JP2006283780A - 車両用デファレンシャル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 構成の簡素化を図ると共に駆動力配分制御の設計自由度が大きく、旋回走行性及び走破性の向上が図れる車両用デファレンシャル装置を提供する。
【解決手段】 ドライブピニオン21のピニオン21aと噛み合うリングギヤ22が設けられたドリブンギヤ軸25と左右のドライブ軸26L、26Rとの間にプラネタリギヤ機構31L、31Rを配置し、プラネタリギヤ機構31L、31Rの各キャリヤ36とデファレンシャルキャリヤケース11との間にブレーキ機構51L、51Rを配置し、各キャリヤ36とドリブンギヤ軸25との間にクラッチ機構41L、51Rを配置する。走行状態に応じてクラッチ機構41L、41R、ブレーキ機構51L、51Rを制御することによって差動機能及び差動制限機能が得られ、左右の車輪9L、9Rへの駆動力配分制御ができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両のデファレンシャル装置に関し、特に左右の車輪への駆動力配分比を制御する駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置に関する。
車両、例えば4輪駆動車では種々の路面状況等の走行状態において駆動力の確保及び走行安定性や運動性能を向上させるため、種々の駆動力制御装置が開発され実用化されている。最近では、左右の車輪の駆動力配分比を積極的に制御して車両の旋回性能を向上させる駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置が提案されている。
例えば、図11にスケルトン図を示すようにセンタデファレンシャル装置によって配分された一方の駆動力をドライブピニオン102及びリングギヤ103からなるベベルギヤ機構によってデファレンシャルケース104に伝達し、デファレンシャルケース104内のギヤ機構105から左右のドライブ軸106を介して左右の車輪に伝達するデファレンシャル101において、デファレンシャルケース104の両側部にそれぞれ、ドライブ軸106に第1サンギヤ107aが固着され、第1サンギヤ107aに噛み合う第1ピニオン107b、第1ピニオン107bと一体回転する第2ピニオン107c、ドライブ軸106に回転自在に支持されて第2ピニオン107cに噛み合う第2サンギヤ107dを有するプラネタリギヤ107を配置し、デファレンシャルケース104と第2サンギヤ107dとの間に多板クラッチ機構108を配置し、これらデファレンシャルケース104とギヤ機構105により差動機構部を構成すると共に、プラネタリギヤ107と多板クラッチ機構108により駆動力配分機構部を構成する。
そして、駆動力の要求配分比に応じて左右の多板クラッチ機構108を係合制御して、ドライブピニオン102から入力される駆動力を左右のドライブ軸106に配分する車両用デファレンシャル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、左右の多板クラッチ機構108は、共に完全係合することがないように設定されており、左右の多板クラッチ機構108のうち一方が完全係合した状態では他方の多板クラッチ機構108はスリップ係合するようになっている。
また、図12にスケルトン図を示すように、センタデファレンシャルによって配分された一方の駆動力をドライブピニオン112及びリングギヤ113からなるベベルギヤ機構によってデファレンシャルケース114に伝達し、デファレンシャルケース114に配置された複合プラネタリギヤ式差動機構115から左右のドライブ軸116、117を介して左右の車輪に伝達する差動機構部を備えたデファレンシャル111において、デファレンシャルケース114に第1歯車121、キャリヤ118に第2歯車122、右側のドライブ軸116に第3歯車123を固定し、これら回転軸芯上の歯車121、122、123と噛み合う第4、第5、第6の歯車124、125、126を同一回転軸芯上に配置すると共に、第4歯車124と第5歯車125との間に第1多板クラッチ機構127を配置し、第4歯車124と第6歯車126の間に第2多板クラッチ機構128を配置して駆動力配分機構部を構成する。
そして、駆動力の要求配分比に応じて第1多板クラッチ機構127を係合するとキャリヤ118側から左ドライブ軸117に駆動力が多く配分され、第2多板クラッチ機構128を係合させると右ドライブ軸116に駆動力を多く配分させる車両用デファレンシャル装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−262155号公報 特開平10−129294号公報
上記特許文献1の車両用デファレンシャル装置によると、デファレンシャルケース104の両側に配置された左右の油圧式多板クラッチ機構108の係合制御により左右の車輪の一方から他方へ駆動トルクを流して左右車輪の駆動力配分比を制御することができる。しかし、左右の多板クラッチ機構108を同時に完全係合ができない構成であり、左右の車輪を直結化して差動を制限する、いわゆるLSD機能を備えておらず、特に低μ路における駆動力の確保が困難であり十分な走破性が達成できないおそれがある。また、デファレンシャルケース104及びギヤ機構105による差動機構部と、プラネタリギヤ107及び多板クラッチ機構108による駆動力配分機構部がそれぞれ個別に配置されることから、構成が複雑化すると共に、デファレンシャル装置の大型化及び重量の増加を招き、車載性や燃費に影響を与える。
