JP2006265015A - セメント組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】膨張材や収縮低減剤を最少量にして、その性能を最大限に発揮させる。
【解決手段】セメント中のアルカリ量を0.2%以下にし、これに膨張材若しくは収縮低減剤、或いはその双方を組み合わせて使用し、コンクリートなどとする。少ないアルカリ量のセメントによって、膨張材や収縮低減剤の性能が効果的に発揮され、高いひび割れ抵抗性などを得ることができる。また一方で、過大膨張による強度低下などの問題が生じないなどという複数の高い目標を達成できる。

Description

本発明は、主に土木建築分野で使用されるセメント成分を含むモルタル、コンクリート、グラウト材、補強材等のセメント組成物に関する。更に詳しくは、乾燥収縮に起因する応力や外部応力に対する抵抗性が高く、ひび割れ抵抗性に優れたセメント組成物に関する。
一般にコンクリートをはじめとするセメント組成物は脆性材料であるため、引張強度が小さく、常にひび割れ発生の危険性を有する。ひび割れが発生すると、水密性・気密性が低下し、中性化の進展や鉄筋の腐食などを引き起こし、セメント組成物の耐久性は大きく低下する。セメント組成物に発生するひび割れとしては、乾燥収縮により発生する収縮ひび割れ、荷重や変形などに伴う外部応力により発生するひび割れなどが知られている。
従来、セメント組成物のひび割れ防止技術としては、膨張材や発泡剤などの膨張性物質を添加する方法(特開2001−328856号公報),収縮低減剤を添加する方法(特開2002−226246号公報),膨張材と収縮低減剤を併用する方法(特開2002−285153号公報),低発熱型セメントと膨張材を併用する方法(特開2004−217514号公報),ポリマーを添加する方法(特開2004−224631号公報)などが試みられている。
しかしながら、これらの技術においては、膨張材、収縮低減剤あるいはポリマーの添加量が少ない場合には十分なひび割れ抑制効果が得られず、逆に過剰添加した場合にはセメントが硬化して出来上がった硬化体の強度が低下するなどの問題が生じるため、確実なひび割れ防止効果が得られ難いという問題があった。
また、従来のひび割れ防止技術としては、セメント硬化体に高いケミカルプレストレスを導入してひび割れ耐力を向上させる方法(特開2000−178053号公報,特開2002−68812号公報)なども提案されている。しかしながら、セメント硬化体に高いケミカルプレストレスを導入するためには、膨張力の大きい膨張材を使用したり、膨張材を多量添加する必要があるため、硬化体の拘束が不十分な場合や過大膨張が生じた場合には、硬化体の強度低下などの問題を生じる恐れがある。
また、従来技術としてはセメントを繊維補強することにより、セメント硬化体の破壊エネルギーを向上させてひび割れを防止する方法(特開平9−131827号公報,特開2004−352575号公報)なども提案されている。しかしながら、これら繊維補強を講じる方法では、セメント組成物の作業性が低下したり、構造設計上の制約を受けたりするなどの問題がある。
さらに、従来より、ひび割れ防止のために膨張材を添加すると、セメント組成物の流動性が低下し易いことが知られているが、この課題に対してはホウ酸類を添加することで流動性の低下を防止する方法(特開平10−226549号公報)などが提案されている。しかしながら、ホウ酸類は水和を抑制する作用があり、添加量によっては凝結遅延や強度低下を生じる恐れがあるため、不用意に使用することが必ずしも好適な方法とは考えられていなかった。
特開2001−328856号公報 特開2002−226246号公報 特開2002−285153号公報 特開2004−217514号公報 特開2004−224631号公報 特開2000−178053号公報 特開2002−68812号公報 特開平9−131827号公報 特開2004−325575号公報 特開平10−2265649号公報
本発明が解決すべき課題は、膨張材や収縮低減剤の使用量が少ないとひび割れ防止効果が期待出来ず、過剰に添加すると硬化体の強度低下などが生じるという問題である。
本発明は、セメントのアルカリ含有量を0.2%以下とすることにより、最少限の量の膨張材や収縮低減剤の使用で、それらのひび割れ防止性能を最大限に発揮させることをその最も主要な特徴とする。
