JP2006286371A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Hirotetsu Nasu
弘哲 那須
Makoto Sugita
真 杉田
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Abstract

【課題】 接地電極の表面上に形成したNiを主成分とする被膜層を容易に腐食させ剥離することができるスパークプラグの製造方法を提供する。
【解決手段】 接地電極30を主体金具50に溶接した金具組立体200の表面にめっきを施し、被膜層を形成する。そして接地電極30の先端部31を剥離液210中に浸漬し、浸漬した部分に形成されている被膜層を剥離除去する。このとき使用される剥離液210は塩酸、硝酸、硫酸等の酸性溶液が用いられるが、酸化力の強い過酸化水素水をさらに含有させることで、酸性溶液による腐食が促進される。これにより、酸性溶液によっても腐食しにくいNi等を主成分とする被膜層を容易に腐食させることができ、接地電極から被膜層の剥離を短期間で行うことができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関用のスパークプラグの製造方法に関するものである。
従来、内燃機関には点火のためのスパークプラグが用いられている。一般的なスパークプラグは、中心電極が挿設された絶縁碍子を保持する主体金具と、この主体金具の先端面に溶接された接地電極を有しており、この接地電極の他端部と、中心電極の先端部とが対向して火花放電ギャップを形成している。この火花放電ギャップにおいて、中心電極と接地電極との互いの対向面には、耐火花消耗性向上のための貴金属チップが形成されている。
このようなスパークプラグでは主体金具の耐食性を高めるため、主体金具の表面上にめっきによる被膜層の形成が行われている。その製造工程ではスパークプラグの生産性やコスト面などを考慮し、主体金具への接地電極の溶接を行って、主体金具に接地電極が接合された状態(以下、この状態の主体金具を「金具組立体」という。)でバレルめっき処理を施し、金具組立体の表面上に被膜層を形成している。
ところで、バレルめっき処理により金具組立体の表面上に被膜層を形成すれば、接地電極の表面にも被膜層が形成されてしまう。その状態で接地電極に貴金属チップを接合すれば、溶接不良が生じ、貴金属チップが剥離・脱落してしまう虞がある。これを防止するには、金具組立体へめっきを施し被膜層を形成する前に、事前に接地電極に対してマスキング処理を行い、接地電極に被膜層が形成されないようにする方法が考えられる。しかし、マスキング処理を施す工程や、被膜層の形成後にマスクを取り除く工程が必要となるため、生産性やコスト面を鑑みると実用的ではない。そこで従来では、マスキング処理を行わず金具組立体に対しめっきによる被膜層を形成した後、接地電極に形成された被膜層を化学的に剥離除去することで、工程数を減らして生産性を高めている(例えば特許文献1参照。)。
特開2001−68250号公報
しかしながら特許文献1では、めっきにより接地電極の表面に形成された被膜層が亜鉛(Zn)を主成分とする金属層であり、このような亜鉛めっき層は酸性の剥離液により腐食(溶解)しやすいため容易に剥離を行うことができるが、その被膜層がニッケル(Ni)を主成分とする金属層である場合、亜鉛と比べ酸で腐食しにくいため剥離に時間がかかり、生産性が低下するという問題があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、接地電極の表面上に形成したNiを主成分とする被膜層を容易に腐食させ剥離することができるスパークプラグの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のスパークプラグの製造方法は、中心電極と、前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔の内部で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲んで保持する主体金具と、一端部が前記主体金具の先端面に接合され、他端部が前記中心電極に対向する接地電極と、少なくとも前記接地電極の他端部に接合された貴金属チップとを備えたスパークプラグを製造する方法であって、前記接地電極と前記主体金具とが接合され一体となった金具組立体に、Niを98重量%以上含有するNiめっき層を形成するNiめっき層形成工程と、前記Niめっき層形成工程によってNiめっき層が形成された前記金具組立体に、含有されるCr成分のうち95重量%以上が三価クロムである三価クロメート被膜層を形成する三価クロメート被膜層形成工程と、前記三価クロメート被膜層形成工程によってNiめっき層上に三価クロメート被膜層が形成された前記金具組立体の前記接地電極を酸性剥離液中に浸漬して、前記Niめっき層および前記三価クロメート被膜層を化学的に剥離除去する剥離工程と、前記剥離工程によって前記Niめっき層および前記三価クロメート被膜層が剥離された前記接地電極に、前記貴金属チップを溶接する溶接工程とを備え、前記剥離工程では、前記剥離液中に過酸化水素水が含有されていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明のスパークプラグの製造方法は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記酸性剥離液は、塩酸、硫酸または硝酸のうちの少なくとも一種を含有することを特徴とする。
