JP4720182B2 - 高い研磨速度を示す微粒αアルミナの製造方法 - Google Patents
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Description
次いで水蒸気分圧600Pa以下の雰囲気下で、前記粉末状非晶質中間アルミナがα化しうる温度にて焼成することを特徴とする微粒αアルミナの製造方法を提供するものである。
(1)α化率
微粒αアルミナのα化率は、粉末X線回折装置を用いて得た微粒αアルミナの回折スペクトルから、2θ=25.6°の位置に現れるアルミナα相(012面)のピーク高さ(I25.6)と、2θ=46°の位置に現れるγ相、η相、χ相、κ相、θ相およびδ相のピーク高さ(I46)とから、式(1)
α化率= I25.6 / (I25.6 + I46 )×100(%)・・・(1)
により算出した。
(2)平均一次粒子径
微粒αアルミナの透過電子顕微鏡写真に写った任意の粒子20個以上について、個々の一次粒子の定方向最大径を測定し、測定値の数平均値として求めた。
(3)相対研磨速度
各実施例で得た微粒αアルミナ50gと粉砕媒体〔「アルミナボール」、粒子径15mm〕5.4Kgを内容積3.3Lの容器に入れ、振動ミルにて12分間振動させて、粉砕する。粉砕後の微粒αアルミナ2質量部を水98質量部と混合して懸濁させたスラリーを調製し、このスラリーをフェライト単結晶面の上に連続的に供給しながら、研磨して、フェライト単結晶面の単位時間あたりの研磨量を求めた。得られた研磨量は、微粒αアルミナに代えて市販の高純度アルミナ〔「AKP−20」、住友化学(株)製〕を用いたときの研磨量に対する相対比(%)で示した。
(4)BET比表面積
窒素吸着法により比表面積測定装置〔「フローソープII2300」、(株)島津製作所製〕を用いて測定した。
(5)分散性
微粒αアルミナ1質量部に、水95質量部、分散剤〔「SNディスパーサント5468」、サンノブコ(株)製〕0.01質量部を加えてスラリーとし、媒体攪拌型ミル〔「1/4G単筒式サンドグラインダー」、アイメックス(株)製〕にて粉砕媒体として粒径0.65mmのジルコニアビーズを用いて2000rpm、30分の条件で、このスラリー中の微粒αアルミナを粉砕したのちの微粒αアルミナの中心粒子径を粒度分布測定機〔「Microtrac」、日機装(株)製〕にて測定して評価した。
(6)種晶(αアルミナ)の粉砕度
粉砕後の種晶(αアルミナ)のα相(116)面のX線回折ピークの半価幅〔H(116)〕と、粉砕前の種晶(αアルミナ)のα相(116)面のX線回折ピークの半価幅〔H0(116)〕とから、式(2)
粉砕度 = H(116) / H0(116)・・・(2)
により求めた。
〔種晶スラリーの製造〕
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた水酸化アルミニウムを仮焼して、主結晶相がθ相であり、α相を3重量%含む中間アルミナを得、この中間アルミナをジェットミルにて粉砕して、嵩密度0.21g/cm3の粉末を得た。
硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)〔関西触媒化学社製、1級、粉末状〕750.26g(2モル)を純水1555.7gに溶解させて硝酸アルミニウム水溶液を得た。この硝酸アルミニウム水溶液に上記で得た種晶スラリー56.67g(αアルミナ粒子11.33g)を添加し、室温で攪拌しながらマイクロロータリーポンプにて25%アンモニア水〔和光純薬工業社製、特級〕340.46g(アンモニア(NH3)として85.12g)を32g/分の速度で添加した。添加終了後の混合物の水素イオン濃度はpH3.8であった。この混合物を室温で放置した後、60℃で乾燥させ、乳鉢で粉砕して、アルミニウム加水分解物と硝酸アンモニウムとの粉末混合物を得た。この粉末混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部あたり10質量部の種晶(αアルミナ粒子)が含まれている。
上記で得た粉末混合物を内容積79382cm3のロータリー炉〔高砂工業(株)製〕にて連続的に塩分解した。ロータリー炉への粉末混合物の供給速度は30g/分で、塩分解後の粉末を連続的に取り出した。炉内温度は、粉末混合物の入口で390℃とし、塩分解後の粉末の取出口は490℃とした。炉内は、予め窒素ガスで置換し、塩分解中は常に10L/分(大気圧換算)で窒素ガスを流通させた。
塩分解後の粉末をアルミナ製るつぼに入れ、水蒸気分圧13Paの乾燥空気の流通下に、300℃/時間の昇温速度で940℃に昇温し、同温度で3時間保持して焼成して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナの評価結果を第1表に示す。
〔粉末混合物の製造〕
