JP2006266043A - 周辺植物導入用の植生マットおよび法面保護工法 - Google Patents

周辺植物導入用の植生マットおよび法面保護工法 Download PDF

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Abstract

【課題】 周辺植物を効率よく捕捉し、この捕捉した植物の種子を繁茂させることにより、現地植物による緑化を達成すると共に、法面の保護を行うことができる周辺植物導入用の植生マットおよび法面保護工法を提供すること。
【解決手段】 法面N上に配置される第1ネット2と、この第1ネット2の上部に位置するように重ねた状態で第1ネット2に連結される第2ネット3と、法面Nへの設置状態において両ネット2,3間に横方向に形成された収容部4内に収容させた肥料袋5と、第1ネット2に取り付けられた薄綿8とを有し、前記収容部4を構成する部分の第2ネット3の目合い3c’を密にすることにより、この収容部4の部分に周辺植物の種子32を捕捉させるポケット9が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば法面の緑化に用いられる周辺植物導入用の植生マットおよび法面保護工法に関する。
従来より法面緑化用の植生マットは、ネットの適所に保水材、土壌改良材、肥料、種子などが入った基材袋を取り付けてなる。この植生マットは、法面に敷設することにより、前記種子から発芽した植物をすぐに繁茂させることができ、法面の早期緑化を行なうことができる。そして、この植生マットを用いた法面の緑化は、単に法面を緑化するだけでなく、法面の浸食防止や凍上防止を行なって法面を保護するものともなっている。
ところが、早期に繁茂する植物は、現場の周辺植物と異なっている場合が多いため、近年は植生マットの導入によって繁茂した植物が、現地の生態系に及ぼす影響について憂慮されている。そこで、特許文献1には、法面の上に植物の種子を含む人工土壌を配置する場合に、この人工土壌からなる複数の山状部の列を形成し、この山状部の間に平坦部を設けるように植生マットを配置することが記載されている。これによって、平坦部に飛来した種子の生長がマットに内包された種子から生育する植物に阻害されることなく、在来種の自然繁茂を促すことができるとされている。
特開2000−160561号公報
ところが、特許文献1の発明を用いた場合、平坦部に飛来した植物の種子がネットの上に留まっていれば、発芽の見込みはあるものの、風などによって平坦部から容易に飛ばされる可能性もあるので、その発芽の可能性が少ないという問題があった。また、運良く平坦部に飛来した植物には生長できる可能性があるとしても、山状部に落ちた種子はたとえ発芽できたとしても人口土壌に含ませた植物の成長に阻まれて生長できなくなることがある。
他方、前記周辺植物が被圧されることなく生長できるようにするために、植物の種子を含む人工土壌が占める面積を小さくすると、法面を十分に保護できなくなるという問題があった。つまり、雨が人工土壌を形成していない法面に当たることによって法面が浸食されたり、冬期に土壌が凍上することにより表層が浮き上がって、土壌が流亡することがあった。このため、せっかく周辺植物が落下しても、これが緑化につながらないという問題が生じることも考えられる。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、周辺植物を効率よく捕捉し、この捕捉した植物の種子を繁茂させることにより、現地植物による緑化を達成すると共に、法面の保護を行うことができる周辺植物導入用の植生マットおよび法面保護工法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の周辺植物導入用の植生マットは、法面上に配置される第1ネットと、この第1ネットの上部に位置するように重ねた状態で第1ネットに連結される第2ネットと、法面への設置状態において両ネット間に横方向に形成された収容部内に収容させた肥料袋と、第1ネットに取り付けられた薄綿とを有し、前記収容部を構成する部分の第2ネットの目合いを密にすることにより、この収容部の部分に周辺植物の種子を捕捉させるポケットが形成されていることを特徴としている(請求項1)。前記肥料袋に収容する肥料は数カ月以上の長い期間にわたってゆっくりと養分を供給する超遅効性の肥料であることが望ましい。
