一般的にプラズマディスプレイ用部材(以下、PDP用部材と省略する)は、複数のスキャン電極、サステイン電極からなる電極パターン、ブラックストライプ、誘電体層、MgO層などから構成させる前面板と、アドレス電極の電極パターン、誘電体層、隔壁、蛍光体層などから構成される背面板とからなり、本発明は前記前面板、背面板の両方に適用することができる。本発明はこれらPDP用部材を構成する、基板上に少なくとも前記電極パターンが形成されたプラズマディスプレイ用基板(以下、PDP用基板と省略する)に関するものである。
本発明でいうスキャン電極、サステイン電極、アドレス電極等の電極パターンは、基板上に銀やアルミニウム、クロム、ニッケルなどの導電性金属が所望のパターンで配設されたものをいう。本発明ではこれら電極パターンは、画素をマトリクス駆動するための複数の電極ラインと、回路が搭載されたデータドライバーモジュールを、フレキシブル基板等の圧着デバイスを介して接続する複数の端子ラインと、該電極ライン群と端子部分を接合する複数の引き出しラインから構成される。
本発明のPDP用基板は、図1に示す通り、基板上に少なくとも複数の電極ライン1と、複数の端子ライン2、および電極ライン1と端子ライン2を接続する複数の引き出しライン3から構成される電極パターン4が設けられ、等間隔に設けられた4本以上、もしくは8本以上の端子ライン2から構成される接続ブロック5が複数形成された構成をとる。接続ブロック5ごとに、端子ラインはフレキシブル基板等の圧着デバイス(図示せず)を介して、回路が搭載されたデータドライバーモジュール(図示せず)に接合される。
本発明において端子ラインLの線幅WLは、断線が発生しない太さを確保するため、一定である必要があり、0.05〜0.2mmが好ましく、さらに好ましくは0.06〜0.18mmであることが好ましい。WLが前記範囲未満ではフレキシブル基板等の圧着デバイスとの接合が困難となり、また前記範囲を超えると隣接するパターンとの距離(スペース)が狭くなるため、圧着端子と接合した場合に短絡等の欠陥を生じやすい傾向にある。
この接続ブロックは通常は基板の対抗する2辺に沿って、6〜20個ずつ設けられている場合が多く、それと同じ数の圧着デバイスが必要となり、パネルコストの増大につながっている。
また、接続ブロックにおける端子ラインのピッチPLは電極ライン1のピッチPEより小さい構成をとるが、圧着デバイスの大きさは接続ブロックを構成する端子ラインの数と端子ラインのピッチPLによって決定される。
本発明においては、(A)1つの接続ブロックを構成する端子ラインの数を増やすことによって接続ブロックの個数を減らし、対応する圧着デバイスの個数を減らす、(B)接続ブロックにおける端子ラインのピッチPLを狭くすることによって圧着デバイスを小さくする、という2つの方法によって、コスト低減が可能になる。
しかしながら、単純に接続ブロックの数を少なくしたり、端子ラインのピッチを狭くした場合は、特に各接続ブロックの左右の端部付近において、引き出しラインのライン間スペースが狭くなり、この部分でのマイグレーションが生じ、短絡しやすくなるという問題が生じる。
前記マイグレーションによるライン短絡を防止する方法としては、引き出しライン線幅を細くすることが最も簡便であるが、線幅を細くしすぎるとパターン形成時に断線等の欠陥を生じやすくなり、歩留まりが極端に低下してしまうため、本発明では引き出しラインの線幅は0.02〜0.15mm、さらには0.03〜0.12mmとすることが好ましい。
マイグレーション抑制のため本発明では、引き出しラインパターンのスペースをより広く設計することを目的とする。本発明によれば、接続ブロックを構成する個々の端子ラインの長さを調整することにより、引き出しパターンのライン間スペースを大きくすることができる。
従来の方法(図5)においては、端子ラインピッチを狭めた場合、特に各接続ブロックの左右の端部付近において、引き出しラインが鋭角になり、その部分の引き出しパターンのライン間スペースが狭くなる傾向にある。
これに対し本発明は、図2に示すとおり、接続ブロックがn本(nは4以上の自然数)の端子ラインから構成されており、前記接続ブロックの両端からi番面の端子ラインの長さを各々LRi(mm)、LLi(mm)(但しLRiとLRi+1、LLiとLLi+1は隣接する(iはn/2以下の自然数))としたとき、下式(1)および(2)を満たすことを必須条件とする。
LR1<LR2 (1)
LL1<LL2 (2)
また、好ましくは、nが8以上の自然数であり、下式(3)、(4)を満たすことを特徴とする。
LR1<LR2<LR3<LR4 (3)
LL1<LL2<LL3<LL4 (4)
さらに好ましくは、iが1以上n/2−1以下の全ての自然数について、下記式(5)、(6)を満たすことが好ましい。
LRi<LRi+1 (5)
LLi<LLi+1 (6)
上記nの下限値は、端子ライン群を構成する端子ラインピッチ、本数、電極ラインのピッチ等により異なるが、10以上、さらには15であることが本発明の効果を得ることができる。
本発明のような構造とすることにより、端子ラインピッチの狭化に伴う引き出しラインスペースの狭化によるマイグレーションの発生を抑制することができる。
また、本発明は、接続ブロック端子ライン群の削減にも有効である。例えば片側に8個あった接続ブロックを半減させる場合、従来の端子ライン長さが全て同じタイプでは、特に接続ブロック端部と接合する引き出しラインが鋭角となり、この部分でのスペースの確保が困難となる。これに対し図2に示すような本発明の構造を適用することにより、接続ブロック端部と接合する引き出しラインのライン間スペース確保が容易となり、マイグレーションの発生を抑制することができる。
この引き出しライン部分のスペースを確保する方法として、電極ラインの長さ調整する方法も考えられるが、この方法では表示部分外の無効電力が増加したり、ライン数が多いため設計が複雑になるという問題があるため、本発明のような端子ライン長さを調整する方法が最も簡便である。
また、本発明を構成する端子ライン及び引き出しラインは形成工程における耐性(例えば耐薬品性)を考慮し、各々直線上であることが好ましい。例えばパターンを感光性銀ペーストを用いて形成する場合、引き出し部分等に角(折り曲がり角)があると、現像時にこの部分での剥離あるいは現像液によるエッチング現象(サイドエッヂ)が生じやすくなる。
