆動を停止し、船外機10の転舵角θoを現在の角度に保持する。
【0045】
このように、この実施の形態に係る船外機の操舵装置にあっては、ステアリングホイール28の操舵角θs(入力)に対する船外機10の転舵角θo(出力)が、係数Kに基づいて決定される所定の比率となるように電動モータ44を駆動して船外機10を転舵させると共に、船速を示す値であるエンジン回転数NEに基づいて前記係数Kを変更し、よって操舵角θsに対する転舵角θo(別言すれば、目標転舵角θs’)の比率を変更するように構成したので、船体16の船速に応じて船外機10を最適な速度で転舵させることができ、よって操縦者の負担を軽減して操舵フィーリングを向上させることができる。
【0046】
より具体的には、エンジン回転数NEが増加するにつれて操舵角θsに対する転舵角θo(目標転舵角θs’)の比率を減少させるように構成したので、操縦者は船速の如何に関わらずステアリングホイール28を同様な回転速度で操舵することにより、船速が小さいときは船外機10を急転舵して船体を急旋回させることができると共に、船速が大きいときは船外機10をゆっくりと転舵して安定した操船を行うことができ、よって操縦者の負担を一層軽減して操舵フィーリングをより一層向上させることができる。さらに、船速が大きいときに波やうねりに起因する船体16の揺れの影響を受け、操縦者が意図せずにステアリングホイール28を急操舵した場合であっても、船外機10が転舵される角度が小さいことから、船体16の走行安定性が低下するのを抑制することができる。
【0047】
次いで、図9および図10を参照し、この発明の第2の実施の形態に係る船外機の操舵装置を説明する。
【0048】
図9は、第2の実施の形態に係る船外機の操舵装置の動作、具体的には、ECU22で行われる電動モータ44の駆動制御のうち、船外機10の目標転舵角θs’の算出動作を示す、図6と同様なフロー・チャートである。図9に示すプログラムは、第1の実施の形態と同様に、図示しないイグニション・スイッチがACC位置まで廻されたときに実行され、以後100msecごとにループされる。
【0049】
尚、第2の実施の形態では、ステアリングホイール28のセンター位置(中立位置)が不明な場合、より具体的には、ステアリングホイール28がロック機構(操舵角限界)を有しない場合における電動モータ44の駆動制御について説明する。
【0050】
以下、図9フロー・チャートを説明すると、先ずS100で船体16の船速を示す値としてエンジン回転数NEを検出する。次いでS102に進み、前回のプログラム実行時から今回のプログラム実行時までに生じたステアリングホイール28の操舵角の変化量Δθsを検出し、S104に進んで検出した操舵角の変化量Δθsをその過去値と積算して操舵角の積算変化量Σθsを算出する。尚、操舵角の変化量Δθsも、上記した操舵角θsなどと同様に、その方向(回転方向)に応じて正負が相違させられる。
【0051】
次いでS106に進み、エンジン回転数NEに基づいて図10に示す特性(関係)を検索し、積算上下限値θlimitを算出する。図10に示すように、積算上下限値θlimitは、エンジン回転数NEが増加する、換言すれば、船速が増加するにつれて大きい値となるように設定される。
【0052】
次いでS108に進み、操舵角の積算変化量Σθsの絶対値が積算上下限値θlimitより小さいか否か判断する。S108で否定されるときは、次いでS110に進んで操舵角の積算変化量Σθsの値をリセットして零とし、S112に進んで船外機10の現在の転舵角θoを検出する。
【0053】
次いでS114に進み、ステアリングホイール28の操舵角θsに所定角度αを加算して得た値を目標転舵角θs’とする。尚、所定角度αは、操舵角の積算変化量Σθsの正負、即ち、ステアリングホイール28の操舵方向に応じて正負が相違させられ、絶対値としては、例えば1[度]に設定される。具体的には、操舵角の積算変化量Σθsが正の値ならば所定角度αは−1[度]とされ、操舵角の積算変化量Σθsが負の値ならば所定角度αは+1[度]とされる。操舵角の積算変化量Σθsと所定角度αの正負が逆にされるのは、図6フロー・チャートのS16で説明したのと同様な理由からである。
【0054】
図9フロー・チャートの説明を続けると、次いでS116に進み、S114で算出した目標転舵角θs’の上下限制限(リミット)処理を行う。これは、図6フロー・チャートのS18で説明したのと同様に、船外機10を最大転舵角まで転舵させるのに必要とされる操舵角を超えてステアリングホイール28が操舵された際に、目標転舵角θs’が最大転舵角を上回ることを防止するための処理である。
