JP2006272167A - 水素透過膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】水素透過層と触媒層あるいは基板との間に水素透過層と触媒層の拡散を防止する層を形成するものであり、膨張による剥離を抑制する緩和層を設けるか、あるいは、膜の構造として水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を設けるように成膜条件を制御することにより、最適な水素透過膜を提供する。
【解決手段】この発明の水素透過膜は、水素透過性を有する金属または合金で構成される水素透過層と、前記水素透過層の両面側に形成され、前記水素透過層中の水素を乖離させる触媒層とを備え、一側の触媒層から水素を透過し、前記水素透過層を通じて、他側の触媒層から水素を放出する水素透過膜であって、前記多孔質基板と前記水素透過層との間、または、前記水素透過層と前記触媒層との間に形成され、前記水素透過層と前記触媒層の相互拡散を防ぐ拡散防止層をさらに備える。
【選択図】図1
【解決手段】この発明の水素透過膜は、水素透過性を有する金属または合金で構成される水素透過層と、前記水素透過層の両面側に形成され、前記水素透過層中の水素を乖離させる触媒層とを備え、一側の触媒層から水素を透過し、前記水素透過層を通じて、他側の触媒層から水素を放出する水素透過膜であって、前記多孔質基板と前記水素透過層との間、または、前記水素透過層と前記触媒層との間に形成され、前記水素透過層と前記触媒層の相互拡散を防ぐ拡散防止層をさらに備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、水素透過膜に関するものである。
従来、都市ガス、天然ガス、石油等を一次エネルギとするメンブレンリフォーマ方式の燃料電池では、都市ガス等を改質器及び水素精製器として機能するメンブレンリフォーマに導き、改質ガスを生成させた後、改質ガスに含まれる水素ガスのみが水素透過膜を透過する現象を利用し、水素を精製して取り出している。
このようなメンブレンリフォーマ用の水素透過膜には、改質器内の高温環境での安定性あるいはCOやCO2等の不純物を含む改質ガスに対する水素透過能の安定性の観点から、パラジウム(Pd)やPd合金からなるPd系材料が用いられている。
しかしながら、Pdは金(Au)よりも希少な貴金属であり、非常に高価かつ入手困難な材料である。このようなPd系材料を用いて製品化されているメンブレンリフォーマは、水素透過膜を用いない従前の改質器に比べ、装置構成は簡素化されるものの、コストの面からは必ずしも優位ではない。
このため、Pd系材料に代わる新たな水素透過膜の材料として、水素固溶量がPdよりも一桁程度大きいタンタル(Ta)系材料、ニオブ(Nb)系材料、バナジウム(V)系材料あるいは、水素吸蔵合金(MH)系材料等が多々提案されている。これらは、従来の材料であるPdやPd合金と同程度あるいはそれ以上の水素透過能を有する材料となり得る。
図7は、一般的な水素透過膜における水素透過の原理を説明する図である。
図7に示すように、水素透過膜は、水素透過層Gの表裏両面間における水素ガスの圧力差(膜中に固溶した水素の濃度差)を駆動力として、高圧側から水素透過層G中に水素分子H2が原子状に解離・固溶し、低圧側へ拡散・再結合して再び水素分子H2となって放出される、というものである。
図7に示すように、水素透過膜は、水素透過層Gの表裏両面間における水素ガスの圧力差(膜中に固溶した水素の濃度差)を駆動力として、高圧側から水素透過層G中に水素分子H2が原子状に解離・固溶し、低圧側へ拡散・再結合して再び水素分子H2となって放出される、というものである。
高圧側に供給される改質ガス中には水素だけでなく未反応の炭化水素ガス(CH4)やCO、CO2等の不純物ガスが含まれるが、これらは原子サイズ等の制約から水素透過膜には固溶しない。このため、水素透過膜の低圧側からは、理論上純度100%の水素ガスのみが放出される。このような原理であるため、水素透過膜の材料としては、水素固溶度及び水素拡散係数が高いほど適しているといえ、また、水素透過膜の膜厚が薄いほど高い水素透過速度が実現できることが分かる。
このような水素透過膜の作製方法としては、圧延による箔化が主体的であるが、多孔質の支持体(基板)上への直接成膜も行われている。特に、水素透過膜の膜厚が薄いほど高い水素透過速度が実現できることから、薄膜法により支持体へ数十μmの緻密で薄い膜を直接成膜することが有利であり、めっき法、真空蒸着法、イオンプレーティング、CVD法等の方法が試みられている。
一方、水素固溶量がPdよりも一桁程度大きいタンタル(Ta)系材料、ニオブ(Nb)系材料、バナジウム(V)系材料あるいは、水素吸蔵合金(MH)系材料等はPdに比べ表面が酸化しやすく水素解離能力が低いため、従来の材料であるPdやPd合金を触媒層として表面に極薄くコーティングする必要がある。