通常、端子ライン、引き出しラインおよび電極ラインの接合部分で、前記折れ曲がり角が形成される場合が多いが、本発明においてはこれら折れ曲がり角部分を曲線形状とすることが前記耐現像液性の点で好ましい。
本発明において引き出しラインパターンのスペース幅は0.02〜0.20、さらには0.03〜0.18mmの範囲であることが、前記マイグレーションの問題を回避する点で好ましい。
また、引き出しライン線幅Hwは、端子ライン線幅の0.3〜0.9倍であることが、端子ラインと引き出しラインの接合が容易であること、引き出しラインパターンのスペースを比較的広く取りやすい点から好ましい。
本発明で用いる基板としては、ソーダガラスの他にPDP用の耐熱ガラスである旭硝子社製の“PD200”や日本電気硝子社製の“PP8”などが挙げられる。
本発明において、電極ライン、端子ライン、引き出しラインから構成される電極パターンを形成する方法としては、銀やアルミニウム、クロム、ニッケルなどの金属を基板上に蒸着しそのうえにレジストを塗布し直接レーザーでレジストを所望のパターンで描画し、レジストを現像後、酸を用いて金属膜をエッチングする方法、前記金属の粉末と有機成分を用いた導電ペーストを所望のパターンを有するスクリーン版を用いて印刷する導電ペースト法、あるいは導電ペースト中の有機成分として感光性有機成分を用い感光性導電ペーストとした上で、感光性導電性ペーストを塗布した後に、フォトマスクを用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除去し、さらに、400〜600℃に加熱・焼成して電極パターンを形成する感光性ペースト法を用いることができる。本発明においては、特に感光性導電ペースト法を好ましく用いることができる。
以下、導電ペースト法による電極パターンの形成方法について説明する。
導電性ペーストに使用される導電性金属とは、Ag、Au、Pd、Cu、Ni、AlおよびPtの群から選ばれる少なくとも1種を含むもので、Ag、Au、Pd、Cu、Ni、AlおよびPt単独または混合粉末として用いる事ができる。特に、抵抗値を低減できる点から銀を90質量%以上含む導電性金属粉末が好ましい。
また、Ag(80〜98)−Pd(20〜2)、Ag(90〜98)−Pd(10〜2)−Pt(2〜10)、Ag(85〜98)−Pt(15〜2)(以上( )内は質量%を表わす)などの3元系或いは2元系の混合貴金属粉末が用いられる。
導電性ペーストにおいて使用される導電性金属粉末の粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、重量分布曲線における50質量%粒子径が0.1〜10μmであることが好ましい。
また、ガラス基板上に600℃以下の温度で焼き付けできる導電性金属の組成を用いる事が好ましく、銀、または、ニッケルを70〜100質量%の範囲で含む事が好ましい。
導電ペーストには、導電性金属粉末以外に、ガラス粉末を含有することが電極とガラス基板の接着力を向上する上で有効である。ガラス粉末は、導電性粉末をガラス基板との十分な接着力を確保するために用いられる。さらに、導電性粉末を焼結するための焼結助剤や抵抗値を下げる効果があるので必要である。
ガラス基板上への焼き付けを行う場合は、ガラス成分のガラス転移温度(Tg)およびガラス軟化点(Ts)は低いほうが好ましくそれぞれ300〜500℃、350〜450℃であるのが良い。より好ましくはTgが350〜450℃であるのが良い。Tgが300℃以下になると、ポリマーバインダーやモノマーなどの有機成分が蒸発する前に焼結が始まるので好ましくない。
ガラス粉末としては、Bi2O3を20〜60質量%の範囲で含有するガラス成分からなるガラス粉末を用いることが好ましい。20質量%未満の場合は、ガラス基板上に焼き付けする時に、ガラス転移点や軟化点を制御するのに十分でなく、基板に対する接着強度を高めるのに効果が少ない。また、60質量%より多くなるとガラス粉末の軟化点が低くなり過ぎてペースト中のバインダーが蒸発する前にガラス粉末が溶融する。このためペーストの脱バインダ性が悪くなり、導体膜の焼結性が低下し、また基板との接着強度が低下する。
さらに、酸化物換算表記で、Bi2O3 20〜60質量%、SiO2 3〜60質量%、B2O33〜60質量%の組成範囲からなるビスマス含有ホウ珪酸ガラス粉末を用いることによって、電極を500〜600℃でガラス基板上に強固に焼き付けできる。
SiO2 は3〜60質量%の範囲で配合することが好ましく、3質量%未満の場合は基板上に焼き付けたときの接着強度の低下やガラス成分の安定性が低下する。また60質量%より多くなると耐熱温度が増加し、600℃以下でガラス基板上に焼き付けが難しくなる。
B2O3は3〜60質量%の範囲で配合することが好ましい。B2O3は電極の電気絶縁性、強度、熱膨張係数などの電気、機械および熱的特性を損なうことのないように焼付け温度を500〜600℃の範囲に制御するために配合される。3質量%未満では密着強度が低下し、また60質量%を越えるとガラス成分の安定性が低下する。また、ZnOは2〜20質量%の範囲で配合することが好ましい。2質量%未満では電極をガラス基板上に焼付けする時に、焼付け温度を制御するのに効果が少ない。20質量%を越えるとガラス成分の耐熱温度が低くなり過ぎてガラス基板上への焼き付けが難しくなる。
また、ガラス粉末を構成するガラス成分中にAl2O3、BaO、CaO、TiO2、ZrO2などを含有することによって熱膨張係数、ガラス軟化点、ガラス転移点、絶縁抵抗を制御できるが、その量は15質量%未満であることが好ましい。
ガラス成分の含有量は導電性金属粉末とガラス粉末の合計量に対して、1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは1〜5質量%である。PDPの電極の低抵抗化を図るにはガラス成分の量が低いほうが好ましい。
ガラス成分は電気絶縁性であるので、含有量が5質量%を越えると電極の抵抗が増大するので好ましくない。1質量%以下では、電極膜とガラス基板との強固な接着強度が得られにくい。
また、感光性導電ペーストにより電極パターンを形成する場合は、感光性有機成分を含有する感光性導電ペーストを用いることが必要である。