【0055】
また、S108で肯定されるときは、S118に進んで目標転舵角の前回値θs’(n−1)を目標転舵角θs’の今回値とする。尚、イグニション・スイッチがACC位置まで廻されて最初のプログラムループ時は、前回値θs’(n−1)の変わりに現在の転舵角θoを検出し、検出した値を目標転舵角θs’とする。
【0056】
ECU22は、上記のようにして算出した目標転舵角θs’に基づき、第1の実施の形態で説明した図8フロー・チャートのS20からS28と同様な処理を行って船外機10を転舵させる。
【0057】
このように、第2の実施の形態にあっては、ステアリングホイール28が積算上下限値θlimitに達するまで操舵されたときに、船外機10が所定角度αだけ転舵されるように構成した。換言すれば、船外機10は、ステアリングホイール28の操舵角θsに対し、積算上下限値θlimitに基づいて決定される所定の比率で転舵されるように構成した。
【0058】
ここで、前記したように、積算上下限値θlimitはエンジン回転数NE(即ち、船速)が増加するにつれて大きな値となるように設定されることから、ステアリングホイール28の操舵角θsに対する船外機10の目標転舵角θs’は、エンジン回転数NE(船速)が増加するにつれて減少する。
【0059】
具体的には、例えばエンジン回転数NEが1500[rpm]の低速走行時において、積算上下限値θlimitは図10に示すように12[度]に設定される。従って、低速走行時は、ステアリングホイール28を12[度]操舵することによって船外機10が1[度]転舵される。即ち、低速走行時は、ステアリングホイール28を1回転(360[度])操舵することにより、最大転舵角である30[度]まで船外機10を転舵することができる。
【0060】
これに対し、例えばエンジン回転数NEが7000[rpm]の高速走行時にあっては、積算上下限値θlimitは図10に示すように24[度]に設定される。従って、高速走行時は、ステアリングホイール28を24[度]操舵することによって船外機10が1[度]転舵される。即ち、高速走行時は、ステアリングホイール28を2回転(720[度])操舵しなければ、最大転舵角である30[度]まで船外機10を転舵することができない。即ち、第1の実施の形態と同様に、ステアリングホイール28の操舵に対する船外機10の転舵の応答性を、船速が増加するにつれて低下させるように構成する、換言すれば、高速走行時の船外機10の転舵速度を、低速走行時のそれに比して減少させるように構成した。
【0061】
これにより、第2の実施の形態に係る船外機の操舵装置にあっては、ステアリングホイール28のセンター位置(中立位置)が不明な場合であっても、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0062】
尚、残余の構成は第1の実施の形態と同様なため、図示および説明を省略する。
【0063】
上記の如く、この発明の第1および第2の実施の形態においては、内燃機関(エンジン18)で駆動されるプロペラ24を備えると共に、スイベルシャフト50を介して船体16に転舵自在に取り付けられる船外機10の操舵装置において、前記スイベルシャフト50を前記船体16に対して回動させるアクチュエータ(電動モータ44)、前記船体16に配置されたステアリングホイール28の操舵角θsを検出する操舵角検出手段(ECU22、操舵角センサ30,S12,S102)、前記検出された操舵角θsに基づいて前記アクチュエータの動作を制御し、よって前記スイベルシャフト50を回動させて前記船外機10を重力軸回りに転舵させる操舵制御手段(ECU22,S20からS28)、および前記船体16の船速を示す値(エンジン回転数NE)を検出する船速検出手段(ECU22、クランク角センサ40,S10,S100)、を備え、前記操舵制御手段は、前記ステアリングホイール28の操舵角θsに対する前記船外機10の転舵角θo(別言すれば、船外機10の目標転舵角θs’)が所定の比率となるように前記アクチュエータを動作させると共に、前記検出された船速を示す値に基づいて前記所定の比率を変更するように構成した。
【0064】
また、前記操舵制御手段は、前記船速を示す値(エンジン回転数NE)が増加するにつれて前記ステアリングホイール28の操舵角θs(別言すれば、船外機10の目標転舵角θs’)に対する前記船外機10の転舵角θoが減少するように前記所定の比率を変更するように構成した。
【0065】
