JP2006275253A - ピストンリング - Google Patents

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Abstract

【課題】 コンプレッションリングとして好ましく用いられる耐摩耗性及び疲労強度に優れたピストンリングを提供する。
【解決手段】 外周面aの一部をなす外周摺動面e、内周面d、及び厚さ方向の上下面b,cに窒化層12,13が形成されているスチール製母材11と、そのスチール製母材11の外周面aを覆う硬質クロムめっき皮膜14とを有するピストンリングであって、外周面aには外周摺動面eから上下面b,cに連なる曲面又は面取り面15cが形成されていると共に、外周摺動面eに形成されている窒化層12と上下面b,cに形成されている窒化層13とが曲面又は面取り面15cを隔てて分離されており、外周摺動面eに形成されている窒化層12のビッカース硬さが400〜900HV0.05の範囲内にあるように構成することにより、上記課題を解決した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ピストンリングに関し、更に詳しくは、摩耗性及び疲労強度に優れたピストンリングに関する。
内燃機関に対しては、高出力化と低燃費化等が常に求められており、その部品にかかる負荷は増大し続けている。ピストンリングも例外ではなく、内燃機関の高出力化と低燃費化等に伴う負荷の増大に耐え得るように、その耐摩耗性や耐久性等の向上が求められている。
例えば、ピストンリングとして用いられる圧力ピストンリング(以下、単に「ピストンリング」という。)では、その母材に窒化処理を施して表面に窒化層を形成することにより耐摩耗性や耐久性に優れたピストンリングを得ることができるが、さらなる耐摩耗性や耐久性等は、母材に上記の窒化層を形成するだけでは満たし得ない程に高まってきている。
このため、表面を窒化処理した母材の所望箇所に硬質クロムめっき皮膜を形成してピストンリングの耐摩耗性や耐久性等を更に向上させる試みがなされてきている。例えば特許文献1には、母材の外周面を除く全表面に窒化処理を施した後、さらにその外周面に硬質クロムめっき皮膜等を施すことによって、スカッフィング性に優れたピストンリングを得る方法が記載されている。また、特許文献2には、母材に窒化層を形成したものではないが、母材の外周摺動面に積層構造の硬質クロムめっき皮膜を設けて、耐摩耗性、耐焼き付き性及び疲労強度を向上させたピストンリングが記載されている。
特公平6−1064号公報 特開2002−106716号公報
特許文献1に記載の方法で得られるピストンリング及び特許文献2に記載のピストンリングのいずれにおいても、母材の外周面上に直接硬質クロムめっき皮膜が形成されているので、これらのピストンリングの外周摺動面の耐摩耗性については未だ改良の余地がある。例えば、母材の外周面に窒化層を形成し、この窒化層上に硬質クロムめっき皮膜を形成することにより、外周摺動面の耐摩耗性をさらに向上させることが可能である。
窒化層を形成したピストンリングでは、窒化層の脆さによりコーナー部に欠けが生じることがあるため、欠け防止のために外周面のうちで厚さ方向の上下面に連なるコーナー部を曲面又は面取り面とすることがしばしばある。しかしながら、このような曲面又は面取り面を有するピストンリングでは、窒化層上に硬質クロムめっき皮膜を形成しても疲労強度の向上が図り難く、その曲面又は面取り面から生じる折損を抑制し難いという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コンプレッションリングとして好ましく用いられる耐摩耗性及び疲労強度に優れたピストンリングを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明のピストンリングは、外周面の一部をなす外周摺動面、内周面、及び厚さ方向の上下面に窒化層が形成されているスチール製母材と、該スチール製母材の前記外周面を覆う硬質クロムめっき皮膜とを有するピストンリングであって、前記外周面には前記外周摺動面から前記上下面に連なる曲面又は面取り面が形成されていると共に、前記外周摺動面に形成されている窒化層と前記上下面に形成されている窒化層とが前記曲面又は面取り面を隔てて分離されており、前記外周摺動面に形成されている窒化層のビッカース硬さが400〜900HV0.05の範囲内にあることを特徴とする。