感光性導電ペーストを用いて、電極パターンを形成する方法としては、ガラス基板上に、感光性導電ペーストを塗布した後、露光、現像することによって、簡便に電極パターンを形成することができる。このパターンを400〜720℃で焼成することによって得ることができる。
感光性導電ペーストの作製方法を次に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。導電性金属粉末、紫外線吸光剤、感光性有機成分、光重合開始剤、ガラス粉末および溶媒、添加剤等の各種成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し作製する。本発明において使用される有機成分とは、感光性の有機物を含むペースト中の有機成分のことである。
感光性導電ペーストに関しては、感光性成分の含有率が有機成分中の10質量%以上、さらには、30質量%以上であることが光に対する感度の点で好ましい。
有機成分は、感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選ばれる感光性成分を含有し、さらに必要に応じて、バインダー、光重合開始剤、紫外線吸光剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤などの添加剤成分を加えることも行われる。
感光性成分としては、光不溶化型のものと光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとして、(A)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性のモノマー、オリゴマー、ポリマーを含有するもの(B)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機ハロゲン化合物などの感光性化合物を含有するもの(C)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物などいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの等がある。
また、光可溶型のものとしては、(D)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレックス、キノンジアゾ類を含有するもの(E)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフトキノン1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル等がある。
感光性導電ペーストに用いる感光性成分は、上記のすべてのものを用いることができる。感光性導電ペーストとして、無機粉末と混合して簡便に用いることができる感光性成分は、(A)のものが好ましい。
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、また、これらの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。
また、前述の炭素−炭素二重結合を有する化合物のうち少なくとも1種類を重合して得られたオリゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際に、これらのモノマーの含有率が10質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上になるように、他のモノマーと共重合することができる。
共重合するモノマーとしては、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を共重合することによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
こうして得られた側鎖にカルボキシル基等の酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価(AV)は50〜180、さらには70〜140の範囲が好ましい。酸価が50未満であると、現像許容幅が狭くなる。また、酸価が180を越えると未露光部の現像液に対する溶解性が低下するようになるため現像液濃度を濃くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細なパターンが得られにくい。
以上示した、ポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性を持つ感光性ポリマーや感光性オリゴマーとして用いることができる。
好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。
このような側鎖をオリゴマーやポリマーに付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどがあげられる。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等がある。
また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量付加させることが好ましい。
光重合開始剤としての具体的な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、0.05〜10質量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5質量%である。重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