しかし、上記水素透過膜材料とPd触媒層は、使用温度域において相互拡散が起こり、水素透過能が急激に劣化する。また、Pd系水素透過膜においても支持基板との反応による性能劣化が起こり、触媒層及び支持基板との拡散防止は水素透過膜の根本的問題となっている。
そこで、相互拡散の防止方法として、アルミ基板上に緻密なアルマイト層を形成し、その上にPd膜を形成させた後にアルミ層を除去して水素透過膜を製造する方法(例えば、特許文献1参照)、水素透過層とPd触媒層の間にNiとCoのうちから選択された中間層を設ける方法(例えば、特許文献2参照)、複数の細孔を有する金属多孔質支持体と水素透過層との間に相互拡散のバリヤ層(拡散防止層)として融点が1800℃以上である高融点金属またはTi、Si、Al、Mg、Ca、Y、Zr、Hfの郡から選択される1種以上の元素とN、C、O、Bの郡から選択される1種以上の元素とからなり、かつ気孔率が20%以下であるセラミックを用いる方法(例えば、特許文献3参照)、あるいは、水素透過層を成膜する金属多孔体の表面に酸化処理及び窒化処理の少なくとも一方を施して変質層を形成する方法(例えば、特許文献4参照)等の拡散防止方法が提案されている。
また、Nb水素透過層の表面に膜厚が数百nmの炭化層を生成し、高融点で安定な水素透過性のある薄い炭化物層を生成させることでPd触媒層と水素透過層であるNbの反応を遅延できることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
水素透過層と触媒層あるいは基板との間に拡散防止層を成膜する狙いは、水素透過層と触媒層との間、あるいは、水素透過層と支持基板との間における水素分子の相互拡散をできるだけ少なくし、水素透過量を長時間減少させなくすることである。
しかしながら、相互拡散の防止方法として特許文献1のようにアルミ基板上に緻密なアルマイト層を形成しその上にPd触媒層を形成させた後に、アルミ層を除去して水素透過層を製造した場合は、透過膜の強度が低く破損しやすいという課題がある。
また、特許文献2のように水素透過層とPd触媒層の間にNiとCoのうちから選択された中間層を設けた場合や、特許文献3のように複数の細孔を有する金属多孔質支持体と水素透過層との間に相互拡散のバリヤ層(拡散防止層)として融点が1800℃以上である高融点金属またはTi、Si、Al、Mg、Ca、Y、Zr、Hfの郡から選択される1種以上の元素とN、C、O、Bの郡から選択される1種以上の元素とからなり、かつ気孔率が20%以下であるセラミックスを用いた場合は、これら物質の水素透過量自体が低いため、水素透過量が極端に落ちるという課題がある。
また、特許文献4のように水素透過層を成膜する金属多孔体の表面に酸化処理及び窒化処理の少なくとも一方を施して変質層を形成する場合は、形成される酸化膜や窒化膜が脆いため水素透過層と基板の熱膨張差などの応力により剥離する可能性が高いという課題がある。
さらに、非特許文献1では、Nb水素透過層の表面に数百nmの炭化層を生成し、高融点で熱的に安定な水素透過性のある薄い炭化物層を生成させることでPdと水素透過層であるNbの反応を遅延できることが報告されているが、表面に孔が空き、そこから酸化が進行して結果的に水素透過能が低下してしまうという課題がある。
本発明は、先ず、水素透過層または多孔質基板に密着性の良い成膜方法により拡散防止層を形成し、水素透過層と触媒層あるいは基板との相互拡散を無くすように長期的に安定化させるための技術に関する。
本発明は、具体的には、水素透過層と触媒層あるいは基板との間にスパッタリング法を用いて水素透過層と触媒層の拡散を防止する層を形成するものであり、膨張による剥離を抑制する緩和層を設けるか、あるいは、膜の構造として水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を設けるように成膜条件を制御することにより、最適な水素透過層を提供することを目的とする。
この発明の水素透過膜は、水素透過性を有する金属または合金で構成される水素透過層と、前記水素透過層の両面側に形成され、前記水素透過層中の水素を乖離させる触媒層とを備え、一側の触媒層から水素を透過し、前記水素透過層を通じて、他側の触媒層から水素を放出する水素透過膜であって、前記多孔質基板と前記水素透過層との間、または、前記水素透過層と前記触媒層との間に形成され、前記水素透過層と前記触媒層の相互拡散を防ぐ拡散防止層をさらに備える。
また、前記拡散防止層は、WO3、SiO2、ZrO2、Al2O3、TiO2、MgO、CaOのいずれか単体、もしくは、これらを複合化したセラミック、または、高融点炭化物もしくは硼化物で構成される層である。