前記薄綿は、薄い綿花ではなく、薄い綿状のものを意味している。また、この薄綿は長期間にわたって法面を保護できるように分解速度の異なる2種類以上の素材からなる繊維を混合させて十分な耐蝕性や吸水性を兼ね備えたものとすることが望ましい。しかしながら、薄綿は最終的には微生物によって分解されるものである。吸水性のある繊維としてはレーヨンややし繊維を用いることができ、耐蝕性のある繊維としては、例えばポリ乳酸繊維などの生分解性プラスチック、動物性繊維、やし繊維や竹繊維などの植物性繊維、金属繊維などを用いることができる。
前記第1ネットを構成する繊維が第2ネットを構成する繊維に比べて太くしてあってもよい(請求項2)。第1ネットを構成する繊維は例えばフラットヤーンのように幅のある繊維であり、第2ネットを構成する繊維は例えばモノフィラメントを編成することにより十分な強度を備えながら第1ネットに比べて細い糸状にすることができる。
法面への設置状態において前記肥料袋よりも谷側に位置する両ネット間に横方向に形成された収容部内に収容されて、少なくとも周辺植物の生態系に悪影響をおよぼさない植物の種子を含ませてなる基材袋を有し、かつ、前記肥料袋よりも山側に位置する部分に周辺植物の種子を捕捉し集めるための十分な種子捕捉領域が設けられていてもよい(請求項3)。
本発明の法面保護工法は、前記周辺植物導入用の植生マットを、前記薄綿が法面に当接すると共に前記肥料袋が等高線状に配置されるように法面に固定することにより、前記第2ネットを法面から浮かせた状態で配置することを特徴としている(請求項4)。
請求項1に記載の周辺植物導入用の植生マットは、第1ネットに薄綿が取り付けられているので、施工後にこの薄綿が法面に密着し、雨風が法面に直接的に当たらないようにすることができる。また、薄綿によって保水や保温を行うことができるので、表層土壌の浸食や凍上を防止することができる。
飛来または落下した植物の種子はまず第2ネットに当たることにより落下速度が弱まり、第1ネットや薄綿に当たることによって法面の表面に留まることができる。第2ネットは第1ネットの上部に位置するように配置されているので、外部からの風が第2ネットに当たることにより緩衝され、法面の表面に留まった種子を吹き飛ばしにくくなる。また、薄綿の上に落ちた植物の種子は薄綿に絡まることにより薄綿から容易に外れないようにすることができる。
さらに、ドングリのような転がり易い形状の種子は薄綿や第1ネットの上を転がることも考えられるが、このような場合にも収容部に形成されたポケットによって種子が捕捉されるので、これを発芽させることができる。なお、ポケットを構成する第2ネットの目合いは周辺植物の種子を確実に捕らえることができるように、これらの種子よりも細かい目合いに形成されていることが望ましい。
そして、ポケットに捕捉された種子は肥料袋から養分を得ることができるので、この植物の種子を確実に生長させることができる。肥料袋は多量の養分を供給するものでなくても、その直上にあるポケットに捕捉された種子には十分な養分を供給することができる。むしろ、肥料袋に収容する肥料は数カ月以上の長い期間にわたってゆっくりと養分を供給する超遅効性の肥料であることが望ましく、これによって、セイタカアワダチソウ等の望ましくない野草が繁茂したり、過剰に流れ出た養分が水質汚濁の原因となることを防止できる。
前記薄綿は長期間にわたって法面を保護できるように分解速度の異なる2種類以上の繊維を混合させて十分な耐蝕性や吸水性を兼ね備えるようにすることにより、この薄綿は施工後例えば1年以上経過しても完全に分解しないものとすることができ、落下または飛来した周辺種子を長期間に渡って捕捉することができる。また、薄綿は、これに絡まった種子が法面に十分に根づくまでの間、法面の表層土壌を雨水による流亡や冬期の凍上から保護するとともに、種子の発芽および生育に必要な水分を保つことができる。そして、この薄綿は最終的には微生物によって分解されて養分となる。
