JP3165049U - 自然回復緑化用生育基盤保持具とその構造 - Google Patents

自然回復緑化用生育基盤保持具とその構造 Download PDF

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Abstract

【課題】生物多様性の保全に配慮する自然回復緑化において、飛来種子等を確実に捕捉し、その発芽・生育を促進する。又、飛来種子等の供給源となる周辺に植生の無い施工地においても、地域性種苗による自然植生の回復を図る。【解決手段】側面形状が略くの字状に形成された網状体を上半部が略水平となるようアンカーボルトによって斜面に固定する生育基盤保持具を横縞状に複数段設置し、生育基盤材を充填して、複数段のステップ状の生育基盤を造成して飛来種子を確実に捕捉し、その発芽・生育を促進する。又、このステップ部には苗木を植栽するか、あるいは森林表土を含む生育基盤材を充填することができる。生育基盤材保持具と生育基盤材保持具の間には、マルチングを施したり、森林表土を含む生育基盤材を吹付ける自然回復緑化の構造を提供する。【選択図】図6

Description

本考案は、生物多様性に配慮した自然回復緑化のための生育基盤保護具とそれを用いた自然回復緑化の構造に関するものである。
緑化工技術はわが国で本格的な高速道路建設が始まった昭和30年代後半から、主に法面の侵食防止を目的として、外国産牧草類の種子をセルロース系ファイバー、肥料、水等を加え、スラリー状にして撒布する急速緑化工として開発され、その後機械や材料が開発・改良され、客土を種子と共に吹付ける客土吹付工、さらに有機質系の生育基盤材料をモルタル吹付機を用いて、岩盤法面に吹付ける岩盤緑化工へと発展してきた。
しかし近年地球環境の悪化と共に「種の減少」が問題となり、1992年ブラジル、リオで開催された環境サミットにおいて「生物多様性条約」が採択され、わが国でもこうした流れを受けて「生物多様性国家戦略」が策定された。さらに「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が制定され、外国産牧草類や外国産在来種による種の交雑(遺伝子かく乱)等が問題となり、生物多様性の保全に配慮した緑化工技術が求められるようになってきた。
このような観点に立って近年、生物多様性の保全に配慮して遺伝子レベルにまで配慮した緑化工技術として、森林表土に含まれる埋土種子を活用する森林表土利用工や周辺植生からの飛来種子や鳥類による撒布種子を用いる自然侵入促進工(植物誘導工)等の緑化工技術が開発されるようになってきた。
特開平11−81327号公報 特開2000−1160561号公報 特開2006−266043号公報
特許文献1に示す発明によれば(1)種子を入れない生育基盤を法面に造成する (2)柵状物を1または2以上の線上または断続的もしくは千鳥格子状に設置するか、これに併せて(3)網状物を生育基盤の全面または一部に敷設するかあるいは (4)柵状物を設置しさらに網状物を敷設するものであり、飛来種子の捕捉効果はそれなりに高くなるものの、その施工は煩雑で施工性が悪いばかりでなく、高価なものとなり経済性に劣る。
又、特許文献2によれば飛来した種子がネットの上部に落下すると、さらに風によって飛ばされたり、運よく留まっても十分な水分の供給がなく幼芽時に立ち枯れたり、人工土壌に含まれる牧草類等の成長が早く、飛来した種子を被圧し立ち枯れるという問題があった。
又、特許文献3にかかわる発明においては、その構造が薄綿、第1ネット、第2ネットと三層構造になっており、飛来した種子は直接生育基盤に接することが無いため飛来種子が発芽するまで充分に吸水することは困難であり、特に45°以上の急斜面では発芽率が著しく低下する。
又、大型種子や重量の重い種子は第2ネットに捕捉されずに法尻部まで転がり落ちるものが多く、特に45°を超える斜面での捕捉効果は著しく低下する。