一方、特許文献2の車両用デファレンシャル装置によると、デファレンシャルケース114と複合プラネタリギヤ式差動機構115による差動機構部及び互いに噛み合う第1歯車121と第4歯車124、第2歯車122と第5歯車125、第3歯車123と第6歯車126による3列の外歯歯車列と第1、第2多板クラッチ127、128による駆動力配分機構部とにより駆動力配分比を制御することができる。しかし、各歯車列及び第1、第2多板クラッチ127、128による駆動力配分機構部がドライブ軸106、107の回転軸芯に対して偏倚して配置され、かつ差動機構部と駆動力配分機構部がそれぞれ個別に配置されることから構成が複雑化すると共にデファレンシャル装置の大型化及び重量の増加を招き、車載性や燃費に影響を与えることが懸念される。
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、構成の簡素化を図ると共に小型で車載性に優れ、かつ左右の車輪への駆動力配分制御の設計自由度が大きく、旋回走行性、走破性の向上が図れる駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置を提供することにある。
上記目的を達成する請求項1に記載の車両用デファレンシャル装置は、左右の車輪への駆動力配分比を制御する駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置において、上記車両用デファレンシャル装置は、デファレンシャルキャリヤケースに回転自在に支持された入力軸に一体に設けられたドライブギヤと、上記入力軸と軸交して上記デファレンシャルキャリヤケースに回転自在に支持され、かつ上記ドライブギヤと噛み合って減速を行うドリブンギヤが設けられたドリブンギヤ軸と、該ドリブンギヤ軸の両端側に、該ドリブンギヤ軸と同軸芯上に配置されて上記デファレンシャルキャリヤケースに回転自在に支持され外端部がそれぞれ左右の車輪に動力伝達可能に連結された左右のドライブ軸と、上記ドリブンギヤ軸の各端部にそれぞれ設けられた第1サンギヤと、上記各ドライブ軸の内方端部に設けられて上記第1サンギヤより小径の第2サンギヤと、上記第1サンギヤより小径で該第1サンギヤに噛み合う第1ピニオン及び該第1ピニオンと一体形成されかつ第1ピニオンより大径で上記第2サンギヤに噛み合う第2ピニオンと、第1ピニオン及び第2ピニオンを回転自在に支持するキャリヤを備えた左右のプラネタリギヤ機構と、該各プラネタリギヤ機構のキャリヤと上記デファレンシャルキャリヤケースとの間に配置された左右のブレーキ機構と、上記各プラネタリギヤ機構のキャリヤとドリブンギヤ軸との間に配置された左右のクラッチ機構と、上記各ブレーキ機構及びクラッチ機構を車両の走行状態に応じて係合制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置において、上記左右の車輪へ配分される駆動力は、上記左右の両ブレーキ機構が解放状態では左右のクラッチ機構の係合状態に応じて配分されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1の駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置において、転舵走行時における上記左右の車輪への駆動力配分は、旋回外方側のブレーキ機構を係合すると共に旋回外方側のクラッチ機構を解放して旋回外側のプラネタリギヤ機構による変速トルクを旋回外方側の車輪に配分し、旋回内方側のクラッチ機構をスリップ係合すると共に旋回内方側のブレーキ機構を解放してクラッチ機構のスリップ係合トルクを旋回内方側の車輪に配分し、かつ旋回内方側のプラネタリギヤ機構の第1ピニオン及び第2ピニオンの遊星回転を可能にして左右の車輪に不等にトルク配分することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3項のいずれか1項の駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置において、上記クラッチ機構及びブレーキ機構は、それぞれドリブンギヤ軸に同軸芯上に配置された多板摩擦係合手段によって構成され、上記クラッチ機構は、クラッチドラムが上記プラネタリギヤ機構のキャリヤに動力伝達可能に結合され、クラッチハブが上記ドリブンギヤに動力伝達可能に結合され、上記ブレーキ機構は、ブレーキドラムがデファレンシャルキャリヤケースに設けられ、ブレーキハブが上記クラッチドラムに一体形成されたことを特徴とする。
請求項1の発明によると、ドライブギヤと噛み合って減速を行うドリブンギヤが設けられたドリブンギヤ軸と同軸芯上に左右のドライブ軸を配置し、ドリブンギヤ軸の各端部と左右のドライブ軸との間に左右のプラネタリギヤ機構を配置すると共に、各プラネタリギヤ機構のキャリヤとデファレンシャルキャリヤケースとの間に配置された左右のブレーキ機構と、各キャリヤとドリブンギヤ軸との間に配置された左右のクラッチ機構と備え、制御装置により走行状態に応じて各クラッチ機構及び各ブレーキ機構を係合制御することによって左右の車輪の差動機能及び差動制限機能が得られ、差動機構部と駆動力配分機構部を個別に配置していた従来のデファレンシャル装置に比べて構成の簡素化、小型化及び軽量化が得られ、車載性の向上及び燃費の向上が期待できる。
更に、プラネタリギヤ機構の歯車諸元変更やブレーキ機構及びクラッチ機構の係合制御により種々の車輪への駆動力配分比が容易に得られ、駆動力配分制御の設計自由度が大きく、旋回走行性の向上及び走破性の向上が図れる。
請求項2は、駆動力配分制御の具体例であって、左右の両ブレーキ機構が解放状態においては、左右のクラッチ機構の係合状態に応じて左右の車輪に駆動力を配分することができる。