また、前記拡散防止層は、多孔質層で構成されており、この多孔質層は、水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有する。
また、前記拡散防止層は、熱膨張率の低い第1拡散防止層と、拡散防止機能を有し、前記第1拡散防止層よりも熱膨張率の高い第2拡散防止層とによって構成される。
また、前記拡散防止層は、拡散防止機能を有し、前記第2拡散防止層よりも熱膨張率の高い第n(nは3以上の整数)拡散防止層を備える。
さらに、前記拡散防止層の膜厚は、0.01μm以上で0.5μm未満である。
水素を通過させる金属材料で構成される水素透過層と触媒層及び基板のそれぞれの間に拡散防止層を挿入することにより、水素透過層と触媒層及び水素透過層と基板の相互拡散を防止できるので、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を得ることができる。
水素を通過させる金属材料で構成される水素透過層と触媒層及び基板のそれぞれの間に挿入する拡散防止層を水素通過性の高い材料にすることで、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。
また、拡散防止層は、熱膨張率の低い第1拡散防止層と、拡散防止機能を有し、前記第1拡散防止層よりも熱膨張率の高い第2拡散防止層とによって構成されるので、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。また、このように熱膨張率の低い材料を熱膨張率の高い材料と組み合わせることにより、熱膨張時に発生する応力による剥離やクラックの発生を抑制できる。
また、前記拡散防止層は、多孔質層で構成されており、この多孔質層は、水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有するので、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。
図1は、本発明の水素透過膜の断面構造を概略的に示す図である。
図1に示すように、水素透過膜Mは、所定の強度を有する支持部材である多孔質製の基板7に支持されており、水素透過層Gの両面に拡散防止層G1及び触媒層G2を備える。
図1に示すように、水素透過膜Mは、所定の強度を有する支持部材である多孔質製の基板7に支持されており、水素透過層Gの両面に拡散防止層G1及び触媒層G2を備える。
水素透過膜Mは、メンブレンリフォーマに組み込まれ、一側の触媒層G2の表面に接する不純物を含む改質ガス中の水素を透過させ、水素透過性を有する水素透過層Gを経て、他側の触媒層G2から水素を選択的に放出させる。
なお、ここでは、水素透過能を有する層を水素透過層と称し、水素透過層の両面に拡散防止層及び触媒層を備え、金属多孔質基板に支持された構造体を水素透過膜と称する。
なお、ここでは、水素透過能を有する層を水素透過層と称し、水素透過層の両面に拡散防止層及び触媒層を備え、金属多孔質基板に支持された構造体を水素透過膜と称する。
水素透過層Gは、Pd及びPd系材料で構成されるPd合金で構成してもよいが、好ましくは単位体積当たりの水素固溶量がPdよりも大きいPd及びPd合金(Pd系材料)以外の金属元素(非Pd系材料)からなる厚さが均一の膜であり、その形状は、例えば板状体であることが好ましい。
この水素透過層Gの材料は、具体的には、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、水素吸蔵合金(MH)等のPd系材料に対する代替材料であることが好ましく、特にTaまたはTa合金からなるTa系材料であることが好ましい。
この水素透過層Gの材料は、具体的には、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、水素吸蔵合金(MH)等のPd系材料に対する代替材料であることが好ましく、特にTaまたはTa合金からなるTa系材料であることが好ましい。
水素透過層Gに用いる合金系として、Ta及びその合金系を非Pd系材料の中から選択する理由は、TaまたはTa合金はNbやV系材料に比べ、メンブレンリフォーマに使用する際の想定使用温度領域である500℃前後の高温領域でも水素の平衡解離圧が高く、使用圧力下では水素化物を生成し難い特性を持っているからである。
これに対して、Nb系は平衡解離圧が低いため、500℃前後でも水素化物を生成し、割れ易い。VはTaよりも平衡解離圧が高く、300℃以下まで水素化物を生成しないが、500℃前後の温度域では触媒層として設けたPdあるいはPd合金との拡散が進み易いという欠点があるため、水素透過層Gとしては好ましくない。
