JP2006266344A - キャンセルプレート - Google Patents

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泰愛 浜屋
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Abstract

【課題】スナップリング5とキャンセルプレート10との相対回転によって、スナップリング5の円周方向端部5aが、このスナップリング5の拡径変形を規制するためにキャンセルプレート10に形成した突起102に干渉して脱落するのを防止する。
【解決手段】キャンセルプレート10をキャンセル油室と反対側から支持するスナップリング5の拡径を規制する複数の突起102が形成され、この突起102を、スナップリング5の外周面に向けて凸の円弧状に延びるものとする。このため、キャンセルプレート10とスナップリング5の相対回転を生じても、スナップリング5が突起102に引っ掛かって乗り上がることがなく、しかも、突起102の両端部102bが外周側を向いているので、キャンセルプレート10の補強リブとして機能する。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の自動変速機におけるクラッチ装置を作動させる油圧アクチュエータに用いられるキャンセルプレートに関する。
図4は、従来技術によるキャンセルプレートを、自動車のクラッチ装置の油圧アクチュエータの一部と共に、軸心を通る平面で切断して示す半断面図、図5は、図4におけるV方向の矢視図、図6は、不具合発生の要因を説明するための図である。
まず図4において、参照符号1は、不図示の駆動軸に取り付けられて断面形状が略コ字形を呈する環状のクラッチシリンダ、2はクラッチシリンダ1内に軸方向移動可能に配置されたクラッチピストン、3は、このクラッチピストン2と軸方向に対向配置されると共にスナップリング5を介してクラッチシリンダ1の内周部1aに支持されたキャンセルプレート、4は、クラッチピストン2とキャンセルプレート3の間に適宜圧縮状態に介装されたリターンスプリングである。
クラッチピストン2は、その内外周に、クラッチシリンダ1の内周部1a及び外周部1bと摺動可能に密接されたゴム状弾性材料からなるシールリップ21,22を一体に有し、キャンセルプレート3は、その外周縁に、クラッチピストン2の外周部の内周面と摺動可能に密接されたゴム状弾性材料からなるシールリップ31を一体に有する。また、クラッチシリンダ1の内周部1aには、クラッチシリンダ1とクラッチピストン2の間に画成された加圧室6に油圧を導入するための油通路1cと、クラッチピストン2とキャンセルプレート3の間に画成されたキャンセル油室7に臨む油通路1dが開設されている。
すなわちこの油圧アクチュエータは、油通路1cを介して加圧室6に油圧を印加することによって、クラッチピストン2が、リターンスプリング4を圧縮する(キャンセル油室7の容積を縮小する)方向へクラッチシリンダ1内を軸方向変位して、不図示の多板クラッチを接続動作させ、これによって駆動軸から従動軸への動力伝達を行う。
次に、加圧室6の油圧を開放すると、クラッチピストン2は、圧縮されたリターンスプリング4の反発力によって、加圧室6の容積を縮小させる方向へクラッチシリンダ1内を軸方向変位して、多板クラッチの接続を解除し、これによって駆動軸から従動軸への動力伝達を遮断する。
ここで、クラッチシリンダ1及びクラッチピストン2は、駆動軸と共に回転しているので、加圧室6内に導入された作動油は遠心力によって外周側へ押し付けられる。したがって加圧室6内には、このような遠心力による油圧(以下、遠心油圧という)が発生し、この遠心油圧は、リターンスプリング4によるクラッチピストン2の復帰動作を妨げるように作用する。しかし、クラッチピストン2とキャンセルプレート3の間にはキャンセル油室7が画成されているので、油通路1dを介してこのキャンセル油室7内に導入された作動油にも同様に遠心油圧が発生する。このため、クラッチピストン2の軸方向両側で遠心油圧がほぼ均衡するので、クラッチピストン2の復帰動作によるクラッチの切断を円滑に行うことができる。
また、キャンセルプレート3をキャンセル油室7と反対側から支持するスナップリング5は、図5に二点鎖線で示されるように円周方向一箇所で切断された形状(略C字形)をなすため、高速回転時には遠心力によって拡径変形し、最悪の場合は、図4に示されるクラッチシリンダ1の内周部1aに形成された装着溝1eから脱落してしまう懸念がある。したがって、このようなスナップリング5の拡径変形を規制するため、キャンセルプレート3の内周部には、スナップリング5の外周を包囲するように、キャンセルプレート3と同心の円弧状に延びる複数の突起32が打ち出し形成されている。
また、クラッチが接続される際に、その衝撃によって、クラッチシリンダ1(駆動軸)とクラッチピストン2及びキャンセルプレート3が瞬間的に僅かに相対回転し、このため、キャンセルプレート3とスナップリング5の間にも、僅かな相対回転を生じることがある。そして、このような相対回転によって、図6に示されるように、スナップリング5の一端5aと突起32の端部が位相上互いにほぼ同一の状態になると、スナップリング5の両端5a,5a間の加工上の段差や変形に起因して、前記一端5aが図中一点鎖線で示されるように突起32の内周角部32aと干渉し、更に前記相対回転が継続することによって乗り上がり、図4に示される装着溝1eから脱落することがあった。したがって従来は、このような突起32への乗り上がりによるスナップリング5の脱落を防止するため、各突起32における内周角部32aにR面取りを施している(例えば特許文献1参照)。
