JP2006265084A - 微粒αアルミナの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粒子同士のネッキングが少なく、高α化率で、BET比表面積が大きな微粒αアルミナを製造しうる方法を提供する。
【解決手段】
アルミニウム化合物、好ましくは塩化アルミニウムの水溶液を60℃を超える温度で、またはpH5を超える水素イオン濃度で加水分解して得られる加水分解物と、種晶粒子との混合物を焼成して、微粒αアルミナを製造する方法であり、
前記種晶粒子が、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.06倍以上になるように、未粉砕の金属化合物を粉砕して得られるものであることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、微粒αアルミナの製造方法に関し、詳しくはネッキングしている粒子が少なく、高α化率で、BET比表面積が大きな微粒αアルミナの製造方法に関する。
微粒αアルミナは、主結晶相がα相であるアルミナ〔Al23〕の微細な粒子であって、例えば透光菅などのような焼結体を製造するための原材料として広く用いられている。かかる微粒αアルミナには、強度に優れた焼結体が得られる点で、α化率が高く、BET比表面積が大きいと共に、ネッキングしている粒子が少ないことが求められている。
高α化率で、大きなBET比表面積を示す微粒αアルミナを製造する方法として、非特許文献1〔Key Engineering Materials, Vols.53-55, 462-468(1991)〕には、種晶粒子を含むアルミニウム塩水溶液に、アンモニアを加えて水素イオン濃度をpH9とすることにより加水分解し、次いで水を留去することにより、加水分解物と種晶粒子との混合物を得、この混合物を焼成する方法が開示されている。
Key Engineering Materials, Vols.53-55, 462-468(1991)
しかし、かかる従来の製造方法により得られた微粒αアルミナは、粒子同士のネッキングが比較的多いという問題があった。
そこで本発明者は、粒子同士のネッキングが少なく、高α化率で、BET比表面積が大きな微粒αアルミナを製造しうる方法を開発するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、
アルミニウム化合物の水溶液を60℃を超える温度で、またはpH5を超える水素イオン濃度で加水分解して得られる加水分解物と、種晶粒子との混合物を焼成して、微粒αアルミナを製造する方法であり、
前記種晶粒子が、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.06倍以上になるように、未粉砕の金属化合物を粉砕して得られるものであることを特徴とする微粒αアルミナの製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、α化率が高く、大きなBET比表面積を示し、粒子同士のネッキングが少ない微粒αアルミナを製造することができる。
本発明の製造方法に用いられる加水分解物は、アルミニウム化合物の水溶液を60℃を超える温度で、またはpH5を超える水素イオン濃度で加水分解して得られるものである。アルミニウム化合物としては、例えばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシドなどが
挙げられる。
アルミニウム塩としては、例えば塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩化物、
硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム硝酸塩、
アンモニウム明礬、
炭酸アンモニウムアルミニウムなどのなどのようなアルミニウムの無機塩、
シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムなどのようなアルミニウムの有機塩などが挙げられる。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えばアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシドなどが挙げられ、白色度の高い微粒αアルミが容易に得られる点で、塩化アルミニウムが好ましい。
アルミニウム化合物の水溶液におけるアルミニウム塩の濃度は、アルミニウムに換算して通常0.01モル/L以上飽和濃度以下である。この水溶液においてアルミニウム塩は完全に溶解していることが好ましく、このため、水溶液の水素イオン濃度は通常pH2以下であり、通常はpH0以上である。
アルミニウム化合物の水溶液は、少なくとも焼成で揮発するか、焼失する溶媒を含有指定もよい。このような溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類をはじめとする極性有機溶媒、四塩化炭素、ベンゼン、ヘキサンなどの非極性有機溶媒などの有機溶媒が挙げられる。
