JP5176053B2 - 亜鉛浸出残渣の湿式処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、亜鉛浸出残渣の湿式処理方法に関し、特に、湿式亜鉛製錬の亜鉛浸出工程で分離された亜鉛浸出残渣に残存する亜鉛を回収するために、亜鉛浸出残渣から鉄分を主にヘマタイトとして除去する、亜鉛浸出残渣の湿式処理方法に関する。
湿式亜鉛製錬の原料鉱石(亜鉛精鉱)は、通常1〜12%の鉄を含んでおり、焙焼炉内で鉄分に相当するジンクフェライト(ZnO・Fe)を生成する。このジンクフェライトは、通常の焼鉱(焙焼された鉱石)の浸出条件では不溶性であるため、湿式亜鉛製錬において亜鉛を浸出した際に、亜鉛浸出残渣として亜鉛以外の他の成分とともに除かれる。この亜鉛浸出残渣には、浸出しきれなかった亜鉛や、鉄や有価金属を含む他の様々な元素が混入しているので、亜鉛浸出残渣に残存する亜鉛を回収するために、亜鉛浸出残渣から亜鉛以外の鉄や有価金属を除去して回収した後に、この処理済液を亜鉛製錬の亜鉛浸出工程に戻している。
このような亜鉛浸出残渣から亜鉛を回収するために鉄を分離して除去する方法として、従来から、ジャロサイトプロセス、ゲーサイトプロセスおよびヘマタイトプロセスと呼ばれている3つのプロセスが実操業化されている。これらの3つのプロセスのうち、ジャロサイトプロセスおよびゲーサイトプロセスでは、生成した鉄澱物を有効にリサイクルしている例は殆どなく、鉄澱物を廃棄物ではなく有価金属として利用するには、ヘマタイトプロセスが最も適していると考えられている。しかし、従来のヘマタイトプロセスでは、生成するヘマタイト(Fe)中の不純物の量を満足するレベルまで低減することができなかった。
そのため、湿式亜鉛製錬の亜鉛浸出残渣をヘマタイトプロセスにより処理する際に生じるヘマタイト中の不純物の量を低減してヘマタイトを回収することができるとともに、鉄以外の金、銀、銅または鉛などの有価金属も効果的に分離して回収することができる、亜鉛浸出残渣の湿式処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、湿式亜鉛製錬で焼鉱を浸出して固液分離することにより固形分として除かれた亜鉛浸出残渣に、湿式亜鉛製錬における電解尾液を加えてパルプ状にした後に還元雰囲気で浸出して固液分離して、主成分として鉛と銀を含む固形分(2次浸出残渣)と、その他の成分を含む浸出液に分離し(2次浸出工程)、この浸出液に炭酸カルシウムを加え、浸出液中の遊離硫酸を中和して固液分離し、石膏を主成分とする固形分と、その他の成分を含む中和液に分離し(第1段中和工程)、この中和液に亜鉛末を加えて固液分離し、銅および砒素を主成分として含む固形分と、その他の成分を含む液に分離し(脱砒工程)、この脱砒工程において銅および砒素を主成分として含む固形分を分離した後の液に炭酸カルシウムを加えながらpHを上げて固液分離し、アルミニウムを主成分とする固形分と、その他の成分を含む液に分離し(第2段中和工程)、この第2段中和工程でアルミニウムを分離した後の液を、ヘマタイト生成温度領域で鉄を酸化しながら加水分解した後に固形分離し、鉄をヘマタイトとして含む固形分と、亜鉛を含む液に分離(脱鉄工程)した後、この液を亜鉛製錬の浸出工程(1次浸出工程)に戻している。
また、亜鉛精鉱の焙焼によって得られた焼鉱を酸で浸出して得られた亜鉛浸出残渣を湿式処理する亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、亜鉛浸出残渣を酸で浸出(2次浸出)して得られた残渣(2次浸出残渣)に水や酸を加えて撹拌洗浄した後に濾過して、その濾液中に有価金属を回収するとともに、主成分として鉛と銀を含む固形分を回収して鉛製錬の原料として利用する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−30355号公報(段落番号0006−0012) 特開2005−256117号公報(段落番号0013−0024)
