JP2008156146A - αアルミナスラリー - Google Patents
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Abstract
【課題】αアルミナ焼結体製造用として好適な、易焼結性のαアルミナスラリーを提供する。
【解決手段】本発明のαアルミナスラリーは、α化率95%以上、ネック率30%以下、Si、Fe、CuおよびNaの合計含有量500ppm以下、200nm以上の粒子の個数比1%以下であるαアルミナ粉末が水性媒体中に分散されてなり、αアルミナ粉末の凝集粒子径が0.2μm以下であることを特徴とする。好ましくは焼結助剤を含む。上記αアルミナ粉末および水性媒体を、粒子径0.7mm以下、純度99.9質量%以上のアルミナ質撹拌媒体と共に、媒体撹拌ミルにて分散処理して製造され、好ましくは無機酸、無機塩、有機酸または界面活性剤である分散剤の共存下に分散処理する。本発明のαアルミナスラリーを成形したのち、焼結させてαアルミナ焼結体を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のαアルミナスラリーは、α化率95%以上、ネック率30%以下、Si、Fe、CuおよびNaの合計含有量500ppm以下、200nm以上の粒子の個数比1%以下であるαアルミナ粉末が水性媒体中に分散されてなり、αアルミナ粉末の凝集粒子径が0.2μm以下であることを特徴とする。好ましくは焼結助剤を含む。上記αアルミナ粉末および水性媒体を、粒子径0.7mm以下、純度99.9質量%以上のアルミナ質撹拌媒体と共に、媒体撹拌ミルにて分散処理して製造され、好ましくは無機酸、無機塩、有機酸または界面活性剤である分散剤の共存下に分散処理する。本発明のαアルミナスラリーを成形したのち、焼結させてαアルミナ焼結体を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、αアルミナスラリーに関し、詳しくはαアルミナ粉末が水性媒体中に分散されたαアルミナスラリーに関する。
αアルミナ粉末が水性媒体中に分散されたαアルミナスラリーは、αアルミナ焼結体を製造するための原料として用いられており、例えば例えば特許文献1〔特開2000−44330号公報〕、特許文献2〔特開平7−101769号公報〕などには、αアルミナスラリーを鋳込成形型に流し込み、この鋳込成形型の中で乾燥させる、いわゆるスリップキャスト法により成形し、得られた成形体を焼結させる方法が開示されている。
かかるαアルミナスラリーには、成形後、比較的低い温度で焼結させても、緻密な焼結体を与え得る易焼結性のものが求められている。
そこで本発明者は、αアルミナ焼結体製造用として好適な、易焼結性のαアルミナスラリーを開発するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、α化率が95%以上であり、ネック率が30%以下であり、Si、Fe、CuおよびNaの合計含有量が500ppm以下であり、200nm以上の粒子が個数比で1%以下であるαアルミナ粉末が水性媒体中に分散されてなり、前記αアルミナ粉末の凝集粒子径が0.2μm以下であることを特徴とするαアルミナスラリーを提供するものである。
本発明のαアルミナスラリーは、易焼結性であり、これを成形し、焼結させて得られるαアルミナ焼結体は、緻密で高い焼結密度を示すので、αアルミナ焼結体製造用として好適である。
〔αアルミナ粉末〕
本発明のαアルミナスラリーを構成するαアルミナ粉末は、α化率が95%以上、好ましくは97%以上であり、理想的には100%である。α化率は、αアルミナ粉末の粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=25.6°の位置に現れるα相(012)面の回折ピークのピーク高さ(I25.6)と、2θ=46°の位置に現れるγ相、η相、χ相、θ相およびδ相の回折ピークのピーク高さ(I46)とから、式(1)
α化率=I25.6/(I25.6+I46)・・・(1)
により求められる。α化率が95%未満であると、比較的低い温度での焼成では、目的のαアルミナ焼結体が得られないことがある。
本発明のαアルミナスラリーを構成するαアルミナ粉末は、α化率が95%以上、好ましくは97%以上であり、理想的には100%である。α化率は、αアルミナ粉末の粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=25.6°の位置に現れるα相(012)面の回折ピークのピーク高さ(I25.6)と、2θ=46°の位置に現れるγ相、η相、χ相、θ相およびδ相の回折ピークのピーク高さ(I46)とから、式(1)
α化率=I25.6/(I25.6+I46)・・・(1)
により求められる。α化率が95%未満であると、比較的低い温度での焼成では、目的のαアルミナ焼結体が得られないことがある。
αアルミナ粉末のネック率は30%以下、好ましくは15%以下であり、理想的には0%である。ネック率は、例えばαアルミナ粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときに、任意の数の粒子のうち、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子の割合として個数比で求めることができる。ネック率が30%を超えると、緻密な焼結体を得ることができない。
αアルミナ粉末は、Si、Fe、CuおよびNaの合計含有量が500ppm以下、好ましくは100ppm以下である。これらの元素の合計含有量が500ppmを超えると、得られる焼結体が緻密なものとならなかったり、元素によっては着色したものとなる。
αアルミナ粉末は、200nmを超える粒子が個数比で1%以下、好ましくは0.1%以下、理想的には0%である。かかる個数比は、例えばαアルミナ粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したときに、任意の数の粒子のうち、200nmを超える粒子の個数比として求めることができる。