また、水素透過層GをTa合金で構成した場合にTaへ添加する材料としては、Taと固溶体を作る領域を持ち、水素との反応の生成熱が正で平衡解離圧を上げると共に、水素の固溶量を抑える働きをするFe、Cr、Ni、Mo、W、Au、PtまたはRuが望ましい。
但し、NbやVまたはそれらの合金系であっても薄膜の作製方法や作製条件、成分調整、使用条件の変更、水素溶解量の制御等によってはこのような欠点を解決できる可能性があるため、水素透過層Gの材料は、特にTaまたはTa合金に限定されるものではない。
触媒層G2としては、水素の解離を促進する働きと改質器中のO2やH2O、CO、CO2のような不純物ガスによる水素透過能の劣化がない材料が求められる。この意味で、従来から透過膜として用いられているPdまたはPd合金が最も優れており、これらを0.1μmから0.5μm程度の薄い薄膜として水素透過層Gの上側または下側に形成すると良い。
水素透過層Gと触媒層G2との間における水素の相互拡散を防止する層としては、WO3や、SiO2、ZrO2、Al2O3、TiO2、MgO、CaO等の単体もしくは複合化したセラミック類や、MoC、TaC等に代表される高融点炭化物、硼化物で構成される膜を用いることが好ましい。
ここで、複合化したセラミック類とは、上記材料のうちの2種類以上を積層したもの、上記材料のうちの2種類以上の組成率に傾斜を持たせて構成したもの、および、上記材料のうちの2種類以上を同時に混合させて成膜したものをいう。
ここで、複合化したセラミック類とは、上記材料のうちの2種類以上を積層したもの、上記材料のうちの2種類以上の組成率に傾斜を持たせて構成したもの、および、上記材料のうちの2種類以上を同時に混合させて成膜したものをいう。
これらの材料が好ましい理由は、これらの材料が高い温度範囲まで安定でかつ高い水素透過能を有する材料だからである。
なお、水素透過能を有しない材料でも、微細孔を設けることにより水素を分離できる可能性はあり、また、光触媒作用を利用することにより水素を分離できる可能性もある。
なお、水素透過能を有しない材料でも、微細孔を設けることにより水素を分離できる可能性はあり、また、光触媒作用を利用することにより水素を分離できる可能性もある。
また、上述の拡散防止層Gの性能には、材料によって優劣がある。
例えば、WO3膜は水素透過能に非常に優れているが、拡散防止性では他の材料に劣る。一方、SiO2膜は拡散防止性に非常に優れるが、水素透過能が低く、水素透過能を上げるため多孔質にした場合は、多孔質の孔部を通じて触媒層が拡散する、あるいは、触媒層が酸化するという欠点がある。
例えば、WO3膜は水素透過能に非常に優れているが、拡散防止性では他の材料に劣る。一方、SiO2膜は拡散防止性に非常に優れるが、水素透過能が低く、水素透過能を上げるため多孔質にした場合は、多孔質の孔部を通じて触媒層が拡散する、あるいは、触媒層が酸化するという欠点がある。
そこで、拡散防止性に非常に優れるSiO2膜を緻密に極薄く形成して水素透過能を改善し、その下に補強材として酸化に強く水素透過能に非常に優れている緻密なWO3膜を形成することにより、それぞれの短所を補い、より性能が優れた拡散防止層とすることができる。
このような多層化や複合化では、セラミック材の熱膨張の違いによる応力での剥離やクラックの発生を抑制できる機能を持たせることも、材料の組合せによっては可能である。
水素透過層Gと触媒層G2との間における相互拡散を防止する拡散防止層の厚さは、0.01μmから0.5μmの範囲内であることが望ましい。
その理由は、厚さが0.01μmよりも薄い場合は、膜が中央から島状に成長する可能性が高く、膜厚分布のばらつきが大きくなり、膜厚の薄い端部で拡散防止の効果が薄れるためであり、また、膜の厚さが0.5μm以上では、拡散防止層の水素透過能が律速となり、水素透過膜自体の透過性能が低下してしまうからである。
一般に拡散防止層として用いる上記材料は、水素透過層材料に比べて水素透過能が低い。
その理由は、厚さが0.01μmよりも薄い場合は、膜が中央から島状に成長する可能性が高く、膜厚分布のばらつきが大きくなり、膜厚の薄い端部で拡散防止の効果が薄れるためであり、また、膜の厚さが0.5μm以上では、拡散防止層の水素透過能が律速となり、水素透過膜自体の透過性能が低下してしまうからである。
一般に拡散防止層として用いる上記材料は、水素透過層材料に比べて水素透過能が低い。
図2は、本発明の水素透過膜の作製時に用いるスパッタリング装置の構成を概略的に示す図である。
図2に示すように、スパッタリング装置は、一般的に、チャンバ1に真空排気のためのポンプ2及びポンプ3、スパッタリングのためのプラズマを発生する電源4及びプラズマ源となるガスの取り入れ口9を有し、さらに膜の原料となるターゲット5及びその上に水素透過層Gを成膜するための基板7が配置される。基板7は、支持体6によって支持される。