アルミニウム化合物の水溶液を加水分解するには、通常は塩基を加えて水素イオン濃度をpH3以上とすればよい。塩基として通常は、例えばアンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの金属成分を含まないものが用いられる。アンモニアを用いる場合、ガス状のまま水溶液に吹き込んで加えてもよいが、水に溶解させたアンモニア水溶液として加えることが、好ましい。アンモニア水溶液を用いる場合、その濃度は通常、0.01モル/L以上飽和濃度以下である。
加水分解は、60℃を超え、通常は100℃以下の温度で行われるか、またはpH5を超え、通常はpH13以下、好ましくはpH11以下の水素イオン濃度で行われ、60℃を超える温度にて、pH5を超える水素イオン濃度で加水分解してもよい。pH5を超える水素イオン濃度で加水分解するには、塩基の使用量を多くすればよい。
アルミニウム化合物の水溶液を加水分解することにより、水と加水分解物とを含む水性混合物が得られる。加水分解により得られる加水分解物は通常、水に不溶であるので、得られる水性混合物は通常、ゾル状またはゲル状になっているか、あるいは、水に加水分解物が分散した状態となっている。
本発明の製造方法で用いられる種晶粒子は、未粉砕の金属化合物を粉砕して得られるものである。未粉砕の金属化合物としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)、酸化鉄、酸化クロムなどの金属酸化物、ダイアスポア(水酸化アルミニウム)などの金属水酸化物などが用いられ、好ましくは結晶型がコランダム型で、さらに好ましくは結晶水の無いものである。コランダム型で結晶水のない金属化合物としては、例えばαアルミナ、α酸化鉄、α酸化クロムなどが挙げられ、目的とする微粒αアルミナと同じ成分であることから、αアルミナが好ましく用いられる。
未粉砕の金属化合物としては、通常、粒子径0.01μm〜0.5μm、好ましくは0.05μm以上の粒子が用いられ、好ましくはBET比表面積12m2/g〜150m2/g、さらに好ましくは15m2/g以上のものが用いられる。
金属化合物は、水などの液体を加えることなく乾燥状態で粉砕する乾式粉砕により粉砕してもよいし、液体を加えた湿潤状態で粉砕する湿式粉砕により粉砕してもよい。
乾式粉砕により粉砕するには、例えば転動ミル、振動ボールミル、遊星ミルなどのボールミル、ピンミルなどの高速回転粉砕機、媒体撹拌ミル、ジェットミルなどの粉砕装置を用いることができる。
乾式粉砕では、未粉砕の金属化合物を単独で粉砕してもよいが、粉砕助剤、解膠剤などの添加剤を加えて粉砕効率を上げることが好ましく、粉砕後の種晶粒子を分散性よく見ずに分散しうる点で、分散助剤を添加することが好ましい。粉砕助剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、
プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類、
トリエタノールアミンなどのアミン類、
パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸、
アルミニウムアルコキシドなどの金属アルコキシド類、
カーボンブラック、グラファイトなどの炭素材料などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。粉砕助剤、解膠剤などの添加剤を添加する場合、その添加量は金属化合物100質量部あたり通常0.01質量部〜10質量部、好ましくは0.5質量部〜5質量部、さらに好ましくは0.75質量部〜2質量部程度である。
湿式粉砕により粉砕するには、例えば上記と同様のボールミル、高速回転粉砕機、媒体撹拌ミルなどの粉砕装置を用いることができる。湿式粉砕に使用される液体としては通常、水が用いられる。また、分散性よく粉砕し得る点で、分散剤を添加して粉砕することが好ましい。分散剤としては、例えば硝酸、酢酸、シュウ酸、塩酸、硫酸などの酸、
メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、
塩化アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩、界面活性剤などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。分散剤を使用する場合、その使用量は通常、液体100質量部あたり0.1質量部〜20質量部程度である。
粉砕装置は、得られる種晶粒子の汚染が少ない点で、金属化合物と接する面が高純度のアルミナで構成されていることが好ましい。媒体撹拌ミルにより粉砕する場合に用いられる粉砕媒体も、高純度のアルミナで構成されていることが好ましい。
金属化合物の粉砕は、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が、粉砕前の半価幅(H0)の1.06倍以上、好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上となるように行われ、通常は、粉砕に要する時間などの点で、3倍以下である。メインピークの半価幅(H)は、通常、粉砕の進行と共に大きくなるので、この半価幅(H)が本願発明で規定する範囲となるまで粉砕を続ければよい。