αアルミナ粉末は、緻密な焼結体が容易に得られる点で、通常、BET比表面積が10m2/g以上、好ましくは15m2/g以上であり、通常は100m2/g以下である。
〔αアルミナ粉末の製造方法〕
αアルミナ粉末は、例えばαアルミナ未粉砕粒子およびダイアスポア未粉砕粒子から選ばれる種晶前駆体を粉砕処理して得られる種晶粒子と、αアルミナ前駆体との混合物を焼成する方法により製造することができる。
αアルミナ粉末は、例えばαアルミナ未粉砕粒子およびダイアスポア未粉砕粒子から選ばれる種晶前駆体を粉砕処理して得られる種晶粒子と、αアルミナ前駆体との混合物を焼成する方法により製造することができる。
〔種晶粒子の製造〕
αアルミナ未粉砕粒子は、αアルミナ前駆体粒子を焼成することにより得られ、未粉砕の粒子であって、αアルミナからなる粒子である。ダイアスポア未粉砕粒子は、ダイアスポアの未粉砕の粒子である。αアルミナおよびダイアスポアは、X線回折スペクトルにおいて45°≦2θ≦70°の範囲に回折ピークを示す。
αアルミナ未粉砕粒子は、αアルミナ前駆体粒子を焼成することにより得られ、未粉砕の粒子であって、αアルミナからなる粒子である。ダイアスポア未粉砕粒子は、ダイアスポアの未粉砕の粒子である。αアルミナおよびダイアスポアは、X線回折スペクトルにおいて45°≦2θ≦70°の範囲に回折ピークを示す。
種晶前駆体の粒子径は、通常50nm(0.05μm)〜0.5μm、好ましくは50nm(0.05μm)〜0.3μmであり、10nm程度の極微細な粒子を含んでいてもよい。
種晶前駆体は、液体中に分散させた状態で粉砕する湿式粉砕により粉砕処理してもよいし、水などの液体を加えることなく乾燥状態で粉砕する乾式粉砕により粉砕処理してもよく、好ましくは湿式粉砕処理である。
湿式粉砕により種晶前駆体を粉砕処理する際に用いられる液体として通常は水、好ましくはイオン交換水が用いられ、その使用量は種晶前駆体に対して通常は1質量倍から20質量倍、好ましくは2.5質量倍〜10質量倍である。
液体として水を用いる場合、水は、分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸、塩化アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの水溶性アルミニウム塩、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられ、好ましくは無機酸および水溶性アルミニウム塩である。分散剤を使用する場合、これら分散剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は、水に対して通常0.0001質量倍〜0.2質量倍、好ましくは0.0005質量倍〜0.1質量倍、より好ましくは0.001質量倍〜0.05質量倍、さらに好ましくは0.003質量倍〜0.015質量倍、特に好ましくは0.005質量倍以上である。
湿式粉砕に用いられる粉砕機としては、例えばボール状の粉砕媒体と共に撹拌することにより粉砕する媒体撹拌ミル、ボールミルなどが挙げられ、好ましくは媒体撹拌ミルである。
媒体撹拌ミルで粉砕処理することにより得られる種晶粒子を粉砕媒体と分離する方式としては、粉砕後の粉砕混合物を遠心分離処理することにより種晶粒子と粉砕媒体とを分離する遠視分離方式、粉砕媒体の直径よりも狭く、粉砕後の種晶粒子の直径よりも広い隙間を通過させることにより種晶粒子と粉砕媒体とを分離するギャップセパレーター方式、粉砕混合物は通過させるが、粉砕媒体は通過させない程度の目開きのフィルターを通過させて濾過するフィルター方式、フィルター方式においてフィルターが交換可能なカートリッジとなっているカートリッジセパレーター方式などが挙げられ、好ましくは遠心分離方式である。
乾式粉砕に用いられる粉砕機としては、例えば転動ミル、振動ボールミル、優勢ミリなどのボールミル、ピンミルなどの高速回転粉砕機、媒体撹拌ミル、ジェットミルなどが挙げられる。
乾式粉砕においては、種晶前駆体を単独で粉砕してもよいが、粉砕助剤、解膠剤などの添加剤を添加して粉砕することが、短時間で十分に粉砕し得る点で、好ましい。粉砕助剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類、トリエタノールアミンなどのアミン類、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸類、アルミニウムアルコキシド類、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素材料などが挙げられる。これらの粉砕助剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。粉砕助剤の使用量は、種晶前駆体に対して通常は0.0001質量倍〜0.1質量倍、好ましくは0.005質量倍〜0.05質量倍、さらに好ましくは0.0075質量倍〜0.02質量倍である。
湿式粉砕により種晶前駆体を粉砕処理する場合、および乾式粉砕により種晶前駆体を粉砕処理する場合に用いられる粉砕機は、いずれも種晶前駆体と接触する接触面が合成樹脂または純度99質量%以上のアルミナでライニングされていることが好ましい。合成樹脂としては、例えばポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化エチレン、フッ化エチレン−エチレン共重合体などのフッ素樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂などが挙げられる。このような粉砕機としては、例えばアシザワファインテック(株)製「スターミルLMZ2」(遠心分離方式)、シンマルエンタープライズ(株)製「ダイノーミル」(ギャップセパレーター方式)などの媒体撹拌ミルが市販されている。
