JP2006281577A - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents
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【解決手段】 基材上に、絵柄層及び/又は着色層と表面保護層を有する化粧シートであって、表面保護層が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、該基材が2層以上の紙層と該紙層に挟持されるポリオレフィンフィルム層からなり、該基材のヤング率が800〜1400MPaであることを特徴とする化粧シートである。
【選択図】 図1
Description
一方、紙質系基材を用いた化粧シートは、紙が持つ風合いや質感を得るために必要であり、紙質系基材をベースにした、強度の高い、真空プレス積層成形方法においても破れが生じない化粧シートが望まれていた。
(1)基材上に、絵柄層及び/又は着色層と表面保護層を有する化粧シートであって、表面保護層が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、該基材が複数の紙質系基材からなる紙層と該紙層に挟持されるポリオレフィンフィルムからなり、該基材のヤング率が800〜1400MPaであることを特徴とする化粧シート、
(2)前記ポリオレフィンフィルムが電子線の照射により架橋硬化する上記(1)に記載の化粧シート、
(3)ポリオレフィンフィルムが高密度ポリエチレンである上記(2)に記載の化粧シート、
(4)紙層を構成する複数の紙質系基材の坪量が、それぞれ18〜40g/m2である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧シート、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板、及び
(6)貼付を真空プレス積層成形方法により行う上記(5)に記載の化粧板、
を提供するものである。
本発明における基材は、少なくとも2層の紙質系基材からなる紙層でポリオレフィンフィルムを挟んで一体化したものである。紙層を構成する紙質系基材は特に限定されないが、紙間強化紙又は含浸紙が強度を確保する点から好ましい。また、それぞれの紙質系基材の坪量は、18〜40g/m2であることが好ましい。18g/m2以上であると、本発明の化粧シートを木質系基板等の基板に貼付する際に、木質系基板等の充分な遮蔽性を得ることができ、一方、40g/m2以下であると、成形曲げ時の追従性が良好である。
なお、少なくとも2層の紙質系基材は、それぞれ互いに同一種であっても異種であってもよいが、製造上は同一種であることが好ましい。
本発明で使用されるポリオレフィンフィルムの具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのエチレン単独重合体樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂(EEA)、エチレンと炭素数3〜5のアルキルアクリレートとの共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体樹脂(EMMA)、エチレン−プロピレン共重合体樹脂などのポリエチレン系共重合体樹脂;ホモ又は共重合ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレンなどのプロピレン系共重合体樹脂、また、これらの樹脂の混合物等が挙げられる。これらうち、高密度ポリエチレンが電子線照射により充分な架橋強度が得られる点から最も好ましい。なお、ここで高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm3以上のポリエチレンをいう。
これらのうち、エクストルージョンラミネート法が、工程が少なくてすみ効率的である。
図1に示される基材2については、紙質系基材21及び23と、該紙質系基材に挟持されるポリオレフィンフィルム22からなる。
着色層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
この着色層3は厚さ1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン系の添加剤としては、特に限定されるものではないが、単官能又は二官能以上のシリコーン(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
また、照射線量に関しては、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy、好ましくは10〜100kGy、さらには30〜50kGyの範囲で選定される。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基板の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基板として使用できる。
(評価方法)
ヤング率Eは、試料片に荷重をかけた際の伸びから、以下の式により求めた。
E=(W×L)/(A×Δt)
ここで、Wは荷重(kg)、Lは試験前の標線間距離(cm)、Aは試験片の断面積、及びΔtは荷重Wにおける標線間距離(cm)である。また、使用した試料の形状は、試料長さ3.5cm、試料幅0.65cmとした。
(1)基材の製造
坪量23g/m2の紙間強化紙21と坪量30g/m2の紙間強化紙23との間に、高密度ポリエチレン22(密度;0.95g/cm3)を、ポリエチレンフィルムの厚さが40μmとなるように挟持させ、エクストルージョンラミネート法により、3層構造の基材を得た。基材全体の厚さは100μmであった。また、上記方法によりヤング率を測定したところ、845MPaであった。
(2)化粧シートの製造
上記方法で製造した基材2の片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量20g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色層3とした。次いで、数平均分子量20,000、ガラス転移温度(Tg)−59.8℃のポリエステルウレタン系樹脂とトリレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートをバインダーとする塗料組成物を用いて、塗工量3g/m2で全面にグラビア印刷してプライマー層5を形成した。
このプライマー層5の上に3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、平均粒子径5μmのシリカ粒子2質量部及びシリコーンアクリレートプレポリマー1質量部からなる電子線硬化性樹脂組成物を塗工量5g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層5とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。
該化粧シートを用い、基板であるMDF(合板)に、真空プレス積層成形法によって、化粧シートを密着積層した。真空プレス成形は、事前にルータ加工によって3D加飾加工を施したMDFに、酢酸ビニル系接着剤を塗布し、十分に水分を蒸発させた後、真空プレス機にて、以下の条件で成形加工を行った。
温度;ヒーター上部100℃(メンブレン部)、ヒーター下部55℃
真空引き時間;70秒
本発明の化粧シートに破れが生じることなく、基板と化粧シートとの間に空気がかみこまない化粧板を製造することができた。
2枚の坪量23g/m2の紙間強化紙21及び23との間に、高密度ポリエチレン22(密度;0.95g/cm3)を、ポリエチレンフィルムの厚さが25μmとなるように挟持させ、エクストルージョンラミネート法により、3層構造の基材を得たこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。基材全体の厚さは74μmであった。また、上記方法によりヤング率を測定したところ、1179MPaであった。
実施例1と同様に成形加工を行ったところ、化粧シートに破れが生じることなく、基板と化粧シートとの間に空気がかみこまない化粧板を製造することができた。
ポリエチレンフィルムの厚さを15μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして化粧シートを得た。基材全体の厚さは66μmであった。また、上記方法によりヤング率を測定したところ、1338MPaであった。
実施例1と同様に成形加工を行ったところ、基材の細かな凹凸を反映して平滑性が多少劣るものの、化粧シートに破れが生じることなく、基板と化粧シートとの間に空気がかみこまない化粧板を製造することができた。
基材として、坪量30g/m2、ヤング率7000MPaの紙間強化紙を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧板を製造し、同様に評価した。化粧シートの一部に破れが生じ、化粧板を製造することができなかった。
2.基材
21.紙質系基材
22.ポリオレフィン
23.紙質系基材
3.着色層
4.絵柄層
5.プライマー層
6.表面保護層
Claims (6)
- 基材上に、絵柄層及び/又は着色層と表面保護層を有する化粧シートであって、表面保護層が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、該基材が複数の紙質系基材からなる紙層と該紙層に挟持されるポリオレフィンフィルムからなり、該基材のヤング率が800〜1400MPaであることを特徴とする化粧シート。
- 前記ポリオレフィンフィルムが電子線の照射により架橋硬化する請求項1に記載の化粧シート。
- 前記ポリオレフィンフィルムが高密度ポリエチレンである請求項2に記載の化粧シート。
- 紙層を構成する複数の紙質系基材の坪量が、それぞれ18〜40g/m2である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板。
- 貼付を真空プレス積層成形方法により行う請求項5に記載の化粧板。
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