なお、説明の便宜上、図2にはターゲット5を3つ示すが、実際は等間隔に4つ配置される。すなわち、図2では、図中手前側のターゲットを省いている。
図2に示すように、スパッタリング装置は、一般的に、チャンバ1に真空排気のためのポンプ2及びポンプ3、スパッタリングのためのプラズマを発生する電源4及びプラズマ源となるガスの取り入れ口9を有し、さらに膜の原料となるターゲット5及びその上に水素透過層Gを成膜するための基板7が配置される。基板7は、支持体6によって支持される。
なお、説明の便宜上、図2にはターゲット5を3つ示すが、実際は等間隔に4つ配置される。すなわち、図2では、図中手前側のターゲットを省いている。
また、スパッタリング装置は、基板7を加熱するための機構8や基板7の回転や上下高さを調整するための高さ調整機構10を備える。基板7の温度は、加熱機構8への電力供給量によって調節され、成膜速度は電源4への電力供給量及びターゲット5と基板7との距離によって調節される。
基板7に対する成膜方向は、チャンバ1内における基板7やターゲット5の位置関係によるが、上下左右や斜め方向など目的により様々な方向に調整ができ、成膜圧力(ガス圧力)は、ガスの取り入れ口9からのガスの流量や真空排気ポンプ2の直前に配置されるバルブの開閉度等で調節できる。
本発明の水素透過膜の作製方法において、成膜方法としてスパッタリング法を選択した理由は、スパッタリング法では基本的にどんな材料でも容易に薄膜化できる点にある。
また、ターゲット5は通常円盤状に加工された純金属あるいは合金を3個ないし4個の電極に配置して複雑な合金系でも同時にスパッタリングしながら混合し、いろいろな合金を作ることができるだけでなく、粉末でもよいし、ターゲット5上に成膜したい材料のチップを配置して成膜を行ってもよい。即ち、多くの可能性を試みることができるからである。
また、ターゲット5は通常円盤状に加工された純金属あるいは合金を3個ないし4個の電極に配置して複雑な合金系でも同時にスパッタリングしながら混合し、いろいろな合金を作ることができるだけでなく、粉末でもよいし、ターゲット5上に成膜したい材料のチップを配置して成膜を行ってもよい。即ち、多くの可能性を試みることができるからである。
また、形成される膜の性質を成膜時のガス圧力や温度、成膜速度、基板7とターゲット5との距離、基板7の回転、基板7へのバイアス電圧印加などにより容易に変えることができる点も、スパッタリング法の有利な点である。
但し、成膜手段としては、スパッタリング法に代えて、基本的に同じ効果が現れる成膜法の採用が可能であり、特にスパッタリング法に限定されるものではなく、CVD法等を用いて成膜を行うこともできる。
但し、成膜手段としては、スパッタリング法に代えて、基本的に同じ効果が現れる成膜法の採用が可能であり、特にスパッタリング法に限定されるものではなく、CVD法等を用いて成膜を行うこともできる。
本発明によれば、スパッタリング法を用いて、水素透過層、触媒層および基板のそれぞれの間にこれらの層材料及び基板材料の相互拡散を防止する拡散防止層を所定構造で所定厚さに形成することにより、長期間に亘って安定的な水素透過能を提供する最適な水素透過膜を得ることもできる。
また、膨張による剥離を抑制する緩和層を付与したり、膜の構造として水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有するように成膜条件を制御して、最適な水素透過膜を得ることもできる。よって、PdやPd系合金のだけでなくPdやPd系合金に替わる高性能な水素透過膜を提供することが可能になる。
なお、
なお、
比較例1.
図3は、Ta水素透過層とPd触媒層を有する水素透過膜におけるSiO2拡散防止層の有無によって生じる水素透過特性の相違を表す特性図である。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成する。この試料に対して水素透過試験を行った結果が図3の(1)の曲線である。
図3は、Ta水素透過層とPd触媒層を有する水素透過膜におけるSiO2拡散防止層の有無によって生じる水素透過特性の相違を表す特性図である。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成する。この試料に対して水素透過試験を行った結果が図3の(1)の曲線である。
この結果より、測定開始直後より水素透過係数が大幅に低下して、約7時間以降は低い状態で平衡になっていることが分かる。この試料の表面から深さ方向に元素分析を実施した結果、TaとPdの境界が不明瞭となりかなりの深さまで両元素が観察されたことから、相互拡散が生じていることが明らかとなった。
実施例1.
