JP2006267556A - 光学積層体 - Google Patents

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【課題】 低屈折率層の外観形状が鱗状になることを有効に防止した光学積層体の提供。
【解決手段】 光透過性基材と、該光透過性基材の上に、防眩層と低屈折率層とをこれらの順で備えてなる光学積層体であって、前記低屈折率層が、低屈折率剤と、粘度が1.0mPa・s以上である有機溶剤とを含んでなる組成物により形成されてなるものにより達成される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学積層体、特に防眩性光学積層体に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置における画像表示面は、外部光源から照射された光線による反射を少なくし、その視認性を高めることが要求される。これに対して、光透過性基材に、防眩層を形成させた防眩性光学積層体を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の反射を低減させ視認性を向上させることが一般になされている(特許文献1:特開平6−18706号公報)。
防眩層は、樹脂成分に微粒子を添加して凹凸形状を形成させてなるものである。このため、防眩層の凹凸形状の上に、低屈折率層を形成させた場合、防眩層の凹凸形状により、低屈折率層用組成物が凸部から凹部に徐々に流れ落ちるため、形成された低屈折率層の外観形状が鱗状になることが見受けられた。このため、形成された低屈折率層は、それ自体本来の光学機能を発揮しうる(光学的には若干劣ることがある)が、画像表示装置のディスプレイとして装着され製品とされた場合、鱗状の外観が製品としての美観乃至意匠を損ねるとの指摘がしばしば成されていた。
このため、現在、防眩層の上に低屈折率層を層厚が均一になるように形成し、ディスプレイ製品としての外観が美観的、意匠的に好ましいものとされることが要求されている。
特開平6−18706号公報
本発明者等は、本発明時において、粘度が1.0mPa・s以上である有機溶剤を添加した低屈折率層用組成物によれば、防眩層の上に層厚が均一となった低屈折率層を形成することができ、所望のディスプレイ製品としての好ましい外観形状を有する光学積層体が得られるとの知見を得た。よって、本発明は特定の粘度を有する有機溶剤を選択することにより、層厚が均一とされた低屈折率層を形成することができ、その結果、優れた反射防止機能と画像鮮明度とを有し、かつ、ディスプレイ製品とした際に良好な意匠を与える光学積層体の提供を目的とするものである。
従って、本発明による光学積層体は、
光透過性基材と、該光透過性基材の上に、防眩層と低屈折率層とをこれらの順で備えてなるものであって、
前記低屈折率層が低屈折率剤と、粘度で1.0mPa・s以上である有機溶剤とを含んでなる組成物により形成されてなるものである。
光学積層体
本発明による光学積層体の好ましい態様について、図面1を用いて説明する。図1は本発明による光学積層体10の一態様を示す断面図である。図1によれば、光学積層体10は、光透過性基材1の上に、防眩層3、低屈折率層5がこれらの順で積層されてなるものである。防眩層3内には、大小の防眩剤が包含されてなり、防眩層3の表面に凹凸形状が形成されてなる。そして、低屈折率層5の層厚はほぼ均一になものとして形成されている。
本発明の好ましい態様よれば、防眩層の凸面の頂部における低屈折率層の層厚(図1中「A」)と、防眩層の凹面の底部における低屈折率層の層厚(図1中「B」)の差の絶対値が20nm以下であり、好ましくは10nm以下であり、好ましくは5nm以下である、光学積層体が提案される。
本発明にあっては、防眩層に形成されてなる低屈折率層の層厚は、様々な手法を用いて測定されてよいが、具体的な例としては、防眩層の上に形成された低屈折率層に生じる干渉色と、それに対応した反射率曲線から、低屈折率層の層厚を測定する方法が挙げられる。具体的には、光透過性基材上に防眩層(またはクリアーハードコート層)を形成し、その上に低屈折率層を形成する。低屈折率層の屈折率が1.39、低屈折率層の色がニュートラル、反射率曲線にて最低反射率を示す波長が約550nmとされる時には、低屈折率層の層厚は約98.9nmと計算することができる。また、低屈折率層の色が青色、反射率曲線にて最低反射率を示す波長が約600nmとされる時には、低屈折率層の層厚は約 107.9nmと計算できる。低屈折率層の色がニュートラルより若干黄色、最低反射率を示す波長が約500nmとされる時には、低屈折率層の層厚は約89.9nmと計算できる。低屈折率層の色が濃い青、最低反射率を示す波長が約650nmとされる時には、低屈折率層の膜厚は約116.9nmと計算できる。本発明の実施例における評価試験でも同様の手法により、低屈折率層の層厚を測定し評価する。なお、防眩層の膜厚を評価する場合には、凹部と凸部の干渉色をよく観察するために、光学顕微鏡を使用した。
1.低屈折率層
1)有機溶剤
低屈折率層とは、光透過性基材または防眩層の屈折率よりも低い屈折率であるものをいい、好ましくは、屈折率が1.20〜1.45であるものをいう。低屈折率層を形成する組成物には、粘度が1.0mPa・s(好ましくは1.1mPa・s)以上である有機溶剤を用いる。このような有機溶剤は、結着剤(特に、ポリマー)との組み合わせにおいて低屈折率層を形成するのに好ましく利用することができる。そして、このような有機溶剤は、所望の低屈折率層の層厚を均一化することを可能とする。
有機溶剤の具体例としては、シクロヘキサノン、メチルエチルヘキサノン(好ましくは、シクロヘキサノン)等である、ケトン系化合物;エタノール、2−エチルヘキサノール、2−オクタノール、、シクロヘキサノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル(好ましくは、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)等であるアルコール系化合物が挙げられ、これらの一種または二種以上の溶剤を使用することができる。本発明のより好ましいものとしては、アルコール系化合物が挙げられ、その中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましくは挙げられる。
2)低屈折率剤
低屈折率剤は、無機物微粒子または有機物微粒子を使用する。例えば、金属、金属酸化物、プラスチックからなるものが挙げられ、好ましくは酸化珪素(シリカ)微粒子が挙げられる。シリカ微粒子は結着剤(バインダー)の屈折率上昇を抑制しつつ、所望の屈折率を付与することを可能とする。シリカ微粒子は結晶性、ゾル状、ゲル状の状態等を問わない。また、シリカ微粒子は市販品を使用することができ、例えば、アエロジル(デグサ社製)、コロイダルシリカ(日産化学工業製)等が好ましく使用することができる。
