JP2006263762A - 微細凹部加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被加工物の円周面に対して精度良好に微細凹部を形成することができると共に、加工コストの低減を実現する微細凹部加工装置を提供する。
【解決手段】シリンダボアBの内周面Baに微細凹部を形成する微細凹部加工装置であって、同一径の一対のフォームローラ13と、両フォームローラ13を同軸上に並列配置したローラ支持部材12と、ローラ軸19に直交する揺動軸11を介してローラ支持部材12を揺動自在に保持する工具ホルダ10を備え、内周面Baの中心線とローラ軸19とが平行になる状態に工具ホルダ10を配置し、フォームローラ13を内周面Baに圧接させる圧縮コイルばね16と、シリンダボアBと工具ホルダ10を内周面Baの中心線回りに相対的に回転させて内周面Baに圧接させたフォームローラ13を転動させる主軸3を備え、内周面Baに対してフォームローラ13を常に垂直に圧接させるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】シリンダボアBの内周面Baに微細凹部を形成する微細凹部加工装置であって、同一径の一対のフォームローラ13と、両フォームローラ13を同軸上に並列配置したローラ支持部材12と、ローラ軸19に直交する揺動軸11を介してローラ支持部材12を揺動自在に保持する工具ホルダ10を備え、内周面Baの中心線とローラ軸19とが平行になる状態に工具ホルダ10を配置し、フォームローラ13を内周面Baに圧接させる圧縮コイルばね16と、シリンダボアBと工具ホルダ10を内周面Baの中心線回りに相対的に回転させて内周面Baに圧接させたフォームローラ13を転動させる主軸3を備え、内周面Baに対してフォームローラ13を常に垂直に圧接させるようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、自動車用エンジンにおけるシリンダブロックのシリンダボアの内周面や、カムシャフトのジャーナル部の外周面などのように摺動接触を伴う被加工物の円周面に、低フリクション化を実現するための微細凹部(油だまり)を形成するのに用いられる微細凹部加工装置に関するものである。
従来、被加工物の円周面に微細凹部を形成する場合には、ショットブラストが多く採用されていた。このショットブラストでは、円周面に所定形状の透孔を有するマスキングシートを貼り付けた後、セラミックス等の小径粒子を円周面に向けて圧縮空気とともに投射することで、円周面の透孔を通して露出している部分に微細凹部を形成するようにしている。
そして、微細凹部を形成した後は、マスキングシートを取り外して洗浄するのに続いて、再びホーニングを行うことにより、上記ショットブラスト加工で微細凹部の周囲に生じた盛上り部分を除去するようにしている。
特開2002−307310
しかしながら、上記したようなショットブラストによる微細凹部の形成にあっては、微細凹部を規則的に配置することが困難であり、加えて、円周面に対するマスキングシートの貼り付け工程及び取り外し工程、並びに洗浄工程が不可欠であって、このような作業が多い分だけ加工コストが嵩むという問題があり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたものであって、被加工物の円周面に対して精度良好に微細凹部を形成することができると共に、加工コストの低減を実現することが可能である微細凹部加工装置を提供することを目的としている。
本発明の微細凹部加工装置は、被加工物の円周面に微細凹部を形成する微細凹部加工装置であって、同一径で外周部に凹部形成用の凸部を有する一対のフォームローラと、両フォームローラを同軸上に並列配置して回転自在に支持するローラ支持部材と、フォームローラのローラ軸に直交する揺動軸を介してローラ支持部材を揺動自在に保持するホルダを備えている。そして、被加工物に対して円周面の中心線とローラ軸とが平行になる状態にホルダを配置し、さらに、ホルダ側からローラ支持部材に荷重を付与して両フォームローラを円周面に圧接させる荷重付与手段と、被加工物とホルダを円周面の中心線回りに相対的に回転させることにより円周面に圧接させたフォームローラを同円周面に添って転動させる回転駆動手段を備えたことを特徴としている。