前記第1ネットを構成する繊維が第2ネットを構成する繊維に比べて太くしてある場合(請求項2)には、第1ネットを構成する繊維を太くすればするほど第1ネットの目合いを第2ネットの目合いよりも密にすることができる。これによって、落下または飛来する種子が第2ネットの目合いを通りやすくすることができる。一方、雨水などはフラットヤーンのようにより太い繊維からなる第1ネットに当たることにより減速しやすくなり、それだけ法面の保護を行うことができる。
また、第2ネットを例えばモノフィラメント、第1ネットを例えばフラットヤーンによって形成するなどネットを構成する繊維の形態を変えたり、異なる素材の繊維を用いることにより、第2ネットを構成する繊維を第1ネットを構成する繊維に比べて熱収縮率の高いものとすることが望ましい。つまり、前記薄綿の取付け時に第1ネットとこれに連結される第2ネットを加熱することにより第2ネットを収縮させることができ、施工時には第1ネットに法面に密着する程度の弛みを持たせた状態で、第2ネットに十分な張力をかけて第1ネットの上部に位置させることができる。加えて、施工後の太陽熱などを利用して第2ネットを収縮させることもできる。すなわち、第2ネットと第1ネットによる立体的な2重ネット構造を確実なものとすることができる。さらに、第2ネットをモノフィラメントの編成によって形成することにより、第2ネットは十分な強度を備えながら第1ネットに比べて細く形成することができる。
法面への設置状態において前記肥料袋よりも谷側に位置する両ネット間に横方向に形成された収容部内に収容されて、少なくとも周辺植物の生態系に悪影響をおよぼさない植物の種子を含ませてなる基材袋を有し、かつ、前記肥料袋よりも山側に位置する部分に周辺植物の種子を捕捉し集めるための十分な種子捕捉領域が設けられている場合(請求項3)には、周辺植物導入用の植生マットを敷設した後の早い時期に基材袋内の種子によって法面を部分的に緑化する一方で、周辺植物を導入した緑化を行うことができる。基材袋が肥料袋よりも谷側に位置するように配置されているので、肥料袋によって供給される養分はポケット内に捕捉される周辺種子に供給できる。さらに、肥料袋の山側に種子捕捉領域が形成されているので周辺種子を効率よく捕捉し、捕捉しきれなかった種子もポケットに導入することにより、これを捕捉することができる。
請求項4に記載の法面保護工法によれば、周辺植物導入用の植生マットに装着される薄綿が法面に密着することによって法面の浸食や凍上を防止することにより、この法面を保護することができる。そして、保護された法面の上で飛来または落下した周辺種子が繁茂しやすい環境を整えることができる。とりわけ、等高線状に配置されたポケットは内部に周辺植物を導入して捕捉するものであり、ポケット内に捕捉した周辺植物の種子の発芽および生育を肥料袋内の肥料によって支援することができる。
また、植生マットが法面に固定されているので、第2ネットが太陽熱などによって収縮するときに、第2ネットに張力がかかり、肥料袋の厚み分だけ確実に法面から浮かせた状態で配置することができる。そして、第1ネットよりも上に浮かせた状態で配置された第2ネットは、風避けとしても機能するので、第1ネットまたは薄綿に絡まった種子が風によって飛ばされることがないようにすることができる。
図1〜図5は、本実施例の周辺植物導入用の植生マット1を示す図であって、図1は前記植生マット1の構成および施工状態を示す縦断面図、図2は植生マット1の網状体本体1aの分解斜視図、図3は植生マット1の構成を拡大して示す図、図4は植生マット1を用いた施工方法を説明する図、図5は施工後の植生マット1の一状態を示す図である。
本実施例の植生マット1は、例えば法面N上に配置される第1ネット2と、この第1ネット2の上部に位置するように重ねた状態で第1ネット2に連結される第2ネット3と、両ネット2,3の経糸2a,3a(詳細は後述する)を適宜間隔で互いに連結する中閉じ糸Bと、この中閉じ糸Bによって閉じない部分を設けて両ネット1,2間に形成された収容部4内に収容させた肥料袋5と、別の収容部6内に収容させた基材袋7と、第1ネットの下面に取り付けられた薄綿8とを有する。