特開2003−254438号公報
ところが、各突起32の内周角部32aをR面取りした場合でも、スナップリング5の端部5aに加工時のバリやカエリが残存していると、上述した相対回転によって、結局この端部5aが前記内周角部32aに干渉して乗り上がり、スナップリング5が脱落するおそれがあった。
また、キャンセルプレート3は、リターンスプリング4による軸方向荷重と、キャンセル油室7内に生じる遠心油圧による軸方向荷重を受けており、これによる曲げ変形の応力が、打ち出し形成された突起32における外周側の根元部32bや円周方向両端の根元部32cに集中しやすく、この部分で亀裂が発生したり破損するおそれがあった。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、スナップリングとキャンセルプレートとの相対回転によって、スナップリングの円周方向端部が、このスナップリングの拡径変形を規制するためにキャンセルプレートに形成した突起に干渉して脱落するのを防止することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るキャンセルプレートは、クラッチピストンを加圧室側へ付勢するリターンスプリングを支持すると共に、前記クラッチピストンとの間に前記加圧室の遠心油圧と対抗する遠心油圧を発生させるキャンセル油室を画成するキャンセルプレートにおいて、このキャンセルプレートを前記キャンセル油室と反対側から支持するスナップリングの拡径を規制する複数の突起が形成され、この突起が、前記スナップリングの外周面に向けて凸の円弧状に延びるものである。
請求項1の発明に係るキャンセルプレートによれば、突起が内周へ向けて凸の円弧状に延びることによってその両端部が外周側を向いているので、キャンセルプレートとスナップリングの相対回転を生じても、スナップリングの円周方向端部が突起の端部と干渉して乗り上がることがなく、このためスナップリングの拡径変形による脱落を有効に防止することができる。
また、突起がキャンセルプレートの内周へ向けて凸の円弧状に延びるため、その両端部は外周側を向いており、したがってキャンセルプレートの補強リブとして機能するので、キャンセル油室の遠心油圧やリターンスプリングの荷重による曲げ変形の応力が半径方向に分散され、突起形成部での亀裂の発生や破損を有効に防止することができる。
以下、本発明に係るキャンセルプレートの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明によるキャンセルプレートを、自動車のクラッチ装置の油圧アクチュエータの一部と共に、軸心を通る平面で切断して示す半断面図、図2は、図1におけるII方向の矢視図、図3は、作用説明図である。
図1に示される油圧アクチュエータは、先に説明した図4と同様のものであって、すなわち参照符号1は、不図示の駆動軸に取り付けられて断面形状が略コ字形を呈する環状のクラッチシリンダ、2はクラッチシリンダ1内に軸方向移動可能に配置されたクラッチピストン、10は、このクラッチピストン2と軸方向に対向配置されると共にスナップリング5を介してクラッチシリンダ1の内周部1aに支持された、本発明に係るキャンセルプレート、4は、クラッチピストン2とキャンセルプレート10の間に適宜圧縮状態に介装されたリターンスプリングである。
クラッチピストン2は、その内外周に、クラッチシリンダ1の内周部1a及び外周部1bと摺動可能に密接されたゴム状弾性材料からなるシールリップ21,22を一体に有し、キャンセルプレート10は、その外周縁に、クラッチピストン2の外周部の内周面と摺動可能に密接されたゴム状弾性材料からなるシールリップ101を一体に有する。また、クラッチシリンダ1の内周部1aには、クラッチシリンダ1とクラッチピストン2の間に画成された加圧室6に油圧を導入するための油通路1cと、クラッチピストン2とキャンセルプレート10の間に画成されたキャンセル油室7に臨む油通路1dが開設されている。
キャンセルプレート10の内周部をキャンセル油室7と反対側から支持するスナップリング5は、図2及び図3に示されるように、円周方向一箇所で切断された形状(略C字形)をなすものであり、クラッチシリンダ1の内周部1aに形成された装着溝1eに嵌着されている。キャンセルプレート10の内周部には、遠心力によるスナップリング5の拡径変形を規制するための複数(図示の形態では90度の位相間隔で4個)の突起102が、円周方向に並んで打ち出し形成されている。
詳しくは、図2及び図3に示されるように、各突起102は、スナップリング5の外周面に向けて凸の円弧状をなして延びており、すなわちキャンセルプレート10の内周を向いた円弧状の凸面102aを有する。そして図3に示されるように、この凸面102aのうち最も内周側に位置する長手方向中央部とスナップリング5の外周面との対向隙間G1は、装着溝1eに対するスナップリング5の掛合代Hよりも小さなものとなっている。
以上の構成において、油圧アクチュエータは、先に説明した図4と同様、加圧室6への油圧の印加及びこの油圧の開放によって、クラッチピストン2がクラッチシリンダ1内を軸方向変位して、不図示の多板クラッチを接続動作あるいは遮断動作させるものである。そして、加圧室6内の作動油に発生している遠心油圧と、キャンセル油室7内の作動油に発生する遠心油圧は、クラッチピストン2の軸方向両側で互いにほぼ均衡するので、加圧室6への油圧の印加を開放したときに、リターンスプリング4によるクラッチピストン2の復帰動作(クラッチの切断)が円滑に行われるようになっている。