本発明の微細凹部加工装置は、従来のような使い捨てのマスキングシートを用いずにフォームローラによる機械加工を行うことから、被加工物の円周面に高精度の微細凹部を高効率で形成することができると共に、生産性の向上や製造コストの低減を実現することができ、とくに、一対のフォームローラを採用したことから、円周面に対してフォームローラの凹部形成用の凸部を常に垂直に圧接させることができるようになり、微細凹部のさらなる高精度化を実現することができると共に、二箇所同時に微細凹部の形成を行うことで、加工時間を大幅に短縮することができる。
以下、図面に基づいて、本発明の微細凹部加工装置の一実施例を説明するが、微細凹部加工装置の詳細な構成は以下の実施例に限定されるものではない。
図2に示す微細凹部加工装置1は、自動車用エンジンのシリンダブロックを被加工物とし、被加工物の円周面すなわち円形穴であるシリンダボアの内周面に微細凹部を形成するNC工作機械であって、鉛直方向に移動可能な主軸ヘッド2と、主軸ヘッド2に下向きに突出した状態で支持される主軸3と、主軸ヘッド2の下側において水平面内で互いに直交する二軸方向に移動可能な被加工物載置用のテーブル4と、主軸3に同軸に装着されて一体で回転する工具ホルダ(ホルダ)10を備えており、図示しない自動工具交換装置により、主軸3に対して工具ホルダ10の着脱を行うようになっている。
工具ホルダ10は、図1に示すように、主軸3に装着する部位であるシャンク部10Aと、その下側に連続するボディ部10Bを有すると共に、ボディ部10Bの下側に、アダプタ10Cを介してハウジング10Dを備え、このハウジング10Dに、揺動軸11を介してローラ支持部材12を揺動自在に連結すると共に、ローラ支持部材12により、一対のフォームローラ13,13を回転自在に支持している。
アダプタ10Cは、例えば図示しないステッピングモータを具備した移動機構を内蔵しており、この移動機構の作動により、シリンダブロックCBのシリンダボアBの内周面Baに対してハウジング10D、ローラ支持部材12及びフォームローラ13を一体的に近接離間させる。
ハウジング10Dは、片側に開放された筒状の中空体であって、内部には、軸線方向を水平にしたスプラインナット14が嵌合固定してあり、このスプラインナット14と先端に揺動軸11を備えたプラインシャフト15とを互いにスプライン結合して、揺動軸11に連結したローラ支持部材12を主軸3と直交する方向に移動自在に保持している。揺動軸11は、その軸線方向が、水平面においてスプラインシャフト15の軸線に直交する方向である。
また、ハウジング10Dには、ホルダ10側である当該ハウジング10Dからローラ支持部材12に荷重を付与して両フォームローラ13,13をシリンダボアBの内周面Baに圧接させる荷重付与手段としての圧縮コイルばね16が介装してあり、圧縮コイルばね16の後方には、この圧縮コイルばね16によりフォームローラに付与した荷重を検出する荷重検出手段としての圧電型のロードセル17が設けてある。
つまり、この実施例では、ハウジング10Dに、荷重付与手段である圧縮コイルばね16や荷重検出手段であるロードセル17がコンパクトに内蔵してあり、当該装置の構造の簡素化や小型化に貢献し得るものとなっている。
スプラインシャフト15には、ハウジング10D内の端部に、スプラインシャフト15の直径よりも大径の止め具18が固定してあり、この止め具18は、圧縮コイルばね16の伸びを抑えると共に、圧縮コイルばね16が伸びきった際の衝撃を緩和し、ハウジング10Dからローラ支持部材12が脱落するのを阻止する。なお、図1においては、スプラインシャフト15と圧縮コイルばね16が同軸上に図示してあるが、実際には、これらは互いに干渉しない位置にずれて配置してある。
ローラ支持部材12は、図3にも示すように揺動軸11に揺動自在に連結してあって、上下に同軸状態で突出するローラ軸19,19を備えると共に、各ローラ軸19,19に軸受20,20を介してフォームローラ13,13が装着してあり、両フォームローラ13,13を同軸上に並列配置して回転自在に支持している。このとき、揺動軸11とローラ軸19は、互いに直交する位置関係にある。なお、軸受20には、図示した玉軸受のほかに、すべり軸受などを用いることができる。