また、請求項3に係る発明のスパークプラグの製造方法は、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記剥離工程において、前記剥離液中に、さらに有機物からなるインヒビターが添加されることを特徴とする。
請求項1に係る発明のスパークプラグの製造方法では、接地電極に形成したNiめっき層および三価クロメート被膜層は酸性剥離液中で腐食されにくいが、この酸性剥離液中に酸化力の強い過酸化水素水を含有させることで、酸性剥離液によるNiめっき層および三価クロメート被膜層の腐食が促進されるので、Niめっき層および三価クロメート被膜層の剥離を短時間で行うことができる。これにより、スパークプラグの生産効率を高め、製造コストを低減することができる。また、この過酸化水素水は揮発しやすく取り扱いが難しいが、過酸化水素水を酸性剥離液の主成分として使用するのではなく、酸性剥離液による腐食を補助する補助剤として使用することにより、過酸化水素水の取扱量を減らして管理を容易にすることができる。なお、本明細書にて、「酸性剥離液の主成分」とは、Niめっき層と三価クロメート被膜層の剥離を行うことができる成分からなる酸性の液体を酸性剥離液といい、その主成分とは、酸性剥離液をなす成分のうち、最も含有率の高い成分を意味する。
また、請求項2に記載するように、酸性剥離液として塩酸、硫酸または硝酸のうち少なくとも一種を含有させている。このような酸性剥離液中に過酸化水素水をさらに含有させ、Niめっき層および三価クロメート被膜層を溶解させて剥離するきっかけを生じさせることによって、また、過酸化水素水を含有させることによる相乗作用によって、塩酸、硫酸または硝酸によるNiめっき層および三価クロメート被膜層の腐食が促進され、Niめっき層および三価クロメート被膜層の剥離を短時間で行うことができる。
また、請求項3に係る発明のスパークプラグの製造方法では、請求項1または2に係る発明の効果に加え、剥離液中に有機物からなるインヒビターを添加すれば、Niめっき層および三価クロメート被膜層が剥離されて剥離液中に露出される接地電極の母材をインヒビターにより腐食から保護することができ、酸化力の強い過酸化水素水により接地電極の母材が腐食されることを防止することができる。
以下、本発明を具体化したスパークプラグの製造方法の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施の形態のスパークプラグの製造方法によって製造されるスパークプラグの一例としてのスパークプラグ100の構造について説明する。図1は、スパークプラグ100の部分断面図である。なお、図1において、スパークプラグ100の軸線O方向において、中心電極20が設けられた側をスパークプラグ100の先端側とし、接続端子40が設けられた側を後端側として説明する。
図1に示すように、スパークプラグ100は、概略、絶縁碍子10と、この絶縁碍子10を保持する主体金具50と、絶縁碍子10の軸孔12内に保持された中心電極20と、主体金具50に接合され、先端部31が中心電極20の先端部22に対向する接地電極30と、絶縁碍子10の後端側に設けられた接続端子40とから構成されている。
まず、このスパークプラグ100の絶縁体を構成する絶縁碍子10について説明する。絶縁碍子10は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、軸線O方向に軸孔12を有する筒状の絶縁部材である。軸線O方向の略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、これより後端側には後端側胴部18が形成されている。また、その後端側胴部18よりさらに後端側に、沿面距離を稼ぐためのコルゲーション部16が形成されている。鍔部19より先端側には後端側胴部18より外径の小さな先端側胴部17が形成され、さらにその先端側胴部17よりも先端側に、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。脚長部13は先端側ほど縮径されており、スパークプラグ100が図示外の内燃機関に組み付けられた際には、その燃焼室に曝される。