この発明によれば、スチール製母材の外周面にはビッカース硬さが400〜900HV0.05の範囲内にある窒化層が形成され、この窒化層上に硬質クロムめっき皮膜が形成されているので、外周摺動面の耐摩耗性を向上させることができる。また、スチール製母材の外周面に形成されている窒化層と、厚さ方向の上下面に形成されている窒化層とが曲面又は面取り面を隔てて分離しているので、その曲面又は面取り面では、スチール製母材に脆い窒化層が形成されておらず、硬質クロムめっき皮膜が直接形成されている。その結果、その曲面又は面取り面においては、比較的高い靱性を容易に確保することができるので、曲面又は面取り面で生じ易い折損を抑制することができ、耐摩耗性及び疲労強度に優れたピストンリングが提供される。
上記本発明のピストンリングにおいては、前記スチール製母材の内周面及び厚さ方向の上下面に形成されている窒化層が、ビッカース硬さ700HV0.05未満の第1窒化層と、該第1窒化層を覆う第2窒化層とを有し、前記第2窒化層のビッカース硬さが前記第1窒化層のビッカース硬さよりも大きいことが好ましい。
この発明によれば、スチール製母材の内周面及び厚さ方向の上下面に、上記第1窒化層と第2窒化層を有する窒化層が形成されているので、外周摺動面の耐摩耗性のみならず、内周面での耐摩耗性及び厚さ方向での耐摩耗性も優れたものとすることができると共に、疲労強度も優れたものとすることができる。
上記本発明のピストンリングにおいては、前記硬質クロムめっき皮膜が積層構造を有し、該硬質クロムめっき皮膜のビッカース硬さが900〜1200HV0.05の範囲内であることが好ましい。
この発明によれば、硬質クロムめっき皮膜が積層構造を有し、その硬質クロムめっき皮膜のビッカース硬さが上記範囲内であるので、耐摩耗性及び疲労強度を更に向上させることができる。
本発明のピストンリングによれば、外周摺動面の耐摩耗性を向上させることができる。また、外周摺動面から上下面に連なる曲面又は面取り面で比較的高い靱性を容易に確保することができるので、曲面又は面取り面で生じ易い折損を抑制することができる。その結果、本発明によれば、耐摩耗性及び疲労強度を向上させ易いピストンリングが提供されるので、内燃機関の高出力化と低燃費化等を図ることが容易になる。
以下、本発明のピストンリングについて、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明のピストンリングの一例を示す模式図である。図1中、(a)は模式平面図であり、(b)は図1(a)のI−I’断面図である。なお、本発明のピストンリングは、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明のピストンリング10は、図1(a)(b)に示すように、1つの合い口部1を有する環状の部材であって、外周面aの一部をなす外周摺動面e、内周面d、及び厚さ方向の上面bと下面c(以下、単に「上下面b,c」という。)にそれぞれ窒化層(12,13)が形成されているスチール製母材11と、このスチール製母材11の外周面aを覆う硬質クロムめっき皮膜14とを有している。
スチール製母材11は、例えば、マルテンサイトステンレス鋼(SUS440材、SUS410材、又は、SUS440材にCoを添加した材料等)や、クロムを10重量%含むスチール材で形成されたものであることが望ましい。
スチール製母材11の外周面aの一部をなす外周摺動面eに形成されている窒化層12は、ビッカース硬さが400〜900HV0.05の範囲内にある。窒化層12のビッカース硬さが400HV0.05未満では、ピストンリング10の外周摺動面eの耐摩耗性が低くなる。一方、窒化層12のビッカース硬さが900HV0.05を超えても、ピストンリングの摺動特性には変化がなく、過剰な品質となってしまう。なお、窒化層12のビッカース硬さは、400〜700HV0.05の範囲内であることがより好ましい。
一方、スチール製母材11の内周面d及び上下面b,cに形成されている窒化層13は、ビッカース硬さが700HV0.05未満の第1窒化層13aと、この第1窒化層13aを覆う第2窒化層13bとを有している。第2窒化層13bのビッカース硬さは、第1窒化層13aのビッカース硬さよりも大きい。そして、ピストンリング10の内周面d及び上下面b,cそれぞれの耐摩耗性を高めるという観点から、第2窒化層13bのビッカース硬さは700〜1200HV0.05の範囲内であることが好ましく、750〜1100HV0.05の範囲内であることが更に好ましい。第2窒化層13bのビッカース硬さが1200HV0.05を超えると、ピストン材であるアルミニウム合金への攻撃性が高くなるので好ましくない。