種晶前駆体の粉砕は、X線回折スペクトルにおける45°≦2θ≦70°の範囲のメインピークの半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.02倍以上になるように行うことが好ましく、乾式で粉砕する場合には、前記半価幅(H)が粉砕前の半価幅(H0)の1.06倍以上になるように粉砕することが、さらに好ましい。
粉砕処理したのちの粉砕混合物は、そのまま種晶粒子として用いてもよいが、
(1)水性媒体中で遠心分離処理により粗粒分を除去し、得られた上澄み液に含まれる微細な粒子、
(2)水性媒体中に分散させた後、フィルターを用いる濾過処理により粗粒分を除去し、得られた濾液に含まれる微細な粒子
を種晶粒子として用いることが好ましい。
(1)水性媒体中で遠心分離処理により粗粒分を除去し、得られた上澄み液に含まれる微細な粒子、
(2)水性媒体中に分散させた後、フィルターを用いる濾過処理により粗粒分を除去し、得られた濾液に含まれる微細な粒子
を種晶粒子として用いることが好ましい。
遠心分離処理および濾過処理に用いられる水性媒体としては、通常は水が用いられ、イオン交換水が好ましく用いられる。
水性媒体は分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸、蓚酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、塩化アルミニウム、蓚酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの水溶性のアルミニウム塩、ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられ、無機酸、アルミニウム塩などが好ましく用いられる。これらの分散剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組合わせて用いられる。
分散剤を用いる場合、その使用量は水性媒体に対して通常0.0001質量倍〜0.2質量倍、好ましくは0.0005質量倍〜0.1質量倍、より好ましくは0.001質量倍〜0.05質量倍である。
(1)粉砕混合物を水性媒体中で遠心分離処理により粗粒分を除去し、得られた上澄み液に含まれる微細な粒子を種晶粒子として用いる場合、水性媒体中での遠心分離処理により、粗粒分が沈降し、上澄み液には、沈降しなかった微細な粒子が分散したまま残るので、この上澄み液を沈降した粗粒分から分離して得ることにより、上澄み液中の微細な粒子として種晶粒子を得ることができる。
(2)粉砕物を水性媒体中に分散させた後、フィルターを用いる濾過処理により粗粒分を除去し、得られた濾液に含まれる微細な粒子水性媒体中に分散させた後、フィルターを用いる濾過処理により粗粒分を除去し、得られた濾液に含まれる微細な粒子を種晶粒子として用いる場合、濾過処理により、粗粒分が除去される一方、濾過処理後の濾液には微細な粒子が分散したまま含まれるので、この濾液に含まれる微細な粒子として、種晶粒子を得ることができる。濾過処理に用いられるフィルターとしては、孔径が通常1μm以下、好ましくは0.7μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下、通常0.01μm以上好ましくは0.05μm以上のものが用いられる。
なお、種晶粒子を調製する際に使用する器具、例えば種晶前駆体を水性媒体と混合する際に使用する混合容器、攪拌器具、種晶前駆体を粉砕したのち、遠心分離処理または濾過処理を行う際に粉砕後の粉砕物と水性媒体との混合物を収納する容器、該混合物の送液に使用するポンプは、種晶粒子や種晶前駆体、水性媒体との接触部に金属を用いない構造であることが好ましく、種晶粒子や種晶前駆体、水性媒体と接触しそうな金属部がフッ素樹脂でコートされていることがより好ましい。例えばポンプとしては、金属コンタミを回避するために、インペラ磁気浮遊タイプでかつ金属部がフッ素樹脂コートされているLEVシリーズ〔イワキ(株)製〕などが好ましい。
このようにして得られる種晶粒子は、αアルミナ粒子またはダイアスポア粒子であり、その中心粒子径が30nm以下であり、粒子径100nmを超える粒子の割合が個数比で1%以下であることが好ましく、Si、Fe、CuおよびNaの合計含有量は500ppm以下である。
〔αアルミナ前駆体〕
αアルミナ前駆体とは、焼成によりα化してαアルミナに遷移しうる化合物であって、例えばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド、アルミニウム加水分解物、遷移アルミナなどが挙げられる。
αアルミナ前駆体とは、焼成によりα化してαアルミナに遷移しうる化合物であって、例えばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド、アルミニウム加水分解物、遷移アルミナなどが挙げられる。
アルミニウム塩としては、例えば硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アンモニウム明礬、炭酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム無機塩、
シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムなどのアルミニウム有機塩などが挙げられる。
シュウ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムなどのアルミニウム有機塩などが挙げられる。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えばアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシドなどが挙げられる。
アルミニウム加水分解物としては、例えばギブサイト型、バイヤライト型、ノロソトランダイト型、ベーマイト型、擬ベーマイト型および不定形(アモルファス)の水酸化アルミニウムが挙げられ、これらは上記アルミニウム塩の水溶液、上記アルミニウムアルコキシドの水溶液を加水分解する方法により得ることができる。