第1ネット2は図2に示すように、例えばポリエチレン(PE)系の合成樹脂からなるフラットヤーンからなる緯糸2aと、この緯糸2aに直行する例えばPE系の合成樹脂からなるモノフィラメントを鎖編みすることにより形成してなる経糸2bとからなり、緯糸2aは経糸2b間をジグザグに進むようにして編み込んで形成したものである。また、その目合い2cは、飛来または落下する周辺植物の種子(以下、飛来種子または落下種子という)よりも幾らか大きい程度の大きさを有する。
一方、第2ネット3は例えばPE系の合成樹脂からなるモノフィラメントを鎖編みすることにより形成された緯糸3aと、この緯糸3aに直行する例えばPE系の合成樹脂からなるモノフィラメントを鎖編みすることにより形成された経糸3bとからなり、本実施例では経糸2b,3bを中閉じ糸Bによって連結することにより、第1ネット2の上部の所定高さ位置に第2ネット3を位置させるようにすることができる。なお、緯糸3aはこれに直行する経糸3b間をジグザグに進みようにして編み込んで形成してあってもよい。前記緯糸3aを構成するモノフィラメントは緯糸2aを構成するフラットヤーンよりも細い繊維であるから、その目合い3cを第1ネット2の目合い2cよりも大きくすることができる。
また、第2ネット3において、前記収容部4の部分、すなわち、収容部4を構成する第2ネット3または収容部4の周辺を含む第2ネット3または収容部4の一部を構成する第2ネット3の目合い3c’は、周辺植物の種子よりも小さい目合いとなるように密に形成されており、この目合い3c’を密に形成した部分に種子を捕捉させるためのポケット9を形成している。加えて、施工時にポケット9の部分よりも山側に位置する第2ネット3には、周辺植物の種子を捕捉するとともに少なくとも種子を捕捉して集めるために十分な面積の種子捕捉領域10を形成している。
上述のように構成された第2ネット3の目合い3cは種子捕捉領域10に飛来種子または落下種子を容易に通過させることができると共に、第2ネット3に飛来種子や落下種子が当たることによって種子の移動速度を遅くし、かつ、ある程度の風除けとして機能できる程度の大きさである。また、ポケット9の部分の第2ネット3の目合い3c’は内部に収容された種子が容易に流亡しない程度に密に形成する。
さらに、前記中閉じ糸Bは、図3に示すように、経糸2b,3bを適宜の間隔(例えば1本間隔)をおいて連結することにより、二重網構造の網状体本体1aに形成されている。また、中閉じ糸Bが経糸2b,3bを連結しない部分を横方向に残すことにより、前記収容部4,6が形成されている。また、前記収容部4には肥料袋5が挿入されるだけでなく、前記ポケット9が形成されるので、前記収容部6に比べて大きく形成してある。
前記肥料袋5は前記収容部4内に収容されるものであり、これによって植生マット1はポケット9内に収容された飛来種子または落下種子に養分を供給することができる。また、肥料袋5は例えば耐腐蝕性の不織布によって構成された袋5a内に、ポケット9内の植物に少しずつ溶出する程度の養分を、少なくとも数カ月〜数年(本実施例の場合は3〜5年)といった長い肥効期間にわたって供給する超遅効性の肥料5bを収容してなるものである。加えて、前記袋5a内に保水材や土壌改良剤などが含められていてもよい。なお、前記収容部4が肥料袋5に比べて十分に大きく形成されているので、収容部4に肥料袋5を挿入した状態で、肥料袋5の上部における収容部4内に飛来種子または落下種子のポケット9を形成する。