次に、中心電極20について説明する。中心電極20は、インコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金等からなる電極母材21の中心部に、放熱促進のための銅または銅合金などで構成された金属芯23が埋設された棒状の電極である。中心電極20の先端部22は絶縁碍子10の先端面から突出しており、先端側に向かって径小となるように形成されている。その先端部22の先端面には、柱状の貴金属チップ90が、柱軸を中心電極20の軸線にあわせるようにして抵抗溶接により溶接されている。また、中心電極20は、軸孔12の内部に設けられたシール材14および抵抗体3を経由して、軸孔12の後端側に保持される接続端子40と電気的に接続されている。
次に、接続端子40について説明する。接続端子40は中心電極20と接地電極30との間で火花放電を行うための電圧を、外部から中心電極20に印加するための棒状の端子である。軸孔12内で軸線Oに沿って延びる胴部41の後端に、絶縁碍子10の後端より露出される端子部42が形成されている。この端子部42にはプラグキャップ(図示外)を介して高圧ケーブル(図示外)が接続され、外部回路より中心電極20に高電圧が印加されるようになっている。
次に、主体金具50について説明する。主体金具50は絶縁碍子10を保持し、図示外の内燃機関にスパークプラグ100を固定するための円筒状の金具である。主体金具50は、絶縁碍子10の鍔部19近傍の後端側胴部18から、鍔部19、先端側胴部17および脚長部13を取り囲むようにして絶縁碍子10を保持している。主体金具50は低炭素鋼材で形成され、図示外のスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部51と、図示外の内燃機関上部に設けられたエンジンヘッドに螺合するねじ部52とを備えている。さらに、主体金具50は工具係合部51の後端側に加締め部53を有している。この加締め部53を加締めることにより、主体金具50の内周に形成した段部56に、絶縁碍子10の先端側胴部17と脚長部13との間の段部15が板パッキン8を介して支持され、主体金具50と絶縁碍子10とが一体にされる。加締めによる密閉を完全なものとするため、主体金具50の加締め部53近傍の内周面と、絶縁碍子10の鍔部19近傍の後端側胴部18の外周面との間に環状のリング部材6,7が介在され、リング部材6,7の間にはタルク(滑石)9の粉末が充填されている。また、主体金具50の中央部には鍔部54が形成され、ねじ部52の後端部側(図1における上部)近傍、すなわち鍔部54の座面55にはガスケット5が嵌挿されている。
なお、主体金具50には耐腐食性向上のため、めっきが施され、その表面上に被膜層80が形成されている。被膜層80は2層に形成され、母材(下地)となる主体金具50の表面上には、ニッケル(Ni)を98重量%以上含有するNiめっき層81が形成されている。そしてNiめっき層81の表面上には、含有されるクロム(Cr)成分の内95重量%以上が三価クロムである三価クロメート被膜層82が形成されている。なお、後述するが、めっきによる被膜層80の形成は主体金具50に接地電極30を接合した金具組立体200(図2参照)に対しバレルめっき処理を施すことによって行われるため、接地電極30の表面にも上記被膜層80が形成されることとなる。
次に、接地電極30について説明する。接地電極30は耐腐食性の高い金属から構成され、一例としてインコネル(商標名)600または601などのニッケル系合金が用いられている。この接地電極30は、自身の長手方向と直交する横断面が略長方形であり、屈曲された角棒状の外形を呈している。そして、角棒状の基端側の基部(一端部)32が、主体金具50の先端面57に抵抗溶接により接合されている。一方、この接地電極30の基部32とは反対側の先端部(他端部)31は中心電極20の先端部22に対向するよう屈曲されている。この中心電極20に対向する側の面である内面33は、中心電極20の軸線方向に略直交している。そして内面33には、上記中心電極20の貴金属チップ90と同様の柱状の貴金属チップ91が抵抗溶接され、この貴金属チップ91と、貴金属チップ90との間での火花放電ギャップが形成されている。
このような構成のスパークプラグ100の製造の一工程では、その生産性やコスト面などを鑑みて、主体金具50と接地電極30とを接合した金具組立体200(図2参照)に対し被膜層形成処理を行ってから、接地電極30の内面33に貴金属チップ91を抵抗溶接している。しかし、Niめっき層81や三価クロメート被膜層82からなる被膜層80が接地電極30の表面上に形成されたままの状態で貴金属チップ91の抵抗溶接が行われると溶接性に劣るため、本実施の形態では、接地電極30から被膜層80を剥離する処理が行われる。以下、スパークプラグ100の製造に関する一連の工程について説明する。なお、本実施の形態の要部の製造方法を中心に説明し、公知部分については説明を省略または簡略化する。
まず、主原料にアルミナを使用し、所定の形状になるように研削等を行い高温で焼成することによって絶縁碍子10を形成する。一方、前述のニッケル系合金により棒状の中心電極20および接地電極30を作製する。なお、中心電極20の形成時には、金属芯23を挿入して形成している。そして公知のガラスシール工程によって、中心電極20、シール材14、抵抗体3、予め塑性加工等によって作製された接続端子40等が絶縁碍子10と一体に形成される。そして、中心電極20の先端部22に、貴金属チップ90が抵抗溶接される。なお、このガラスシール工程において絶縁碍子10の表面に釉薬層を形成してもよい。
