JP2006290093A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 カーカスの引き抜け及びその折返し終端からのセパレーションを有効に防止すると同時に、軽量化を達成した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 空気入りタイヤは、ビード部1にビードコア2を埋設しており、両ビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカス4を具える。ビードコア2は、タイヤ幅方向長さがタイヤ径方向長さに比べて大きい断面形状を有する細長ビードコアである。カーカス3は、両ビード部間にわたってトロイド状に延び、細長ビードコア2のタイヤ径方向外側を通ってタイヤ幅方向内側に至る本体部5と、これに連なり、細長ビードコア2に沿ってタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、細長ビードコア2のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に延びる折返し部6とを具える。カーカスの折返し終端7は、タイヤをリムに組み付け内圧を充填した際にビードコア2とリムとにより圧縮変形される領域C内に位置する。
【選択図】 図1
【解決手段】 空気入りタイヤは、ビード部1にビードコア2を埋設しており、両ビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカス4を具える。ビードコア2は、タイヤ幅方向長さがタイヤ径方向長さに比べて大きい断面形状を有する細長ビードコアである。カーカス3は、両ビード部間にわたってトロイド状に延び、細長ビードコア2のタイヤ径方向外側を通ってタイヤ幅方向内側に至る本体部5と、これに連なり、細長ビードコア2に沿ってタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、細長ビードコア2のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に延びる折返し部6とを具える。カーカスの折返し終端7は、タイヤをリムに組み付け内圧を充填した際にビードコア2とリムとにより圧縮変形される領域C内に位置する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、少なくとも1個のビードコアを埋設した一対のビード部と、両ビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスとを具える空気入りタイヤに関するものであり、特にかかるタイヤのビード部耐久性の維持を前提に、軽量化を図る。
一般的な空気入りタイヤにあっては、タイヤの負荷転動にカーカスの引き抜けを防止するために、十分な周方向剛性を有するビードコアの周りに、タイヤ幅方向内側から外側に向かってカーカスを折り返し、カーカスの折返し終端を、リムラインのタイヤ径方向外側にあるゴム部材中に埋込むことで、ビードコアにカーカスを強固に固定している。このような従来技術にあっては、カーカスの折返し終端が、ビード部のリムへの接触域よりもタイヤ径方向外側に位置することになり、その折返し終端が位置するビード部若しくはサイドウォール部は、リムによって強固に保持され、ビードコア、ビードフィラ等によって強固に補強されるビード部の半径方向内端部分とは異なり、タイヤの負荷転動に際して、リムフランジよりもタイヤ径方向外側に位置する部分がタイヤ幅方向外側に向かって倒れ込み変形を繰り返す。この結果、特にカーカスの折返し終端に応力が集中しやすく、ここからセパレーションを生じ、カーカスの折返し部に沿って進行するおそれがあった。また、かかるタイヤにおいては、ビードコアを包み込むようにカーカスを配設するため、内面側のケース形状の自由度が低く、ビード部でのケース厚さが大きくならざるを得なかった。
カーカスの引き抜けを十分に防止すると同時に、カーカスの折返し終端へのセパレーションの発生を効果的に阻止するため、例えば特許文献1には、カーカスの折返し終端を、タイヤ径方向で、ビード部の、リムへの接触域内に位置させるとともに、カーカスの折返し部を巻回ワイヤで挟み込んだタイヤが記載されている。これによれば、カーカスの折返し終端への応力の集中、応力の繰り返しの作用等を阻止しつつ、折返し部を挟み込む巻回ワイヤの拘束力によってカーカスの引き抜けを防止することができる。
また、特許文献2には、ビードコアの下部の側面にゴム塊を設け、このゴム塊に、上面部、側面部、下面部の順でカーカスを巻き付けたタイヤが記載されている。これによれば、カーカスが引き抜かれる方向に外力が作用すると、カーカスがビードコアをゴム塊に押し付け、ゴム塊がカーカスをリムに押し付ける結果、引き抜けが防止される。