本発明の好ましい態様によれば、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。「空隙を有する微粒子」は低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることを可能とする。本発明において、「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
空隙を有する無機系の微粒子の具体例としては、特開2001−233611号公報で開示されている技術を用いて調製したシリカ微粒子が好ましくは挙げられる。空隙を有するシリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
塗膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては先のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造され使用される、充填用のカラム、表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる吸着剤、触媒固定用に使用される多孔質微粒子、または断熱材若しくは低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体若しくは凝集体を挙げることができる。そのような具体的としては、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)が挙げられ、これらの中から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
微粒子の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。
微粒子の疎水化
本発明の好ましい態様によれば、疎水化された微粒子が利用される。疎水化される微粒子はそれ自体、疎水性、非疎水性、これらの両性のいずれであってもよい。また、疎水化は、微粒子の全表面または内部構造までさらに行ってもよい。微粒子を疎水化する処理方法としては下記の方法が挙げられる。
A1)低分子有機化合物による疎水化処理
この処理は、低分子有機化合物を有機溶剤中に溶解させた溶液中に、微粒子(例えば、シリカ微粒子)を分散させた後に、有機溶剤を完全に蒸発除去することにより、微粒子を低分子有機化合物により処理(被覆)し疎水化する方法である。低分子有機化合物は、その分子量(ポリスチレン換算による数平均分子量)が5千以下、好ましくは3千以下のものが挙げられ、その具体例としては、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸のような低分子有機カルボン酸、低分子有機アミン等が挙げられる。
A2)高分子化合物による表面被覆疎水化処理
この処理は、微粒子表面の少なくとも一部に高分子化合物を被覆させる方法である。具体的には微子表面にモノマーを選択的に吸着させた後に高分子量化を行う手法、微粒子存在下での乳化重合法、マイクロカプセル化手法、分散重合法、懸濁重合法、シード重合法、スプレードライ法、冷却造粒法、超臨海流体を用いる方法、ヘテロ凝集法、乾式微粒子凝集法、相分離法(コアセルベーション法)、界面重合法、液中乾燥法(界面沈殿法)、オリフィス法、界面無機反応法、超音波法等を使用することができる。上記いずれかの手法を用いることで、所望の高分子化合物で表面の少なくとも一部を被覆することができる。
高分子化合物は、その分子量(ポリスチレン換算による数平均分子量)が5千以上、好ましくは1万以上のものであり、疎水性が高いものほど好ましくは用いられる。このような高分子化合物の具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、フッ素原子などの含ハロゲン系樹脂、アクリル系樹脂、含チッ素系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコン樹脂、PPO樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アミノ樹脂、アセタール樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ペントン樹脂、天然ゴム、合成ゴム単独、及び/或いは複合化物(ブレンドや共重合)、また下記A3)で説明するカップリング剤を高分子量化したもの、または有機−無機ハイブッリド型高分子化合物が挙げられる。この有機−無機ハイブリッドポリマーのモノマーの具体例としては、アルコキシシラン等の有機金属化合物類が挙げられ、下記A4)に例示されるモノマー又はポリマーと組み合わせて用いられる。好ましい有機−無機ハイブリッドポリマーの具体例としては、市販品としてコンポセランまたはユリアーノ(商品名:荒川化学工業株式会社製)が挙げられる。
A3)カップリング剤による疎水化処理
低分子有機化合物の代わりにカップリング剤を用いる以外は、上記1)と同様の処理を行うことにより、微粒子を疎水化する方法である。カップリング剤は多種多様なものを使用することが可能であるが、アルキル鎖を有するシランカップリング剤、フッ素原子を含有するシランカップリング剤(フッ素系シランカップリング剤)が好ましくは挙げられる。これらのカップリング剤により微粒子(好ましくは無機微粒子)の表面を疎水化すると、特にフッ素含有バインダーに対して優れた相溶性が得られ、その結果、低屈折率層の白化を有効に防止できる。
アルキル鎖を有するシランカップリング剤の具体例としては、メチルトリエトキシシラン、トリメチルトリクロロシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
フッ素系シランカップリング剤の具体例としては、GE東芝シリコーン(株)製のフルオロアルキルシランカップリング剤(商品名:TSL8262、TSL8257、TSL8233、TSL8231等)、またはパ−フルオロポリエーテル基を有するアルコキシシランが挙げられる。また、屈折率に影響を及ぼさない範囲内で、他のケイ素以外の元素を有するカップリング剤の使用も可能であり、その具体例としては、味の素(株)より市販されているチタネートカップリング剤(商品名:プレンアクトKR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41B、KR−38S、KR−138S、KR−238S、KR−338X、KR−44、KR−9SA、KR−ET等が例示される);テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラsec−ブトキシチタン、テトラtert−ブトキシチタン等の金属アルコキシドが挙げられる。