請求項3の発明によると、転舵走行時において旋回外方側のブレーキ機構を係合すると共にクラッチ機構を解放してプラネタリギヤ機構による変速トルクを旋回外方側のドライブ軸に配分し、旋回内方側のクラッチ機構をスリップ係合すると共にブレーキ機構を解放してスリップ係合トルクを旋回内方のドライブ軸に配分し、かつ旋回内方側のプラネタリギヤ機構の第1ピニオン及び第2ピニオンの遊星回転を可能にすることによって、旋回走行時の効率的な駆動力配分が得られる。
請求項4の発明によると、クラッチ機構及びブレーキ機構をドリブンギヤ軸に同軸芯上に配置された多板摩擦係合手段によって構成し、クラッチ機構のクラッチドラムにブレーキ機構のブレーキハブを一体形成することによって、クラッチドラムとブレーキハブの共用化が得られ、構成の簡素化が得られ、特にクラッチドラムの外周にブレーキハブを対向配置することによってデファレンシャルキャリヤケースの左右方向の短縮が得られ、小型化及び軽量化が得られて車載性が向上する。
以下、本発明による駆動力制御機構を備えた車両用デファレンシャル装置の実施の形態を図1乃至図10を参照して説明する。なお、車両用デファレンシャル装置はほぼ左右対称構成であり、説明の便宜上デファレンシャル装置において左側及び右側において対応する部分に同一符号を付すと共に左側の部分に「L」、右側の部分に「R」を付し、左側部分を主に説明して対応する右側部分の詳細な説明は省略する。
図1は本実施の形態による車両用デファレンシャル装置を備えた4輪駆動車の駆動系の概略構成を示す図、図2はデファレンシャル装置のスケルトン図、図3はデファレンシャル装置の構成を示す図、図4は図3のL部拡大図、図5は図3のR部拡大図である。
図1において、符号Eは車両前部に配置されたエンジンを示し、エンジンEの駆動力がトルクコンバータ1から自動変速機2に入力され、この変速出力がトランスファ装置3によって分配されて一方が前輪用のフロントドライブ軸4を介してフロントデファレンシャル装置5に伝達されて左右の車輪6L、6Rに動力伝達され、他方が後輪用のリヤドライブ軸7に伝達される。これらトルクコンバータ1、自動変速機2、トランスファ装置3、フロントデファレンシャル装置5が共に車体前部において単一のハウジングに収容されてトランスアクスル型パワーユニットを形成している。
リヤドライブ軸7から車体前後方向に沿って延在するプロペラ軸8を介して車体後部に配置されたデファレンシャル装置10に動力伝達され、デファレンシャル装置10からドライブ軸26L、26Rを介して左右の車輪9L、9Rに伝達される。
デファレンシャル装置10は、図3に示すようにデファレンシャルキャリヤ12及び左右のサイドハウジング18L、18Rからなる中空状のデファレンシャルキャリヤケース11を有している。
デファレンシャルキャリヤ12は、前後方向に延在する筒状の前部13と、前部13の後端に連続形成された中空状のセンタハウジング部14と、センタハウジング部14から車幅方向に延在する回転中心軸芯に沿って左右に延在する筒状のサイドハウジング部15L、15Rとが一体形成された中空の平面視略T字状に形成され、更にセンタハウジング部14とサイドハウジング部15L及びセンタハウジング部14とサイドハウジング部15Rを区画する仕切壁16L、16Rが形成されている。また、仕切壁16L及び16Rに回転中心軸芯に沿って延在する円筒状の固定軸17L、17Rが一体に延設されている。センタハウジング部14の後端に開口する開口部14aがカバー14Aによって塞がれている。
左右のサイドハウジング18L、18Rは、それぞれ内方端がデファレンシャルキャリヤ12のサイドハウジング部15L、15Rの側端部に接合し、外方端に軸貫通孔19aが開口するサイドカバー19L、19Rが結合されている。
デファレンシャルキャリヤ12の前部13内にベアリング等を介して前後方向に延在する入力軸であるドライブピニオン21が回転自在に支持され、ドライブギヤであるピニオン21aがセンタハウジング部14内に突出する一方、ドライブピニオン21の前端21bがプロペラ軸9の後端に動力伝達可能に連結されている。
センタハウジング部14内に、ドリブンギヤ支持軸23がドライブピニオン21と軸交して回転中心軸芯方向に延在し、その左右の端部23L、23Rがベアリングを介して仕切壁16L、16Rに回転自在に支持され、ドリブンギヤ支持軸23の外周部にピニオン21aと噛み合うドリブンギヤであるリングギヤ22が取り付けられている。
ドリブンギヤ支持軸23の端部23L、23Rに、各出力軸24L、24Rの内方端部が動力伝達可能にスプライン嵌合している。これらドリブンギヤ支持軸23と左右の出力軸24L、24Rによってドリブンギヤ軸25を形成している。各左右の出力軸24L、24Rの外方端部にそれぞれ左右のドライブ軸26L、26Rの内方端部が回転自在に嵌合してドリブンギヤ支持軸23、左右の出力軸24L、24R、左右のドライブ軸26L、26Rが回転中心軸芯に沿ってかつ同軸芯上に配置され、各ドライブ軸26L、26Rはサイドカバー19L、19Rの軸貫通孔19aを貫通すると共に、サイドカバー19L、19Rにベアリングを介して回転自在に支持されている。
図4に示すように、ドリブンギヤ支持軸23の左側の端部23Lに内端がスプライン嵌合する出力軸24Lの外方端部と、ドライブ軸26Lの内方端部との間はプラネタリギヤ機構31Lによって動力伝達可能に連結され、出力軸24Lとプラネタリギヤ機構31Lのキャリヤ36との間に左側のクラッチ機構41Lが配置され、デファレンシャルキャリヤ12のサイドハウジング部15Lとキャリヤ36との間に左側のブレーキ機構51Lが配置されている。