さらに、特許文献3には、カーカスの折返し部を分割ビードコアの間に両面から挟みこみ、分割ビードコアの挟持域の内側端で折返し部を屈曲させ、外側端に折返し部の膨大したループ状端末を突出させて係止するようにしたタイヤが記載されている。
しかし、これら特許文献1及び2に記載されたタイヤは、従来のビードコアに加えて巻回ワイヤやゴム塊といった補助部材をビード部内に埋設するため、これら補助部材の分だけ重量が増加する上、補助部材を埋設するためにビード部でのケース厚さが増加せざるを得ず、これが一層の重量増加を招いていた。また、特許文献3に記載されたタイヤは、カーカスに張力が加わると分割ビードの間隔が広がり、ループ状端末をビードに係止することが困難となり、一方分割ビードの間隔が広がった際にも引き抜けを防止できる程度にループ状端末を大きくすることは製造上極めて困難であり、実質的には引き抜け防止効果が不十分であった。しかも、このタイヤ構造ではカーカスラインの自由度が低く、しかもビードフィラーを有すること、軽量化は困難であった。
したがって、この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、カーカスの引き抜けとその折返し終端からのセパレーションを有効に防止することを前提に、軽量化を図った空気入りタイヤを提供することにある。
前記の目的を達成するため、この発明は、少なくとも1個のビードコアを埋設した一対のビード部と、両ビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスとを具える空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向断面にて、少なくとも1個のビードコアは、タイヤ幅方向長さがタイヤ径方向長さに比べて大きい断面形状を有する細長ビードコアであり、カーカスは、両ビード部間にわたってトロイド状に延び、細長ビードコアのタイヤ径方向外側を通ってタイヤ幅方向内側に至る本体部と、該本体部に連なり、細長ビードコアに沿ってタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、細長ビードコアのタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に延びる折返し部とを具え、該カーカス折返し部の折返し終端は、タイヤをリムに組み付け内圧を充填した際にビードコアとリムとにより圧縮変形されるビード部領域内に位置することを特徴とする。これによれば、カーカスの折返し終端が、ビードコアとリムとによって圧縮変形されるビード部領域内に位置するので、折返し終端に応力の集中によるセパレーションが発生することがなく、かつ圧縮変形により折返し終端が強固にリムに固定される上、付加的な補助部材を配設する必要がないので、ビード部でのケース厚さを容易に薄くすることができる。
ここで「細長ビードコア」は、タイヤ幅方向断面にて、タイヤ幅方向に沿って計測した長さである幅がタイヤ径方向に沿って計測した長さである高さよりも大きいことが必要であり、好ましくは幅が高さの1.5倍以上、より好ましくは2倍以上である。また、「タイヤをリムに組み付け内圧を充填した際にビードコアとリムとにより圧縮変形されるビード部領域」とは、内圧の作用によりカーカスに張力が加わった際に、これを巻き付けたビードコアがリムのビードシートに沿ってタイヤ径方向外側に移動しようとするとともに、巻き付けを解く方向に捩られることにより圧縮変形を受けるビード部領域のことをいうものとし、より具体的にはビードコアのタイヤ径方向最外端を通りタイヤ幅方向に沿って延びる直線と、ビードコアの重心を通りタイヤ径方向に沿って延びる直線と、リムとによって画定される領域のことをいうものとする。
また、カーカス折返し部の折返し終端は細長ビードコアのタイヤ幅方向最外端近傍に位置することが好ましい。ここでいう「細長ビードコアのタイヤ幅方向最外端近傍」とは、ビードコアとリムとによる圧縮変形が比較的大きい領域のことを意味するものとし、好ましい範囲は、ビードコアのタイヤ幅方向最外端から、タイヤ幅方向内側に向かってビードコア幅の1/3以内の範囲及びタイヤ幅方向外側に向かって10mm以内の範囲であり、より好ましくはビードコアのタイヤ幅方向最外端を中心として5mm以内の範囲である。
さらに、カーカス折返し部は、細長ビードコアの長手方向に平行に延びる直線状部分を有することが好ましく、この直線状部分の延在長さは細長ビードコアの長手方向長さの1/3以上であることがさらに好ましく、直線状部分の延在長さは10mm以上であることがより一層好ましい。
