JP2006265311A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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成晃 松尾
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Abstract

【課題】耐疲労破壊性及び作業性を向上させる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 カーカスプライ及び/又はベルト層を備えた空気入りタイヤであって、カーカスプライあるいはベルト層の少なくとも一方の、金属コードを被覆するコーティングゴムに、ゴムラテックスと、カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液とを混合し、凝固して得られるゴムマスターバッチからなるゴム成分(A)を含有し、ゴムマスターバッチに含まれるカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が110〜140m2/g、もしくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が70〜110ml/100gであるゴム組成物が用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーカスプライ及び/又はベルト層を備える空気入りタイヤに関し、特に、コーティングゴムの耐疲労破壊性及び作業性を向上させた空気入りタイヤに関する。
従来、ゴム中を進展する亀裂は、タイヤの走行に伴う発熱によりゴムが熱を受けることで劣化し、ゴム自身の耐疲労破壊性が低下するために起こると考えられている。
ゴムの耐疲労破壊性を向上させるために、ゴムの耐熱劣化性を向上させ、硫黄の配合量を少なくさせる方法や、当該方法とは逆に、ゴムの剛性を上げ入力歪みを低減させ、硫黄又はカーボンブラックの配合量を増量させる方法が知られている。
さらに、加工性に優れたゴムの製造方法としてマスターバッチを用いることが知られている(例えば、特許文献1)。これは、カーボンブラック、シリカ等の充填材と水とをあらかじめ一定の割合で混合し機械的な力で充填材を水中に微分散させたスラリーと、ゴムラテックスとを混合し、その後、酸、無機塩、アミン等の凝固剤を加えて凝固させたものを、回収、乾燥して得られるものである。
特開2004−99625号公報
しかしながら、ゴムに配合する硫黄を少なくさせる方法の場合、ゴム物性の耐熱劣化性を向上させる反面、ゴムの剛性が低減し、ゴムに掛かる入力歪みが増大してしまうため、逆に耐熱劣化性を低下させる場合があり、さらには、コード(スチールコード)とゴムとの接着性である耐熱接着性(初期接着性を含む)や耐発熱性が低下してしまうことがあった。
また、ゴムに配合する硫黄を増量させる方法の場合、ゴムの剛性が増加されて入力歪みを低減させる反面、ゴムの耐熱劣化性が低下し、ゴムの耐疲労破壊性が全体として低下してしまうことがあった。また、焦げや放置時のブルームなど、工場での作業性が低下してしまう。さらに、隣接部材との硫黄の配合量の差から、硫黄が加硫中に隣接部材に移行し、当該隣接部材の耐熱劣化性能までも低下させてしまう。
また、ゴム成分に配合するカーボンブラックを増量させる方法の場合、ゴムの剛性が増加されて入力歪みを低減させている反面、ヒステリシスロス(粘弾生体に力が加えられて変形させた場合、粘性の働きによって当該変形が力より遅れて生じるエネルギー)が増大するため、耐発熱性が低下し、結果としてゴム自身の疲労破壊性が低下してしまうことがあった。また、未加硫ゴム粘度が増大するため、量産工場でのインシュレーション作業性が低下してしまう。そのため、プロセスオイルなどの作業性改良材や、そのために低下する耐熱接着性(初期接着性を含む)を補完するため、ピロリン酸ナトリウム・10水和物や(−Sx−R−)nで表されるポリサルファイド化合物を配合する必要性が生じ、耐疲労破壊性を低下させる要因となっていた。
そこで、本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、耐疲労破壊性及び作業性を飛躍的に向上させる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、ゴムラテックスと、カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液とを混合し、凝固して得られるゴムマスターバッチを用い、ゴム成分として天然ゴムラテックスを用いること、さらに従来用いられていたカーボンブラックの代わりにグレードをあげたカーボンブラックを用いることで、上記目的を達成することが可能であるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
本発明の特徴は、カーカスプライ及び/又はベルト層を備える空気入りタイヤであって、カーカスプライあるいはベルト層の少なくとも一方の、金属コードを被覆するコーティングゴムに、ゴムラテックスと、カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液とを混合し、凝固して得られるゴムマスターバッチからなるゴム成分(A)を含有し、ゴムマスターバッチに含まれるカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が110〜140m2/g、もしくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が70〜110ml/100gであるゴム組成物を用いること要旨とする。
本発明の特徴に係る空気入りタイヤによると、耐疲労破壊性及び作業性を飛躍的に向上させることができる。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)が110m2/gより小さいと、耐疲労破壊性が低下することがあり、140m2/gより大きいと、発熱の悪化が懸念される。