本発明の製造方法では、かくして得られる種晶粒子を用いるが、この種晶粒子は、粉砕、分級することなく、そのまま用いてもよいし、分級により、粗粒分を取り除いてから用いてもよい。分級は、例えば遠心分離処理により行うことができる。分級して用いる場合、累積百分率で通常は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは99質量%以上の粗粒分を除去する。
種晶粒子の使用量は、金属化合物として金属酸化物または金属水酸化物を用いる場合、高いα化率の微粒αアルミナが容易に得られる点で、金属の酸化物換算で、加水分解物および種晶粒子の合計量100質量部あたり、1質量部以上、さらには2質量部以上、特には4質量部以上であることが好ましい。また、種晶粒子の使用量が50質量部を超えてもよいが、その使用量に見合ってα化率が高くなる点で、通常は50質量部以下、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。
本発明の製造方法は、このような加水分解物と種晶粒子との混合物を焼成する方法である。混合物は、それぞれ別個に得られた加水分解物と種晶粒子とを混合攪拌する方法により調製することができるが、加水分解物と種晶粒子とが均一に混合された混合物を容易に得ることができる点で、上記アルミニウム化合物の水溶液に種晶粒子をあらかじめ加えておき、この水溶液を加水分解することが好ましい。種晶粒子は、乾燥状態のまま水溶液に加えてもよいし、あらかじめ水に分散させた分散させた分散液の状態で加えてもよい。
加水分解後の水溶液から、例えば水を揮発させる方法により、水を除去することにより、加水分解物と種晶粒子とが均一に分散された混合物を得ることができる。水を揮発させる際の温度は通常100℃以下であるが、これを超える温度で急速に水を除去してもよい。水を除去することで、乾燥状態の混合物を得ることができる。
本発明の製造方法では、かかる混合物を焼成する。焼成温度は、α化率の高い微粒αアルミナが容易に得られる点で、通常は600℃以上、好ましくは700℃以上であり、粒子同士のネッキングがより少ない点で、通常は1000℃以下、好ましくは950℃以下である。
混合物は、例えば60℃/時間〜1200℃/時間の昇温速度で焼成温度まで昇温するが、よりネッキングの少ない微粒αアルミナが容易に得られる点で、少なくとも150℃〜600℃の温度範囲では、500℃/時間以下、さらには200℃/時間以下、通常は60℃/時間以上の昇温速度で昇温することが好ましい。
昇温に伴い、原料として用いたアルミニウム化合物の種類によっては、アルミニウム化合物に起因するガス状の副生物が生成するが、かかる副生物の発生が止むまで600℃未満の温度を維持してから、焼成温度まで消音することが好ましい。
混合物は、大気中で焼成してもよいし、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼成してもよい。また、水蒸気分圧が低い乾燥雰囲気中で焼成してもよい。
焼成には、例えば管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いることができる。混合物は回分式で焼成してもよいし、連続式で焼成してもよい。また静止式で焼成してもよいし、流動式で焼成してもよい。
焼成時間は加水分解物がα化して孔α化率の微粒αアルミナが得られるに十分な時間であればよく、用いるアルミニウム化合物の種類、アルミニウム加水分解物と種晶粒子との使用量比、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、例えば10分以上24時間以下である。
かくして得られる微粒αアルミナは、粒子径が0.01μm〜0.1μm程度であり、高いα化率を示すと共に、大きなBET比表面積を示し、例えばα化率90%以上、好ましくは95%以上で、BET比表面積は通常10m2/g以上、好ましくは13m2/g以上、さらに好ましくは15m2/g以上、通常150m2/g以下、好ましくは100m2/g以下である。
得られた微粒αアルミナは、粉砕されてもよい。微粒αアルミナを粉砕するには、例えば振動ミル、ボールミル、ジェットミルなどの媒体粉砕機を用いることができる。また、得られた微粒αアルミナは分級してもよい。
かくして得られたαアルミナは、例えばαアルミナ焼結体を製造するための原材料として有用である。αアルミナ焼結体は、例えば切削工具、バイオセラミクス、防弾板などの高強度を要求されるものが挙げられる。ウェハーハンドラーなどの半導体製造用装置部品、酸素センサーなどの電子部品も挙げられる。ナトリウムランプ、メタルハライドランプなどの透光管も挙げられる。排ガスなどの気体に含まれる固形分除去、アルミニウム溶湯の濾過、ビールなどの食品の濾過等に用いられるセラミクスフィルターも挙げられる。セラミクスフィルターとしては、燃料電池において水素を選択的に透過させたり、石油精製時に生じるガス成分、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素などを選択的に透過させるための選択透過フィルターも挙げられ、これらの選択透過フィルターはその表面に触媒成分を担持させる触媒担体として用いてもよい。