紫外線吸収剤を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い吸収剤を添加することによって高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外線吸収剤としては有機系染料からなるもの、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しないで吸収剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の添加量は0.02〜5質量%が好ましい。0.02質量%以下では紫外線吸収剤の添加効果が減少し、5質量%を越えると焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。より好ましくは0.1〜1質量%である。有機顔料からなる紫外線吸光剤の添加方法としては、有機溶媒に溶解した後、ペースト作製時に混練りする方法以外に、有機顔料を予め有機溶媒に溶解した溶液を作製し、次に該有機溶媒中に金属粉末を混合後、乾燥する方法がある。この方法によっ粉末の個々の粉末表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル状の粉末が作製できる。
本発明において、ガラス粉末に含まれるPb、Fe、Cd、Mn、Co、Mgなどの金属および酸化物がペースト中に含有する感光性成分と反応してペーストが短時間でゲル化し、塗布できなくなる場合がある。このような反応を防止するために安定化剤を添加してゲル化を防止することが好ましい。用いる安定化剤としては、トリアゾール化合物が好ましく用いられる。トリアゾール化合物の中でも特にベンゾトリアゾールが有効に作用する。本発明において使用されるベンゾトリアゾールによるガラス粉末の表面処理の一例を上げると、ガラス粉末に対して所定の量のベンゾトリアゾールを酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコール、メチルアルコールなどの有機溶媒に溶解した後、これら粉末が十分に浸すことができるように溶液中に1〜24時間浸積する。浸積後、好ましくは20〜30℃下で自然乾燥して溶媒を蒸発させてトリアゾール処理を行った粉末を作製する。使用される安定化剤の割合(安定化剤/無機粉末)は0.05〜5質量%が好ましい。
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明に用いる感光性導電ペーストに添加する場合、その添加量は感光性成分に対して通常0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上させるために添加される。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性導電ペースト中に、通常、0.001〜1質量%である。
可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどがあげられる。
酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は通常、添加量は、ペースト中に、通常、0.001〜1質量%である。
感光性導電ペーストには、溶液の粘度を調整したい場合、有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
感光性導電ペーストは、通常、上記導電性金属粉末、ガラス粉末、紫外線吸光剤、感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤および溶媒等の各種成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し作製する。
感光性導電ペーストの粘度は無機粉末、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2〜200Pa・sである。例えばガラス基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、2〜5Pa・sが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、50〜200Pa・sが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、2〜20Pa・sが好ましい。
電極パターンの形成において、感光性ペースト法を適用する場合は、ペーストコスト、パターニング特性を考慮して、銀を主成分とする導電性金属と感光性有機成分からなる感光性銀ペーストを用いることが好ましい。ここでいう主成分とは、全金属成分のうち80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上含有する成分をいう。
上記ガラス基板と電極パターンで構成されたPDP用基板には、例えば背面板として用いる場合、誘電体層、隔壁層、蛍光体層が好ましく形成される。
本発明で誘電体層に用いるガラスペーストには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リンの少なくとも1種類以上を含有し、これらを合計で10〜80質量%含有するガラス粉末を用いると良い。10質量%以上とすることで、600℃以下での焼成が容易になり、80質量%以下とすることで、結晶化を防ぎ透過率の低下を防止する。有機バインダーとしては、エチルセルロース、メチルセルロース等に代表されるセルロース系化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート等のアクリル系化合物等を用いることができる。また、ガラスペースト中に、溶媒、可塑剤等の添加剤を加えても良い。溶媒としては、テルピネオール、ブチロラクトン、トルエン、メチルセルソルブ等の汎用溶媒を用いることができる。また、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジエチルフタレート等を用いることができる。
ガラス粉末以外にガラス軟化点が650℃以上の無機成分を主成分とする、フィラー成分を添加することにより、誘電体層の反射率が高く、輝度の高いPDPを得ることができる。フィラーとしては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムが好ましく、粒子径0.05〜3μmの酸化チタンを用いることが特に好ましい。フィラーの含有量はガラス粉末:フィラーの比で、10:1〜1:1が添加の十分な効果を得る上で好ましい。