しかし、特許文献1および2の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法では、亜鉛浸出残渣を酸で浸出して得られた2次浸出残渣や、この2次浸出残渣に水や酸を加えて撹拌洗浄して得られた固形分(主成分として鉛と銀を含む固形分)には、依然として数百ppm程度のレアメタルが含まれており、そのまま鉛原料として使用すると、インジウムなどのレアメタルのロスが多くなる。
また、焼鉱中の硫黄分の品位は、操業条件によって変動し、一般に0.03〜0.3%の範囲にあり、2次浸出工程で処理される亜鉛浸出残渣中の硫黄分の品位は、原料である亜鉛精鉱の品質や焙焼工程における条件によって変動するが、この硫黄分は、1次浸出工程ではほとんど分解されずに亜鉛浸出残渣中に残るため、亜鉛浸出残渣の2次浸出工程の際に、硫黄分が浸出された銅と反応して沈殿して2次浸出残渣に含まれてしまう。この2次浸出残渣中の銅は、後の脱砒工程において砒素を効率的に除去するために添加する銅源としてできる限り多く浸出回収するのが望ましい。特に、脱砒工程で砒素を除去するために十分な銅の濃度を維持できない場合には、砒素を安全且つ効率的に置換沈殿できない可能性が高くなるので、2次浸出残渣からできる限り多くの銅を浸出回収して脱砒工程で添加することができるようにするのが望ましい。また、2次浸出残渣中の銅の品位が高いと、2次浸出残渣を鉛製錬炉に投入して鉛の製錬を行う前に、銅と鉛を選鉱する前処理工程が必要になる。さらに、2次浸出残渣中には、亜鉛浸出残渣から浸出しきれなかったジンクフェライト(ZnO・Fe)が数%残存しているため、亜鉛の回収率が低くなる。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、亜鉛精鉱の焙焼によって得られた焼鉱を酸で浸出して得られた鉛浸出残渣を湿式処理する亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、亜鉛浸出残渣を酸で浸出して得られた2次浸出残渣から銅、亜鉛およびインジウムなどのレアメタルを効率的に回収することができる、亜鉛浸出残渣の湿式処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、亜鉛精鉱の焙焼によって得られた焼鉱を酸で浸出して得られた亜鉛浸出残渣を湿式処理する亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、亜鉛浸出残渣を酸で浸出して得られた2次浸出残渣を酸化して浸出することにより、銅、亜鉛およびインジウムなどのレアメタル以外の元素の浸出を抑制して銅、亜鉛およびインジウムなどのレアメタルを効率的に回収することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による亜鉛浸出残渣の湿式処理方法は、亜鉛精鉱の焙焼によって得られた焼鉱を酸で浸出して得られた亜鉛浸出残渣を湿式処理する亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、亜鉛浸出残渣を酸で浸出して得られた2次浸出残渣を酸化して浸出することを特徴とする。
また、本発明による亜鉛浸出残渣の湿式処理方法は、湿式亜鉛製錬において焼鉱を酸で浸出して固液分離することにより固形分として除かれた亜鉛浸出残渣を、酸で浸出して固液分離する浸出工程と、この浸出工程で得られた浸出液を中和して固液分離する第1段中和工程と、この第1段中和工程で得られた中和液を脱砒して固液分離する脱砒工程と、この脱砒工程で得られた液を中和して固液分離する第2段中和工程と、この第2段中和工程で得られた中和液を脱鉄して固液分離する脱鉄工程とを備えた亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、前記浸出工程で得られた2次浸出残渣を酸化して浸出することを特徴とする。