さらにまた、カーカス折返し部の折返し終端が細長ビードコアのタイヤ幅方向外側に位置することが好ましい。
加えて、カーカス折返し部のタイヤ径方向内側に補助ビードコアをさらに具えることが好ましい。この補助ビードコアは、その長手方向長さが細長ビードコアの長手方向長さの1/2以上であること、補助ビードコアと細長ビードコアの対向する面が互いに平行となるように配置することがさらに好ましい。
また、平行配列された複数本のコードをゴム被覆してなる補強層を、その少なくとも一部がカーカスに沿うように配設することが好ましい。
この発明によれば、カーカスの引き抜け及びその折返し終端からのセパレーションを有効に防止すると同時に、軽量化を達成した空気入りタイヤを提供することが可能となる。
次に、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という)の要部のタイヤ幅方向断面を示している。
図1に示すタイヤは、ビード部1に少なくとも1個のビードコア、図1では1個のビードコア2を埋設しており、ビード部1からサイドウォール部3及び図示しないトレッド部を通り他方のビード部までトロイド状に延びるカーカス4を具える。
そして、この発明の構成上の主な特徴は、図1に示すタイヤ幅方向断面にて、ビードコア2は、幅Wが高さHに比べて大きい断面形状を有する細長ビードコアであること、カーカス3は、両ビード部間にわたってトロイド状に延び、細長ビードコア2のタイヤ径方向外側を通ってタイヤ幅方向内側に至る本体部5と、本体部5に連なり、細長ビードコア2に沿ってタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、細長ビードコア2のタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に延びる折返し部6とを具えること、カーカス折返し部6の折返し終端7は、タイヤをリムに組み付け内圧を充填した際にビードコア2とリムとにより圧縮変形されるビード部の圧縮変形領域C内に位置することにある。
以下、この構成を採用したことによる作用を、図2(a)及び(b)を参照しつつ説明する。タイヤをリムRに組み付け内圧を充填すると、ビード部1に係留されたカーカス4には張力(引き抜け力)Tが作用する。この際、カーカス4がビードコア2の周りに折り返された、いわゆる折返し構造を有していると、ビードコア2は次の2つの方向に移動しようとする。まず、カーカス4の本体部5及び折返し部6により、ビードコア2が張力Tの作用方向に引っ張られる。しかし、ビードコア2は、周方向剛性が高く径拡張をほとんどしないことから、図2(a)に示すように、リムRのビードシートに沿ってタイヤ幅方向外側に向かって移動しようとし、この結果、ビードコア2よりもタイヤ幅方向外側に位置するいわゆる締め代と呼ばれるビード部領域が圧縮変形される。また、カーカス4がビードコア2のタイヤ径方向外周面、タイヤ幅方向内周面、タイヤ径方向内周面を順に沿うように折り返されているため、ビードコア2のタイヤ幅方向内側は張力Tの作用によりタイヤ径方向外側に引っ張られる。しかし、ビードコア2は、周方向剛性が高く径拡張をほとんどしないことから、図2(b)に示すように、ビードコア2の重心Gを中心として巻き付けを解く方向(図2(b)では反時計方向)に捩られ、この結果、ビードコア2のタイヤ径方向内側であって、ビードコア2の重心Gよりもタイヤ幅方向外側に位置する締め代が圧縮変形される。したがって、ビードコア2のかかる移動及び捩りが相まって、全体として図1の圧縮変形領域Cが圧縮変形されるのである。そして、この圧縮変形領域C内にカーカス4の折返し終端7を配置することにより、カーカス折返し部6がビードコア2とリムRとの間に強固に挟持されるので、カーカスの引き抜けを有効に防止できる上、折返し終端7に応力が集中することがないので、セパレーションの発生を有効に防止できる。加えて、折り返し終端を低くした従来のタイヤのようにビード部内に補助部材を配設する必要がなく、ビード部でのケース厚さを薄くすることができるので、補助部材自体及び不必要となったケース厚さの分だけ軽量化を図ることができる。
ここで、カーカス4を折り返して巻き付けるビードコア2の断面形状を細長にするのは、カーカス4に加わる張力Tの作用でビードコア2がその重心Gを中心として捩られた際には、重心Gとビードコア2のタイヤ幅方向最外端8との距離が長いほどカーカス4の係止効果が高まるが、同一断面積のビードコアであれば細長の断面形状とした方が重心Gとビードコア2のタイヤ幅方向最外端8との距離が長くなるからである。ビードコア2の断面形状と大きさは、細長であれば特に限定されず、タイヤサイズ、最高空気圧、最大負荷荷重等に応じて適宜変更することができるが、係止効果を確保する観点からは、幅Wが高さHの1.5倍以上であることが好ましく、より好ましくは高さHの2倍以上である。