二つのフォームローラ13,13は、同一径であると共に、外周部に凹部形成用の凸部が一定間隔で設けてあり、シリンダボアBの直径よりも小さい直径を有する。フォームローラ13は、材料がとくに限定されるものではないが、例えば、超硬、超硬以外の硬質金属やアルミナ、窒化珪素等のセラミックスなどから成るものであって、高い強度と靭性を有しており、被加工物が焼入れ鋼などの高硬度材料であっても微細凹部を形成することができる。凸部の高さは例えば100μm程度であり、数μm又は数十μm程度の微細凹部を形成する。
ここで、微細凹部加工装置1は、微細凹部の加工対象となる円周面が、シリンダブロックCBにおけるシリンダボアBの内周面Baであるから、その内周面Baの中心線L1と主軸3及び工具ホルダ10の回転中心L2とが一致するように、シリンダボアBに対して工具ホルダ10を配置すると共に、この状態で、アダプタ10C、ハウジング10D、ローラ支持部材12及び両フォームローラ13,13がシリンダボアBの内側に対して挿脱可能である。
そして、微細凹部加工装置1は、内周面Baの中心線L1とフォームローラ13のローラ軸19とが平行であると共に、工具ホルダ10の回転中心L2に対してローラ軸19がオフセットされた位置にある。
なお、この実施例では、主軸3が、回転駆動手段すなわち被加工物であるシリンダブロックCBとホルダである工具ホルダ10をシリンダボアBの内周面Baの中心線L1回りに相対的に回転させることにより内周面Baに圧接させたフォームローラ13を同内周面Baに添って転動させる手段に相当し、ここでは工具ホルダ10を回転駆動する。
また、この実施例では、主軸ヘッド2が、送り駆動手段すなわち被加工物であるシリンダブロックCBとホルダである工具ホルダ10をシリンダボアBの内周面Baの中心線L1に沿う方向に相対的に移動させる手段に相当し、ここでは工具ホルダ10を送り駆動する。
さらに、この実施例では、アダプタ10Cが、径方向駆動手段すなわち被加工物であるシリンダブロックCBとホルダである工具ホルダ10をシリンダボアBの内周面Baに対してフォームローラ13が近接離間する方向に相対的に移動させる手段に相当し、ここではフォームローラ13を径方向に駆動する。
上記の微細凹部加工装置1において、シリンダボアBの内周面Baに微細凹部を形成するに際しては、まず、シリンダボアBの中心線L1と工具ホルダ10の回転中心L2とが一致するように位置決めをした後、主軸3とともに工具ホルダ10を下降させ、シリンダボアB内に一対のフォームローラ13,13を挿入する。
次に、アダプタ10C内の移動機構を作動させて、シリンダボアBの内周面Baに対して両フォームローラ13,13を接触させ、ロードセル17により検出した荷重が予め設定した値になるまでアダプタ10C内の移動機構の作動を継続させる。
つまり、シリンダボアBの内周面Baにフォームローラ13,13が接触した後、アダプタ10C内の移動機構の作動を継続させると、ローラ支持部材12とハウジング10Dとの間で圧縮コイルばね16が圧縮され、その反発力が荷重としてフォームローラ13,13に付与されると共に、ロードセル17によりこの荷重が検出されることから、このロードセル17の検出荷重が設定値になるまでアダプタ10C内の移動機構の作動を継続させれば、フォームローラ13,13がシリンダボアBの内周面Baに所定荷重で圧接することとなり、これにより微細凹部の深さも決まる。
この際、微細凹部加工装置1では、ローラ支持部材12によって同一径の二つのフォームローラ13,13を同軸上に並列配置すると共に、ローラ支持部材12が揺動軸11によって揺動自在に保持してあり、しかも、揺動軸11が一対のフォームローラ13,13の中間に位置していると共に、フォームローラ13,13の中間に位置するローラ支持部材12に対して圧縮コイルばね16による荷重を付与しているので、シリンダボアBの内周面Baに対して両フォームローラ13,13の凸部が垂直に接触すると共に、両フォームローラ13,13に圧縮コイルばね16による荷重が均一に付与される。