飛来種子や鳥撒布種子を植物材料とする地域性植物による自然回復緑化工においては、種類や形状、重量の異なる多種多様な種子を確実に捕捉すると共に、捕捉した種子を確実に発芽させ、その生育を着実に促進することが必要である。
又、施工地周辺に飛来種子の母木となる自然植生が存在せず、周辺植生からの種子の供給が困難な場合がある。
従って本考案においては
(1)飛来あるいは落下による種子を45°を超える急斜面においても斜面内で確実に捕捉する。
(2)捕捉した飛来種子を生育基盤に確実に定着させ発芽を確実なものとする。
(3)発芽した飛来種子の立ち枯れを防ぎその生育を着実に促進する。
(4)周辺植生からの飛来種子や落下種子の供給が無かった場合も地域性の植物による自然回復ができる。
(5)コストが安く経済性に優れる。
(6)施工性に優れ容易に施工できる。
以上の課題を解決して、地域性種苗による自然回復緑化をより確実なものとするために考案したものである。
上記の目標を達成するため本願第1の考案では、斜面に植物生育基盤を造成するための植物生育基盤保持具で、等高線に沿って連続的もしくは断続的あるいは千鳥格子状に設置された側面形状が略くの字状に形成された網状体で、この上半部が略水平となるよう該網状体の網目を介してアンカーボルトにより斜面に固定されることを特徴とする生育基盤保持具を提供する。
この略くの字状に形成された網状体内に生育基盤材を充填してステップ状の植物生育基盤を造成して飛来種子等を捕捉する自然回復緑化工の構造を提供するものである。
本願第2の考案は、前記第1考案において略くの字状に形成された網状体の屈折点から上半部と下半部で網状体の網目の形状・寸法が異なるかおよび/もしくは下半部に在来植物種子や肥料を挟持するシート状物を網状体の生育基盤材と接する内側に付設することを特徴とする自然回復緑化のための生育基盤保持具を提供する。
さらに本考案による第3の考案は、前記考案1〜2記載の略くの字状に形成された網状体の内側に下半部の生育基盤材と地山が接するよう、保水材もしくは遮水材を付設して貯水部を設けることを特徴とする自然回復緑化のための生育基盤保持具を提供する。
本願第4の考案は、前記第1考案〜第3考案の生育基盤保持具によって形成される略ステップ状の生育基盤保持具に生育基盤材を充填し、該ステップ部の生育基盤に地域で採取育成された苗木を植栽するかおよび/もしくはドングリ状の大型種子を埋設することを特徴とする自然回復緑化の構造を提供する。
本願第5の考案は、前記第1考案から第3考案の生育基盤保持具を斜面に等高線に沿って適宜間隔をおいて複数段横縞状に連続してもしくは断続的にあるいは千鳥格子状に設置して、形成されたステップ状の生育基盤に飛来種子や落下種子を捕捉・定着させると共に、この間を裸地のままおよび/もしくはマルチングを施し、この間への自然植生の侵入や飛来種子の定着を図る自然回復緑化の構造を提供するものである。
本願第6の考案は、前記第5考案でマルチングを施す生育基盤保持具と生育基盤保持具の間の裸地部に、マルチングに替えて埋土種子を含む森林表土を生育基盤材と共に吹付けるかおよび/もしくはマルチングを施した上層に吹付けるか、あるいは種子を入れないで生育基盤材のみを吹付けた上層に吹付けることを特徴とする自然回復緑化のための構造を提供する。
さらに本考案による第7の考案は、前記請求項1〜3記載の生育基盤保持具内に、施工地附近で採取した森林表土を生育基盤材と共に吹付けもしくは充填することを特徴とする自然回復緑化の構造を提供するものである。
本考案では側面形状が略くの字状に形成された網状体を上半部が略水平となるよう網目を介して斜面に固定される自然回復緑化用の生育基盤保持具と該保持具を用いた自然回復緑化のための構造を提供するものであり、形状がシンプルで施工が簡単で施工性に優れ、該生育基盤保持具に生育基盤材を吹付けあるいは注入もしくは客土等の充填作業によって急斜面上に、表面が略水平となるステップ状の生育基盤を造成することができる。