また、本発明の特徴に係るゴム組成物は、ゴムラテックスと、カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液とを混合する工程において、(i)水分散スラリー溶液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)水分散スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量が、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持していることが好ましい。なお、粒径が大きすぎると、ゴム中の充填材分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。また、24M4DBP吸油量が93%より小さいと、充填材のストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こすことがある。
また、本発明の特徴に係るゴム組成物において、金属コードとコーティングゴムとの間にインシュレーションゴムが介在し、該インシュレーションゴムにゴム組成物を用いてもよい。
また、本発明の特徴に係るゴム組成物において、カーカスプライ及び/又はベルト層が、金属コード表面を直接ゴム組成物で被覆した構造、あるいは、略平面状に複数本並べた金属コードの周囲をゴム組成物で被覆して金属コードを埋設した構造であることが好ましい。
また、本発明の特徴に係るゴム組成物は、加硫後の100%伸長時の引張応力が2.5MPa以上であることが好ましい。
また、本発明の特徴に係るゴム組成物において、ゴムマスターバッチは、天然ゴムマスターバッチであることが好ましい。ゴムマスターバッチは、天然ゴムマスターバッチであることにより、弾性率とゴムのヒステリシスロスを低下させることが可能となる。また、天然ゴムは、機械的特性、低発熱性、耐摩耗性に優れたゴムであり、環境に優しい素材としても注目されている。
また、凝固後のゴムマスターバッチを乾燥させる工程において、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行うことが好ましい。機械的なせん断力をかけることにより、さらに充填材の分散性が向上する。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行うことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いて乾燥を行うことが好ましい。さらには、同方向回転あるいは異方向回転などの複軸混練押出機を用いることが好ましい。
また、本発明の特徴に係るゴム組成物は、特に、オフロードタイヤに好適に用いることができる。さらに、本発明の特徴に係るゴム組成物にプロセスオイルが不要である。
本発明によれば、耐疲労破壊性及び作業性を飛躍的に向上させる空気入りタイヤを提供することができる。
次に、本発明を詳細に説明する。
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、ゴムラテックスと、カーボンブラックを水中に分散させたスラリー溶液とを混合し、凝固して得られるゴムマスターバッチからなるゴム成分(A)を含有し、当該ゴムマスターバッチに含まれるカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が110〜140m2/g、もしくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が70〜110ml/100gである。
(ゴム成分)
ゴム成分(A)としては、天然ゴム、またはジエン系合成ゴムなどが挙げられる。ここで、ジエン系合成ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。このゴム成分(A)の天然ゴムやジエン系合成ゴムは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ゴム成分(A)のマスターバッチの製造方法については、後に詳述する。
(物性)
上記ゴム組成物は、加硫後の物性として、100%伸長時の引張応力が2.5MPa以上であるのが好ましく、3.0〜4.0MPaであるのがさらに好ましい。なお、引張応力は、JIS K6301−1995に準拠して測定することができる。
(その他の成分)
上記ゴム組成物には、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、充填剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、オゾン劣化防止剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。なお、充填剤としては、カーボンブラック等の補強性充填剤が挙げられ、加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)及びN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)等のチアゾール系加硫促進剤、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)等のチウラム系加硫促進剤、並びにジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系加硫促進剤が挙げられる。これら配合剤は、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ゴム組成物は、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
なお、プロセスオイルや、そのために低下する耐熱接着性(初期接着性を含む)を補完するため、ピロリン酸ナトリウム・10水和物や(−Sx−R−)nで表されるポリサルファイド化合物などを配合する必要性がなくなり、ゴム組成物にプロセスオイルを配合する必要がなくなる。
(マスターバッチの製造方法)
本発明のゴム組成物のゴム成分は、ゴムマスターバッチからなる。以下において、天然ゴムラテックスを用いる天然ゴムマスターバッチの製造方法について説明するが、本発明は、天然ゴムマスターバッチに限らず、ジエン系合成ゴムなど合成ゴムを用いるマスターバッチにも適用可能である。