一方、前記基材袋7は収容部6に収容されるものであり、前記植生マット1は基材袋7を備えることにより、施工後の早い時期において法面を緑化するものである。基材袋7は耐腐蝕性の不織布によって構成された袋7a内に、例えば、保水材、土壌改良剤、肥料に加えて、周辺植物の生態系に悪影響を及ぼさない植物の種子7bを収容してなる。なお、周辺植物の生態系に悪影響を及ぼさない植物の種子は、例えば、ペレニアルライグラスやイタリアングラスなどの牧草種や、ススキ、メドハギ、ヨモギなどの野草種、ヌルデ、アカメガシワ、ヤシャブシ、ネムノキなどの先駆性植物の種子である。牧草種として上記2種の様な1年草若しくは短年草を採用すると、牧草種の衰退期間が早く、周辺植物の生長を阻害することがない為好ましい。また、上述の先駆性植物を導入すると、植生遷移の速度が上がり、より早期に周辺植生と同様の植生を復元させることができるため好適である。
前記薄綿8は凹凸のある法面Nに容易に密着できる程度の柔軟性を有し、前記二重網構造の網状体本体1a(特に第1ネット2)の下面に例えば熱融着や接着剤などによって取り付けられるものであり、保水材、土壌改良剤および肥料などが接着されている。なお、上述の保水材などを取り付けるときに網状体本体1aに熱を加えることにより、第1ネット2と第2ネット3の熱収縮率が異なっているので、第1ネット2に比べて第2ネット3が大きく収縮する。これは、第2ネット3を構成するモノフィラメントが押し出し形成処理によって製造されるものであるのに対し、第1ネット2を構成するフラットヤーンが熱をかけながら延伸処理して形成されるものであることによると考えられる。
また、前記薄綿8は、施工後1年以上が経過しても完全に分解しないものであり、少なくとも数カ月以上は法面に対して雨風が直接的に当たらないようにするものである。また、薄綿8は分解速度の異なる2種類以上の繊維を混合させて十分な耐蝕性や吸水性を兼ね備えたものである。本実施例における薄綿8は、吸水性に優れた繊維の一例としてレーヨンに、耐蝕性のある繊維として例えばポリ乳酸繊維などの生分解性プラスチックの素材からなる繊維(例えば商品名:「ラクトロン」)を混合したものである。
なお、レーヨンもポリ乳酸繊維も最終的には微生物によって完全に分解されるものであるので好ましい。しかしながら、薄綿8を構成する繊維はレーヨンやポリ乳酸繊維に限定されるものではないことはいうまでもない。すなわち、吸水性のある繊維はレーヨンだけでなく、やし繊維など種々のものを用いることができ、耐蝕性のある繊維としては、ポリ乳酸繊維以外の生分解性プラスチックを用いてもよく、羊毛などの動物性繊維を用いても、やし繊維や竹繊維などの強度のある植物性繊維を用いてもよい。さらには、金属繊維などを用いることも可能である。
薄綿8はその繊維に飛来種子や落下種子を絡ませて捕捉するものであると共に、種子の発芽および生育に必要な水分を確保するものである。また、薄綿8が十分な耐久性と吸水性を有するものであれば、法面Nの表層土壌を雨風による浸食から守ることができ、また、冬期の凍上から守ることができる。
前記植生マット1は、図4に示すように法面Nに対して敷設される。すなわち、前記植生袋7が肥料袋5の谷側に来るように、植生マット1の上下方向を定めると共に、肥料袋5と植生袋7がほゞ等高線状になるようにして、植生マット1の最上部の前記肥料袋5または植生袋7をアンカー20によって固定する。
次いで、植生マット1を順次下側に敷延して肥料袋5または植生袋7の位置において、サブアンカー21や止め釘22によって植生マット1を法面Nに打ちつけて固定する。このとき、第2ネット3に幾らかの張力をかけるように植生マット1を敷設することにより、第2ネット3は肥料袋5や植生袋7の直径分だけ法面Nから少し浮いた位置に保持される。本実施例の場合、肥料袋5および植生袋7の直径を2〜3cmにしており、第1ネット2と第2ネット3との間に2〜3cmの空間を形成するように構成してある。このとき、第2ネット3が第1ネット2に比べて少し収縮させているので、第2ネット3に張力をかけた状態でも第1ネット2を少し弛ませた状態にすることができ、第1ネット2が法面Nに沿わせることができるようにしている。
図4に示す法面保護工法によって植生マット1を敷設することにより、法面Nに薄綿8を密着させて、その表層土壌の浸食防止や凍上防止を行うことができると共に、飛来種子や落下種子を捕捉するための十分な広さの種子捕捉領域10を確保することができる。施工後は早い時期に基材袋7内の種子7bを発芽させることができ、これによって法面Nの緑化を達成できるとともに、植物の根が張ることにより法面Nを安定化することができる。これに加えて、飛来種子や落下種子を用いた法面Nの緑化を行うこともできる。