スチール製母材11の外周面aのうち、外周摺動面eから上下面b,cに連なる領域には、図1(b)に示すように、面取り面15cが形成されている。そして、外周摺動面eに形成されている窒化層12と、上下面b,cに形成されている窒化層13とが、この面取り面15cを隔てて分離されている。したがって、窒化層12,13が形成されていない領域15sは、スチール製母材11の素地がピストンリングの円周方向に、幅Lで形成されている。各領域15sは、スチール製母材11の円周方向に間欠的に形成することも可能であるが、スチール製母材11の円周方向の全長に亘って形成されていることが好ましい。また、その領域15sの幅Lは、通常、50〜400μmの範囲内で形成されていることが好ましく、150〜300μmの範囲内で形成されていることがより好ましい。このように、外周摺動面eから上下面b,cに連なる領域に、脆さを有する窒化層が形成されていないので、そのコーナー部は靱性を有し、折損の発生が起こり難くなっている。なお、図1では、外周摺動面eから上下面b,cに連なる領域を面取り面15cで示しているが、その領域は外側にゆるやかな凸の曲面形状であっても構わない。
硬質クロムめっき皮膜14としては、ビッカース硬さが900〜1200HV0.05の範囲内のものが好ましく、その構造は単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。いずれにしても、硬質クロムめっき皮膜14は保油性の高い被膜であることが望ましいので、ポーラスなめっき皮膜であることが好ましい。硬質クロムめっき皮膜14の厚さは、100〜200μm程度の範囲内であることが好ましく、120〜180μm程度の範囲内であることが更に好ましい。硬質クロムめっき皮膜14の厚さが100μm未満では、ピストンリング10の外周摺動面eの耐摩耗性が低くなり易い。一方、その厚さが200μmを超えると、品質に変化が無く、むしろ過剰品質となってコストアップになる。
硬質クロムめっき皮膜14は、前述のようにスチール製母材11の外周面aを覆っている。したがって、窒化層12,13が互いに分離されている各領域15sにおいては、スチール製母材11の素地上に硬質クロムめっき皮膜14が直接形成されている。
上述の構造を有するピストンリング10は、スチール製母材11の外周面aに窒化層12が形成され、この窒化層12を覆うようにして硬質クロムめっき皮膜14が形成されているので、硬質クロムめっき皮膜14が摩滅した後においては、窒化層12が外周摺動面eとなる。したがって、本発明のピストンリング10は、硬質クロムめっき皮膜14が摩滅した後であっても、耐摩耗性を維持することができる。また、本発明のピストンリング10は、スチール製母材11の内周面d及び上下面b,cにそれぞれ窒化層13が形成され、かつ、上記の各面取り面15cを有しているので、シリンダ本体との摺動による摩耗も抑制される。
更に、硬質クロムめっき皮膜14は、脆い窒化層が形成されていない領域15sでスチール製母材11上に直接形成されているので、その領域15sでは、比較的高い靱性を容易に確保することができる。その結果として、ピストンリング10の疲労強度を向上させることができ、面取り面15cとなっている領域からの折損を抑制することができる。
本発明のピストンリング10は、例えば次のようにして製造することができる。
先ず、マルテンサイトステンレス鋼等からなるスチール製母材11を用意し、公知の機械加工を施してピストンリング形状に形成する。機械加工後のスチール製母材11の断面形状を略矩形状としたピストンリング素材に、窒化層13を全体に形成する。この窒化処理は、例えばガス窒化法、塩浴窒化法等により行うことができる。
窒化処理条件は、適用する窒化処理方法に応じて異なるが、第1窒化層13aの厚さが30〜100μmの範囲内となり、第2窒化層13bの厚さが50〜150μmの範囲内となり、第1窒化層13aと第2窒化層13bとの合計厚さが80〜250μmの範囲内となる条件(処理時間や温度等)が任意に設定される。なお、窒化層13の合計厚さが80μm未満であると、最終的に得られるピストンリングの内周面dの耐摩耗性及び厚さ方向の上下面b,cの耐摩耗性が低くなり易い。また、窒化層13の合計厚さが250μmを超えても、品質的にメリットはなく、むしろコスト高となる。窒化層13の合計厚さは、120〜200μmの範囲内であることが更に好ましい。