次に、上記のように荷重の設定値を検出して、アダプタ10C内の移動機構の作動を停止した後、主軸3により工具ホルダ10を回転駆動すると、シリンダボアBの内周面Baに圧接している両フォームローラ13,13が連れ回りし、これらのフォームローラ13,13の転動によってシリンダボアBの内周面Baに微細凹部が形成される。そして、主軸(回転駆動手段)3の回転と主軸ヘッド(送り駆動手段)2の下降とを同期させることにより、シリンダボアBの内周面Baの広い領域に微細凹部を形成することができる。
このとき、微細凹部加工装置1では、フォームローラ13,13をシリンダボアBの中心線L1に沿う方向に一定速度で直線移動させるだけで、内周面Baに対して螺旋状に連続して微細凹部を形成することができる。このように螺旋状に連続形成する方が当然のことながら高効率である。
このように、上記の微細凹部加工装置1では、フォームローラ13を用いた機械加工を行うことから、シリンダボアBの内周面Baに高精度な微細凹部を高効率で形成することができ、使い捨てのマスキングシートを用いてショットブラスト行う従来の微細凹部加工に比べて、生産性の向上や製造コストの低減を実現することができる。
そして、同一径の一対のフォームローラ13,13を採用したことから、シリンダボアBの内周面Baに対して両フォームローラ13,13の凸部を常に垂直に圧接させて、図4(a)に示す如く深さが均一な微細凹部Pを高精度に形成することができると共に、二箇所同時に微細凹部の形成を行うので、加工時間を大幅に短縮することができる。なお、フォームローラ13を単体で用いると、部材間の精度誤差等によってシリンダボアBの内周面Baに対して凸部が傾斜して接触する可能性が高まり、この場合、図4(b)に示す如く微細凹部Pの深さが不均一になる。
また、微細凹部加工装置1は、移動機構を内蔵したアダプタ10C、すなわち内周面Baに対してフォームローラ13が近接離間する方向に相対的に移動させる径方向駆動手段を備えているので、内周面Baに対するフォームローラ13の圧接力を容易に変更して、異なる深さの微細凹部を形成することができ、加工中に微細凹部の深さを部分的に変化させることもできる。
さらに、微細凹部加工装置1は、荷重付与手段として圧縮コイルばね16を採用しているので、装置構造を簡略化することができると共に、簡単な構造でありながらフォームローラ13に充分な荷重を付与することができる。なお、荷重付与手段としては、ばねのほかにアクチュエータを用いることもでき、この場合には、アクチュエータ自体で荷重の増減を行うことが可能になる。
そしてさらに、微細凹部加工装置1は、荷重検出手段としてロードセル17を採用したことにより、簡単な構造で付与荷重を正確に検出することができると共に、その検出信号を用いて例えば径方向駆動手段(アダプタ10C)をフィードバック制御することで、形成される微細凹部が常に一定の深さとなるように荷重を制御することができ、また、微細凹部の深さが部分的に変化するように荷重を制御することも可能である。
上記の微細凹部加工装置1を用いて微細凹部の加工が施されたシリンダブロックCBは、シリンダボアBの内周面Baに高精度の微細凹部が規則的に形成されたものとなり、ピストンとの摺動接触において微細凹部が油だまりとして有効に機能し、エンジンの性能向上に貢献し得るものとなる。
図5は、ローラ支持部材の他の実施例を説明する図である。図示のローラ支持部材32は、概略円筒状を成す部材であって、その外部に、揺動軸11に装着する連結部33を有している。この実施例では、揺動軸11は、スプラインシャフト15の先端に設けた連結部材34に設けてある。
また、ローラ支持部材32は、その内部に、二つの軸受35,35を並べて収容すると共に、軸受35,35の両側を位置決め固定する固定用部材36,37を備え、両軸受35,35により、一本のローラ軸39の中間を回転自在に保持している。そして、ローラ軸39の両端部近傍に、同一径のフォームローラ13,13が夫々固定してある。このようなローラ支持部材32を用いた場合においても、先の実施例と同様の作用及び効果を得ることができる。
図6及び図7は、本発明の微細凹部加工装置の他の実施例を説明する図であって、図示の微細凹部加工装置51は、自動車用エンジンのカムシャフトCSを被加工物とし、被加工物の円周面すなわち円柱部であるジャーナル部Jの外周面に微細凹部を形成する。カムシャフトSは、図示例の場合、五個のジャーナルJを有すると共に、各ジャーナルJの間にカムCを有している。