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.05μmのSiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
図3の特性(2)は、このSiO2拡散防止層を有する水素透過膜の水素透過試験結果である。
この結果より、測定開始から10時間後の終了まで水素透過係数に大幅な変化は見られず安定していることが分かる。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.05μmのSiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
図3の特性(2)は、このSiO2拡散防止層を有する水素透過膜の水素透過試験結果である。
この結果より、測定開始から10時間後の終了まで水素透過係数に大幅な変化は見られず安定していることが分かる。
但し、初期の水素透過係数はTaより低く、水素透過に対して障害になっている。しかし、10時間後では水素透過係数はTaを上回っており有効性が認められる。また、この試料の表面から深さ方向に元素分析を実施した結果、TaとPdの境界が明瞭となり両元素の相互拡散がほとんど生じていないことが明らかとなった。
このように、本発明の実施例1によれば、SiO2拡散防止層を挿入することにより、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。
このように、本発明の実施例1によれば、SiO2拡散防止層を挿入することにより、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。
実施例2.
図4は、Ta水素透過層とPd触媒層を有する水素透過膜におけるWO3拡散防止層の有無によって生じる水素透過特性の相違を表す特性図である。
この図4に示す特性(1)は、図3に示す特性(1)と同一のものである。すなわち、膜厚100μmのTa箔を水素透過層の表面にスパッタリングにより0.1μmのPd触媒層を積層した水素透過膜の水素透過試験結果である。
図4は、Ta水素透過層とPd触媒層を有する水素透過膜におけるWO3拡散防止層の有無によって生じる水素透過特性の相違を表す特性図である。
この図4に示す特性(1)は、図3に示す特性(1)と同一のものである。すなわち、膜厚100μmのTa箔を水素透過層の表面にスパッタリングにより0.1μmのPd触媒層を積層した水素透過膜の水素透過試験結果である。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.05μmのWO3拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
図4の特性(2)は、このWO3拡散防止層を有する水素透過膜の水素透過試験結果である。
図4の特性(2)は、このWO3拡散防止層を有する水素透過膜の水素透過試験結果である。
この結果より、測定開始直後より水素透過量が大幅に低下して、約9時間以降は低い状態でほぼ平衡になっていることが分かる。
但し、比較として記載した図4の特性(1)(図3の特性(1)と同一の特性)の拡散防止層がないTa透過膜の場合に比べて、初期の段階での水素透過量の減少量が少なく、初期の段階での相互拡散を遅らせる効果が認められた。
但し、比較として記載した図4の特性(1)(図3の特性(1)と同一の特性)の拡散防止層がないTa透過膜の場合に比べて、初期の段階での水素透過量の減少量が少なく、初期の段階での相互拡散を遅らせる効果が認められた。
この試料の表面から深さ方向に元素分析を実施した結果、Ta膜とWO3層、Pd層の境界が不明瞭となり両元素が観察されたことから、相互拡散が生じていることが明らかとなった。
このように、本発明の実施例2によれば、WO3拡散防止層を挿入することにより、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。
このように、本発明の実施例2によれば、WO3拡散防止層を挿入することにより、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。
実施例3.
図5は、本発明の実施例3に係る水素透過膜の断面構造を概略的に示す図である。
図5に示すように、この水素透過膜は、Ta水素透過層とPd触媒層の間にSiO2層及びWO3層からなる拡散防止層が挿入されている。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.02μmのSiO2拡散防止層と膜厚0.03μmのWO3拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
図5は、本発明の実施例3に係る水素透過膜の断面構造を概略的に示す図である。
図5に示すように、この水素透過膜は、Ta水素透過層とPd触媒層の間にSiO2層及びWO3層からなる拡散防止層が挿入されている。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.02μmのSiO2拡散防止層と膜厚0.03μmのWO3拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
ここで、SiO2は、WO3より熱膨張率の低い第1拡散防止層であり、WO3は、拡散防止機能を有し、第1拡散防止層であるSiO2よりも熱膨張率の高い第2拡散防止層である。すなわち、実施例3に係る拡散防止層は、このような第1拡散防止層及び第2拡散防止層によって構成される。このように熱膨張率の低い材料を熱膨張率の高い材料と組み合わせれば、熱膨張時に発生する応力による剥離やクラックの発生を抑制できる。
図5に示す試料に対して水素透過試験を行った結果、測定開始直後より水素透過量が低下するものの、WO3拡散防止層のみの場合より緩やかであり、水素透過量自体も膜厚0.05μmのSiO2拡散防止層のみの場合より大きな値を示し、10時間後でも比較例1より大きな値を維持していた。
従って、SiO2拡散防止層とWO3拡散防止層を組み合わせることで相互拡散を遅らせる効果があることが分かった。
従って、SiO2拡散防止層とWO3拡散防止層を組み合わせることで相互拡散を遅らせる効果があることが分かった。
このように、本発明の実施例3によれば、熱膨張率の低い第1拡散防止層(SiO2)と、第1拡散防止層であるSiO2よりも熱膨張率の高い第2拡散防止層(WO3)を挿入することにより、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。また、このように熱膨張率の低い材料を熱膨張率の高い材料と組み合わせることにより、熱膨張時に発生する応力による剥離やクラックの発生を抑制できる。
なお、実施例3では、拡散防止層が種類の異なる2つの層(第1拡散防止層及び第2拡散防止層)によって構成される場合について説明したが、拡散防止層は、3層以上で構成されていてもよく、拡散防止機能を有し、第2拡散防止層よりも熱膨張率の高い第n(nは3以上の整数)拡散防止層をさらに備える構成であってもよい。
実施例4.