このように急斜面に水平部を設けることで飛来種子の捕捉性能は格段に向上するばかりでなく、その定着、発芽、生育にも極めて有効である。
さらに該生育基盤保持具は側面形状が略くの字状に形成された上半部と下半部で網目の大きさを変えることができ、上半部の網目形状を大きくすることにより、生育基盤材の充填作業をより簡便且つ容易に行え、ドングリ類等の大型種子も確実に網目内に捕捉される。
又、下部網目形状をより小さなものとすることで生育基盤材の流出を防ぐことができる。
さらにこの生育基盤保持具の生育基盤材と接する内側に植物種子や肥料を挟持するシート状物を設置できる。このシート状物を設置することでさらに粒子の細かい生育基盤材の流出を防ぐばかりでなく、在来草本類種子を挟持することで早期に景観の回復を図ることもできる。
さらに本考案では前記生育基盤保持具の網状体の内側から地山(基盤)に接するように保水材や遮水材を取り付けることができる。この保水材もしくは遮水材を生育基盤保持具の底部に地山に接するように取り付けることによって、生育条件が厳しく特に水分の供給と貯水(保水)が不足する急斜面において生育基盤保持具の底部に貯水部を設けることによって飛来種子や埋設したドングリ類等大型種子の幼苗期の生育に有効なばかりでなく、植栽した苗木類の活着率を大幅に改善することができる。
特に保水材や遮水材を地山に接するように設置することによって、降雨等で地表面を流下する表流水を確実に生育基盤保持具内に誘導し貯留することができる。
前述のように本考案では生育基盤保持具の上半部の網目を大きな形状とすることで、この略水平となるステップ部に苗木を植栽することやドングリ類等の大型種子を埋設することができる。
この考案によって施工地周辺に既存の植生が無く飛来種子や落下種子の供給が困難な場合や早期に景観を回復し緑化したい場合にも有効であり、特に苗木として施工地周辺で採取し育成された鳥類の食餌木となる実のなる樹種や止まり木となる樹種を選定することで、鳥類の糞と共に鳥散布種子が定着し、自然植生の回復が促進される。
又、ドングリ類等の大型種子を施工地周辺で採種し、該生育基盤保持具の略水平となるステップ部の生育基盤内に埋設することで、その覆土効果によって種子の発芽・生育はより確実なものとなる。
又、本考案では前記生育基盤保持具を等高線に沿って連続的あるいは断続的もしくは千鳥格子状に複数段設置することができる。このようにステップ状の水平部を複数段設置することによって、斜面上部の植生から供給される落下種子や飛来種子は一段目で跳んでも次段のステップ部で捕捉され、急斜面でも落下種子や飛来種子は複数段のいずれかによって斜面内で確実に捕捉される。
又、この生育基盤保持具を断続的あるいは千鳥格子状に設置することによって、より経済的に自然回復緑化を実施することが可能となり、斜面の勾配等施工条件に合わせて適宜選択することができる。
又、この複数段設置した生育基盤保持具と生育基盤保持具の間を裸地で残し、この裸地部へも周辺植生からの飛来種子の定着を図ることができる。又、急斜地や侵食を受けやすい斜面では、この裸地部にネット類やシート・マット類あるいは木質系廃材等をチップ化した木質チップ材によってマルチングを施すことができる。特に飛来種子の捕捉には繊維の本数が多く、絡みつき易いヤシ繊維ネットや凹凸のある木質チップマルチングは捕捉効果が高く自然回復緑化には極めて有効である。
又、施工地周辺に自生する植生が無く落下種子や飛来種子の供給が困難と思われる施工地や、より早期に自然植生の回復を図りたい施工地においては、この裸地部に直接施工地周辺の森林で採取した森林表土や、あるいは施工に先立って確保した現地表土等を生育基盤材と共に吹付けるか、ネット類や木質チップマルチングの上層に吹付けることにより自然回復緑化を図ることができる。