遷移アルミナとは、α化していないアルミナであって、例えばγアルミナ、δアルミナ、θアルミナなどが挙げられる。
αアルミナ前駆体のSi、Fe、CuおよびNaの合計含有量は500ppm以下、好ましくは100ppm以下である。
〔種晶粒子とαアルミナ前駆体との混合物の製造〕
種晶粒子とαアルミナ前駆体との混合物は通常、種晶粒子とαアルミナ前駆体とを湿式で混合する方法により製造される。
種晶粒子とαアルミナ前駆体との混合物は通常、種晶粒子とαアルミナ前駆体とを湿式で混合する方法により製造される。
種晶粒子の使用量は、アルミナ〔Al2O3〕換算で、種晶粒子およびαアルミナ前駆体の合計量に対して通常0.0001質量倍〜0.5質量倍、好ましくは0.01質量倍〜0.4質量倍、さらに好ましくは0.02質量倍〜0.25質量倍である。
種晶粒子とαアルミナ前駆体とを湿式で混合するには、例えば水性媒体中で種晶粒子およびαアルミナ前駆体を混合すればよい。水性媒体として通常は水が用いられ、イオン交換水が好ましく用いられる。水性媒体の使用量は種晶粒子およびαアルミナ前駆体の合計量に対して通常は1質量倍〜50質量倍、好ましくは5質量倍〜40質量倍、さらに好ましくは10質量倍〜30質量倍である。
水性媒体は分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸、塩化アルミニウム、蓚酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの水溶性のアルミニウム塩、蓚酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられ、無機塩または水溶性のアルミニウ塩などが好ましく用いられる。かかる分散剤を使用する場合、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は水性媒体に対して通常0.0001質量倍〜0.2質量倍、好ましくは0.0005質量倍〜0.1質量倍、より好ましくは0.001質量倍〜0.05質量倍である。
αアルミナ前駆体として水に不溶のものを用いる場合、通常は、水性媒体中にαアルミナ前駆体を分散させた状態で、種晶粒子を加え、攪拌することにより混合する。また、αアルミナ前駆体としても水溶性のものを用いる場合、通常は、αアルミナ前駆体を水性媒体に溶解させて水溶液とし、この水溶液に種晶粒子を加え、撹拌することにより混合する。種晶粒子は、乾燥状態の粉末状で溶媒に加えてもよいし、水などの溶媒に分散させた状態で加えてもよい。撹拌は、媒体を用いて媒体撹拌ミルなどにより行われてもよいが、媒体からの不純物の持込を避けうる点で、媒体を用いることなく行われることが好ましい。媒体を用いない分散機としては超音波混合やホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、連続式のホモジナイザー、ニ流体を衝突させ分散させる〔ナノマイザー(吉田機械工業(株)製)〕などが挙げられる。
αアルミナ前駆体として、アルミニウム塩またはアルミニウムアルコキシドが溶媒に溶解された溶液を加水分解して得られるアルミニウム加水分解物を用いる場合には、上記溶液に種晶粒子を加え、分散させた状態で加水分解を行うことにより、種晶粒子をアルミニウム加水分解物と湿式で混合することができる。種晶粒子は、乾燥状態の粉末状で溶液に加えてもよいし、水などの溶媒に分散させた状態で加えてもよい。
混合後、例えば水性媒体を溶媒留去することにより、種晶粒子とαアルミナ前駆体とが均一に混合された混合物を得ることができる。溶媒留去は通常300℃以下で行われ、例えば棚段乾燥機、スラリードライヤー、スプレードライヤーなどの乾燥機を用いて行われる。
〔混合物の焼成〕
かくして得られた混合物を焼成する。焼成温度は、高α化率の微粒αアルミナが容易に得られる点で、通常700℃以上、好ましくは800℃以上、粒子同士のネッキングがより少ない点で、通常1100℃以下、好ましくは1000℃以下である。
かくして得られた混合物を焼成する。焼成温度は、高α化率の微粒αアルミナが容易に得られる点で、通常700℃以上、好ましくは800℃以上、粒子同士のネッキングがより少ない点で、通常1100℃以下、好ましくは1000℃以下である。
焼成温度にまで混合物を加熱する際の昇温速度は、例えば60℃/時間〜1200℃/時間、好ましくは100℃/時間〜500℃/時間である。
昇温に伴い、用いたαアルミナ前駆体の種類によっては、700℃未満で、αアルミナ前駆体がαアルミナに遷移することに伴いガス状の副生物が生ずるので、昇温に際しては、かかる副生物の発生が止むまで700℃未満、好ましくは600℃以下を維持したのちに、焼成温度にまで昇温すればよい。
焼成は大気中で行われてもよいし、窒素ガス、アルゴンガスなどのような不活性ガス雰囲
気下で行われてもよい。また、雰囲気中の水蒸気分圧が低いと、ネック率が高くなりがち
なので、水蒸気分圧の高い雰囲気中で焼成することが望ましい。
気下で行われてもよい。また、雰囲気中の水蒸気分圧が低いと、ネック率が高くなりがち
なので、水蒸気分圧の高い雰囲気中で焼成することが望ましい。
焼成には、例えば管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いることができる。混合物の焼成は、回分式で行われてもよいし、連続式で行われてもよい。また混合物を静置した状態で焼成する静止式で焼成してもよいし、混合物を流動状態として焼成する流動式で焼成してもよい。
〔αアルミナスラリー〕
本発明のαアルミナスラリーは、かかるαアルミナ粉末が水性媒体中に分散されてなるものである。
本発明のαアルミナスラリーは、かかるαアルミナ粉末が水性媒体中に分散されてなるものである。
水性媒体として通常は水が用いられ、好ましくはイオン交換水である。αアルミナスラリーにおける水性媒体の使用量は、通常αアルミナ粉末の1質量倍〜20質量倍、好ましくは1.5質量倍〜14質量倍である。