微細凹部加工装置51は、主軸台52と、主軸台52に対して進退可能な心押し台53を備えている。主軸台52は、図示しないモータを内蔵すると共に、開閉動作する爪54を設けたチャッキング装置55を備えており、このチャッキング装置55でカムシャフトCSの一端部を把持する。他方、心押し台53は、チャッキング装置55と同軸上に配置した尖頭状のセンタシャフト56を備えており、このセンタシャフト56をカムシャフトCSの他端部に係合させる。これにより、カムシャフトCSは、軸線方向を水平にした状態で軸回りに回転可能に保持される。
また、主軸台52と心押し台53で保持されたカムシャフトCSの上側には、カムシャフトCSの軸線方向(Z方向)及び上下方向(X方向)に移動可能な工具ヘッド57を備えており、工具ヘッド57に、一対のフォームローラ13,13を備えた工具ホルダ(ホルダ)58が取付けてある。
工具ホルダ58は、円筒形状の部材であって、上端部に閉塞部材59が固定してあると共に、内部下位側に円筒形状のスライダ60が収容してあり、スライダ60内に、ロッド61がその軸線方向に摺動自在に設けてある。そして、ロッド61の下端部に、軸線を水平方向とした揺動軸11を介して、ローラ支持部材62が揺動自在に連結してある。
また、工具ホルダ58は、その内部において、ロッド61の上端部にばね座63が固定してあり、このばね座63と閉塞部材59の間には、ジャーナル部Jの外周面Jaに当接したフォームローラ13に対して同外周面Jaへの荷重を付与する荷重付与手段として、圧縮コイルばね64が設けてある。このとき、圧縮コイルばね64の反ばね座側には、受圧部材65が設けてあり、この受圧部材65と閉塞部材59との間には、圧縮コイルばね(荷重付与手段)64によりフォームローラ13に付与した荷重を検出する荷重検出手段として、圧電型のロードセル66が設けてある。
つまり、この実施例では、工具ホルダ58に、荷重付与手段である圧縮コイルばね64や荷重検出手段であるロードセル66がコンパクトに内蔵してあり、当該装置の構造の簡素化や小型化に貢献し得る。なお、荷重付与手段としては、圧縮コイルばね64のほか、例えば空圧や油圧を用いたシリンダ等のアクチュエータを用いることも可能である。
ローラ支持部材62は、棒状を成す部材であって、その中間部が揺動軸11に連結してあると共に、両端部の下側にリテーナ67,67を備え、各リテーナ67にローラ軸68を介してフォームローラ13を支持している。これにより、ローラ支持部材62は、両フォームローラ13,13を同軸上に並列配置して回転自在に支持している。
また、各フォームローラ13は、先の実施例と同様に、同一径を有すると共に、外周部に凹部形成用の凸部を一定間隔で有しており、例えば、超硬、超硬以外の硬質金属やアルミナ、窒化珪素等のセラミックスなどを材料としている。
ここで、微細凹部加工装置51は、例えば数値制御される工作機械を用いることができる。すなわち、主軸台52、心押し台53及び工具ヘッド57を備えた工作機械を用いることが可能であり、ロードセル66の信号を図示しない配線により工作機械の制御装置に入力するようにして、その信号を微細凹部形成の際の動作制御に利用し得る。
また、微細凹部加工装置51は、微細凹部の加工対象となる円周面が、カムシャフトCSにおけるジャーナル部Jの外周面Jaであるから、ジャーナル部Jの中心線L3とローラ軸68とが平行になるように、カムシャフトCSに対して工具ホルダ58を配置し、この際、各フォームローラ13,13が異なるジャーナル部J,Jに対応する。
なお、この実施例では、主軸台52が、回転駆動手段すなわち被加工物であるカムシャフトCSとホルダである工具ホルダ58をジャーナル部Jの中心線L3回りに相対的に回転させることにより外周面Jaに圧接させたフォームローラ13を同外周面Jaに添って転動させる手段に相当し、ここではカムシャフトCSを回転駆動する。
また、この実施例では、工具ヘッド57が、送り駆動手段すなわち被加工物であるカムシャフトCSとホルダである工具ホルダ58をジャーナル部Jの中心線L3に沿う方向に相対的に移動させる手段に相当し、ここでは工具ホルダ58を水平方向に送り駆動する。
さらに、この実施例では、同じく工具ヘッド57が、径方向駆動手段すなわち被加工物であるカムシャフトCSとホルダである工具ホルダ58をジャーナル部Jの外周面Baに対してフォームローラ13が近接離間する方向に相対的に移動させる手段に相当し、ここでは工具ホルダ58を昇降させるのに伴ってフォームローラ13を径方向に駆動する。