A4)疎水性ポリマーをグラフトすることによる疎水化
この方法は、具体的には以下の三つの方法に大別される。
4a)微粒子によりポリマーの成長末端を補足させる方法
微粒子の表面に存在する親水性基(例えば、シリカの表面に存在する水酸基(−OH))はラジカルなどの活性種を補足する作用があるため、このような微粒子を存在させて多官能モノマー又はオリゴマーの重合反応を行うか、或いは多官能モノマー又はオリゴマーの重合系に無機超微粒子を添加することにより、微粒子表面に重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーを結合させて、微粒子を疎水化する方法である。
4b)微粒子の表面から重合反応を開始させる方法
ラジカル重合開始剤等の重合開始活性種を予め微粒子(例えば、シリカ)の表面に形成し、多官能モノマー又はオリゴマーを用いて微粒子表面からポリマーを成長させる方法である。この方法によれば、高分子量の重合反応性ポリマー鎖が容易に得られる。
4c)微粒子表面の親水性基と反応性基を有するポリマーとを結合させる方法
二官能以上の反応性基を有するポリマーを用いる方法であり、微粒子の水酸基(例えばシリカ表面の水酸基)と、ポリマー末端の反応性基とを直接結合させる方法、或いはポリマー末端の反応性基および/または微粒子の親水性基に他の反応性基を結合させた後に両者を結合させる方法である。
4c)の方法は、多種多様なポリマーを用いることができ、比較的簡便な操作で、かつ、結合効率も良好であることから好ましいものといえる。この方法は、微粒子表面の水酸基と反応性基を有するポリマー間の脱水重縮合反応を利用するため、ポリマー及びその溶液中に微粒子(例えば、シリカ微粒子)を分散させて適温、適切な時間加熱することが必要である。例えば、シリカの場合、それとポリマーの量にもよるが、一般に80℃以上で3時間以上加熱することが好ましい。
上記A1)〜A4)の方法により、微粒子を疎水化することができるが、本発明の好ましい具体例を以下に説明する。シリカの表面を疎水化する場合、シリカ100重量部当たり、上記した疎水性化合物が1重量部以上の割合で存在していることが好ましい。また、シリカの表面に存在するポリマーのグラフト部分の数平均分子量は、300〜20000の範囲にあることが好ましい。シリカに結合した重合性官能基の量は、元素分析法により測定することができる。
3)結着剤(バインダー)
本発明による低屈折率層は、結着剤を用いて形成することが好ましい。結着剤は、1分子中に3個以上の電離放射線で硬化する官能基を有するモノマーが含まれる。本発明で使用するモノマーは、電離放射線により硬化する官能基(以下、「電離放射線硬化性基」と適宜呼ぶ)を有し、かつ、熱により硬化する官能基(以下、「熱硬化性基」と適宜呼ぶ)を有する。このため、このモノマーを含有する組成物(塗工液)を被塗工体の表面に塗布し、乾燥した後、電離放射線を照射し、又は電離放射線の照射と加熱を行うことにより、塗膜内の架橋結合等の化学結合を容易に形成し、塗膜を効率よく硬化させることができる。
このモノマーが有する「電離放射線硬化性基」は、電離放射線の照射により重合又は架橋等の大分子量化反応を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基であり、例えば、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合のような重合反応、或いは、光二量化を経て進行する付加重合又は縮重合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。その中でも、特に、アクリル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基は、紫外線、電子線のような電離放射線の照射により直接的に、又は開始剤の作用を受けて問接的に光ラジカル重合反応を生じるものであり、光硬化の工程を含む取り扱いが比較的容易なものとして好ましい。
モノマー成分中に含まれていてもよい「熱硬化性基」は、加熱によって同一の官能基又は他の官能基との間で重合又は架橋等の大分子量化反応を進行させて硬化させることができる官能基であり、そのような基の具体例としては、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、水素結合形成基等が挙げられる。これらの官能基の中でも水素結合形成基は、微粒子が無機超微粒子である場合、微粒子表面に存在する水酸基との親和性にも優れており、該無機超微粒子及びその集合体のバインダー中での分散性を向上させるので好ましい。水素結合形成基のうち、特に水酸基が、バインダー成分への導入が容易で、コーティング組成物の保存安定性や熱硬化により無機系の空隙を有する微粒子表面に存在する水酸基との共有結合を形成し、該空隙を有する微粒子が架橋剤として作用し、塗膜強度の更なる向上を図ることができるために特に好ましい。ここで、塗膜の屈折率を充分に低くするためには、モノマー成分の屈折率が1.65以下であることが好ましい。
結着剤の別の例としては、1分子中に2個以上の電離放射線硬化性基を有するモノマー成分が挙げられ、これは塗膜の架橋密度を向上させ、膜強度又は硬度を向上させるために好ましいものである。
塗膜の屈折率を下げ、撥水性を持たせるためには、分子中にフッ素原子を有することが望ましい。本発明においては、フッ素原子を含み、且つ数平均分子量が2万以上の電離放射線で硬化するポリマーと、1分子中に2個以上の電離放射線で硬化する官能基を有するフッ素含有及び/又は先の非含有のモノマーとの組合せを好ましくは用いることができる。この組合せによる組成物は、低屈折率組成物に成膜性(皮膜形成能)と低い屈折率を付与するための結着剤である電離放射線硬化型のフッ素原子を含有するモノマー及び/又はポリマーを含んでなるものである。
分子中にフッ素原子を含有及び/又は非含有モノマー及び/又はオリゴマーは塗膜の架橋密度を高める効果があり、分子量が小さいので流動性が高い成分であり、コーティング組成物の塗工適性を向上させる効果がある。フッ素原子含有ポリマーは、分子量が十分大きいので、フッ素原子含有及び/又は非含有モノマー及び/又はオリゴマーと比べて成膜性が高い。このフッ素原子含有ポリマーに、上記フッ素原子含有及び/又は非含有モノマー及び/又はオリゴマーとの組合せにより、流動性が向上され塗工液としての適性が改善され、架橋密度も高められるので塗膜の硬度又は強度を向上させることができる。
フッ素原子含有モノマーの具体例としては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロー2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等が挙げられる)、アクリルまたはメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類、完全または部分フッ素化ビニルエステル類、完全または部分フッ素化ビニルケトン類等が挙げられる。