また、図2(a)に示した効果を向上させ、カーカスの引き抜けを一層有効に防止する観点からは、細長ビードコア2は、タイヤをリムRに装着した状態にて、タイヤのビードベースBに平行な方向に沿って計測した最大長さpが、ビードベースBに直交する方向に沿って計測した最大長さqの好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上、さらに好ましくは4倍以上である。図2(b)に示した効果を向上させ、カーカスの引き抜けを一層有効に防止する観点からは、細長ビードコア2は、その長手方向に沿って計測した最大長さである縦長さrが長手方向に直交する方向に沿って計測した最大長さである横長さsの好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上であり、さらに好ましくは4倍以上であり、この場合には、タイヤのビードベースBに平行な直線に対する長手方向の傾斜角が好ましくは±10°の範囲内、より好ましくは±5°の範囲内となるように細長ビードコア2を配置する。さらに、カーカス4に張力Tが加わった際に、細長ビードコア2が変形するのを防止する観点からは、細長ビードコア2の横長さsは5mm以上であることが好ましく、軽量化の観点からは、横長さsが8mm以下、縦長さrが15mm以下であることが好ましい。
また、カーカス折返し部6の折返し終端7は細長ビードコア2のタイヤ幅方向最外端8近傍に位置することが好ましい。細長ビードコア2のタイヤ幅方向最外端8近傍の締め代は、張力Tの作用により比較的大きな圧縮変形を受けることから、この領域に折返し終端7を配置すれば、カーカス4の係止効果が一層向上するからである。折返し終端7を、好ましくはビードコアのタイヤ幅方向最外端8を基準に、タイヤ幅方向内側に向かってビードコア幅の1/3以内の範囲とタイヤ幅方向外側に向かって10mm以内の範囲のいずれかに、さらに好ましくはビードコアのタイヤ幅方向最外端を中心として5mm以内の範囲に配設すれば、締め代が受ける圧縮変形がより一層大きくなることから、カーカス4の係止効果がより一層向上する。
さらに、カーカス折返し部6は、細長ビードコア2の長手方向に平行に延びる直線状部分9を有することが好ましい。かかる直線状部分9を有することにより、カーカス折返し部6が細長ビードコア2によって効率的に押圧され、係止力が一層向上するからである。係止力をより一層向上させる観点からは、この直線状部分9の延在長さtは細長ビードコア2の縦長さrの1/3以上であること、及び/又は直線状部分9の延在長さtは10mm以上であることがさらに好ましい。直線状部分9がこれよりも短いと、直線状部分9を設けたことによる係止力向上の効果が十分に得られない場合があるからである。係止力向上の観点からは、直線状部分9の少なくとも一部が細長ビードコア2の重心Gよりもタイヤ幅方向外側に位置することが好ましい。
図3はこの発明の他の実施態様のビード部のタイヤ幅方向断面図である。図示のように、カーカス折返し部6の折返し終端7は細長ビードコア2のタイヤ幅方向外側に位置してもよい。上述したように、カーカス4が張力Tを受けた際のタイヤ幅方向外側への移動により、細長ビードコア2のタイヤ幅方向外側の締め代も圧縮変形を受けることから、この領域に折返し終端7を配置すれば、カーカス4の係止効果が一層向上するからである。カーカス折返し部6の折返し終端7を細長ビードコア2のタイヤ幅方向外側に配置するか、タイヤ幅方向で同一位置又はこれより内方に配置するかは、タイヤサイズ、最高空気圧、最大負荷荷重等に応じて適宜決めることができるが、特に、細長ビードコア2の幅Wが高さHの1.5倍以下の場合には、細長ビードコア2が張力Tの作用により捩られやすく、このためカーカス折返し部6の引き抜けが大きくなりやすいことから、タイヤ幅方向外側に位置する締め代領域にカーカス折返し部6の折返し終端7を配置することが好ましく、細長ビードコア2の幅Wが高さHの3倍以上の場合には、細長ビードコア2のタイヤ径方向内側に位置する締め代の圧縮変形が大きくなることから、この領域にカーカス折返し部6の折返し終端7を配置することが好ましい。