プラネタリギヤ機構31Lは、リングギヤのない複合プラネタリギヤによって構成され、出力軸24Lの外方端部の外周面に形成された第1サンギヤ32と、ドライブ軸26Lの内方端部の外周面に形成されて第1サンギヤ32より小径の第2サンギヤ33と、第1サンギヤ32より小径で第1サンギヤ32に噛み合う第1ピニオン34と、第1ピニオン34と一体形成されかつ第1ピニオン34より大径で第2サンギヤ33に噛み合う第2ピニオン35と、この一体形成された第1ピニオン34及び第2ピニオン35をニードルベアリング37aを介して回転自在に支持するピニオン軸37を有するキャリヤ36によって構成され、キャリヤ36が出力軸24L及びドライブ軸26Lにベアリングを介して回転自在に支持されている。
そしてかかるプラネタリギヤ機構31Lは、第1、第2サンギヤ33、34及びこれら第1、第2サンギヤ33、34の周囲に複数個配置される第1、第2ピニオン34、35の歯数を適切に設定することで差動機能を有する。
また、第1サンギヤ33と第1ピニオン34と歯車列の噛み合い点及び第2サンギヤ34と第2ピニオン35の歯車列の噛み合い点に作用する分離荷重と接線荷重の合成力が第1、第2ピニオン34、35とピニオン軸37との間のニードルベアリング37aに作用してピニオン軸37に軸支された第1、第2ピニオン34、35の回転に対して摩擦トルクが発生し、この摩擦トルクにより出力軸24Lとドライブ軸26Lとの間の差動が制限される。即ちプラネタリギヤ機構31Lは出力軸24Lとドライブ軸26Lと差動を可能にすると共に、この差動を制限して出力軸24Lからドライブ軸26Lにトルク伝達する差動制限機能を備えている。
クラッチ機構41Lは、油圧式多板摩擦係合手段によって構成され、固定軸17L内を貫通して出力軸24Lの外周面にニードルベアリングを介して回転自在に支持された円筒状の基部42にクラッチドラム43が設けられ、クラッチドラム43の端部はプラネタリギヤ機構31Lのキャリヤ36にスプライン嵌合して動力伝達可能に結合されている。一方、クラッチハブ44は、その基端が出力軸24Lに動力伝達可能にスプライン嵌合して配置されている。
更に、基部42の外周面とクラッチドラム43の内周面との間に摺動自在な環状のピストン45が嵌挿され、クラッチドラム43とピストン45との間に油圧室46Lが形成されている。油圧室46Lとピストン45を隔てた反対側において基部42にクリップによってリテーナ47が係止され、ピストン45とリテーナ47との間に配置されたリターンスプリング48によってピストン45に押圧力が付勢されている。
クラッチドラム43の内周面に形成されたスプライン溝43aに外周が嵌合する複数のクラッチディスク49aと、クラッチハブ44の外周面に形成されたスプライン溝44aに内周が嵌合する複数のクラッチディスク49bが交互に配置され、クラッチドラム43に固定されたスナップリング49cに当接してリテニングプレート49dが配置されている。
油圧室46Lに供給される制御油圧でピストン45を介して各クラッチディスク49a、49bをクラッチドラム43に固定したスナップリング49cに当接するリテニングプレート49dに押圧して、互いに摩擦係合する各クラッチディスク49aと49bによってクラッチドラム43とクラッチハブ44との間でトルク伝達するように構成されている。これによりクラッチハブ44がスプライン嵌合する出力軸24Lとクラッチドラム43に結合されたプラネタリギヤ機構31Lのキャリヤ36との間で動力伝達する。また、油圧室46Lに供給される制御油圧に応じて各クラッチディスク49aと49bの摩擦係合力、即ち伝達トルクが制御される。具体的には、各クラッチディスク49aと49bが完全係合する完全係合状態、各クラッチディスク49aと49bとの係合が完全に解放された解放状態、及び各クラッチディスク49aと49bがスリップ状態で摩擦係合するスリップ係合状態に制御される。
ブレーキ機構部51Lは、油圧式多板摩擦係合手段によって構成され、デファレンシャルキャリヤ12のサイドハウジング部15Lの内周面に回転中心軸線と平行に延在して形成された複数のスプライン溝53aによってサイドハウジング部15Lにブレーキドラム53が形成され、クラッチドラム43の外周面に複数のスプライン54aを形成してクラッチドラム43と一体のブレーキハブ54が形成されている。
サイドハウジング部15Lの内周面と固定軸17Lの外周面との間に摺動自在な環状のピストン55が嵌挿されて、仕切壁16Lとピストン55との間に油圧室56Lが形成されている。
油圧室56Lとピストン55を隔てた反対側に固定軸17Lにクリップによってリテーナ57が係止され、ピストン55とリテーナ57との間に配置されたリターンスプリング58によってピストン55に押圧力が付勢されている。
ブレーキドラム53の内周に形成されたスプライン溝53aに外周が嵌合する複数のブレーキディスク59aと、ブレーキハブ54の外周面に形成されたスプライン溝54aに内周が嵌合する複数のブレーキディスク59bが交互に配置され、ブレーキドラム53に固定されたスナップリング59cに当接してリテニングプレート59dが配置されている。
油圧室56Lに供給される制御油圧でピストン55を介して各ブレーキディスク59a、59bをブレーキドラム53に固定したスナップリング59cに当接するリテニングプレート59dに押圧して、互いに摩擦係合する各ブレーキディスク59aと59bによってブレーキドラム53に対するブレーキハブ54の回転が抑制されるように構成される。これによりブレーキドラム53が形成されるサイドハウジング部15Lに対する、ブレーキハブ54が一体形成されたクラッチドラム43に結合されたキャリヤ36の回転が制御される。即ち、油圧室56Lに供給される制御油圧に応じて各ブレーキディスク59aと59bの摩擦係合力が制御されて、各ブレーキディスク49aと49bが完全係合する完全係合状態、各ブレーキディスク59aと59bとの係合が完全に解放された解放状態、及び各ブレーキディスク59aと59bがスリップ状態で摩擦係合するスリップ係合状態に制御される。