得られた微粒αアルミナは、化粧品の添加剤、ブレーキライニングの添加剤、触媒担体として使用され、また導電性焼結体、熱伝導性焼結体などの材料として使用される。
得られた微粒αアルミナは、焼結しにくいセラミッスク粉末を焼結させて焼結体を製造する際に、セラミックス粉末に添加して、焼結し易くする焼結助剤として用いることもできる。
得られた微粒αアルミナを原料として用いることにより、微細な窒化アルミニウム粉末、イットリウム−アルミナ−ガーネット(YAG)粉末、粉末状蛍光体などを製造することができる。
得られた微粒αアルミナは、粉末のままで、通常のαアルミナ粉末と同様に、塗布型磁気メディアの塗布層に添加されてヘッドクリーニング性、耐磨耗性を向上させるための添加剤として用いることができる。トナーとして用いることもできる。樹脂に添加するフィラーとして用いることもできる。また、研磨材として用いることもでき、例えば水などの溶媒に分散させたスラリーとし、半導体CMP研磨、ハードディスク基板などの研磨などに用いることができるし、テープ表面にコーティングして研磨テープとして、ハードディスク、磁気ヘッドなどの精密研磨などに用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
なお、各実施例で得た微粒αアルミナのα化率は、粉末X線回折装置を用いて得た微粒αアルミナの回折スペクトルから、2θ=25.6°の位置に現れるアルミナα相(012面)のピーク高さ(I25.6)と、2θ=46°の位置に現れるγ相、η相、χ相、κ相、θ相およびδ相のピーク高さ(I46)とから、式(1)
α化率= I25.6 / (I25.6 + I46 )×100(%)・・・(1)
により算出した。
BET比表面積は、窒素吸着法により求めた。
平均一次粒子径は、微粒αアルミナの透過電子顕微鏡写真に写った任意の粒子20個以上について、個々の一次粒子の定方向最大径を測定し、測定値の数平均値として求めた。
ネック率は、微粒αアルミナの透過電子顕微鏡写真に写った任意の粒子20個以上について、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子の割合として求めた。
種晶(αアルミナ)の粉砕度は、そのα相(116)面のX線回折ピーク〔2θ=57.5°〕の半価幅(H(116))と、粉砕前の種晶(αアルミナ)のα相(116)面のX線回折ピークの半価幅(H0(116))とから、式(2)
粉砕度 = H(116) / H0(116)・・・(2)
により求めた。
実施例1
〔種晶スラリーの製造〕
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸化アルミニウムを仮焼して、主結晶相がθ相であり、α相を3重量%含む中間アルミナを得、この中間アルミナをジェットミルにて粉砕して、嵩密度0.21g/cm3の粉末を得た。
炉内が露点−15℃〔水蒸気分圧165Pa〕の乾燥空気で満たされた雰囲気炉に上記で得た粉末を連続的に投入しながら、平均滞留時間3時間で連続的に取り出して、最高温度1170℃にて焼成して、BET比表面積14m2/gのαアルミナ粒子を得た。
このαアルミナ粒子100質量部に、粉砕助剤〔プロピレングリコール〕1質量部を加え、粉体媒体〔粒子径15mmのアルミナビーズ〕を加えて振動ミルにて12時間粉砕した。粉砕後のαアルミナ粒子のBET比表面積は16.6m2/gであり、粉砕度は1.10であった。
上記で粉砕した後のαアルミナ粒子20質量部を、塩化アルミニウム水溶液〔塩化アルミニウム濃度0.01モル/L〕80質量部と混合し、アルミナビーズ〔ビーズ径0.65mm〕2.9kgを湿式分散記〔(株)アジサワ製、「ダイノーミル」〕を用いて平均滞留時間15分で連続的に湿式分散した後、回転数4000rpm〔遠心加速度約2100G〕の条件で40分間遠心分離し、固液分離により、上澄み液として、αアルミナ微粒子〔粉砕度1.4〕を含む種晶スラリー〔固形分濃度1.1質量%〕を得た。
〔アルミニウム加水分解物の製造〕
上記で得た種晶スラリー128.8g(αアルミナ微粒子は1.4g)を塩化アルミニウム六水和物〔AlCl3・6H2O〕(和光純薬工業(株)製、特級、粉末状)60.4g(0.25モル)および純水79.9gと室温(約25℃)で混合して水溶液とし、同温度で撹拌しながらマイクロロータリーポンプを用いて25%アンモニア水〔和光純薬工業製、特級〕45.9g(アンモニア11.5g)を約4.5g/分の供給速度で添加した。
添加終了時には、加水分解物が析出してゲル状となっており、その水素イオン濃度はpH6.5であった。60℃の恒温槽を用いて1日かけて乾燥して、加水分解物と種晶粒子との混合物を得た。この混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部当たり10質量部の種晶粒子が含まれている。
〔焼成〕