又、この森林表土や現地発生表土は生育基盤材と混合して前記生育基盤保持具内へ吹付けや注入あるいは人力等によって充填することが可能であり、これによって施工地周辺に自生する植生が無く種子の供給が困難な施工地においても表土に含まれる埋土種子によって地域性種苗による自然回復緑化を図ることができる。
以上述べたように本考案によって次のような具体的効果が期待できる。
(1)本考案では斜面上に略水平となる生育基盤をステップ状に複数段造成し、これにより急斜地や岩盤斜面においてもドングリ等の大型種子や重量のある落下種子、飛来種子や鳥撒布種子も確実に捕捉することができる。
(2)捕捉された飛来種子等は網状体上半部の網目が大きいため生育基盤保持具内に充填された生育基盤に直接定着し、斜面の表面を流下する表流水をステップ状の生育基盤内に貯え、該生育基盤材の保水能によって発芽は促進され、幼芽期の水分不足や養分不足による立ち枯れを防ぎ、その生育を促進することができる。
(3)苗木や発芽した木本植物等は根系の発達にともなって生育基盤保持具の下部に設置された貯水部により水分が供給され、確実に成長することができる。
(4)さらに本考案によれば、特許文献1にも示されるように、斜面全体に生育基盤を造成し、柵状物や網状体あるいは両方を併用して設置する方法や、特許文献2および特許文献3に示す植生マットを斜面全体に張設する方法に比べて極めて経済性が高く、安価に自然回復緑化構造を実現でき、施工も軽量な網状体の網目を介してアンカーボルトに引き掛けて固定するという簡単な作業であり、生育基盤材の充填も吹付けや注入することにとどまらず、斜面内の表土を集めて充填する等現場条件に合わせて容易に施工性の向上を図ることができる。
(5)斜面上に設置された上面略水平となるステップ部の生育基盤に苗木を植栽することで、鳥類の止まり木や食餌木となり鳥撒布種子の定着を促し、施工地周辺に飛来種子や落下種子を供給する植生が無い場合であっても、自然回復緑化を実現することができる。
(6)さらに本考案では横縞状もしくは千鳥状に連続的あるいは断続的に複数段設置された生育基盤保持具の間の裸地部に、森林表土と生育基盤材を混ぜ合わせて吹付けたり、マルチングを施した上層部や種子を含まない生育基盤材を吹付けた上層に施工地附近で採取した森林表土を生育基盤材と共に吹付けたり、現地発生表土や前記森林表土と生育基盤材を生育基盤保持具内に充填することによって飛来種子や落下種子の供給源の無い施工地においても地域性種苗による自然回復緑化が可能となる。
以上、述べたように本考案によって周辺植生から飛来あるいは落下した種子の捕捉、定着・生育をより確実なものとすることができると共に、地域性苗木の導入や施工地周辺の森林表土に含まれる埋土種子の活用によって飛来種子や落下種子の供給が困難な施工地でも遺伝子レベルにまで配慮した自然植生の回復を速やかに実現することができる。
以下図面を参照しながら本案の実施の形態について説明する。
図1は本考案に係る略くの字状に形成された網状体よりなる生育基盤保持具を示す斜視図であり、1は屈折点を示し、2は上半部の網目を示し、3は下半部の網目を示す。
上半部は生育基盤材を充填したり、大型の飛来種子を捕捉し易いように大きな網目とし、下半部は生育基盤が流出しないように小さめの網目を形成する。
又、網状体はクリンプ金網や溶接金網あるいはプラスチック成型品等が用いられるが、素材は2年程度で腐植分解する腐植促進型線材や生分解性プラスチック等を用いることにより、植物の成長を阻害せず環境にも配慮することができる。
図2は前記生育基盤保持具を斜面20にアンカーボルト4を用いて、網状体の上半部が略水平となるよう網状体の網目を介して固定し、この網状体内に生育基盤材5を充填した状態を示す断面図であり、これに植物種子や肥料を挟持するシート状物6を網状体内側の素線に付設して設置することによって、生育基盤材の流出を防ぐばかりで無く、網状体下半部からの植物の生育を促すことができる。