ガス窒化法や塩浴窒化法で窒化処理を施した場合には、スチール製母材11の表面に脆い化合物層が生成されるが、この化合物層は、例えば化学研磨等によって除去することができる。
次に、窒化層が形成されたスチール製母材11について、その外周面aの上下面側のコーナー部を研磨等により面取り加工又は曲面加工して、窒化層の素地としてのスチール製母材11を局所的に露出させ、図1(b)に示した各領域15sを形成する。次いで、スチール製母材11の外周面aに形成されている窒化層をその厚さ方向に研磨加工して、ビッカース硬さが400〜900HV0.05の範囲内の窒化層12を残す。
その後、窒化層12が残ったスチール製母材の外周面a上に、図1(b)に示すように、硬質クロムめっき皮膜14を形成する。この硬質クロムめっき皮膜14は、例えば周知ないし公知の種々の方法により形成することができる。特許文献2に記載された製造方法によって硬質クロムめっき皮膜14を形成すれば、保油性が高く、かつ、耐摩耗性と耐焼付き性に優れた積層構造の硬質クロムめっき皮膜を得ることができる。以上のようにして、図1に示したピストンリング10が得られる。
以上、本発明のピストンリングによれば、外周摺動面の耐摩耗性を向上させることができる。また、外周摺動面から上下面に連なる曲面又は面取り面で比較的高い靱性を容易に確保することができるので、曲面又は面取り面で生じ易い折損を抑制することができる。その結果、本発明によれば、耐摩耗性及び疲労強度を向上させ易いピストンリングが提供されるので、内燃機関の高出力化と低燃費化等を図ることが容易になる。
以下に実施例と比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
ピストンリングを形成するためのスチール製母材として、質量%で、Cr:10.05%、C:0.51%、Si:0.20%、Mn:0.31%、P:0.02%、S:0.02%の組成からなる材料(以下、A材という)を用い、ピストンリング形状となるように切削加工及び研削加工を行った。次いで、ピストンリング形状に加工されたスチール製母材11をガス窒化処理して窒化層13を形成した。このときの窒化処理は、アンモニア分解ガス雰囲気中に590℃×6時間保持して第1窒化層13aを形成し、さらに540℃×2時間保持して第2窒化層13bを形成する条件で行った。こうした窒化処理により、厚さ50μmの第1窒化層13aと、厚さ100μmの第2窒化層13bとからなる合計厚さ150μmの窒化層13をスチール製母材11上に形成した。
次に、窒化処理後のスチール製母材11に対して化学研磨を施し、窒化層13上に形成された化合物層を除去し、その後、外周摺動面eから上下面b,cに連なるコーナー部の窒化層13を研磨により取り除き、スチール製母材11が幅L約150μm露出するように面取り面15cを形成した。その際、外周摺動面eの窒化層12を厚さ35μmとなるまで併せて研磨した。次に、その外周摺動面eを含む外周面aを覆うように、積層構造の硬質クロムめっき皮膜14を形成した。積層構造の硬質クロムめっき皮膜14は、公知のフッ化クロム溶液を用い、1層当たり10μmのめっき厚となるように正電工程と逆電工程とを繰り返し行う電気めっき法により形成した。こうして15層の積層構造を有する硬質クロムめっき皮膜14を約150μmの厚さで形成した。さらに仕上げとして、ラッピング加工を行い、外周摺動面の性状を整えた。
こうして作製されたピストンリング10において、外周摺動面eに形成されている窒化層12は外周面近傍のビッカース硬さが900HV0.05であり、スチール製母材上に形成されている第1窒化層13aは第2窒化層13bのビッカース硬さ700HV0.05の位置から10μm母材側のビッカース硬さが582HV0.05であり、その第1窒化層13aを覆うように形成されている第2窒化層13bはビッカース硬さは最も硬度の高い部分において1200HV0.05であった。また、外周摺動面eを覆うように外周面aに形成されている硬質クロムめっき皮膜14はビッカース硬さが1200HV0.05であった。なお、ビッカース硬さは、微小ビッカース硬度計を用い、図1(b)に示すような断面を形成し、その断面に現れる各窒化層12,13a,13bと硬質クロムめっき皮膜14に加重0.05kg(50g)のダイヤモンド圧子を押し当てて測定した。
(実施例2)