主体金具50は、鋼鉄材料を使用し、所定の形状に塑性加工や切削、転造加工を行うことによって作製される。この際、主体金具50には所定の形状の工具係合部51、ねじ部52、鍔部54等が形成される。
そして、絶縁碍子10等を組み付ける前の円筒状の主体金具50の先端面57に、接地電極30の基部32が抵抗溶接により接合され、金具組立体200(図2参照)が形成される。接地電極30は曲げ加工が施される前の棒状の状態であり、その先端部31を主体金具50の軸線方向先端側に向けて接合される。
次に、この金具組立体200に対し、公知のバレル装置(図示外)によるバレルめっき処理が施され、被膜層80の形成が行われる。まず、金具組立体200の表面上にNiを98重量%以上含有したNiめっき層を形成するために、金具組立体200をNiめっき浴に浸す(Niめっき層形成工程)。次いで、含有されるCr成分のうち95重量%以上が三価クロムである三価クロメート被膜層を形成するために、三価クロメート処理浴に浸す(三価クロメート被膜層形成工程)。すなわち、上記めっきにより被膜層を形成する工程では、主体金具50の表面上と、主体金具50に接合された接地電極30の表面上とに、Niめっき層81および三価クロメート被膜層82からなる被膜層80が形成される。
次いで、めっきにより被膜層が形成された金具組立体200を乾燥させた後、図2に示すように、接地電極30の先端部31が剥離液210中に浸漬される。剥離液210は、本実施の形態では、硝酸を含有する酸性の剥離液である。剥離液に含有する成分としては硝酸以外に塩酸や硫酸を用いてもよく、それらを混合してもよい。そして、接地電極30の剥離液210に浸漬した部分の被膜層80は硝酸により腐食され、接地電極30の母材(下地)から被膜層80が剥離される(剥離工程)。
さらに、剥離液210には過酸化水素水(H)を含有させ得る。Hは非常に強い酸化力を有しており、これを上記剥離液210に含有させることで被膜層80の剥離速度を促進させることができる。そのため、接地電極30に形成された被膜層80をより確実に取り除くことができる。
この剥離工程によって被膜層80が剥離され、母材の露出した接地電極30の先端部31の内面33には、貴金属チップ91が抵抗溶接される(溶接工程)。貴金属チップ91は接地電極30の母材に直接溶接されるため、両者の溶接性は高く、溶接後に貴金属チップ91が剥離・脱落してしまう虞は低減される。
そして、中心電極20等が一体となった絶縁碍子10が金具組立体200に挿入され、前述の板パッキン8、リング部材6,7、タルク9等を用い、加締め部53を形成することによって、金具組立体200に一体に組み付けられる。次いで接地電極30を折り曲げる加工が行われ、スパークプラグ100が組み立てられた際に、接地電極30の先端部31に接合された貴金属チップ91と、中心電極20の先端部22に接合された貴金属チップ90とが対向して火花放電ギャップが形成される。このような加工を経て、スパークプラグ100が完成する。
上記のように作製されるスパークプラグ100において、接地電極30に形成した被膜層80の剥離を行うにあたって剥離液210に過酸化水素水を含有させたことによる効果を確認するため、以下に示す評価試験を行った。
[実施例1]
この評価試験では、剥離液にHを含有した場合と、含有しなかった場合とのそれぞれの場合において、被膜層が剥離されるまでの時間を比較した。まず、インコネル(商標名)600を母材とする接地電極を主体金具に接合した金具組立体のサンプルを作成し、バレルめっき処理にて各サンプルの表面に約6μmの厚さのNiめっき層を形成し、さらに約0.3μmの三価クロメート被膜層を形成した。
次に、70%硝酸(HNO)と精製水(HO)とを1対1の比で混合した剥離液、35%塩酸(HCl)と精製水(HO)とを1対1の比で混合した剥離液、98%硫酸(HSO)と精製水(HO)とを1対1の比で混合した剥離液、そして、塩酸(HCl)と精製水(HO)と35%過酸化水素水(H)とを1対1対0.5の比で混合した剥離液をそれぞれ生成し、これら剥離液を注いだ4つの剥離槽を用意した。
そして、本実施の形態で説明した剥離工程(図2参照)と同様に各サンプルの接地電極の先端部(後に貴金属チップが溶接される箇所)を剥離液に浸漬した。このとき時間の計測を開始し、接地電極の剥離液に浸漬した部分の被膜層が腐食し剥離されるまでの時間を計測した。その結果を表1に示す。
Figure 2006286371
なお、上記評価試験において、剥離液に浸漬した部分の被膜層と剥離液との反応により水素が発生し、気泡が生ずるが、その気泡が発生しなくなった時点で剥離が終了したと判断した。