このシート状物に挟持する種子は在来種の草本種子(例えばメドハギ、ヨモギ等)を用いることで早期に景観を改善することができる。
又、生育基盤材は有機質系の生育基盤材の他、現地発生土や客土材に緩効性肥料や遅効性肥料と接合剤を混合した材料を吹付や注入等の機械施工や人力により施工地の地山表土を充填することも可能である。
図5は生育基盤保持具を斜面全体に横縞状(ストライプ状)に連続して設置した状況を示す図であり、網状体10は適宜間隔をおいて等高線状に連続して設置され、網状体よりなる生育基盤保持具10と生育基盤保持具10の間には裸地部30が残る。この部分にも周辺植生からの飛来種子や風撒布種子等が定着し、自然植生の回復を図ることができる。
又、前記生育基盤保持具は適宜断続的に設置することもできる。
図4は前記生育基盤保持具を斜面に千鳥状に配置した状態を示す図であり、生育基盤保持具の設置数が少なくなり、経済性は向上する。当然ながら裸地部30の面積も広くなる。又、生育基盤保持具の左右端部には生育基盤材の流出を防ぐ蓋などが設けられる。本案によれば勾配の緩い斜面や地盤条件の良い斜面では特に有効であり、経済性も向上することができる。
図5は図3の生育基盤保持具を横縞状(ストライプ状)に設置した例の一部を示す正面図であり、生育基盤保持具10と生育基盤保持具10の間の裸地部にマルチングネット7を敷設した状態を表している。
このネットは複数の繊維で構成されるヤシ繊維ネット等を用いることで、飛来種子の定着を促進すると共に、裸地斜面の侵食を抑制することができる。
このマルチング材は、ネットの他マット状物や木質系廃材をチップ化したチップ材等も敷設あるいは吹付けることができ、侵食防止効果と飛来種子の定着効果の向上を図ることができる。
以上のように本考案によって施工地周辺の自然植生から供給される落下種子や飛来種子は等高線状に複数段設置された略水平となるステップ部の比較的大きな網目(50〜100m/m)内に確実に捕捉され、大型種子や重量のある種子もこのステップ部に定着し、これらの種子は網状体内に充填された生育基盤材に直接密着し、さらに落葉や砂塵が覆土となり発芽をより確実なものとする。
さらに生育基盤材には肥料や保水性材料が混入され、発芽した飛来種子や落下種子の生育を促進し成長を促す。
さらに本考案によれば生育基盤保持具の設置間隔を広げることで、よりコストを縮減でき経済性も高くなる。
又、施工性においてもアンカーボルトをあらかじめ打ち込んでおき、該アンカーボルトに網状体の網目を引っ掛けて固定するという簡単な作業であり、こうして構成された生育基盤保持具内にグラウトポンプや吹付機を用いて混練した生育基盤材を充填するというシンプルなものである。
図6は斜面20に設置した生育基盤保持具10の略水平となるステップ部に苗木8を植栽したことを示す断面図であり、生育基盤保持具10内に充填された生育基盤材5には保水材、肥料、土壌改良剤等が混入され苗木の生育を促進する。
さらに生育基盤保持具の内側下半部には生育基盤保持具下部と斜面地山に接して生育基盤材5内に斜面の表面を流下する表流水を貯留する保水もしくは遮水シート9を設置し、貯水部を設ける。この貯水部を設けることによって水分の供給量が少なく、活着率の低下する斜面への苗木の導入をより確実なものとすることができる。
又、苗木は施工地附近で採取し、育成した苗木を用いることにより自然景観や地域生態系の保全が可能となる。特に鳥類の食餌木や止まり木となる苗木を採択することで自然植生の侵入促進を図ることができ、落下種子や飛来種子の供給が困難な施工地や早期に景観の回復を図りたい地域では有効である。
図7は前記生育基盤保持具10を適宜間隔をおいて設置し、この間隙となる裸地部に周辺森林で採取された埋土種子を含む森林表土を生育基盤座と共に吹付けて、森林表土混合生育基盤層40を造成したことを示す断面図であり、周辺植生からの飛来種子や落下種子の供給が困難な施工地や、より早期に自然植生の回復を図りたい場合に有効である。