本件発明者が鋭意検討した結果、アルカリ含有量が0.2%以下という少ないセメントと、膨張材および収縮低減剤を、或いはそのいずれかひとつを組み合わせて使用することにより、乾燥収縮ひび割れに対する抵抗性および硬化体の破壊エネルギー共に大きく増加することをつきとめた。特に水セメント比が40重量%以下の場合には、セメント100重量部に対し、6〜10重量部の膨張材を添加することで、より効果的に乾燥収縮が補償できること、収縮低減剤は、セメント100重量部に対し、0.5〜3%重量部、より好ましくは1〜2重量部の割合で用いることが、ひび割れ抑制効果を得ることをつきとめた。
「JIS規格R5210ポルトランドセメント」において、ポルトランドセメントの全アルカリ量(Na2O当量換算値)は、アルカリ骨材反応を抑制する目的で0.75%以下と定められており、さらに「JIS規格R5210付属書」では、骨材がアルカリ反応性を有する場合に対処する目的で、全アルカリ量を0.6%以下とする低アルカリ形のポルトランドセメントが規定されている。
コンクリート中に存在するアルカリは、その量が多い場合に、ある種の骨材に含まれる特定の鉱物やガラスと反応し、コンクリートの膨張性ひび割れやポップアップを生じるアルカリ骨材反応の原因となることがある。ここでアルカリ量とは、コンクリートの主要構成材料であるセメント中の酸化ナトリウムと酸化カリウムの総和をいい、それらふたつを酸化ナトリウムに換算した量で定めている。
本発明に係るセメント組成物では、全アルカリ量が0.2%以下という低い値のセメントを用いるが、全アルカリ量が0.05〜0.15%のセメントがより好ましい。全アルカリ量が0.2%以下のセメントを、膨張材および収縮低減剤と、或いはそのいずれかと組み合わせて用いることにより、セメント組成物の乾燥収縮ひび割れに対する抵抗性およびセメントが硬化して出来た硬化体の破壊に要する破壊エネルギーが共に大きく増加するため、セメント硬化体のひび割れ抵抗性を著しく向上させることが可能となる。さらに、全アルカリ量が0.05〜0.15%のセメントを用いると、ひび割れ抵抗性の向上効果がより顕著に発揮されるので、より好ましい。また、アルカリ量以外の品質については特に制約はなく、「JIS規格R5210ポルトランドセメント」に準ずる品質であれば、本願発明で使用するセメントとして好適に使用できる。
本願発明で用いるアルカリ量の低いセメントの製造方法については特に限定されず、原料成分と焼成条件を調整することでアルカリ量を低減する方法(特開2000−281395号公報)や、塩素含有可燃物を燃料として用いることでアルカリ量の少ないセメントクリンカを製造する方法(特開2002−59114号公報)などの様々な方法によってアルカリ量を低く製造したセメントを広く採用できる。
セメントの使用量は特に限定されず、セメント組成物の用途に応じて適宜定めることができる。通常、コンクリートの場合には単位量として250〜600kg/mの範囲で用いられる。また、プレストレストコンクリート構造物などに使用されるPCグラウトのようにセメントペーストとして用いる場合には、1400kg/mを超える単位量も使用できる。
本発明で用いる膨張材としては、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材等の公知のものを用いることができる。膨張材の使用量は、セメント100重量部に対し3〜10重量部の割合で用いるのが好ましく、6〜10重量部がより好ましい。本発明のセメント組成物は、膨張材の使用量を少なくしてひび割れの発生を効果的に抑制させるものであり、膨張材の多量使用によって生じる過大膨張の結果としての強度低下を防ぐことができる。また、過度の膨張材の使用による不経済を排除できる。しかしながら、膨張材の使用量が3重量部未満の場合には、十分なひび割れ抑制効果が得られず、3重量部以上であることが好ましい。
さらに、本発明では、水セメント比を40重量%以下とすることにより、ひび割れの発生をより効果的に抑制することができる。
本発明で用いる収縮低減剤としては、セメント組成物中に含まれる水の表面張力を低減させることで、セメント組成物の乾燥収縮を抑制する作用を発揮するものであれば特に限定されず、ポリオキシアルキレン系等の公知のものを用いることができる。収縮低減剤の使用量は、セメント100重量部に対し0.5〜3重量部の割合で用いるのが好ましく、1〜2重量部がより好ましい。本発明のセメント組成物は収縮低減剤の使用量を少なくしてひび割れの発生を効果的に抑制させるものであり、収縮低減剤の多量使用によって生じる凝結遅延や強度低下を生じさせない。また過度の収縮低減剤の使用による不経済を排除できる。しかしながら、収縮低減剤の使用が0.5重量部未満の場合には、十分なひび割れ抑制効果が得られない。