ラテックスとスラリー溶液とを混合する工程においては、あらかじめ水中にカーボンブラックが分散したスラリー溶液を製造しておくことが必要であるが、このスラリー溶液の製造方法は公知の方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、ホモミキサーに所定量の充填材と水を入れ、一定時間攪拌することで、当該スラリー溶液を調製することができる。
次に、本発明における天然ゴムマスターバッチの製造方法では、充填材のスラリー溶液の製造に際しては、水分散スラリー溶液中の充填材の粒度分布と、充填材の24M4DBP吸油量とが特定範囲のものに限定される。すなわち、本発明における天然ゴムマスターバッチの製造方法は、天然ゴムラテックスと、カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液とを混合する工程において、(i)水分散スラリー溶液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)水分散スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量が、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持していることが必要である。ここで、24M4DBP吸油量は、ISO 6894に準拠して測定される値である。
さらに好ましくは、体積平均粒子径(mv)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中の充填材分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。
他方、粒度を小さくするためにスラリーに過度のせん断力をかけると、充填材のストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こす。水分散スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量が、スラリーに投入する前の充填材の24MDBP吸油量の93%以上であることが必要である。さらに好ましくは96%以上である。
充填材の水分散スラリー溶液の製造には、ローター・ステータータイプのハイシアーミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等が用いられる。
例えば、コロイドミルに所定量の充填材と水を入れ、高速で一定時間攪拌することで、当該スラリー溶液を調製することができる。
本発明の天然ゴムマスターバッチの製造方法において、用いられるカーボンブラックとしては、SAF、ISAFといったグレードのカーボンブラックを単独に又は混合して使用することよい。また、ゴムマスターバッチに含まれるカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が110〜140m2/g、もしくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が70〜110ml/100gであり、ゴム成分100重量部当たり、当該カーボンブラックを20〜100重量部含有することが好ましい。特に、N220(昭和キャボット製、グレード:ISAF)が好ましい。また、カーボンブラックは、30〜60重量部含有することがさらに好ましい。
なお、上記カーボンブラックを含む充填材のスラリー濃度は、スラリーに対して0.5重量%〜60重量%が好ましく、特に好ましい範囲は1重量%〜30重量%である。
充填材は、天然ゴムマスターバッチのゴム成分100重量部に対して、5〜100重量部添加されるのが好ましく、特には10〜70重量部の範囲であることが好ましい。充填材の量が5重量部より少ないと充分な補強性が得られない場合があり、また100重量部を超えると加工性が悪化する場合があるからである。
次に、スラリー溶液とゴムラテックスとの混合方法としては、例えば、ホモミキサー中に該スラリー溶液を入れ、攪拌しながら、ラテックスを滴下する方法や、逆にラテックスを攪拌しながら、これに該スラリー溶液を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とラテックス流とを、激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
マスターバッチの凝固方法としては、通常と同様、蟻酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩の凝固剤を用いて行われる。また、本発明においては、凝固剤を添加せず、天然ゴムラテックスとスラリーとを混合することによって、凝固がなされる場合もある。
また、マスターバッチには、所望に応じて、カーボンブラック以外に、界面活性剤、加硫剤、老化防止剤、着色剤、分散剤等の薬品など種々の添加剤を加えることができる。
マスターバッチ製造の最終工程として、乾燥が通常行われる。本発明においては、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができるが、さらに充填材の分散性を向上させるためには、機械的せん断力をかけながら乾燥を行うことが好ましい。これにより、加工性、補強性、低燃費性に優れたゴムを得ることができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行うことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の2軸混練押出機を用いることがより好ましい。
また、上記のせん断力をかけながら乾燥を行う工程においては、乾燥工程前のマスターバッチ中の水分は10%以上であることが好ましい。この水分が10%未満であると、乾燥工程での充填材分散の改良幅が小さくなってしまうことがある。
(空気入りタイヤ)