このように構成されたクラッチ機構41L及びブレーキ機構51Lを備えることにより、ブレーキ機構51Lを解放し、クラッチ機構41を完全係合状態にすることで、出力軸24Lとプラネタリギヤ機構31Lのキャリヤ36が結合されて同方向に等速回転して第1ピニオン34、第2ピニオン35は遊星回転しなくなり、互いに噛み合う第1サンギヤ32と第1ピニオン34及び第2ピニオン35と第2サンギヤ33との相対回転が阻止されて出力軸24Lとドライブ軸26Lが一体的に回転する。
また、ブレーキ機構51Lを完全係合してプラネタリギヤ機構31Lのキャリヤ36をデファレンシャルキャリヤ12のサイドハウジング部15Lに固定し、クラッチ機構41Lを解放することで一体形成された第1ピニオン34と第2ピニオン35の遊星回転が可能になる。これにより出力軸24Lの回転速度に対しドライブ軸26Lは、出力軸24Lに形成された第1サンギヤ32と噛み合う第1ピニオン34による歯車列の歯数諸元及び、第1ピニオン34と一体形成された第2ピニオン35と噛み合う第2サンギヤ33による歯車列の歯数諸元に従って増速されてプラネタリギヤ機構31Lは増速機構として機能する。即ち、出力軸24Lからプラネタリギヤ機構31Lによる変速トルクがドライブ軸26Lに伝達される。
一方、図5に示すようにドリブンギヤ軸23の右側の端部23Rにスプライン嵌合する出力軸24Rの外方端部とドライブ軸26Rの内方端部との間はプラネタリギヤ機構31Rによって動力伝達可能に連結され、出力軸24Rとプラネタリギヤ機構31Rのキャリヤ36との間にクラッチ機構41Rが配置され、デファレンシャルキャリヤ12のサイドハウジング部15Rとキャリヤ36との間にブレーキ機構51Rが配置されている。
これらプラネタリギヤ機構31R、クラッチ機構41R、ブレーキ機構51Rは、それぞれ上記プラネタリギヤ機構31L、クラッチ機構41L、グレーキ機構51Lと同様の構成であり、同一符号を付することで該部の詳細な説明は省略する。
クラッチ機構41L、41Rの各油圧室46L、46R、ブレーキ機構51L、51Rの各油圧室56L、56Rへ制御油圧を供給する油圧系統について、図6を参照して説明する。油圧発生装置となるモータ61によって駆動されるオイルポンプ62の吐出圧がレギレータ弁63で調圧され、所定の制御油圧が生じるようになっており、油路64はクラッチ制御弁65L、油圧管路66Lを介してクラッチ機構41Lの油圧室46L側に連通し、クラッチ制御弁65R、油圧管路66Rを介してクラッチ機構41Rの油圧室46R側に連通している。同様に、ブレーキ制御弁67L、油圧管路68Lを介してブレーキ機構51Lの油圧室56L側に連通し、ブレーキ制御弁67R、油圧管路67Rを介してブレーキ機構51Rの油圧室56R側に連通している。そして、制御部71からの信号に基づいてクラッチ制御弁65L、65Rを動作することでクラッチ機構41L、41R、の各油圧室46L、46Rに供給する油圧を制御し、ブレーキ制御弁67L、67Rを動作することでブレーキ機構51L、51Rの各油圧室56L、56Rに供給する油圧を制御する。
また、制御手段71は、図7に示すように、路面・走行状態判断部72、油圧演算部73、油圧設定部74によって主に構成されており、路面・走行状態に応じて左右の車輪9L、9R間の最適な駆動力配分量を演算し、クラッチ制御弁65L、65R、ブレーキ制御弁67L、67Rに制御信号を出力する。
上記路面・走行状態判断部72は、エンジンEのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ76、車速センサ77、舵角センサ78、横加速度センサ79等からの信号が入力され、これらの信号に基づき路面状況(低μ路走行状態か否か等)と走行状態(高速か低速か、急旋回か否か、高負荷か低負荷か、加速状態か、スリップ状態の有無等)を、予めメモリしておいたマップ、計算式等により求め上記油圧演算部73に出力するように形成されている。
また、油圧演算部73では路面・走行状態判断部72からの信号を基に、予めメモリしておいたマップ、計算式等により動作させるクラッチ機構41L、41R、ブレーキ機構51L、51Rの選択と、それらに付加する油圧値を演算して、この選択・演算の結果を油圧設定部74に出力するようになっている。そして、油圧設定部74からの信号によりクラッチ制御弁65L、65R、ブレーキ制御弁67L、67Rを制御する。
次に、上記構成の作用を説明する。先ず、エンジンEによる駆動力は、トルクコンバータ1から自動変速機2に入力され、この変速出力がトランスファ装置3によって分配されて一方が前輪用のフロントドライブ軸4を介してフロントデファレンシャル装置5に伝達されて左右の車輪6L、6Rに動力伝達され、他方が後輪用のリヤドライブ軸7からプロペラ軸8を経てデファレンシャル装置10に動力伝達され、デファレンシャル装置10からドライブ軸26L、26Rを介して左右の車輪9L、9Rに動力伝達されて4輪駆動で走行する。
そして、例えば、前輪側回転数と後輪側回転数が等しい通常の直進走行時においては、トランスファ装置3の歯車諸元に基づく駆動力配分比、例えば等トルク配分機能に歯車諸元が設定されていれば、この等トルク配分による基準トルク配分でフロントドライブ軸4に前輪側トルク及びリヤドライブ軸7に後輪側トルクの駆動力が配分される。不等トルク配分に歯車諸元が設定されていれば、この不等トルク配分機能の歯車諸元による基準トルクがフロントドライブ軸4及びリヤドライブ軸7に配分され、フロントドライブ軸4からフロントデファレンシャル装置5を介して車輪6L、6Rに動力伝達される。