フッ素原子非含有モノマーの具体例としては、ペンタエリストールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリストールジアクリレートモノステアレート等のジアクリレー;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート誘導体、ジペンタエリストールペンタアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;または、これらのラジカル重合性モノマーが重合したオリゴマーが挙げられる。これらのフッ素非含有モノマー及び/又はオリゴマーは、二種以上を組み合わせて用いても良い。
互いに重合可能な重合性官能基を有するフッ素原子含有ポリマーとフッ素原子含有及び/又は非含有モノマーとを組み合わせた組成物は、フッ素原子含有ポリマーにより塗工用組成物の成膜性を向上させて、フッ素原子含有及び/又は非含有モノマーにより架橋密度を高め、塗工適性を向上させ、かつ、両成分のバランスによって優れた硬度と強度を塗膜に付与することができるので好ましい。この揚合、数平均分子量が20,000〜500,000のフッ素原子含有ポリマーと数平均分子量が20,000以下のフッ素原子含有及び/又は非含有モノマーを組合せて用いることにより、塗工適性、成膜性、膜硬度、膜強度などを含めた諸物性の調整を容易に行えるので好ましい。
分子中にフッ素を含有するポリマーとしては、上記したようなフッ素原子含有モノマーから任意に選ばれる1又は2以上のフッ素原子含有モノマーの単独重合体又は共重合体、或いは、1又は2以上のフッ素原子含有モノマーと1又は2以上のフッ素非含有モノマーとの共重合体を用いることができる。そのような具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン1、4−フルオロエチレン−6−フルオロプロピレン共重合体、4−フルオロエチレン−パ−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、4−フルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニルフルオライド、ポリピニリデンフルオライド、アクリルまたはメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類の(共)重合体、フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体、エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド、シリコーン等各樹脂のフッ素変性品等が挙げられる。その他にも、市販品として、サイトップ(商品名:旭硝子(株)製)が挙げられる。特に、ポリビニリデンフルオライド誘導体が、屈折率が低く、硬化性官能基の導入が可能で、且つ他の結着剤、空隙を有する微粒子との相溶性に優れるために特に好ましい。
ポリビニリデンフルオライド誘導体の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等のジアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート誘導体又はジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、或いは、これらのラジカル重合性モノマーが重合したオリゴマーを列挙することができる。これらのフッ素非含有モノマー及び/又はオリゴマーは、二種以上を組み合わせて用いても良い。
結着剤成分に属するモノマー、オリゴマー、ポリマー、及び、結着剤成分に属しないモノマー、オリゴマー、ポリマーを適宜組み合わせて、成膜性、塗工適性、電離放射線硬化の架橋密度、フッ素原子含有量、熱硬化性を有する極性基の含有量等の諸性質を調節することができる。例えば、モノマー、オリゴマーにより架橘密度と加工適性が向上し、ポリマーによりコーティング組成物の成膜性が向上する。本発明においては、結着剤成分の中から数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算数平均分子量)が20,000以下のモノマーと数平均分子量が20,000以上のポリマーを適宜組み合わせ、塗膜の諸性質を容易に調節することが可能である。
4)任意の成分
低屈折率層は、特定の有機溶剤と、微粒子と、(好ましくは)結着剤を含んでなるものであるが、さらに必要に応じて、フッ素系化合物および/またはケイ素化合物、分子中にフッ素原子を含む電離放射線硬化型樹脂組成物以外の結着剤等を含んでなるものであってよい。さらに、低屈折率層形成用塗工液には、溶剤、重合開始剤、硬化剤、架橋剤、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング剤)、またはその他の成分が含まれていても良い。
フッ素系化合物および/またはケイ素系化合物
低屈折率層は、分子中にフッ素原子を含む電離放射線硬化型樹脂組成物および微粒子の何れに対しても相溶性を有するフッ素系化合物および/またはケイ素系化合物を含有してもよく、寧ろ好ましい。フッ素系化合物および/またはケイ素系化合物を含ませることにより、最表面に用いられる塗膜表面の平坦化又は反射防止積層体に必要とされる防汚性、耐擦傷性の向上に効果がある滑り性を付与することができる。
本発明においては、さらにフッ素系化合物および/またはケイ索化合物の少なくとも一部が、電離放射線練硬化型樹脂組成物と、化学反応により共有結合を形成して塗膜最表面に固定されてなるものが好ましく、これにより、反射防止積層体が製品化後に必要とされる防汚性又は耐擦傷性の向上に効果がある滑り性を長期間安定に保持することが可能となる。
フッ素系化合物の具体例としては、
パーフルオロアルキル基〔式:C2d+1で表され、好ましくはdが1〜2の整数である〕、
パーフルオロアルキレン基〔式:−(CFCFで表され、好ましくはgが1〜50の整数である〕、
パーフルオロアルキルエーテル基〔式:F−(−CF(CF)CFO−)−CF(CF〕で表され、好ましくはeが1〜50の整数である)、
パーフルオロアルケニル基〔例えば、式:CF=CFCFCF−、式:(CFC=C(C)−、および式:((CF)2CF)C=C(CF)−等で例示される基〕を有する化合物またはこれらの混合物が好ましくは挙げられる。