このように、この発明によれば、補助部材を使用しなくても、従来の補助部材を使用したタイヤ及びカーカスの折返し終端をリムラインのタイヤ径方向外側にまで延ばしたタイヤと同等以上のカーカス係止効果が得られる。しかし、重荷重用タイヤのように、使用条件が過酷であり、さらに高いカーカス係止効果が望まれる場合には、図4に示すように、カーカス折返し部6のタイヤ径方向内側に補助ビードコア10を配設することができる。このような補助ビードコア10を用いると、上述したカーカス係止効果に加えて、十分な周方向剛性を有するビードコア2、10間にカーカス折返し部6を挟むことにより生ずる、カーカス折返し部6に直交する向きの圧着力が発生するので、カーカス係止効果が一層向上する。補助ビードコア10による圧着力を高める観点からは、補助ビードコア10の長手方向長さuが細長ビードコア2の縦長さrの1/2以上であること、補助ビードコア10と細長ビードコア2の対向する面が互いに平行となるように配置することがさらに好ましい。また、補助ビードコア10は、主としてカーカス折返し部6を圧着するためのものであり、ビード部1をリムに固定する機能は主として細長ビードコア2が果たしているので、補助ビードコア10は高さが比較的小さくてもよく、軽量化の観点からは、1.0〜1.5mmの範囲とすることが好ましい。
また、図5に示すように、平行配列された複数本のコードをゴム被覆してなる補強層11を、その少なくとも一部が、図5では全部がカーカス4に沿うように配設することもできる。かかる補強層11は、カーカス4に加わる張力Tを分散して負担するので、カーカス4の引き抜けが一層有効に防止されるからである。したがって、補強層11を構成するコードは、その延在方向と張力Tの作用する方向とのなす角が小さいほど好ましい。補強層11の配設位置は図示の態様に限定されず、カーカス本体部5のタイヤ幅方向外側に配設してもよく、図6に示すように、補強層11を2層とし、カーカス本体部5のタイヤ幅方向内側及び外側に各1層を配設してもよい。さらに、図7に示すように、補強層11をカーカス本体部5とカーカス折返し部6とにわたって配置してもよい。このような配置とすると、カーカスの折返し終端7からのセパレーションを一層有効に防止することができる。また、前記の補助ビードコアに代えて、補強層を、カーカス折返し部のタイヤ径方向内側に配設することもできる。この場合には、補強層は、補助ビードコアと同様に、カーカス折返し部に直交する向きの圧着力を発生させ、係止効果を向上するように作用する。補強層の厚みは、軽量化と張力分散又は圧着力発生を両立する観点から、1.0〜2.5mmの範囲とすることが好ましい。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、細長ビードコア2は種々の断面形状とすることができ、長方形状、六角形状、楕円形状、図8(a)に示すレーストラック形状等の回転対称性形状、また図8(b)に示すような非回転対称性形状とすることができる。このように非回転対称性形状とし、重心Gがタイヤ幅方向内側となるように配置すると、図2(b)に示したような、細長ビードコア2が捩られることにより発生する係止効果がより一層向上する点で有利である。また、特に高い係止効果が要求される場合には、図9に示すように、補助ビードコア10と補強層11を併用することもできる。
次に、この発明に従う空気入りタイヤを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例1及び2のタイヤは、タイヤサイズが11R22.5のトラック及びバス用15°テーパーラジアルタイヤであり、実施例1は図1に示すようなビード部構造を有しており、実施例2は図4に示すような、補助ビードコアを埋設したビード部構造を有しており、カーカス折返し部の折返し終端とビードコアのタイヤ幅方向最外端との距離がそれぞれ5mmである。また、実施例1のタイヤは、細長ビードコアの縦長さが15mmであり、横長さが20mmであり、ビードベースに対する細長ビードコアの長手方向の傾斜角が15°であり、カーカス折返し部の直線状長さが15mmである。実施例2のタイヤは、細長ビードコアの縦長さが10mmであり、横長さが20mmであり、ビードベースに対する細長ビードコアの長手方向の傾斜角が15°であり、補助ビードコアの縦長さが5mmであり、横長さが15mmであり、カーカス折返し部の直線状長さが15mmである。
比較のため、タイヤサイズが実施例1及び2と同じであるものの、断面形状が六角形のビードコアの周りにカーカスを巻き付け、折返し終端をリムラインのタイヤ径方向外側30mmとした従来例のタイヤについても併せて試作した。
図10は実施例1、実施例2及び従来例の各タイヤのビード部のケース形状を示している。図10から明らかなように、実施例1及び実施例2の各タイヤは従来例のタイヤに比べてビード部におけるケース厚さが減少している。また、実施例1、実施例2及び従来例の各タイヤの質量を測定したところ、従来例のタイヤに比べて、実施例1のタイヤは3%軽く、実施例2のタイヤは2%軽かった。