本発明のセメント組成物は、膨張材、或いは収縮低減剤のいずれか、或いはその双方とを使用してセメントと組み合わせるもので、単独に使用する場合に比べ、双方を使用することの方がひび割れの発生をより効果的に抑制できる。また、膨張材と収縮低減剤を併用する場合の各々の使用量は、単独使用の場合と同様である。
本発明に係るセメント組成物には、流動性改善や単位水量低減などの目的のために、減水剤を使用することができる。減水剤の種類および使用量は特に限定されず、ポリカルボン酸系化合物,ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物,メラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸化合物などを主成分とする公知のものを広く用いることができる。特に、ポリカルボン酸系化合物を主成分とする減水剤を用いた場合に、少ない減水剤添加量で、良好な流動性を得ることができる。
本発明に係るセメント組成物は、砂、砂利、スラグなど産業廃棄物等々の様々な粒径や材質の骨材を混入することを妨げない。また水についても限定されないが、特に水セメント比が40重量%以下の場合には、セメント100重量部に対し6〜10重量部の膨張材を添加することで、より効果的に乾燥収縮が補償できる。その他、膨張材や収縮低減剤以外の、AE剤などの混和剤も本発明のセメント組成物と混和して使用可能で、その量や種類も特に限定されない。
本発明では、必要最少限の膨張材や収縮低減剤の使用に抑えることで、過大膨張による強度低下や、凝結遅延や強度低下を生じさせることがないようにするものであった。そのために、本件発明者はセメントのアルカリ含有量を0.2%以下とすることが、膨張材や収縮低減剤の性能を最大限に発揮することを突き止めたのである。
既往の研究において、セメント中のアルカリ量を低減することにより、セメント硬化体の引張りひずみ能力が増加し、その結果ひび割れ抵抗性が向上するという現象が報告されている。その作用機構は明らかではないが、セメント中のアルカリ量の差異により、セメント水和物の生成速度が変化し、その結果、セメント硬化体の微視的構造の形成に差が生じて引張りひずみ能力が増加することが予見される。
セメント中のアルカリ量を低減することのみでは、必ずしも十分なレベルまでひび割れ抵抗性を向上させるには至らない。しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、アルカリ量の低いセメントを使用するとともに、膨張材又は収縮低減剤、若しくは双方を併用することにより、セメント硬化体のひび割れ抵抗性が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
アルカリ量の低いセメントと膨張材との併用により、ひび割れ抵抗性が著しく向上する理由としては、アルカリ量の低いセメントが膨張作用をより効果的に発揮させ得るものと考えられる。アルカリ量の低いセメントは引張りひずみ能力が大きいことは知られているが、この引張りひずみ能力が大きいセメントを用いると、膨張時にセメント組織中に蓄えられる弾性エネルギーも当然大きくなることから、膨張材の膨張作用がより効果的に発揮され、セメント硬化体中に大きなプレストレスが導入できるため、ひび割れ抵抗性が著しく向上するものと考えられる。また、このように膨張作用が効果的に発揮されることから、膨張材の添加量が比較的少ない場合でも、ひび割れ抵抗性の向上効果が十分に得られるものと思われる。
一方、アルカリ量の低いセメントと収縮低減剤との併用効果については、次のように考えられる。セメント硬化体が乾燥を受けると硬化体空隙中の水が逸散し、それに伴う毛細管張力によりセメント硬化体は収縮して、ひび割れを生じる。収縮低減剤はセメント硬化体空隙中の水の表面張力を低下させる働きがあり、それにより毛細管張力が低減し、収縮ひび割れが抑制される。本発明者の研究の結果、アルカリ量の低いセメントの硬化体は、全空隙量が少なく、特に乾燥収縮への影響が大きい空隙径が3〜50nmである空隙の量が少ないことが確認されている。収縮低減剤はセメント硬化体中の空隙中の水に作用することから、アルカリ量の低いセメントからなる空隙量の少ない硬化体においては、収縮低減剤が限られた空隙中の水に対し重点的に作用するため、収縮低減作用がより効果的に発揮されるものと考えられる。また、このように収縮低減作用が効果的に発揮されることから、収縮低減剤の添加量が比較的少ない場合でも、ひび割れ抵抗性の向上効果が十分に得られるものと思われる。