一方、リヤドライブ軸7からプロペラ軸8を介してデファレンシャル装置10に配置されてドライブピニオン21に動力伝達され、ピニオン21aに噛み合うリングギヤ22によって減速されてドリブンギヤ支持軸23にスプライン嵌合する左右の出力軸24L、24Rが回転駆動される。
この通常の直進走行時には、デファレンシャル装置10は直結モードに制御される。図8は、直結モードにおける駆動力伝達系路を矢印DL及び矢印DRで示す作動説明図である。直結モードにおいて、デファレンシャル装置10に配設された左右のブレーキ機構51L、51Rが共に解放する一方、左右のクラッチ機構41L、41Rの各油圧室46L、46Rに予め設定された制御油圧を供給する。この制御油圧の供給に伴うクラッチ機構41L、41Rの係合状態に応じてドライブピニオン21からリングギヤ22を介してドリブンギヤ軸25に入力された駆動力は、左側の出力軸24Lからドライブ軸26Lへ伝達される駆動トルクと右側の出力軸24Rからドライブ軸26Rに伝達される駆動トルクとに配分される。
ここで、左側のクラッチ機構41Lが完全係合状態にあっては、この左側のクラッチ機構41Lの完全係合により出力軸24Lとプラネタリギヤ機構31Lのキャリヤ36が動力伝達可能に完全結合されて第1ピニオン34、第2ピニオン35は遊星回転しなくなり、互いに噛み合う第1サンギヤ32と第1ピニオン34及び第2ピニオン35と第2サンギヤ33との相対回転が阻止されて出力軸24Lとドライブ軸26Lが一体的に回転して車輪9Lに駆動力を伝達する。また、同様に、出力軸24Rとプラネタリギヤ機構31Rのキャリヤ36が結合されて第1ピニオン34、第2ピニオン35は遊星回転しなくなり、互いに噛み合う第1サンギヤ32と第1ピニオン34及び第2ピニオン35と第2サンギヤ33との相対回転が阻止されて出力軸24Rとドライブ軸26Rが一体的に回転して車輪9Lに駆動力を伝達する。
即ち、通常の直進走行状態では、図8に示すように、プロペラ軸8を介してデファレンシャル装置10のドライブピニオン21に駆動力が入力されると、その入力された駆動力はピニオン21aに噛み合うリングギヤ22によって減速されてドリブンギヤ軸23によって左右の出力軸24L、24Rが回転駆動されてクラッチ機構41Lの完全係合により矢印DLで示すように出力軸24Lと共に回転するドライブ軸26Lに伝達されると共に、クラッチ機構41Rの完全係合により矢印DRで示すように出力軸24Rと一体に回転するドライブ軸26Rに伝達され、左右のドライブ軸26Lと26Rは一体的に回転駆動される。これにより、ピニオン軸21からの入力された駆動力は、左右のドライブ軸26Lと26Rに等トルク配分されて良好な直進走行性が確保できる。
ワインディング走行時にはデファレンシャル装置10が左右輪駆動力制御モードに制御される。例えば左旋回時においては、デファレンシャル装置10は、左旋回駆動力制御モードに制御される。図9は、左旋回駆動力制御モードにおける駆動力伝達系路を矢印DRで示す作動説明図である。
左旋回駆動力制御モードにおいては、旋回内方側である左側のブレーキ機構51Lを解放すると共に左側のクラッチ機構41Lを解放状態にする一方、制御油圧を油圧室56Rに供給して旋回外方側である右側のブレーキ機構51Rを完全係合して右側のプラネタリギヤ機構31Rのキャリヤ36をデファレンシャルキャリヤ12に固定し、クラッチ機構41Rを解放する。
これにより、プロペラ軸8からドライブピニオン21に入力された駆動力は、ピニオン21aに噛み合うリングギヤ22によって減速されてドリブンギヤ支持軸23から左右の出力軸24L、24Rが回転駆動される。そして、右側の出力軸24Rに形成された第1サンギヤ32から、ピニオン軸37に支持されて第1サンギヤ32に噛み合う第1ピニオン34に動力伝達され、第1ピニオン34と一体形成された第2ピニオン35に噛み合う第2サンギヤ35に動力伝達される。これにより右側の出力軸24Rの回転速度に対しドライブ軸26Rが第1サンギヤ32と第1ピニオン34の歯数諸元及び第2ピニオン35と第2サンギヤ33の歯数諸元に従って増速回転すると共にプラネタリギヤ機構31Rによる変速トルクが伝達される。
一方、右側のドライブ軸26Rに動力伝達された駆動トルク分を減じたドライブピニオン21から入力された駆動トルクがドリブンギヤ支持軸23から左側の出力軸24Lに配分されてプラネタリギヤ31Lを介して左側のドライブ軸26Lに動力伝達する。これにより、旋回内方側となる左側のドライブ軸26Lに対して旋回外側となる右側のドライブ軸26Rが増速回転駆動され、左側の車輪9Lに対し旋回半径が大きい右側の車輪9Rが増速回転駆動されて右側車輪9Lの駆動トルクの損失がなくなり、かつ積極的に駆動トルクが車輪9R側に配分されて左旋回走行が容易に行え、旋回性能が向上する。
この旋回走行にあたり、出力軸24Lとドライブ軸26Lとの間に配置された左側のプラネタリギヤ機構31Lは、出力軸24Lに形成された第1サンギヤ32と第1ピニオン34の歯車列と及び第2ピニオン35とドライブ軸26Lに形成された第2サンギヤ33の歯車列によって出力軸24Lとドライブ軸26Lとの間の差動回転が許容されて車輪9Lと車輪9Rの回転差によるブレーキング現象が回避できる。即ち左側のプラネタリギヤ機構31Lが差動機構として作用する。