この森林表土を含む生育基盤材は図5で示すマルチングネットや植物性廃材をチップ化した破砕チップマルチングの上層部に吹付けることも可能であり、必要に応じて緑化基礎工として金網や生分解性のネット類を併用することも可能である。
以上、本実施例によれば施工地法面の周辺に種子を供給する母樹や植生がない施工地においても地域性種苗の導入が可能となり、自然植生や生態系の回復がより確実且つ広範囲で実施することが可能となる。
本考案による略くの字状に形成された網状体よりなる生育基盤保持具を示す斜視図である。 前記生育基盤保持具の斜面への取り付け状態を示す断面図である。 生育基盤保持具を斜面全体に横縞状に設置した状態を示す模式図である。 生育基盤保持具を斜面全体に千鳥格子状に配置した状態を示す模式図である。 生育基盤保持具と生育基盤保持具の間の裸地部にマルチングネットを張設した状態を示す正面図である。 生育基盤保持具のステップ部に苗木を植栽した状態を示す断面図である。 生育基盤保持具を斜面に適宜間隔をおいて設置し、その間の裸地部に森林表土を含む生育基盤材を吹付けた状態を示す断面図である。
1 屈折点
2 上半部の網目
3 下半部の網目
4 アンカーボルト
5 生育基盤材
6 種子・肥料を挟持するシート状物
7 マルチングネット
8 苗木
9 保水シート
10 略くの字状に形成された網状体よりなる生育基盤保持具
20 斜面
30 裸地部
40 森林表土混合生育基盤層

Claims (7)

  1. 斜面に植物生育基盤を造成するための生育基盤保持具であって、斜面に等高線に沿って連続的もしくは断続的あるいは千鳥格子状に設置され、側面形状が略くの字状に形成された網状体で、この上半部が略水平となるよう該網状体の網目を介してアンカーボルトにより斜面に固定することを特徴とする自然回復緑化用生育基盤保持具。
  2. 請求項1記載の生育基盤保持具の略くの字状に形成された網状体の上半部と下半部で網目の形状・寸法が異なるかおよび/もしくは下半部に植物種子や肥料を挟持するシート状物を網状体の生育基盤と接する内側に付設してなることを特徴とする自然回復緑化用生育基盤保持具。
  3. 前記請求項1〜2記載の自然回復緑化用生育基盤保持具の側面形状が略くの字状に形成した網状体の下半部の内側に生育基盤材および地山に接するように保水材もしくは遮水材を付設して、貯水部を形成する事を特徴とする自然回復緑化用生育基盤保持具。
  4. 前記請求項1〜3記載の生育基盤保持具を上半部が略水平となるようアンカーボルトを用いて斜面に固定し、該網状体に生育基盤材を充填して形成された略ステップ状の植物生育基盤に苗木を植栽するかおよび/もしくはドングリ等の大型種子を生育基盤材に埋設することを特徴とする自然回復緑化の構造。
  5. 請求項1〜3記載の生育基盤保持具を等高線に沿って複数段横縞状に連続して、もしくは断続的にあるいは千鳥格子状に所望の間隔をおいて設置して形成されたステップ状の生育基盤に飛来種子や落下種子を捕捉すると共に、この間を裸地のままおよび/もしくはマルチングを施し、この裸地部あるいはマルチング部へも周辺自然植生の侵入や飛来種子の定着を図ることを特徴とする自然回復緑化の構造。
  6. 請求項5記載の生育基盤保持具と生育基盤保持具の間に施工地付近の森林で採取した埋土種子を含む森林表土を生育基盤材と共に吹付けるかおよび/もしくはマルチングを施した上層もしくは種子無しで生育基盤材のみを吹付け造成した上層に吹付けることを特徴とする自然回復緑化の構造。
  7. 請求項1〜3記載の生育基盤保持具内に、施工地附近で採取した埋土種子を含む森林表土を生育基材と共に吹付けもしくは充填することを特徴とする自然回復緑化の構造。
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