これらの亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、2次浸出残渣を酸化して浸出する際に、2次浸出残渣を酸化するための酸化剤として亜鉛浸出残渣を使用するのが好ましい。また、2次浸出残渣を酸化して浸出する際に、2次浸出残渣を浸出するための酸として硫酸含有溶液を使用するのが好ましく、硫酸含有溶液として、焼鉱を酸で浸出して得られた浸出液に浄液処理を施して電解工程により亜鉛を回収した後の電解尾液を使用するのが好ましい。さらに、硫酸含有溶液中の硫酸濃度が80〜200g/L、2次浸出残渣を酸化して浸出する際の温度が温度50〜100℃、2次浸出残渣を酸化して浸出する時間が15〜300分間であるのが好ましい。
本発明によれば、亜鉛精鉱の焙焼によって得られた焼鉱を酸で浸出して得られた亜鉛浸出残渣を湿式処理する亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、亜鉛浸出残渣を酸で浸出して得られた2次浸出残渣から銅、亜鉛およびインジウムなどのレアメタルを効率的に回収することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明による亜鉛浸出残渣の湿式処理方法の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による亜鉛浸出残渣の湿式処理方法の実施の形態の工程を概略的に示している。図1に示すように、本発明による亜鉛浸出残渣の湿式処理方法の実施の形態では、湿式亜鉛製錬で焼鉱を浸出して固液分離(1次浸出工程)することにより固形分として除かれた亜鉛浸出残渣(Zn残渣)に、2次浸出工程、第1段中和工程、脱砒工程、第2段中和工程および脱鉄工程からなる処理を施した後、脱鉄后液を亜鉛製錬の浸出工程に戻して使用する。以下、これらの各工程について説明する。
(1)亜鉛製錬工程(焙焼、浸出、浄液、電解工程)
まず、湿式亜鉛製錬では、鉱石(亜鉛精鉱)を焙焼して得られた焼鉱を酸で浸出(1次浸出)して固液分離(固体(S)と液体(L)に分離)を行って、亜鉛を多く含む浸出液と、鉄、銅、金、銀、鉛などを含む固形分としての亜鉛浸出残渣に分離する。この固液分離により得られた浸出液に浄液処理を施した後、電解工程により亜鉛を回収する。この電解工程により亜鉛が回収された後の液(電解尾液)は、上記の亜鉛製錬の浸出工程(1次浸出工程)および浄液工程に戻されて使用されるとともに、後述する亜鉛浸出残渣の浸出工程(2次浸出工程)にも供給されて再利用される。一方、亜鉛浸出残渣は、浸出できないジンクフェライトの形態の亜鉛分の他に、鉄、銅、金、銀、鉛などの有価金属を含んでいるので、有価金属などを回収するために、後述する2次浸出工程、第1段中和工程、脱砒工程、第2段中和工程および脱鉄工程を行う。なお、亜鉛浸出残渣中には、20質量%程度の亜鉛と、20質量%程度の鉄と、5〜10質量%程度の鉛と、0.5〜1質量%の銅と、レアメタルとして1000〜2000ppm程度のインジウムが含まれている。
(2)2次浸出工程
この2次浸出工程では、上記の湿式亜鉛製錬で得られる亜鉛浸出残渣に、硫酸含有溶液を加えてスラリー化した後、SOなどによる還元雰囲気で浸出して亜鉛浸出残渣中のジンクフェライト(ZnO・Fe)を分解し、固液分離して、主成分として鉛と銀を含む固形分(2次浸出残渣)と、その他の成分(亜鉛の他、銅、砒素、鉄およびアルミニウム)を含む浸出液に分離する。具体的には、湿式亜鉛製錬で得られる亜鉛浸出残渣に、硫酸含有溶液として上記の亜鉛製錬の電解尾液(遊離酸濃度150〜250g/L)を加えてスラリー化した後、反応槽(加圧容器)中で撹拌しながら、SOガス加圧下において温度90〜130℃で60〜300分間還元浸出を行なう。この還元浸出では、SOガスの分圧を0.1〜0.3MPa、反応槽中の気相の体積を25%以下、気相の全圧を0.2〜0.4MPaにするのが好ましくい。また、硫酸含有溶液中の硫酸濃度を180〜200g/Lにするのが好ましく、スラリーのパルプ濃度を200〜400g/Lに調整するのが好ましい。