また、予め設定された舵角等に応じた制御油圧を油圧室46Lに供給して左側のクラッチ機構41Lをスリップ係合状態に制御すると、プラネタリギヤ機構31Lを介して左側のドライブ軸26Lへの伝達トルクが制御され、ドライブ軸26L側の駆動トルクの一部をドライブ軸26R側に流れて左右のドライブ軸26L、26Rへのトルク配分比が制御されて更に旋回走行性能が向上できる。また、このクラッチ機構41L、41Rをスリップ係合状態に制御することによって前側の車輪6L、6R及び後側の車輪9L、9Rとの回転半径の差異によるタイトコーナブレーキング現象の発生が回避されて旋回走行性能が確保できる。
更に、左旋回走行状態に応じて左側のブレーキ機構51Lを解放からスリップ状態で緻密に制御して左側のドライブ軸26Lの回転速度を制御すると共に、ブレーキ機構51Lのスリップ状態に応じて右側のドライブ軸26Lの駆動トルクの一部を右側のドライブ軸26L側に流してトルク配分比を緻密に制御することによって、更に旋回性能を向上させることができる。
低速旋回走行時には、デファレンシャル装置10が差動モードに制御される。例えば低速左旋回時においては、デファレンシャル装置10は左旋回差動制御モードに制御される。図10は、左旋回差動制御モードにおける駆動力伝達系路を矢印DRで示す作動説明図である。
左旋回差動制御モードにおいては、左右のブレーキ機構51L及び51Rを共に解放し、転舵角等に応じて予め設定された制御油圧を油圧室46Rに供給して右側のクラッチ機構41Rを完全係合して左側のクラッチ機構41Lを解放する。
これにより、プロペラ軸8からドライブピニオン21に入力された駆動力は、ピニオン21aに噛み合うリングギヤ22によって減速されてドリブンギヤ軸23から左右の出力軸24L、24Rが回転駆動される。そして、右側のクラッチ機構41Rの完全係合によって出力軸24Rとプラネタリギヤ機構31Rのキャリヤ36が結合されて第1ピニオン34、第2ピニオン35は遊星回転しなくなり、互いに噛み合う第1サンギヤ32と第1ピニオン34及び第2ピニオン35と第2サンギヤ33との相対回転が阻止されて出力軸24Rとドライブ軸26Rが一体的に回転し、右側の車輪9Lに駆動トルクが伝達される。
一方、右側のドライブ軸26Rに動力伝達された駆動トルク分を減じたドライブピニオン21から入力された駆動トルクがドリブンギヤ軸22から左側の出力軸24Lに配分されてプラネタリギヤ機構31Lを介して左側のドライブ軸26Lに動力伝達する。
このとき、出力軸24Lとドライブ軸26Lとの間に配置された左側のプラネタリギヤ機構31Lは、出力軸24Lに形成された第1サンギヤ32と第1ピニオン34の歯車列及び第2ピニオン35とドライブ軸26Lに形成された第2サンギヤ33の歯車列によって出力軸24Lとドライブ軸26Lとの間の差動回転が許容されて旋回内方側の車輪9Lと旋回外方側の車輪9Rの回転差によるブレーキング現象が回避できる。即ち、プラネタリギヤ機構31Lが差動機能を果たす。
低μ路走行においては、予め設定された制御油圧を油圧室46Lに供給して、左側のクラッチ機構41Lをスリップ状態に制御することによって出力軸24Lとプラネタリギヤ機構31Lのキャリヤ36の差動を制限してプラネタリギヤ機構31Lによる出力軸24Lとドライブ軸26Lとの差動を制限してドライブ軸26L側への伝達トルクを増大させ、ドライブ軸26L側の駆動トルクの増大により車両のスリップを防止して駆動力の確保や尻振り等の挙動を防止し、走破性を向上させることができる。また、アクセル操作に対する車両の姿勢コントロールが良好になる。即ちクラッチ機構41Lが左右のドライブ軸26Lと26Rの差動を抑制して走破性を確保するLSD機能を有する。
従って、本実施の形態によるデファレンシャル装置10によると、ドライブピニオン21のピニオン21aと噛み合って減速を行うリングギヤ22が設けられたドリブンギヤ軸25と左右のドライブ軸26L、26Rとの間にプラネタリギヤ機構31L、31Rを配置し、プラネタリギヤ機構31L、31Rの各キャリヤ36とデファレンシャルキャリヤケース11との間に配置されたブレーキ機構51L、51Rと、各キャリヤ36とドリブンギヤ軸25との間に配置されたクラッチ機構41L、51Rとを制御装置71により走行状態に応じて係合制御することによって左右の車輪9L、9Rの差動機能及び差動制限機能が得られ、差動機構部と駆動力配分機構部を個別に配置していた従来のデファレンシャル装置に比べて構成が極めて簡素化される。この構成の簡素化に伴いデファレンシャル装置10の小型化及び軽量化が可能になり、デファレンシャル装置10の車載性が向上すると共に、軽量化に伴い燃費の向上が期待できる。
また、旋回走行等においてクラッチ機構41L、41Rをスリップ係合状態に制御することによって前側の車輪6L、6R及び後側の車輪9L、9Rとの差動回転が可能になり、センタデファレンシャルとしての差動機能を兼備することから、センタデファレンシャル装置を備えることなく回転半径の差異によるタイトコーナブレーキング現象の発生が回避されて旋回走行性能が確保できる。これによりセンタデファレンシャル装置の省略が可能になり駆動系の簡素化が得られると共に、車両の軽量化及び燃費の向上が期待できる。
更に、プラネタリギヤ機構31L、31Rの歯車諸元の変更やブレーキ機構51L、51R及びクラッチ機構41L、41Rの係合制御により左右の車輪9L、9Rへの種々の駆動力配分比が容易に得られ、デファレンシャル装置10による駆動力配分制御の設計自由度が大きく、優れた旋回走行性の向上及びLSD機能等による走破性の向上が図れる。