本発明では、このような全く新たな視点の下で、その最も効果的な値を実証的に得たものであって、単なる低アルカリ量のセメントと、膨張材や収縮低減剤の組み合わせではなく、その予想を遥かに上回る効果を上げた発明となったものである。従って、本発明は従来の技術の単なる組み合わせではなく、極めて斬新で理論的にも実証的にも新規で効果的な発明である。
さらに、アルカリ量の低いセメントと膨張材および収縮低減剤を併用した場合には、上記効果作用が相乗的に働くため、ひび割れ抵抗性がより大幅に向上するものと考えられる。
本発明に係るセメント組成物は、アルカリ含有量が0.2%以下のセメントを使用して、これと膨張材や収縮低減剤とを組み合わせて、十分にひび割れに対する抵抗性を得ることが可能である。これにより、乾燥収縮応力や外部応力に起因するひび割れを効果的に防止できる。また、硬化した後の硬化体を破壊するに必要な破壊エネルギーの値が大きなものとなった。したがって、高耐久コンクリートや補修・補強材料として好適に使用できる。また、膨張材や収縮低減剤の使用は必要最少限とすることが可能となって、過大膨張による強度低下や、凝結遅延や強度低下などを引き起こさない。つまりは、本発明では、必要最少限の膨張材や収縮低減剤の使用と、十分なひび割れ抑制という複数の高い目的を一挙に達成したもので、それはセメントのアルカリ含有量を0.2%以下とすることによってこそ、初めて実現可能であった。また、ポリカルボン酸系化合物を主成分とする減水剤を使用することにより、低い水セメント比の場合にも、良好な流動性を得ることができる。
この発明では、セメントのアルカリ含有量を0.2%以下とし、これに膨張材や収縮低減剤を組み合わせるもので、膨張材や収縮低減剤の量は、強度低下や凝結遅延などが生じない必要最少限の量を選択して使用するものである。
本発明の実施例、およびその比較例に使用したセメントの性質及びその化学成分は、表1に示す。表1中、C1〜C5のセメントは、本発明に使用可能なアルカリ量0.2%以下のセメントであり、C6およびC7は、アルカリ量が2.0%を超える比較例にのみ使用可能なセメントである。膨張材としてはカルシウムサルフォアルミネート膨張材(市販品)、収縮低減剤としてはポリオキシアルキレン系収縮低減剤(市販品)、減水剤としてはポリカルボン酸系高性能AE減水剤(市販品)をそれぞれ使用した。細骨材としては、密度2.62g/cm3、吸水率1.90%、粗粒率2.72の陸砂を使用した。水は上水道水である。
Figure 2006265015
既述したセメント、膨張材、収縮低減剤、減水剤、細骨材、水分の配合を表2及び表3に示す。表2に記載したのは、各材料の配合量を変えて複数実施した本発明の実施例であって、表3に記載した配合表は、本発明の実施結果と比較するデータを得るための、比較例を複数記載してある。
Figure 2006265015
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表2および表3に示すセメント組成物を「JIS規格R5201セメントの物理試験方法」に準じた方法で調整し、「JIS規格A1151拘束されたコンクリートの乾燥収縮ひび割れ試験方法」に準じた方法で乾燥収縮ひび割れ発生日数を測定した。また、全アルカリ量が0.31%のセメント(C6)を含むセメント組成物の乾燥収縮ひび割れ発生日数(TC6)を基準として、それに対する各セメント組成物のひび割れ発生日数(T)の比率(T/TC6)を算出した。その結果を表4〜表7に示す。表4は、膨張材および収縮低減剤を使用していない比較例であって、表4に示すのは、膨張材のみを使用した場合の本発明の実施例を下段に、膨張材を使用しているが、アルカリ量が高いセメントC6を使用した場合の比較例を上段に記載してある。表6には収縮低減剤のみを使用した場合の結果を記載してあり、上段にはアルカリ量の高いC6のセメントを使用した比較例を記載してあり、下段には本発明の実施例を記載してある。表7には、膨張材と収縮低減剤の双方を使用した場合の、実施例と比較例が記載してある。これらの表を総合して比較すると、アルカリ含有量が0.2%以下のセメントを含む本発明実施例のセメント組成物の乾燥収縮ひび割れ発生日数は、同一の配合と養生方法で作成したアルカリ含有量が0.3%以上のセメントを含むセメント組成物の乾燥収縮ひび割れ発生日数に比べ2倍以上となっており、乾燥収縮ひび割れに対する抵抗性が著しく向上している。
Figure 2006265015