実施例1と同様に操作して得た硝酸アルミニウム水溶液に、実施例1と同様に操作して得た種晶スラリー218.57g〔αアルミナ粒子43.71g〕を添加し、室温で攪拌しながらマイクロロータリーポンプにて25%アンモニア水(和光純薬工業社製、特級)40g(アンモニア(NH3)として10g)を32g/分の速度で添加した。添加終了後の混合物の水素イオン濃度はpH3.8であった。この混合物を室温で放置した後、60℃で乾燥させ、乳鉢で粉砕して、アルミニウム加水分解物と硝酸アンモニウムとの粉末混合物を得た。この粉末混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部あたり30質量部の種晶(αアルミナ粒子)が含まれている。
実施例1で得た粉末混合物に代えて、上記で得た粉末混合物を用いる以外は実施例1と同様に操作して塩分解した。
実施例1で得た塩分解した後の粉末に代えて上記で塩分解した粉末を用い、焼成温度920℃で焼成した以外は実施例1と同様に操作して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナの評価結果を第1表に示す。
〔粉末混合物の製造〕
実施例1と同様に操作して得た硝酸アルミニウム水溶液に、実施例1で得た種晶スラリー56.67g〔αアルミナ粒子11.33g〕を添加し、室温で攪拌しながらマイクロロータリーポンプにて25%アンモニア水(和光純薬工業社製、特級)40g(アンモニア(NH3)として10g)を32g/分の速度で添加した。添加終了後の混合物の水素イオン濃度はpH3.8であった。この混合物を室温で放置した後、60℃で乾燥させ、乳鉢で粉砕して、アルミニウム加水分解物と硝酸
アンモニウムとの粉末混合物を得た。この粉末混合物には、金属成分の酸化物換算で100質量部あたり10質量部の種晶(αアルミナ粒子)が含まれている。
実施例1で得た粉末混合物に代えて上記で得た粉末混合物を用いる以外は実施例1と同様に操作して塩分解し、次いで塩分解後の粉末を水蒸気分圧1200Paの空気中で焼成する以外は実施例1と同様に操作して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナの評価結果を第1表に示す。
〔粉末混合物の製造〕
アルミニウムイソプロポキシドのイソプロパノール溶液に水を加えて加水分解して得られたアルミニウム加水分解物を乾燥し、仮焼し、粉砕してθアルミナ分を主成分とするα化率3%の中間アルミナ粉末を得た。
上記で得た中間アルミナ粉末100gを内容積8Lの管型焼成炉〔(株)モトヤマ製〕に入れ、水蒸気分圧165Paの乾燥空気を1L/分(大気圧換算)で流通させながら1170℃に加熱し、同温度で3時間保持して焼成して、微粒αアルミナを得た。この微粒αアルミナの評価結果を第1表に示す。
市販の微粒αアルミナ粉末〔「HIT50」、住友化学(株)製〕を評価した。結果を第1表に示す。
市販の微粒αアルミナ粉末〔「HIT100」、住友化学(株)製〕を評価した。結果を第1表に示す。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
α化率 粒子径 BET比表面積 相対研磨速度 分散性
(%) (μm) (m2/g) (%) (μm)
─────────────────────────────────────
実施例1 97.3 107 16.8 211 0.173
実施例2 97.0 85 20.3 415 0.184
比較例1 97.3 102 16.8 135 0.198
比較例2 98.0 − 16.0 100 0.188
比較例3 99.0 − 8.5 500 0.303
比較例4 95.6 − 30 200 0.218
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Claims (7)
- 粉末状非晶質中間アルミナおよび塩分解性塩を含む粉末混合物を前記粉末状非晶質中間アルミナがα化しない温度に加熱して前記塩分解性塩を塩分解し、次いで水蒸気分圧600Pa以下の雰囲気下で、前記粉末状非晶質中間アルミナがα化しうる温度にて焼成することを特徴とする微粒αアルミナの製造方法。
- 粉末状非晶質中間アルミナが、粉末状アルミニウム加水分解物である請求項1に記載の製造方法。
- アルミニウムと酸との塩の水溶液に塩基を加えて前記水溶液を加水分解して粉末状アルミニウム加水分解物を得る、請求項2に記載の製造方法。
- 酸および塩基として、中和により塩分解性塩を形成しうるものを用い、加水分解後の混合物から水を留去して前記粉末混合物を得る請求項3に記載の製造方法。
- 塩分解性塩の使用量が、粉末状非晶質中間アルミナ100質量部あたり10質量部〜90質量部である請求項1に記載の製造方法。
- 種晶の存在下に焼成する請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法で得られ、α化率が90%以上で粒子径が10nm〜200nmである微粒αアルミナ。
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