評価試験の結果、HNOを含有した剥離液、HClを含有した剥離液、およびHSOを含有した剥離液のいずれの剥離液を用いても、接地電極を剥離液につけてから10分(600sec)が経過しても被膜層の剥離は終了しなかった。これに対し、HClを含有した剥離液にHを含有した剥離液を用いた場合、接地電極を剥離液につけてから6分20秒(380sec)後には、浸漬させた部分の被膜層がすべて剥離された。
この結果から、剥離液に含まれる酸性溶液がHNO、HCl、HSOのいずれであっても、被膜層を腐食させるにはかなりの時間を要するが、こうした酸性剥離液に酸化力の強いHを含有させると、酸性剥離液による被膜層の腐食が促進されることがわかった。
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、各種の変更が可能である。例えば剥離工程において、接地電極30の母材が剥離液210による腐食されることを防止するためには、剥離液210中に有機物からなる腐食抑制剤(インヒビター)を添加するとよい。インヒビターの一例としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ソーダが挙げられる。また、腐食により剥離液210中に分散した金属イオンをキレート化(錯イオン化)するために、剥離液210中に錯化剤を添加するとよい。錯化剤の一例としては、エチレンジアミン(EDA)やチオシアンアンモニウム等が挙げられる。
また、本実施の形態では貴金属チップ91の接合部位である先端部31の被膜層80の剥離したが、接地電極30全体の被膜層80を剥離してもよい。しかし、剥離工程において、主体金具50に剥離液210が接触して先端面57の被膜層80が剥離してしまう虞があるため、接地電極30全体を剥離液210に浸漬させる場合には、剥離液210の液位管理が肝要である。この手間を軽減するには、少なくとも貴金属チップ91を接合する部位である接地電極30の先端部31に形成された被膜層80が剥離されていれば足りるため、本実施の形態のように、接地電極30の先端部31を剥離液210中に浸漬させることが好ましい。
また、本実施の形態では、剥離液210に塩酸、硫酸または硝酸を例に説明したが、フッ化物、有機物を主体とする剥離溶液を用いてもよい。
また、本実施の形態では中心電極20の先端部22に貴金属チップ90を接合したが、貴金属チップ90はなくてもよい。
本発明は、内燃機関に用いられるスパークプラグに適用することができる。
スパークプラグ100の部分断面図である。 金具組立体200の接地電極30を剥離液210に浸漬する様子を示す図である。
符号の説明
10 絶縁碍子
12 軸孔
20 中心電極
30 接地電極
31 先端部
32 基部
50 主体金具
57 先端面
81 Niめっき層
82 三価クロメート被膜層
91 貴金属チップ
100 スパークプラグ
200 金具組立体
210 剥離液

Claims (3)

  1. 中心電極と、
    前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸孔の内部で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、
    前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲んで保持する主体金具と、
    一端部が前記主体金具の先端面に接合され、他端部が前記中心電極に対向する接地電極と、
    少なくとも前記接地電極の他端部に接合された貴金属チップと
    を備えたスパークプラグを製造する方法であって、
    前記接地電極と前記主体金具とが接合され一体となった金具組立体に、Niを98重量%以上含有するNiめっき層を形成するNiめっき層形成工程と、
    前記Niめっき層形成工程によってNiめっき層が形成された前記金具組立体に、含有されるCr成分のうち95重量%以上が三価クロムである三価クロメート被膜層を形成する三価クロメート被膜層形成工程と、
    前記三価クロメート被膜層形成工程によってNiめっき層上に三価クロメート被膜層が形成された前記金具組立体の前記接地電極を酸性剥離液中に浸漬して、前記Niめっき層および前記三価クロメート被膜層を化学的に剥離除去する剥離工程と、
    前記剥離工程によって前記Niめっき層および前記三価クロメート被膜層が剥離された前記接地電極に、前記貴金属チップを溶接する溶接工程と
    を備え、
    前記剥離工程では、前記剥離液中に過酸化水素水が含有されていることを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  2. 前記酸性剥離液は、塩酸、硫酸または硝酸のうちの少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。
  3. 前記剥離工程において、前記剥離液中に、さらに有機物からなるインヒビターが添加されることを特徴とする請求項1または2に記載のスパークプラグの製造方法。
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