外周摺動面eに形成されている窒化層12のビッカース硬さを800HV0.05とし、外周摺動面eを覆うように形成されている硬質クロムめっき皮膜14のビッカース硬さを900HV0.05とした以外は、実施例1と同様にして実施例2のピストンリングを作製した。なお、外周摺動面eに形成されているビッカース硬さ800HV0.05の窒化層12は、実施例1の窒化層を研磨することにより形成し、外周摺動面eを覆うように形成されているビッカース硬さ900HV0.05の硬質クロムめっき皮膜14は、電流密度とめっき浴温度で調整することにより形成した。
(実施例3)
外周摺動面eに形成されている窒化層12のビッカース硬さを400HV0.05とし、外周摺動面eを覆うように形成されている硬質クロムめっき皮膜14のビッカース硬さを1000HV0.05とした以外は、実施例1と同様にして実施例3のピストンリングを作製した。なお、外周摺動面eに形成されているビッカース硬さ400HV0.05の窒化層12は、実施例1の窒化層を研磨することにより形成し、外周摺動面eを覆うように形成されているビッカース硬さ1000HV0.05の硬質クロムめっき皮膜14は、電流密度とめっき浴温度で調整することにより形成した。
(実施例4)
ピストンリングを形成するためのスチール製母材として、質量%で、Cr:17.85%、Co:4%、Mo:1.16%、C:0.89%、Si:0.32%、Mn:0.35%、V:0.12%、P:0.02%、S:0.02%の組成からなる材料(以下、B材という)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4のピストンリングを作製した。こうして作製されたピストンリング10において、外周摺動面eに形成されている窒化層12はビッカース硬さが900HV0.05であり、スチール製母材上に形成されている第1窒化層13aは第2窒化層13bのビッカース硬さ700HV0.05の位置から10μm母材側のビッカース硬さが586HV0.05であり、その第1窒化層13aを覆うように形成されている第2窒化層13bはビッカース硬さが700HV0.05であった。また、外周摺動面eを覆うように外周面aに形成されている硬質クロムめっき皮膜14はビッカース硬さが1200HV0.05であった。
(実施例5)
ピストンリングを形成するためのスチール製母材としてB材を用い、外周摺動面eに形成されている窒化層12のビッカース硬さを800HV0.05とし、外周摺動面eを覆うように形成されている硬質クロムめっき皮膜14のビッカース硬さを900HV0.05とした以外は、実施例4と同様にして実施例5のピストンリングを作製した。なお、外周摺動面eに形成されているビッカース硬さ800HV0.05の窒化層12は、実施例4の窒化層を研磨することにより形成し、外周摺動面eを覆うように形成されているビッカース硬さ900HV0.05の硬質クロムめっき皮膜14は、電流密度とめっき浴温度で調整することにより形成した。
(実施例6)
ピストンリングを形成するためのスチール製母材としてB材を用い、外周摺動面eに形成されている窒化層12のビッカース硬さを400HV0.05とし、外周摺動面eを覆うように形成されている硬質クロムめっき皮膜14のビッカース硬さを1000HV0.05とした以外は、実施例4と同様にして実施例6のピストンリングを作製した。なお、外周摺動面eに形成されているビッカース硬さ400HV0.05の窒化層12は、実施例4の窒化層を研磨することにより形成し、外周摺動面eを覆うように形成されているビッカース硬さ1000HV0.05の硬質クロムめっき皮膜14は、電流密度とめっき浴温度で調整することにより形成した。
(比較例1)
実施例1とはピストンリング素材の外周コーナー部が形成されたことのみが異なる素材を用い、実施例1と同様な熱処理を施し、外周摺動面eのみを研磨して、窒化層13を厚さ150μm程度残すように面取り面15cを形成した。それ以外は実施例1と同様にして比較例1のピストンリングを作製した。なお、実施例1と同様、外周摺動面eに形成されている窒化層12はビッカース硬さが900HV0.05であり、スチール製母材上に形成されている第1窒化層13aは第2窒化層13bのビッカース硬さ700HV0.05の位置から10μm母材側のビッカース硬さが577HV0.05であり、その第1窒化層13aを覆うように形成されている第2窒化層13bはビッカース硬さは最も硬度の高い部分において1100HV0.05であった。また、外周摺動面eを覆うように形成されている硬質クロムめっき皮膜14はビッカース硬さが1200HV0.05であった。