また、導電性微粒子を含有することにより駆動時の信頼性の高いプラズマディスプレイを作成することができる。導電性微粒子は、ニッケル、クロムなどの金属粉末が好ましく、粒子径は1〜10μmが好ましい。1μm以上とすることで十分な効果を発揮でき、10μm以下とすることで誘電体上の凹凸を抑え隔壁形成を容易なものとすることができる。これらの導電性微粒子が誘電体層に含まれる含有量としては、0.1〜10質量%が好ましい。0.1質量%以上とすることで添加の効果を得ることができ、10質量%以下とすることで、隣り合うアドレス電極間でのショートを防ぐことができる。誘電体層の厚みは3〜30μmとするのが好ましく、より好ましくは3〜15μmである。誘電体層が薄すぎる場合はピンホールが発生する傾向にあり、厚すぎる場合は放電電圧が高くなり消費電力が大きくなる傾向にある。
本発明のプラズマディスプレイ用部材においては、前記アドレス電極、誘電体層などが形成された基板上に、放電セルを仕切るための隔壁および及び補助隔壁が形成される。
隔壁の形状で、最も単純なのはデータ電極と平行のストライプ状の隔壁構造であり、製造工程も簡便である。しかしながら、ストライプ状隔壁の場合、画素間の放電の干渉が生じやすい。特に高精細化した場合には放電の干渉が顕著となり、前面板の放電ギャップを狭くする必要があるが、その場合には、輝度が大幅に低下するという問題が生じる。この問題を解消するために、本発明ではストライプ状の隔壁と交差するような画素を仕切る補助隔壁を形成することが好ましい。
本発明において隔壁および補助隔壁は、ガラス粉末を含む無機微粒子と有機バインダーからなるガラスペーストを隔壁の形状にパターン形成した後に、400〜600℃で焼成する方法が好ましく適用される。
無機微粒子としては、ガラス粉末以外に、セラミック(アルミナ、コーディライトなど)などを用いることができる。特に、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、または、アルミニウム酸化物を必須成分とするガラスやセラミックスが好ましい。
無機微粒子の粒子径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して選ばれるが、体積分布曲線における50%粒子径が、1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、1〜5μmである。体積分布曲線における50%粒子径を10μm以下とすることで、パターン形成時に表面凸凹が生じるのを防ぐことができる。また、1μm以上とすることでペーストの粘度調整を容易に行うことができる。さらに、比表面積0.2〜3m2/gの無機微粒子を用いることが、パターン形成において、特に好ましい。
本発明において、隔壁及び補助隔壁は、熱軟化点が比較的低いガラス基板上に形成されるため、無機微粒子として、熱軟化温度が350〜600℃のガラス微粒子を60質量%以上含むものを用いることが好ましい。一方、熱軟化温度が600℃以上のガラス微粒子やセラミック微粒子を添加することによって、焼成時の収縮率を抑制することができるが、その量は、全無機微粒子中40質量%以下が好ましい。
用いるガラス微粒子としては、焼成時にガラス基板にそりを生じさせないためには線膨脹係数が50〜90×10-7(/℃)、更には、60〜90×10-7(/℃)のガラス微粒子を用いることが好ましい。
隔壁及び補助隔壁を形成するガラス微粒子の組成としては、ケイ素および/またはホウ素の酸化物を必須成分としたものが好ましく用いられる。
酸化ケイ素は、3〜60質量%の範囲で配合されていることが好ましい。3質量%以上とすることで、ガラス層の緻密性、強度や安定性が向上し、また、熱膨脹係数を所望の範囲内とし、ガラス基板とのミスマッチを防ぐことができる。また、60質量%以下にすることによって、熱軟化点が低くなり、ガラス基板への焼き付けが可能になるなどの利点がある。
酸化ホウ素は、5〜50質量%の範囲で配合することによって、電気絶縁性、強度、熱膨脹係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を向上することができる。50質量%とすることでガラスの安定性を保つことができる。
さらに、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化亜鉛のうちの少なくとも1種類を合計で5〜50質量%含有させることによって、ガラス基板上にパターン加工するのに適した温度特性を有するガラスペーストを得ることができる。特に、酸化ビスマスを5〜50質量%含有するガラス微粒子を用いると、ペーストのポットライフが長いなどの利点が得られる。ビスマス系ガラス微粒子としては、例えば次の組成を含むガラス微粒子を用いることが好ましい。
酸化ビスマス :10〜40質量%
酸化ケイ素 : 3〜50質量%
酸化ホウ素 :10〜40質量%
酸化バリウム : 8〜20質量%
酸化アルミニウム :10〜30質量%
また、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムのうち、少なくとも1種類を合計で3〜20質量%含むガラス微粒子を用いてもよい。アルカリ金属酸化物の添加量は、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下にすることによって、ペーストの安定性を向上することができる。上記3種のアルカリ金属酸化物の内、酸化リチウムがペーストの安定性の点で、特に好ましい。リチウム系ガラス微粒子としては、例えば次に示す組成を含むガラス粉末を用いることが好ましい。
酸化リチウム : 2〜15質量%
酸化ケイ素 :15〜50質量%
酸化ホウ素 :15〜40質量%
酸化バリウム : 2〜15質量%
酸化アルミニウム : 6〜25質量%
また、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛のような金属酸化物と酸化リチウム,酸化ナトリウム、酸化カリウムのようなアルカリ金属酸化物の両方を含有するガラス微粒子を用いれば、より低いアルカリ含有量で、熱軟化温度や線膨脹係数を容易にコントロールすることができる。