更に、クラッチ機構41L、41Rのそれぞれのクラッチドラム43と、ブレーキ機構51L、51Rの各ブレーキハブ54を一体形成することによって、クラッチドラム43とブレーキハブ54の共用化が得られて構成の簡素化が得られる。特にクラッチドラム43の外周にブレーキハブ54を対向配置することによってクラッチ機構41L、41Rの外周にブレーキ機構51L、51Rが同軸芯上に配設されてクラッチ機構41L、41R、ブレーキ機構51L、51Rを収容するデファレンシャルキャリヤケース11の左右方向の短縮が得られ、小型化及び軽量化が確保される。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態ではクラッチ機構41L、41Rを油圧式多板クラッチにより構成したが、油圧式多板クラッチに代えて電磁クラッチ等を使用することができる。
本発明の実施の形態による車両用デファレンシャル装置が適用される4輪駆動車の駆動系の概略構成を示す図である。 本実施の形態におけるデファレンシャル装置のスケルトン図である。 本実施の形態におけるデファレンシャル装置の構成を示す図である。 図3のL部拡大図である。 図3のR部拡大図である。 油圧系統を示す図である。 制御部の説明図である デファレンシャル装置の作動説明図である。 デファレンシャル装置の作動説明図である デファレンシャル装置の作動説明図である。 従来の駆動力制御機構を備えた車両用デファレンシャル装置のスケルトン図である。 従来の駆動力制御機構を備えた車両用デファレンシャル装置のスケルトン図である。
符号の説明
E エンジン
2 変速機
3 トランスファ装置
5 フロントデファレンシャル装置
6L、6R 車輪
9L、9R 車輪
10 デファレンシャル装置
11 デファレンシャルキャリヤケース
12 デファレンシャルキャリヤ
21 ドライブピニオン(入力軸)
21a ピニオン(ドライブギヤ)
22 リングギヤ(ドリブンギヤ)
23 ドリブンギヤ支持軸
23L、23R 端部
24L、24R 出力軸
25 ドリブンギヤ軸
26L、26R ドライブ軸
31L、31R プラネタリギヤ機構
32 第1サンギヤ
33 第2サンギヤ
34 第1ピニオン
35 第2ピニオン
36 キャリヤ
41L、41R クラッチ機構
43 クラッチドラム
44 クラッチハブ
51L、51R ブレーキ機構
53 ブレーキドラム
54 ブレーキハブ
71 制御手段

Claims (4)

  1. 左右の車輪への駆動力配分比を制御する駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置において、
    上記車両用デファレンシャル装置は、
    デファレンシャルキャリヤケースに回転自在に支持された入力軸に一体に設けられたドライブギヤと、
    上記入力軸と軸交して上記デファレンシャルキャリヤケースに回転自在に支持され、かつ上記ドライブギヤと噛み合って減速を行うドリブンギヤが設けられたドリブンギヤ軸と、
    該ドリブンギヤ軸の両端側に、該ドリブンギヤ軸と同軸芯上に配置されて上記デファレンシャルキャリヤケースに回転自在に支持され外端部がそれぞれ左右の車輪に動力伝達可能に連結された左右のドライブ軸と、
    上記ドリブンギヤ軸の各端部にそれぞれ設けられた第1サンギヤと、上記各ドライブ軸の内方端部に設けられて上記第1サンギヤより小径の第2サンギヤと、上記第1サンギヤより小径で該第1サンギヤに噛み合う第1ピニオン及び該第1ピニオンと一体形成されかつ第1ピニオンより大径で上記第2サンギヤに噛み合う第2ピニオンと、第1ピニオン及び第2ピニオンを回転自在に支持するキャリヤを備えた左右のプラネタリギヤ機構と、
    該各プラネタリギヤ機構のキャリヤと上記デファレンシャルキャリヤケースとの間に配置された左右のブレーキ機構と、
    上記各プラネタリギヤ機構のキャリヤとドリブンギヤ軸との間に配置された左右のクラッチ機構と、
    上記各ブレーキ機構及びクラッチ機構を車両の走行状態に応じて係合制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置。
  2. 上記左右の車輪への駆動力配分は、上記左右の両ブレーキ機構が解放状態では左右のクラッチ機構の係合状態に応じて配分されることを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置。
  3. 転舵走行時における上記左右の車輪への駆動力配分は、
    旋回外方側のブレーキ機構を係合すると共に旋回外方側のクラッチ機構を解放して旋回外側のプラネタリギヤ機構による変速トルクを旋回外方側の車輪に配分し、旋回内方側のクラッチ機構をスリップ係合すると共に旋回内方側のブレーキ機構を解放してクラッチ機構のスリップ係合トルクを旋回内方側の車輪に配分し、かつ旋回内方側のプラネタリギヤ機構の第1ピニオン及び第2ピニオンの遊星回転を可能にして左右の車輪に不等にトルク配分することを特徴とする請求項1に記載の駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置。
  4. 上記クラッチ機構及びブレーキ機構は、
    それぞれドリブンギヤ軸に同軸芯上に配置された多板摩擦係合手段によって構成され、
    上記クラッチ機構は、
    クラッチドラムが上記プラネタリギヤ機構のキャリヤに動力伝達可能に結合され、クラッチハブが上記ドリブンギヤに動力伝達可能に結合され、
    上記ブレーキ機構は、
    ブレーキドラムがデファレンシャルキャリヤケースに設けられ、ブレーキハブが上記クラッチドラムに一体形成されたことを特徴とする請求項1〜3項のいずれか1項に記載の駆動力制御機能を備えた車両用デファレンシャル装置。
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