ここで、図1を参照して飛来種子または落下種子(以下単に種子という)30が種子捕捉領域10に落下する場合を考慮する。この種子捕捉領域10に落下する種子30は、まず、第2ネット3に当たるなどして、その落下速度が低下し、第1ネット2に当たって第1ネット2の表面に留まる。
このとき、第2ネット3の目合い3cを種子30に比べて十分大きくしているので、種子30は第2ネット3を容易に通過できる。また、第2ネット3に触れることなく落下する種子30があった場合は、第1ネット2の目合い2cが第2ネット3の目合い3cに比べて密であるから種子30がこれに当たって止まる。そして、符号31に示す種子のように、第1ネット2の裏面に取り付けられた薄綿8の繊維が絡まるなどして、その種子31が薄綿8によって捕捉されて、その場に留まる。
前記第2ネット3や第1ネット2は、種子30を通すことができる程度の目合い3c,2cを有するものの薄綿8によって捕捉された種子31に強い風が直接的に当たらないように風除けとしても機能して種子31を保護することができる。また、薄綿8は保水性を有するので種子31が発芽および生育するために必要な水分を供給することができる。
一方、落下した種子30が例えばドングリのような転がりやすい種子である場合などには、薄綿8の繊維に絡まることなく、外部からの風を受けるなどして第1ネット2の表面を転がることが考えられる。しかしながら、第2ネット3によって上部が覆われているので、一旦落下した種子30は風によって吹き飛ばされることから保護されており、第1ネット2の表面を転がった種子は重力によって谷側に移動する。そして、符号32に示す種子のように、肥料袋5によって形成される小段に当接してポケット9内に捕捉される。また、ポケット9に捕捉された種子32は目合い3c’が種子よりも密に形成された第2ネット3によって袋状に覆われているので、容易に流亡することがない。
ここで、本発明による植生マット1の種子捕捉能力を確認するため、従来の肥料袋付植生マット(非立体型二重ネット)および何も敷設していない裸地と比較した飛来種子捕捉能力試験を行った。試験条件は、勾配が1:1.0の法面Nにおいて、使用土:マサ土、土壌硬度:25mmとし、植物種子を高さ3mより落下させた際に捕捉された種子数を計数すると共に、その捕捉状況を確認した。
まず、アラカシの種子を1試験区当たり100粒落下させたところ、従来の肥料袋付植生マットは3粒、裸地では0粒の捕捉であったが、本発明による植生マット1では37粒の捕捉が確認された。この際の捕捉状況は、肥料袋5直上のポケット9による捕捉が一番多く、ポケット9の機能が有効に機能していることが確認された。
次に、1試験区当たり5g(約800粒)のヤマハギの種子を用いて同様の試験を行ったところ、裸地では捕捉が確認されないものの、従来の肥料付植生マットでは約50粒、本発明の植生マット1では約400粒の種子が捕捉されることが確認できた。この際の捕捉状況は、従来の肥料袋付植生マットではそのほとんどが肥料袋の上の段になっている部分にのみ捕捉されたが、本発明の植生マット1ではマット全体に面状に捕捉される結果となった。これは、本発明の植生マット1が立体構造を持つため、第1ネット2に当たることにより種子の落下速度が軽減されると共に落下方向が分散し、薄綿8の部分に広く捕捉されたものと考えられる。
以上の結果より、本発明に係る植生マット1の種子捕捉能力は、アラカシのような所謂ドングリと呼ばれる種子では従来の肥料袋付植生マットの約12倍、ヤマハギのような小型の種子でも約8倍を有することが確認された。これは、通常は落下種子が地面に衝突した際に跳ねてしまうため、種子が斜面に定着することは難しいが、本発明の植生マット1は立体構造を持つため、落下してきた種子が直接第1ネット2に当たることにより種子の落下速度が軽減されると共に、跳ね返った後も第1ネット2で種子の運動エネルギーを吸収し、立体構造の網状体本体1aの内部に種子を溜めることが可能であるためと考えられる。