この混合物をアルミナ製乳鉢を用いて粉砕して粉末状とし、アルミナ製ルツボに入れ、箱型電気炉で大気中150℃/時間の昇温速度で500℃に加熱し、同温度で1時間保持した後、室温(約25℃)に冷却した。その後、再び大気中、上記電気炉を用いて300℃/時間の昇温速度で室温から900℃に加熱し、同温度にて3時間焼成して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナは、白色度が高く、α化率は98%であり、BET比表面積は18.8m2/gであった。この微粒αアルミナを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子は見られなかった。得られた微粒αアルミナのTEM写真を図1に示す。
実施例2
〔アルミニウム加水分解物の製造〕
実施例1と同様に操作して得た種晶スラリー94.4g(αアルミナ微粒子は1.4g)を塩化アルミニウム六水和物〔AlCl3・6H2O〕(和光純薬工業(株)製、特級、粉末状)60.4g(0.25モル)および純水108gと室温(約25℃)で混合して水溶液とし、75℃の水浴中で撹拌しながら、マイクロロータリーポンプを用いて25%アンモニア水〔和光純薬工業製、特級〕46.6g(アンモニア11.5g)を約4g/分の供給速度で添加したのち、室温に冷却した。添加終了時には、加水分解物が析出したスラリーとなっており、冷却後の水素イオン濃度はpH7.2であった。次いで、60℃の恒温槽を用いて1日かけて乾燥して、加水分解物と種晶粒子との混合物を得た。この混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部当たり10質量部の種晶粒子が含まれている。
〔焼成〕
焼成温度を920℃とした以外は実施例1と同様に操作して、上記で得た混合物を焼成して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナは、白色度が高く、α化率は98%であり、BET比表面積は17.7m2/gであった。この微粒αアルミナをTEMにより観察したところ、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子は見られなかった。得られた微粒αアルミナのTEM写真を図2に示す。
比較例1
〔種晶スラリーの製造〕
実施例1で得たBET非表面積14m2/gのαアルミナ粒子20質量部を、粉砕することなくそのまま塩化アルミニウム水溶液(pH=2)80質量部に添加し分散させた後、アルミナビーズ(直径2mm)700gを充填したボールミルを用いて3時間かけて湿式分散して、種晶スラリーを得た。この種晶スラリーに含まれるαアルミナ粒子の粉砕度を測定したところ、0.90であった。
〔微粒αアルミナの製造〕
塩化アルミニウム六水和物〔AlCl3・6H2O〕(和光純薬工業製、特級、粉末状)241.3g(1モル)を純水に溶解させ、容積を1L(1000cm3)の塩化アルミニウム水溶液を得た。この塩化アルミニウム水溶液250cm3に上記で得た種晶スラリー7.1g(αアルミナ粒子1.4gを含む)を添加し、75℃で撹拌しながらマイクロロータリーポンプを用いて25%アンモニア水〔和光純薬工業製、特級〕42.8g(アンモニア9.8g)を約4g/分の供給速度で添加した。添加終了時には、加水分解析出物(アルミニウム加水分解物)が析出したスラリーとなっており、そのpHは4.8であった。このスラリーを室温(約25℃)で静置しゲル化させたのち、60℃の恒温槽を用いて水を揮発させて乾燥粉末状の混合物を得た。
この混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部あたり10質量部のαアルミナ粒子が含まれている。この加水分解析出物を乳鉢で解砕し、アルミナ製坩堝に入れ、箱型電気炉で大気中、300℃/hの昇温速度で室温から1000℃に加熱し、同温度にて3時間焼成して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナはのα化率は98%であり、BET比表面積は12.1m2/gであった。この微粒αアルミナを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子がやや多く見られた。
実施例1で得た微粒αアルミナの透過型電子顕微鏡写真(倍率10万倍)である。 実施例2で得た微粒αアルミナの透過型電子顕微鏡写真(倍率10万倍)である。

Claims (2)

  1. アルミニウム化合物の水溶液を60℃を超える温度で、またはpH5を超える水素イオン濃度で加水分解して得られる加水分解物と、種晶粒子との混合物を焼成して、微粒αアルミナを製造する方法であり、
    前記種晶粒子が、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.06倍以上になるように、未粉砕の金属化合物を粉砕して得られるものであることを特徴とする前記微粒αアルミナの製造方法。
  2. アルミニウム化合物が塩化アルミニウムである請求項1に記載の製造方法。
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