また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど、特に、酸化アルミニウム、酸化バリウムを添加することにより、加工性を改良することができるが、熱軟化点、熱膨脹係数の点からは、その含有量は、40質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
有機バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂、エチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース化合物を用いることができる。さらに、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤などの添加剤を加えることも行われる。
さらに、ペーストの粘度を調整したい場合、有機溶媒を加えてもよい。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチルラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
本発明において隔壁パターンを形成する方法としては、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光性ペースト法、フォト埋め込み法、型転写法などが適用されるが、面内でのパターン高さ調整、面内均一性、高精細化が可能などの点から感光性ペースト法が好ましく適用される。感光性ペースト法を適用する場合には、ペーストに感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうちの少なくとも1種類から選ばれた感光性成分を含有し、更に、必要に応じて、光重合開始剤、光吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤を添加すると良い。
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、単官能および多官能性の(メタ)アクリレート類、ビニル系化合物類、アリル系化合物類などを用いることができる。これらは1種または2種以上使用することができる。
また、この感光性ガラスペーストには、有機バインダーして感光性ポリマーおよび/または感光性オリゴマーを用いるのが好ましい。そのオリゴマーまたはポリマーは、炭素−炭素2重結合を有する化合物から選ばれた成分の重合または共重合により得られる。ポリマーやオリゴマーに不飽和カルボン酸などの不飽和酸を共重合することによって、感光後のアルカリ水溶液での現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、または、これらの酸無水物などが挙げられる。こうして得られた側鎖にカルボキシル基などの酸性基を有するポリマー、もしくは、オリゴマーの酸価(AV)は、50〜180の範囲が好ましく、70〜140の範囲がより好ましい。以上に示したポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性をもつ感光性ポリマや感光性オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
光重合開始剤の具体的な例として、ベンゾフェノン、O-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性成分に対し、好ましくは0.05〜10質量%の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜5質量%の範囲で添加される。重合開始剤の量が少な過ぎると、光感度が低下する傾向にあり、光重合開始剤の量が多すぎると、露光部の残存率が小さくなり過ぎる傾向にある。
光吸収剤としては、有機系染料からなるものが好ましく用いられる、具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ベンゾフェノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は、焼成後の絶縁膜中に残存しないので、光吸収剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でも、アゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。有機染料の添加量は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜1質量%である。添加量が少なすぎると、光吸収剤の添加効果が減少する傾向にあり、多すぎると、焼成後の絶縁膜特性が低下する傾向にある。
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらを1種または2種以上使用することができる。増感剤を感光性ペーストに添加する場合、その添加量は、感光性成分に対して通常0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。増感剤の量が少な過ぎると光感度を向上させる効果が発揮されない傾向にあり、増感剤の量が多過ぎれると、露光部の残存率が小さくなる傾向にある。
次に感光性ペースト法を用いた隔壁及び補助隔壁の形成手順の一例を以下に示す。
ガラス基板に、感光性ペーストを塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなど一般的な方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。また、ポリエステルフィルムなどのフィルム上に感光性ペーストを塗布した感光性シートを作成して、ラミネーターなどの装置を用いて基板上に感光性ペーストを転写する方法を用いても良い。
感光性ペースト塗布した後、露光装置を用いて露光を行う。露光は、通常のフォトリソグラフィで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。