図6は、本発明の実施例4に係る水素透過膜の断面構造を概略的に示す図である。
図6に示すように、この水素透過膜は、Ta水素透過層とPd触媒層の間に多孔質SiO2拡散防止層が挿入されている。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.05μmの多孔質SiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
図6は、本発明の実施例4に係る水素透過膜の断面構造を概略的に示す図である。
図6に示すように、この水素透過膜は、Ta水素透過層とPd触媒層の間に多孔質SiO2拡散防止層が挿入されている。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.05μmの多孔質SiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
多孔質SiO2層はスパッタ時の圧力を従来の7×10―3Torrの圧力から5×10―2Torrの圧力へ変えることで形成する。
図6に示す試料に対して水素透過試験を行った結果、実施例2のSiO2拡散防止層のみの場合に比べ、安定性は変わらなかったものの水素透過量が約2倍に増加した。
図6に示す試料に対して水素透過試験を行った結果、実施例2のSiO2拡散防止層のみの場合に比べ、安定性は変わらなかったものの水素透過量が約2倍に増加した。
上記条件で成膜したSiO2層は、表面に微細な孔を持つ構造であることが顕微鏡による観察で分かった。
従って、SiO2拡散防止層構造を多孔質にすることが効果的であることが分かった。
このように、本発明の実施例4によれば、水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有する多孔質SiO2拡散防止層を挿入することにより、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。
なお、水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有する多孔質SiO2拡散防止層とは、結晶粒界のみならず、多孔質に含まれる結晶部分においても水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有する多孔質SiO2膜をいう。
従って、SiO2拡散防止層構造を多孔質にすることが効果的であることが分かった。
このように、本発明の実施例4によれば、水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有する多孔質SiO2拡散防止層を挿入することにより、相互拡散を防止できると共に、耐久性に優れ、かつ、水素透過能に優れる高品質の水素透過膜を提供することができる。
なお、水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有する多孔質SiO2拡散防止層とは、結晶粒界のみならず、多孔質に含まれる結晶部分においても水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有する多孔質SiO2膜をいう。
比較例2.
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.05μmの多孔質SiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
多孔質SiO2層はスパッタ時の圧力を従来の7×10―3Torrの圧力から3×10―1Torrの圧力へ変えることで形成する。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.05μmの多孔質SiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成する。
多孔質SiO2層はスパッタ時の圧力を従来の7×10―3Torrの圧力から3×10―1Torrの圧力へ変えることで形成する。
水素等価膜組立体の構造は、実施例4(図6参照)と同様である。
この試料に対して水素透過試験を行った結果、実施例4のSiO2拡散防止層の場合に比べ、初期の水素透過量の値は変わらなかったものの、その後時間とともに減少した。
この試料に対して水素透過試験を行った結果、実施例4のSiO2拡散防止層の場合に比べ、初期の水素透過量の値は変わらなかったものの、その後時間とともに減少した。
スパッタ時の圧力を3×10―1Torrとして成膜した多孔質SiO2層は、表面に実施例4の膜の数倍の大きさの孔を持つ構造であることが顕微鏡観察で分かった。
従って、この条件で作製したSiO2拡散防止層の多孔質膜では、実施例4の条件で作製した多孔質SiO2拡散防止層に比べ、孔が大き過ぎて拡散防止の効果が失われることが分かる。
従って、この条件で作製したSiO2拡散防止層の多孔質膜では、実施例4の条件で作製した多孔質SiO2拡散防止層に比べ、孔が大き過ぎて拡散防止の効果が失われることが分かる。
実施例5.