この2次浸出工程では、亜鉛、鉄、銅およびインジウムは、それぞれ主としてZnSO、FeSO、CuSOおよびIn(SOの形態で浸出液中に回収され、亜鉛と鉄の回収率を95%以上にすることができる。インジウムの回収率は、亜鉛や鉄と比べて低く、90%程度である。また、銅の回収率は、浸出時間が長くなると急激に低下し、通常0〜30%程度の低い回収率になる。この銅の回収率の低下は、焙焼工程で残留したZnSなどの硫化鉱物の存在によると考えられる。
(3)第1段中和工程
この第1段中和工程では、上記の2次浸出工程で得られた浸出液に炭酸カルシウムを加えて、浸出液中の遊離硫酸を中和して固液分離し、石膏を主成分とする固形分と、その他の成分を含む液に分離する。この中和工程は、上記の2次浸出工程後の浸出液が後の脱鉄工程におけるヘマタイトの生成を著しく阻害する程度の遊離硫酸を含むので、これを中和するために行われる。中和後の遊離硫酸の濃度は3〜10g/Lに調整し、反応後のスラリーを固液分離することによって石膏を得る。遊離硫酸の濃度を3〜10g/Lに調整するのは、次の脱砒工程において使用される亜鉛末を必要以上に消費しないようにするとともに、石膏中への鉄などの不純物の沈殿を避けるためである。
(4)脱砒工程
この脱砒工程では、上記の第1段中和工程で得られた中和液に銅源を添加して、中和液中のCu/As比を1.5〜4.0に調整しながら、銀/塩化銀電極で反応槽の電位を測定して−300mV〜−100mVに維持するように、中和液に亜鉛末(ZnD(zinc dust))を添加して固液分離し、銅および砒素を主成分として含む固形分と、その他の成分を含む液に分離する。この脱砒工程後の中和液の砒素濃度は、通常の脱砒工程前の液の砒素濃度約1.0g/Lから20mg/L以下まで低下する。中和液中の銅濃度が十分でなければ、砒素を亜鉛末によって金属砒素として沈殿除去する必要が生じ、上述した反応槽の下限電位−300mVでは、砒素を十分に置換して沈殿除去することが困難になる。なお、反応槽に添加する銅源としては、金属銅、酸化銅(CuO、CuO)、硫酸銅のいずれの形態でもよく、焼鉱の浸出液の浄液工程で生じる清浄銅残渣を使用することもできる。
(5)第2段中和工程
この第2段中和工程では、上記の脱砒工程において銅および砒素を主成分として含む残渣を分離した後の液に炭酸カルシウムを加えながらpHを4.0〜4.8に上げて固液分離し、アルミニウムを主成分とする固形分(2段石膏)と、その他の成分を含む液に分離する。この2段石膏は、インジウムやガリウムの製錬原料として使用することができる。pHを4.0〜4.8にするのは、pH4未満では、アルミニウム、インジウム、ガリウムの中和沈殿反応が不十分であり、pH4.8を超えると、次の脱鉄工程において処理すべき液中の亜鉛および鉄の2段石膏への沈殿が始まるからである。
(6)脱鉄工程
この脱鉄工程では、上記の第2段中和工程でアルミニウム、インジウムおよびガリウムを分離した後の液中の鉄を、ヘマタイト生成温度・圧力領域で酸化しながら加水分解して固形分離し、ヘマタイトを主成分とする固形分(酸化鉄)と、亜鉛を含む液に分離する。具体的には、上記の第2段中和工程により得られた液を180℃以上まで昇温し、1.5〜1.8MPaの加圧条件において酸素分圧0.1〜0.4MPaの酸化雰囲気中で反応させた後に、減圧して濾別することによってヘマタイトを得る。反応後の液中の亜鉛の濃度は60〜100g/Lに保たれるが、鉄の濃度は6g/L以下まで低下する。この脱鉄工程後の液は再び亜鉛製錬の浸出工程に送られ、亜鉛回収の原料として使用される。
(7)2次浸出残渣の酸化浸出工程
2次浸出工程後のスラリーの固液分離により分離されて除去される澱物である固形分(S)(2次浸出残渣)の品位は、鉱石の品位や前工程の条件などから一定ではないが、この2次浸出残渣には、10〜30質量%程度の鉛と、0.3〜0.8質量%程度の銀の他に、2〜10質量%程度の亜鉛と、2〜10質量%程度の鉄と、1〜5質量%程度の銅と、レアメタルとしてインジウムが含まれている。