ここで、キャンセルプレート10は、リターンスプリング4による軸方向荷重と、キャンセル油室7内に生じる遠心油圧による軸方向荷重を受けているので、スナップリング5で支持されたこのキャンセルプレート10の内周部には曲げ変形の応力が作用する。しかし、図示の形態によれば、キャンセルプレート10の内周部に形成された突起102が、内周側(スナップリング5側)へ向けて凸の円弧状をなしていることによって、その長手方向両端部102b,102bは、外周側へ向けて延びているので、キャンセルプレート10の補強リブとして機能する。このため、キャンセル油室7の遠心油圧及びリターンスプリング7の荷重による曲げ変形の応力が半径方向に分散され、突起102の形成部分で亀裂や破損が発生するのを有効に防止することができる。
また、キャンセルプレート10の内周部を支持するスナップリング5は、高速回転時には遠心力によって拡径変形しようとするが、その外周側に位置してキャンセルプレート10に形成された突起102は、内周を向いた円弧状の凸面102aの長手方向中央部とスナップリング5の外周面との対向隙間G1が、装着溝1eに対するスナップリング5の掛合代よりも小さいため、スナップリング5の拡径が、前記掛合代よりも小さく規制される。このため、スナップリング5が大きく拡径して装着溝1eから脱落することはない。
クラッチが接続される際には、その衝撃によって、クラッチシリンダ1(駆動軸)とクラッチピストン2及びキャンセルプレート10が瞬間的に僅かに相対回転するため、キャンセルプレート10とスナップリング5の間にも、僅かな相対回転を生じることがある。そして図示の形態によれば、このような相対回転によって、スナップリング5の円周方向一端5aと突起102の長手方向一端部102bが位相上互いにほぼ同一の状態になっても、スナップリング5の両端5a,5a間の加工上の段差や変形に起因して、前記一端5aが突起102の一端部102bに引っ掛かるようなことはない。
これは、図3に示されるように、突起102が内周側(スナップリング5側)へ向けて凸の円弧状をなしているので、遠心力によるスナップリング5の拡径変形を抑える隙間G1が十分に小さくても、両端部102b,102bとスナップリング5の外周面との対向隙間G2が十分に大きくなり、すなわちスナップリング5に拡径変形等が生じてもその一端5aとの引っ掛かりを生じない大きさにすることができるからである。
このため、スナップリング5が、その相対回転の過程で突起102に乗り上がるように変形して、装着溝1eから脱落するのを防止することができる。ひいてはスナップリング5によるキャンセルプレート10の支持状態が損なわれることによって、このキャンセルプレート10によるキャンセル油室7の遠心油圧及びリターンスプリング7の支持機能が損なわれるといった事態を有効に防止することができる。
なお、突起102の曲率や長さは、キャンセルプレート10における径方向の形成スペースや、発生する曲げ応力などを考慮して、適切に設定される。
本発明によるキャンセルプレートを、自動車のクラッチ装置の油圧アクチュエータの一部と共に、軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。 図1におけるII方向の矢視図である。 本発明による作用説明図である。 従来技術によるキャンセルプレートを、クラッチ装置の油圧アクチュエータの一部と共に、軸心を通る平面で切断して示す半断面図である。 図4におけるV方向の矢視図である。 不具合発生の要因を説明するための図である。
符号の説明
1 クラッチシリンダ
1e 装着溝
2 クラッチピストン
4 リターンスプリング
5 スナップリング
6 加圧室
7 キャンセル油室
10 キャンセルプレート
101 シールリップ
102 突起
102a 凸面
102b 端部

Claims (1)

  1. クラッチピストン(2)を加圧室(6)側へ付勢するリターンスプリング(4)を支持すると共に、前記クラッチピストン(2)との間に前記加圧室(6)の遠心油圧と対抗する遠心油圧を発生させるキャンセル油室(7)を画成するキャンセルプレート(10)において、このキャンセルプレート(10)を前記キャンセル油室(7)と反対側から支持するスナップリング(5)の拡径を規制する複数の突起(102)が形成され、この突起(102)が、前記スナップリング(5)の外周面に向けて凸の円弧状に延びることを特徴とするキャンセルプレート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009019761A (ja) * 2007-07-10 2009-01-29 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America Inc 一体型樹脂ストラットを有する自動変速機クラッチ

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JPS49114345U (ja) * 1973-02-02 1974-09-30
JP2001241467A (ja) * 2000-02-29 2001-09-07 Mitsubishi Cable Ind Ltd キャンセルプレート

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