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表2および表3に示す配合のセメント組成物を「JIS規格R5201セメントの物理試験方法」に準じた方法で調整し、「JCI−S−001−2003切欠きはりを用いたコンクリートの破壊エネルギー試験方法(案)」に準じた方法で破壊エネルギー量を測定した。また、全アルカリ量が0.31%のセメント(C6)を含むセメント組成物の破壊エネルギー量(GC6)を基準として、それに対する各セメント組成物の破壊エネルギー量(G)の比率(G/GC6)を算出した。その結果を表8〜表11に示す。表8には、膨張材も収縮低減剤も使用しない比較例を記載してある。表9は、膨張材のみを使用した場合であって、アルカリ量が高いセメントC6を使用した比較例を上段に記載し、本発明の実施例は下段に記載してある。表10は収縮低減剤のみを使用した場合で、上段にはアルカリ量の高いセメントC6を使用した比較例を記載してあり、下段に本発明の実施例を記載してある。表11は、膨張材と収縮低減剤双方を使用した比較例と実施例を記載してある。その値が高いのは、試料の破壊に要するエネルギーが大きくなることを示しており、それだけ荷重や変形エネルギーに抵抗してひび割れが発生し難いことを示している。アルカリ含有量が0.2%以下のセメントを含む本発明実施例のセメント組成物の破壊エネルギー量は、同一の配合と養生方法で作成したアルカリ含有量が0.2%を超えるセメントを含むセメント組成物の破壊エネルギーに比べ1.1倍以上となっており、荷重や変形などに起因する応力ひび割れへの抵抗性が向上していることが分る。
Figure 2006265015
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以上の結果を総合して評価すると、アルカリ量0.2%以下のセメントに膨張材や収縮低減剤を組み合わせることが、それら混和材の性能を著しく発揮させることが理解できるが、更に特筆すべきは、膨張材と収縮低減剤の双方を使用した場合にこそ、その効果が著しいことが見て取れる。ひび割れ発生日数の観点から見ると、表7の実施例における膨張材が4重量部という少ない量であるにも関わらず、収縮低減剤を0.75重量部配合しただけで、表5における膨張材が同量の4重量部の実施例15と比較して、倍以上のひび割れ発生日数を要している。これは、膨張材と収縮低減剤の併用による相乗効果が働いたことを示すのもので、少ない量でより大きな効果を得たと結論づけられる。
表2および表3に示す配合のセメント組成物を「JIS規格R5201セメントの物理試験方法」に準じた方法で調整し、「JIS規格R1129モルタルの長さ変化試験方法」に準じた測定方法で、20℃、60%R.H.の環境条件での硬化体の長さ変化を、材齢24時間後を基点として測定した。その結果を表12に示す。アルカリ含有量が0.2%以下のセメントとセメント100重量部に対し6〜10重量部の膨張材を含み、水セメント比が40%以下である本発明実施例のセメント組成物の長さ変化は、材齢56日以降も膨張側であり、つまりは収縮ひび割れを起こすまでの日数が長くなっていることが理解できる。結局、水セメント比を低くすることの方がより長期間乾燥収縮が遅れ、ひび割れ発生が遅延するということが分る。
Figure 2006265015
表2および表3に示す配合のセメント組成物を「JIS規格R5201セメントの物理試験方法」に準じた方法で調整し、同方法のモルタルフロー試験方法に準じて、無打振でフロー値を測定した。その結果を次の表13に示す。本発明実施例の膨張材を含むセメント組成物は、アルカリ含有量が0.3%を超えるセメントを含む比較例のセメント組成物に比べ、少ない減水剤配合量で同等以上の流動性が得られることが理解できる。一般に、水セメント比が低い場合には組成物の流動性が劣るため、施工性が低下するが、このポリカルボン酸系減水剤を使用することにより流動性を高め、施工性を向上させることが可能となる。
Figure 2006265015

Claims (3)

  1. アルカリ含有量が0.2%以下のセメントと、膨張材および収縮低減剤の双方、或いは膨張材或いは収縮低減剤のいずれかを含むセメント組成物。
  2. 膨張材は、セメント100重量部に対し3〜10重量部としたことを特徴とする請求項1記載のセメント組成物。
  3. 収縮低減剤は、セメント100重量部に対し0.5〜3重量部としたことを特徴とする請求項1記載のセメント組成物。
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