用いるマスクは、感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。また、フォトマスクを用いずに、レーザ光などで直接描画する方法を用いても良い。露光に使用される活性光線は、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は、塗布厚みによって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用いて0.1〜10分間露光を行う。
前記露光後、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行うが、その際、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等が用いられる。
現像液は、感光性ペースト中の溶解させたい有機成分が溶解可能である溶液を用いる。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合は、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は、通常、0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。アルカリ濃度が低過ぎると可溶部が除去さ難くなる傾向にあり、アルカリ濃度が高過ぎると、パターン部を剥離させ、また、非可溶部を腐食する傾向にある。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
次に、焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラーハース式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、400〜800℃で行う。基板がガラスである場合は、450〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行う。焼成は、先の電極、および誘電体形成について、それぞれ焼成工程をすること記載したが、各電極ペースト、誘電体ペーストを変更することにより、電極/誘電体、誘電体/隔壁、電極/誘電体/隔壁を一括して焼成することも可能である。この場合にも本発明の効果は損なわれることはない。
本発明では前記隔壁及び補助隔壁をを形成した後に、RGBの各色に発光する蛍光体層が好ましく形成される。蛍光体粉末、有機バインダーおよび有機溶媒を主成分とする蛍光体ペーストを所定の隔壁間に塗布することにより、蛍光体層を形成することができる。その方法としては、スクリーン印刷版を用いてパターン印刷するスクリーン印刷法、吐出ノズルの先端から蛍光体ペーストをパターン吐出するディスペンサー法、また、感光性を有する有機成分を有機バインダーとする感光性蛍光体ペーストを用いる感光性ペースト法等を採用することができるが本発明においては厚み均一性、生産性を考慮しディスペンサー塗布法が好ましく採用される。
本発明において各色の蛍光体層の厚みは、10〜50μmであることが好ましい。10μm以上とすることで十分な輝度を得ることができる。また、厚みを50μm以下とすることで放電空間を確保し、蛍光体を有効に発光できる。この場合の蛍光体層の厚みは、隣り合う隔壁の中間点での形成厚み、つまり、放電空間(セル内)の底部に形成された蛍光体層の厚みとして測定する。
使用する蛍光体粉末としては、赤色は、Y2O3:Eu、YVO4:Eu、(Y、Gd)BO3:Eu、Y203S:Eu、γ−Zn3(PO4)2:Mn、(ZnCd)S:Ag+In2O3など、緑色は、Zn2GeO2:Mn、BaAl12O19:Mn、Zn2SiO4、LaPO4:Tb、ZnS:Cu、Al、ZnS:Au、Cu、Al、(ZnCd)S:Cu、Al、Zn2SiO4:Mn,As、Y3A15O12:Ce、CeMgAl11O19:Tb、Gd2O2S:Tb、Y3A15O12:Tb、ZnO:Znなど、また、青色は、Sr5(PO4)3Cl:Eu、BaMgAl14O23:Eu、BaMgAl16O27:Eu、BaMg2Al14O24:Eu、ZnS:Ag+赤色顔料、Y2SiO3:Ceなどがある。
蛍光体層を形成した基板を必要に応じて、400〜550℃で焼成することにより、本発明のディスプレイ用部材を作製することができる。
上記のディスプレイ用部材を背面板として用いて、前面板と封着後、前背面の基板間隔に形成された空間に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放電ガスを封入後、駆動回路を装着して本発明のプラズマディスプレイを作製できる。前面板は、基板上に所定のパターンで透明電極、バス電極、誘電体、保護膜(MgO)を形成した基板であり、背面基板上に形成されたRGB各色蛍光体層に一致する部分にカラーフィルター層を形成しても良い。また、コントラストを向上するために、ブラックストライプを形成しても良い。
1460×850mmのガラス基板(PD200)上に、導電性粉末および有機成分からなる感光性導電ペーストをスクリーン印刷により乾燥後厚みが8μmになるように塗布した。
尚、ここで用いた感光性導電ペーストは、導電性粉末として、平均粒径2.6μmの銀粉末を72質量%含有するものを用いた。また、無機粉末として前記銀粉末以外にガラスフリットを2質量%混合した。また、感光性ポリマーとして、40%のメタアクリル酸(MAA)、30%のメチルメタアクリレート(MMA)および30%のスチレン(St)からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタアクリレート(GMA)を付加反応させた重量平均分子量43000、酸価95の感光性ポリマー準備し、
溶媒(γ−ブチロラクトン)を用いて40%質量%溶液となるよう混合し、攪拌しながら60℃まで加熱しすべてのポリマーを均質に溶解させたポリマー溶液を準備した。
ついで溶液を室温まで冷却し、全感光性導電ペースト中に前記ポリマー溶液11質量%、感光性モノマー11質量%、光重合開始剤1質量%、増感剤1質量%、γ−ラクトン質量%の割合になるように配合し溶解させた。その後、この溶液を400メッシュのフィルターを用いて濾過し、感光性有機成分を作製した。ここで本実施例に用いた、感光性モノマー、光重合開始剤、増感剤は次のような化合物である。
