JP2006265592A - 亜鉛浸出残渣の湿式処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 湿式亜鉛製錬で焼鉱を浸出して固液分離することにより固形分として除かれた亜鉛浸出残渣を、酸で浸出して固液分離する浸出工程と、この浸出工程で得られた浸出液を中和して固液分離する第1段中和工程と、この第1段中和工程で得られた中和液を脱砒して固液分離する脱砒工程と、この脱砒工程で得られた液を中和して固液分離する第2段中和工程と、この第2段中和工程で得られた中和液を脱鉄して固液分離する脱鉄工程とを備えた亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、第1段中和工程で得られた中和液を脱砒する際に、この中和液に亜鉛末と硫酸銅などの銅イオン源物質とを添加する。
【選択図】 図1
Description
この浸出工程では、上記の湿式亜鉛製錬で得られる亜鉛浸出残渣に、上記の亜鉛製錬の電解尾液を加えてパルプ状にした後、SO2などによる還元雰囲気で浸出して固液分離し、主成分として鉛と銀を含む固形分と、その他の成分を含む浸出液に分離する。具体的には、湿式亜鉛製錬で得られる亜鉛浸出残渣に、上記の亜鉛製錬の電解尾液を加えて、150〜250g/Lのパルプ状にする。次に、SO2分圧0.15〜0.25MPa、温度80℃以上、好ましくは100℃以上で還元浸出を行なう。このSO2浸出により以下の脱銅反応が起こる。
ZnS+H2SO4=ZnSO4+H2S
2ZnS+2H2SO4+SO2=2ZnSO4+2H2O+3S
CuSO4+S+SO2+2H2O=CuS+2H2SO4
CuSO4+H2S=CuS+H2SO4
この第1段中和工程では、上記の浸出工程で得られた浸出液に炭酸カルシウムを加えて、浸出液中の遊離硫酸を中和して固液分離し、石膏を主成分とする固形分と、その他の成分を含む液に分離する。この中和工程は、上記の浸出工程後の浸出液が後の脱鉄工程におけるヘマタイトの生成を著しく阻害する程度の遊離硫酸を含むので、これを中和するために行われる。中和後の遊離硫酸の濃度は3〜10g/Lに調整され、反応後のスラリーを固液分離することによって石膏を得る。鉄の沈殿による石膏の着色などを防止して販売可能な石膏を得るためには、遊離硫酸の濃度が3g/L未満にならない程度に中和するのがよい。
この脱砒工程では、上記の第1段中和工程で得られた中和液に、銀/塩化銀電極で測定しながら−300mVになるように亜鉛末(ZnD(zinc dust))を加えて固液分離し、主に銅および砒素を砒化銅として含む固形分と、その他の成分を含む液に分離する。この脱砒工程では、液中の砒素を完全には取り除かない。砒素を完全に取り除くことを優先すると、カドミウムも沈殿してしまい、このカドミウムを回収することが困難になるからである。
この第2段中和工程では、上記の脱砒工程で砒化銅を分離した後の液に炭酸カルシウムを加えながらpHを4〜4.6に上げて固液分離し、アルミニウムを主成分とする固形分と、その他の成分を含む液に分離する。アルミニウムもヘマタイトの生成の阻害因子の一つであるので除去する。pHを4〜4.6にするのは、pH4未満ではアルミニウムの分離が不十分であり、pH4.6を超えるとZnおよびFeの沈殿が始まるからである。
この脱鉄工程では、上記の第2段中和工程でアルミニウムを分離した後の液を、ヘマタイト生成温度領域で鉄を酸化しながら加水分解した後に固形分離し、鉄をヘマタイトとして含む固形分と、亜鉛を含む液に分離する。具体的には、上記の第2段中和工程により得られた液を平衡論的にヘマタイトが沈殿する温度である190℃以上まで昇温し、O2分圧0.1〜0.3MPaの酸化雰囲気中で反応させた後に、減圧して濾別することによってヘマタイトを得る。反応後の液は、Znの含有率が60〜100g/Lのまま保たれるが、Feの含有率は6g/L以下まで減少する。この脱鉄工程後の液は再び亜鉛製錬の浸出工程に送られ、亜鉛回収の原料として使用される。
Claims (14)
- 湿式亜鉛製錬で焼鉱を浸出して固液分離することにより固形分として除かれた亜鉛浸出残渣を、酸で浸出して固液分離する浸出工程と、この浸出工程で得られた浸出液を中和して固液分離する第1段中和工程と、この第1段中和工程で得られた中和液を脱砒して固液分離する脱砒工程と、この脱砒工程で得られた液を中和して固液分離する第2段中和工程と、この第2段中和工程で得られた中和液を脱鉄して固液分離する脱鉄工程とを備えた亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、前記第1段中和工程で得られた中和液を脱砒する際に、この中和液に亜鉛末と銅イオン源物質を添加することを特徴とする、亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記銅イオン源物質が硫酸銅であることを特徴とする、請求項1に記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記銅イオン源物質の添加量が、前記第1段中和工程で得られた中和液を脱砒する反応槽内のAsの濃度に対するCuの濃度の比(Cu/As比)に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記銅イオン源物質の添加量が、前記Cu/As比が1.5以上になるように決定されることを特徴とする、請求項3に記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記銅イオン源物質の添加量が、前記第1段中和工程で得られた中和液を脱砒する反応槽内の電位に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記銅イオン源物質の添加量が、前記電位が−320mV以上になるように決定されることを特徴とする、請求項5に記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記亜鉛浸出残渣から金、銀、銅、鉄および鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の有価金属を分離して回収することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記浸出工程が、湿式亜鉛製錬における電解尾液を前記亜鉛浸出残渣に加えてパルプ状にした後に還元雰囲気で浸出して固液分離し、主成分として鉛と銀を含む固形分と、その他の成分を含む浸出液に分離する工程であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記第1段中和工程が、前記浸出工程で得られた浸出液に炭酸カルシウムを加え、前記浸出液中の遊離硫酸を中和して固液分離し、石膏を主成分とする固形分と、その他の成分を含む液に分離する工程であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記脱砒工程が、前記第1段中和工程で得られた中和液に亜鉛末と銅イオン源物質を加えて固液分離し、主に銅および砒素を砒化銅として含む固形分と、その他の成分を含む液に分離する工程であることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記第2段中和工程が、前記脱砒工程で砒化銅を分離した後の液に炭酸カルシウムを加えながらpHを上げて固液分離し、アルミニウムを主成分とする固形分と、その他の成分を含む液に分離する工程であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記脱鉄工程が、前記第2段中和工程でアルミニウムを分離した後の液を、ヘマタイト生成温度領域で鉄を酸化しながら加水分解した後に固形分離し、鉄をヘマタイトとして含む固形分と、亜鉛を含む液に分離する工程であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記第2段中和工程と前記脱鉄工程との間に、前記第2段中和工程で得られた液に亜鉛末を加えて固液分離し、主成分として砒素、カドミウムおよび鉛を含む固形分と、その他の成分を含む液に分離する第2段脱砒工程を備えたことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
- 前記浸出工程で得られた浸出液中の銅の量を砒素1モルに対して3モル以上とし、この浸出液を前記脱砒工程において砒素と反応させて砒化銅を形成させることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
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