尚、上記において、スイベルシャフト50を回動して船外機10を転舵させるアクチュエータを電動モータ44としたが、それに限られるものではなく、油圧シリンダなどであっても良い。
【0066】
また、船体16の船速を示す値としてエンジン回転数NEを用いたが、例えば船体16の船底に船速センサを設け、検出した船速に基づいて目標転舵角θs’を算出するようにしても良い。
【0067】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、検出されたステアリングホイールの操舵角に対する船外機の転舵角が所定の比率となるように、アクチュエータを動作させて船外機の転舵軸であるスイベルシャフトを回動させると共に、検出された船速を示す値に基づいて前記所定の比率を変更するように構成したので、船体の船速に応じて船外機を最適な速度で転舵させることができ、よって操縦者の負担を軽減して操舵フィーリングを向上させることができる。
【0068】
請求項2項にあっては、船速を示す値が増加するにつれてステアリングホイールの操舵角に対する船外機の転舵角を減少させるように構成したので、操縦者は船速の如何に関わらずステアリングホイールを同様な回転速度で操舵することにより、船速が小さいときは船外機を急転舵して船体を急旋回させることができると共に、船速が大きいときは船外機をゆっくりと転舵して安定した操船を行うことができ、よって操縦者の負担を一層軽減して操舵フィーリングをより一層向上させることができる。さらに、船速が大きいときに波やうねりに起因する船体の揺れの影響を受け、操縦者が意図せずにステアリングホイールを急操舵した場合であっても、船外機が転舵される角度が小さいことから、船体の走行安定性が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る船外機の操舵装置を全体的に示す説明図である。
【図2】図1装置の部分説明側面図である。
【図3】図2に示すスイベルケース付近を拡大して示す部分断面図である。
【図4】図3に示す電動モータとスイベルケースとマウントフレームとギヤボックスとを重力方向において上方から見た説明図である。
【図5】図1装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図1装置の動作のうち、船外機の目標転舵角の算出動作を示すフロー・チャートである。
【図7】図6フロー・チャートで使用されるエンジン回転数NEに対する係数Kの特性(関係)を示すグラフである。
【図8】図1装置の動作のうち、船外機の転舵動作を示すフロー・チャートである。
【図9】この発明の第2の実施の形態に係る船外機の操舵装置の動作のうち、船外機の目標転舵角の算出動作を示す、図6と同様なフロー・チャートである。
【図10】図9フロー・チャートで使用されるエンジン回転数NEに対する積算上下限値θlimitの特性(関係)を示すグラフである。
【符号の説明】
10 船外機
16 船体(船舶)
18 エンジン(内燃機関)
22 ECU(操舵制御手段)
24 プロペラ
28 ステアリングホイール
30 操舵角センサ(操舵角検出手段)
40 クランク角センサ(船速検出手段)
44 電動モータ(アクチュエータ)
50 スイベルシャフト
Claims (2)
- 内燃機関で駆動されるプロペラを備えると共に、スイベルシャフトを介して船体に転舵自在に取り付けられる船外機の操舵装置において、
a.前記スイベルシャフトを前記船体に対して回動させるアクチュエータ、
b.前記船体に配置されたステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段、
c.前記検出された操舵角に基づいて前記アクチュエータの動作を制御し、よって前記スイベルシャフトを回動させて前記船外機を重力軸回りに転舵させる操舵制御手段、
および
d.前記船体の船速を示す値を検出する船速検出手段、
を備え、前記操舵制御手段は、前記ステアリングホイールの操舵角に対する前記船外機の転舵角が所定の比率となるように前記アクチュエータを動作させると共に、前記検出された船速を示す値に基づいて前記所定の比率を変更することを特徴とする船外機の操舵装置。 - 前記操舵制御手段は、前記船速を示す値が増加するにつれて前記ステアリングホイールの操舵角に対する前記船外機の転舵角が減少するように前記所定の比率を変更することを特徴とする請求項1項記載の船外機の操舵装置。
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