本発明の空気入りタイヤのカーカスプライ及び/又はベルト層に用いられる金属コードの材質としては、鉄、銅、アルミニウム、SUS、真鍮等を挙げることができる。当該金属コードとしては、スチールコード、特に、ブラスコートされ、加硫ゴムとの接着性が高められたスチールコードが好ましい。そのコーティング処理の方法は特に制限されず、通常の方法、例えば、メッキ処理法、各種CVD法、PVD法等を利用することができる。また、上記金属コードは、1本の線材コード、或いは複数の金属フィラメントを撚り合わせた構成のコードでもよい。また、このような金属コードを複数本並べて、或いは織物とした平面状のスチールコードとしても良い。
上記カーカスプライ及び/又はベルト層は、金属コード表面に直接上述のゴム組成物を被覆した構造、あるいは、略平面状に複数本並べた金属コードの周囲に上記ゴム組成物を被覆して該金属コードを埋設した構造であるのが好ましい。図1に示すように、本発明の空気入りタイヤのカーカスプライ及び/又はベルト層は、スチールコード1がほぼ平面状に配置される場合、上記ゴム組成物からなるインシュレーションゴム2でスチールコード1の表面を直接被覆した構造とすることができる。ここで、インシュレーションゴム2の厚さは、0.1〜3.0mmの範囲が好ましく、0.5〜2.0mmの範囲が更に好ましい。また、上記カーカスプライ及び/又はベルト層は、上記ゴム組成物からなるコーティングゴム3で、ほぼ平面状に複数本並べられたスチールコード1の周囲を被覆した構造とすることができる。ここで、コーティングゴム3が、インシュレーションゴム2を介さず、直接スチールコード1の表面に接する構造とすることもできる。
本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部と、一対のサイド部と、トレッド部と、該ビード部に埋設されたビードコア間にトロイド状に延在させたカーカスプライと、当該カーカスプライのクラウン部でタイヤ半径方向外側に配したベルト層とを備える。ここで、カーカスプライは、少なくとも1枚のカーカスプライからなり、ベルト層は、少なくとも2枚のベルト層からなるのが好ましい。本発明の空気入りタイヤにおいては、上記カーカスプライ及び/又はベルト層で金属コードを被覆するコーティングゴムに、金属コードとの初期接着性及び耐熱接着性に優れた上述のゴム組成物を適用しているため、カーカスプライ及び/又はベルト層の耐久性が非常に高い。そのため、本発明の空気入りタイヤは、発熱が大きく使用期間の長い重荷重用タイヤとして好適であり、該重荷重用タイヤの中でもオフロードタイヤとして特に好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
表1〜表3に示す組成のゴム組成物を調整し、各ゴム組成物をトレッドに用いて試供タイヤ(サイズ:1000R20)を試作した。
Figure 2006265311
Figure 2006265311
Figure 2006265311
*1 RSS#3
*2 Nipo12200
*3 FLEXSIS製 SANTOFLEX 6PPD
*4 バーサチク酸コバルト
*5 大内新興科学製ノクセラーDZ−G
実施例1及び実施例2は、マスターバッチを用いてゴム組成物を作製したが、ここで用いられるマスターバッチは、以下の製法により製造された。
A.ラテックスの調製
(1)ラテックス1
天然ゴムのフィールドラテックス(ゴム分24.2%)を脱イオン水で希釈し、ゴム分20%のものにした。
B.充填材の水分散スラリーの調製
(1)スラリー1
ローター径50mmのコロイドミルに脱イオン水1425gと、カーボンブラック(N330)の75グラムを投入し、ローター・ステーター間隙1mm、回転数1500rpmで10分間攪拌し、さらにアニオン系界面活性剤(花王デモール N)を0.05%加え、圧力式ホモジナイザーを用いて圧力500kPaの条件で3回循環させた。
(2)スラリー2
ローター径50mmのコロイドミルに脱イオン水1425gと、カーボンブラック(N220)の75グラムを投入し、ローター・ステーター間隙1mm、回転数1500rpmで10分間攪拌し、さらにアニオン系界面活性剤(花王デモール N)を0.05%加え、圧力式ホモジナイザーを用いて圧力500kPaの条件で3回循環させた。
なお、スラリー投入前の充填材の24M4DBPは、第4表の注に記載した。
Figure 2006265311
(注)スラリー投入前の充填材の24M4DBP
*6 N330(24M4DBP:88)
*7 N220(24M4DBP:100)
また、各スラリーにおける各種測定は下記のように行った。
(I)スラリー溶液中の充填材の粒度分布測定(体積平均粒子径(mv)、90体積%粒径(D90))
レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle refractive index)は全ての測定において1.57を用いた。また、充填材の再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。
(II)充填材の24M4DBP吸油量
ISO 6894に準拠して測定した。
C.凝固工程
ホモミキサー中に、上記により調製されたラテックスとスラリーを、ゴム分100重量部に対して、第2表に示す各充填材を50重量部になるよう添加し、攪拌しながら、蟻酸をpH4.5になるまで加えた。凝固したマスターバッチを回収、水洗し、水分が約40%になるまで脱水を行った。
D.乾燥工程
神戸製鋼製2軸混練押出機(同方向回転スクリュー径 30mm、L/D=35、ベントホール3ヶ所)を用いて、バレル温度120℃、回転数100rpmで乾燥する2軸混練押出機法で行った。
上記により得られたマスターバッチ中の充填材量はいずれも、天然ゴム100重量部に対して、約50重量部であった。
E.ゴム組成物の調製
上記のマスターバッチまたはドライ練りにより得られた充填材配合ゴム(天然ゴム100重量部と充填材50重量部)に対して、表2に示す成分を配合し、プラストミルで混練してゴム組成物を得た。
また、試験は以下の項目について行った。
(1)スコーチ特性
JIS K6300に準拠して、130℃において、最低ムーニー粘度値から上昇値に達するまでの時間を測定して、スコーチ特性を評価した。
(2)引張試験
145℃×60分の条件で通常加硫を行ったサンプルと、145℃×300分の条件で過加硫を行ったサンプルの双方に対して、JIS K6301に準拠して引張試験を実施し、切断時伸び(E)、引張強さ(T)、引張応力(100%モジュラス(M100)、300%モジュラス(M300)、過加硫モジュラス)を測定した。