上記の官能基を含む化合物であれば、フッ素系化合物の構造は特に限定されるものではなく、例えば、含フッ素モノマーの重合体または含フッ素モノマーと非フッ素モノマーの共重合体等を用いることもできる。それらの中でも特に、含フッ素モノマーの単独共重合体、または含フッ素モノマーと非フッ素モノマーとの共重合体のいずれかで構成される含フッ素系重合体セグメントと、非フッ素系重合体セグメント、とから成るブロック共重合体またはグラフト共重合体が好ましくは用いられる。
このような共重合体においては、含フッ素系重合体セグメントが、主に防汚性と撥水撥油性を高める機能を有し、一方、非フッ素系重合体セグメントが、結着剤との相溶性が高いことから、アンカー機能を有する。したがって、このような共重合体を用いた反射防止積層体においては、繰り返し表面が擦られた場合であってもこれらフッ素系化合物の剥離が防止され、防汚性などの諸性能を長期間維持できるという効果がある。
フッ素系化合物は市販の製品として入手することができ、例えば、日本油脂製モディパーFシリーズ(商晶名)、大日本インキ化学工業社製ディフェンサMCFシリーズ(商品名)等が好ましく用いられる。また、フルオロアルキル基を有するシリコーンオイルFL100(商品名:信越化学工業社製)、ポリエーテル変性シリコーンオイルTSF4460(商品名、GE東芝シリコーン社製)等が挙げられ、目的に合わせて種々の変性シリコーンオイルを入手できる。
フッ素系化合物および/またはケイ素系化合物の含有量は、分子中にフッ素原子を含む電離放射線硬化型樹脂組成物と微粒子の総重量に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜3、0重量%の範囲であることが好ましい。含有量が上記の範囲内にあることにより、反射防止積層体に防汚性および滑り性を十分に付与することができ、かつ、その塗膜の強度を十分なものとすることができる。
フッ素系化合物および/またはケイ素系化合物は、単独または二種以上を混合して用いても良い。これらの化合物を適宜選択し使用することにより、防汚性、撥水/撥油性、滑り性、耐擦傷性、耐久性等の諸性質を調節し、目的とする機能を発現させることができる。
重合開始剤
重合開始剤は、フッ素原子含有成分を主体とする結着剤、電離放射線硬化性能が付与された微粒子、及び、任意成分である他のバインダー成分の電離放射線硬化性基が、電離放射線照射によって直接重合反応を生じにくい場合等において、バインダー成分及び微粒子の反応形式に合わせて、適宜添加されてよい。
例えば、フッ素原子含有成分を主体とする結着剤の電離放射線硬化性基がエチレン性不飽和結合である揚合には、光ラジカル重合開始剤を用いることができる。光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケトン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン等が挙げられ、好ましくは、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、及び、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが挙げられ、これらは少量でも電離放射線の照射による重合反応の開始を促進する働きを有するので好ましい。また、これらのものは単独または二種以上の組合せで用いることができる。上記した化合物は市販品をも利用することができ、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンはイルガキュア(Irgacure)−184(商品名:チバスペシャリティーケミカルズ(株))として入手可能できる。
光ラジカル重合開始剤は、フッ素原子含有成分を主体とする結着剤の総重量(100重量部)に対して、3〜15重量部の割合で配合する。
硬化剤
硬化剤は、フッ素原子含有成分を主体とする結着剤の熱硬化性極性基の熱硬化反応を促進するために配合されてよい。熱硬化性極性基が水酸基である場合には、硬化剤としてはメチロールメラミン等の塩基性基を有する化合物、金属アルコキシド等の加水分解により水酸基を発生する加水分解性基を有する化合物が挙げられる。「塩基性基」は、アミン、ニトリル、アミド、イソシアネート基が好ましく挙げられる。「加水分解性基」としては、アルコキシ基が好ましくは挙げられる。
フッ素原子含有成分を主体とする結着剤の熱硬化性極性基がエポキシ基である場合には、塗工用組成物中に、硬化剤として、通常、多価カルボン酸無水物又は多価カルボン酸を用いる。多価カルボン酸無水物の具体としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイト等のエステル基含有酸無水物が挙げられ、好ましくは芳香族多価カルボン酸無水物が挙げられる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロベンタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。硬化剤は、フッ素原子含有成分を主体とする結着剤の総重量(100重量部)に対して0.05〜30.0重量部の割合で用いることができる。
2.防眩層
防眩層は、透過性基材と低屈折率層との間に形成されてよい。防眩層は樹脂と防眩剤とにより形成されてよい。
本発明の好ましい態様によれば、防眩層は防眩剤としての微粒子の平均粒径をR(μm)とし、防眩層凹凸のの十点平均粗さをRz(μm)とし、防眩層の凹凸平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をθaとした場合に、下記数式:
30≦Sm≦600
0.05≦Rz≦1.60
0.1≦θa≦2.5
0.3≦R≦15
を全て同時に満たすものが好ましい。
また、本発明の別の好ましい様態によれば、微粒子と樹脂の屈折率をそれぞれ、n1、n2とした場合に、△n=│n1−n2│<0.1を満たすものであり、かつ、防眩層内部のヘイズ値が55%以下である防眩層が好ましい。防眩層の膜厚(硬化時)は0.1〜100μm、好ましくは0.8〜10μmの範囲にあることが好ましい。膜厚がこの範囲にあることにより、防眩層としての機能を十分に発揮することができる。
1)防眩剤
防眩剤としては微粒子が挙げられ、その形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられる。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、無機系であればシリカビーズ、有機系であればプラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは、透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、透明樹脂組成物100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。