上記構成を備えた微細凹部加工装置51は、主軸台52及び心押し台53によってカムシャフトCSを挟むように保持した後、工具ヘッド57によってフォームローラ13,13を夫々のジャーナル部Jの外周面Jaに向けて前進させる。また、フォームローラ13,13が外周面Jaに当接した後には、圧縮コイルばね64を圧縮してフォームローラ13,13を外周面Jaに押し付けると共に、圧縮コイルばね64の圧縮に伴って発生した荷重をロードセル66で検出する。
そして、微細凹部加工装置51は、ロードセル66で検出した荷重が所定値になったところで、工具ヘッド57によるフォームローラ13,13の前進を停止すると共に、微細凹部の形成を開始する。すなわち、主軸台52によりカムシャフトCSを軸回りに定速回転させることにより、フォームローラ13,13を連れ回りさせると共に、工具ヘッド57でフォームローラ13,13をカムシャフトCSの軸線方向に移動させることによって、外周面Jaの全域にわたって微細凹部を形成する。その後、残りのジャーナル部Jにも同様の加工を順次行う。
この際、微細凹部加工装置51では、ローラ支持部材62によって同一径の二つのフォームローラ13,13を同軸上に並列配置すると共に、ローラ支持部材62が揺動軸11によって揺動自在に保持してあり、しかも、揺動軸11が一対のフォームローラ13,13の中間に位置していると共に、フォームローラ13,13の中間に位置するローラ支持部材62に対して圧縮コイルばね64による荷重を付与しているので、各ジャーナル部Jの外周面Jaに対して両フォームローラ13,13の凸部が垂直に接触すると共に、両フォームローラ13,13に圧縮コイルばね64による荷重が均一に付与される。
また、カムシャフトCSの軸線とフォームローラ13,13の軸線とが平行である場合には、外周面Jaに一列分(一周分)の微細凹部を形成した後、フォームローラ13,13の後退、横移動及び前進を順に行って、次の列の微細凹部を形成することになるが、微細凹部加工装置51では、フォームローラ13,13をカムシャフトCSの軸線方向に一定速度で直線移動させるだけで、外周面Jaに対して螺旋状に連続して微細凹部を形成することができる。このように微細凹部を螺旋状に連続形成する方が当然のことながら高効率である。さらに、微細凹部を螺旋状に連続形成する場合、ロッド61を軸回り方向に調整して、カムシャフトCSの軸線に対してフォームローラ13,13の軸線を僅かに傾斜させておいても良い。
なお、自動車エンジン用のカムシャフトCSに微細凹部を形成する場合、カムシャフトCSの回転速度は、例えば毎分100回転程度であり、微細凹部を連続形成する際のフォームローラ13,13の移動速度は、例えばカムシャフト一回転あたり0.5mmである。また、微細凹部の深さは、例えば1μm程度である。このような深さの微細凹部を形成する場合には、フォームローラ13,13に付与する荷重と、これにより形成される微細凹部の深さとの関係を予め求めておき、ロードセル66による荷重が所定値になったところで加工を開始すればよい。
このように、上記の微細凹部加工装置51では、先の実施例と同様に、フォームローラ13,13を用いた機械加工を行うことから、カムシャフトCSのジャーナル部Jの外周面Jaに高精度な微細凹部を高効率で形成することができ、使い捨てのマスキングシートを用いてショットブラスト行う従来の微細凹部加工に比べて、生産性の向上や製造コストの低減を実現することができる。
そして、一対のフォームローラ13,13を採用したことから、ジャーナル部Jの外周面Jaに対してフォームローラ13,13の凸部を常に垂直に圧接させて、図4(a)に示す如く深さが均一な微細凹部Pを高精度に形成することができると共に、二箇所同時に微細凹部の形成を行うことで、加工時間を大幅に短縮することができる。
また、微細凹部加工装置51は、工具ヘッド57、すなわち外周面Jaに対してフォームローラ13が近接離間する方向に相対的に移動させる径方向駆動手段を備えているので、外周面Jaに対するフォームローラ13の圧接力を容易に変更して、異なる深さの微細凹部を形成することができ、加工中に微細凹部の深さを部分的に変化させることもできる。