前記各供試タイヤを、サイズ8.25×22.5のリムに装着してタイヤ車輪とし、このタイヤ車輪に空気圧700kPa(相対圧)を適用し、走行速度60km/h、タイヤ負荷荷重29.4kNの条件下でドラム試験機上を10万km走行させた後、各タイヤを解体してカーカスの引き抜け及びカーカス折返し終端からのセパレーションの発生の有無を目視で確認した。その結果、実施例1及び実施例2の各タイヤでは引き抜け及びセパレーションは全く観察されなかったが、従来例のタイヤでは折返し終端に長さ1mmのセパレーションが観察された。
この発明により、カーカスの引き抜け及びその折返し終端からのセパレーションを有効に防止すると同時に、軽量化を達成した空気入りタイヤを提供することが可能となった。
1 ビード部
2 細長ビードコア
3 サイドウォール部
4 カーカス
5 カーカス本体部
6 カーカス折返し部
7 カーカスの折返し終端
8 細長ビードコアのタイヤ幅方向最外端
9 カーカス折返し部の直線状部分
10 補助ビードコア
11 補強層
2 細長ビードコア
3 サイドウォール部
4 カーカス
5 カーカス本体部
6 カーカス折返し部
7 カーカスの折返し終端
8 細長ビードコアのタイヤ幅方向最外端
9 カーカス折返し部の直線状部分
10 補助ビードコア
11 補強層
Claims (8)
- 少なくとも1個のビードコアを埋設した一対のビード部と、両ビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスとを具える空気入りタイヤにおいて、
タイヤ幅方向断面にて、
少なくとも1個のビードコアは、タイヤ幅方向長さがタイヤ径方向長さに比べて大きい断面形状を有する細長ビードコアであり、
カーカスは、両ビード部間にわたってトロイド状に延び、細長ビードコアのタイヤ径方向外側を通ってタイヤ幅方向内側に至る本体部と、該本体部に連なり、細長ビードコアに沿ってタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、細長ビードコアのタイヤ径方向内側を通ってタイヤ幅方向外側に延びる折返し部とを具え、
該カーカス折返し部の折返し終端は、タイヤをリムに組み付け内圧を充填した際にビードコアとリムとにより圧縮変形されるビード部領域内に位置することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記カーカス折返し部の折返し終端は細長ビードコアのタイヤ幅方向最外端近傍に位置する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス折返し部は、細長ビードコアの長手方向に平行に延びる直線状部分を有する、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記直線状部分の延在長さは細長ビードコアの長手方向長さの1/3以上である、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記直線状部分の延在長さは10mm以上である、請求項3又は4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス折返し部の折返し終端が細長ビードコアのタイヤ幅方向外側に位置する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス折返し部のタイヤ径方向内側に補助ビードコアをさらに具える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 平行配列された複数本のコードをゴム被覆してなる補強層を、その少なくとも一部がカーカスに沿うように配設してなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (1)
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JP2013500198A (ja) * | 2009-07-30 | 2013-01-07 | コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン | 補強ビードを備えた重車両用タイヤ |
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2005
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JP2013500198A (ja) * | 2009-07-30 | 2013-01-07 | コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン | 補強ビードを備えた重車両用タイヤ |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20080701 |