感光性モノマー;トリメチロールプロパントリアクリレート光重合開始剤 ;2−ベンジル−2ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1増感剤 ;2,4−ジエチルチオキサントン次に、スダン(アゾ系有機染料)とガラス粉末に対して0.10%の割合で秤量した。スダンとは化学式C24H20N40、分子量380.45のアゾ系有機染料である。そのスダンをアセトンに溶解させ、分散剤を加えてホモジナイザで均質に攪拌し、この溶液中に導電性粉末を添加して均質に分散・混合後、ロータリーエバポレータを用いて、150〜200℃の温度で乾燥し、アセトンを蒸発させた。こうして有機染料からなる紫外線吸収剤の膜で導電性粉末の表面を均質にコーティングした(いわゆるカプセル処理した)粉末を作製した。
その後、有機成分の各成分を80℃に加熱しながら溶解し、その後、導電性粉末とガラスフリットを添加し、混練機で混練することによってペーストを作成した。粘度は溶媒量をによって調整した。溶媒量(γ−ブチルラクトン)はペースト中に10〜40%になるように調整した。
ガラスフリットは、Na2O 6%、Al2O3 3%、SiO2 27%、B2O312%、ZnO 3%、MgO 7%、ZrO2 5%、Bi2O3 44%の組成のガラス粉末を用いた。ガラス粉末は、あらかじめアトラクターにて微粉末にし、平均粒径0.8μmの粉末を使用した。
上記感光性有機成分と上記紫外線吸収剤添加の導電性粉末を表1に示す組成になるように添加し、3本ローラで混合・分散して、観光し得導電ペーストを調整した。
次いで電極パターンが設置されたフォトマスクを介して前記印刷膜を露光後、現像、焼成することにより電極パターンを形成した。
尚、ここで形成した電極パターンは図1に示すようなアドレス電極パターンであり、接続ブロックは上下各11個(90mm間隔)ずつ配置されたものである。
端子ライン群を構成する端子ラインの本数は384本、端子ライン線幅は0.1mm、ピッチは0.25mm、端子ライン長さは一律3mmとした。
また、電極ラインはピッチ0.35mm、線幅は0.11mmとし、1367本配置した。
さらに前記端子ラインと電極ラインをつなぐ引き出しラインは、線幅を0.07mmとし、引き出しラインパターン形成領域Hzは22mmとした。さらに基板センターを始点として、1本ずつ接合する形で配置した。
上記のごとく得られた電極パターンを構成する引き出しラインの中で、端子ラインとの接合部分が最も鋭角でかつ最も狭い部分のライン間スペースを測定したところ、105μmであった。
上記電極パターンを基準パターンとして、端子ラインピッチを狭くした本発明の形態について、実施例および比較例を用いて説明する。
(実施例1)
前記基準パターンにおいて、接続ブロックを構成する384本の端子ラインのピッチを0.25mmから0.22mmとし、両端の端子ライン長さLR1、LL1をそれぞれ3mm、両端から192本目の端子ライン長さLR192、LL192を8mmとした。さらにLR1からLR192にかけて、及びLL1からLL192にかけて、i番目の端子ラインよりi+1番目の端子長さを0.026mmずつ長くなるように端子ライン長さを調整して配置した。
尚、電極ライン構成は前記基準パターンと同一とし、前記端子ラインと線幅70μmの引き出しラインにより接合した以外は同一手法により、構造の電極パターンを得た。
上記のごとく得られた電極パターンを構成する引き出しラインの中で、端子ラインとの接合部分が最も鋭角でかつ最も狭い部分のライン間スペース幅の最小値SHを測定したところ、88μmであった。
(比較例1)
前記基準パターンにおいて、端子ラインピッチを0.25から0.22mmに変更した以外は同一手法により端子ラインの長さが全て3mmとなる電極パターンを得た。
上記のごとく得られた電極パターンを構成する引き出しラインの中で、端子ラインとの接合部分が最も鋭角でかつ最も狭い部分のライン間スペース幅の最小値SHを測定したところ68μmであり、実施例1より20μm狭いものであった。
(実施例2)
前記基準パターンにおいて、接続ブロックを構成する384本の端子ラインのピッチを0.25mmから0.19mmとし、両端の端子ライン長さLR1、LL1をそれぞれ3mm、両端から192本目の端子ライン長さLR192、LL192を16mmとした。さらにLR1からLR192にかけて、及びLL1からLL192にかけて、i番目の端子ラインよりi+1番目の端子長さを0.068mmずつ長くなるように端子ライン長さを調整して配置した。
尚、電極ライン構成は前記基準パターンと同一とし、前記端子ラインと線幅70μmの引き出しラインにより接合した以外は同一手法により、電極パターンを得た。
上記のごとく得られた電極パターンを構成する引き出しラインの中で、端子ラインとの接合部分が最も鋭角でかつ最も狭い部分のライン間スペース幅の最小値SHを測定したところ、85μmであった。
(比較例2)
前記基準パターンにおいて、端子ラインピッチを0.25から0.19mmに変更した以外は同一手法により図1に示すような電極パターンを得た。
上記のごとく得られた電極パターンを構成する引き出しラインの中で、端子ラインとの接合部分が最も鋭角でかつ最も狭い部分のライン間スペース幅の最小値SHを測定したところ51μmであり、実施例1より34μm狭いものであった。
実施例および比較例から明らかな通り、本発明の実施例により得られた電極パターンを、従来の方法を適用した比較例に比べ、端子ラインピッチ狭化に伴う引き出しラインパターンスペースの狭化を抑制することができる。
次いで、ポリイミドフィルム上に端子ラインと同じピッチでリード線を配置したフレキシブル基板、異方性導電膜を介して、引き出しラインスペースが105μmの基準電極パターンを構成する端子ラインに熱圧着した。
さらに、フレキシブル基板および超高抵抗計を介して100Vの電圧を絶縁抵抗が急激に減少するまで印加することで、強制的にマイグレーションを発生させ、その発生時間を観察したところ、6時間経過してもマイグレーションの発生はなかった。
同一の方法により実施例1、2および比較例1、2について強制マイグレーション評価を行ったところ、実施例1、2のPDP用基板においては基準電極パターン同様6時間経過してもマイグレーションの発生はなかったが、本発明の比較例1では4時間、比較例2では1時間後に絶縁抵抗が半減し、マイグレーションの発生を確認した。