防眩層用組成物を調整する際に沈降防止剤を添加することが好ましい。沈降防止剤を添加することにより、樹脂ビーズの沈殿を抑制し、溶媒内に均一に分散させることができるからである。沈降防止剤の具体例としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.25μm程度のシリカビーズが挙げられる。
2)樹脂
樹脂としては、透明性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げら、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー、反応性希釈剤が挙げられ、これらの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は一般的に例示されるものが利用される。溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。本発明の好ましい態様によれば、透明基材の材料がTAC等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例として、セルロース系樹脂、例えばニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。セルロース系樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
防眩層用塗工液を調整する際に沈降防止剤を添加することが好ましい。沈降防止剤を添加することにより、樹脂ビーズの沈殿を抑制し、溶媒内に均一に分散させることができるからである。沈降防止剤の具体例としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.25μm程度のシリカビーズが挙げられる。沈降防止剤としてのシリカビーズの添加量は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して0.1重量部未満程度が好ましい。この添加量により、樹脂ビーズの沈降を有効に防止することができ、かつ、塗膜の透明性を十分維持することができるからである。
3)導電剤
本発明の好ましい態様によれば、防眩層は導電剤を含んでなるものが好ましい。導電剤は後記する帯電防止剤と同様であってよい。
3.光透過性基材
光透過性基材は、光を透過するものであれば、透明、半透明、無色または有色を問わないが、好ましくは無色透明のものがよい。光透過性基材の具体例としては、ガラス板;トリアセテートセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、アクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテル;トリメチルペンテン;ポリエーテルケトン;(メタ)アクリロニトリル等により形成した薄膜等が挙げられる。光透過性基材の厚さは、30μm〜200μm程度であり、好ましくは50μm〜200μmである。
4.任意の層
本発明による反射防止積層体は、光透過性基材と、防眩層と、低屈折率層とを少なくとも備えてなるものであるが、任意の層として帯電防止層、屈折率層、防汚層等をさらに備えてなるものであってもよい。任意の層は、光学積層体の何れの箇所に形成されてよい。
1)帯電防止層
帯電防止層は、反射防止積層体に、静電気の発生の抑制、ゴミの付着の排除、および外部からの静電気障害の抑制を図るために設けられてよい。帯電防止層は反射防止積層体の表面抵抗値を1012Ω/□以下とする働きを担うものが好ましいが、その一方で、表面抵抗値が1012Ω/□以上であっても、静電気の発生の抑制等の上記諸機能を発揮できるのであれば帯電防止層を設けることが好ましい。帯電防止層の厚さは、30nm〜1μm程度であることが好ましい。
帯電防止剤(導電剤)
帯電防止層を形成する帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
さらに、粒子径が100nm以下の超微粒子、例えば酸化スズ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、インジウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化アンチモン、酸化インジウム等もまた帯電防止剤として使用できる。このような化合物は、粒子径が可視光線の波長以下の100nm以下であることから、製膜後塗膜は透明であり、反射防止積層体の性能を損うことがない。
樹脂
樹脂の具体例としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂もしくは電離放射線硬化性化合物(有機反応性ケイ素化合物を含む)を使用することができる。樹脂としては、熱可塑性の樹脂も使用できるが、熱硬化性樹脂を使用することがより好ましく、もっと好ましいのが、電離放射線硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性化合物を含む電離放射線硬化性組成物である。
電離放射線硬化性組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
電離放射線硬化性組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等を挙げることができる。
通常、電離放射線硬化性組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
電離放射線硬化性組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
電離放射線硬化性組成物には、次のような有機反応性ケイ素化合物を併用してもよい。有機ケイ素化合物の1は、一般式RSi(OR')(式中、mとnはm+n=4の関係を満たす整数である)で表せるもので、RおよびR'は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物に併用し得る有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤である。具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
2)他の屈折率層(高屈折率層と中屈折率層)
本発明の好ましい態様によれば、他の屈折率層(高屈折率層と中屈折率層)が反射防止性をさらに向上させるために設けられてよく、好ましくは防眩層と低屈折率層との間に設けられてなるものがよい。これらの屈折率層の屈折率は1.46〜2.00の範囲内で設定されてよい。また、本発明にあっては、中屈折率層は、その屈折率が1.46〜1.80の範囲内のものを意味し、高屈折率層は、その屈折率が1.65〜2.00の範囲内のものを意味する。