また、本実施例における第2ネット3はモノフィラメントのように熱収縮率の高い繊維によって形成されているので、施工後に夏期の太陽熱などによって収縮して第2ネット3にかかる張力を強く保つことができると考えられる。つまり、網状体本体1aの立体的な二重網構造を長期間にわたって保つことができる。
図5は施工後所定期間が経過した時点における周辺植物導入用の植生マット1の状態を示す図である。図5に示すように、施工後は早い時期に基材袋7内の種子7bを発芽生長するので、法面Nを緑化し、植物の根が深く張ることによって法面Nの表層土壌を安定化することができる。薄綿8には土壌改良剤が接着されており、薄綿8自身がもつ保水性能に加えて保水材も接着されているので、法面Nを植物の生育に適した環境にすることができる。
そして、種子捕捉領域10に落下し、そこに留まった種子31も薄綿8によって保水されると共に薄綿8に接着した肥料から養分を得て発芽生育することができる。そして、特にポケット9内に捕捉された植物の種子32は肥料袋5内の肥料5bから養分を得ることができるので、容易かつ確実に発芽生育することができる。
また、肥料袋5内の肥料5bは超遅効性であり、余分な養分を供給することがないので、肥料過多を防ぐことができ、ポケット9内の郷土種のみを生長させるのに必要な養分だけを供給することができる。つまり、肥料過多による水質汚染や雑草の繁茂といった問題が発生することを防止し、施工現場の生態系に影響を与えることなく、郷土種の繁茂を達成することができる。
上述の実施例では植生マット1が基材袋7を有することにより施工後の早期において、法面Nを緑化し安定させることができるようにしているが、本発明はこれに限られるものではない。すなわち、種子7bを含ませた基材袋7を省略した構成とすることにより、例えば国定公園や国立公園などの種子の持ち込みが制限されているような現場においても、法面の浸食を防止するとともに、郷土種による緑化を行うことができる。
本発明の周辺植物導入用の植生マットの構成を示す縦断面図である。 前記植生マットの網状体本体の構成を示す分解斜視図である。 前記植生マットの構成を拡大して示す斜視図である。 前記植生マットを用いた法面保護工法を説明する図である。 前記植生マットを敷設した後の状態を示す図である。
符号の説明
1 周辺植物導入用の植生マット
2 第1ネット
2c 目合い
3 第2ネット
3c 目合い
3c’ 目合い
4 収容部
5 肥料袋
6 収容部
7 基材袋
8 薄綿
9 ポケット
10 種子捕捉領域
32 周辺植物の種子

Claims (4)

  1. 法面上に配置される第1ネットと、この第1ネットの上部に位置するように重ねた状態で第1ネットに連結される第2ネットと、法面への設置状態において両ネット間に横方向に形成された収容部内に収容させた肥料袋と、第1ネットに取り付けられた薄綿とを有し、前記収容部を構成する部分の第2ネットの目合いを密にすることにより、この収容部の部分に周辺植物の種子を捕捉させるポケットが形成されていることを特徴とする周辺植物導入用の植生マット。
  2. 前記第1ネットを構成する繊維が第2ネットを構成する繊維に比べて太くしてある請求項1に記載の周辺植物導入用の植生マット。
  3. 法面への設置状態において前記肥料袋よりも谷側に位置する両ネット間に横方向に形成された収容部内に収容されて、少なくとも周辺植物の生態系に悪影響をおよぼさない植物の種子を含ませてなる基材袋を有し、かつ、前記肥料袋よりも山側に位置する部分に周辺植物の種子を捕捉し集めるための十分な種子捕捉領域が設けられている請求項1または2に記載の周辺植物導入用の植生マット。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の周辺植物導入用の植生マットを、前記薄綿が法面に当接すると共に前記肥料袋が等高線状に配置されるように法面に固定することにより、前記第2ネットを法面から浮かせた状態で配置することを特徴とする法面保護工法。
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