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.01μmと膜厚0.5μmのSiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成した2種類の水素透過膜を準備した。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.01μmと膜厚0.5μmのSiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成した2種類の水素透過膜を準備した。
これら水素透過膜に対して水素透過試験を行った結果、実施例1のSiO2拡散防止層の場合に比べ、水素透過量がほぼ一定値で維持される安定性は変わらなかったものの、膜厚0.01μmのSiO2拡散防止層の水素透過量は約1.1倍に増加し、膜厚0.5μmのSiO2拡散防止層の水素透過量は約1/3に減少した。
膜厚が0.01μmのSiO2拡散防止層では深さ方向分析で僅かに相互拡散が見られることから、これ以上薄い場合は相互拡散が起こる可能性が示唆された。
また、膜厚0.5μmのSiO2拡散防止層では、水素透過量が約1/3に減少したものの、比較例1の場合に比べ10時間後の水素透過量の値が僅かに上回ることから、拡散防止層挿入の効果は維持していると考えられる。
また、膜厚0.5μmのSiO2拡散防止層では、水素透過量が約1/3に減少したものの、比較例1の場合に比べ10時間後の水素透過量の値が僅かに上回ることから、拡散防止層挿入の効果は維持していると考えられる。
比較例3.
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.005μmと膜厚0.6μmのSiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成した2種類の試料を準備した。
膜厚100μmのTa箔を水素透過層とし、この表面にスパッタリングにより膜厚0.1μmのPd触媒層を形成するに際し、Ta水素透過層とPd触媒層の間に膜厚0.005μmと膜厚0.6μmのSiO2拡散防止層をスパッタリングにより形成した2種類の試料を準備した。
これら試料に対して水素透過試験を行った結果、膜厚0.005μmのSiO2拡散防止層では実施例1のSiO2拡散防止層の場合に比べ、安定性が無く水素透過量は時間とともに減少を続けたことから、相互拡散が生じていることが推察された。
一方、膜厚0.6μmのSiO2拡散防止層では水素透過量が約1/4まで減少し比較例1の10時間後の値より低いことから、これ以上の厚さでは拡散防止の効果は維持しているが水素透過量への影響が大きいと考えられる。
従って、拡散防止層の最適膜厚は、0.01μmから0.5μm程度までであることが分かった。
一方、膜厚0.6μmのSiO2拡散防止層では水素透過量が約1/4まで減少し比較例1の10時間後の値より低いことから、これ以上の厚さでは拡散防止の効果は維持しているが水素透過量への影響が大きいと考えられる。
従って、拡散防止層の最適膜厚は、0.01μmから0.5μm程度までであることが分かった。
1 チャンバ、2、3 真空排気ポンプ、4 電源、5 ターゲット、6 支持体、7 基板、8 加熱機構、9 ガスの取り入れ口、10 高さ調整機構、G 水素透過層、G1 拡散防止層、G2 触媒層、M 水素透過膜。
Claims (6)
- 水素透過性を有する金属または合金で構成される水素透過層と、
前記水素透過層の両面側に形成され、前記水素透過層中の水素を乖離させる触媒層とを備え、一側の触媒層から水素を透過し、前記水素透過層を通じて、他側の触媒層から水素を放出する水素透過膜であって、
前記多孔質基板と前記水素透過層との間、または、前記水素透過層と前記触媒層との間に形成され、前記水素透過層と前記触媒層の相互拡散を防ぐ拡散防止層をさらに備えることを特徴とする水素透過膜。 - 前記拡散防止層は、WO3、SiO2、ZrO2、Al2O3、TiO2、MgO、CaOのいずれか単体、もしくは、これらを複合化したセラミック、または、高融点炭化物もしくは硼化物で構成される層であることを特徴とする請求項1記載の水素透過膜。
- 前記拡散防止層は、多孔質層で構成されており、この多孔質層は、水素以外のガス成分が通過できない程度の隙間を有することを特徴とする請求項1記載の水素透過膜。
- 前記拡散防止層は、熱膨張率の低い第1拡散防止層と、拡散防止機能を有し、前記第1拡散防止層よりも熱膨張率の高い第2拡散防止層とによって構成されることを特徴とする請求項1記載の水素透過膜。
- 前記拡散防止層は、拡散防止機能を有し、前記第2拡散防止層よりも熱膨張率の高い第n(nは3以上の整数)拡散防止層を備えることを特徴とする請求項4記載の水素透過膜。
- 前記拡散防止層の膜厚は、0.01μm以上で0.5μm未満であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項記載の水素透過膜。
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---|---|---|---|---|
JP2013086038A (ja) * | 2011-10-19 | 2013-05-13 | Jx Nippon Oil & Energy Corp | 水素透過用合金膜 |
CN103668070A (zh) * | 2013-12-05 | 2014-03-26 | 中盈长江国际新能源投资有限公司 | 镁基储氢薄膜及其制备方法 |
-
2005
- 2005-03-29 JP JP2005095164A patent/JP2006272167A/ja active Pending
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