さらに、微細凹部加工装置51は、荷重付与手段として圧縮コイルばね64を採用しているので、装置構造を簡略化することができると共に、簡単な構造でありながらフォームローラ13に充分な荷重を付与することができる。なお、荷重付与手段としては、ばねのほかにアクチュエータを用いることもでき、この場合には、アクチュエータ自体で荷重の増減を行うことが可能になる。
そしてさらに、微細凹部加工装置51は、荷重検出手段としてロードセル66を採用したことにより、簡単な構造で付与荷重を正確に検出することができると共に、その検出信号を用いて例えば径方向駆動手段(工具ヘッド57)をフィードバック制御することで、形成される微細凹部が常に一定の深さとなるように荷重を制御することができ、また、微細凹部の深さが部分的に変化するように荷重を制御することも可能である。
上記の微細凹部加工装置51を用いて微細凹部の加工が施されたカムシャフトCSは、ジャーナル部Jの外周面Jaに高精度の微細凹部が規則的に形成されたものとなり、シリンダヘッドにおける軸受部との摺動接触部分において微細凹部が油だまりとして有効に機能し、エンジンの性能向上にも貢献し得るものとなる。
なお、本発明に係わる微細凹部加工装置は、その構成が上記各実施例に限定されるものではなく、構成の細部を適宜変更することができる。例えば、上記各実施例では、回転駆動手段(主軸3、主軸台52)、送り駆動手段(主軸ヘッド2、工具ヘッド57)、及び径方向駆動手段(アダプタ10C、工具ヘッド57)として、被加工物(シリンダブロックCB、カムシャフトCS)及びホルダ(工具ホルダ10,58)のいずれか一方を駆動する場合を例示したが、他方を駆動したり被加工物とホルダの両方を駆動したりして、被加工物とホルダを相対的に移動させることが可能である。
また、被加工物としては、各実施例で説明したシリンダブロックCB及びカムシャフトCSのほか、ピストン、クランクシャフト及びバランサシャフト(サイレントシャフト)などを挙げることができ、このほか、凹部形成用の凸部を複列に備えたフォームローラを用いることも可能である。
B シリンダボア(円形穴)
Ba シリンダボアの内周面(円周面)
CB シリンダブロック(被加工物)
CS カムシャフト(被加工物)
J ジャーナル部(円柱部)
Ja ジャーナル部の外周面(円周面)
1 52 微細凹部加工装置
2 主軸ヘッド(送り駆動手段)
3 主軸(回転駆動手段)
10 58 工具ホルダ(ホルダ)
10C アダプタ(径方向駆動手段)
11 揺動軸
12 32 62 ローラ支持部材
13 フォームローラ
16 64 圧縮コイルばね(荷重付与手段)
17 66 ロードセル(荷重検出手段)
19 39 68 ローラ軸
52 主軸台(回転駆動手段)
57 工具ヘッド(送り駆動手段、径方向駆動手段)
Ba シリンダボアの内周面(円周面)
CB シリンダブロック(被加工物)
CS カムシャフト(被加工物)
J ジャーナル部(円柱部)
Ja ジャーナル部の外周面(円周面)
1 52 微細凹部加工装置
2 主軸ヘッド(送り駆動手段)
3 主軸(回転駆動手段)
10 58 工具ホルダ(ホルダ)
10C アダプタ(径方向駆動手段)
11 揺動軸
12 32 62 ローラ支持部材
13 フォームローラ
16 64 圧縮コイルばね(荷重付与手段)
17 66 ロードセル(荷重検出手段)
19 39 68 ローラ軸
52 主軸台(回転駆動手段)
57 工具ヘッド(送り駆動手段、径方向駆動手段)
Claims (10)
- 被加工物の円周面に微細凹部を形成する微細凹部加工装置であって、同一径で外周部に凹部形成用の凸部を有する一対のフォームローラと、両フォームローラを同軸上に並列配置して回転自在に支持するローラ支持部材と、フォームローラのローラ軸に直交する揺動軸を介してローラ支持部材を揺動自在に保持するホルダを備えると共に、被加工物に対して円周面の中心線とローラ軸とが平行になる状態にホルダを配置し、さらに、ホルダ側からローラ支持部材に荷重を付与して両フォームローラを円周面に圧接させる荷重付与手段と、被加工物とホルダを円周面の中心線回りに相対的に回転させることにより円周面に圧接させたフォームローラを同円周面に添って転動させる回転駆動手段を備えたことを特徴とする微細凹部加工装置。