これら屈折率層は、電離放射線硬化型樹脂と、粒子径100nm以下であり、所定の屈折率を有する超微粒子とにより形成されてよい。このような微粒子の具体例(かっこ内は屈折率を示す)としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。微粒子とは、1ミクロン以下の、いわゆるサブミクロンの大きさのものを指し、好ましくは、平均粒径が0.1nm〜0.1μmのものである。
超微粒子の屈折率は電離放射線硬化型樹脂よりも高いものが好ましい。屈折率層の屈折率は超微粒子の含有率によって一般に定まることから、超微粒子の添加量が多い程、屈折率層の屈折率は高くなる。よって、電離放射線硬化型樹脂と、超微粒子との添加比率を調整することにより、屈折率を1.46〜1.80の範囲内のものとした、高屈折率層または中屈折率層を形成することが可能である。
超微粒子が導電性を有するものであれば、このような超微粒子を用いて形成された他の屈折率層(高屈折率層または中屈折率層)は帯電防止性を兼ね備えたものとなる。
高屈折率層または中屈折率層は、化学蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)などの蒸着法により形成した酸化チタン又は酸化ジルコニウムのような屈折率の高い無機酸化物の蒸着膜とし、あるいは、酸化チタンのような屈折率の高い無機酸化物微粒子を分散させた塗膜とすることができる。
光学積層体の製造方法
液体組成物の調整
防眩層、低屈折率層等を形成する各組成物は、一般的な調製法に従って、先に説明した成分を混合し分散処理することにより調整されてよい。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等で適切に分散処理することが可能となる。
塗工
光透過性基材表面、帯電防止層の表面への各液体組成物の塗布法の具体例としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ワイヤ
ーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法(例えば、米国特許2
681294号明細書参照)によりトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し、加熱・
乾燥するが、マイクログラビアコート法、ロールコート法、エクストルージョン法が塗布
精度の点で特に好ましい。スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
硬化
各層を構成する樹脂を硬化する方法は周知の方法を使用することができる。例えば、電子線硬化型樹脂の場合、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
光学積層体の用途
本発明による光学積層体は、好ましくは反射防止積層体(特に防眩性光学積層体)として利用される。また、本発明による光学積層体は、偏光板、透過型表示装置の表示最表面用積層体としてに利用される。特に、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサなどのディスプレイ表示に使用される。とりわけ、CRT、液晶パネルなどのディスプレイの表面に用いられる。
偏光板
偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護積層体により主として構成される。本発明の反射防止積層体は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護保護積層体のうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の光学積層体が保護積層体を兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の光学積層体を最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐擦傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。偏光膜は、公知の偏光膜、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。
本発明の内容を下記実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に限定して解釈されるものではない。
低屈折層用組成物の調製
低屈折率層用組成物1
メチルイソブチルケトンと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを80%:20%の比で混合した溶媒10.3g(粘度1.1mPa・s)に、シリカ微粒子1gを加えた後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、屈折率1.51)0.17gを添加した。更に、光重合開始剤(イルガキュア184を0.0034gと、イルガキュア907と0.0101g;(チバガイギー(株)製)を添加して撹拌し、最後にTSF4460を0.01g(GE東芝シリコーン社製)加えて、低屈折率層用組成物1を得た。メチルイソブチルケトンは、シリカ微粒子を分散するために用いられる溶媒として好ましいものである。
低屈折率層用組成物2
メチルイソブチルケトンと、プロピレングリコールモノメチルエーテルとを80%:20%の比で混合した溶媒10.3g(粘度1.9mPa・s)に、シリカ微粒子1gを加えた後、ペンタエリスリトールトリアクリレート:0.17gを添加した。更に、光重合開始剤(イルガキュア184を0.0034gと、イルガキュア907を0.0101g)を添加して撹拌し、最後にTSF4460を0.01g加えて、低屈折率層用組成物2を得た。
低屈折率層用組成物3
メチルイソブチルケトン10.3gにシリカ微粒子1gを加え、そこにペンタエリスリトールトリアクリレートを0.16gと、ポリメチルメタアクリレート(三菱レイヨン製、分子量40000)を0.012gとを添加した。更に光重合開始剤(イルガキュア184を0.0032gと、イルガキュア907を0.0096g)を添加して撹拌し、最後にTSF4460を0.01g加えて、低屈折率層用組成物3を得た。
低屈折率層用組成物4
メチルイソブチルケトン10.3gをシリカ微粒子1gに加え、そこにペンタエリスリトールトリアクリレートを0.167gと、ポリメチルメタアクリレート(三菱レイヨン製、分子量90000)を0.004gとを添加した。更に光重合開始剤(イルガキュア184を0.0033gと、イルガキュア907を0.0100g)を添加して撹拌し、最後にTSF4460を0.01g加えて、低屈折率層用組成物4を得た。
低屈折率層用組成物5