αアルミナスラリーにおけるαアルミナ粉末の凝集粒子径は0.2μm以下、好ましくは0.15μm以下であり、凝集することなく分散していてもよい。凝集粒子径は動的散乱式粒度分布測定装置を用いて、質量基準の累積百分率50%相当粒子径(D50)として求められる。
αアルミナスラリーは、焼結を促進する焼結助剤が添加されていてもよい。焼結助剤としては、例えば酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化タンタル、酸化ランタン、酸化イットリア、酸化亜鉛、酸化カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられ、好ましくは酸化マグネシウムである。また、αアルミナ粉末をより高分散で分散されたαアルミナスラリーと為しうる点では、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウムなどの水溶性の塩が好ましく用いられる。焼結助剤は、そのまま粉末状でαアルミナスラリーに添加されてもよいし、水中に分散または溶解させた状態でαアルミナスラリーに添加されてもよい。焼結助剤を添加する場合、その添加量は通常、αアルミナ粉末に対して通常0.01質量倍〜0.1質量倍、、好ましくは0.03質量倍〜0.09質量倍である。
〔αアルミナスラリーの製造〕
本発明のαアルミナスラリーは、例えばαアルミナ粉末を水性媒体と混合する方法により製造することができ、通常は分散剤と共に水性媒体中で撹拌する方法により製造すされる。分散剤としては、例えば無機酸、無機塩、有機酸、界面活性剤などが用いられる。無機酸としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸などが挙げられる。油無機塩としては、例えば硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。有機酸としては、例えば蓚酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などが挙げられる。界面活性剤としては、例えばポリカルボン酸アンモニウム、ポリアクリルアンモニウムなどが挙げられる。
本発明のαアルミナスラリーは、例えばαアルミナ粉末を水性媒体と混合する方法により製造することができ、通常は分散剤と共に水性媒体中で撹拌する方法により製造すされる。分散剤としては、例えば無機酸、無機塩、有機酸、界面活性剤などが用いられる。無機酸としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸などが挙げられる。油無機塩としては、例えば硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。有機酸としては、例えば蓚酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などが挙げられる。界面活性剤としては、例えばポリカルボン酸アンモニウム、ポリアクリルアンモニウムなどが挙げられる。
αアルミナ粉末を分散剤と共に水性媒体中で撹拌するには通常、分散機が用いられる。分散機としては、例えばαアルミナ粉末および水性媒体をボール状の撹拌媒体と共に撹拌することにより分散する媒体攪拌ミル、ボールミルなどが用いられ、より効率よく分散しうることから媒体攪拌ミルが好ましく用いられる。
撹拌媒体としては、粒子径が小さいものを使用することが好ましく、通常は直径0.7mm以下、好ましくは0.4mm以下、通常は0.01mm以上のビーズ状のものを使用することが好ましい。かかる媒体としては、純度99質量%以上のアルミナ質のものが好ましく用いられる。このようなアルミナ製の媒体は、例えばニッカトー(株)、大明化学(株)などがから市販されている。耐磨耗性および純度の点で、大明化学(株)から「高純度アルミナビーズ」として市販されているビーズが好ましく用いられる。
媒体攪拌ミルはバッチ式のものであってもよいし、連続式のものであってもよい。連続式の媒体攪拌ミルとしては、分散後のαアルミナスラリーを撹拌媒体から分離する方式として、遠心分離処理により媒体を分離する遠心分離方式、撹拌媒体よりも狭い隙間を通過させることにより媒体を取り除くギャップセパレーター方式、αアルミナ粉末は通すが撹拌媒体は通さない程度の目開きのフィルターで濾過するフィルターを用いる濾過方式、さらにフィルターがカートリッジになっているカートリッジセパレーター方式などが挙げられるが、遠心分離方式が好ましい。
〔αアルミナ焼結体の製造〕
本発明のαアルミナスラリーを成形したのち、焼結させることにより、αアルミナ焼結体の製造することができる。
本発明のαアルミナスラリーを成形したのち、焼結させることにより、αアルミナ焼結体の製造することができる。
本発明のαアルミナスラリーを成形する方法としては、
(1)本発明のαアルミナスラリーを鋳込成形型に流し込み、乾燥させる、いわゆるスリップキャスト法、
(2)本発明のαアルミナスラリーを基板上に塗布し、乾燥させる方法
などが挙げられる。
(1)本発明のαアルミナスラリーを鋳込成形型に流し込み、乾燥させる、いわゆるスリップキャスト法、
(2)本発明のαアルミナスラリーを基板上に塗布し、乾燥させる方法
などが挙げられる。
乾燥させる際の温度は、αアルミナ成形体にクラックが生じない程度の温度であればよく、通常は0℃〜300℃、好ましくは20℃〜100℃である。乾燥雰囲気は大気中であってもよいし、不活性ガス中であってもよい。
本発明のαアルミナスラリーを成形することにより、αアルミナ粉末が成形されてなるαアルミナ成形体を得ることができる。
得られたαアルミナ成形体の焼成は通常、焼成炉を用いて行われる。焼成炉としては、例えば管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いることができる。焼成は、回分式で行われてもよいし、連続式で行われてもよい。またαアルミナ成形体は通常、静置した状態で焼成する静止式で焼成される。