(比較例2)
ピストンリングを形成するためのスチール製母材としてA材を用い、外周摺動面eに形成されている窒化層12のビッカース硬さを360HV0.05とした以外は、実施例1と同様にして比較例2のピストンリングを作製した。なお、外周摺動面eに形成されているビッカース硬さ360HV0.05の窒化層12は、実施例1の窒化層を研磨することにより形成した。
(評価;疲労強度試験)
実施例1〜6及び比較例1,2の各ピストンリングの疲労強度を、図2に概略的に示すリング実体型疲労試験機20(以下、試験機20という。)を用いて測定した。先ず、ピストンリング10の合い口部1側の一端を試験機20の支持台21に固定し、他の一端を梃子アーム22に固定する。次に、偏心カム23を回転させて動力伝達棒24を図2中に矢印Aで示す方向に往復運動させる。動力伝達棒24の往復運動に伴って、この動力伝達棒24に連結されている梃子アーム22が図2中に矢印Bで示す方向に往復運動し、ピストンリング10の合い口部1の開閉量が変化する。実施例及び比較例はいずれも同一の試験条件下でピストンリング10が折損するまで試験を行い、このときのS−N曲線(応力−繰返し数曲線)から1×10 回の繰返し数に耐え得る応力を疲労強度(疲れ限度)として求めた。なお、図2中の符号25は、動力伝達棒24の往復運動の方向を規制するためのガイドである。
その結果を表1に示す。なお、表1の結果は、比較例1で得られた疲労強度を疲労強度指数100とし、実施例1〜6及び比較例2で得られた疲労強度を比較例1の結果と比較して表した。表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜6のピストンリングは、疲労強度指数が高く、優れた疲労強度を有していた。
Figure 2006275253
本発明のピストンリングの一例を示す模式図であり、(a)は模式平面図であり、(b)模式断面図である。 疲労強度の測定に用いたリング実体型疲労試験機を示す概略図である。
符号の説明
10 ピストンリング
1 合い口部
11 スチール製母材
12,13 窒化層
13a 第1窒化層
13b 第2窒化層
14 硬質クロムめっき皮膜
15c 面取り面
15s 窒化層が形成されていない領域
L 幅
a 外周面
b 上面
c 下面
d 内周面
e 外周摺動面

Claims (3)

  1. 外周面の一部をなす外周摺動面、内周面、及び厚さ方向の上下面それぞれに窒化層が形成されているスチール製母材と、該スチール製母材の前記外周面を覆う硬質クロムめっき皮膜とを有するピストンリングであって、
    前記外周面には前記外周摺動面から前記上下面に連なる曲面又は面取り面が形成されていると共に、前記外周摺動面に形成されている窒化層と前記上下面に形成されている窒化層とが前記曲面又は面取り面を隔てて分離されており、
    前記外周摺動面に形成されている窒化層のビッカース硬さが400〜900HV0.05の範囲内にあることを特徴とするピストンリング。
  2. 前記スチール製母材の内周面及び厚さ方向の上下面に形成されている窒化層が、ビッカース硬さ700HV0.05未満の第1窒化層と、該第1窒化層を覆う第2窒化層とを有し、前記第2窒化層のビッカース硬さが前記第1窒化層のビッカース硬さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のピストンリング。
  3. 前記硬質クロムめっき皮膜が積層構造を有し、該硬質クロムめっき皮膜のビッカース硬さが900〜1200HV0.05の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のピストンリング。
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JP2013515930A (ja) * 2009-12-29 2013-05-09 マーレ メタル レベ ソシエダッド アノニマ 耐亀裂伝播性窒化ピストンリング
JP2013540242A (ja) * 2010-09-27 2013-10-31 フェデラル−モーグル ブルシャイト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ピストンリングの製造方法

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