メチルイソブチルケトン10.3gをシリカ微粒子1gに加え、そこにペンタエリスリトールトリアクリレートを0.163gと、セルロースアセテートプロピオネート(ザ・インクテック(株)製、分子量25000)を0.008gとを添加した。更に光重合開始剤(イルガキュア184を0.0033gと、イルガキュア907を0.0098g)を添加して撹拌し、最後にTSF4460を0.01g加えて、低屈折率層用組成物5を得た。
低屈折率層用組成物6
メチルイソブチルケトン10.3gをシリカ微粒子1gに加え、そこにペンタエリスリトールトリアクリレートを0.17g添加した。更に光重合開始剤(イルガキュア184を0.00342gと、イルガキュア907を0.01025g)を添加して撹拌し、最後にTSF4460:0.01g加えて、低屈折率層用組成物6を得た。
防眩層用組成物の調製
紫外線硬化型樹脂であるペンタエリスリトールトリアクリレート70質量部(日本化薬(株)製、屈折率1.49)、紫外線硬化型樹脂であるイソシアヌル酸EO変性ジアクリレートを30質量部(東亜合成(株)製、屈折率1.51)、アクリル系ポリマー(三菱レイヨン製、分子量75,000)10.0質量部、光硬化開始材であるイルガキュア184を5.0質量部(チバガイギ−(株)製)、透光性微粒子としてスチレンビーズ15.0質量部(綜研化学(株)製、粒径3.5μm、屈折率1.60)、レベリング剤として10−28(ザ・インクテック(株)製)を0.01質量部、トルエンを127.5質量部、及び、シクロヘキサノン54.6質量部を十分混合して塗布液として調製した。この塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用組成物を調製した。
光学積層体の調製
実施例1
トリアセテートセルローストリアセテート(富士写真フィルム製:商品名TDY80UL:膜厚80μm)の上に防眩層用組成物をバーコーター(ミヤバ#12)を用いて塗布した後、70℃のオーブンで加熱乾燥させ、N雰囲気下でUV照射装置(フィージョンUVシステムジャパン(株)製)のHパルプを光源に用いて硬化し(積算光量15mj)防眩層を形成した。次に、低屈折率層用組成物1を、防眩層の上に、バーコーター(ミヤバ♯3)を用いて塗布した後、50℃のオーブンで加熱乾燥させ、N雰囲気下でUV照射装置用いて硬化し(積算光量57mj)、低屈折率層を形成した光学積層体を調製した。
実施例2
低屈折率層用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にして光学積層体を調製した。
比較例1
低屈折率層用組成物3を用いた以外は、実施例1と同様にして光学積層体を調製した。
比較例2
低屈折率層用組成物4を用いた以外は、実施例1と同様にして光学積層体を調製した。
比較例3
低屈折率層用組成物5を用いた以外は、実施例1と同様にして光学積層体を調製した。
比較例4
低屈折率層用組成物6を用いた以外は、実施例1と同様にして光学積層体を調製した。
評価試験
実施例と比較例の各光学積層体について、下記評価試験を行い、その結果を下記表1に記載した。
評価1:鱗模様の存否試験
各光学積層体の外観を目視して低屈折率層の表面の形状を下記の基準にて評価した。
評価基準
評価◎:鱗模様は生じておらず、滑面を形成していた。
評価○:鱗模様は若干見受けられたが、製品上問題ないものであった。
評価×:鱗模様が多数存在していた。
評価2:低屈折率層の膜厚試験
光学積層体に形成された低屈折率層の膜厚を計測し、下記の基準で判断した。
評価基準
評価◎:膜厚差が10nm以下であった。
評価○:膜厚差が10nm超過20nm未満であった。
評価×:膜厚差が20nm超過であり、明らかに鱗模様が形成された。
評価3:中空シリカの凝集(白色化)の有無試験
各光学積層体の外観を目視して低屈折率層内の中空シリカの凝集状態および層の白色化の有無を下記の基準にて評価した。
評価基準
評価◎:中空シリカは凝集しておらず、分散していた。
評価○:中空シリカの凝集は若干見受けられたが、製品上問題ないものであった。
評価×:中空シリカは凝集しており、層全体に白色化が見られた。
評価4:耐擦傷性評価試験
低屈折率層の表面を、#0000番のスチールウールを用いて、所定の摩擦荷重(200〜1000gの範囲内で200g毎に変化させた)で10往復摩擦し、その後の塗膜の剥がれの有無を目視し下記の基準にて評価した。
評価基準
評価◎:塗膜の剥がれが全くなかった。
評価○:塗膜の若干の剥がたあったが、製品上問題ないと判断した。
評価×:塗膜の全てが剥がれた。
表1
評価1 評価2 評価3 評価4
実施例1 ◎ ◎ ◎ ◎
実施例2 ◎ ◎ ◎ ◎
比較例1 × × ◎ ◎
比較例2 × × ○ ◎
比較例3 × × ◎ ○
比較例4 × × ◎ ◎
図1は本発明による光学積層体の一態様を示す断面図である。

Claims (10)

  1. 光透過性基材と、該光透過性基材の上に、防眩層と低屈折率層とをこれらの順で備えてなる光学積層体であって、
    前記低屈折率層が、低屈折率剤と、粘度が1.0mPa・s以上である有機溶剤とを含んでなる組成物により形成されてなる、光学積層体。
  2. 前記有機溶剤が、ケトン系化合物またはアルコール系化合物である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記低屈折率剤がシリカ微粒子である、請求項1または2に記載の光学積層体。
  4. 前記低屈折率剤が空隙を有するシリカ微粒子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学積層体。
  5. 防眩層の凸面に形成されてなる前記低屈折率層の層厚と、防眩層の凹面に形成されてなる前記低屈折率層の層厚の差の絶対値が20nm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学積層体。
  6. 前記防眩層が、導電剤をさらに含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学積層体。
  7. 前記光透過性基材と前記防眩層との間に帯電防止層をさらに備えてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学積層体。
  8. 反射防止積層体として利用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学積層体。
  9. 偏光素子と、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学積層体とを備えてなる、偏光板。
  10. 画像表示装置に利用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学積層体。
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