この2次浸出残渣から銅、亜鉛およびインジウムなどのレアメタルを回収するために、2次浸出残渣に酸化剤および酸性溶液を混合して撹拌しながら昇温することにより、2次浸出残渣の酸化および浸出を行う。この2次浸出残渣の浸出に使用する酸性溶液として、硫酸、硝酸、塩酸などを含有する溶液を使用することができるが、硫酸含有溶液を使用するのが好ましい。硫酸は亜鉛製錬工程において使用されている酸であるので、電解尾液のような硫酸含有溶液を使用するのがコスト的にも好ましい。また、2次浸出残渣の酸化に使用する酸化剤として、亜鉛浸出残渣を使用することができ、2次浸出残渣中のCuSに対して1当量程度のZnO・Feを含有する亜鉛浸出残渣を使用するのが好ましい。
このように、2次浸出残渣に亜鉛浸出残渣および硫酸含有水溶液を混合して昇温すると、以下の反応式に示すように、亜鉛浸出残渣に含まれるジンクフェライト(ZnO・Fe)中の3価のFeが酸化剤として作用し、硫化銅を酸化して硫酸銅にする反応と、この反応によりジンクフェライト中に内包されていると考えられるインジウムも浸出する反応によって、銅、亜鉛およびインジウムを効率的に回収することができる。
ZnO・Fe + CuS + 4HSO
→ ZnSO + CuSO+ 2FeSO + S+ 4H
2次浸出残渣の酸化浸出工程は、硫酸濃度80〜200g/L、温度50〜100℃、浸出時間15〜300分間の条件で行うのが好ましい。硫酸濃度が80g/L未満の場合や温度が50℃より低いと、浸出の反応速度が遅く、浸出時間が長くなり過ぎる。また、硫酸濃度が200g/Lより高いと、亜鉛製錬の電解尾液を使用するためには、工程内に硫酸を余剰に入れる必要があり、全体の液バランスや酸バランスを大きく崩し、中和剤の消費量が増加し、中和石膏の量が増加する。また、浸出時間15分間より短いと、浸出が不十分になり、十分な効果が得られない。一方、浸出時間が300分間より長いと、反応槽などの設備を大型化する必要があり、コストの面で好ましくない。
この2次浸出残渣の酸化浸出工程では、亜鉛浸出残渣の2次浸出の際に沈殿した銅と残留したインジウムなどを2次浸出液中に効率的に回収することができるので、銅の回収率が飛躍的に向上し、インジウムの回収率も大幅に向上する。
2次浸出残渣の酸化浸出後のスラリーを濾過して得られた残渣は、既に銅やインジウムが十分に除去されているので、濾過器内で貫通洗浄(濾過器を閉板状態としたまま、水または希硫酸を濾板内のケーキに流して洗浄)またはリパルプ洗浄して濾過することを1回以上繰り返した後、主成分として鉛と銀を含む固形分(Pb−Ag残渣)として回収して、鉛製錬の原料として使用することができる。
このPb−Ag残渣は、銅の品位が低いため、特別な選鉱工程を経ずに、鉛製錬の原料として利用することができる。また、銅は浸出液中に回収され、ヘマタイトプロセスの脱砒工程への銅供給が可能になり、脱砒効率を向上させることができる。また、亜鉛やインジウムのロスが減少し、亜鉛やインジウムの有効利用を図ることができる。また、2次浸出残渣の酸化浸出後の濾液は、亜鉛浸出残渣の2次浸出に使用することができ、クローズド・サーキットを維持することができる。さらに、2次浸出残渣の酸化浸出工程では、圧力容器などの高額な設備を使用せず、酸化剤として亜鉛浸出残渣を使用して亜鉛製錬全体の液バランスやマテリアルバランスを大きく変えないので、本発明による亜鉛浸出残渣の湿式処理方法の実施の形態は、極めて実用的である。
以下、本発明による亜鉛浸出残渣の湿式処理方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
亜鉛精鉱を焙焼して得られた焼鉱を硫酸で浸出して固液分離して、表1に示す品位の亜鉛浸出残渣を用意した。
Figure 0005176053