焼成温度および焼成時間は、焼成後のαアルミナ焼結体の相対密度が95%以上となるように選択され、焼成温度は、通常1000℃〜1600℃、好ましくは1100℃〜1500℃、より好ましくは1200℃〜1400℃であり、焼成時間は通常30分以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上であり、24時間を超えて焼成しても焼成時間に見合った効果が得られず不経済であることから、通常は24時間以下である。得られるαアルミナ焼結体の相対密度は、焼成温度が高いほど、また焼成時間が長いほど、高くなる。
焼成温度まで昇温する際には、得られるαアルミナ焼結体にクラックが生じにくい点で、通常は500℃/時間以下、好ましくは400℃/時間以下であり、昇温に要する時間を短縮する観点から、通常50℃/時間以上、好ましくは100℃/時間以上である。
αアルミナ成形体を晶生することにより、これを構成するαアルミナ粉末が互いに焼結して、αアルミナ焼結体を得ることができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
なお、各実施例で得た微粒αアルミナは以下の方法で評価した。
(1)BET比表面積(m2/g):
窒素吸着法により求めた。
(2)結晶相:
試料をX線回折装置(商品名「Rint−2100」、理学電機製)粉末X線回折装置を用いて得た微粒αアルミナの回折スペクトルから、2θ=25.6°の位置に現れるアルミナα相(012面)のピーク高さ(I25.6)と、2θ=46°の位置に現れるγ相、η相、χ相、κ相、θ相およびδ相のピーク高さ(I46)とから、式(1)
α化率= I25.6 / (I25.6 + I46 )×100(%)(1)
により算出した。
(3)ネック率:
微粒αアルミナの透過電子顕微鏡写真に写った任意の粒子20個以上について、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子の割合として求めた。
(4)粉砕度:
種晶(αアルミナ)の粉砕度は、そのα相(116)面のX線回折ピークの半価幅(H(116))と、粉砕前の種晶(αアルミナ)のα相(116)面のX線回折ピークの半価幅(
H0(116))とから、式(5)
粉砕度 = H(116) / H0(116)・・・(5)
により求めた。
(5)中心粒子径は、以下の測定方法1、測定方法2、測定方法3のいずれかにより測定した。
測定方法1:動的光散乱式粒度分布測定装置〔日機装社製「Nanotrac (UPA−EX150)」〕により、質量基準で累積百分率50%相当粒子径(D50)として求める方法。
測定方法2:レーザー回折式粒度分布測定装置〔日機装社製「Microtrac HRA(X−100)」〕により質量基準で累積百分率50%相当粒子径(D50)として求める方法。
測定方法3:透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した電子顕微鏡写真から、数平均粒子径として求める方法。
(6)相対密度:
アルキメデス法で焼結体の密度を測定し、それを下記式を用いることで算出した。
相対密度(%)=得られた焼結体密度〔g/cm3〕/3.98〔g/cm3;αアルミナ理論焼結密度〕×100
(1)BET比表面積(m2/g):
窒素吸着法により求めた。
(2)結晶相:
試料をX線回折装置(商品名「Rint−2100」、理学電機製)粉末X線回折装置を用いて得た微粒αアルミナの回折スペクトルから、2θ=25.6°の位置に現れるアルミナα相(012面)のピーク高さ(I25.6)と、2θ=46°の位置に現れるγ相、η相、χ相、κ相、θ相およびδ相のピーク高さ(I46)とから、式(1)
α化率= I25.6 / (I25.6 + I46 )×100(%)(1)
により算出した。
(3)ネック率:
微粒αアルミナの透過電子顕微鏡写真に写った任意の粒子20個以上について、ネッキングして隣の粒子と繋がっている粒子の割合として求めた。
(4)粉砕度:
種晶(αアルミナ)の粉砕度は、そのα相(116)面のX線回折ピークの半価幅(H(116))と、粉砕前の種晶(αアルミナ)のα相(116)面のX線回折ピークの半価幅(
H0(116))とから、式(5)
粉砕度 = H(116) / H0(116)・・・(5)
により求めた。
(5)中心粒子径は、以下の測定方法1、測定方法2、測定方法3のいずれかにより測定した。
測定方法1:動的光散乱式粒度分布測定装置〔日機装社製「Nanotrac (UPA−EX150)」〕により、質量基準で累積百分率50%相当粒子径(D50)として求める方法。
測定方法2:レーザー回折式粒度分布測定装置〔日機装社製「Microtrac HRA(X−100)」〕により質量基準で累積百分率50%相当粒子径(D50)として求める方法。
測定方法3:透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した電子顕微鏡写真から、数平均粒子径として求める方法。
(6)相対密度:
アルキメデス法で焼結体の密度を測定し、それを下記式を用いることで算出した。
相対密度(%)=得られた焼結体密度〔g/cm3〕/3.98〔g/cm3;αアルミナ理論焼結密度〕×100
実施例1
〔種晶粒子の製造〕
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸化アルミニウムを仮焼して、主結晶相がθ相であり、α相を3重量%含む中間アルミナを得、この中間アルミナをジェットミルにて粉砕して、嵩密度0.21g/cm3のアルミナ粉末を得た。
〔種晶粒子の製造〕
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸化アルミニウムを仮焼して、主結晶相がθ相であり、α相を3重量%含む中間アルミナを得、この中間アルミナをジェットミルにて粉砕して、嵩密度0.21g/cm3のアルミナ粉末を得た。
炉内が露点−15℃〔水蒸気分圧165Pa〕の乾燥空気で満たされた雰囲気炉に、上記で得たアルミナ粉末を連続的に投入しながら、平均滞留時間3時間で連続的に取り出して、最高温度1170℃にて焼成して、BET比表面積14m2/gのαアルミナ粒子を得た。