- 被加工物とホルダを円周面の中心線に沿う方向に相対的に移動させる送り駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の微細凹部加工装置。
- 被加工物とホルダを円周面に対してフォームローラが近接離間する方向に相対的に移動させる径方向駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の微細凹部加工装置。
- 荷重付与手段が、ホルダとローラ支持部材との間に介装したばねであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微細凹部加工装置。
- 荷重付与手段によりフォームローラに付与した荷重を検出する荷重検出手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微細凹部加工装置。
- 荷重検出手段がロードセルであることを特徴とする請求項5に記載の微細凹部加工装置。
- 被加工物が円形穴を有し、円周面が円形穴の内周面であって、回転駆動手段がホルダを回転駆動する手段であると共に、ホルダの回転中心に対してローラ軸がオフセットされた位置に設けてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の微細凹部加工装置。
- 被加工物が円柱部を有し、円周面が円柱部の外周面であって、回転駆動手段が被加工物を円柱部の軸線回りに回転駆動する手段であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の微細凹部加工装置。
- 請求項7に記載の微細凹部加工装置を用いて、シリンダボアの内周面に微細凹部を形成したことを特徴とするエンジンのシリンダブロック。
- 請求項8に記載の微細凹部加工装置を用いて、ジャーナル部の外周面に微細凹部を形成したことを特徴とするエンジンのカムシャフト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005083646A JP2006263762A (ja) | 2005-03-23 | 2005-03-23 | 微細凹部加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005083646A JP2006263762A (ja) | 2005-03-23 | 2005-03-23 | 微細凹部加工装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006263762A true JP2006263762A (ja) | 2006-10-05 |
Family
ID=37200270
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005083646A Pending JP2006263762A (ja) | 2005-03-23 | 2005-03-23 | 微細凹部加工装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006263762A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013107108A (ja) * | 2011-11-21 | 2013-06-06 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 電縫管、電縫管の製造方法及びローレット加工治具 |
-
2005
- 2005-03-23 JP JP2005083646A patent/JP2006263762A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013107108A (ja) * | 2011-11-21 | 2013-06-06 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 電縫管、電縫管の製造方法及びローレット加工治具 |
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