(3)耐疲労破壊性評価
一定速度、ステップロード条件のドラムテストを実施し、ある時間でドラム試験を停め、ドラム試験終了後のベルト端からの亀裂の長さを測定し、比較例1の結果を100として、指数表示した。数値が大きいほど、耐疲労破壊性に優れていることを示す。
(4)耐熱接着性評価
黄銅メッキ(Cu:63wt%、Zn:37wt%)したスチールコード[1×5×0.25mm(素線径)]を1.25mm間隔で平行に並べ、このスチールコードを上下両側から上記ゴム組成物でコーティングし、145℃で60分間加硫してコードゴム複合体を作成した。
このコードゴム複合体を100℃、20%RHの環境下に7日間放置した後、ASTM−D−2229に準拠して、コードゴム複合体からスチールコードを引き抜き、露出したスチールコードのゴム(ゴム組成物)の被覆状態を目視で観察し、その被覆率を0〜100%で評価した。数値が大きいほど、耐熱接着性が良好であることを示す。
(5)耐発熱性評価
一定速度、ステップロード条件のドラムテストを実施し、最外層のベルトの温度を測定し、比較例1の結果を100として、指数表示した。数値が大きいほど、耐発熱性に優れていることを示す。
<結果>
表3より、実施例1及び実施例2のゴム組成物は、比較例1〜比較例3のゴム組成物に比べ、耐疲労破壊性に優れ、かつ耐熱接着性、耐発熱性が確保されていることが分かる。また、実施例1及び実施例2のゴム組成物は、比較例1〜比較例3のゴム組成物に比べ、粘度(ムーニー、RPA G’)に優れていることにより、作業性(量産工場でのインシュレーション作業性等)に優れていることが分かる。また、実施例1及び実施例2のゴム組成物は、特に過加硫時の破壊特性が優れていることが分かる。
このため、ゴムラテックスと、カーボンブラックを水中に分散させたスラリー溶液とを混合し、凝固して得られるゴムマスターバッチからなるゴム成分(A)を含有するゴム組成物をコーティングゴムに用いることにより、耐疲労破壊性及び作業性に優れ、かつ耐熱接着性、耐発熱性が確保されていることがわかった。さらに、実施例2のゴム組成物は、カーボンブラック(N220)が用いられたことにより、実施例1に比べ、さらに耐疲労破壊性、耐熱接着性に優れていることが分かった。
本実施形態に係る空気入りタイヤのカーカスプライ及び/又はベルト層の一例の断面図である。
符号の説明
1…スチールコード
2…インシュレーションゴム
3…コーティングゴム

Claims (11)

  1. カーカスプライ及び/又はベルト層を備える空気入りタイヤであって、
    前記カーカスプライあるいは前記ベルト層の少なくとも一方の、金属コードを被覆するコーティングゴムに、ゴムラテックスと、カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液とを混合し、凝固して得られるゴムマスターバッチからなるゴム成分(A)を含有し、
    前記ゴムマスターバッチに含まれる前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が110〜140m2/g、もしくは、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が70〜110ml/100gであるゴム組成物を用いることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ゴムラテックスと、前記カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液とを混合する工程において、(i)水分散スラリー溶液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)水分散スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量は、水中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持していることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記金属コードと前記コーティングゴムとの間にインシュレーションゴムが介在し、前記インシュレーションゴムに前記ゴム組成物を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記カーカスプライ及び/又はベルト層は、前記金属コード表面を直接前記ゴム組成物で被覆した構造、あるいは、略平面状に複数本並べた前記金属コードの周囲を前記ゴム組成物で被覆して前記金属コードを埋設した構造からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ゴム組成物は、加硫後の100%伸長時の引張応力が2.5MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ゴムマスターバッチは、天然ゴムマスターバッチであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 凝固後のゴムマスターバッチを乾燥させる工程において、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 連続混練機を用いて乾燥を行うことを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記連続混練機は、複軸混練押出機であることを特徴とする請求項8に記載の空気入りタイヤ。
  10. オフロードタイヤであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記ゴム組成物にプロセスオイルが不要であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
JP2005082659A 2005-03-22 2005-03-22 空気入りタイヤ Pending JP2006265311A (ja)

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