このαアルミナ粒子100質量部に、粉砕助剤〔プロピレングリコール〕1質量部を加え、粉体媒体〔粒子径15mmのアルミナビーズ〕を加えて振動ミルにて12時間粉砕した。粉砕後のαアルミナ粒子のBET比表面積は16.6m2/gであり、粉砕度は1.10であり、中心粒子径は0.1μmであった。(測定方法3)
上記で粉砕した後のαアルミナ粒子20質量部を、塩化アルミニウム水溶液〔塩化アルミ
ニウム濃度0.01モル/L〕80質量部と混合し、アルミナビーズ〔ビーズ径0.65
mm〕2.9kgを充填した湿式分散機〔シンマルエンタープライズ社製、「ダイノーミ
ル」〕を用いて平均滞留時間15分で連続的に湿式分散した後、回転数4000rpm〔
遠心加速度約2100G〕の条件で40分間、遠心分離処理し、固液分離により液相(上
澄み液)として、αアルミナ微粒子を含むスラリ〔固形分濃度0.7質量%〕を得た。
ニウム濃度0.01モル/L〕80質量部と混合し、アルミナビーズ〔ビーズ径0.65
mm〕2.9kgを充填した湿式分散機〔シンマルエンタープライズ社製、「ダイノーミ
ル」〕を用いて平均滞留時間15分で連続的に湿式分散した後、回転数4000rpm〔
遠心加速度約2100G〕の条件で40分間、遠心分離処理し、固液分離により液相(上
澄み液)として、αアルミナ微粒子を含むスラリ〔固形分濃度0.7質量%〕を得た。
〔アルミニウム加水分解物の製造〕
〔αアルミナ前駆体の製造〕
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸化アルミニウム500g(アルミナ換算約375g)に上記で得た上澄み液〔固形分濃度0.7質量%〕3500g(αアルミナ成分24.2g、)を添加(添加量6.1重量%(アルミナ換算))し、連続式ホモジナイザー〔エム・テックニック(株)製、CLEARMIX〕を用いてシャフト回転数20000rpmで2時間、ポンプ流量を65(g/分)の条件で連続的に湿式で分散させることで、pH値が5.9、中心粒径が0.1μmのαアルミナ前駆体スラリを得た。次いでスプレー型ドライヤーを用いて、入口温度180℃、出口温度80℃、風圧1気圧(0.1MPa)、供給速度1L/時間の条件で、噴霧乾燥することで乾燥粉末を得た。
〔αアルミナ前駆体の製造〕
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸化アルミニウム500g(アルミナ換算約375g)に上記で得た上澄み液〔固形分濃度0.7質量%〕3500g(αアルミナ成分24.2g、)を添加(添加量6.1重量%(アルミナ換算))し、連続式ホモジナイザー〔エム・テックニック(株)製、CLEARMIX〕を用いてシャフト回転数20000rpmで2時間、ポンプ流量を65(g/分)の条件で連続的に湿式で分散させることで、pH値が5.9、中心粒径が0.1μmのαアルミナ前駆体スラリを得た。次いでスプレー型ドライヤーを用いて、入口温度180℃、出口温度80℃、風圧1気圧(0.1MPa)、供給速度1L/時間の条件で、噴霧乾燥することで乾燥粉末を得た。
〔焼成ならびに粉砕〕
上記で得た乾燥粉末をルツボに入れ、箱型電気炉を用いて、静置状態で、大気中、300℃/時間の昇温速度で室温から960℃に加熱し、同温度にて3時間焼成して、白色の粉末状焼成物を得た。この粉末状焼成物のBET値は16.7m2/gであった。この粉末状焼成物をジェットミル(日本ニューマチック(株))にて粉砕することで、BET=17m2/g、α化率は98%、Si含有量は25ppm、Fe含有量は6ppm、Cu含有量は1ppm(検出下限)未満、Na含有量は3ppmの微粒αアルミナを得た。これをTEM観察したところ、ネック率は0%であり、200nm以上の粒子は見当たらなかった。
上記で得た乾燥粉末をルツボに入れ、箱型電気炉を用いて、静置状態で、大気中、300℃/時間の昇温速度で室温から960℃に加熱し、同温度にて3時間焼成して、白色の粉末状焼成物を得た。この粉末状焼成物のBET値は16.7m2/gであった。この粉末状焼成物をジェットミル(日本ニューマチック(株))にて粉砕することで、BET=17m2/g、α化率は98%、Si含有量は25ppm、Fe含有量は6ppm、Cu含有量は1ppm(検出下限)未満、Na含有量は3ppmの微粒αアルミナを得た。これをTEM観察したところ、ネック率は0%であり、200nm以上の粒子は見当たらなかった。
〔αアルミナスラリーの製造〕
この微粒αアルミナ40gと0.01Mの硝酸水を160gを混合し、アルミナビーズ〔直径0.65mm、純度99.9質量%〕700gを充填したバッチ式サンドグラインダー〔アイメックス(株)製「4TSG−1/7(1/8)」に投入して、2000rpm、180分間の条件で均一に分散させた。得られたαアルミナスラリのpHは5.2、中心粒径は0.12μmであった。(測定方法1)
この微粒αアルミナ40gと0.01Mの硝酸水を160gを混合し、アルミナビーズ〔直径0.65mm、純度99.9質量%〕700gを充填したバッチ式サンドグラインダー〔アイメックス(株)製「4TSG−1/7(1/8)」に投入して、2000rpm、180分間の条件で均一に分散させた。得られたαアルミナスラリのpHは5.2、中心粒径は0.12μmであった。(測定方法1)
〔αアルミナ成形体および焼結体の製造〕
得られたαアルミナスラリ20gをポリ容器にいれ、室温下で水分を除去することで乾燥成型体を得た。得られた成型体をルツボにいれ、箱型電気炉にて、大気雰囲気下、200℃/hで昇温し、1250℃で3時間保持することで焼結体を得た。得られた焼結体の密度を測定したところ3.89g/cm3(相対密度97.7%)であった。
得られたαアルミナスラリ20gをポリ容器にいれ、室温下で水分を除去することで乾燥成型体を得た。得られた成型体をルツボにいれ、箱型電気炉にて、大気雰囲気下、200℃/hで昇温し、1250℃で3時間保持することで焼結体を得た。得られた焼結体の密度を測定したところ3.89g/cm3(相対密度97.7%)であった。