この亜鉛浸出残渣1150gと、硫酸含有水溶液としての電解亜鉛浴の電解尾液(硫酸濃度190g/L)3.5Lとを混合してスラリーとし、このスラリーをオートクレーブ中においてSOガス存在下で撹拌することにより、亜鉛浸出残渣の浸出処理を行った。この浸出条件は、浸出温度110℃、浸出時間120分間、SOガスの分圧0.2MPa、全圧0.3MPa、撹拌回転数800rpmであった。この浸出処理による有価金属の回収率および2次浸出残渣の品位を表2に示す。
Figure 0005176053
表2に示すように、2次浸出残渣では、インジウムの回収率が90%程度、銅の回収率が10%程度であり、これらの回収率は低かった。
次に、2次浸出残渣300gと、硫酸含有水溶液としての電解亜鉛浴の電解尾液(硫酸濃度190g/L)1Lとを混合してスラリーとし、このスラリーをビーカー内で撹拌することにより、2次浸出残渣の浸出処理を行った。この浸出条件は、浸出温度90℃、浸出時間300分間、撹拌回転数500rpmであった。この浸出処理による有価金属の回収率および残渣の品位を表3に示す。
Figure 0005176053
また、2次浸出残渣300gと、硫酸含有水溶液としての電解亜鉛浴の電解尾液(硫酸濃度190g/L)1Lとを混合してスラリーとし、このスラリーに酸化剤として亜鉛浸出残渣45gを添加してビーカー内で撹拌することにより、2次浸出残渣の酸化浸出処理を行った。この浸出条件は、浸出温度90℃、浸出時間300分間、撹拌回転数500rpmであった。この浸出処理による有価金属の回収率および残渣の品位を表4に示す。
Figure 0005176053
表3および表4からわかるように、酸化剤として亜鉛浸出残渣を添加することにより、CuSが浸出されて、銅の回収率が飛躍的に向上している。また、2次浸出残渣の表2と比較すると、亜鉛およびインジウムの回収率も向上している。
本発明による亜鉛浸出残渣の湿式処理方法の実施の形態を概略的に示す工程図である。

Claims (4)

  1. 亜鉛精鉱の焙焼によって得られた焼鉱を酸で浸出して得られた亜鉛浸出残渣を湿式処理する亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、亜鉛浸出残渣を還元雰囲気において酸で浸出して得られた2次浸出残渣に、酸化剤として前記亜鉛浸出残渣を混合するとともに、硫酸含有溶液を混合して、2次浸出残渣の酸化および浸出を行うことを特徴とする、亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
  2. 湿式亜鉛製錬において焼鉱を酸で浸出して固液分離することにより固形分として除かれた亜鉛浸出残渣を、還元雰囲気において酸で浸出して固液分離する浸出工程と、この浸出工程で得られた浸出液を中和して固液分離する第1段中和工程と、この第1段中和工程で得られた中和液を脱砒して固液分離する脱砒工程と、この脱砒工程で得られた液を中和して固液分離する第2段中和工程と、この第2段中和工程で得られた中和液を脱鉄して固液分離する脱鉄工程とを備えた亜鉛浸出残渣の湿式処理方法において、前記浸出工程で得られた2次浸出残渣に、酸化剤として前記亜鉛浸出残渣を混合するとともに、硫酸含有溶液を混合して、2次浸出残渣の酸化および浸出を行うことを特徴とする、亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
  3. 前記硫酸含有溶液が、前記焼鉱を酸で浸出して得られた浸出液に浄液処理を施して電解工程により亜鉛を回収した後の電解尾液であることを特徴とする、請求項1または2に記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
  4. 前記硫酸含有溶液中の硫酸濃度が80〜200g/L、前記2次浸出残渣を酸化して浸出する際の温度が50〜100℃、前記2次浸出残渣を酸化して浸出する時間が15〜300分間であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の亜鉛浸出残渣の湿式処理方法。
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