実施例2
〔αアルミナ粒子の製造〕
実施例1とほぼ同様の手法を用いてBET=19m2/g、α化率は99%、Si含有量は30ppm、Fe含有量は4ppm、Cu含有量は1ppm(検出下限)未満、Na含有量は20ppmの微粒αアルミナを得た。これをTEM観察したところ、ネック率は0%であり、200nm以上の粒子は見当たらなかった。
〔αアルミナ粒子の製造〕
実施例1とほぼ同様の手法を用いてBET=19m2/g、α化率は99%、Si含有量は30ppm、Fe含有量は4ppm、Cu含有量は1ppm(検出下限)未満、Na含有量は20ppmの微粒αアルミナを得た。これをTEM観察したところ、ネック率は0%であり、200nm以上の粒子は見当たらなかった。
〔αアルミナスラリーの製造〕
上記で得られたαアルミナを実施例1と同様の手法を用いてαアルミナを得た。得られたαアルミナスラリのpHは6.1、中心粒径は0.18μmであった。(測定方法1)得られたαアルミナスラリ20gに0.01Mの硝酸マグネシウム〔和光純薬(株)製、一級〕を4.9g添加することで、酸化物換算で微粒αアルミナに対してMgOが500ppm添加されたαアルミナスラリを得た。
上記で得られたαアルミナを実施例1と同様の手法を用いてαアルミナを得た。得られたαアルミナスラリのpHは6.1、中心粒径は0.18μmであった。(測定方法1)得られたαアルミナスラリ20gに0.01Mの硝酸マグネシウム〔和光純薬(株)製、一級〕を4.9g添加することで、酸化物換算で微粒αアルミナに対してMgOが500ppm添加されたαアルミナスラリを得た。
〔αアルミナ成形体および焼結体の製造〕
上記で得られたαアルミナスラーを実施例1と同様の手法で成型ならびに焼結することでアαアルミナの焼結体を得た。得られた焼結体の密度は3.91g/cm3(相対密度98.2%)であった。
上記で得られたαアルミナスラーを実施例1と同様の手法で成型ならびに焼結することでアαアルミナの焼結体を得た。得られた焼結体の密度は3.91g/cm3(相対密度98.2%)であった。
実施例3
添加する0.01Mの硝酸マグネシウムを8.2gとし、微粒αアルミナに対するMgOの添加量を800ppmにした以外は実施例2と同様に操作することでαアルミナの焼結体を得た。得られた焼結体の密度は3.95g/cm3(相対密度99.2%)であった。
添加する0.01Mの硝酸マグネシウムを8.2gとし、微粒αアルミナに対するMgOの添加量を800ppmにした以外は実施例2と同様に操作することでαアルミナの焼結体を得た。得られた焼結体の密度は3.95g/cm3(相対密度99.2%)であった。
比較例1
〔αアルミナスラリならびにαアルミナ成型体ならびに焼結体の製造方法〕
市販のαアルミナ〔大明化学(株)製、TM−DAR、ネック率は約100%〕を実施例1と同様の手法で分散することでpH値が6.1、中心粒径が0.18μmのαアルミナスラリを得た。(測定方法1)得られたαアルミナを実施例1と同様の方法で乾燥し、焼結することでαアルミナの焼結体を得た。得られた焼結体の密度は3.71g/cm3(相対密度93.3%)であった。
〔αアルミナスラリならびにαアルミナ成型体ならびに焼結体の製造方法〕
市販のαアルミナ〔大明化学(株)製、TM−DAR、ネック率は約100%〕を実施例1と同様の手法で分散することでpH値が6.1、中心粒径が0.18μmのαアルミナスラリを得た。(測定方法1)得られたαアルミナを実施例1と同様の方法で乾燥し、焼結することでαアルミナの焼結体を得た。得られた焼結体の密度は3.71g/cm3(相対密度93.3%)であった。
Claims (7)
- α化率が95%以上であり、ネック率が30%以下であり、Si、Fe、CuおよびNaの合計含有量が500ppm以下であり、200nm以上の粒子が個数比で1%以下であるαアルミナ粉末が水性媒体中に分散されてなり、前記αアルミナ粉末の凝集粒子径が0.2μm以下であることを特徴とするαアルミナスラリー。
- 前記水性媒体が前記αアルミナ粉末の1質量倍〜20質量倍である請求項1に記載のαアルミナスラリー。
- 焼結助剤を含む請求項1または請求項2に記載のαアルミナスラリー。
- 前記αアルミナ粉末に対して焼結助剤を0.01質量倍〜0.1質量倍含む請求項3に記載のαアルミナスラリー。
- 前記αアルミナ粉末および水性媒体を、粒子径0.7mm以下、純度99.9質量%以上であるアルミナ質の撹拌媒体と共に、媒体撹拌ミルにて分散処理することを特徴とする請求項1に記載のαアルミナスラリーの製造方法。
- 無機酸、無機塩、有機酸および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一の分散剤の共存下に分散処理する請求項5に記載の製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のαアルミナスラリーを成形したのち、焼結させることを特徴とするαアルミナ焼結体の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2014017662A1 (ja) * | 2012-07-27 | 2016-07-11 | 住友化学株式会社 | アルミナスラリーおよびその製造方法並びに塗工液 |
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CN113213900A (zh) * | 2021-06-23 | 2021-08-06 | 中国铝业股份有限公司 | 一种分散性氧化铝及其制备方法和应用 |
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2006
- 2006-12-22 JP JP2006345452A patent/JP2008156146A/ja active Pending
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